SNSで親しくなった相手に金の取引を持ちかけられ、教えられたサイトで売買を始めてしまう。こうした相談が続いています。令和8年上半期だけで、SNS型投資詐欺による被害は797.9億円にのぼりました。
本記事で取り上げる「bingpro.top」は、SNSでのやり取りから案内された取引サイトです。指定された国内の銀行口座へ振り込むと、画面の残高が増えていきます。
数回の振込のあと一度だけ払い出しを受け、続いて相手と資金を出し合うボーナス企画を持ちかけられています。金額が跳ね上がった後、引き出しを求めると税金を払わなければ出金できないと告げられました。
調べていくと、利用規約には別の暗号資産取引所の法人名とアドレスがそのまま残っていました。ログイン画面の紋章も、その取引所との提携ロゴから切り取られたものです。
この記事では、規約の文面、画像の出どころ、ドメインの記録など、調べて分かったことを順に取り上げます。名称のよく似た実在の取引所と取り違えないための手順も弁護士の視点から解説します。
bingpro.topに関するトラブルの概要

bingpro.topをめぐるトラブルでは、SNSで知り合った相手から金(ゴールド)の取引を勧められ、案内されたサイトで売買を始める流れが確認されています。お金のやり取りはすべて振込で、宛先には国内の銀行の口座が使われていました。
最初の数回の振込のあと、一度だけ払い出しを受けています。それを挟んでサイト内のボーナス企画に誘われ、相手と共同で資金を出し合う形を持ちかけられたとうかがっています。ここから金額が一気に上がりました。
利益の引き出しを申し出たところ、サイト側から税金の支払いが必要だと告げられます。支払えないと伝えると、今度は詐欺で訴えると言われました。引き出しの手続きは最後まで進んでいません。出金前の税金請求については、利益の23%を所得税として別払いさせようとした事例も紹介しています。
金の取引で利益が出せると持ちかけられる
本件の入口はSNSでした。知り合った相手とやり取りを続けるうちに金の取引を勧められ、案内されたサイトに登録して売買を始めています。金は相場が日々のニュースで流れる対象で、投資の経験が浅い方にも話が通りやすい商品です。
同じような被害がどれだけ発生しているかは、警察庁が半期ごとにまとめている資料に載っています。令和8年(2026年)上半期の認知件数は5,893件(+3,020件)、被害額は797.9億円(+444.9億円)にのぼります。
同じ資料には、既遂1件当たりの被害額が1,362.5万円と示されています。相談の窓口に届く一件一件が、それだけまとまった金額になっているということです。数回の振込で収まらず、金額が積み上がってから相談に至る例が多いことがうかがえます。
本件で振込が行われたのは、10日ほどの短い期間です。長い時間をかけて少しずつ増えていく形ばかりではなく、信用が生まれた直後に短期間で金額が跳ね上がる形もあることが本件からは読み取れます。
名乗りと文書に書かれた会社名が一致しない
案内されたサイトが画面で名乗っているのは「BingPro」という名称です。ログインの画面にも、新規登録の画面にも、この名前が置かれています。画面の上では、これが事業者の名前にあたります。
ところが、その登録画面から開ける利用規約を読むと、契約の相手方として書かれているのは「BingPro」ではない別の会社の名前でした。同じ場所から開けるプライバシーポリシーでも、問い合わせ先のメールアドレスが別の取引所のものになっていました。
画面をくまなく探しても、事業者の商号や所在地、問い合わせ先にあたる表示は出てきません。名称として出ているのは「BingPro」の文字だけで、それがどこの誰なのかを画面から知る手立てがありません。
規約とプライバシーポリシーに何が書かれていたのかは、後の章で原文とあわせて取り上げます。いずれも登録をしなくても確認可能です。
名称のよく似た暗号資産取引所が実在する
「BingPro」とよく似た名称の暗号資産取引所として、BingXが実在します。公式サイトによれば2018年に設立され、世界で4,000万人を超える利用者を持つと説明されています。
▼BingXの公式サイトに掲載された会社紹介(2018年設立と4,000万人超の利用者が明示)

出典:BingX
同社はイングランドのプロサッカークラブであるチェルシーFCの公式パートナーでもあり、2026/27シーズンまで契約が延長されたことがクラブ側から発表されています。
名称が似ていることと、同じ事業者が運営していることは別の話です。本記事で扱うbingpro.topについて、正規のBingXによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。
実際、bingpro.topのログイン画面には、チェルシーFCの紋章が入った画像が置かれています。この画像がどこから来たものか、利用規約に書かれた会社の名前が誰のものかは、後の章で1つずつ確かめます。読者の方も同じ手順で確認できます。
公的機関が同種の勧誘に注意を呼びかけている
金融庁の注意喚起のうち、SNSやマッチングアプリを入口とする勧誘だけを扱った1ページに、本件と重なる記述があります。著名人をかたる者からの勧誘とあわせて、繰り返し呼びかけが行われている分野です。
挙げられているのは、画面の上で利益が増えていくのを見せられた末に、引き出しの段になって税金や手数料の名目で新たな送金を求められるという流れです。画面の数字が動いていても、その裏で資金が動いているとは限らないことにも触れられています。
本件で税金の支払いを求められたのは、まさに引き出しを申し出た場面でした。出金を申し出るまで追加の費用に触れられないという順番が、この種の相談に共通しています。入金を重ねている間は、そのような説明は出てきません。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、出金の条件として新たな支払いを求められたときは、その場で応じずに一度止まることをおすすめします。
送金の前に家族や弁護士などの専門家へ相談する時間を取るだけでも、その場では気づけない点が見えてきます。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
・BingX(https://bingx.com/)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・金融庁-SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
bingpro.topへ誘導され被害につながるまでの経緯

本件は、投資先を探していた場面ではなく、SNSでの日常のやり取りから始まっています。金の取引という題材が持ち出され、そのまま案内されたサイトでの売買へ移っていきました。運用の実績を示す書面も、事業者から説明を受ける場もないままです。
振込の指示はすべてやり取りの中で出され、途中で宛先の銀行が変わっています。一度は払い出しを受けているのに、最後は引き出せないまま終わりました。この章では、その順序を追っていきます。
SNSで知り合った相手から金の取引に誘われる
きっかけは、SNSで知り合った相手とのやり取りでした。会話を重ねるうちに金の取引の話が持ち出され、そこから運用を始めることになっています。金は価格が日々のニュースで流れるため、相場の話題として持ち出しやすい対象です。
自分で投資先を調べていたわけではなく、相手との関係ができたあとに取引の話へ移っていく形です。この順番だと、商品の中身を調べる前に相手を信用するかどうかで判断が決まってしまいます。
以後の指示は、この相手とのやり取りの中だけで出されています。対面での説明も、書面の取り交わしもありません。振込の宛先と金額だけが文字で届く状態が最後まで続くことになりました。
案内された口座へ振り込むと画面の残高が増える
案内されたのがbingpro.topです。売買を始めるには、先にこのサイトでアカウントを作る手順を踏みます。登録の画面はURLを知っていれば誰でも開くことができます。
▼bingpro.topの新規登録画面(アカウント名と本名、2種類のパスワードだけ入力)

出典:bingpro.top
入力を求められるのは、アカウント名、本名、ログイン用のパスワード、取引用のパスワードの4つだけです。メールアドレスも電話番号も入力欄がありません。連絡先を登録しないまま口座が作られることになります。
登録が済むと、あとは指定された口座へ振り込むだけで画面の残高が増えていきます。振り込んだ円がいくらの持ち高になるのかは、サイトの側が決めたレートで換算される仕組みでした。銀行の明細と画面の数字を突き合わせても換算の根拠までは確かめられません。
少額の払い出しを受け取り取引が成り立っていると感じる
最初の数回の振込のあと、一度だけ払い出しを受けています。口座に実際に着金しており、ここで取引が成り立っていると受け止められる場面が生まれました。画面の中の数字が、初めて現実のお金として手元に現れたことになります。
引き出しが一度でも通ると、その後の送金への警戒はどうしても下がります。残高の表示だけでなく、手元に戻った実績ができてしまうためです。この一度があるかないかで、次の振込に対する判断は大きく変わります。
この払い出しは、送金した金額の総額から見ればごく一部です。後から振り返れば、次の入金を引き出すための呼び水として位置づけられる金額でした。金額の大小ではなく、着金したという事実そのものが働いています。
サイト内のボーナス企画に共同で参加するよう持ちかけられる
取引が続くなかで案内されたのが、サイトの中にあるボーナス企画への参加でした。しかもそれは、SNSの相手と資金を出し合って一緒に参加するという形だったとうかがっています。ここから振り込む金額の桁が変わっています。
一人で判断して振り込むのと、相手も同じだけ出していると聞かされて振り込むのとでは、踏み出すときの心理がまったく違います。相手が自分と同じ側に立っているように見えるため、勧誘されているという感覚が薄れてしまいます。
ただし、相手が本当に資金を出したのかどうかを確かめる方法はありません。手元に残るのは自分が振り込んだ記録だけで、相手の分については説明を聞く以外に確認の手段がない状態でした。
振込のたびに違う銀行の口座を指定される
送金は複数回にわたって行われていますが、途中で振込先の銀行が別のものに変わっています。同じ事業者に対する入金であれば、口座がその都度入れ替わるのは自然なことではありません。
いずれも国内の銀行の口座です。海外への送金ではないため手続きは普段の振込と変わらず、銀行の窓口やアプリの画面で立ち止まる場面がありません。振込の操作そのものは数分で終わります。
宛先は画面には表示されず、やり取りの中で伝えられていました。入金のたびに相手へ確認しなければ振り込めないという形が、そのまま連絡を取り続ける理由にもなっています。
出金を求めると税金の支払いを迫られ被害につながる
画面の残高が増えたところで、利益の引き出しを申し出ています。ここで返ってきたのが、税金を支払わなければ出金できないという説明でした。金額も支払先も、それまで一度も示されていません。
登録のときにも、入金を重ねている間にも、このような費用の説明は出ていません。引き出しを申し出た段階で初めて条件が加わる形です。入金の手続きには何の制限もかからなかった点と対照的でした。
支払えないと伝えたところ、相手からは詐欺で訴えると言われています。引き出しを求めた側が責められる立場に置かれるという、本来とは逆の展開です。この段階で相談に至っています。
結果として、引き出しの手続きは最後まで進んでいません。手元にあるのは振込の記録とサイトの画面に残る残高の表示だけです。いつから存在しているサイトなのかは、公開された記録をたどれば分かります。次の章で確かめます。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
bingpro.topの関連サイトの情報を調査した結果

前章で見たとおり、画面には事業者を特定できる表示がありませんでした。そこで、サイトの外側に残っている記録のほうを確認しています。運営者が自分で書いた説明ではなく、手続きの過程で自動的に残る記録が対象です。
調査に当たったのは、ドメインの登録簿、暗号化に使う証明書、サーバーの割り当て先、当局が公表している資料の4つです。どれも公開されているもので、本記事に書いた手順をそのままなぞれば同じ結果にたどり着けます。
| URL | bingpro.top |
|---|---|
| ドメインの登録日 | 2026年5月6日 |
| 有効期限 | 2027年5月6日 |
| 登録機関 | NameSilo, LLC(米国) |
| ネームサーバー | dnsowl.com(NameSiloが提供) |
| 登録者 | 非公開 |
| 証明書の発行 | 2026年7月26日(Let’s Encrypt) |
| 同じ内容の別ドメイン | bingpro.cc(2026年7月26日登録) |
| サーバーの所在 | アラブ首長国連邦(レンタル事業者) |
bingpro.topのドメイン情報
bingpro.topの末尾にある「.top」は、ZDNSという機関が管理しているドメインです。登録の記録はRDAPという形式で公開されていて、決まったアドレスをブラウザに入れると登録日や登録機関がそのまま画面に出ます。
▼bingpro.topの登録記録(registrationの欄が登録日を示す)

出典:ZDNS(RDAP)
登録日を示すのはregistrationの行で、そこにあった日付は2026年5月6日です。手続きを取り扱ったのは米国アリゾナ州のNameSilo, LLCで、ネームサーバーにも同社が提供するものが設定されていました。
一方、登録者の氏名や会社名にあたる欄は伏せられています。個人情報の保護を理由に伏せる扱いは広く行われており、それ自体が珍しいわけではありません。ただ本件では、画面にも記録にも運営者が出てこないという形で重なります。
ここから分かるのは「米国の登録機関を通じて誰かが取得した」という事実だけです。日本語のサイトを運営し、日本の銀行口座への振込を受け取る主体が誰なのかは、この記録からは特定できません。
サイトが公開されたのは相談の約4か月前
この日付を、相談の時期と並べてみます。ドメインが用意されたのは2026年5月、振込が行われたのは同年9月でした。その間はおよそ4か月しかありません。サイトの側から見れば、公開してまだ間もない時期にあたります。
記録の最終更新も同じ2026年5月6日で、登録のわずか3分後です。取得したその場で設定を済ませ、そのまま運用に入ったことが読み取れます。時間をかけて準備した形跡は残っていません。
暗号資産の取引所は、口座の管理と入出金の仕組みを整えるだけでも相応の期間と人手を要します。4か月前に用意されたドメインで、世界規模の取引所としての実績を語ることには無理があります。
前章で触れたとおり、このサイトの会社紹介は2018年の設立をうたっています。記録に残る日付は、その説明と合いません。どちらが確かめられる情報かといえば、公開された登録簿のほうです。
配信されているファイルが別のドメインと完全に一致する
調べていく過程で、名前のよく似たもう一つのドメインが見つかりました。「bingpro.cc」です。登録機関もネームサーバーも「bingpro.top」と同じものが使われていました。
| 項目 | bingpro.top | bingpro.cc |
|---|---|---|
| 登録日 | 2026年5月6日 | 2026年7月26日 |
| 登録機関 | NameSilo, LLC | NameSilo, LLC |
| ネームサーバー | dnsowl.com | dnsowl.com |
| 接続先のIPアドレス | 153.75.95.214 | 153.75.95.214 |
両方を開いて、配信されているファイルを取り出して照合しました。結果は、トップページのファイルの中身が完全に一致です。1文字でも違えば変わる照合用の値まで同じで、似ているのではなく同一のファイルが配られています。
接続先のIPアドレスも同じでした。1台のサーバーが、2つの名前で同じサイトを配信していることになります。片方のドメインが止まっても、もう一方でそのまま営業を続けられる形です。
2つのドメインは1枚の証明書にまとめられている
この2つの関係は、通信の暗号化に使う証明書からも裏づけられます。証明書には対象のドメイン名が書き込まれており、ブラウザから誰でも開いて読むことができます。
▼bingpro.topの証明書(サブジェクトの代替名に4つのドメインが並ぶ)

出典:bingpro.top(Chromeの証明書ビューア)
「証明書のサブジェクトの代替名」の欄に並んでいたのは、「bingpro.cc」、「bingpro.top」、「www.bingpro.cc」、「www.bingpro.top」の4つでした。1枚の証明書が、2つのドメインをまとめて対象にしています。
見落とせないのは、この並びが偶然では起こらない点です。1枚の証明書に複数の名前を載せるには、その名前すべてを自分が管理していることを認証局に示す必要があります。同じ管理者の手にあることの裏づけになります。
この証明書は2026年7月26日から有効になっています。bingpro.ccが登録されたのと同じ日で、しかも登録から12分後です。ドメインを取得してすぐ、既存のサイトと束ねる手続きが取られています。
サーバーは海外のレンタル事業者に置かれている
2つのドメインが指していたIPアドレスは「153.75.95.214」でした。このアドレスが誰に割り当てられているかも、RIPEという機関の記録で確かめられます。ドメインと同じく、申請の内容が公開される仕組みです。
登録されていたのはCloudzyというレンタルサーバーの事業者で、国の欄に記されていたのはアラブ首長国連邦でした。仮想のサーバーを月単位で借りられる形の事業者です。
このIPアドレスを逆に引くと、結びついている名前は「bingpro.top」、「www.bingpro.top」、「bingpro.cc」の3件だけでした。他社と相席になっているのではなく、1台をこのサイトのために使っているとみられます。
画面は日本語で振込先も日本の銀行です。それでも実体として置かれているのは、海外で借りたサーバー1台でした。国内に事業所を構えている様子はうかがえません。問い合わせ先の表示がないことと重ねると、連絡を取る手立てが残らない形です。
金融庁の記録で確認できたことと確認できなかったこと
最後に、日本の当局が公表している資料にあたります。金融庁のサイトには、登録を受けた事業者と警告を受けた事業者をまとめて引ける検索が用意されています。商号や名称を入力するだけで、その場で結果が出ます。
▼金融庁の金融事業者一括検索で照会した結果

出典:金融庁「金融事業者一括検索」
「BingPro」で照会すると、結果の欄には「該当するデータはありませんでした。」とだけ出ます。日本で登録を受けた金融事業者として、この名称は記録されていません。
登録を受けずに営業している事業者については、名称と警告の時期を並べた一覧が別に公表されています。海外の事業者も対象で、ページ内の検索で名前を探せる形になっています。
▼無登録業者の一覧をページ内検索した結果(件数は「0 / 0」)

出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
こちらでも見つかりませんでした。ただし、掲載がないことが安全の根拠になるわけではありません。この一覧に載るのは警告が行われた事業者であり、当局に把握されていなければ載りようがないためです。
| 名称 | 日本での登録 | 無登録業者の一覧 |
|---|---|---|
| BingPro | 確認できない | 掲載なし |
| BingX | 確認できない | 掲載なし |
名称が使われているBingXのほうも調べました。同社が日本の暗号資産交換業者として登録を受けていることは確認できず、無登録業者の一覧にも掲載されていません。日本向けに登録を取って営業している事業者ではないということです。
2つの名称は、いずれも日本の公的な記録に出てきません。登録を受けた事業者であれば商号と所在地を照合できますが、本件ではその確認の手段そのものが用意されていないことになります。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
bingpro.topに関する不審点

この章では、bingpro.topの画面と、そこから開ける文書に残っていた点を6つ挙げます。ログイン画面の表示、使われている画像、利用規約、プライバシーポリシー、公式アカウントのリンク、そしてプログラムに書き込まれた文言です。
このうち4つは、登録もログインもせずにその場で確かめられます。残る2つはログインの先にある画面のため、サイトが配信しているプログラムを取得して調べました。共通していたのは、画面に出ている名前とその中身が指している相手が食い違っているという点です。
ログイン画面に「チェルシーFC公式 取引所パートナー」と書かれている
bingpro.topのアドレスを入力すると、最初に出てくるのはログインの画面です。その上部に黒い帯が置かれ、サッカークラブの紋章と「BingPro」の文字が並んでいます。アカウントを持っていない状態では、この画面から先に入ることはできません。
▼bingpro.topのログイン画面 ※「チェルシーFC公式」「取引所パートナー」と記載

出典:bingpro.top
紋章の下には、日本語で「チェルシーFC公式」「取引所パートナー」の2行が置かれています。右側にはユニフォーム姿の選手の写真と「TRAINED ON GREATNESS」の文字が並びます。
チェルシーFCの公式パートナーを務めている暗号資産取引所はBingXです。同クラブは2026/27シーズンまで契約を延長したことを公表しており、「TRAINED ON GREATNESS」はBingXとクラブが共同で展開しているキャンペーンの標語にあたります。
一方、bingpro.topがチェルシーFCと提携していることを示す情報は確認できませんでした。クラブ側の発表にもBingXの案内にも、この名称は出てきません。パートナー企業として公表されている一覧にも含まれていません。
クラブとBingXの提携そのものは実在します。問題があるのは、その関係を示す表示が、無関係のサイトの入口に置かれている点です。しかも利用者の側には、その肩書きが本物かどうかを画面から確かめる手段がありません。
紋章は他社の提携ロゴを切り取って表示している
画面上部で使われている画像は、アドレスを直接入力すれば単体で開くことができます。開いてみると、そこにあったのは紋章だけの画像ではありませんでした。ファイルの名前はページのソースに書かれており、誰でもたどることができます。
▼bingpro.topが配信している画像ファイル(紋章と「BingX」が1枚に収められている)

出典:bingpro.top
1枚の画像に、チェルシーFCの紋章と「BingX」のロゴが縦線を挟んで並んでいます。クラブと取引所の提携を示すために作られた図柄で、そのままの形で配信されていました。
では画面ではなぜBingXの文字が見えないのか。ページのプログラムを読むと、この画像を横49ピクセル分だけ表示するよう指定されています。紋章の部分だけが枠に収まり、右側のロゴは枠の外に押し出されます。
そして空いた場所に、画像ではなく文字として「BingPro」が置かれています。つまり、提携ロゴのうち相手方の名前だけを隠し、そこへ別の名称を重ねた形です。画像そのものを加工したのではなく、表示の指定だけで見えなくしています。
指定を書いている部分には、「BingXのロゴ」という意味の名前が付けられた項目が非表示の設定とともにそのまま残っていました。消したのではなく、見えなくしてあることが読み取れます。
利用規約が別の取引所の法人名とURLのまま残っている
ログイン画面をいちばん下までたどると、「利用規約」と「プライバシーポリシー」へのリンクが置かれています。どちらのページも登録もログインもせずに開くことができます。新規登録の画面にも同じリンクがあり、そちらには同意のチェック欄が添えられています。
▼ログイン画面の下部(利用規約とプライバシーポリシーへのリンクが設置)

出典:bingpro.top
このうち利用規約を開くと、表題は「Customer Agreement」で、その下に「BingPro」と表示されます。ところが本文の1文目に出てくるのはまったく別の名前でした。
▼利用規約の冒頭 ※別の法人名とURLが残っている

出典:bingpro.top
This agreement is between you … and Nieve Cruz PA Corporation (hereinafter known as the “Company”) solely. By accessing, using or clicking “I agree” to any of the services provided by the Company through the website (https://www.bingx.com) (the “Website”)…
(本契約は、お客様と Nieve Cruz PA Corporation(以下「当社」)との間においてのみ締結されるものです。当社がウェブサイト(https://www.bingx.com)、モバイルアプリケーションその他の関連サービスを通じて提供するいずれかのサービスに、アクセスし、利用し、または「同意する」をクリックすることにより…)
契約の相手方として書かれているのはNieve Cruz PA Corporation、サイトのアドレスとして定義されているのは「https://www.bingx.com」です。どちらもbingpro.topのものではありません。
前者はBingXが公開している利用規約に、契約の当事者として記載されているパナマの法人です。bingpro.topの規約は、BingXの規約の「BingX」という語を置き換えて作られたものとみられます。置き換えが及ばなかった箇所がそのまま残っている形です。
文書に表示されている日付も合いません。冒頭には2019年7月31日、更新日として2025年8月25日とありますが、bingpro.topのドメインが登録されたのは2026年5月6日でした。
▼利用規約の表題部分(2019年7月31日と2025年8月25日の日付が記載)

出典:bingpro.top
なお、この規約の冒頭には「すべての請求は拘束力のある仲裁により解決する重要な条項を含む」と大きく書かれています。しかし本文をどこまで読んでも、その仲裁の条項も、準拠法も、裁判の場所も出てきません。
プライバシーポリシーの問い合わせ先が別の取引所のアドレス
もう一方のプライバシーポリシーも同じ状態でした。こちらは個人情報の取り扱いを定めた文書で、氏名、国籍、パスポート番号、生年月日、住所などの提出を求める旨が並んでいます。
▼プライバシーポリシーの冒頭 ※赤枠の中のURLが別のサイトを指している

出典:bingpro.top
This Privacy Policy explains how BingPro and its Affiliates (“BingPro”) collect, use, share, and protect user information obtained through the BingPro website (https://www.bingx.com)…
(本プライバシーポリシーは、BingProおよびその関係会社が、BingProのウェブサイト(https://www.bingx.com)を通じて取得した利用者情報を、どのように収集・使用・共有・保護するかを説明するものです。)
「BingProのウェブサイト」と書いたうえで、その括弧の中に置かれているのは別の事業者のアドレスです。利用者が個人情報を預ける相手が、文書の上では入れ替わっています。
問い合わせ先についても同じでした。この文書には、預けた個人情報の開示や削除を請求するときの窓口が書かれています。該当する箇所を探すと、次のアドレスが示されていました。
▼プライバシーポリシーの問い合わせ先 ※赤枠の中が別の取引所のアドレス

出典:bingpro.top
For data access, correction, or deletion requests, please contact [email protected] with the subject “DATA INQUIRY”.
(データの開示、訂正、削除のご請求は、件名を「DATA INQUIRY」として [email protected] までご連絡ください。)
同じアドレスは、配信停止の窓口とプライバシーに関する照会先としても記されており、この文書の中に3回登場します。bingpro.topの連絡先は、どこにも書かれていません。
公式アカウントとして並ぶリンクの飛び先が別の取引所
公式アカウントへのリンクは、事業者が自分で設定するものです。名称で検索しても情報の出てこないサイトでは、この並びが運営者をたどる数少ない手がかりになります。押せばその事業者の発信を直接見に行けるためです。
bingpro.topでは、トップ画面のいちばん下にSNSのアイコンが6つ並んでいます。サイトが配信しているプログラムを調べたところ、それぞれの飛び先は次のように書き込まれていました。表示する順番までそのまま記述されています。
| アイコン | リンク先 |
|---|---|
| X(旧Twitter) | x.com/BingXOfficial |
| Telegram | t.me/BingXOfficial |
| Discord | discord.com/invite/bingxofficial |
| facebook.com/BingXOfficial/ | |
| instagram.com/bingx.global/ | |
| linkedin.com(サービスのトップページ) |
6つのうち5つが、BingXの公式アカウントを指しています。残る1つは個別のページですらなく、サービスのトップページが設定されているだけでした。差し替えが行われないまま残されたものとみられます。
「BingPro」を名乗るサイトの公式アカウントとして並んでいるものが、すべて別の事業者のものであるという状態です。アイコンを押した利用者は、そのままBingXの公式アカウントへ移動します。事業者名の表示と公式の提供内容を照合する例として、実在の資産運用会社を騙る投資アプリの調査も紹介しています。
プログラムに残る表示が日本語版と中国語版で食い違う
プログラムを読み進めると、このサイトが内部で使っている名前が見つかります。表に出る名称は「BingPro」ですが、プログラムの中で繰り返し使われているのは「SimEx」という別の名称でした。
同じプログラムには、画面に出す文言が日本語・英語・スペイン語・中国語の4言語ぶん用意されています。そのうち注文が通らなかったときのメッセージを並べると、次のようになっていました。
| 場面 | 日本語 | 中国語 |
|---|---|---|
| 入力の誤り | 注文失敗:パラメータが無効です。 | 模拟下单失败:参数不正确。 |
| 資金の不足 | 注文失敗:現金不足(USDT)。 | 模拟下单失败:现金不足(USDT)。 |
| 持ち高の不足 | 注文失敗:ポジション不足。 | 模拟下单失败:持仓不足。 |
中国語の「模拟」は、日本語でいう「シミュレーション」にあたる語です。中国語の側にだけ「シミュレーションの注文が失敗した」と書かれ、日本語と英語ではその語が落ちています。
会社紹介の文言にも置き換えの跡が残っていました。見出しにあたる箇所は「BingXについて」から「X」が抜けた形になっており、日本語の画面には「Bingについて」と表示される設定になっています。
運営側の管理用として用意されている窓口も、日本語ではありませんでした。こちらは登録をしなくても開けるため、読者の方も同じ表示を確かめられます。ブラウザのアドレス欄に入力するだけで、応答がそのまま画面に出ます。
▼管理用の窓口に接続したときの応答(日本語のサイトだが中国語が返る)

出典:bingpro.top
{“error”:”未授权,请先登录”}
(権限がありません。先にログインしてください)
日本語で表示され、日本の銀行口座への振込を受け取るサイトでありながら、運営側の仕組みが返す言葉は中国語でした。ページの文字コードの指定も、日本語ではなく簡体字中国語のままになっています。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
・BingX(https://bingx.com/)
・Chelsea Football Club-Principal partnership with BingX extended
bingpro.topのようなサイトが悪用されやすい理由

前章では、画面に出ている名前と中身が食い違っていることを見てきました。ではなぜ、その食い違いに気づかないまま送金が続いてしまうのでしょうか。この章では、利用者の目に映っていたものの側から見ていきます。
理由は大きく4つあります。扱う対象が身近であること、画面に出る数字を運営側が決められること、出金を止める操作が用意されていること、そして安全を示す体裁が整っていることです。順に見ていきます。
金は値動きの理由が説明しやすく話を受け入れやすい
金の相場は、毎日のニュースや新聞の経済欄で目にします。上がった理由も下がった理由も報じられるため、勧誘する側は解説を用意しやすく、聞く側も筋の通った話として受け取りやすい対象です。
暗号資産のように仕組みから説明する必要もありません。「金を買って値上がりを待つ」という話は、投資の経験が浅い方にも直感で理解できます。この分かりやすさが最初の一歩の敷居を下げます。
ただし、bingpro.topの画面に出ている「GOLD」は、金そのものの取引ではありませんでした。プログラムを読むと、この銘柄が参照しているのはPAXGUSDTという別の商品です。
▼サイトが価格を取りに行く窓口(URLに参照先のPAXGUSDTが表示)

出典:bingpro.top
PAXGは、金の価格に連動するように設計された暗号資産の名称です。画面には「GOLD」と表示されますが、参照しているのは金の先物や現物の相場ではありません。どの商品の価格を映しているのかは、画面のどこにも示されていません。
入金したお金がいくらの持ち高になるかも、サイト側が決めた数字で換算されます。その数字を返す窓口も、登録をせずに開くことができます。振込のたびに、このレートで円が画面上の数字に置き換えられていきます。
▼換算に使われるレートを返す窓口(この時点では157が返っている)

出典:bingpro.top
返ってくるのは1つの数字だけで、どの市場のいつの時点のレートなのかは示されません。振り込んだ円が画面上でいくつの数字に変わるのかは、運営側の設定ひとつで決まる形です。
取引の結果を運営側が決められる作りになっている
このサイトで用意されている取引は、値動きを当てる形式です。30秒・60秒・90秒・120秒のいずれかを選び、価格が上がるか下がるかを予想します。当たったときの配当は30%で固定されています。
短い時間で勝ち負けが決まるため、当たれば残高がすぐに増えます。画面の数字が動く体験が繰り返されることで、運用が回っているという実感が積み上がっていきます。相場を読んで当てたという手応えも残ります。
ところが、サイトが配信しているプログラムには、利用者向けだけでなく運営者向けの機能の一覧も含まれていました。それぞれに中国語で説明が添えられており、何をするための機能かが分かります。そこに並んでいたのが次の項目です。
| 機能 | プログラム内の説明(原文) |
|---|---|
| 利用者の一覧を取得 | 获取所有用户 |
| 利用者の情報を更新 | 更新用户(管理员) |
| 入金申請の審査 | 审核入金 |
| 注文の結果を強制的に設定 | 设置订单强制结果 |
最後の項目は、注文の結果を運営側から指定するための機能です。相場を当てる形式の取引でありながら、その結果を外から書き換える場所が用意されていることになります。値動きによって決まるはずのものが、そうとは限らなくなります。
利用者の画面には、この操作が行われたかどうかを示す表示はありません。勝っても負けても、相場によるものか設定によるものかを判別する手段がないという状態です。負けが続いても、運が悪かったのだと受け止めるほかありません。
出金を止める操作が資金の凍結とログインの制限という形で用意されている
同じプログラムには、出金を止める場面で使われるとみられる仕組みも組み込まれていました。ひとつは資金の凍結で、その際に表示する文言が日本語であらかじめ用意されています。
アカウントが凍結されています。オンラインサポートにお問い合わせください。
もうひとつがログインの制限です。この状態になると、保存されている利用者の情報が消され、強制的にログイン画面へ戻されます。ただし、サポートとのやり取りに使う情報だけは残る設計でした。
つまり、口座には入れないのにサポートとだけは話せるという状態に置かれます。残高も取引の履歴も確認できないまま、相手の説明を聞く以外に手立てがなくなります。画面で確かめられなくなるため、その説明を疑う材料も手元から消えます。
利用者ごとの「信用スコア」も設けられています。説明によれば新規の利用者は100点から始まり、90点を下回ると一部の機能が制限されるとされています。この点数はサイト側から配信されるもので、利用者の操作で動くものではありません。
| 減点の要因として挙げられているもの |
|---|
| AIがマネーロンダリングを検出 |
| プラットフォーム機能の不正使用 |
| 利用規約違反 |
| 異常な取引行動 |
| 悪意のあるまたは詐欺的な行為 |
何点引かれたのか、どの行為が該当したのかを示す仕組みはありません。問い合わせ先として案内されているのはサポートだけで、制限した側に説明を求めるほかない形になっています。
注意喚起やセキュリティの体裁まで備わっている
安全への配慮を示す表示も整っています。「パスワードを忘れた」のページには、利用者に注意を促す一文が置かれていました。このページも登録をせずに開けます。ログイン画面から1回たどれば行き着く場所です。
▼「パスワードを忘れた」のページ ※送金を依頼することはないと記載

出典:bingpro.top
BingProの公式スタッフがパスワードや認証コードを要求したり、送金を依頼することはありません。不審な状況が発生した場合は、すぐに公式カスタマーサービスにご連絡ください。
本件では、やり取りの相手から振込先を指定され、送金を重ねています。注意を呼びかける文言が置かれているサイトで、その文言と正反対のことが起きていることになります。
設定の画面にも、安全を示す項目が並びます。「コンプライアンス」の説明にはグローバルな規制ライセンスで資産を保護、「透明な監査」の説明には定期的な監査報告で透明な運営とあります。
ただし、どの国のどのライセンスなのか、監査を行ったのはどこなのかは示されていません。会社紹介にある「100%準備金証明」についても、証明の内容を確かめられる資料は見当たりませんでした。
本人確認では、運転免許証やマイナンバーカード、在留カードなどの表と裏の画像を求めます。求める書類が多いほど、きちんとした事業者が運営しているという印象につながります。
こうした表示は、文言と画面を用意するだけで整えられます。ライセンスの番号や監査法人の名前が書かれていれば、その機関の公表資料と照らし合わせて確かめられますが、本件ではそのどちらも示されていませんでした。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
bingpro.topの不審点を見抜く方法

案内されたサイトを前にして、その場で確かめられることを6つ挙げます。いずれも本記事で実際に使った手順で、特別な道具はいりません。ブラウザがあれば確認が進められます。
- 規約の1文目に出てくる会社名とアドレスを読む
- 利用規約は全部を読み通さなくても構いません。冒頭の1文だけで足りることがあります。契約の相手方となる会社名と、サービスを提供するサイトのアドレスは、たいていそこに書かれているためです。本件でその1文にあったのは、別の取引所の法人名とbingx.comというアドレスでした。プライバシーポリシーの問い合わせ先も同じ取引所のものです。見るのはいま開いているサイトの名前と一致しているか、その1点だけです。
- 画面のSNSアイコンを実際に押して、どこへ飛ぶかを見る
- フッターに並ぶXやTelegramのアイコンは飾りではなく、実際に押せるリンクです。運営者が自分のものとして示しているアカウントがそのまま分かります。本件は6つのうち5つが、別の事業者の公式アカウントにつながっていました。飛んだ先の名前が画面のサービス名と違っていれば、それだけで立ち止まる理由になります。
- ロゴや看板の画像だけを単体で開いてみる
- 画像を右クリックして「画像を新しいタブで開く」を選ぶと、切り取られる前の元のファイルが出てきます。本件のログイン画面には紋章しか見えませんでしたが、元の画像にはその横に別の取引所のロゴが並んでいました。見た目は表示の設定でいくらでも変えられます。元のファイルまで戻ると、素材がどこから来たものかが見えてきます。
- 証明書を開いて、一緒に載っているドメインを確かめる
- アドレスバーの鍵のマークから「この接続は保護されています」に進み、証明書を開きます。「詳細」のタブにある「サブジェクトの代替名」という欄が、その証明書の対象になっているドメインの一覧です。本件では、開いていたアドレスのほかにもう1つ別のドメインが載っていました。ここに複数の名前が並ぶのは、その全部を同じ相手が管理していることを示します。
- アドレスが用意された日を調べて、勧誘の時期と突き合わせる
- 「https://rdap.org/domain/bingpro.top」のように、決まったアドレスの末尾へ調べたいドメイン名を足して開きます。返ってくる記録のうち、registrationと書かれた行にあるのが登録日です。本件は2026年5月6日で、勧誘を受けたのはその約4か月後でした。設立から何年と説明されていても、アドレスの記録がそれより新しければ、説明と合いません。
- 金融庁の検索に、画面に出ている名称をそのまま入れる
- 金融庁の「金融事業者一括検索」は、登録を受けた事業者も、警告の対象になった事業者も、同じ窓口から引けます。サービス名でも会社名でも、画面に出ている表記をそのまま入れてください。該当がなかった場合でも、それで安心できるわけではありません。登録がある事業者なら商号と所在地が表示され、案内されたサイトと照合できます。その照合ができない時点で、確かめる手段がないということになります。
最初の3つは、開いて目を通すだけで済みます。文字を打ち込む場面がないため、サイト側に足跡が残りません。どこから手をつけるか迷ったら規約の1文目からで構いません。
すでに送金を済ませている場合、次にできるのは追加の支払いをしないことです。本件のように出金を申し出た段階で税金を求められたときは、それを払えば引き出せるとは限りません。名目が何であれ、送金の回数を増やさないことが先になります。
同時に、記録を散らさずにそろえておくことが大切になります。振込先が途中で入れ替わっていると、送金の全体像をたどれるのは振込側の控えだけになります。振込の明細と通帳、サイトの画面、相手とのやり取り。この4つがそろっていれば、弁護士などの専門家が状況を追えます。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
bingpro.topに関する口コミや被害事例

このサイトを使った人が何か書き残していないか、SNSから掲示板まで順に当たりました。調べた範囲では、このアドレスに触れた投稿はどの媒体にもありませんでした。
見つからなかったというより、別のものが大量に出てくるために埋もれてしまうというのが実態に近い状況です。何が出てくるのかを、媒体ごとに見ていきます。埋もれてしまう理由は、名称の付け方にあります。
Xの投稿はすべて名称の近い別の取引所に関するもの
Xで「bingpro.top」や「BingPro」を検索しても、このアドレスに触れた投稿は見当たりませんでした。出金できない、連絡が取れないといった書き込みも確認できません。
代わりに並ぶのが、名称のよく似たBingXの投稿です。同社は日本語のアカウントも運用しており、キャンペーンや上場の告知が日々流れています。フォロワーの数も多く、投稿の頻度も高いアカウントです。
検索する側から見ると、「Bing」まで一致した時点で本物の投稿が上位に来ます。そこに新着の告知が重なるため、案内されたサイトに関する投稿を探しているつもりでも、目に入るのは別の事業者の発信になります。
Yahoo!知恵袋の質問も別の取引所に向けられている
Yahoo!知恵袋でも、bingpro.topを挙げた質問は見つかりませんでした。相談自体が投稿されていないのか、投稿される前の段階なのかまでは分かりません。サイトが公開されてから4か月ほどしか経っていないことも関係しているとみられます。
一方で、「出金の申請をしたが処理されない」「入金したあとに不安になった」という相談は、別の名前の業者について数多く投稿されています。同じ形の困りごとが起きていること自体は、そこから読み取れます。
ただし、その相談に付いた回答が本件に当てはまるとは限りません。業者が違えば、出金が止まっている理由も、取れる手立ても変わります。名前が違う相談の回答を自分の状況に当てはめると、判断を誤ることになりかねません。
ドメインそのもので検索しても記録が残っていない
最後に、検証サイトや掲示板を含めて「bingpro.top」というアドレスで調べました。このアドレスを取り上げた記事も、注意を呼びかける書き込みも確認できませんでした。
サイトの過去の姿を保存しているインターネット・アーカイブをたどっても、保存された画面は1つも出てきませんでした。もう1つのbingpro.ccについても同じで、いつどんな画面だったかをさかのぼる手段がない状態です。
検索の結果に出てくるのは、大きく3つに分かれます。Microsoftの検索サービスであるBing、暗号資産取引所のBingX、そしてそのどちらかを解説した記事です。
| 検索して出てくるもの | 本件との関係 |
|---|---|
| Microsoft Bing | 無関係(名称の前半が一致) |
| BingX | 名称が使われている実在の取引所 |
| BingXの解説記事・評判記事 | 上記の取引所についての記事 |
しかも、BingXは実際に金の取引を扱っています。そのため「BingPro ゴールド」と調べても、本物の取引所で金を売買する方法を解説した記事が並びます。探している情報と、出てくる情報が重なってしまうわけです。
こうしたなかで、名称が使われている側からは注意が示されていました。BingXは自社をかたる詐欺について、2024年8月2日付で日本語のページを設けています。利用者からの問い合わせが届いていることをうかがわせる内容です。
▼BingXが掲載している注意喚起のページ

出典:BingX「詐欺被害防止ガイド|BingXを偽る詐欺にご注意」
そこには「BingXの社員が非公式なルートで投資のアドバイスやギフト、アカウントのロック解除サービスを提供することは決してありません」と記されています。あわせて、公式の窓口はbingx.comと公式アカウントだけであることが示されています。
この注意喚起がbingpro.topを名指ししているわけではありません。ただし、同社の名前と素材が使われる例が実際に起きていることを、同社自身が把握していることは読み取れます。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)
・BingX(https://bingx.com/)
bingpro.topに関する口コミが少ない理由

前章で見たのは、情報がないという状態ではありませんでした。「BingPro」で検索すれば結果は大量に返ってくるのに、そのどれもが別のものを指しているという状態です。
なぜそうなるのか。重なっているのは次の3点です。名称の付け方、入口の作り方、そして出金を求めたあとに置かれる状況です。いずれも、このサイトに限った話ではありません。
名称が実在の取引所に埋もれて検索に出てこない
一つ目は名称です。「BingPro」は、前半の「Bing」がMicrosoftの検索サービスと一致し、全体では暗号資産取引所のBingXと1文字違いになります。
検索する側がどちらの語を手がかりにしても、先に出てくるのは実在するサービスのほうです。どちらも利用者が多いため、後から現れた名称が上位に入る余地がありません。
仮に被害に遭った方が書き込んだとしても、その投稿は同じ場所に埋もれます。届きにくい構造が、名称を決めた時点でできていることになります。
入口が個別の紹介に限られ外から見つけられない
二つ目は、たどり着く経路です。このサイトのプログラムには、8文字の英数字をアドレスの末尾に付けて開くと、そのまま新規登録の画面へ進む仕組みが組み込まれていました。紹介する側が配る符号にあたるものです。
つまり、広告や検索からではなく、誰かから個別に渡されて入る形が想定されています。本件でも、入口はSNSで知り合った相手とのやり取りでした。自分で探して見つけたサイトではありません。
この形だと、利用者どうしが顔を合わせる場がありません。同じサイトを使っている人が他にいるのかどうかすら分からないまま進みます。第三者が外から見つけて検証することもできません。
出金できなくなった人はサポートとしか話せない状態に置かれる
三つ目は、困ったあとに置かれる状況です。前の章で触れたとおり、このサイトには資金の凍結とログインの制限という2つの仕組みが組み込まれていました。どちらも運営側の操作で掛かるものです。
制限が掛かると、保存されていた利用者の情報は消され、口座の中を見ることができなくなります。残高も、取引の記録も、入出金の履歴も手元から失われます。残るのはサポートとやり取りする窓口だけです。
何が起きたのかを誰かに伝えようとしても、画面の写しも履歴も出せないということになります。書き込む材料そのものが残らないため、外に情報が出ていきません。説明できるのは、自分の記憶と振込の控えだけになります。
本件では、税金の支払いを断ったところ、相手から詐欺で訴えると言われています。こうした言葉を向けられた側が、進んで経緯を公にするとは考えにくい状況です。自分に落ち度があったのではないかと考え込んでしまう場面でもあります。
3つが重なった結果、検索で得られるのは名前の似た別のサービスについての評価だけです。そちらをいくら読んでも、案内されたアドレスの判断材料にはなりません。代わりに見るべきなのは、運営する側が後から書き換えられないものです。規約の文面、リンクの飛び先、証明書に載っているドメイン、登録日がそれです。
すでに送金を重ねている段階であれば、まず次の支払いを止めることが先になります。画面に利益が表示されていても、それは引き出せることを意味しません。名目が税金であっても事情は変わりません。
口座に入れなくなっていても、手元に何も残っていないわけではありません。振込の控えは金融機関に記録され、相手とのやり取りも残っています。それらを持って、まずは弁護士などの専門家に見てもらってください。
【参考】
・bingpro.top(https://bingpro.top/)

