B.M.BIOCの詐欺手口とは?投資プランで利益が出ても出金に手数料を求められる実態

「リタイヤ投資プラン」という名目で株式投資を勧められ、B.M.BIOC(bmbioc.com)という取引サイトで3か月ほど売買を続けたところ、画面の利益は600%と表示されました。ところが、その利益を引き出そうとすると高額の手数料を求められ、出金できなくなったという相談が寄せられています。

B.M.BIOCは、運営する会社の名前も登録番号も示しておらず、金融庁の検索でも登録業者は見つかりません。アドレスも、最初の振込の2週間ほど前に取得されたばかりでした。サイトの中を調べると、ロゴには画像生成AIで作られた記録が残り、入金を手伝う窓口は「バンク・オブ・アメリカ」と名乗っていました。

本記事では、サイトのプログラム、ドメインの登録情報、窓口の表示を、警察や金融庁などの公表資料と突き合わせました。そのうえで、利益600%の表示と出金の手数料がどこから来るのか、振込で送ったお金を取り戻すために何ができるのかを弁護士の立場から解説します。

利益600%の表示から出金の手数料を求められるまでの流れ

表示利益と出金の壁。約3か月、指定口座へ振込。出金時に追加の支払いを要求。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

今回の相談者は、「リタイヤ投資プラン」という名目で株式投資を勧められ、B.M.BIOC(bmbioc.com)という株の取引サイトで3か月ほど売買を続けました。サイト上の利益が600%と表示されたあと、出金しようとしたところで高額の手数料を求められ、お金を引き出せなくなっています。

B.M.BIOCは、実在の証券会社や銀行の名前を掲げたサイトではなく、運営する会社の名前もログイン画面に出していません。この章では、勧誘の名目、入金のしかた、出金の場面の順に、相談の流れをたどります。

「リタイヤ投資プラン」を口頭で勧められた

相談者が株式投資を始めたきっかけは、「リタイヤ投資プラン」というプランを口頭で勧められたことでした。退職後に備える資産づくりを思わせる名前で、このプランの取引の場として案内されたのがbmbioc.comです。

▼タブに「B.M.BIOC」と出るログイン画面

bmbioc-タブに「B.M.BIOC」と出るログイン画面

出典:bmbioc.com

ブラウザ最上部のタブに出ている名前は「B.M.BIOC」です。画面の中央には「B」の字に地球を重ねたロゴがあり、その下に電話番号とパスワードを入れる欄があります。タブの先頭の「【新しいニュース】」は、サイトのチャットの窓口が加える知らせの表示とみられます。

プログラムを調べたところ、画面に表示するために用意された言葉の中に、「リタイヤ」「老後」「年金」にあたる語は見つかりませんでした。「リタイヤ投資プラン」は、サイトの商品名ではなく、勧誘の中で示された名前とみられます。

振込を重ねながら3か月ほど株の取引を続けた

相談者は、相手が指定した口座へ銀行振込で資金を入れ、振込を重ねながらbmbioc.comで3か月ほど株の売買を続けました。サイトのログイン画面を見ても入金先の説明はなく、会社の名前や所在地も見当たりません。

お金をどこへ振り込むかは、サイトの表示ではなく相手の指定に頼っていました。株を買うためのお金を、運営する会社の名前も示さない取引の場のために、相手の口座へ送り続けていたことになります。

利益600%の後に出金の手数料を求められた

取引を続けるうちに、サイト上の利益は600%と表示されるようになりました。相談者がその利益を引き出そうとしたところ、高額の手数料の支払いを求められ、出金できない状態になっています。3か月ほどの株の売買でそこまで増えたという表示を見た後に、引き出すための別のお金を求められたことになります。

この600%という数字がどこから来るのか、求められた手数料がサイトの仕組みの中にあるのかは、後の章でサイトのプログラムから確かめます。口頭で示されたプラン名で取引を始め、指定された口座へ振込を重ねて、画面の利益を見て出金を求めた段階で手数料の支払いを求められたことが被害につながった経緯です。

【参考】
・B.M.BIOC-ログイン画面(https://www.bmbioc.com/index.html)

AIで作ったロゴと窓口はアドレスより先に用意されていた

画像と取得日の順序。窓口はサイトと異なる名前を使用。画像の生成記録を確認。アドレス取得は画像の日付の2日後。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

B.M.BIOCのログイン画面には、左上にチャットの窓口を開くアイコンがあり、中央に「B」の字のロゴが置かれています。この章では、窓口が名乗る名前、ロゴの画像に残る作成の記録、ロゴの画像に入った日付、bmbioc.comの取得日の4つを順に確かめます。

4つを並べると、取引サイトのアドレスが取られるより前に、画像生成AIで作ったロゴと、利用者と話すための窓口がそろっていたことが分かります。日付は、ロゴの画像のアドレスとドメインの登録情報から読者も確かめられます。

入金の窓口はバンク・オブ・アメリカを名乗る

ログイン画面の左上にあるヘッドセットのアイコンを押すと、サイトのチャットの窓口が開きます。窓口の上部に出る名前は「バンク・オブ・アメリカ」で、その下に次のあいさつが表示されます。

お問い合わせいただき、ありがとうございます。
カスタマーサポートです。
こちらでは、ご入金のサポートを行っております。

▼バンク・オブ・アメリカを名乗る入金の窓口

bmbioc-バンク・オブ・アメリカを名乗る入金の窓口

出典:bmbioc.com

サイトの名前はB.M.BIOCなのに、入金を手伝うとする窓口は、米国の銀行と同じ名前を名乗っています。取引の場と入金の窓口とで名乗る名前が食い違っていることになります。正規のバンク・オブ・アメリカがどのように案内しているかは次の章で確かめます。

窓口のロゴにOpenAIの画像生成AIの記録が残る

窓口のアイコンには、ログイン画面と同じ「B」の字のロゴが使われています。このロゴの元の画像を保存し、Content Credentials Verifyという公開の確認ツールに読み込むと、「発行元 OpenAI OpCo, LLC」「この画像は AI ツールで生成されました。」と表示されます。

▼AIツールで生成されたと表示される窓口のロゴ

bmbioc-AIツールで生成されたと表示される窓口のロゴ

出典:Content Credentials Verify

Content Credentials(C2PA)は、画像を作ったツールや加工の手順を画像そのものに書き込んでおく仕組みです。発行元に出ているOpenAIは、文章や画像を作るAIを提供する米国の会社です。B.M.BIOCのロゴは、画像生成AIで作った画像をそのままロゴとして使ったものとみられます。

サイトのロゴは同じ図柄で生成の記録だけが消えている

ログイン画面に置かれたロゴの画像も、窓口のロゴと同じ図柄で、大きさも同じ縦横1254ピクセルです。プログラムを調べたところ、2つの画像を重ねて比べても、違いは色の数を減らしたときに出る細かな差だけでした。

ところが、ログイン画面のロゴの画像には作成の記録が入っておらず、同じ確認ツールに読み込んでも発行元は表示されません。サイトに置く前の書き出しで記録が落ち、窓口の側の画像にだけ残ったとみられます。

ロゴは会社の顔として見る人に安心感を与えるものです。整ったロゴがあっても、それが運営の実体を示すことにはなりません。ロゴの画像を確認ツールに読み込めば、どう作られた画像なのかを手元で確かめられます。

ロゴの日付はアドレスの取得より2日早い

窓口のロゴの画像は、アドレスを開くとファイルとして保存されます。保存したファイルをMacのFinderの「情報を見る」で開くと、「入手先」に画像のアドレスが残っており、その中に「20260812」という日付が入っています。

▼入手先のアドレスに2026年8月12日の日付が入るロゴ

bmbioc-入手先のアドレスに2026年8月12日の日付が入るロゴ

出典:bmbioc.com

この日付は、画像を置いた日を示すとみられます。一方、bmbioc.comのドメインが取得されたのは2026年8月14日の12時21分(日本時間)で、ドメインの登録情報(RDAP)の「registration」の行に、その日時が協定世界時で記録されています。

▼2026年8月14日の取得が記録されたbmbioc.com

bmbioc-2026年8月14日の取得が記録されたbmbioc.com

出典:VeriSign

同じ時刻にbmbioc.orgとbmbioc.xyzも取得され、どちらも同じログイン画面を返します。日付の順に並べると、窓口のロゴが置かれた2日後にアドレスが取られ、その2週間ほど後に相談者の最初の振込がありました。

取得日は、ドメインの登録情報を表示するRDAPのページで、アドレスの部分を入れ替えれば誰でも調べられます。勧誘で案内されたサイトは、入金の前に取得日を確かめ、勧誘の直前に取られたものなら入金を見送ってください。

【参考】
・B.M.BIOC-ログイン画面(https://www.bmbioc.com/index.html)
・Content Credentials-Verify(https://contentcredentials.org/verify)
・VeriSign-bmbioc.comの登録情報(RDAP)(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/bmbioc.com)

B.M.BIOCの運営会社は名前も登録も確かめられない

名乗る名前より運営情報。会社名・所在地・登録番号の表示なし。検索では登録業者を確認できず。銀行公表のアドレスと照合。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

株の取引を扱うサイトであれば、どの会社が運営し、日本でどんな登録を受けているのかがまず確かめたい点になります。この章では、B.M.BIOCのサイト、金融庁の検索、窓口が名乗るバンク・オブ・アメリカ自身の案内の3か所で運営の手がかりを探します。

サイトと公的な記録から分かったことは次のとおりです。

項目内容
画面の名前B.M.BIOC
取引サイトのアドレスwww.bmbioc.com
ドメインの取得日2026年8月14日(日本時間)
レジストラDynadot Inc
同時刻に取得されたアドレスbmbioc.org・bmbioc.xyz(同じログイン画面を返す)
運営会社・所在地・登録番号表示なし
金融庁の登録確認できず
窓口が名乗る名前バンク・オブ・アメリカ

ログイン画面のほかに運営者を確かめられるページがない

B.M.BIOCのサイトで、ログインしないまま表示できる画面は3つしかありません。電話番号で入るログインの画面、新規登録の画面、表示する言語を選ぶ画面です。ほかの画面のアドレスを直接入れても、ログインの画面へ戻されます。

プログラムを調べたところ、サイトに用意された41の画面の行き先の中に、会社概要や利用規約、個人情報の取り扱いを示す画面はありませんでした。画面に表示するために用意された言葉の中にも、「規約」や「会社」にあたる語は見当たりません。

ログインした後に進めるのは、株の売買、IPO、ファンド、融資、入出金といった、お金を動かす画面ばかりです。会社の名前、所在地、登録番号のどれ一つとして、サイトの中には書かれていないということです。

カタカナで引いても金融庁の検索に登録業者は出ない

金融庁の金融事業者一括検索で、「B.M.BIOC」「BMBIOC」「bmbioc」を検索しても該当する事業者は0件でした。英字の名前は登録の名前と表記が違うことがあるため、読みの「ビーエムビオック」「ビーエムバイオック」でも検索しましたがこちらも0件です。

勧誘の名目の「リタイヤ投資」でも、該当する事業者は出てきません。金融庁が公表している無登録業者の一覧(令和8年9月25日更新)も見ましたが、B.M.BIOCやbmbiocの文字は出てきませんでした。

ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。警告書を受けた業者の名前が並ぶ一覧なので、まだ把握されていないサイトは載りません。登録業者として出てこない以上、日本で金融商品取引業の登録を受けた業者として扱うことはできません。

正規のバンク・オブ・アメリカは正しいアドレスを公表している

前の章で見た窓口が名乗るバンク・オブ・アメリカは、実在する米国の銀行です。金融庁の一括検索で「バンク・オブ・アメリカ」と引くと、日本で登録を受けた「バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ」が表示され、結果の画面には次の一文が添えられています。

実在の事業者を騙った詐欺もありますのでご注意ください。

▼実在の事業者を騙る詐欺に触れた金融庁の検索結果

bmbioc-実在の事業者を騙る詐欺に触れた金融庁の検索結果

出典:金融庁

正規のバンク・オブ・アメリカは、日本向けのページで偽のサイトへの注意とともに正しいアドレスを示しています。

  • 当社グループ在日拠点のホームページを模倣した偽のWebサイトが開設されています。正しいURLは下記の通りです。
    • https://business.bofa.com/japan
    • https://business.bofa.com/content/boaml/ja_jp/home.html

bmbioc.comは、このどちらとも違うアドレスです。この注意喚起が本件のサイトを名指ししているわけではありませんが、窓口に表示された銀行の名前よりも、その窓口を出しているサイトのアドレスのほうが、確かめる手がかりになります。

あわせて、サイトの記録について分かったことを挙げます。

  • Googleセーフブラウジングでbmbioc.comを調べても、危険なサイトとしての表示は出ませんでした(安全の根拠にはなりません)
  • Internet Archiveやurlscan.ioなど、過去の画面を保存するサービスに、3つのアドレスの記録はありませんでした
  • サイトはCloudflareを通して配信されているため、同じサーバーに置かれた別のサイトは調べられません

会社の名前や所在地、日本での登録番号を示さないサイトには、勧誘の名目がどうであれ入金しないでください。すでに振り込んでしまった場合は、追加の支払いに応じる前に専門家に相談し、振込の記録を手元に残しておいてください。

【参考】
・金融庁-金融事業者一括検索
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)
・Bank of America-バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチを装った詐欺行為等にご注意ください(https://business.bofa.com/content/boaml/ja_jp/japan_overview/warning.html)
・Google透明性レポート-セーフ ブラウジングのサイトのステータス(https://transparencyreport.google.com/safe-browsing/search?url=bmbioc.com)

600%の利益と出金の手数料はB.M.BIOCのどこから来るのか

数字と請求の出所。利益率はサーバーの値で決まる。出金手順に手数料の支払いなし。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

相談者が見た「利益600%」の表示と、出金の際に求められた「手数料」は、どちらもこの事案の中心にある数字と名目です。この章では、損益を計算する部分と、出金を申請する部分のプログラムを取得して確かめた結果を説明します。

どちらもログインしないと開けない画面ですが、画面を動かすプログラムそのものは誰でも取得でき、ブラウザでそのまま読むことができます。以下の引用と画像は、取得したプログラムのうち該当する行です。

損益の率は運営が決める倍率をかけて計算される

保有中の銘柄の損益と、その率を出す計算は、プログラムに次のように書かれています。

r=function(e){return(e.buyTotal-e.buyPay)*e.entrustMultiple},i=function(e){return r(e)/e.buyPay*100}

▼倍率をかけて損益を出す保有一覧のプログラム

bmbioc-倍率をかけて損益を出す保有一覧のプログラム

出典:bmbioc.com

「buyTotal」は画面で「評価額」、「buyPay」は「約定金額」、「entrustMultiple」は「レバレッジ倍率」と表示される値です。損益は評価額から約定金額を引いて倍率をかけたもので、損益の率はそれを約定金額で割り100をかけて出しています。

評価額と倍率は、どちらもサーバーから届く値です。買い注文でサイトが送るのは銘柄、通貨、株数などだけで、倍率を選ぶ欄はありません。画面に出る利益の率は、運営のサーバーが返す評価額と倍率で決まる数字で、実際の株の値動きと結びついているかを利用者の側から確かめる方法はありません。

出金の画面には手数料を払う手順がない

出金の画面で申請すると、サイトは次の項目をサーバーへ送ります。

d({currency:u(),bankCardId:g.account.id,amount:X.value,pwd:D.value})

▼通貨・口座・金額・パスワードだけを送る出金のプログラム

bmbioc-通貨・口座・金額・パスワードだけを送る出金のプログラム

出典:bmbioc.com

送るのは通貨、登録した銀行口座、金額、出金パスワードの4つです。出金の流れの中に、手数料を払う画面や手数料の振込先を示す手順はありません。画面に表示するために用意された日本語の言葉361項目の中にも「手数料」の語は一つもありませんでした。

相談者が告げられた手数料は、サイトが出金に使う手順のどこにも出てこない名目とみられます。出金の前に手数料を払うよう言われた時点で、それ以上の振込はいったん止め専門家に相談してください。

【参考】
・B.M.BIOC-保有一覧の画面のプログラム(https://www.bmbioc.com/js/index-legacy-CoMO4Vtv.js)
・B.M.BIOC-出金の画面のプログラム(https://www.bmbioc.com/js/index-legacy-DlIZZYUe.js)

利益600%の表示と出金の手数料は警察が示す手口と同じ形

注意喚起と重なる流れ。勧誘の入口は同じとは限らない。事前説明のない手数料で立ち止まる。退職後の資金を意識した名目。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

画面の利益を見せて取引を続けさせ、引き出す段階で手数料を求める流れは、警察や国民生活センターが注意を呼びかけている手口と重なります。この章では、神奈川県警察と香川県警察の説明、国民生活センターの報告書、警察庁の統計を順に取り上げます。

あわせて、「リタイヤ投資プラン」という名目が向けられた先を考えるために、退職金や将来の生活資金の運用をめぐる国民生活センターの注意と、警察庁が公表した被害者の年代の数字も確かめます。

利益を見せて手数料を取る流れは県警の注意喚起と重なる

神奈川県警察は、SNS型投資詐欺がどのように進むのかを次のように説明しています。

有名投資家等の名前をかたったなりすましバナー広告等を入口に、SNS等のグループチャットに誘導し、投資すれば利益が得られるものと信じ込ませて、その後、偽の投資アプリ等に誘導するなどし、利益が出ているかのような偽の表示により安心感を与え、架空の投資を継続させながら、投資金名目やその利益の出金手数料等と偽って、金銭等を要求します。

▼偽の利益表示と出金手数料を挙げる神奈川県警の説明

bmbioc-偽の利益表示と出金手数料を挙げる神奈川県警の説明

出典:神奈川県警察

入口は広告とグループチャットで、口頭で勧められた本件とは違います。それでも、利益の表示で安心させて取引を続けさせ、出金の手数料を求めるという後半の流れは本件の経過とそのまま重なります。

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、利益の数字が大きく伸びた直後に出金の手数料を持ち出されるのは、県警が説明する手口の終わりの部分と同じ形です。

事前に説明のなかった手数料は払うほど被害が広がる

香川県警察は「よくある事例」の中で、SNS型投資詐欺の進み方を箇条書きで示しています。そのうち最後の2項目には、お金を引き出そうとした後に起きることが書かれています。

(前略)
・お金を引き出そうとしたが出金できず、事前に説明のなかった手数料等を請求される(支払えば被害拡大)
・相手と連絡が取れなくなる

▼支払えば被害拡大と書く香川県警のよくある事例

bmbioc-支払えば被害拡大と書く香川県警のよくある事例

出典:香川県警察

「支払えば被害拡大」というのは、手数料を払っても出金にはつながらず、払った分だけ被害が大きくなることを指しています。前の章で見たとおり、B.M.BIOCの出金の手順にも手数料を払う段階はありません。

出金の条件として後から手数料を示されたときは、払う前に立ち止まることが被害を広げない一番の手立てです。手数料の名目や金額が変わっても、出金の条件として後から示された支払いであることに変わりはありません。

退職金や将来の生活資金の運用を考える人に向けた勧誘

FX取引の被害を扱った国民生活センターの報告書には、消費者へのアドバイスとして次の一文があります。

(前略)
将来の生活資金に不安を感じたり、退職金の運用を検討している中、「簡単にもうかる」「自分も成功した」等と言われると、その甘い言葉に流されてしまいがちですが、確実にもうかる話はありません。

▼退職金の運用を考える人への国民生活センターの注意

bmbioc-退職金の運用を考える人への国民生活センターの注意

出典:国民生活センター

報告書が扱う商品はFXで、本件の株とは違います。ただ、「リタイヤ投資プラン」という名前は、まさに退職後の暮らしや将来の生活資金を気にかける人に響くものとみられます。

警察庁の令和8年上半期の暫定値でも、SNS型投資詐欺の認知件数のうち50代と60代が占める割合は53.0%でした。退職の前後にあたることの多い年代が、被害の半分あまりを占めていることになります。

【参考】
・神奈川県警察-SNS型投資・ロマンス詐欺
・香川県警察-投資詐欺に注意
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)

ロゴ・窓口・利益の数字でB.M.BIOCの勧誘を見抜く

六つの部品を確かめる。名前からアドレスまで先に照合。利益表示だけで判断しない。追加請求に気づいたら振込を止める。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

ここまで見てきた不審な点は、どれもサイトを形づくる部品のどこかに表れていました。名前、ロゴ、チャットの窓口、アドレス、利益の数字、出金の画面の6つです。勧誘されたサイトに入金する前に、部品ごとに次の点を確かめてください。

  • 【名前】勧誘で示されたプラン名やサイト名で、金融庁の金融事業者一括検索を引く
    英字の名前は、カタカナの読みでも引いてください。B.M.BIOCも「リタイヤ投資」も、どちらの書き方でも登録業者は出てきませんでした。
  • 【ロゴ】ロゴの画像を確認ツールに読み込み、作られ方を見る
    B.M.BIOCの窓口のロゴは、画像生成AIで作られたと表示されました。整ったロゴがあっても、運営の実体を示すものではありません。
  • 【窓口】入金を手伝う窓口が、サイトと違う名前を名乗っていないかを見る
    B.M.BIOCの窓口は「バンク・オブ・アメリカ」と名乗っていました。銀行の名前が出ていても、その銀行が公表しているアドレスと照らし合わせてください。
  • 【アドレス】アドレスの取得日を、ドメインの登録情報で確かめる
    bmbioc.comは、最初の振込の2週間ほど前に取得されたばかりでした。勧誘の直前に取られたアドレスであれば、入金を見送ってください。
  • 【利益の数字】画面の利益は、引き出せて初めて自分のお金になる
    B.M.BIOCの損益の率は、運営のサーバーが返す評価額と倍率で決まる作りでした。数字が大きく伸びても、それだけで取引が本物だとはいえません。
  • 【出金の画面】出金のときに後から手数料を示されたら、払わずに相談する
    出金の手順に手数料を払う段階がないのに、別の支払いを求められるのは、警察が挙げる手口と同じ形です。

名前からロゴ、窓口、アドレスまでの4つは、入金する前に手元で確かめられます。利益の数字と出金の画面の2つは振込を重ねた後で気づくことが多いので、気づいた時点で振込を止め専門家に相談してください。

【参考】
・金融庁-金融事業者一括検索
・Content Credentials-Verify(https://contentcredentials.org/verify)

口コミが見つからないのはB.M.BIOCの名前が埋もれるため

名前だけでは評判を追いにくい。本件を名指しする口コミは未確認。一般の話題や別会社が混じる。不明な相談先に連絡先を渡さない。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

「B.M.BIOC」「bmbioc」「リタイヤ投資プラン」の名前で、Yahoo!知恵袋、X、5ちゃんねる等を探しましたが、本件のサイトを名指しした口コミは見つかりませんでした(2026年10月21日時点)。

見つからない理由は、本件の名前の付け方とサイトの作りにあるとみられます。この章では、名目の言葉が一般的な話題に埋もれること、サイト名の検索結果に別の会社が混じることを順に説明し、あわせて、B.M.BIOCの名前で出てくる英語のページを取り上げます。

「リタイヤ投資」の検索結果はFIREの話題が並ぶ

「リタイヤ投資プラン」で探すと、早期退職やセミリタイアに向けた資産づくりの話題がずらりと並びます。Yahoo!知恵袋でも、出てくるのはFIREや老後の貯蓄についての質問ばかりで、2026年8月から10月にかけて本件に近い相談は見当たりませんでした。

プラン名は、勧誘の中で口頭で示されたもので、広告や案内文のように文字で残っているわけではありません。ありふれた言葉を組み合わせた名目は、被害に遭った人が書き込んでも一般の話題に紛れ、口コミとして積み重なりにくいとみられます。

B.M.BIOCの検索結果には別の会社が混じる

「bmbioc」でYahoo!検索を引くと、上位に出るのは、bmbioc.orgのログイン画面と、国内の研究機器の会社など別のサイトでした。「BM-BIOC」と書けば、30年前に清算された外国の銀行の名前としても出てきます。

サイトそのものも、ログイン画面のほかは開けず、Internet Archiveなどに過去の画面の記録もありません。外から評判を確かめる手がかりがほとんどないため、名前で検索しても被害の書き込みにたどり着きにくい状態です。

英語の評判サイトが被害額と連絡先を入力させる

「B.M.BIOC」の名前で出てくるページの中に、英語の評判サイトの記事が1件あります。2026年10月8日に公開されたもので、出金の際に手数料を求める手口を一般論として説明していますが、本件のアドレスや画面には触れていません。

記事の末尾には「無料相談」をうたう欄があり、名前、メールアドレス、電話番号に加えて、「Amount Lost」(失った金額)を入力させる作りになっています。相談の相手は「independent partner」(独立した提携先)とあるだけで、名前は示されていません。

▼失った金額の入力を求める英語の評判サイトの相談欄

bmbioc-失った金額の入力を求める英語の評判サイトの相談欄

出典:英語の評判サイト

誰が運営しているのか分からないサイトに、被害額と連絡先をそろえて渡すと、返金をうたう別の勧誘の的になるおそれがあります。被害の相談は、入力欄のあるサイトではなく、次の章で挙げる公的な窓口や弁護士にしてください。

B.M.BIOCへ銀行振込で送ったお金を取り戻せる可能性と相談先

記録を残し、金融機関へ。警察への相談後も金融機関に連絡。口座ごとに資料をそろえる。追加の手数料は払わず相談。事案名「リタイヤ投資プラン(bmbioc.com)」を右上に示す説明図。

この事案で動いたお金は、どれも銀行振込によるものです。振込先は相手が指定した口座で、相談者は警察への相談も済ませています。この2つの事実から、使える制度と次に取るべき行動が見えてきます。

この章では、振り込め詐欺救済法の手続き、警察に相談した後に必要な金融機関への連絡、出金の手数料への向き合い方、返金をうたう勧誘への注意を順に説明し、最後にこれらを法律事務所に相談すると何を任せられるのかを取り上げます。

銀行口座への振込なら振り込め詐欺救済法の手続きがある

金融庁は「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」のページで、制度の対象について次のように案内しています。

◯SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺も預金口座等への振込みにより被害にあった場合は対象になります。

◯犯人が預金口座等からお金を引き出してしまうと支払は受けられません。

▼SNS型投資詐欺も対象とする金融庁の案内

bmbioc-SNS型投資詐欺も対象とする金融庁の案内

出典:金融庁

振り込め詐欺救済法は、詐欺に使われた口座を金融機関が凍結し、口座に残っていたお金を「被害回復分配金」として被害者に支払う手続きを定めた法律です。分配されるのは口座に残っていた額までで、被害額の全額が戻るとは限りません。

金融庁は、支払いを受けるまでに少なくとも半年以上かかるのが一般的だとも案内しています。口座のお金が引き出される前に、できるだけ早く連絡することがこの手続きを使ううえでの前提になります。

警察に相談した後も振込先の金融機関へ連絡する

警察に相談を済ませていても、それだけで手続きが進むわけではありません。政府広報オンラインは、被害回復分配金の申請について次のように案内しています。

被害回復分配金の支払いを受けるためには、被害者からの申請が必要です。既に警察へ連絡を行った場合でも、振込先の金融機関へ連絡のうえ、所定の「申請書」、運転免許証などの「本人確認書類」、振込通知控などの「振込みの事実を確認できる資料」を提出する必要があります。

▼警察へ連絡した後も金融機関への連絡を求める政府広報

bmbioc-警察へ連絡した後も金融機関への連絡を求める政府広報

出典:政府広報オンライン

本件では、振込先の口座が複数の金融機関に分かれています。振込先ごとにそれぞれの金融機関へ連絡し、口座の凍結を求めることになります。振込の控えや、振込画面の記録は手元にそろえて残しておいてください。

手数料を払っても出金できるとは限らない

前の章までで見たとおり、B.M.BIOCの出金の手順には手数料を払う段階がなく、香川県警察も事前に説明のなかった手数料について「支払えば被害拡大」と書いています。手数料を払えば600%の利益が戻ってくるという見込みを裏づけるものは、サイトの仕組みの中に見当たりません。

今後、名目を変えて再び支払いを求められたとしても応じず、求められた名目、金額、振込先を書き留めてください。その記録は、警察や金融機関に連絡するときの手がかりになります。

返金制度を装う連絡や返金をうたう業者に注意する

振り込め詐欺救済法の手続きは、振込先の口座がある金融機関が行います。預金保険機構は、この制度を名目にした勧誘を、次のように位置づけています。

振り込め詐欺救済法に基づく返金制度であるかのように装った勧誘は、過去に被害に遭われた方に対して、あたかも被害を回復できるかのように話を持ちかけ、結果的に手数料等の名目で金銭をだましとろうとする詐欺と思われますので、応じることのないよう十分ご注意ください。

▼返金制度を装う勧誘に注意を促す預金保険機構の告知

bmbioc-返金制度を装う勧誘に注意を促す預金保険機構の告知

出典:預金保険機構

公的な相談先には、警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン(188)、金融庁の「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」(0570-050588)があります。ただし、金融庁の相談ダイヤルは助言や他の機関の紹介を行う窓口で、個別の取引のあっせんや仲介は行っていません。

振込先が複数に分かれる事案は法律事務所にまとめて相談できる

本件のように振込先が複数の金融機関に分かれていると、それぞれへの連絡、申請書と振込の資料の準備、手続きの進み具合の確認を被害に遭った本人が並行して進めることになります。法律事務所に相談すれば、振込の控えや画面の記録を一緒に整理し、どこから手を付けるかを決められます。

振り込め詐欺救済法の手続きとは別に、口座の名義人など相手方にお金の返還を求める方法もあります。こうした請求を報酬を得て本人に代わって行うことは、法律で原則として弁護士に限られています。返金の代行をうたう業者に頼む前にその点を確かめてください。

弁護士は、受任した事件について、所属する弁護士会を通じて金融機関などに必要な事項を照会する制度も使えます。被害に遭った本人だけでは確かめにくい事柄も、手続きの中で調べられる場合があります。

口座のお金は、時間がたつほど引き出されるおそれがあります。振込の控えとB.M.BIOCの画面の記録をそろえて、早めに専門家に相談し、取れる手続きを一緒に確かめてください。

【参考】
・金融庁-振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・政府広報オンライン-「振り込め詐欺救済法」に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。
・預金保険機構-「振り込め詐欺救済法」に基づく返金制度を装った詐欺行為にご注意ください
・政府広報オンライン-警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ
・消費者庁-消費者ホットライン
・金融庁-「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」の開設について
・e-Gov法令検索-弁護士法

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

被害に気づいた今からでも、振込先口座や送金記録、相手とのやり取りを手がかりに、返金に向けた対応を検討できる場合があります。まずは、現在の状況をお聞かせください。

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