半年で797.9億円。これは警察庁の暫定値が示す、令和8年上半期のSNS型投資詐欺の被害額です。知人からの紹介のように警戒されにくい入口から始まる勧誘にも、金融庁は注意を呼びかけています。
今回相談が寄せられた「gofx01cmcc.com」は、金色の「FX」の文字を掲げるだけで、運営会社の名前を示していない取引サイトです。LINEで知り合った人物の紹介で登録した相談者は、名義の違う口座へ入金を重ねた末に、出金の段階で保証金や税金、アクティベーション費用などを次々に求められました。
調べると、サイトのプログラムには税金やアクティベーション費用に当たる手続きが見当たりません。相談者が使っていたサポートのチャットは、ドメインが止められた約4時間後には新しく登録された別のドメインへ移されていました。
サイトの設定や証明書の記録、当局の資料を手がかりに、会社名のない取引サイトを見分けるための手順を弁護士が解説します。
gofx01cmcc.comに関するトラブルの概要

今回の相談は、LINEで知り合った人物から紹介を受け、FXの取引サイト「gofx01cmcc.com」で投資を始めたことが発端です。入金は、指定された個人名義や法人名義の口座へ、銀行振込で何度かに分けて行われました。
画面の上では大きな利益が出ていましたが、出金を申し出ると保証金、税金、口座情報の入力ミスによる訂正費用、アクティベーション費用、両替資金と、名目を変えながら次々に支払いを求められました。相談者は、紹介者からの連絡がなおも続く中で詐欺だと気づき相談に至っています。
LINEで知り合った人物の紹介から始まるFX取引の勧誘
知り合いから直接勧められた投資は、広告やダイレクトメッセージで届く勧誘よりも警戒されにくいものです。金融庁は、FXや暗号資産への投資を一方的に勧めてくるケースについて、紹介の形をとっていても安心できないとして次のように注意を促しています。
それが友人・知人からの勧誘・紹介であったとしても、取引する業者が日本で登録を受けていない違法な業者であったり、詐欺等をしているおそれもあります。
やり取りの場になりやすいのがLINEです。警察庁が令和8年7月30日に公表した上半期の暫定値では、SNS型投資詐欺の被害時の連絡ツールはLINEが5,658件で、全体の9割以上を占めていました。
▼被害時の連絡ツールでLINEが9割以上を占める統計

出典:警察庁
出金を申し出るたびに名目を変えて送金を求められる
本件で求められた支払いは、保証金から始まり、税金、口座情報の入力ミスを直すための訂正費用、アクティベーション費用、両替資金へと移っていきました。1つ払うと次の名目が示されるという形で、請求が途切れることはありませんでした。支払いを増やす名目として、出金時の口座凍結を理由に追加送金を求める事例も整理しています。
金融庁の同じ注意喚起も、紹介を受けて取引を始めた人が巻き込まれるトラブルとして、「投資したお金が引き出せない、出金の際に税金等の名目で高額な金銭を要求される、紹介者や業者と連絡が取れなくなる」といった例を挙げています。
出金の条件として、画面に表示された残高とは別のお金を先に振り込ませる点に注意が必要です。利益を受け取るための支払いを求められた時点で、それ以上の振込はいったん止めてください。
gofx01cmcc.comは運営会社の名前も許認可も示していない
gofx01cmcc.comを開くと、金色の「FX」のロゴとログインの入力欄が表示されるだけで、ブラウザのタブに出る名前も「CM」の2文字です。画面のどこを探しても、運営している会社の名前や住所、金融庁への登録番号にあたる表示は出てきません。
金融庁の注意喚起によれば、日本に住む人を相手にFX取引を業として行うには、日本の法令に基づく登録が欠かせません。名前も登録番号も示さないサイトは、登録業者の一覧と照らし合わせることすらできないのです。
gofx01cmcc.comを調べた範囲では、金融商品取引業の登録を受けた事業者が運営していることを示す情報は確認できませんでした。金融庁の「金融事業者一括検索」も、調べる手がかりになる名前や電話番号が分からなければ使いようがありません。
国民生活センターは毎回異なる個人名義の口座へ振り込ませるFX取引に注意を促している
国民生活センターは2024年1月24日、SNSの投資グループで持ちかけられるFX取引のトラブルについて相談事例を公表しました。紹介された事例では、相談者が計500万円を「毎回異なる個人名口座に振り込んでいた」うえで、出金の段階で次のような請求を受けています。
その後、500万円の出金を求めたところ、「出金には税金として160万円が必要」と言われ振り込んだ。しかし、「間違った口座に入金された」と言われ、再度別の口座に160万円を請求され、指示通りに振り込んだ。
▼間違った口座を理由に税金を払い直させた相談事例

出典:国民生活センター
本件で求められた「口座情報の入力ミスによる訂正費用」も、払った側の誤りを理由にもう一度お金を出させる点で同じ形をしています。金融庁も、SNSなどで知り合った者からの投資勧誘について、個人名義の口座に入金を指示されるケースがあると注意を呼びかけています。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、振込先が毎回変わる、出金のたびに費用が増えるといった状況に心当たりがあれば、早めに専門家に相談してください。
【参考】
・gofx01cmcc.com(https://gofx01cmcc.com/)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・金融庁-金融庁から免許・許可・登録等を受けている金融事業者検索(金融事業者一括検索機能)
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
・金融庁-SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
gofx01cmcc.comへ誘導され被害につながるまでの経緯

相談者がgofx01cmcc.comを使い始めたきっかけは、LINEで知り合った人物からの紹介でした。そこから取引サイトへの登録、名義の違う口座への振込、出金を申し出てからの相次ぐ請求を経て、相当な額を支払った後に詐欺だと気づくまでの流れをたどります。
各段階で相談者が求められたことと、サイトの画面に出ていたこととを分けて整理します。サイトの仕組みそのものについては、後の章でプログラムを調べた結果とあわせて取り上げます。
紹介された人物に勧められてFXの取引サイトに登録する
相談者は、LINEで知り合った人物からFXの取引を勧められ、紹介されたgofx01cmcc.comに登録して投資を始めました。アドレスを開くと、ユーザー名とパスワードを入れる画面にそのまま移り、入力欄の案内もボタンもすべて日本語で書かれています。
▼金色のFXのロゴだけが表示されるログイン画面

出典:gofx01cmcc.com
画面の中央にあるのは金色の「FX」の文字だけで、会社名は添えられていません。サイトの説明や運営者の情報を読める画面もなく、利用者が目にするのはログインと登録、問い合わせの入口だけです。
知り合いから直接紹介されたサイトであれば、どこが運営しているのかを確かめないまま登録へ進んでしまうことも考えられます。登録の後は、画面に表示される残高と利益の数字が、取引がうまくいっているかどうかを判断する材料になっていきました。
振込先の口座を毎回違う名義で指定される
入金の方法は銀行振込でした。振込先には、振込のたびに名義の違う口座が指定され、はじめは個人名義の口座が続き、途中からは法人名義の口座も加わっています。口座のある金融機関も一つではありませんでした。
振込の際には、「20分以内」といった短い期限を区切って急がされることもありました。gofx01cmcc.comという名前とは結びつかない名義の口座へ、振込先を確かめる時間のないまま送金を重ねていたことになります。
法人名義の口座であれば会社の口座だと受け取りがちですが、その会社がgofx01cmcc.comを運営していることを示すものは何もありません。個人名義か法人名義かにかかわらず、振込先がサイトの運営者と同じ名前かどうかが確かめるべき点です。
利益を引き出そうとするとオンラインサポートが保証金や税金を求める
入金を重ねるうちに、サイトの画面には多額の利益が出ているように表示されました。利益を手元に移そうと出金を申し出たところ、サイトの「オンラインサポート」は、出金の前に保証金や税金を納めるよう指示してきました。
「オンラインサポート」は、ログイン画面の右上にあるヘッドホンのアイコンから開くチャットの窓口です。保証金と税金に続いて、出金先の口座情報に入力ミスがあったとして、その訂正費用まで求められました。
どの請求も画面の残高から差し引く形ではなく、指定された口座へ新たに振り込むよう求めるものでした。残高がいくら増えていても、出金の手続きは完了しないまま、支払いだけが先に進んでいきます。
アクティベーション費用を払っても出金されず詐欺に気づく
相談者は、税金やアクティベーション費用として求められた額を支払いましたが、それでも出金はされませんでした。さらに両替資金の名目でも送金を求められ、支払いの名目は最後まで増え続けています。請求の名目が増えていく流れは、ネットショップ運営を持ちかけて追加費用を繰り返し請求する事例にも見られます。
紹介した人物からは、出金できない状態になった後も連絡が続いていました。それでも、支払いを重ねるほど新しい名目の請求が増えていく状況から、相談者はこれが詐欺であると気づき相談に至りました。
LINEで知り合った人物の紹介で登録し、名義の違う口座へ入金を重ね、出金を求めるたびに新たな費用を払わされたことが本件で被害につながった経緯です。LINEのやり取りや振込の控えは、経緯を説明する手がかりになるため消さずに残してください。
【参考】
・gofx01cmcc.com(https://gofx01cmcc.com/)
gofx01cmcc.comの関連サイトの情報を調査した結果

今回は、ドメインがいつ取得されたか、どの証明書を使っているか、問い合わせのチャットがどこにつながるかの3点から、gofx01cmcc.comの周辺を調べました。その結果、同じ管理者のもとにある別のドメインと、相談者が使っていたチャットのドメインが止められた後の移転先が見つかっています。
表には、本件に関係する4つのドメインを並べました。チャットのドメインは、実際のアドレスではその前に3文字の名前が付きます(uhq.dot03nv.xyz、opc.dot05iwl.lol)。
| ドメイン | 登録日時(世界標準時) | 登録機関 | 役割 |
|---|---|---|---|
| gofx01cmcc.com | 2026年4月7日 14:24 | Name SRS AB | 取引サイト |
| cmlld99inv.com | 2026年4月8日 08:12 | Name SRS AB | gofx01cmcc.comと同じ証明書に載るドメイン |
| dot03nv.xyz | 2026年6月14日 13:13 | Dynadot | 相談者が使っていたチャット(uhq.dot03nv.xyz)。現在は停止中 |
| dot05iwl.lol | 2026年9月21日 07:05 | Dynadot | 現在のチャット(opc.dot05iwl.lol) |
gofx01cmcc.comのドメインは2026年4月に取得されたばかり
ドメインがいつ取得されたかは、登録機関が公開している記録(RDAP)に残ります。gofx01cmcc.comの登録日時は、2026年4月7日14時24分(世界標準時、日本時間では同日23時24分)でした。相談者が最初に振り込んだ時点から数えて、約3か月前に当たります。
▼2026年4月7日の登録を示すgofx01cmcc.comのRDAP

出典:RDAP(rdap.verisign.com)
登録の有効期限は2027年4月7日で期間は1年です。登録者の氏名や会社名は公開されておらず、誰がこのドメインを取得したのかは記録から分かりません。取引サイトとしての実績を示す長い運営の歴史も、このドメインには見当たりませんでした。
同じ証明書にcmlld99inv.comという別のアドレスが並んでいる
ブラウザの鍵のアイコンから証明書の中身を開くと、この証明書が使えるドメインの一覧を見られます。gofx01cmcc.comで使われている2026年8月5日発行の証明書には、cmlld99inv.comという別のドメインが並んで載っていました。
▼cmlld99inv.comとgofx01cmcc.comが並ぶ証明書の代替名

出典:gofx01cmcc.com(Chromeの証明書ビューア)
証明書の発行を受ける側は、書き込むドメインのそれぞれについて、自分が管理していることを示さなければなりません。2つのドメインを1枚にまとめられた時点で、同じ管理者のもとにあるとみてよいことになります。
cmlld99inv.comの登録はgofx01cmcc.comの翌日で、トップページを開いて読み込まれるファイルもまったく同じです。同じサーバーには、サイト名とロゴ、サポートの窓口まで同じ設定を返す別名のサイトも少なくとも1つありました。
オンラインサポートのチャットは外部のドメインにつながっている
ログイン画面の右上にあるヘッドホンのアイコンを押し、「オンラインサービス」を選ぶと同じタブのままチャットの画面に移ります。画面の見出しは「オンラインサポート」ですが、アドレスはgofx01cmcc.comではなく、opc.dot05iwl.lolという別のドメインに変わっています。
▼gofx01cmcc.comから移るオンラインサポートのチャット画面

出典:opc.dot05iwl.lol
dot05iwl.lolは、gofx01cmcc.comとは別の登録機関で取得されたドメインで、登録者の欄には代理で名義を引き受けるサービスの名前が入っています。サイトと窓口とで、ドメインの持ち主をたどる手がかりが別々に分かれていることになります。
dot03nv.xyzの停止から約4時間で新しいチャットのドメインが取得された
相談者が使っていたチャットのアドレスは、uhq.dot03nv.xyzでした。このドメインのRDAPを照会すると、状態の欄に「client hold」「inactive」と表示されます。登録機関の側でドメインの使用が止められ、現在はアクセスできない状態です。
▼停止されたdot03nv.xyzと同じ日に登録されたdot05iwl.lol

出典:RDAP(rdap.centralnic.com)
dot03nv.xyzの記録が最後に更新されたのは、2026年9月21日2時53分(世界標準時)でした。その約4時間後の7時5分には、現在の窓口であるdot05iwl.lolが登録されています。止められた理由は記録からは分かりませんが、窓口のアドレスが同じ日のうちに差し替えられたことは読み取れます。
金融庁の無登録業者の一覧に名前がなくても安全とはいえない
金融庁のウェブサイトでは、登録のないまま金融商品取引業を営んでいたとして警告書が送られた業者を名前の一覧で確かめられます。このページを「gofx」で検索しても、該当は「0/0」でした。cmlld99inv、dot03nv、dot05iwlでも、掲載は見当たりません。
▼gofxで検索しても該当のない金融庁の無登録業者一覧

出典:金融庁
ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。金融庁自身も、この一覧について「掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」と注意を添えています。一覧に名前がないかだけでなく、登録業者の一覧に名前があるかを確かめることが欠かせません。
画面の保存記録とブラウザの判定については、次の点も確認しました。
- Googleセーフブラウジングの判定は、gofx01cmcc.comが「安全ではないコンテンツは見つかりませんでした」で、開いてもブラウザの警告は出ない(2026年9月23日更新の情報)
- Internet Archiveには、gofx01cmcc.comとcmlld99inv.comの画面が一度も保存されていない
- cmlld99inv.com、dot03nv.xyz、dot05iwl.lolについて、Googleセーフブラウジングの判定の記録はない
【参考】
・gofx01cmcc.com(https://gofx01cmcc.com/)
・RDAP(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/gofx01cmcc.com)
・RDAP(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/cmlld99inv.com)
・RDAP(https://rdap.centralnic.com/xyz/domain/dot03nv.xyz)
・RDAP(https://rdap.centralnic.com/lol/domain/dot05iwl.lol)
・RDAP(https://rdap.dynadot.com/domain/dot05iwl.lol)
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)
・Google-透明性レポート(セーフブラウジングのサイト ステータス)
gofx01cmcc.comに関する不審点

プログラムとサーバーの応答から見えてきた不審点は以下の6点です。
- サイト名が設定の値で決まる作り
- 請求された名目がプログラムにないこと
- 別の名前が残る規約
- ドメインより古いデータ
- 暗号資産の取引所に近い仕組み
- 問い合わせ先がチャットしかないこと
いずれも、本文で示すアドレスをブラウザで開けば、読者自身が同じ内容を確かめられます。登録やログインは必要なく、応答の画面はChromeの「プリティ プリント」にチェックを入れると読みやすくなります。
サイト名とロゴは運営側の設定の値で入れ替えられる作り
プログラムを調べたところ、gofx01cmcc.comは画面を開いた直後にサーバーへサイトの設定を問い合わせています。その応答をブラウザで開くと、サイト名の「CM」、ロゴ画像のアドレス、サポートのチャットのアドレスが並んで返ってきます。
▼サイト名とチャットの接続先を返すサイト設定の応答

出典:gofx01cmcc.com
画面に出るロゴとサイト名は、この応答の値をそのまま使って表示されます。ヘッドホンのアイコンから移るチャットの行き先も同じ応答から読み込まれており、運営側が値を1つ書き換えれば名前も窓口も別のものに変わる作りです。
税金やアクティベーション費用の項目がプログラムに見当たらない
相談者が出金のために求められた税金やアクティベーション費用が、サイトの手続きとして組み込まれているのかを確かめました。プログラムを調べたところ、税金、アクティベーション、訂正費用に当たる項目は見つかりませんでした。
メインのプログラムをブラウザで開き、ページ内検索で「tax」と入れると該当は1件だけです。それは入金の画面に使う入力欄の名前「Payer Tax ID(納税者番号)」で、出金の費用とは関係がありません。「activation」は0件でした。
▼taxが1件でactivationは0件のメインのプログラム

出典:gofx01cmcc.com
画面の外で求められた支払いは、サイトの仕組みとは無関係にチャットの窓口が独自に名目を付けていた可能性があります。出金のたびに現れる新しい費用が、画面の手続きのどこにも出てこないことは、それ自体が請求の不自然さを示す材料です。
登録画面に規約への同意欄がなく規約のファイルには別の名前が残る
gofx01cmcc.comの登録画面にあるのは、ユーザー名、パスワード、取引パスワード、名前の入力欄と「登録」のボタンだけです。取引の条件を定めた文書に目を通し、同意したうえで登録する手順がありません。
▼利用規約への同意欄がない会員登録の画面

出典:gofx01cmcc.com
プログラムに収められていた規約は、コピートレードの機能に使うものの英語版と中国語版の2つだけです。ログインしないと開けない画面のため、プログラムそのものを取得して確認したところ、英語版は「Dear HUJINSUO users」という呼びかけで始まっています。
▼HUJINSUOという別の名前が残る規約のプログラム

出典:gofx01cmcc.com
「HUJINSUO」は、サイト名の「CM」とも、ロゴの「FX」とも一致しない名前です。規約の文面は別の名前で使われていたものが書き換えられないまま残っているとみられ、日本語版の規約は見当たりませんでした。
取引の土台となるデータはドメインより何年も前に作られている
ログインせずに確認できる応答の中には、データが作られた日時を含むものがあります。預け入れの商品を並べた応答では、先頭の「USDT-Staking」という商品の作成日時が2021年7月26日になっていました。
▼2021年7月に作られた預け入れ商品の設定

出典:gofx01cmcc.com
FXの銘柄を返す応答でも、金の銘柄の登録日時は2025年3月19日、円の通貨ペアは2024年4月15日です。gofx01cmcc.comのドメインが取得されたのは2026年4月なので、中身のデータは以前から別の場所で使われ、アドレスだけを新しくしたとみられます。
FXの銘柄を暗号資産取引所の仕組みに載せた作りになっている
銘柄の応答を見ると、通貨を表す項目の種別に「btc」(ビットコインの略称)が入っています。金の銘柄の区分は「外汇接口」「外汇区」と、中国語で「外国為替」を表す言葉で書かれていました。
▼種別btcと中国語の区分が並ぶFXの銘柄の応答

出典:gofx01cmcc.com
メニューの設定では、入金と出金の項目名が「充值」「提现」と中国語で、NFTの項目もあります。プログラムを調べたところ、秒単位の期限を選ぶオプション取引や新しい暗号資産の購入を申し込む画面(IEO)も含まれていました。暗号資産の取引所に見られる機能の上に、FXの銘柄を載せた作りとみられます。
問い合わせ先は外部のチャットだけで運営者の住所も電話番号もない
ログインせずに開けるサポートの画面には、「オンラインサービス」という項目が1つあるだけです。会社の住所、電話番号、メールアドレスは、ログインの前に見られる画面のどこにも書かれていません。
▼問い合わせ先がチャット1つだけのサポート画面

出典:gofx01cmcc.com
この項目から移るチャットは、前の章で見たとおり、ドメインが止められると別のアドレスに差し替えられています。窓口が変わるたびに、それまでのやり取りをどこに問い合わせればよいのかも分からなくなります。
トラブルになったとき、名乗る会社に書面で連絡する手段がないこともこのサイトの不審な点です。
【参考】
・gofx01cmcc.com(https://gofx01cmcc.com/)
・gofx01cmcc.com-サイトの設定(https://gofx01cmcc.com/api/getSiteConfig)
・gofx01cmcc.com-メインのプログラム(https://gofx01cmcc.com/static/js/index.085b3d74.js)
・gofx01cmcc.com-コピートレードの規約(英語版)のプログラム(https://gofx01cmcc.com/static/js/pages-follow-agreement_en.7468bd1d.js)
・gofx01cmcc.com-預け入れ商品の設定(https://gofx01cmcc.com/api/lh/deposit/config)
・gofx01cmcc.com-銘柄の設定(https://gofx01cmcc.com/api/currency/quotation_new)
・gofx01cmcc.com-メニューの設定(https://gofx01cmcc.com/api/menu)
gofx01cmcc.comのようなサイトが悪用されやすい理由

gofx01cmcc.comには、利用者が外から確かめようとしても手がかりをつかみにくい特徴がいくつも重なっています。ここでは、名前の短さ、ログインの壁、窓口の差し替えやすさ、紹介という入口の4つに分けてその理由を整理します。
いずれも、gofx01cmcc.comの画面や記録から確かめられる事実にもとづいています。こうした特徴を知っておくと、同じような誘いを受けたときに、どこを確かめればよいかの見当が付きます。
CMやFXといった短い名前では登録業者と照らし合わせにくい
gofx01cmcc.comが画面で名乗るのは、タブの「CM」とロゴの「FX」だけです。このうち「FX」は、外国為替証拠金取引を略した呼び方にすぎず、どこの会社が営んでいるのかを表すものではありません。「CM」も2文字の略称で、何の略なのかはどこにも書かれていません。
金融庁の「金融事業者一括検索」は、会社の名前や電話番号から登録業者を探す仕組みです。検索に使える正式な名前が示されていないサイトでは、利用者が登録の有無を確かめる入口そのものがふさがれていることになります。アドレスも英字と数字を並べたもので、名前として覚えにくい作りです。
ログインしないと中が見えず外から確かめる手段が限られる
gofx01cmcc.comでログインせずに開けるのは、ログイン、登録、サポートの3つの画面だけです。プログラムには会社概要やよくある質問の画面も用意されていますが、アドレスを直接入れて開こうとしても、ログイン画面に戻されます。
こうした作りでは、取引の条件や運営者の説明を登録する前に読むことができません。中の画面を見られるのは、紹介を受けて登録した人に限られます。インターネット上の保存記録にも画面が残っておらず、第三者がサイトの中身を検証した跡がほとんど見当たらない状態です。
チャットのドメインを替えるだけで窓口を移し続けられる
前の章で見たとおり、gofx01cmcc.comのサポートの行き先は、サーバーから返る設定の値1つで決まります。窓口のドメインが止められても、設定の値を新しいアドレスに書き換えるだけで、サイトの側は何も変えずに窓口を移せます。
実際、相談者が使っていたdot03nv.xyzが止められた日に登録されたdot05iwl.lolでは、登録の直後の約16分間に、3文字の名前を付けたサブドメイン25個分の証明書が発行されていました。差し替え先の窓口をあらかじめまとめて用意できることが、証明書の発行記録から読み取れます。
知人の紹介という入口が取引サイトへの疑いを弱める
国民生活センターは、FX取引のトラブルのきっかけとして、SNSやインターネット上の広告に加え、「SNSで知り合った人からの紹介等」を挙げています。本件でも、相談者がgofx01cmcc.comを知ったのはLINEで知り合った人物からの紹介でした。
紹介してくれた人を信頼していると、その人が勧めるサイトの運営者までは確かめないまま入金に進んでしまいがちです。本件では、出金できない状態になった後も紹介者からの連絡は続いていました。
紹介であっても、入金の前に金融庁の登録業者の一覧で運営者の名前を確かめることが、この入口で被害を防ぐ手がかりになります。名前が見つからない相手や、名前そのものが分からない相手には振り込まないでください。
【参考】
・gofx01cmcc.com(https://gofx01cmcc.com/)
・Cert Spotter(https://api.certspotter.com/v1/issuances?domain=dot05iwl.lol&include_subdomains=true&expand=dns_names)
・金融庁-金融庁から免許・許可・登録等を受けている金融事業者検索(金融事業者一括検索機能)
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
gofx01cmcc.comの不審点を見抜く方法

知り合いから取引サイトを紹介されたときに確かめたい点を、登録する前、入金する前、出金を求めたときの3つの場面に分けて6つ挙げます。特別な知識がなくても、公開されている記録や画面をブラウザで開けば一つずつ確かめられる内容です。
- 登録する前に、案内されたアドレスのドメインがいつ取得されたかを調べる
- ドメインの取得日は、RDAPの照会ページで分かります。gofx01cmcc.comは2026年4月7日の取得で、相談者が最初に振り込んだ時点から見て約3か月前でした。
- 登録する前に、画面に運営会社の正式な名前と登録番号があるかを見る
- 名前が分かれば、金融庁の「金融事業者一括検索」で登録の有無を調べられます。gofx01cmcc.comの画面にあるのは「CM」と「FX」だけで、調べる手がかりになる名前がありませんでした。
- 登録する前に、規約への同意を求められるか、規約に書かれた名前がサイトの名前と同じかを確かめる
- gofx01cmcc.comの登録画面には同意の欄がなく、プログラムに残る規約は「HUJINSUO」という別の名前の利用者に呼びかけていました。
- 入金する前に、振込先の名義が運営会社の名前と同じかを確かめる
- 個人名義の口座や、振込のたびに名義が変わる口座を指定されたら振り込まないでください。国民生活センターの相談事例でも、毎回異なる個人名義の口座へ振り込んだ後に出金できなくなっているものがあります。
- 出金を求めたときに、税金や手数料を先に振り込むよう言われたら支払わない
- gofx01cmcc.comのプログラムには、税金やアクティベーション費用に当たる手続きが見当たりませんでした。画面の外で求められる支払いは、出金の条件ではない可能性があります。
- 出金を求めたときに、問い合わせ先がチャットだけか、そのアドレスが途中で変わっていないかを見る
- 相談者が使っていたチャットのドメインは止められ、同じ日に別のドメインへ移されていました。窓口のアドレスは、やり取りのたびに画面の上部で確かめておくと変化に気づけます。
相談の際に役立つのは、いつ、誰から、どの口座へ振り込むよう指示されたかが分かる記録です。紹介者とのLINEのトークは、画面の撮影に加えてトーク履歴をテキスト形式で保存するLINEの機能を使えば、日時つきの文字の記録として残せます。
チャットの窓口は、アドレスが変わると以前のやり取りを開けなくなることがあります。取引サイトの残高や出金の画面、振込の控えとあわせて、気づいた時点で手元に残しておくことが大切です。
名目を変えて支払いを求められる状況では、1回払えば終わるという見通しは立ちません。次の支払いに応じる前に、集めた記録をそろえて弁護士など専門家に相談してください。
【参考】
・RDAP(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/gofx01cmcc.com)
・金融庁-金融庁から免許・許可・登録等を受けている金融事業者検索(金融事業者一括検索機能)
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
・LINE-トーク履歴をテキスト形式(.txt)で保存するには?(https://help.line.me/line/smartphone/pc?lang=ja&contentId=20007388)
gofx01cmcc.comに関する口コミや被害事例

口コミを探す手がかりにしたのは、gofx01cmcc.comのほか、同じ証明書に載るcmlld99inv.comとチャットの2つのドメインの名前です。X(旧Twitter)、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねるのどれでも、これらに触れた書き込みは見つかりませんでした。
その一方で、Yahoo!知恵袋には、FXや投資のサイトで出金の前にアクティベーション料金や税金を求められたという相談が残っています。本件と同じサイトかどうかは分かりませんが、求められた名目の共通点を紹介します。
X(旧Twitter)ではgofx01cmcc.comに触れた投稿が見当たらない
Xの投稿を、gofx01cmcc.com、同じ証明書に載るcmlld99inv.com、チャットの2つのドメインの名前で探しましたが、該当する投稿は1件も確認できませんでした。サイトの名前として使われている「CM」や「FX」は、ほかの話題の投稿に埋もれてしまい本件の手がかりにはなりません。
gofx01cmcc.comのドメインは2026年4月に取得されたもので、使われ始めてから半年ほどしかたっていません。投稿が見つからない理由は次の章で整理しますが、サイトそのものが新しいこともその一つとみられます。
Yahoo!知恵袋にはアクティベーション料金の支払いを迫られた相談が寄せられている
2025年1月15日に投稿された質問の冒頭に置かれているのは、出金の条件についての次の一文です。質問者は「引き出すためにこんなに支払いしなくてはいけないものなんでしょうか?」と続け、寄せられた回答には詐欺だと指摘するものが並んでいました。
初めての大額出金のため、資金の安全を確保する目的で、財務部の安全システムにより500万円のアクティベーション料金を支払い、アカウントのセキュリティレベルを向上させる必要があります。
2025年1月7日には、紹介された海外のFXアプリで出金を申請したところ、サポートから「税金がかかるから納付したら出金できます」と回答されたという質問もあります。
アクティベーション料金や税金を出金の条件にする点は本件と共通しています。ただし後者では、納付先として示されたのが暗号資産のアドレスで、銀行口座への振込ではありませんでした。
いずれの質問にも、サイトの名前やアドレスは書かれておらず、本件と同じサイトであるかは確認できません。それでも、出金の直前に名目の付いた支払いを求められるという流れが別の相談でも繰り返されていることは読み取れます。
掲示板でもgofx01cmcc.comの名前は挙がっていない
5ちゃんねるでも、gofx01cmcc.comと関係するドメインの名前で書き込みを探しましたが、本件に触れたスレッドや書き込みは確認できませんでした。検索結果に出てくるのは、名前の一部が偶然重なった投資とは関係のない話題ばかりです。
書き込みが1件もないからといって、gofx01cmcc.comを使っても問題がないと考えるのは早計です。気になる点があれば、ここまでの章で見た事実とあわせて弁護士など専門家に相談してください。
【参考】
・Yahoo!知恵袋-投資している方にお聞きしたいです。 初めての大額出金のため、資金の安…(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11309466476)
・Yahoo!知恵袋-質問です。海外FXアプリ(SVCRVRETBH)を紹介してもらい使用してま…(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12309100647)
gofx01cmcc.comに関する口コミが少ない理由

1つ目の理由は、名前で探しにくいことです。トップページのHTMLにある文字は、タブ名の「CM」と、JavaScriptが動かないときに出る「安心・安全の投資取引所で、未来への一歩を踏み出そう!」の一文だけで、検索で見つけてもらうための説明がほとんどありません。
2つ目は、同じ中身が複数のアドレスに分かれていることです。gofx01cmcc.comの証明書には、トップページのファイルまで同じcmlld99inv.comが載っていました。窓口のチャットも途中でアドレスが変わっており、利用者ごとに覚えているアドレスが違えば評判は1か所に集まりません。
さらに、ログインの壁もあります。取引の画面も会社概要もログインしないと開けず、サイトの中身を知るのは紹介を受けて登録した人にほぼ限られます。登録していない人には、このサイトについて書ける材料がほとんどない状態です。
口コミが見つからないことを、安全の裏付けと受け取らないでください。名目を変えた支払いの請求が続いている、振込先が毎回変わるといった状況にあるなら、それ以上の振込を止めて弁護士など信頼できる第三者に相談することが大切です。
【参考】
・gofx01cmcc.com(https://gofx01cmcc.com/)

