金の取引を勧めてきたLINEの相手から、取引所として「Renthix(renthix.com)」を案内されたという相談が寄せられました。振り込んだお金はドルで「金取引口座」に入ると説明され、振込のたびに別の銀行の口座を指定されています。
調べると、Renthixの紹介ページは実在のCapital.comの文を写したもので、社名の欄は「私たち」のままでした。同じ仕組みのサイトは、2026年2月から10月までに4つの名前とアドレスを替えて動いています。
金やFX、暗号資産の取引を日本の個人に提供するには国の許可や登録が要りますが、Renthixの名前は金融庁や農林水産省・経済産業省の一覧に見当たりません。名前を替えて動くため、前の名前で出た報道や相談にもたどり着きにくくなっています。
本記事では、Renthixのプログラムや紹介ページを、実在の会社の資料や公的機関の注意喚起と照らし合わせ弁護士が解説します。振込先が替わる仕組みの見抜き方と、振り込んだお金を取り戻すための制度や相談先も分かります。
LINEで案内されたRenthixに金取引の資金を振り込むまで

金の取引を勧めてきた相手が、LINEで送ってきた「Renthix」という取引所のサイトのリンクが、今回の相談の出発点です。Renthixは金や外国為替、暗号資産の取引をうたうサイトですが、運営会社の名前も日本で受けた登録や許可も画面に表示されていません。
ここでは、相談者がサイトに登録してから、銀行の口座へ振込を重ねるまでの流れを3つの段階に分けて整理します。振込先の口座がどのように示され、振込のたびにどう替わっていったかに注目してください。
LINEで取引所としてrenthix.comへの登録を案内された
相談者は金の取引の勧誘を受け、LINEでやり取りをしていた相手から取引所としてrenthix.comのリンクを送られました。相手はそのままLINEで、サイトに登録する手順も案内しています。
renthix.comをスマホで開くと、「Renthix」のロゴの下に「A broker you can trust?」(信頼できるブローカー?)という見出しと、金の延べ棒を積み上げた画像が表示されます。英語が既定の画面で、ロゴと勧誘の文句と画像のほかに会社名や住所に当たる表示はありません。
▼金の延べ棒を掲げるRenthixのスマホ版トップ画面

出典:renthix.com
振込の後に入金がドルで金取引口座へ反映されると説明された
登録を終えると、相手はLINEで銀行の口座の情報を送り、そこへ振り込むよう案内しました。振込先は、相手がLINEのメッセージで送ってきた国内の銀行の口座で、名義は相手方のものでした。
相談者が振り込むと、相手は入金を確認したと伝えたうえで、為替レートで換算したドルが10分以内に「金取引口座」へ自動で振り込まれると説明しました。日本円で振り込んだお金が、サイトの中ではドルの残高に置き換わるという説明です。
続けて別の銀行の口座への振込を指示された
次に相手が送ってきたのは、最初とは別の銀行の口座でした。相手は送金する額をはっきり示さないまま振込を指示し、「送金限度額」が表示された場合には決まった額を送るよう案内しています。相談者はこの口座にも振り込みました。
その後、相手はさらに3つ目の銀行の口座を示し、そこへも送金するよう指示しています。振込のたびに、相手がLINEで別の銀行の口座を示し、そこへ振り込ませる流れが続いたことになります。
相手が取引所として示したRenthixに登録させたうえで、入金がドルで反映されると説明し、LINEで届く口座へ銀行を替えながら振込を重ねさせたことが今回の被害につながった経緯です。
振込先が替わるのはRenthixの入金の仕組みと同じ形

本件の振込先は、LINEの相手がメッセージで送ってきた口座でした。一方で、Renthixのサイトに用意された入金の画面も、決まった会社の口座を示すのではなく、注文のたびに運営が振込先の口座を示す作りになっています。
ログインした利用者だけが開ける画面なので、以下はサイトのプログラムそのものを取得して確かめた内容です。注文の出し方、振込先の示され方、注文の期限の3点を順に見ていきます。
Renthixの入金は運営が売り手の口座を割り当てる作り
Renthixの入金の画面には「C2C」という方法が用意されています。利用者どうしで暗号資産を売り買いする仕組みをうたうもので、利用者は「支払人名」「支払銀行名」「預入金額」を入れて注文を出します。預入金額の通貨は、ドルが最初から選ばれた状態です。
出した注文は「保留中の試合」と表示され、相手が見つかると「一致した」に変わります。「試合」は、中国語の「待匹配」(照合待ち)を機械で訳した言葉とみられます。
一致した注文で「送金口座の表示」を開くと、「販売者のアカウント」として口座名・口座番号・銀行名・銀行支店名・スウィフトコードが示されます。
PC版のプログラムには同じ項目の英語も書かれていて、「View remittance account」(送金口座の表示)や「Seller’s account」(販売者のアカウント)の文字列で検索すると、ブラウザでも確かめられます。
▼売り手の口座を示すRenthixの入金の画面のプログラム

出典:renthix.com
振込先の口座は注文ごとに示され3時間で失効する
振込先が示された注文には期限があります。注文の期限について、プログラムの日本語の文は次のとおりです。
注文は 3 時間有効です。期限が切れた場合はサポートにお問い合わせください
注文の有効期限: 指定された時間内にカスタマー サービスに連絡しない場合、注文は自動的に有効期限切れとなり、復元できなくなります。
振り込んだ後は、「送金証明」の画像をアップロードする手順です。振込先は会社の決まった口座ではなく、注文ごとに「売り手」の口座として示されるもので、示された口座も3時間で使えなくなります。
本件の口座はLINEのメッセージで届いたもので、この画面とは別の経路です。それでも、振込のたびに違う口座が示されるという点は、Renthixのサイトが用意している入金の作りと同じ形をしています。
入金がドルで反映されるという説明は金融庁が示す手口と重なる
本件で相手は、振り込んだ日本円が為替レートで換算され、ドルとして「金取引口座」に入ると説明していました。Renthixの入金の画面でも預入金額はドルが最初から選ばれ、出金の画面の注意書きも「出金する USD」と、ドルを前提に書かれています。
金融庁が詐欺の手口を事例ごとにまとめた「それ詐欺です!」のページでは、偽の証券アプリの行に次の一文があります。
アプリ上で、振り込んだ額と同額が入金されたかのように残高表示される。
本件はアプリではなくウェブサイトですが、振り込んだお金がサイトの中の残高に置き換わったように見せる点は同じ形です。画面に出る残高は、振り込んだお金が取引に使われていることや引き出せることの裏付けにはなりません。
SOS47(警察庁の特殊詐欺対策ページ)のSNS型投資詐欺のページにも、「相手方の口座にお金を振り込むように言われた」という注意点があります。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、LINEで届いた口座へ振り込ませる流れは公的機関が示す手口と重なります。
【参考】
・Renthix(https://renthix.com/pc/)
・金融庁-それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!
・警察庁-SNS型投資詐欺(SOS47特殊詐欺対策ページ)
Renthixの紹介ページは実在のCapital.comの文の写し

RenthixのPC版のメニュー「About us」からは、「私たちについて」「安全を確保する」などの説明のページが日本語でも開けます。ここでは、そこに並ぶ受賞歴と監督機関の名前を、実在の会社の資料と照らし合わせます。
文章の多くは、英国やキプロスで認可を受けて差金取引(CFD)を提供するCapital.comが自社を紹介した文と同じ内容です。しかも、社名に当たる部分は置き換えられていません。
受賞歴の並びがCapital.comの紹介ページと同じ
「私たちについて」の「業界の評価」の欄に並ぶ7つの賞を、Capital.comの紹介ページ(About Capital.com)の表記と並べると次のとおりです。
| 賞の名前 | Renthixの「私たちについて」 | Capital.comの紹介ページ |
|---|---|---|
| Good Money Guide | 2023年のベスト取引アプリケーション | Best Trading App (2023) |
| Online Money Awards | 2023年ベスト差額契約プロバイダ | Best CFD Provider (2023) |
| ForexBrokers.com | 2023年最速成長ブローカー | Fastest Growing Broker (2023) |
| Investment Trends | 2022年全体の顧客満足度 | Overall Client Satisfaction (2022) |
| Investment Trends | 2022年物には賞があります。 | Value for Money (2022) |
| ADVFN | 2022年ベストポイント差取引プラットフォーム | Best Spread Betting Platform (2022) |
| Financial Times Investors’ Chronicle | 2022年に新しい投資家を支援する | Best for New Investors (2022) |
7つの賞は、賞の名前も年も並び順もCapital.comの紹介ページと同じです。英語の「Value for Money」(費用に見合う価値)が「物には賞があります。」と訳されているように、英語の文を機械で訳した跡も残っています。
▼Capital.comと同じ賞を並べるRenthixのページ

出典:renthix.com
▼Capital.comの紹介ページに並ぶ賞の一覧

出典:Capital.com
同じ欄にある「2023年、デロイトのハイテク高成長50強は、中東とキプロスの…」という一文も、Capital.comの紹介ページの先頭に並ぶデロイトの賞と同じ内容です。
社名の欄は置き換えられず「私たち」のまま
「私たちについて」のページは、「私たちはヨーロッパで最も成長の速い取引プラットフォームの一つで、イギリス、ヨーロッパ、オーストラリアに事務所を設けています。」という一文から始まります。Capital.comの紹介文で社名が入る位置が、そのまま「私たち」になっています。
ブラウザ最上部のタブの名前も「私たち」(英語のページでは「we」)です。続く「お客様を会社のすべての意思決定の核心に置き」も、Capital.comの「We keep our traders at the heart of every decision we make」と同じ意味です。
さらに、ページの最下部には「2016 – 2024 Basaxhot」という著作権の表示があり、Renthixとは別の「Basaxhot」という名前が残っています。メニューにも「合規与法律」と中国語のままの項目があり、別のサイトのために作ったページを名前を替えきらないまま使っているとみられます。
▼最下部にBasaxhotの名前が残るRenthixのページ

出典:renthix.com
Capital.com自身は日本の居住者にサービスを提供していない
「安全を確保する」のページには、監督を受けている当局として次の一文が書かれています。
私たちは金融行為監督局 (FCA) 、オーストラリア証券と投資委員会 (ASIC) 、キプロス証券取引委員会 (CySEC) 、セーシェル金融サービス管理局 (FSA) を持っています」) とバハマ証券委員会 (「SCB」) が現地で認可し監督しているグループ実体。
当局の名前は並んでいますが、どの会社がどの当局から認可を受けているのかは、会社名も登録番号も書かれていません。資金の預け先として挙げる「RBSとRaiffeissen銀行」についても、Renthixの資金を預かっていることを示す材料はページにありません。
▼どの会社の認可かを示さないRenthixの安全性の説明

出典:renthix.com
一方、写し元とみられるCapital.comは、ヘルプの「Is Capital.com available in my country?」で、サービスを提供しない国と地域を挙げています。
Due to regulatory requirements and risk management decisions, Capital.com is not available in the following countries and territories:
(前略)Israel, Japan, Artsakh (Nagorno-Karabakh), (後略)
「規制の要件とリスク管理の判断により、次の国と地域では利用できません」という意味で、一覧にJapan(日本)が含まれています。Capital.comは金融庁の金融事業者一括検索にも出てこず、日本で登録を受けた業者ではありません。
▼日本を提供の対象外とするCapital.comのヘルプ

出典:Capital.com
Renthix自身はCapital.comを名乗っていませんが、紹介ページの実績や監督の説明は、日本では利用できない別の会社の文を写したものです。受賞歴や当局の名前を見たら、受賞した会社名と当局の登録簿に載っている会社名が、サイトの名前と一致するかを確かめてください。
【参考】
・Renthix-私たちについて(https://renthix.com/pc/ja/about-us/index.html)
・Renthix-どうやって安全性を保証しますか?(https://renthix.com/pc/ja/we-com-ru-he-bao-zheng-an-quan-xing/index.html)
・Capital.com-About Capital.com(https://capital.com/en-ke/about-us)
・Capital.com-Is Capital.com available in my country?(https://help.capital.com/hc/en-us/articles/27040372144274-Is-Capital-com-available-in-my-country)
・金融庁-金融事業者一括検索
Renthixは名前とアドレスを替えながら同じ仕組みで動いている

renthix.comと同じ作りのサイトは、ほかに3つのアドレスで見つかりました。アドレスの登録情報と、サイトが名乗る名前を並べると次のとおりです。
| アドレス | 登録日(日本時間) | 画面の名前 |
|---|---|---|
| celvextrade.com | 2026年2月25日 | Celvex Trade(今はSolvLinkの画面を表示) |
| calvorinmarkets.com | 2026年5月7日 | Calvorin Markets |
| renthix.com | 2026年7月16日 | Renthix |
| solvlinkhk.com | 2026年10月17日 | SolvLink |
この章では、4つのアドレスの登録日、通信を守るための証明書、画面とプログラムの中身の3つを順に調べ、名前とアドレスだけを替えて同じ仕組みが使われ続けていることを確かめます。
4つの名前のアドレスが2月から10月までに順に登録された
renthix.comは、登録情報を調べられるRDAPで、2026年7月16日(日本時間の20時43分)の登録だと分かります。登録より前の2025年のInternet Archiveの記録では、同じアドレスは広告を並べただけのページで、Renthixのサイトではありませんでした。
▼7月16日の登録を示すrenthix.comのRDAP

出典:rdap.verisign.com
ところが、PC版のトップの最下部には「©Copyright 2016 – 2024 Renthix.」と、2016年から運営してきたかのような表示があります。アドレスの登録は2026年7月で表示の年とは合いません。ほかの3つのアドレスも、2月、5月、10月と数か月おきに新しく登録されています。
▼2016年からの著作権を表示するRenthixの最下部

出典:renthix.com
同じ証明書にRenthixと前の名前のアドレスが並ぶ
鍵のマークの裏にある証明書は、発行のたびに記録が残り検索できます。検索サービスのCert Spotterで調べると、2026年9月14日の1枚の証明書に、api.renthix.com・api.calvorinmarkets.com・api.celvextrade.comなどが並んでいました。
証明書を受け取るには、載せるアドレスのすべてを管理していると示す必要があり、Renthixと前の名前のアドレスは同じ管理者の手にあるとみられます。10月17日の証明書では、celvextrade.comが外れてsolvlinkhk.comが並んでいます。
この入れ替わりは、ブラウザでも確かめられます。celvextrade.comを開くと、アドレス欄に「保護されていない通信」と出たうえでSolvLinkの画面が表示され、証明書ビューアには「solvlinkhk.com」と表示されます。
▼celvextrade.comに出るSolvLinkの画面

出典:celvextrade.com
▼celvextrade.comが返すSolvLinkの証明書

出典:celvextrade.com
3つのサイトは同じ画面と同じ説明ページを返す
renthix.com・calvorinmarkets.com・solvlinkhk.comのトップは、名前とロゴのほかは見出しも「660K+」などの数字も同じです。金(XAUUSD)を先頭にした23銘柄の並びと、前の章で見たCapital.comの文の写しのページも同じでした。
▼Renthixと同じ数字を並べるSolvLinkのトップ

出典:solvlinkhk.com
プログラムを調べたところ、画面を組み立てるプログラムの一部は3つのサイトで1バイトも違いません。ログイン後の取引の画面が読み込む設定も同じで、数十秒から数分で勝ち負けが決まる取引は、60秒なら勝てば掛け金の30%、負ければ100%を失う設定です。
この設定の作成日時は2024年11月と12月で、どのアドレスの登録よりも前です。名前とアドレスだけを替えながら、前から使われてきた同じ仕組みが動き続けているとみられます。サイトの名前が変わったからといって、別の会社のサービスになったとは限りません。
【参考】
・rdap.verisign.com-renthix.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/renthix.com)
・rdap.verisign.com-celvextrade.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/celvextrade.com)
・rdap.verisign.com-calvorinmarkets.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/calvorinmarkets.com)
・rdap.verisign.com-solvlinkhk.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/solvlinkhk.com)
・Cert Spotter-renthix.com(https://api.certspotter.com/v1/issuances?domain=renthix.com&include_subdomains=true&expand=dns_names)
・Internet Archive-renthix.com(https://web.archive.org/web/2025*/renthix.com)
・SolvLink(https://solvlinkhk.com/pc/)
金の差金取引に要る許可がRenthixには見当たらない

Renthixの銘柄の先頭に並ぶ「XAUUSD」は、金のドル建ての値段の上げ下げに合わせて損益を受け渡す取引で、金そのものを売り買いするものではありません。ここでは、日本でこうした取引を個人に提供するために必要なことと、Renthixがそれを満たしているかを確かめます。
金の差金取引を業として行うには国の許可が要る
金や原油などの値動きを使う取引は、商品先物取引法で「商品デリバティブ取引」として扱われます。経済産業省の「商品先物取引に関する注意喚起について」には無許可の業者についての項目があり、最初の段落は次のとおりです。
平成23年1月1日の商品先物取引法の施行により、一般個人を相手方とする商品先物取引(商品デリバティブ取引)を業として行うものは、「商品先物取引業者」として許可が必要となりました。許可を取得していない事業者との取引は行わないよう、ご注意ください。
▼個人向けの商品先物取引には許可が必要とする経済産業省のページ

出典:経済産業省
Renthixが扱う金の差金取引も、この許可が必要な取引に当たる可能性があります。また、同じサイトで扱うFX(外国為替)や暗号資産の取引は、金融庁の登録が必要な取引です。どちらの取引でも、日本の個人を相手にするなら国の許可か登録を受けていなければなりません。
金融庁の登録にも商品先物の許可にもRenthixの名前はない
登録を受けた業者を名前で引ける金融庁の金融事業者一括検索で、「Renthix」の登録は1件もなく、画面には「該当するデータはありませんでした。」とだけ出ます。農林水産省と経済産業省が公表している商品先物取引業者の許可業者の一覧にもRenthixの名前はありません。
▼Renthixで該当なしと出る金融庁の金融事業者一括検索

出典:金融庁
ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。前の章で見たように、Renthixと同じ仕組みは数か月ごとに名前を替えており、前の名前で出た警告や報道は、新しい名前で検索しても見つからないためです。
運営する会社の名前と所在地は、Renthixの規約からも読み取れません。ログインせずに開けるローンの契約のページは、英語では契約の相手を「the operator」(運営者)とだけ書き、日本語に切り替えると「本規約は、の運営者と利用者との間で」と、会社名が入るはずの部分が空いたままです。
商品先物の業界団体がLINEでの金の勧誘に注意を促す
商品先物取引業者が加入する自主規制団体の日本商品先物取引協会は、2025年6月11日の注意喚起で、次のような情報が寄せられていると知らせています。
SNS(Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINEのグループチャット機能等)を通じて無許可・無登録の業者や個人が「金、原油等の値段が必ず上がる、必ず儲かる」などと言って資金を振り込ませて、だまし取る(出金に応じない)という情報が複数寄せられております。
▼LINEでの金の勧誘に触れる日本商品先物取引協会の注意喚起

出典:日本商品先物取引協会
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、LINEで金の取引に誘い、資金を振り込ませるという点は本件と同じです。金の取引を勧められたら、金融庁の一括検索と、農林水産省・経済産業省の許可業者の一覧で、相手の会社名を検索してから判断してください。
【参考】
・経済産業省-商品先物取引に関する注意喚起について
・e-Gov法令検索-商品先物取引法
・金融庁-無登録業者との取引は要注意!!~無登録業者との取引は高リスク~
・金融庁-金融事業者一括検索
・農林水産省-商品先物取引業等(許可業者一覧)
・Renthix-Lending Service Agreement(https://renthix.com/m/#/loanAgreement)
・日本商品先物取引協会-【注意喚起】投資話に関するトラブルに十分ご注意ください。(https://www.nisshokyo.or.jp/cyui_250611.html)
名前を替えても残るRenthixの特徴で勧誘を見抜く

Renthixと同じ仕組みのサイトは、Celvex Trade、Calvorin Markets、SolvLinkと、数か月ごとに名前とアドレスを替えてきました。名前で検索しても見抜けないため、ここでは名前が替わっても変わらずに残っていた特徴を6つ挙げ、それぞれの確かめ方を添えます。
- 振込先の口座がLINEで届き、振込のたびに銀行が替わる:本件では、相手がLINEで示す口座が振込のたびに別の銀行に替わりました。サイトの入金の画面も、注文ごとに「売り手」の口座を示す作りです。口座が替わる、名義が取引所の会社名と違うといった時点で、振込を止めてください。
- 画面の上と下で名前がそろっていない:紹介ページのタブの名前は「私たち」で、最下部には「Basaxhot」という別の名前がありました。タブ、ロゴ、最下部の著作権の表示に同じ会社名が出ているかを見比べてください。
- 受賞歴や当局の名前はあるのに、会社名と登録番号がない:受賞歴は実在のCapital.comと同じ並びで、当局の名前もどの会社の認可かが書かれていません。賞の名前で検索して受賞した会社を確かめ、当局の名前があれば、その登録簿で会社名と番号を検索してください。
- 運営の年とアドレスの登録日が合わない:最下部の「2016 – 2024」に対し、renthix.comの登録は2026年7月でした。ドメインの登録情報を調べられるRDAPに案内されたアドレスを入れ、いつ登録されたかを見てください。
- 金・FX・暗号資産を扱うのに、日本の許可や登録が見当たらない:金の差金取引は商品先物取引法の許可が必要な取引に当たる可能性があり、FXと暗号資産は金融庁の登録が必要です。金融庁の金融事業者一括検索と、農林水産省・経済産業省の許可業者の一覧で、運営会社の名前を検索してください。
- ウォレットの12語の入力を求める画面がある:プログラムそのものを取得して確認したところ、運用商品の画面に、暗号資産のウォレットを復元するための12語(ニーモニック)を入力させ、サーバーへ送る作りがありました。12語はウォレットの鍵そのものなので、どの画面にも入力しないでください。
これらの特徴は、名前やアドレスが替わっても同じ仕組みのサイトに残ります。1つでも当てはまれば、それ以上振り込まずに、警察や消費生活センター、弁護士といった信頼できる第三者に相談してください。
【参考】
・金融庁-金融事業者一括検索
・農林水産省-商品先物取引業等(許可業者一覧)
・RDAP.org(https://rdap.org/)
Renthixの口コミが見つからないのは数か月ごとに名前が替わるため

「Renthix」やrenthix.comの名前で、X、Yahoo!知恵袋、掲示板などを調べましたが、被害の報告や注意喚起は見つかりませんでした。一方で、同じ仕組みの前の名前では、警察の発表を伝える報道や、知恵袋への相談が残っています。
口コミがRenthixの名前に集まらないのには、サイトの作りと名前の替え方の両方に理由があります。この章では、その理由と、以前の名前で見つかった被害の情報を紹介します。
Renthixのサイトは検索結果に出ない設定になっている
renthix.comのページのソースには、Googleの検索ロボットに向けて「noindex」という指定が書かれています。検索結果に載せないよう求める指定で、Renthixのページそのものが、検索で見つかりにくい作りです。
▼検索結果に出さない指定があるrenthix.comのソース

出典:renthix.com
そのうえ、renthix.comは2026年7月に登録されたばかりで、前の章で見たように同じ仕組みは数か月ごとに名前を替えています。被害に気づいた人が名前を挙げて書き込むころには、勧誘に使われる名前が次へ移っているため、ひとつの名前に口コミが積み重なりにくいと考えられます。
前の名前のCalvorin Marketsでは警察の発表が報じられた
同じ仕組みのcalvorinmarkets.comについては、夕刊三重新聞が2026年6月26日、三重県警松阪署の発表として被害を報じています。SNSで知り合った相手からLINEに誘導され、このサイトで口座を開設したうえで、インターネットバンキングで投資資金を振り込んだという内容です。
記事によると、男性は追加で入金すれば「サイト内のランクが初級から中級に上がり、利益が15倍になる」と説明されていました。Renthixのプログラムにも会員の等級(VIP)の仕組みがあり、LINEで誘い、国内の口座へ振り込ませるという流れは本件と同じです。
Celvex Tradeの名前ではLINEの金取引の勧誘が相談されていた
さらに前の名前のCelvex Tradeについては、Yahoo!知恵袋に2026年5月23日、次の質問が投稿されていました。
香港取り引き所にcelvextradeプラットフォームあらますか?
LINEで金取り引き勧誘されています
実際して居る、取り引き所でしょうか
何方か分かる方教えてください。
▼celvextradeでの金取引の勧誘を尋ねる知恵袋の質問

出典:Yahoo!知恵袋
ベストアンサーに選ばれた回答は、勧誘してきた相手がどんな人物かを質問者に問いかけ、勧誘されているだけなら「即刻黙ってブロックしてしまうことをオススメします」と勧めています。これは回答者個人の見方ですが、LINEで金の取引に誘われる入口は本件と同じです。
回答は、質問に出てくるサイトをCelvex Trade(www.celvextrade.com)と特定しています。このアドレスは2026年2月25日に登録され、9月の証明書でrenthix.comのアドレスと並び、今はSolvLinkの画面を表示するアドレスです。
名前が替わるたびに被害の情報が別々の名前に散らばるため、今の名前で口コミがないことは安全の根拠になりません。勧誘で示された名前ではなく、運営する会社と、日本での許可や登録の有無で判断してください。
【参考】
・Renthix(https://renthix.com/pc/)
・夕刊三重新聞(YoMotto)-投資話2件で550万円 三重・松阪の60代男性、特殊詐欺で被害(https://yomotto.jp/2026/06/26/4137792/ )
・Yahoo!知恵袋-2026年5月23日の質問(LINEで金取り引きを勧誘されているという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13328310118 )
振込先が替わったRenthixのお金を取り戻せる可能性と相談先

本件のお金は、暗号資産ではなく、相手がLINEで示した国内の銀行の口座へ振り込まれ、振込先の銀行は途中で替わりました。振込という送金の方法と、口座が複数の銀行に分かれたことの2点がここから先の手続きを考える出発点になります。
国の制度で戻るのは、口座に残っているお金の範囲までで、それを超える部分は別の手続きになります。制度の使い方から順に見ていき、最後に、どこに何を相談すればよいかを整理します。
国内の口座への振込なら振り込め詐欺救済法の届け出ができる
国民生活センターは、SNSの投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引についての報告書の中で、振り込んでしまった場合について次のように助言しています。
なお、万が一振り込んでしまった場合は、振込先の金融機関にも問い合わせを行いましょう。
振込先が国内の預金口座等であれば、振り込め詐欺救済法²に基づく届け出ができます。
▼救済法の届け出ができるとする国民生活センターの資料

出典:国民生活センター
振り込め詐欺救済法のもとでは、被害の申し出を受けた金融機関が振込先の口座を止め、そこに残っているお金を振り込んだ額に応じて被害者に分けます。金融庁のQ&Aは、対象を「財産を得る方法として振込みが利用されたもの」の被害としており、投資の名目で口座へ振り込ませた場合も対象になり得ます。
振込先の金融機関それぞれに早く連絡する
金融庁のQ&Aは、被害にあったときにまずすることとして「警察や金融機関に連絡し、振り込んだ預金口座等の取引の停止を求めて下さい。」と書いています。振込先が複数の銀行に分かれているなら、振り込んだ口座ごとに、その銀行へ連絡することになります。
連絡を急ぐ理由も、同じQ&Aにあります。口座からお金が一部引き出されていれば分配の額は減り、「口座の残高が 1,000 円未満の場合には、分配金の支払はありません。」とされています。残高が残っているうちに取引を止めてもらえるかどうかで、戻る可能性が変わります。
連絡の際は、振込の明細、相手とのLINEのやり取り、相手が示した口座の情報を手元にそろえておくと、状況を正確に伝えられます。別の口座を新たに示されても、追加の振込はせず、銀行と警察への連絡を先にしてください。
救済の申請に手数料はかからず返金をうたう業者に注意する
金融庁のQ&Aは、被害回復分配金の申請について「申請手数料等はとられません。」と答えています。救済の手続きを理由に、先にお金を払うよう求められることはありません。
▼申請手数料はとられないとする金融庁の救済法Q&A

出典:金融庁
一方で、同じ仕組みのサイトの名前で検索すると、被害の回復をうたってLINEの個人アカウントへ誘う宣伝が見つかります。返金を約束して費用を先に求める相手には、依頼する前に一度立ち止まってください。
返金のための交渉や手続きを人に任せる場合、報酬を受けてそれを代わりに行えるのは、原則として弁護士です(弁護士法第72条)。依頼を考えている相手が弁護士かどうかは、日本弁護士連合会の「弁護士検索」で確かめられます。
引き出された分は相手への請求を考えることになる
口座からお金が引き出されてしまった場合について、金融庁のQ&Aは次のように答えています。救済法の分配で戻らない分は、相手に請求して取り戻す道を考えることになります。
その場合には、犯人に対する民事上の請求等により、被害回復を図らざるをえません。
請求する相手としては、振込先の口座の名義人などが考えられます。ただ、名義人の名前や住所が分からなかったり、誰にどの根拠で請求できるかの判断が難しかったりと、個人で進めるには壁があります。
弁護士に依頼すれば、弁護士法第23条の2にもとづき、弁護士会から銀行などへ必要な事項を問い合わせてもらう道もあります。
本件は振込先が複数の銀行に分かれているため、口座の凍結、救済法の手続き、相手への請求を並行して進めることになります。相談先は、相談したい内容で選ぶと迷いません。
- 被害を届けたい:警察相談専用電話「#9110」
- 契約や支払いのトラブルを相談したい:消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センターを案内)
- どこに相談すればよいか分からない:金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811。他機関の紹介や論点の整理)
- お金を取り戻す手続きを進めたい:弁護士(口座の凍結の申し出から相手への請求まで)
まずは銀行と警察への連絡を急ぎ、取り戻すための手続きの進め方は専門家に相談してみてください。振込の明細とLINEのやり取りを手元に残しておくと、相談がスムーズに進みます。
【参考】
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
・金融庁-振り込め詐欺救済法 Q&A
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・e-Gov法令検索-弁護士法
・日本弁護士連合会-弁護士検索(https://www.nichibenren.or.jp/search.html)
・政府広報オンライン-警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ
・金融庁-金融サービス利用者相談室
