SafePal(safepate.com)は詐欺?出金に認証保証金を求められる偽サイトの実態と口コミ・評判・返金対策

今回の相談は、インスタグラムで知り合った相手から、ビットコインの値動きを短い時間で当てる取引に誘われたのが始まりです。高知県の消費生活センターも、SNSで勧められた暗号資産の投資で出金時に「認証金」を求められた事例を紹介しています。

相談者は、正規のSafePalのアプリの中で「Safepal」と名乗るサイト(www.safepate.com)を開き、暗号資産の送金と相手が指定した口座への振込で入金を重ねました。ところが出金しようとすると、資金総額の10%を「認証保証金」として求められています。

調べると、サイトが「規制ライセンス」として掲げる米国コロラド州の書類は表紙と中身で社名が違い、州の記録ではその番号の法人に「不正」と注記されていました。正規のSafePalの照会でも、公式のアドレスとは確認されません。

本記事では、サイトが掲げる書類と出金の仕組み、正規のSafePal自身の注意喚起をもとに、弁護士が手口を解説します。保証金を送る前に、手元の画面で確かめられることも取り上げます。

SafePalを装う偽サイトに関するトラブルの概要

接続先と照会結果を確かめる。正規のアドレスと一文字ずつ比較。公式照会では確認されず。出金時に追加の支払い要求。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

今回の相談者は、インスタグラムで知り合った相手から暗号資産の短時間の取引を勧められ、「Safepal」と名乗るサイトwww.safepate.comへ入金を重ねました。画面には利益が表示されていましたが、出金しようとした段階で新たな支払いを求められています。

この章では、www.safepate.comが何を名乗り、どのような取引をさせるサイトなのかを確かめます。そのうえで、名前を使われた正規のSafePal自身の照会の結果を見て、出金の際に「認証金」を求められた相談事例と、インスタグラムを入口にした投資詐欺の件数を紹介します。

safepate.comはSafePalの名前で秒単位の暗号資産の取引をさせるサイト

www.safepate.comを開くと、紫の地に白い「S」の形のロゴが置かれ、その下に「ウォレットを接続してください」「分散型アプリケーションを使用してアクセスしてください。」と表示されます。ウォレットのアプリの中にあるブラウザで開かせる作りです。

▼ウォレットの接続だけを求めるwww.safepate.comのトップ画面

safepate-ウォレットの接続だけを求めるwww.safepate.comのトップ画面

出典:www.safepate.com

画面の上にはサイトの名前が出てきませんが、ソースを開くとページのタイトルは「Safepal」と書かれています。サイトが読み込む設定のデータでもサイト名は「Safepal」でした。

▼タイトルにSafepalと書かれたwww.safepate.comのソース

safepate-タイトルにSafepalと書かれたwww.safepate.comのソース

出典:www.safepate.com

プログラムを調べたところ、取引はビットコインなどの値段が120秒から3,600秒の間に上がるか下がるかを当てる形で、ほかにローンやマイニング、本人確認の画面も組み込まれていました。この取引の相手となる会社がどこなのかは、サイトのどこにも示されていません。

正規のSafePalの照会ツールではsafepate.comは公式のものと確認されない

正規のSafePalは、利用者が自分で鍵を管理する暗号資産のウォレットを提供しています。公式サイト(safepal.com)の詐欺対策のページには、アドレスやメール、SNSのアカウントが公式のものかを確かめる照会の欄があります。

この欄にsafepate.comを入れると、「Source Not Verified」と表示され、次の文が出ます。

“safepate.com” is NOT verified and likely malicious. Block and report the source, do not send any funds or share private information like your seed phrase.

▼正規のSafePalの照会でsafepate.comが確認されない結果

safepate-正規のSafePalの照会でsafepate.comが確認されない結果

出典:SafePal

「safepate.comは確認されておらず、悪意のある可能性が高い。ブロックして報告し、資金を送ったり、シードフレーズのような個人の情報を伝えたりしないでください」という意味です。

比べるために正規のアドレスsafepal.comを入れると、「Verified Source」と表示されます。正規のSafePalによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。

出金のときに認証金を求められる暗号資産の投資話を消費生活センターが紹介している

高知県立消費生活センターの情報(第250号)は、SNSで知らない異性から連絡を受け、別のSNSに移ってから暗号資産の投資を勧められた相談を紹介しています。国内の取引所で日本円を暗号資産に替え、海外の取引所の指定の口座へ送ったという流れで、その後の出来事は次のとおりです。

(前略)
預けた暗号資産を出金しようとしたら、認証金の支払いを追加で求められ、いつまでも出金できない。

▼出金時に認証金を求められた事例を載せた高知県の情報

safepate-出金時に認証金を求められた事例を載せた高知県の情報

出典:高知県

同じ情報のアドバイスの欄では、「暗号資産交換業を行う事業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。」と呼びかけ、取引の前に金融庁のウェブサイトで登録の有無を確かめるよう勧めています。

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、支払いの名目の言葉まで本件とよく似ています。相談者もSNSで知り合った相手とLINEに移り、サイトの資金を引き出そうとして「認証保証金」の支払いを求められました。

インスタグラムを入口にしたSNS型投資詐欺が前年の2倍を超えている

SNS型投資詐欺の被害者が最初にどこで相手と知り合ったのかについて、警察庁は令和8年上半期の暫定値(7月30日公表)で次のように集計しています。

○ 当初接触ツールは、Instagramが1,403件(+809件、+136.2%)、X(Twitter)が677件(+380件、+127.9%) 、LINEが631件(+203件、+47.4%)と、これらのツールで全体の約5割を占める。
(後略)

インスタグラムは最も多く、前年の同じ時期の594件から2倍を超えました。相談者も、インスタグラムで知り合った相手とのやり取りから入金に進んでいます。知り合って間もない相手が示すサイトにお金を送る前に、そのアドレスを名乗る会社の公式の情報と照らし合わせてください。

【参考】
・Safepal(https://www.safepate.com/)
・SafePal-Scam Protection(https://www.safepal.com/jp/scam-protection)
・高知県-第250号 SNSで勧誘される詐欺的な暗号資産の投資話~被害回復は困難です!~
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)

SafePalを装う偽サイトへ誘導され被害につながるまでの経緯

出金時に増えた支払い。SNSの会話から取引へ。暗号資産と振込で入金。出金時に10%を要求。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

インスタグラムで届いたDMから、出金の前に保証金を求められるまでを3つの場面でたどります。相談者がどのアプリを使い、どのアドレスのサイトに入金していたのかが次の章からの調査の出発点になります。

インスタグラムの釣りの話題のDMから始まったやり取りで暗号資産の短時間の取引を勧められた

相談者は、インスタグラムで釣りの話題を含むDMを受け取り、返信したことから相手と知り合いました。その後、相手とLINEのIDを交換し、ナナと名乗る相手とLINEでやり取りを続けています。

ナナは釣りや日常の話を交えながら、叔父が大手の金融機関で働いていると話しました。そして、叔父の取引データを使えば勝率が95%以上になると、ビットコインの値段が120秒後に上がるか下がるかを当てる取引を勧め、投資のことは誰にも話さないよう求めています。

SafePalのアプリの中でsafepate.comを開き暗号資産の送金と相手が指定した口座への振込で入金した

ナナは、正規のSafePalのアプリを入れることや、ウォレットの操作のしかたを案内しました。相談者の画面には、SafePalのアプリの中のブラウザーで取引の画面が開かれ、アドレス欄に「https://www.safepate.com」と表示されている場面が残っています。

相談者は、国内の取引所で買ったイーサリアムを送り、ナナが指定した口座への振込も行いました。600秒の取引を案内された際には、参加するにはさらに元手が要ると言われ、入金を増やすよう繰り返し促されています。

出金を申し込むと窓口から資金総額の10%を認証保証金として求められた

取引の画面には利益が表示され、残高は大きく増えて見えていました。ところが、出金を試みると、サイトの「オンラインカスタマーサービス」が口座の資金総額の10%を「認証保証金」として求め、規約に違反があれば資金の凍結や没収もあり得ると告げました。

ナナも、保証金を払えばすぐに入金されると説明し、暗号資産を買って送るよう促しています。また、出金を申し込んだ後も入金がないと相談者が伝えると、ナナはサイトの窓口に問い合わせるよう案内しました。入金を重ねて画面の利益が増えても、引き出そうとした段階で新しい支払いを求められたのが、今回の被害の経緯です。

SafePalを装う偽サイトの関連サイトの情報を調査した結果

似たアドレスのつながり。末尾を替えた13件。取得時刻と証明書を照合。停止中の1件を除き同じHTML。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

www.safepate.comの証明書には、本件を含めて「safepal」の末尾を替えたアドレスが13個並んでいました。取得の日時は登録情報(RDAP)で、同じ管理者のものかは証明書の発行記録で確かめました。あわせて、サイトのデータに残る文書の作成日時と、金融庁の検索の結果も紹介します。

アドレス役割取得日時(日本時間)
www.safepate.com本件のサイト2026年2月25日 16時05分54秒
www.safepael.com・www.safepagy.com・www.safepau.com・www.safepayq.com同じ作りのサイト同上(同じ秒)
www.safepaf.com同じ作りのサイト2026年2月9日 13時37分17秒
www.safepaeo.com・www.safepaer.com・www.safepaet.com同じ作りのサイト(safepaer.comは停止)2026年9月1日 21時59分35秒(同じ秒)
www.safepaev.com同じ作りのサイト2026年9月3日 23時17分21秒
www.safepaeg.com・www.safepaem.com・www.safepaen.com同じ作りのサイト2026年9月9日 14時33分02秒(同じ秒)
88v7x8.qblinks.ccオンラインカスタマーサービス(チャット)qblinks.ccは2026年1月29日
safepal.com正規のSafePal2004年1月12日

窓口の88v7x8.qblinks.ccは、サイトが読み込む設定のデータに、カスタマーサービスの開き先として書かれているアドレスです。開くと「カスタマーサービス」と題したチャットの画面が表示されます。

safepate.comは2026年2月に取得され同時に名前の末尾だけを替えた4つのアドレスも登録された

safepate.comが取得された時刻は、登録情報(RDAP)に協定世界時の「2026-02-25T07:05:54Z」として残っています。日本の時刻に直すと、2月25日の午後4時05分54秒です。

▼2026年2月25日の取得を示すsafepate.comの登録情報

safepate-2026年2月25日の取得を示すsafepate.comの登録情報

出典:rdap.verisign.com

同じ時間には、safepael.com、safepagy.com、safepau.com、safepayq.comの4つも取得されています。どれも「safepal」の最後の「l」を別の文字に替えた形です。

証明書の発行記録を見ると、これらのアドレスは1枚の証明書にまとめて並んでいます。safepaer.comを除く12のアドレスは、開くとトップのHTMLが1バイトも違わず、同じ管理者が同じサイトを別のアドレスで出しているとみられます。

▼1枚の証明書に14のアドレスが並ぶ発行記録

safepate-1枚の証明書に14のアドレスが並ぶ発行記録

出典:Cert Spotter

相談の期間中の9月にも末尾だけを替えたアドレスが3つずつ同時刻に取得されている

9月に入ると、2月とは別の登録業者を通じて、9月1日の午後9時59分35秒にsafepaeo.com、safepaer.com、safepaet.comの3つが、秒まで同じ時間に取得されました。2日後の9月3日にはsafepaev.comが加わっています。

さらに9月9日の午後2時33分02秒には、safepaeg.com、safepaem.com、safepaen.comの3つが、やはり同じ時刻に取得されています。いずれも同じ証明書に並び、開くと同じ画面が出ます。

相談者がナナとやり取りを続けていた時期に、新しいアドレスが次々に用意されていたことになります。このうちsafepaer.comは、最終更新が9月4日で、登録業者が名前の解決を止める状態(client hold)になっており今は開けません。

サイトの規約や会社紹介のデータはアドレスの取得より2年早い2024年3月に作られている

www.safepate.comのメニューにある「サービス契約」は、ログインしなくても開けるデータから読み込まれています。そのデータに書かれた作成日時「1710885051」は、1970年1月1日からの秒数で時刻を表す形式で、日本時間に直すと2024年3月20日の午前6時50分です。

▼サービス契約の作成日時が書かれたサイトのデータ

safepate-サービス契約の作成日時が書かれたサイトのデータ

出典:www.safepate.com

「私たちについて」「規制ライセンス」「貸借同意書」も、同じ2024年3月20日の作成です。アドレスを取得する2年近く前に作られた文書で、名前とアドレスを替えながら同じ仕組みが使い回されてきた可能性があります。

「白書」を開いても、本文は「1111」の4文字しかありません。その下には正規のSafePalの案内に似た画面の画像が並ぶだけで、サイト自身の事業や仕組みを説明した文章はどこにもありません。

その他でわかったことも以下に記載します。

  • 金融庁の金融事業者一括検索で「SafePal」「セーフパル」と入れても、該当する業者は表示されません
  • 金融庁の無登録業者の一覧に、SafePalの名前や本件のアドレスは載っていません(掲載がないことが安全の根拠にはなりません)
  • Googleのセーフブラウジングでは、www.safepate.comに危険の判定は出ていません(判定がないことも安全の根拠にはなりません)
  • Internet Archiveとurlscan.ioには、www.safepate.comの記録が残っていません

ウォレットのアプリの中で開いたサイトでも、アドレス欄の文字を正規のsafepal.comと1文字ずつ照らし合わせ、前の章で見た正規のSafePalの照会ツールにかけてください。

取得の日時をそろえて用意された似たアドレスは、1つが止められても別のアドレスで同じ画面を出し続けられる作りになっています。サイトの残高や送金・振込の記録を手元に残し、それ以上お金を送る前に専門家に相談してください。

【参考】
・Safepal(https://www.safepate.com/)
・rdap.verisign.com-safepate.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/safepate.com)
・rdap.verisign.com-safepal.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/safepal.com)
・Cert Spotter-safepate.com(https://api.certspotter.com/v1/issuances?domain=safepate.com&include_subdomains=true&expand=dns_names)
・Safepal-サービス契約のデータ(https://www.safepate.com/api/api/qa/index?id=4&type=content)
・金融庁-金融事業者一括検索
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)

SafePalを装う偽サイトに関する不審点

掲示書類の名前が一致しない。同じ番号に異なる社名。州の記録にも別の名前。保証金は出金設定の外。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

この章ではSafePalを装う偽サイトに関する不審点として、www.safepate.comが「規制ライセンス」として掲げる米国コロラド州の書類、出金の手数料と保証金、日本語の画面にだけある出金先の欄、規約の信用スコアの条項、入金の手順の6つを取り上げます。

いずれも、ログインせずに開ける画面か、サイトのプログラムで確かめた事実です。

規制ライセンスの書類は表紙と中身で会社名が食い違っている

サイトのメニューにある「規制ライセンス」は、ログインしていなくても開けるページです。開くと、コロラド州の州務長官の名前で出された「CERTIFICATE OF DOCUMENTS FILED」という書類の画像が表示されます。

▼規制ライセンスとしてコロラド州の書類を掲げる画面

safepate-規制ライセンスとしてコロラド州の書類を掲げる画面

出典:www.safepate.com

書類の1枚目には、証明する対象として「SafePal」と「(Entity ID # 20241505601)」、つまり法人の番号が書かれています。下の段落には、書類の確認番号「16009245」も載っています。

▼SafePalと法人の番号が書かれた書類の1枚目

safepate-SafePalと法人の番号が書かれた書類の1枚目

出典:www.safepate.com

2枚目は、同じ番号の法人の設立書類(Articles of Incorporation)です。右上の番号は1枚目と同じ「20241505601」なのに、法人の名前の欄には「TP Token Pocket」と書かれています。

▼同じ番号でTP Token Pocketと書かれた設立書類

safepate-同じ番号でTP Token Pocketと書かれた設立書類

出典:www.safepate.com

1組の書類の中で、表紙と設立書類の社名が食い違っています。SafePalの名前で設立された法人であることはこの書類から読み取れず、名前が違う理由の説明もサイトにはありません。

コロラド州の記録ではその登録番号の法人に不正と注記されている

コロラド州の州務長官は、登録された法人の記録を番号で公開しています。20241505601の記録を開くと、法人の名前は「MetaMask CFD INC」、状態の欄は「Noncompliant」で、設立日は設立書類と同じ2024年5月3日です。

▼番号20241505601の名前がMetaMask CFD INCと出る州の記録

safepate-番号20241505601の名前がMetaMask CFD INCと出る州の記録

出典:コロラド州務長官

同じ記録の「Filing history and documents」を押すと、届出の履歴が2行表示されます。2行目は2025年1月22日の「Filing Officer Correction」で、コメントの欄には次の一文があります。

This entity is unauthorized or fraudulent.

▼不正と注記された法人の届出の履歴

safepate-不正と注記された法人の届出の履歴

出典:コロラド州務長官

「この法人は権限のないもの、または不正なものである」という意味です。サイトが掲げる書類の番号は、州が相談の1年半前に不正と注記していた法人の番号でした。ただし、サイトの運営者がこの法人だということまでは分かりません。

認証保証金はサイトのプログラムにも規約にもなく出金の手数料は1%だけ

サイトのプログラムに収められた日本語の文言627項目を調べたところ、「保証金」と「没収」の語はどこにも出てきませんでした。サービス契約やよくある質問の本文にも、保証金の記載はありません。

出金の方法は「ウォレットに出金」と「銀行カードに出金」の2つです。出金の画面は、入力した金額に設定の値(%)を掛けて「手数料」と「受取額」を計算する作りで、その値はログインせずに開ける設定のデータで「1」となっています。

▼出金の手数料を1%とするサイトの設定のデータ

safepate-出金の手数料を1%とするサイトの設定のデータ

出典:www.safepate.com

相談者の出金の画面に出ていた手数料も、残高のちょうど1%でした。窓口が求めた資金の10%の「認証保証金」は、サイトの出金の仕組みの外で求められた支払いとみられます。

出金先の銀行の欄は日本語の画面だけ日本の振込の項目に書き換えられている

「銀行カードに出金」の入力欄はログイン後の画面にあるため、項目の名前はプログラムそのものを取得して確認しました。欄の項目はプログラムの中では英語の名前で定義され、画面に出す言葉が言語ごとに用意されています。

プログラムの項目名英語の画面日本語の画面
bankCodeBank Code支店名
bankAddressBank Address支店番号
cardNumberCard Number取引種類
userNameUser Name囗座番号
recipientAddressRecipient Addressカタカナ名
routingNumberBank Routing Number氏名

中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の画面は、英語をそのまま訳した言葉です。日本語の画面だけが、支店名やカタカナ名といった日本の銀行振込の項目に置き換えられ、「口座」の「口」は形の似た「囗」になっています。

相談者の画面に出ていた国内の銀行への出金の表示は、この欄に口座を登録した画面とみられます。日本の利用者に、国内の口座へ引き出せると見せるための書き換えですが、欄があることは出金が実際に行われる約束にはなりません。

規約には信用スコアが600未満なら出金できないという運営の都合で止められる条項がある

メニューの「サービス契約」の1.6.9には、利用者の「信用スコア」によって出金や取引を止める定めがあります。

(前略)
ユーザーアカウントで以下の操作を実行すると、信用レベルが下がります。プラットフォームルール違反、リスクアカウント、不法行為、アカウント信用スコアが600未満の場合、出金できません。
信用スコアが400を下回った場合、投資はできません。 信用スコアが300未満の場合、口座資金は凍結されます

▼信用スコアが600未満なら出金できないとするサービス契約

safepate-信用スコアが600未満なら出金できないとするサービス契約

出典:www.safepate.com

点数を下げる理由に挙がる「プラットフォームルール違反」や「リスクアカウント」は、何が当たるのかを運営が決める言葉です。メニューには自分の「クレジット」の数字が出ますが、点数の付け方は規約のどこにも書かれていません。

この規約には、運営する会社の名前も、どの国の法律に従うのかも書かれていません。出金を認めるかどうかを、名前の分からない運営が点数ひとつで決められる条項になっています。

入金は運営が画像を見て反映する申し込みで到着の確認を窓口に問い合わせさせる作り

入金の画面も、ログインした利用者にしか表示されないため、プログラムそのものを取得して文言を見ました。画面は入金先の暗号資産のアドレスを示し、送った金額と画像のアップロードを求め、送信すると「入金申し込み成功です」と表示します。注意書きの終わりには、お金が届いたかの確かめ方がこう書かれています。

(前略)
そのため、転送を完了した後、オンラインカスタマーサービスに連絡して到着を確認してください。

送ったお金が残高に反映されるのは、運営が申し込みと画像を確かめた後です。しかも到着を確かめる先の「オンラインカスタマーサービス」は、相談者に認証保証金を求めた窓口と同じ名前で、残高の数字も出金の条件も、同じ窓口の判断ひとつで動く作りになっています。

【参考】
・Safepal-規制ライセンス(https://www.safepate.com/#/pages/tabbarPages/home/detail?id=3)
・Safepal-サービス契約(https://www.safepate.com/#/pages/tabbarPages/home/detail?id=4)
・Safepal-設定のデータ(https://www.safepate.com/api/api/index/poolInfo)
・コロラド州務長官-Business Database Search

SafePalの名前が偽サイトの勧誘に悪用されやすい理由

アプリ内でも取引先は別。取引は第三者が提供。資産を預からない仕組み。似たアドレスに注意。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

SafePalは、利用者が自分で鍵を管理するウォレットのアプリとして知られています。この章では、その名前が勧誘に使われやすい理由を4つ挙げ、正規のSafePalが規約や公式サイト、詐欺対策のページで自ら示している言葉と照らし合わせます。

正規のSafePalは取引を自ら提供しないためアプリの中で開くサイトも同じ会社のものと思われやすい

正規のSafePalは、日本語の公式サイトで「数百のDAppを発見し、シームレスに交流することができます。」と、アプリから外部のサービスを開ける点を紹介しています。そのうえで、利用規約には次の定めがあります。

(前略)
such Digital Asset Transaction or any similar services are not provided by SafePal but by a third party. SafePal is a technology provider or technology service providing facilitating User’s Digital Asset Transaction with a Third Party Service Provider (defined hereinblow).

▼取引はSafePalではなく第三者が提供すると定める規約

safepate-取引はSafePalではなく第三者が提供すると定める規約

出典:SafePal

暗号資産の売買や交換などの取引は、SafePalではなく第三者が提供するもので、SafePalは第三者との取引を仲立ちする技術の提供者だという意味です。アプリの中で開いたサイトでのやり取りは、そのサイトとの間の取引になります。

ところが、利用者の目には、SafePalのアプリを開いたまま画面が切り替わるだけに見えます。取引の相手がSafePalではない第三者だという点は、画面からは読み取りにくいとみられます。

資産を預からないウォレットだと知られていないため凍結や保証金の説明を信じやすい

正規のSafePalは、日本語の公式サイトで自社のウォレットの仕組みを次のように説明しています。

安全性を最優先に考えています。お客様の秘密鍵は、非保護のウォレットから離れることがないので、他の誰も決してアクセスすることはできません。それは当社も含めてです。

▼秘密鍵には当社もアクセスできないとする正規のSafePal

safepate-秘密鍵には当社もアクセスできないとする正規のSafePal

出典:SafePal

正規のSafePalは利用者の資産を預かっておらず、資金を凍結したり、保証金と引き換えに解いたりする立場にありません。この仕組みを知らないと、SafePalの名前のサイトで「凍結」や「認証保証金」と言われたときに、本当の手続きのように受け取りやすくなります。

名前が短く1文字を替えるだけで本物に似たアドレスを作れるため見分けにくい

正規のSafePalの詐欺対策のページは、偽のサイトのアドレスについて次のように注意を促しています。

There may also be fake domains posing as the official website by changing a letter in the domain (i.e. satepal.co).

▼1文字違いの偽ドメインに注意を促す正規のSafePal

safepate-1文字違いの偽ドメインに注意を促す正規のSafePal

出典:SafePal

「アドレスの1文字を替えて公式サイトになりすます偽のドメインがある」という意味で、例にはfをtに替えた「satepal」が挙げられています。本件のsafepate.comやsafepau.comも、7文字の「safepal」の末尾を替えただけのアドレスです。

スマートフォンのアプリの中では、アドレス欄の文字が小さく、正規のアドレスと見比べる機会もほとんどありません。末尾の違いに気づかないまま入金に進みやすいとみられます。

高い利回りのマイニングをうたうサイトが提携を装うため正規の機能の一部と思われやすい

同じ詐欺対策のページには、ウォレットをつながせる手口についての注意もあります。

Bad actors may also try to deceive users into connecting their wallet to third party malicious or “mining” DApps promising high yield/profits, with false claims of being affiliated with SafePal.

「SafePalと提携していると偽り、高い利回りや利益をうたう悪質な『マイニング』のDAppにウォレットをつながせようとすることがある」という意味です。本件のサイトも、ウォレットの接続から始まる作りでした。

www.safepate.comのプログラムにも「プールマイニング」の画面があり、「資金安全100%保証」「日次生産量が総額の0.3%~0.5%」と書かれていました。正規のSafePal自身が名指しで注意している形の画面が、SafePalの名前のサイトに組み込まれていたことになります。

【参考】
・SafePal(https://www.safepal.com/jp/)
・SafePal-Terms of Use(https://www.safepal.com/jp/about/terms)
・SafePal-Scam Protection(https://www.safepal.com/jp/scam-protection)

SafePalを装う偽サイトの不審点を見抜く方法

操作する前に確かめる。アドレスと書類を照合。残高表示と出金条件を確認。仕組みにない支払いは止める。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

www.safepate.comは、開いた瞬間からウォレットの接続を求め、その後も規約への同意、送金の画像の提出、銀行の口座の登録と、利用者に次々と操作をさせる作りでした。出金の段階では、さらに保証金の送金を求められています。

ここでは、サイトに何かを求められた場面ごとに、手を動かす前に確かめることを6項目にまとめました。各項目の下には、その操作の先でwww.safepate.comが何をしていたのかを書き添えています。

  • 【ウォレットの接続】つなぐ前にアドレスを正規のSafePalの照会ツールにかける
    • 正規のSafePalの詐欺対策のページで照会すると、safepate.comは「Source Not Verified」でした。アドレスも、正規のsafepal.comの末尾を替えただけの形で、同じ作りのアドレスが13個ありました。
  • 【規制ライセンス】掲げられた書類は、表紙と中の書類の名前を見比べ、発行元の記録まで確認する
    • 表紙の「SafePal」に対し、同じ番号の設立書類は「TP Token Pocket」で、コロラド州の記録では「MetaMask CFD INC」として不正と注記されていました。書類の画像があることは、許可を受けている証明になりません。
  • 【送金の画像の提出】残高は運営が手で反映する数字だと知っておく
    • 入金の画面は、送った金額と画像を「申し込み」として受け付け、到着の確認を窓口に問い合わせさせる作りでした。残高は、運営が申し込みを認めた分だけ増える仕組みです。
  • 【銀行の口座の登録】国内の口座を登録できる欄があっても、出金できる約束とは考えない
    • 出金先の欄は、日本語の画面にだけ支店名やカタカナ名の項目が用意されていました。出金の記録には「承認待ち」「拒否」の状態が用意され、送るかどうかを決めるのは運営です。
  • 【規約への同意】出金を止められる条項と、運営の名前・従う法律の有無を読む
    • サービス契約には、信用スコアが600未満なら出金できないという条項がある一方、運営する会社の名前もどの国の法律に従うのかも書かれていませんでした。
  • 【保証金の送金】サイトの仕組みにない支払いには応じない
    • 「認証保証金」の語はサイトのプログラムにも規約にもなく、出金の手数料は1%の設定だけでした。正規のSafePalは利用者の資産を預からず、凍結を解く立場にもありません。

求められた操作のどこかで説明と事実が合わないと気づいたら、その場で手を止め、次の送金や振込に進まないでください。LINEのやり取り、サイトのアドレス、送金や振込の記録を残し、専門家に相談して取り戻すための手立てを確かめてください。

SafePalを装う偽サイトに関する口コミや被害事例

似た相談と本件の違い。勧誘や先払いの要求は共通。紹介された商品や名目は異なる。同じサイトかは確認できない。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

www.safepate.comや、末尾を替えた同じ作りのアドレスを名指しした口コミは、X、Yahoo!知恵袋、掲示板のいずれでも見つかりませんでした。一方、Yahoo!知恵袋には、SafePalの名前を使った勧誘についての相談が2025年から寄せられています。

ここでは、そのうちの3件を本件と重なる点と違う点を添えて紹介します。どの相談にも本件のアドレスは出てこないため、www.safepate.comでの出来事かどうかは確かめられません。

SafePalの名前で利息の付く銀行のようなサービスを勧められたという相談

2025年8月3日の質問は、知り合った女性からSafePalの名前の運用を持ちかけられたという相談です。

知り合った女性に「私がやってるsafepalのUSDT通貨銀行は毎日利息が1%もらえる。今日も日本円にして11万円ほどの利息がもらえた。」って話をされました。
それで私が「やってみたい。」というのを持ってるようなので、やり方を聞いたら怪しいURLリンクを教えてもらいました。画像はその女性の口座?だそうです。
(後略)

知り合った相手が利益の画面を見せ、SafePalの名前を出してサイトのURLを渡す流れは本件と重なります。一方で、勧められたのは「USDT通貨銀行」という日利1%の運用で、秒単位の値動きを当てる本件の取引とは商品の形が違います。

SafePalの正規のサイトから外部のサイトへ誘導されたという回答

2025年9月11日には、LINEの友達から「セーフパルのデジタル通貨銀行」を紹介されたが詐欺ではないかという質問が投稿されました。

セーフパルのデジタル通貨銀行って知っていますか?

ラインの友達から紹介してもらいましたが、今だに詐欺なのでは?という不安があります。
(後略)

9月14日には、別の人が自分も同じような勧誘を受けたと回答しています。

私もラインで知り合った女性から、SafePalの利回りが高く毎日10〜20万円の利回りが有ると本人の画面を3日程見せられました。
あなたもやるべきと言われ同意すると、SafePalの正規サイトから外部サイトへ誘導され「デジタル通貨銀行」への入金を勧められました。
(後略)

これは回答者個人の体験と見方で、誘導された先のアドレスは書かれていません。ただ、正規のSafePalを入口にして別のアドレスのサイトで入金させる流れは、SafePalのアプリの中でwww.safepate.comを開かせていた本件の作りと一致します。

SafePalのサイトで出金を申請すると税金を求められたという相談

2026年3月22日の質問は、SafePalの名前のサイトで出金を申し込んだところ、先に支払いを求められたという相談です。

safepalで取引が終わり、出金申請をしたら、以下のように税金の支払ってからでないと出金できないということでした。これは本当ですか?
(後略)

質問には届いた通知も貼られ、USDT建ての残高と、税額を25%で計算した額、3月27日の納付期限が並んでいます。出金を申し込むと先に支払いを求められる点は本件と同じで、違うのは名目が「所得税」だという点です。

名目が税金でも保証金でも、出金の前に別の支払いを求める形は共通しています。そうした通知が届いた時点で、それ以上は送らずに文面とやり取りを保存し、専門家に相談してください。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-2025年8月3日の質問(知り合った女性にsafepalのUSDT通貨銀行を勧められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10318266570)
・Yahoo!知恵袋-2025年9月11日の質問(ラインの友達に紹介されたセーフパルのデジタル通貨銀行が詐欺ではないかという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10319835245)
・Yahoo!知恵袋-2026年3月22日の質問(safepalで出金を申請すると税金の支払いを求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12326513067)

SafePalを装う偽サイトに関する口コミが少ない理由

口コミが見つかりにくい構造。接続前は中身が見えにくい。似たサイトの記録が分かれる。検索で出なくても安全とは限らない。事案名「SafePalを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

www.safepate.comは、ウォレットのアプリの中のブラウザーで開かせる作りで、ほかのブラウザーで開いても接続の画面しか出ません。中身を見たのはウォレットをつないだ人だけなので、被害に遭った人以外が書き込む機会がほとんどないとみられます。

また、同じ作りのサイトは、末尾を替えた13個のアドレスに分かれていました。2026年9月だけでも7つのアドレスが新たに取得されています。被害を受けた人が書き込んでも、見ていたアドレスが人ごとに違えば、検索してもひとまとまりの話として見つからず、口コミとして積み重なりにくい状態です。

さらに、「SafePal」で調べると、正規のSafePalのウォレットの使い方や評判の情報が多く出てきます。偽のサイトの話はその中に埋もれ、同じ作りの別のアドレスを扱うページもLINEへ誘う返金の宣伝が中心で、被害を受けた人自身の声には行き当たりにくいのが実情です。

検索で何も出てこないことを、安心してよい理由と受け取らないでください。検索で見つけた返金の宣伝に連絡すると、手数料などの名目で新たな支払いを求められるおそれもあります。

お金を取り戻す手立ては、送金と振込の記録、サイトのアドレス、LINEのやり取りをそろえたうえで、専門家に相談して確かめてください。

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

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