動画アプリで知り合った相手とLINEでやり取りを続けるうちに、資産運用の話を持ちかけられる。こうした相談が相次いでいます。令和8年上半期のSNS型投資詐欺では、既遂1件当たりの被害額が1,362.5万円にのぼりました。
今回取り上げる「neex.uk」では、TikTokからLINEへ移ったあと、投資額の10倍から30倍の利益をうたう「2026年 慈善資産倍増プラン」への参加を勧められています。振込先は個人名義で、しかもその都度別の名義が指定されました。
3か月から6か月にわたって送金が続いたのち、2,000万円以上の出資が必要な「上級VIP会員」への切り替えを求められ相談に至っています。
画面を調べると、運営者の名称も所在地も見当たりませんでした。ロゴは同じ名前の別会社のもので、掲載されたニュースは別の組織の発表から主語だけを書き換えたものでした。
この記事では、ドメインや証明書の記録、サイトが配信しているプログラムから分かったことに加えて、同じ名前の別の事業者と取り違えないための確かめ方まで弁護士の視点から詳しく解説します。
neex.ukに関するトラブルの概要

neex.ukをめぐるトラブルでは、動画共有アプリのTikTokで知り合った相手とLINEでやり取りを続けるうちに、資産運用のプランへの参加を勧められる流れが確認されています。
途中からアシスタントを名乗る別の人物が加わり、入金する金額と振込先をその都度LINEで指示される形になっていたとうかがっています。振込先には個人名義の口座が指定されていました。
送金は3か月から6か月にわたって続き、案内されたneex.ukの画面で資産の残高を確認させられていました。その後、さらに上位の会員へ切り替えるよう求められたことで、不審な点に気づいて相談に至っています。
TikTokで知り合った相手からLINEへ移される
本件で最初の接点となったのはTikTokですが、やり取りの中心はすぐにLINEへ移っています。動画アプリで知り合い連絡先を交換してからは、相手との会話は一対一の画面の中だけで進むことになります。
この形の被害がどれくらい起きているかは、警察庁が半期ごとに公表している資料で確かめられます。令和8年(2026年)上半期の認知件数は5,893件(+3,020件)、被害額は797.9億円(+444.9億円)にのぼります。
同じ資料には、既遂1件当たりの被害額が1,362.5万円と示されています。1件あたりの金額が大きいのは、一度の送金で終わらず、期間をかけて繰り返し振り込む形が多いためとみられます。
本件も、3か月から6か月という期間にわたって送金が続いています。短期間で判断を迫られるのではなく、長い時間をかけて少しずつ金額が積み上がる点が、この種の相談に共通する特徴です。
投資額の10倍から30倍という説明で参加を勧められる
案内されたのは「2026年 慈善資産倍増プラン」という名称のプランでした。投資額の10倍から30倍の利益が得られるという説明があったとうかがっています。
公募の投資信託や上場株式で、このような倍率があらかじめ約束されることはありません。金融商品には価格が下がる可能性が必ずあり、利益をあらかじめ保証する説明はそれ自体が不自然です。高い利息と元本保証で勧誘する例は、知人から紹介された暗号資産運用のトラブルでも確認できます。
本件では、送金を重ねた後の段階で2,000万円以上の出資が必要な「上級VIP会員」への切り替えを促されています。話が向かう先は、預けた資金の引き出しではなく次の払い込みでした。利益が出ていると示されながら、手元にお金が戻る場面が一度も来ないまま金額だけが積み上がっていきます。
名称に「慈善」という語が含まれている点も、資産運用の商品としては説明がつきません。どの団体へどれだけ寄付されるのか、その資金がどこから出るのかを示す記載はサイトのどこを探しても見当たりませんでした。
neex.ukという名称の事業者を確認できない
neex.ukをブラウザで開くと、いきなりログインの画面が出ます。置かれているのは「neex」というロゴだけで、運営している会社の名称も、所在地も、連絡先も、この画面には書かれていません。
ただし、この画面には「ログインをスキップ」というボタンが用意されています。メールアドレスの入力も登録も求められず、押すだけで取引の画面に入れます。押した先に出てくるのが次の画面です。
▼neex.ukのトップ画面

出典:neex.uk
画面の上部にあるのは「neex」の文字だけで、会社名にあたる表示はここにもありません。日本語で表示されているにもかかわらず、事業者を特定できる情報が画面上に見当たらない状態です。
ドメインの登録記録をたどっても、登録者の欄は非公開とされていました。誰が用意したサイトなのかを外から確かめる手がかりが、公開された記録のどこにも残っていないことになります。
公的機関が同種の勧誘に注意を呼びかけている
金融庁のウェブサイトには、SNSやマッチングアプリ経由の投資勧誘だけを扱った注意喚起のページが置かれています。本件と同じく、やり取りがメッセージアプリの中で進む形が想定されています。
そこでは、指定された口座へ振り込ませたうえで、サイトやアプリの画面上だけで利益が出ているように見せるという流れが示されています。実際には資金が運用されていない場合があることも記されています。
本件でも、残高が表示されるのは案内されたサイトの画面の中だけでした。振り込んだ資金が実際にどこへ移り、何に使われたのかを利用者の側から確かめる手段はありません。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、LINEで振込先を指定されたときは、その場で手続きを進めずに一度止まることをおすすめします。家族や弁護士などの専門家に相談するだけでも、確かめられることは少なくありません。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・金融庁-SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
neex.ukへ誘導され被害につながるまでの経緯

今回のトラブルは、投資を探していたわけではない場面での知り合いから始まり、3か月から6か月にわたって振込が繰り返される形で進んでいます。途中で出金を試みる段階には至らず、送金だけが続いていました。
振込先は一つに固定されず、その都度別の個人名義の口座が指定されていました。どの段階で何が起き、どこに立ち止まる手がかりがあったのかを、時系列に沿って見ていきます。
TikTokで知り合った相手とLINEへ場所を移す
最初の接点は、動画共有アプリのTikTokでした。日本人の氏名を名乗る相手と知り合い、やり取りの場はほどなくLINEへ移っています。ここまでに投資の話は出ていません。
話が投資へ向かったのは、やり取りがある程度続いたあとでした。運用先を自分で探していたわけではないところに、向こうから持ち込まれている点が、本件の入口の特徴です。すでに打ち解けた相手からの話になるため、内容を調べ直すきっかけが生まれにくくなります。
LINEへ移ったあとは、やり取りが一対一の画面の中だけで続きます。第三者の目に触れる場がなくなるため、送られてくる説明が正しいかどうかをその場で誰かに確かめてもらう機会が生まれません。
アシスタントを名乗る人物が加わりプランを案内される
しばらくすると、最初の相手のアシスタントを名乗る別の人物が加わります。ここから二人体制でのやり取りになり、案内や手続きの説明はこのアシスタントが担う形になりました。相手が複数になることで、組織として動いているような印象が生まれます。
このとき、相手側から在留カードの画像などが送られてきたとうかがっています。身分証を見せることで本人確認が済んだように見せる進め方ですが、画像を受け取った側にはその記載が本物かどうかを確かめる手段がありません。
案内されたのが「2026年 慈善資産倍増プラン」です。投資額の10倍から30倍の利益が得られるという説明とあわせて、参加を勧められています。契約書の取り交わしも、対面での説明もないままLINEの画面の中だけで話が進んでいました。
指示されるまま個人名義の口座へ振り込む
送金の手段は銀行振込で、宛先として伝えられたのは個人の名前の口座でした。しかも一つに固定されず、振り込むたびに別の名義が指定されています。法人名でも屋号でもなく、その都度違う個人の氏名が並ぶ形です。
金融商品の取引を扱う事業者であれば、顧客から預かる資金は事業者名義の口座で受け入れるのが通常です。個人の名前の口座が入金先として案内される時点で、事業者の資金として扱われていない可能性が出てきます。
法人名義であれば、商業登記からその法人の所在地や代表者をたどることができます。しかし個人名義の場合、振込画面に表示される名前以外に相手を確かめる手がかりが残りません。
宛先が毎回変わる点についても、事業上の説明は付きにくいところです。同じ事業者への入金でありながら受取人が入れ替わるのは、通常の商取引では起こりにくい形といえます。
サイトの画面で残高を示され送金が続く
振込を終えると、案内されたneex.ukの画面で資産の残高を確認するよう促されます。画面上の数字は増えていき、運用がうまくいっているように見える状態が続きました。振り込んだ金額が反映され、そこに利益が上乗せされていく表示になります。
途中からは「国際黄金取引への入金」という名目でも送金を求められています。金の取引を指す言葉ですが、実際にどの市場でどのような取引が行われたのかを示す記録は示されていません。
ここで重要なのは、増えていく数字が表示されるのはneex.ukの画面の中だけだという点です。銀行の残高や証券会社の取引報告書のように、外部の機関が発行する記録と突き合わせることはできません。
送金は3か月から6か月にわたって続いています。画面の数字が増えるたびに手応えが生まれ、次の振込に進みやすくなる流れができていました。一度に大きな金額を求められるのではなく、期間をかけて少しずつ積み上がっていきます。
さらに上位の会員への切り替えを求められ被害につながる
ある段階で、2,000万円以上の出資が必要な「上級VIP会員」への切り替えを勧められます。これまでの送金で表示上は利益が出ているにもかかわらず、引き出しの手続きではなく追加の払い込みが案内される形でした。
資産運用の商品であれば、増えた資産をどう受け取るかは利用者が決めることです。より上位の区分へ進むために新たな資金が必要になるという説明は、運用の話とは性質が異なります。
この求めをきっかけに不審な点に気づき、警察への相談を検討する段階に至りました。表示上の利益を受け取れないまま、払い込んだ金額だけが積み上がっていたことになります。
一つひとつの指示は、その場では不自然に見えないように組み立てられています。しかし、入金だけが続いて出金の話が出てこないという一点に目を向ければ、途中で立ち止まる手がかりになります。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
neex.ukの関連サイトの情報を調査した結果

運営者の名称が画面に出てこないことは、前章で触れたとおりです。では、サイトの外側にはどのような記録が残っているのでしょうか。ここからは、neex.ukの関連サイトの公開情報をたどっていきます。
たどったのは4つです。ドメインの登録機関が残している記録、証明書が発行された履歴、サイトが接続している先のドメイン、そして日本の当局が公表している一覧になります。いずれも読者の方がご自身で同じ手順を踏めるものです。
| URL | neex.uk |
|---|---|
| ドメインの登録日 | 2026年3月15日 |
| 有効期限 | 2027年3月15日 |
| 登録機関 | Cloudflare, Inc. |
| ネームサーバー | Cloudflare |
| 登録者 | 非公開 |
| 証明書の最も古い記録 | 2026年3月15日 |
| 同じ内容の別ドメイン | neex-jp.us(2026年6月15日登録) |
| 接続先の別ドメイン | gte2.uk(2026年4月24日登録) |
ドメインが取得されたのは2026年3月15日
「.uk」で終わるドメインは、英国のNominetという機関が管理しています。いつ取得されたかという記録はRDAPという仕組みで公開されており、専用のアドレスをブラウザで開けば同じ内容をその場で読むことができます。
▼neex.ukの登録記録(registrationが登録日を示す)

出典:Nominet(RDAP)
取得の日付を示すregistrationの欄に記録されていたのは、2026年3月15日でした。相談では3か月から6か月にわたって送金が続いたとうかがっていますので、ドメインが用意されてから間もない時期に勧誘が始まっていたことになります。
同じ記録の登録者の欄は、非公開とされていました。あわせて管理機関からの注記として、登録された名称と住所は検証されていない旨が記されています。届け出た内容がそのまま載る仕組みであり、実在する人物や会社が確かめられたわけではありません。
証明書の発行履歴もドメインの取得日と重なる
ウェブサイトが通信を暗号化するために使う証明書は、発行されるたびに公開の台帳へ記録されます。この台帳はcrt.shというサイトから検索でき、ドメイン名を入力するだけで発行の履歴が一覧で表示されます。
▼neex.ukの証明書の発行履歴

出典:crt.sh
一覧をいちばん下までたどると、最初の発行は2026年3月15日でした。ドメインの取得と証明書の手配が同じ日に行われていることになり、サイトを立ち上げる作業がこの日から動き出していると読める記録です。
直近では2026年8月14日にも発行されており、現在も稼働が続いていることが分かります。発行元は途中で何度か入れ替わり、中国の認証局が発行したものも含まれています。
同じ内容のサイトが別のドメインでも動いている
この証明書の一覧には、もう一つ見落とせない点があります。2026年6月15日に発行された分に、neex.ukとは別のドメイン名が一緒に記載されているのです。証明書は対象となるドメインを列挙して発行されるため、そこに並ぶ名前には意味があります。
並んでいたのはneex-jp.usというドメインです。一つの証明書に複数のドメインを載せられるのは、その全部について管理する権限を持っていることを証明できた場合に限られます。
実際に開いて確かめたところ、配信されているトップページのファイルも、画面を組み立てるプログラムのファイルも、neex.ukのものと1バイトも違いませんでした。ファイルの更新日時まで一致しています。
ドメインの登録機関もネームサーバーも同じで、登録日は2026年6月15日、つまり証明書が発行された日と同じです。同じ運営者が、同じ中身のサイトを2つのドメインで動かしているとみられます。
なお、neex.ukは通信を中継するサービスの背後に置かれているため、実際のサーバーがどこにあるのかは分かりません。一方のneex-jp.usは中継を通していないため、接続先のIPアドレスがそのまま見える状態でした。
そのIPアドレスを逆引きすると、同じサーバーに13件のホスト名が登録されていることが確認できます。うち5件は「neex」の文字を含む名前でした。個々のサイトについてここで論じることはしませんが、一つのサーバーの上に複数の名前が並んでいる状況は読み取れます。
カスタマーサービスが別のドメインに置かれている
サイトの「サービス」から問い合わせに進むと、画面はkf.gte2.ukという別のドメインへ移ります。neex.ukの中で完結せず、外部に置かれた仕組みを呼び出す形になっています。
このドメインは2026年4月24日に登録されており、neex.ukの約1か月後にあたります。接続先のアドレスには利用者を識別する文字列が付いており、複数の事業者が同じ仕組みを共用する形になっているとみられます。
同じドメインには、アプリの配布に使われているとみられるアドレスも用意されていました。そちらを開くと、中国語のチャット製品の名称がページの表題として表示されます。
問い合わせの窓口が外部の共用サービスに置かれていること自体は珍しくありません。ただし本件では、運営者の名称も所在地も示されないまま、連絡手段だけが別の事業者の仕組みに載っている状態です。
同じ「Neex」の名前で警告を受けた別の事業者がある
ここからは、日本の当局の記録を見ていきます。ただし、その前に注意していただきたい点があります。「neex」で調べると日本の当局から警告を受けた事業者が見つかりますが、それは本記事で扱っているサイトの運営者ではありません。
金融庁は、登録を受けずに金融商品取引業を行っている者の名称を一覧にして公表しています。海外の事業者も対象で、警告を行った時期とあわせて掲載されます。そこには、次の記載がありました。
▼金融庁の無登録業者一覧に掲載されたNeex (Pty) Ltd

出典:金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
掲載されているのはNeex (Pty) Ltdという南アフリカの事業者で、関東財務局が令和7年10月31日付で警告を行っています。公表資料には所在地としてヨハネスブルグの住所が記されていました。
この事業者が運営するサイトのドメインは2000年に登録されたもので、2026年3月に登録されたneex.ukとは別のものです。運営者も、扱っている取引の形も異なります。
つまり「Neex」という同じ名前が、まったく別の二者によって使われていることになります。検索して出てきた警告を本件のサイトのものと受け取ると、かえって実態を見誤ることになりかねません。
金融庁の記録にneex.ukの名称が見当たらない
では、本件のサイトのほうはどう扱われているのでしょうか。金融庁は登録業者と無登録業者をまとめて調べられる検索を用意しており、そこで「neex」を調べた結果が次の画面です。
▼金融庁の金融事業者一括検索で「neex」を検索した結果

出典:金融庁「金融事業者一括検索」
該当したのは1件だけで、それが前に触れたNeex (Pty) Ltdでした。名称の前に付いた記号は、金融庁または財務局が警告書を発出した無登録業者であることを示しています。
一方で、neex.ukというドメイン名も、このサイトが画面に表示している名称も、登録業者の一覧には見当たりません。先ほどの無登録業者の一覧にも、該当する掲載はありませんでした。
ここで気をつけたいのは、一覧に名前がないことをもって安全とは判断できないという点です。同じ画面には「実在の事業者を騙った詐欺もありますのでご注意ください。」との一文も置かれています。
登録も警告もないということは、この運営者を公的な記録から照会する手段がないということでもあります。画面に示された問い合わせ窓口のほかに、連絡をたどれる先が残っていません。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
・neex-jp.us(https://neex-jp.us/)
・関東財務局-無登録で金融商品取引業等を行う者について(Neex (Pty) Ltd)
neex.ukに関する不審点

ここからは、neex.ukの画面と、その画面を組み立てているプログラムを調べた結果を整理します。6つの点に分けて見ていきますが、いずれも送金の前に気づける手がかりとして挙げるものです。
並べる順序は、専門的な知識がなくても画面を開くだけで確かめられるものから、プログラムの中身をたどらないと見えないものへという流れにしています。前半の3つは、読者の方がご自身で同じ画面を開いて確認できます。
運営者が誰かを確かめる手段が画面に用意されていない
ドメインの登録記録に運営者の情報が残っていないことは、前章で確認したとおりです。では、サイトの画面の側にはどこまで書かれているのでしょうか。規約類から順に見ていきます。
neex.ukの利用規約は、登録をしなくても画面から開けます。全部で7つの条文があり、サービスの説明から取引ルール、資金の安全、サービスの終了まで、一通りの項目が並んでいます。
▼neex.ukの利用規約(ログインなしで確認可)

出典:neex.uk
ただし、この7条のどこにも、運営している会社の商号も、所在地も、連絡先も書かれていません。さらに、どの国の法律に従うのか、争いになったときにどこの裁判所で扱うのかという条項も置かれていません。
日本で事業を行う会社であれば、特定商取引法や金融商品取引法にもとづいて、事業者名と所在地を画面に表示することが求められます。その表示に相当するものが、このサイトのどこにも見当たらない状態です。
なお、プログラムを調べたところ、会社を紹介するページ自体は用意されていました。ただしサイトの39のページを調べても、そのページへ進むためのリンクがどこにも置かれていません。アドレスを直接入力して開こうとするとログインを求められます。
つまり、登録をする前に運営者を確かめようとしても、そこへたどり着く道が用意されていないということになります。名称を知るだけでも、まず登録を済ませる必要があるという順序です。
プライバシーポリシーがデータ復旧サービスの規約になっている
利用規約と並んで、プライバシーポリシーもログインなしで読めます。こちらも日本語で表示されるのですが、読み進めると内容が投資のサービスのものではないことに気づきます。
▼neex.ukのプライバシーポリシー(第1条の見出しは「データ復旧情報の機密性」)

出典:neex.uk
第1条の見出しは「データ復旧情報の機密性」となっています。個人情報の取り扱いを定める条文が並ぶはずの場所に置かれた見出しです。本文には次のように書かれています。
当社が提供するデータ復旧製品またはサービスをご利用いただく際、ユーザーは当社がハードウェアデバイス(ハードディスクに含まれるがこれに限定されない情報を含む)を使用してデータ復旧を行うことを許可する必要があります。
データ復旧とは、壊れたハードディスクなどから記録を取り出す作業のことです。資産を預けて運用するサービスの規約として、この条文が置かれている理由は説明が付きません。
さらに画面を下へたどっていくと、最後の条文に準拠法と管轄裁判所の定めが置かれています。争いになったときに、どの国の法律でどこの裁判所が扱うのかを決める条項です。
▼プライバシーポリシー第6条(準拠法と管轄裁判所が記載)

出典:neex.uk
- 本規約の効力、解釈および紛争の解決は、中華人民共和国大陸法に適用されます。…ユーザーは紛争または争議を当社の所在地を管轄する人民法院に提出することに同意します。
ここで注意したいのは、運営者の商号も所在地もどこにも書かれていないにもかかわらず、「当社の所在地を管轄する人民法院」と定められている点です。どこの裁判所なのかを読者が知る手立てがありません。
同じ条文の第4項には、「復旧が必要なデータのデバイスとデータの所有権を確認する必要があります」という記載も残っています。第1条と同じく、データ復旧の事業者向けの文面がそのまま使われているとみられます。
掲載されているニュースが別の組織の発表を書き換えたもの
neex.ukのトップ画面を下にたどると、ニュースの一覧が置かれています。そこから開ける記事は2本あり、日本語で表示しているにもかかわらず、いずれも簡体字の中国語のままでした。
▼neex.ukに掲載されているニュース(※赤枠が「创新型交易所」の記述)

出典:neex.uk
内容は、工業用シリコンの先物とオプションが賞を受けたという報告です。主語には繰り返し「中国銀河国際控股有限公司」という社名が置かれています。実在する香港の金融グループの名称です。
しかし、この文章には同じ社名を「創新型交易所」、つまり革新的な取引所と呼ぶ一節が含まれています。別の段落では、先物とオプションが「中国銀河国際控股有限公司に上場した」とも書かれています。証券会社に商品が上場することはありません。
この文章の一節を検索して出どころを調べたところ、広州先物取引所(広州期貨交易所)が2023年9月22日に公表した発表と一致しました。中国の先物取引所が、自らの商品が受賞したことを伝える記事です。
▼広州先物取引所の公式発表(主語は「广期所」となっている)

出典:広州期貨交易所
並べてみると、違っているのは主語だけでした。文の構造も、句読点の位置も、挙げられた数値もそろっています。
| neex.ukの掲載 | 広州先物取引所の発表 | |
|---|---|---|
| 主語 | 中国銀河国際控股有限公司 | 广期所(広州先物取引所) |
| 評価の一節 | 「作为创新型交易所」 | 「作为创新型交易所」 |
| 上場先 | 「在中国銀河国際控股有限公司上市」 | 「在广期所上市」 |
| 掲げる数値 | 日均成交量8.3万手/日均成交额60.2亿元 | 同一 |
| 記事に付いた日付 | 2023-07-07 | 2023-09-22 |
取引所の発表の主語だけを証券会社の名前に置き換えたために、「取引所」という語がそのまま残ったとみられます。掲げられている取引量の数値も、一桁も違わず原文と同じでした。
日付にも食い違いがあります。本文が伝える受賞は2023年9月21日のできごとですが、記事に付いた日付は同じ年の7月7日で、受賞より2か月半も前になっています。起きていないことを報じた記事ということになってしまいます。
もう1本の記事も同じ形でした。本文は「10月22日」に行われた研修の修了式の報告ですが、記事に付いた日付は7月17日です。文中で同社の総経理として紹介されている氏名も、調べると広州先物取引所の役員のものでした。
ロゴが別の会社のもので見出しの日本語も崩れている
サイトが掲げているロゴにも、確かめるべき点があります。neex.ukを開いて最初に出るログイン画面には、図案化されたマークと「neex」という文字の組み合わせが置かれています。
▼neex.ukのログイン画面に置かれたロゴ

出典:neex.uk
このマークと文字の組み合わせは、南アフリカで金融当局の認可を受けて営業している、同名の事業者の公式ロゴと同じものでした。両方の画像ファイルを取得して画素ごとに比べたところ、縦横の寸法が一致し、色の差もほぼありません。保存し直した際の誤差の範囲に収まる程度です。
その事業者は、自社のウェブサイトで公式のドメインは自社のものだけであることを明示し、それ以外のドメインに注意するよう呼びかけています。本件のドメインはそこに含まれていません。
ロゴのほかに、登録前の画面に出てくる見出しにも崩れがあります。登録・ログイン・ゲストログインの3つのボタンが並ぶ画面で、いちばん上に大きく置かれている文言です。
▼登録前の画面。「へようこそ neex」と表示

出典:neex.uk
表示されているのは「へようこそ neex」という一文でした。日本語であれば「neexへようこそ」となるはずのところ、語の順序が入れ替わったまま画面に出ています。
プログラムを調べると、理由が分かりました。「へようこそ」という文字列の後ろにサイト名を機械的につなぐ処理が書かれており、英語の「Welcome to 」であれば成立する形をそのまま日本語に当てはめています。
さらに同じ処理のなかに、「Elemt Coin」という別のブランド名が条件として残っていました。サイト全体を調べても、この名前が出てくるのはここ1か所だけです。別の名前で使われていたものを流用した痕跡とみられます。
値動きのデータに運営側が価格を指定できる項目がある
neex.ukが扱う銘柄の一覧は、ログインをしなくても読み取ることができます。決まったアドレスをブラウザで開くと、価格や取引時間などのデータが文字のまま画面に表示されます。
▼neex.ukが返す銘柄のデータ(fake_target_priceなどの項目が並ぶ)

出典:neex.uk
ここに並ぶ項目のなかに、「fake_」という語で始まるものが5つ含まれています。fakeは英語で「偽の」を意味する語で、銘柄ごとに同じ5項目が用意されていました。
| 項目名 | 意味 |
|---|---|
| fake_enabled | 有効にするかどうか |
| fake_target_price | 目標とする価格 |
| fake_volatility | 変動の幅 |
| fake_start_time/fake_end_time | 開始と終了の時刻 |
| fake_remaining_seconds | 残りの秒数 |
目標とする価格と変動の幅、そしてそれを適用する時間を指定できる形になっています。調べた時点では、どの銘柄もいずれの項目も0または空欄で、実際に使われている様子はありませんでした。
注目したいのは、サイト側の画面を組み立てるプログラムが、これらの項目を一度も使っていない点です。39のファイルすべてを調べても、参照している箇所は見つかりませんでした。
つまり、これらは利用者の画面のためではなく、運営する側の設定として用意されている項目とみられます。画面に出る価格が外の市場をそのまま映しているのかどうか、利用者の側から確かめる手立てはありません。
日本語に置き換えられていない画面が残り出金を妨げる仕組みが組み込まれている
表示言語を日本語にしても、中国語のままの画面が残っています。プログラムに含まれる文言を言語ごとに突き合わせたところ、中国語には用意されているのに日本語には訳されていない項目が72件ありました。
その72件がどの画面で使われるものかを分類すると、はっきりとした偏りが見えてきます。すべての画面に均等に散らばっているわけではありません。
| 画面 | 日本語になっていない項目 |
|---|---|
| 借入(ローン) | 14項目すべて(借款账户/最高借款额度/日利率/确认贷款 ほか) |
| 銀行口座の登録 | 14項目すべて(添加钱包/开户行地址/开户真实姓名 ほか) |
| 資金明細の種別 | 11項目(国际黄金/系统存入/赠送/借款/还款 ほか) |
| 登録画面の一部 | 18項目(开户码/手机号/设置密码 ほか) |
お金を借りる画面と、出金先の口座を登録する画面だけが、項目の一つ残らず中国語のままという形です。入金や取引の画面は日本語になっているため、訳し忘れというより、手が回っていない範囲が偏っているように見えます。
資金明細の種別に「国际黄金」があります。相談で「国際黄金取引への入金」と案内された名目と一致する項目が、はじめから用意されていたことになります。同じ一覧には「系统存入」、つまりシステムによる入金という種別も含まれていました。利用者の操作では生じない区分です。
借入の画面には、「提交成功,请耐心等待审核!」(提出しました。審査をお待ちください)という文言と、「已拒绝」(却下済み)という状態が用意されています。申し込みを通すかどうかを運営側が決める仕組みが、あらかじめ組み込まれている形です。
最後に、会社の紹介にあたるページを開こうとすると、まったく別の画面が出てくる点も挙げておきます。アドレスの名前は会社紹介を指しているのですが、表示される中身が一致していません。
▼会社紹介のページを開くと「Yu’ebao詳細」が表示される

出典:neex.uk
画面の上に出る見出しは「Yu’ebao詳細」で、その下に簡体字の説明文が続きます。中国の資産運用サービスを案内する文面で、「日化1%」、つまり1日あたり1%という利回りと、「最低20元から」という金額が書かれていました。単位は日本円ではなく元です。
ここまで見てきた6つに共通しているのは、このサイトのために用意されたものが、ほとんど見当たらないという点です。規約は別の業種のもの、ニュースは別の組織の発表、ロゴは別の会社のもので、見出しの文言も別のブランド向けのまま残っています。
そして、それらはいずれも画面の表側に出ています。相手から届く説明を読むのではなく、画面そのものを開いて読みにいけば、登録をする前の段階でも気づけた点が並んでいるということでもあります。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
・広州期貨交易所-广期所工业硅期货和期权荣获FOW最佳新合约奖(http://www.gfex.com.cn/gfex/bsyw/202309/889f09503b544df9807f16b1a753e650.shtml)
neex.ukのようなサイトが悪用されやすい理由

前章では、画面とプログラムに残る不審な点を並べました。では、そうした作りのサイトが、なぜ送金の相手として受け入れられてしまうのでしょうか。不自然な点が表に出ているにもかかわらず、送金が3か月から6か月も続いています。
理由は一つではありません。ここでは、本件の構造から見えてくるものを4つに分けて挙げます。いずれも、このサイトに限らず同じ形の勧誘に当てはまる点です。
登録をしなくても中の画面を見せられる
neex.ukには「ログインをスキップ」というボタンがあり、メールアドレスも入力しないまま取引の画面に入れます。銘柄が並び、価格が動き、入出金のボタンが用意された画面です。
勧誘する側から見ると、これは相手に何も求めないまま「中身」を見せられるということです。登録をためらう人にも、まず画面を開いてもらうところから始められます。動いている画面を見た後では、説明の受け取り方も変わります。
一方で、この画面から分かるのは並んでいる項目だけです。誰が運営しているのか、預けた資金がどこへ行くのかは、ここからは確認できません。
日本語で表示されるため海外の仕組みだと気づきにくい
画面の大半は日本語で表示されます。ボタンの名前も、入金や出金の案内も、利用規約もプライバシーポリシーも日本語です。そのため、日本の利用者に向けて用意されたサービスのように見えます。
しかし前章で見たとおり、借入や口座登録の画面は中国語のまま残り、準拠法は中華人民共和国の法律と定められています。表示されている言語と、実際にそのサービスが立っている場所は別のものです。
日本語で読めるという一点は、日本の法律に沿って運営されている根拠にはなりません。見るべきなのは表示の言語ではなく、事業者の名称と所在地、そして規約に準拠法が書かれているかどうかです。
銀行振込は相手を確かめないまま手続きが完了する
本件の送金はすべて銀行振込でした。振込は、口座番号と名義が合っていれば手続きが通ります。その名義の人物が何者で、受け取った資金をどうするのかまでを銀行が代わりに調べてくれるわけではありません。
暗号資産の送付と違って、振込は多くの方が日常的に行う操作です。手順に慣れている分だけ、送る先そのものに目が向きにくくなります。
さらに本件では、宛先が毎回入れ替わっていました。一度使った口座が凍結されても次の口座に切り替えれば受け取りを続けられるため、送る側が同じ相手だと認識したまま受け取る側だけが変わっていく形になります。
同じ中身を別のドメインで動かし続けられる
前章で触れたとおり、neex.ukとまったく同じ中身のサイトが、別のドメインでも動いていました。画面を組み立てるプログラムは一式のファイルでできており、どのドメインに置いても同じように動きます。
ドメインは1年あたり数千円程度で取得できます。一つのアドレスが使えなくなっても、別のアドレスに同じ中身を載せ直せば、同じ画面をすぐに再現できるということです。
実際、このサイトのプログラムには別のブランド名が残っていました。名前を差し替えて使い回せる作りになっているため、特定のサイト名を覚えて避けるという防ぎ方では追いつきません。
だからこそ、名前ではなく「運営者の名称と所在地が書かれているか」「規約に準拠法と管轄があるか」といった、どのサイトにも共通して当てはまる点を確かめることが手がかりになります。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
neex.ukの不審点を見抜く方法

前章までに挙げた点は、手元のスマートフォンとブラウザだけで、相手に何かを尋ねることなく確かめられます。投資のサイトを案内されたときに手を動かせるよう、6つの確認を順に並べました。上に行くほど手軽な作業です。
- 会社の名前と住所が書かれた場所に、たどり着けるかを試す
- トップ画面、規約、問い合わせの案内と順に開き、商号・所在地・連絡先の3つがそろう場所を探してください。本件では、会社を紹介するページ自体は用意されているのに、そこへ進むボタンもリンクも、どの画面にも置かれていませんでした。ここでつまずくと、以降の照会はどれも手が付けられません。
- 規約とプライバシーポリシーを、最後の条文まで読む
- 冒頭だけでなく、いちばん下までたどってください。見るのは、どの国の法律に従うのか(準拠法)と、争いになったときどこの裁判所で扱うのか(管轄)の2点です。本件の利用規約にはその条項がなく、プライバシーポリシーには「中華人民共和国大陸法」「当社の所在地を管轄する人民法院」とありました。所在地が書かれていないのに、その所在地の裁判所が指定されている状態です。
- 掲載されている文章の一節を、そのまま検索にかける
- 会社紹介やニュースが載っていたら、本文から一文をコピーして検索窓に貼り付けてみてください。転載であれば元の記事が出てきます。本件のニュースは広州先物取引所の公式発表と一致し、証券会社を「取引所」と呼ぶ記述まで残っていました。出どころが別の組織ならその会社の実績とは無関係です。
- サイト名で検索し、同じ名前の事業者が実在しないかを見る
- 画面に出ている名前をそのまま検索し、同じ名前の事業者が実在したら公式サイトを開いてロゴを並べてください。本件のロゴは、南アフリカで金融当局の認可を受けている同名の事業者のものと同じでした。あわせて、その事業者が「公式のドメインはこれです」と案内していないかも見てください。案内されたアドレスがそこに含まれなければ、別のサイトです。
- そのアドレスがいつから使われているものかを、2つの記録で確かめる
- 1つ目は証明書です。「crt.sh」でドメイン名を検索すると発行の履歴が並び、いちばん下が最初の発行になります。本件は2026年3月15日でした。2つ目はドメイン自体の登録記録です。「https://rdap.org/domain/」の末尾にドメイン名をつなげば表示されます。本件はこの2つが同じ日でした。長く続く事業者なら、最初の記録は何年も前にさかのぼるはずです。
- 金融庁で名前を調べ、出てきた事業者が本当に同じ相手かを見る
- 「金融事業者一括検索」に名称を入力すると、登録業者と、警告を受けた無登録業者の両方を一度に調べられます。注意したいのは、同じ名前の別の事業者が出てくる場合があることです。本件も1件が該当しましたが、南アフリカの別の事業者で、案内されたサイトの運営者ではありませんでした。結果が出たら、その事業者の所在地とドメインまで見て、案内されたサイトと同じかどうかを確かめてください。
はじめの3つは、サイトを開いて読むだけです。登録も入力も要らず、相手に知られることもありません。
すでに振り込んでしまった場合は、そこから先の払い込みを止めるところから始めてください。画面上で利益が出ていても、上位の会員への切り替えや手数料を理由に新たな入金を求められるのであれば、それは資金を受け取るための手続きではありません。
あわせて、手元の記録を残してください。本件のように振込先が毎回変わる場合、どの口座にいつ送ったかが分かるのは自分の控えだけです。振込明細、通帳の記載、サイトの画面、そして相手側から消されることのあるLINEのやり取りを保存したうえで、弁護士などの専門家に見てもらうことをお勧めします。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
neex.ukに関する口コミや被害事例

送金を求められたとき、同じサイトを使った人の書き込みが残っていれば判断の材料になります。そこで、本件の2つのアドレスを手がかりにSNSと掲示板で口コミ・事例を探しました。
結論として、「NEEX」という語での書き込み自体は数多くある一方で、本件のドメインを挙げたものは一つも見つかりませんでした。以下、順に見ていきます。
Xにはこのドメインを挙げた投稿がない
X(旧Twitter)では、neex.ukと、同じ中身が置かれているもう一つのアドレスの両方で検索しました。どちらについても、該当する投稿はありませんでした。
「neex」の4文字だけで検索すると投稿は出てきます。ただし開いてみると、いずれも海外のFX業者を話題にしたものでした。neex.ukというアドレスが書かれた投稿はそこに含まれていません。
Yahoo!知恵袋にも本件と結びつく相談が見当たらない
Yahoo!知恵袋でも、同じ2つのアドレスで探しています。該当する投稿は一件も出てきませんでした。
TikTokやLINEで知り合った相手から投資を勧められたという相談自体は、数多く寄せられています。ただしサイトの名前まで書かれているものは少なく、書かれている場合も本件とは別の名称でした。
本件のように、やり取りがLINEの中で完結する場合、サイトの名前を誰かに伝える場面そのものが生まれにくいという事情もあります。
検索で出てくる「NEEX」の評判は別の事業者のもの
ここが本件でとくに気をつけたい点です。「NEEX」で調べると、評判やレビューを扱ったページは日本語でも英語でも数多く見つかります。件数だけを見れば、情報がそろっているように思えます。
ただし、それらを開いて確かめると、扱われているのは南アフリカで営業している同名のFX業者でした。前章までに見たとおり、その事業者は本件のサイトの運営者ではありません。ドメインの取得は2000年で、規制を受けている国も異なります。
ドメインが違い、運営者も違う以上、そこに並ぶ評価は、良い内容であれ悪い内容であれ、本件のサイトについて述べたものではありません。「検索したら評判が出てきた」という理由で判断すると、別の会社の評価をもとに決めてしまうことになります。
掲示板も同じでした。「neex」を含む書き込みはいくつか残っていますが、本件のアドレスを挙げたものは確認できていません。
調べるときは、サービスの名前ではなく、案内されたアドレスそのものを検索窓に入れてください。名前が同じでも中身が別であることは、本件のように実際に起こります。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
・neex-jp.us(https://neex-jp.us/)
neex.ukに関する口コミが少ない理由

前章で見たとおり、本件は「調べても何も出てこない」という状態とは少し違います。「NEEX」で検索すれば情報は山ほど出てくるのに、その一つも本件のサイトのものではないという状態です。
なぜこうなるのか。調べた範囲では、3つの事情が重なっているとみられます。いずれも本件に限った話ではなく、同じ形の勧誘に共通する条件です。
同じ名前の事業者が先に存在していた
一つ目から見ていきます。南アフリカのFX業者は2000年からドメインを持ち、レビューサイトや掲示板に評価が積み上がっています。
日本の当局から警告も受けているため、それを扱う記事も複数あります。検索の結果はこの事業者の情報で埋まり、2026年に現れた本件のサイトが入り込む余地がありません。
そして、このサイトが画面に出す名前は「neex」の4文字だけです。それ以外に検索の手がかりとなる語が画面から得られないため、調べようとした人は必ず同名の事業者にたどり着きます。
サイトの過去の姿をたどる記録がない
二つ目は、このサイトが以前どんな画面だったかを確かめられないことです。インターネット上のページを保存しているインターネットアーカイブを調べたところ、neex.ukに残っていたのは2018年の4件だけでした。現在の運営が始まった2026年3月以降の記録はありません。
同じ中身が置かれているもう一つのアドレスと、問い合わせの接続先になっているドメインについても、保存の記録は見つかりませんでした。ドメインを取得してから半年ほどしか経っておらず、外部に痕跡が積み上がる時間そのものがなかったことになります。
やり取りが二者の間だけで閉じている
三つ目は、会話が外に出ない構造になっていることです。本件の入口はTikTokで、そのあとのやり取りはLINEの中だけで進んでいます。勧誘する側と勧誘される側の二者しかおらず、第三者がその会話を目にする場面がありません。
サイトの名前を誰かに伝える機会がなければ、書き込みも生まれません。やり取りが閉じているほど、外から見つかる情報は少なくなります。
この3つが重なると、本件のサイトについて調べた人の手元には、別の事業者の評判だけが残ることになります。そこに悪い評価が並んでいても良い評価が並んでいても、目の前のサイトを判断する材料にはなりません。
評判を集めるという調べ方が届かないのであれば、記録のほうを見にいくしかありません。前章に挙げた6つは、どれも他人の感想ではなく、公開されている記録と画面そのものを確かめる手順です。
運営者の名称が示されているか、ドメインがいつから使われているか、日本での登録があるか。いずれもご自身の手で確かめられます。
そして、すでに振り込んでいる場合は、画面上で利益が出ていても次の入金には応じないでください。手元の控えとLINEのやり取りを保存したうえで、弁護士などの専門家に相談するところから始めていただければと思います。
【参考】
・neex.uk(https://neex.uk/)
・Wayback Machine(https://web.archive.org/)

