SNSで知り合った人から「SAFE PAL」の名前でAI投資を勧められ、ウォレットのアプリSafePalの中で開いた取引サイトが、AICODEGTP(aicodebit.com)です。出金しようとすると先に税金を求められ、法人名義の口座へ振り込むと、今度はドルから円への換金手数料を求められました。
サイトのプログラムを調べると、出金の画面の確認ボタンは申請を送らず、チャットの窓口を開くだけの作りでした。ヘルプには、税務当局がサイトに税金の徴収を任せたとする文と、通貨の交換の手数料を無料とする文が並び、トップには別の会社である正規の取引所Bitgetのロゴの画像が使われています。
本記事では、AICODEGTPのサイトの作りと、税金から換金手数料へと続いた支払いの求めには、どのような不審な点があるのかを弁護士が解説します。税金や手数料を求められたときに確かめたい点と、法人名義の口座へ振り込んだお金を取り戻す道筋も紹介します。
AI投資の紹介からAICODEGTPに「税金」を振り込むまで

SNSで知り合った人が持ちかけたのは、AIで運用するという投資でした。示された名前は「SAFE PAL」で、相談者は暗号資産のウォレットのアプリSafePalから取引サイトaicodebit.comを開き、運用を始めています。
この章では、AI投資の紹介、SafePalのアプリの中で開いたサイト、出金の前に求められた税金、振込の後に求められた換金手数料の4つの場面をたどります。出金のために払うものとして税金が示され、それを払った後にも別の名目が加わりました。
SNSの相手が「SAFE PAL」の名前でAI投資を勧めた
相談者はSNSで知り合った人から「SAFE PAL」を紹介され、AI投資を始めました。相談者にとって、お金を預けて運用する先の名前は、最初から「SAFE PAL」でした。
SafePalは、暗号資産を保管したり送ったりするためのウォレットのアプリの名前です。AI投資の運用先として示された名前が、実在するウォレットのアプリの名前と同じだったことが、この事案の出発点です。ただし、実際に相談者が開いたのはSafePalとは別の名前のサイトでした。
SafePalの中のブラウザで開いた先がAICODEGTPだった
相談者が使っていたウォレットは、正規のSafePalのアプリでした。アプリの中のブラウザでアクセスを進めると、途中でaicodebit.comというサイトに移ります。そこに表示されるのは、脳の形をしたロゴと「AICODEGTP」の名前、「接続済みウォレット」のボタンだけです。
サイトを運営する会社の名前も、金融商品の取引業者としての登録の表示もありません。メールアドレスやパスワードを入れる欄もなく、ウォレットをつなぐボタンを押すだけで使い始める作りです。
▼aicodebit.comのAICODEGTPのログイン画面

出典:aicodebit.com
プログラムを調べると、ウォレットのアプリの外でこのボタンを押した場合は「このリンクをウォレットで開いてください」と表示する作りでした。サイトは、最初からウォレットのアプリの中で開かれることを前提にしています。
出金の前に税金を払うよう言われ法人名義の口座へ振り込んだ
その後、相談者は全額を出金しようとしました。すると、出金するには先に税金を支払う必要があると言われます。この求めに従って、相談者は税金に充てるお金を銀行振込で送りました。
振込先は法人名義の口座で、銀行名と法人の名前はaicodebit.comの画面に表示されていました。出金のための税金を、取引サイトが示す法人の口座へ振り込むという流れです。税金を誰がどのような決まりで集めるのかは、サイトのヘルプにも書かれており、後の章で読み比べます。
税金を振り込んだ後にドルから円への換金手数料を求められた
相談者は、税金を振り込めば出金したお金が送られてくると考えていました。ところが振込の後に告げられたのは、さらにドルから日本円に換える換金手数料が必要だということでした。税金を払えば出金できるという説明は、支払いが終わった時点で別の支払いの話に置き換わっています。
まとめると、SNSで知り合った人が「SAFE PAL」の名前でAI投資を勧め、SafePalのアプリの中でaicodebit.comを使わせて、税金と換金手数料を重ねて求めたことが被害につながった経緯です。次の章では、aicodebit.comの出金の画面の作りをプログラムから確かめます。
【参考】
・AICODEGTP(https://aicodebit.com/)
・SafePal(https://www.safepal.com/)
aicodebit.comの出金ボタンは申請を送らずチャットを開くだけ

前の章で見たとおり、税金の話が出てきたのは相談者が出金を申し込もうとした場面です。では、aicodebit.comの出金の画面は、利用者の申し込みをどのように受け付ける作りなのでしょうか。
この章では、出金の画面の確認ボタン、出金を申し込む処理、入金の画面、ボタンの先にある窓口の4点を確かめます。どちらの画面でも、確認ボタンが開くのはチャットの窓口のアドレスでした。
出金と入金の画面を見るには、ウォレットをつないでサイトに入る必要があります。そこで、サイトがその画面のために読み込むプログラムのファイルを直接取得して中身を確認しました。
出金の画面の確認ボタンはチャットの窓口のアドレスへ移る
出金の画面には、「財布」(出金先)、「利用可能なUSDT」、「金額」、「パスワード」の欄が並び、その下に「確認」のボタンが置かれています。残高は、ドルに連動する暗号資産のUSDTで表示される作りです。このボタンを押したときに動く処理の名前は「jumpService」でした。
▼出金の確認ボタンがjumpServiceを呼ぶプログラム

出典:aicodebit.com
jumpServiceの中身をサイトの共通のプログラムでたどると、「window.location.href=i.Rs」、つまり画面を「Rs」という行き先へ移す処理です。そのRsには「https://aicode.mdcm.im」が入っています。
出金のボタンを押すと、出金の申し込みではなく、このアドレスのチャットの画面が開く作りです。ボタンの名前は「確認」でも、押した結果は窓口への移動だけで、出金の手続きはサイトの外へ持ち出されます。
▼画面をRsの行き先へ移す共通のプログラム

出典:aicodebit.com
▼Rsの行き先は窓口のaicode.mdcm.im

出典:aicodebit.com
申請を送る処理はプログラムにあってもボタンにつながっていない
同じ出金の画面のプログラムには、金額や出金先をサーバーへ送って出金を申し込む処理(「withdraw/create」)も書かれています。ところが、この処理を呼び出す手続きは画面のどのボタンにも結びついていません。
つまり、利用者がサイトの中で出金を申し込む道は用意されておらず、出金の話はボタンの先のチャットで進むことになります。出金できるかどうか、その前に何を払わせるかは、窓口の担当者が決める作りとみられます。
相談者が求められた税金と換金手数料も、出金の画面の項目にはありません。こうした支払いの求めは、サイトの仕組みの外のやり取りで出てきたものと考えられ、金額も払い先も担当者の言葉しだいということになります。
入金の画面も振込の控えの画像を入れさせて窓口へ進ませる
入金の画面にも同じ作りが見られます。入金する金額と、「アップロード証明書」という画像を上げる欄(入金の控えを上げるためのものとみられます)が並び、確認ボタンを押したときに動くのは、出金の画面と同じjumpServiceです。
▼入金の画面の確認ボタンも窓口へ移すプログラム

出典:aicodebit.com
サイトの設定のデータでは、入金の方法として暗号資産4種類と、日本円を含む15種類の通貨が並んでいます。一方、振込先の口座を示すデータは、ログインせずに読み込むと1件も返ってきません。口座の情報は、ログインした後の画面にだけ出す作りです。
窓口は「AI CodeGTP」の名前でLINEとの連携も設定されている
ボタンの先のaicode.mdcm.imを開くと、「AI CodeGTP」の名前と「Welcome! Please send us a message.」の文が表示されます。メッセージを送って担当者とやり取りするための窓口です。
▼AI CodeGTPと名乗るチャットの窓口の画面

出典:aicode.mdcm.im
プログラムを調べたところ、この窓口はチャットのサービス「SaleSmartly」で作られ、設定が作られたのは日本時間の2026年5月24日でした。設定には、連携先として「line_app」(LINEのアプリ)が並び、提供元の名前を画面から消す設定も入っています。
出金を申し込んだ後に、チャットやLINEで「先に支払いが必要」と言われたら、サイトの仕組みではなく、窓口の担当者の判断で出金が止められている可能性が高いと考えてください。支払う前に、次の章で見るサイト自身のヘルプの説明と照らし合わせることが大切です。
【参考】
・AICODEGTP(https://aicodebit.com/)
・AI CodeGTPの窓口(https://aicode.mdcm.im/)
AICODEGTPのヘルプが書く税金の代理徴収と無料の交換

出金の前の税金も、振込の後の換金手数料も、前の章で見たとおり出金の画面の項目にはありません。では、aicodebit.comのサイト自身は、税金と手数料についてどう説明しているのでしょうか。
この章では、ヘルプの「税金について」と「料金に関する説明」の2つの記事を読み、国税庁の説明と出金の際の請求に注意を促す資料と並べます。税金の記事は相手の請求の理屈と重なり、料金の記事は相手の請求と食い違っていました。
「税金について」は税務当局がサイトに徴税を任せたと書く
PC版のトップ(www.aicodebit.com)の下にある「FAQ」では、ログインしなくても「税金について」の本文を開けます。本文は次の2文だけです。
個人所得税法の関連規定によると、個人所得が非課税限度額を超える適格な個人および組織は、対応する個人所得税を納付しなければならない。プラットフォームと税務当局間の合意によると、税務当局はプラットフォームに徴税および納税の代行を委託する。
▼PC版のトップのFAQに載る「税金について」の本文

出典:www.aicodebit.com
サイトが利用者の税金を集めて納めるという理屈が、前もってヘルプに書かれていることになります。ただし、どの国の税務当局と、どのような合意を結んだのかは書かれていません。同じ記事のデータを開くと、中国語の原文も「《個人所得稅法》」という法律の名前を挙げるだけでした。
▼「税金について」の記事のデータと日本語の本文

出典:api.noblelnvestapi.xyz
暗号資産の利益の税は本人が確定申告で納めるもの
国税庁のパンフレットは、暗号資産の利益を次のように位置づけています。
暗号資産を売却又は使用することにより生ずる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され所得税の確定申告が必要となります。
FXの利益も、国税庁のタックスアンサーでは申告して納める税とされています。どちらも、利用者が自分で申告して納める仕組みで、取引サイトが出金の前に税金を差し引いたり、振り込ませたりする形は説明されていません。
海外の取引サイトが日本の税務署から税金の徴収を任されるという仕組みも、国税庁の説明には見当たりませんでした。「税金を先に払わないと出金できない」と言われたら、その税金が誰に、どの決まりで納めるものなのかを税務署に確かめることが先です。
同じヘルプの料金の説明は交換の手数料を無料としている
ヘルプにはもう1つ、「料金に関する説明」という記事があり、日本語の本文は最後に料金の一覧をこう並べています。
(前略)
通貨取引レート
出金手数料:1
チャージ手数料無料
その他の料金説明
口座振替・交換手数料無料
▼交換手数料を無料とする「料金に関する説明」の記事のデータ

出典:AICODEGTP(https://api.noblelnvestapi.xyz/api/v1/system/article/11)
出金の手数料は「1」(中国語の原文では「1%」)で、通貨の交換の手数料は無料とされています。税金の後に求められた「ドルから日本円への換金手数料」とは食い違います。残高はUSDTで表示されるため、円で受け取るには交換が要りますが、その交換は無料だと書かれているのです。
出金の際の税金や手数料の請求は暗号資産の業界団体も挙げている
暗号資産の交換業者の団体である日本暗号資産等取引業協会は、出金させない手口の1つとして次の項目を挙げています。
- 出金を妨害する口実が多数
「手数料が必要」「税金の支払いが必要」「システムの都合」など、様々な理由で出金を拒否します。
▼AIの運用と税金の口実を挙げる業界団体の注意喚起

出典:日本暗号資産等取引業協会
同じ欄は、信じ込ませる説明の例に「AIが自動で運用」も挙げています。国民生活センターも、暗号資産のトラブルの相談事例として、出金を申し出た後に税金を請求された例を紹介しています。
(前略)
「もう出金したい」と伝えたが、「海外の業者から出金するには 200 万円課税される」と言われ、税金を請求された。
(後略)
▼出金の前に税金を請求された国民生活センターの相談事例

出典:国民生活センター
この事例は2022年の相談で、マッチングアプリで知り合った人に勧められた点が本件と異なります。これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、出金の手前で税金を名目にお金を求める点は本件にも見られます。
サイトのヘルプが税金の理屈を先に用意し、料金の説明とは違う手数料まで求められた本件では、次の支払いに応じる前に専門家に相談し、請求の中身を一緒に確かめてもらうことが大切です。
【参考】
・AICODEGTP(https://www.aicodebit.com/)
・国税庁-暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について
・国税庁-No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係
・日本暗号資産等取引業協会-暗号資産に関する詐欺に遭わないために
・国民生活センター-SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル-その話、うのみにしないで-
AICODEGTPのトップに並ぶBitgetのロゴと正規のBitgetの告知

aicodebit.comが名乗る名前はAICODEGTPですが、PC版のトップには別の会社のロゴが並んでいます。実在する暗号資産の取引所Bitgetのロゴです。
この章では、トップのバナー、正規のBitget自身が2026年8月に出した日本居住者へのお知らせ、正規のBitgetが示す公式のアドレスの3点を確かめます。AICODEGTPの画面にBitgetのロゴがあっても、正規のBitgetのサービスとして日本から新しく取引を始められる状況ではありません。
トップのバナー4枚はすべてBitgetのロゴの画像
PC版のトップ(www.aicodebit.com)を開くと、左上に「AI CodeGTP」の名前、中ほどに4枚のバナーが表示されます。4枚のバナーはすべて「Bitget」のロゴの画像で、1枚にはBitgetの標語「Trade smarter」も入っています。
▼AI CodeGTPの名前の下に並ぶBitgetのバナー4枚

出典:www.aicodebit.com
プログラムを調べたところ、バナーの画像のデータは2024年9月から12月に登録されたもので、aicodebit.comのアドレスが取得された2026年7月より前のものでした。名前の違うサイトに、別の会社のロゴの画像がそのまま残っていることになります。
正規のBitgetは8月3日から日本居住者の新規登録を受け付けていない
正規のBitgetは、2026年8月3日付のお知らせで、日本居住者へのサービスについて次のように告知しています。
日本の規制を遵守するための継続的な取り組みの一環として、当社は日本居住者に対するサービス提供を終了することを決定いたしました。これに伴い、日本居住者のアカウントに対して、段階的に制限を適用してまいります。日本居住者の新規登録は、 2026年8月3日以降、受け付けられません。
▼日本居住者の新規登録を止めた正規のBitgetのお知らせ

出典:Bitget
相談者が税金を振り込んだ10月の時点で、正規のBitgetは日本居住者の新規登録を受け付けていません。11月1日からは、日本居住者のアカウントに段階的な制限がかかるとも告知しています。
AICODEGTPのトップに並ぶBitgetのロゴは、こうした正規の会社の方針とは関係なく、勧誘する側が名前を利用しているものとみられます。画面にロゴの画像があることは、正規のBitgetが運営に関わっている根拠にはなりません。
正規のBitgetは公式のアドレスをwww.bitget.comだけとしている
正規のBitgetは、なりすましへの注意を促すページで、偽のサイトが増えていることと公式のアドレスを次のように示しています。
最近、詐欺的なBitgetのウェブサイトやアプリが急増しており、警戒が必要であることが浮き彫りになっています。
(中略)
2. 常にURLをダブルチェックし、Bitget公式ドメインのみを信頼してください: www.bitget.com。
▼公式のアドレスを1つだけ示す正規のBitgetの注意

出典:Bitget
aicodebit.comも、別名のaicodegtp.comも、このアドレスには当たりません。また、正規のBitgetも日本で登録を受けた業者ではなく、金融庁は令和5年3月と令和6年11月に、運営会社のBitget Limitedへ無登録で暗号資産交換業を行う者として警告書を出しています。
ロゴや名前に見覚えがあっても、アドレスが正規の会社の示すものと一致するか、その会社が日本の居住者を受け入れているかを、正規の会社自身のお知らせで確かめてください。
【参考】
・AICODEGTP(https://www.aicodebit.com/)
・Bitget-重要なお知らせ:日本居住者の皆様への重要なご案内(https://www.bitget.com/ja/support/articles/12560603890270)
・Bitget-フィッシング詐欺対策ガイド(https://www.bitget.com/ja/academy/guide-against-phishing-scams)
・金融庁-無登録で暗号資産交換業を行う者について(Bitget Limited)
aicodebit.comはアドレスと「123456」でログインさせる

aicodebit.comは、SafePalのアプリの中で開かせ、ウォレットをつなぐボタンだけでログインさせる作りでした。このログインの仕組みを読むと、画面に表示される残高や利益が何を表しているのかも見えてきます。
この章では、そのログインの中身、画面の残高の正体、同じサイトを返す別のアドレス、画面の言葉の4点を確かめます。どれも、運営する会社の名前や登録を示さないまま、アドレスや言葉を入れ替えて使われてきた跡です。
ログインは接続したウォレットのアドレスと「123456」を送るだけ
ログイン画面のプログラムを読むと、「接続済みウォレット」のボタンを押したときの処理は次の順に進みます。まずウォレットのアプリに口座のアドレスを求め、そのアドレスを利用者の名前に入れます。続いて、パスワードの欄に決まった文字列「123456」を入れて、サイトにログインします。
▼ウォレットのアドレスと123456でログインするプログラム

出典:aicodebit.com
ボタンの表示の「接続済みウォレット」は、中国語の「链接钱包」(ウォレットをつなぐ)を訳し損ねたものとみられます。プログラムには、ウォレットに署名を求める処理も、ウォレットの中の暗号資産を動かす処理もありませんでした。
パスワードが全員同じ作りで残高はサイトのデータの数字
パスワードが全員「123456」で同じということは、ウォレットのアドレスさえ分かれば、同じ口座の画面が開ける作りだということです。利用者ごとの秘密の合言葉は、サイトのどこにもありません。
ウォレットとのつながりがアドレスの受け渡しだけなので、サイトに表示される残高や利益も、ウォレットの中にある暗号資産ではありません。運営側のデータベースに記録された数字です。
サイトの数字が増えていても、ウォレットのアプリの残高を開いて見比べると、その数字が手元にないことを確かめられます。
aicodebit.comは同じファイルを返すaicodegtp.comの8か月後に取得された
同じAICODEGTPの画面は、別のアドレスaicodegtp.comでも開けます。トップのページのファイルも、画面を動かすプログラムのファイルも、aicodebit.comと1バイトも違いません。
▼aicodebit.comと別名に出る同じログイン画面

出典:aicodebit.com、aicodegtp.com
登録の記録を見ると、aicodegtp.comは2025年11月14日、aicodebit.comはその8か月後の2026年7月15日に取得されています(日本時間)。サイトが読み込むデータには2021年や2023年に作られたものも残り、アドレスだけを取り直して同じサイトを使い続けているとみられます。
▼aicodebit.comの登録日を示す記録

出典:rdap.verisign.com
▼別名のaicodegtp.comの登録日を示す記録

出典:rdap.verisign.com
既定の言語は日本語で台湾ドル建ての文面も残る
表示の言語を選んでいない状態でサイトを開くと、画面は日本語で表示される作りです。一方で、プログラムに書かれた日本語の文面には、資産の総額を「1 億台湾ドル」で示す文や、「Trump Coin」を「米国公式政党より発行」とうたう文があり、韓国の通貨は「韓国ドル」と訳されています。
PC版のトップの「ログイン#ログイン#」や、登録を促すとみられる大きなボタンの「在籍」も、機械的に訳したような表示です。台湾ドルで数えた文面が日本語の画面に残っていることから、台湾などの利用者向けに書かれた文面を、言語を日本語に切り替えて流用した可能性も考えられます。
金融庁の金融事業者一括検索で「AICODEGTP」「CodeGTP」を調べても、登録業者・無登録業者のどちらにも該当はありませんでした。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。
社名も登録も示さず、アドレスを替えながら同じ画面を出すサイトには、入金する前に、運営する会社の名前と金融庁の登録の有無を確かめることが欠かせません。名前やアドレスが違っても画面が同じであれば、同じ運営のサイトとみて警戒してください。
【参考】
・AICODEGTP(https://aicodebit.com/)
・AICODEGTP(https://aicodegtp.com/)
・金融庁-金融事業者一括検索
「税金」「換金手数料」を求められたときの確かめ方

AICODEGTPの件では、AI投資の入金に始まり、税金、換金手数料と、出金の前後に支払いの名目が続きました。相手が持ち出す名目や指示ごとに、その場で確かめられることと、aicodebit.comで分かったことを並べます。
- 「AIが運用する」と入金を勧められたとき:運営する会社の名前と、金融庁の登録があるかを確かめてください。AICODEGTPの画面には社名も登録の表示もなく、金融庁の一括検索でも該当はありませんでした。
- 「出金の前に税金を払って」と言われたとき:暗号資産の利益の税は、本人が確定申告で納めるものです。サイトのヘルプが「税務当局はプラットフォームに徴税…を委託する」と書いていること自体が、確かめるべき怪しい点です。分からなければ、払う前に税務署に問い合わせてください。
- 「ドルから円への換金手数料」と言われたとき:サイト自身の料金の説明と見比べてください。AICODEGTPのヘルプには「口座振替・交換手数料無料」と書かれていました。
- 振込先の口座を示されたとき:口座の名義が、サイトの名前と同じかを見てください。aicodebit.comでは、出金も入金も画面のボタンが窓口のチャットへ移るだけで、払い先は担当者の指示で決まる作りでした。
- ウォレットのアプリで開くよう言われ、実在の会社のロゴが出ているとき:その会社が公表している公式のアドレスと一致するかを確かめてください。トップにロゴがあったBitgetの公式のアドレスはwww.bitget.comだけで、日本居住者の新規登録も2026年8月3日から止めています。
本件では、税金を払った後に換金手数料が出てきました。名目が替わるたびに払う額が増えるだけで、出金に近づく保証はありません。換金手数料のあとにも名目が続くことを前提に、追加の振込は止めて専門家に相談するのが安全です。
相談の際には、銀行の振込の明細、窓口との会話の画面、サイトのアドレスが手がかりになります。特に会話の画面は、出金の申し込みから支払いを求められるまでの流れが分かるように、順に保存しておくと役立ちます。
【参考】
・金融庁-金融事業者一括検索
・国税庁-暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について
・Bitget-フィッシング詐欺対策ガイド(https://www.bitget.com/ja/academy/guide-against-phishing-scams)
AICODEGTPの口コミはSafePalの中の入口で見えにくい

2026年10月22日の時点で、AICODEGTP、aicodebit.com、別名のaicodegtp.comの名前を挙げた利用者の投稿は、X、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる、爆サイ、YouTubeのいずれにも見つかりませんでした。
背景には、名前がAIのサービスと紛れること、検索で出てくるのが別のアドレスの記事であること、入口がウォレットのアプリの中にあることの3つが重なっています。どれも、ここまでの章で確かめた本件の事実から説明できます。
名前で検索するとAIのツールの広告とニュースが並ぶ
Yahoo!知恵袋で「AICODEGTP」を探すと、該当する質問は1件もなく、画面にはChatGPTなど生成AIのサービスの広告が並びます。YouTubeで「aicodegtp」「aicodebit」を探しても、出てくるのはAIの新しい機能を紹介する動画ばかりでした。
AICODEGTPやCodeGTPという名前は、文章やプログラムを作るAIのサービスの名前とよく似ています。名前で調べようとしても、検索の結果がAIの話題に埋もれてしまうため、仮に被害の書き込みがあっても、ほかの人の目に触れにくい状態です。
検索で出てくるのは別名aicodegtp.comの記事と返金の宣伝
名前で検索して目立つのは、2026年10月19日から20日にかけて公開された、aicodegtp.comを題にした、相談・調査・返金をうたう事業者のページです。どれも「口コミは見当たらない」と書いたうえで、LINEでの相談へ誘っています。出典の分からない「相談者の声」を載せるページもありました。
こうした記事は、いずれも相談者が使ったaicodebit.comに触れていません。アドレスが取り直されると、前のアドレスの名前で書かれた情報には、新しいアドレスからたどり着けないことになります。検索で上位に出る返金の宣伝は、口コミの代わりにはなりません。
SafePalのアプリの中で開くため勧誘の外から見えにくい
相談者がaicodebit.comにたどり着いたのは、SafePalのアプリの中からでした。普段使うブラウザの検索から訪れる人は少なく、勧誘もSNSの個別のやり取りの中で進みます。誘われた人の外からは、サイトの存在そのものが見えにくい入口です。
入口の名前である「SafePal」で調べても、上位に並ぶのは正規のSafePalについての話題で、AICODEGTPにはつながりません。入口も名前もアドレスも検索から切り離されているため、被害があっても口コミとして積み重なりにくいとみられます。
口コミの少なさは、AICODEGTPが多くの人に使われて問題がないことを示すものではありません。勧誘の中で名前を示されたら、書き込みの有無ではなく、前の章までに挙げた点を今一度確認してください。
【参考】
・AICODEGTP(https://aicodebit.com/)
・AICODEGTP(https://aicodegtp.com/)
法人名義の口座へ振り込んだ「税金」を取り戻せる可能性と相談先

相談者は、出金の前に「税金」を法人名義の口座へ振り込み、その後に換金手数料を求められました。この段階で浮かぶのは、手数料を払えば出金できるのか、振り込んだお金は戻るのか、戻るなら画面の利益の分も含まれるのか、足りない分はどうなるのかという4つの問いです。順に見ていきます。
換金手数料を払っても出金につながるとは限らない
ここまで見たとおり、aicodebit.comの出金のボタンは窓口のチャットへ移るだけで、サイトの料金の説明は通貨の交換を無料としていました。換金手数料を払えば出金の手続きが進むという仕組みは、サイトのどこにも見当たりません。
払っても出金につながるとは限らず、振り込んだ額が増えるだけになるおそれがあります。請求の名目が正しいのか迷ったときは、払う前に消費者ホットライン(188)で、最寄りの消費生活センターに相談できます。
税金の名目で振り込んだお金も振込先の口座から戻る手続きがある
銀行の口座への振込で被害に遭った場合、振り込め詐欺救済法の手続きで、振込先の口座に残るお金から被害の回復を受けられる可能性があります。誰がこの手続きを使えるのかは、金融庁のQ&Aの2番目の問いに書かれています。
Q2 どのような方が振り込め詐欺救済法の対象となりますか。
A 振り込め詐欺などの詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法として振込みが利用されたものにより被害を受けた方が、振り込め詐欺救済法の救済の対象となります。
振り込んだ名目が「税金」でも、振込でお金を取られたことに変わりはありません。手続きは、振込先の口座のお金が引き出される前に取引を止めてもらうところから始まります。振り込んだ口座の銀行名と日付を手元にそろえ、その銀行と警察の両方に被害を申し出てください。
警察への相談は、警察相談専用電話(#9110)からもつながります。口座が止められた後の手続きの知らせについて、Q&Aは「公告は、預金保険機構のホームページ上で行われます。」としています。
戻るのは画面の利益ではなく振り込んだ額
被害回復分配金の申請書には、振込ごとの日付と金額、その合計を「被害額(振込金額の合計額)」として書く欄と、「振り込んだお金の名目」を書く欄があります。本件なら、名目は「税金」と書くことになります。
手続きで回復を求められるのは、実際に振り込んだ額です。aicodebit.comの画面に表示されていたUSDTの残高や利益は、サイトのデータの数字で、この手続きで戻る対象ではありません。
なお、支払われた分配金について、金融庁のQ&Aは「課税対象とはなりません」としています。出金のために求められた「税金」とは逆に、戻るお金に税金はかからない扱いです。
口座の残高を超える分は誰に請求するかの整理から始まる
分配金の元手は、止められた口座の中身そのものです。相手がすでに口座から引き出していれば、配られる額はそのぶん小さくなり、振り込んだ全額には届かないこともあります。
残高で足りない分を取り戻すには、手続きの外で相手に支払いを求めるほかありません。ただ本件では、振込先の口座の名義の法人、サイトの名前のAICODEGTP、勧誘したSNSの相手がそれぞれ別の名前で、誰に何を請求するのかを整理するところから難しさがあります。
申請書の様式には「弁護士等の代理人が申請を行う場合のみ記載」とする欄があり、申請の段階から代理人に任せることができます。弁護士に頼めば、分配金の申請だけでなく、名義の法人や勧誘した相手を調べて残りを求める手続きまでまとめて進められます。
手元にある振込の明細と、窓口とのやり取りの画面は、そのどちらの手続きでも出発点になります。換金手数料のように新たな支払いの話が出ているなら、その振込に応じずに、まず専門家に相談してください。
【参考】
・金融庁-振り込め詐欺救済法 Q&A
・預金保険機構-振り込め詐欺救済法に基づく公告
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・消費者庁-消費者ホットライン
