原油の取引で資産を増やそうと持ちかけられ、紹介された取引サイトに言われるまま入金する。SNSを入口とする投資詐欺の被害は、令和8年(2026年)上半期に認知件数5,893件、被害額797.9億円に達しています(警察庁)。
本記事で取り上げる「m.forexindex.cc」は、画面に「FOREX」とだけ表示される取引サイトです。複数の個人名義の口座へ入金を続けたあと、取引画面の銘柄がすべて「休止中」になり、資金を引き出せなくなりました。
調べると、サイトの裏側では実在の業者名に1文字足した「cmcmarketss」が使われ、「CMC Markets」の名前が名乗られていました。同社の日本法人は2012年に廃業しています。原油の取引には、国内の上限の50倍にあたる1000倍のレバレッジが設定されていました。
ドメインの登録記録やサイトのプログラム、公的機関と正規の事業者の公開情報をもとに、確認できた事実を章ごとに整理しました。入金の前に何を見れば異常に気づけるのかを、弁護士の視点から解説します。
m.forexindex.ccに関するトラブルの概要

今回のトラブルは、SNSで知り合った人物から原油の取引を勧められたことから始まっています。案内された「m.forexindex.cc」という取引サイトに入金するため、相談者は指示されるまま複数の個人名義の口座へ振込を重ねました。
ところが、しばらくすると取引画面に並ぶ銘柄がすべて「休止中」と表示されるようになり、預けた資金を引き出せなくなりました。相談者は家族や警察に相談したうえで、当事務所の相談窓口へ連絡しています。
原油への投資を入口にするSNS型投資詐欺
本件で勧められたのは、原油の値動きを使って利益を狙う取引でした。案内されたサイトには、原油のほかに金・銀・天然ガスなど9つの銘柄が並び、証拠金を預けて何倍もの金額を動かす形の取引画面が用意されています。
SNSで知り合った相手から投資を勧められる被害は、警察庁の統計でも「SNS型投資詐欺」として集計されています。令和8年(2026年)上半期は認知件数が5,893件、被害額が797.9億円にのぼり、既遂1件当たりの被害額も1,362.5万円と、一度の被害が大きくなりやすい手口です。
複数の個人名義の口座を振込先に指定する送金の方法
本件では、サイトへ入金するための振込先として、複数の異なる個人名義の口座が指定されました。名義も銀行も一つではありません。取引の相手が会社であれば、入金先も会社名義の口座になるのが通常です。
サイトのプログラムを調べると、入金の画面には「振込証明書のアップロード」の欄が用意されていました。利用者が個人の口座へ振り込み、その証明を送ると、運営側が残高に反映させる流れとみられます。
画面に表示される残高は、振り込んだお金が実際にどこにあるかを示すものではない点に注意が必要です。
FOREXという表示名からは運営者を特定できない
サイトを開くと、左上に「FOREX」というロゴが表示されます。FOREXは外国為替取引を指す一般的な言葉で、特定の会社の名前ではありません。トップ画面・登録画面・ログイン画面・サポート画面のどこにも、運営会社の商号や所在地、金融庁の登録番号は書かれていませんでした。
▼運営会社の名前が見当たらないFOREXのトップ画面

出典:m.forexindex.cc
表示名が一般的な言葉である以上、その名前で金融庁の登録業者を探すことはできません。登録を受けた業者が、m.forexindex.ccを運営していることを示す情報は確認できませんでした。なお、サイトの裏側では別の会社名が使われていますが、その点は後の章で取り上げます。
国民生活センターと金融庁が原油やコモディティの投資話に注意を促している
国民生活センターは2024年5月29日、SNSをきっかけとする金融商品の消費者トラブルが急増しているとして注意を呼びかけました。紹介された相談事例の中には、個人名義の口座へ入金したあと、原油先物取引を勧められたというものが含まれています。
▼原油先物取引を勧められた国民生活センターの相談事例

出典:国民生活センター
金融庁も「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」と題したページで、SNSなどを通じて「暗号資産やコモディティ等で運用すると必ず儲かる」と勧誘され、しばらくすると突然サービスが停止し、払戻しができなくなったという事例を挙げています。
▼コモディティでの運用話を挙げる金融庁の注意喚起

出典:金融庁
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、SNSで知り合った相手から原油などの取引を勧められ、個人名義の口座を示されたときは、振り込む前に家族や専門家など信頼できる第三者へ相談してください。
【参考】
・m.forexindex.cc(https://m.forexindex.cc/)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・国民生活センター-SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増-いったん振込してしまうと、被害回復が困難です!-
m.forexindex.ccへ誘導され被害につながるまでの経緯

今回のトラブルでは、SNSでの知り合いから原油の取引へ話が進み、サイトへの入金として個人名義の口座への振込が数か月にわたって続きました。送金の宛先は最後まで会社の口座ではありませんでした。
振込を重ねた末に、取引画面の銘柄がすべて止まった状態になり、資金を引き出せなくなっています。話を持ちかけられた段階から、相談窓口へ連絡するまでの流れを見ていきます。
SNSでのやり取りから原油の取引へ話が進む
きっかけは、SNSで知り合った人物から原油の取引などの投資を紹介されたことでした。取引の場として案内されたのがm.forexindex.ccで、アプリを入れずにスマートフォンのブラウザで開く形のサイトです。SNSで始まる勧誘には、DMからLINEグループへ移り追加の払込を求められた例もあります。
サイトの登録画面を開くと、口座を作るための入力欄の一つに「招待コード(必須)」と書かれています。コードを持たない人は登録を終えられないため、口座の開設も紹介した人物の案内に沿って進む形だったとみられます。
大手を含む複数の銀行の個人口座へ入金を続ける
サイトに資金を入れる手段として指示されたのは、銀行振込でした。振込先として示されたのは会社の口座ではなく個人名義の口座で、名義は一つではなく大手の銀行を含む複数の銀行にまたがっていました。
送金は一度では終わらず、数か月にわたって繰り返されています。振込は通常の銀行の手続きで完了するため、宛先が誰の口座であってもその場で止められるとは限りません。サイトへの入金のつもりでも、お金が実際に届く先はその個人の口座です。
取引画面の銘柄がすべて休止中に変わる
状況が変わったのは、送金を重ねたあとでした。取引の画面に並ぶ銘柄が、すべて「休止中」と表示されるようになったのです。このサイトでは、銘柄の横に価格が出ている間だけ売買ができます。
「休止中」に切り替わると、その銘柄は売買ができなくなります。すべての銘柄が止まれば、画面の上ではどの取引もできません。この表示がどのような仕組みで切り替わるのかは、後の章で詳しく取り上げます。
出金できないまま家族と警察に相談し被害に気づく
休止中の状態が続き、相談者は預けた資金を引き出せないままになりました。そこで家族に打ち明け、警察にも相談したうえで、当事務所の相談窓口へ連絡しています。振込先が個人名義の口座だった以上、お金は振り込んだ時点でサイトの外へ出ていたとみられます。
取引が止まったことは、被害が表に出たきっかけにすぎない可能性があります。同じように個人名義の口座への入金を求められている場合は、振り込む前に振込先の名義を見せて、家族や専門家など信頼できる第三者に相談することが大切です。
m.forexindex.ccの関連サイトの情報を調査した結果

m.forexindex.ccについて、ドメインの登録記録、サイトのプログラムが通信している先、画面の裏側で使われている名前、そしてその名前を持つ事業者の日本での登録状況を順に調べました。
その結果、サイトの表の名前は「FOREX」ですが、プログラムがやり取りしている相手は「cmcmarketss」という別のドメインでした。その名前が指す実在の事業者は、すでに日本での営業を終えています。
forexindex.ccは送金が始まる約2か月半前に登録されている
ドメインの登録記録(RDAP)を照会すると、forexindex.ccが登録されたのは2026年2月1日でした。期限は1年後の2027年2月1日までとなっています。登録機関はシンガポールのGname.com Pte. Ltd.で、登録者の氏名や組織名は公開されていません。
▼2026年2月1日の登録を示すforexindex.ccのドメイン情報

出典:Verisign(RDAP)
相談者が送金を始めたのは2026年4月中旬で、その約2か月半前にサイトのドメインが用意されたことになります。証明書の発行記録(crt.sh)を見ても、m.forexindex.ccの名前で発行された証明書は、登録と同じ2月1日のものが最初でした。
画面の裏で通信している先はcmcmarketssという別のドメイン
サイトを動かしているプログラムのファイルを開くと、データをやり取りする接続先として「api.cmcmarketss.top」と「admin.cmcmarketss.vip」の2つのアドレスが書かれていました。画面に表示される相場や口座の情報はこの2つから届いています。
▼接続先にcmcmarketssが並ぶサイトのプログラム

出典:m.forexindex.cc
「cmcmarketss」は、英国に本拠を置くCFD取引業者の名前「CMC Markets」に、「s」を1文字足した綴りです。サイトの表示だけを見ている利用者は、この名前に気づくことがありません。
2つの接続先ドメインは同じ秒に登録されている
接続先の2つのドメインも登録記録を調べました。cmcmarketss.topとcmcmarketss.vipは、いずれも2025年6月2日4時9分43秒(協定世界時)に、同じ登録機関で登録されています。登録者の所在地の欄には、国・地域として「Hong Kong」とだけ記録されていました。
▼同じ秒に登録された2つの接続先ドメインの情報

出典:ZDNS(RDAP)、rdap.nic.vip(RDAP)
末尾の異なる2つのドメインを同じ秒に取得している点から、まとめて用意されたものとみられます。後の章で示しますが、サイトのロゴ画像のアドレスにも「20250602」という日付が入っており、この日に名前がそろえられたことがうかがえます。
同じ管理画面につながる別名のサイトが少なくとも2つある
m.forexindex.ccが置かれているサーバーを、IPアドレス(103.179.148.169)から逆にたどると、名前の似たドメインが10件見つかりました。「forex」や「cmcmarket」などの語を組み合わせたものがほとんどです。
そのうち、調査の時点で表示できた別名のサイトを確かめると、少なくとも2つのサイトのプログラムに、本件と同じ「admin.cmcmarketss.vip」が接続先として書かれていました。名前を変えた同じ仕組みのサイトが並行して動いているとみられます。
名前を使われたCMC Marketsの日本法人は2012年に廃業している
CMC Marketsは英国の金融行為規制機構(FCA)の認可を受けた実在の事業者で、かつては日本法人のCMC Markets Japan株式会社も営業していました。しかし同社は、2012年に日本での事業を終えています。当時の公式サイトには、次の告知が掲載されていました。
当社は、CMC Marketsグループの世界全体における事業展開見直しの結果、CFD/FXサービスの取り扱いを終了し、2012年11月30日(金曜日)をもちまして金融商品取引業及び商品先物取引業を廃止(以下「廃業」といいます。)することを決定致しました。
▼廃業を知らせるCMC Markets Japanの告知(2012年)

出典:CMC Markets Japan(Internet Archive)
廃業後のページには、当時の登録番号として「関東財務局長(金商)第275号」が記されています。現在の金融庁の金融商品取引業者登録一覧にも、経済産業省の商品先物取引業者の一覧にも、CMC Marketsの名前を持つ業者は見当たりません。
▼関東財務局長(金商)第275号が記された廃業後のページ

出典:CMC Markets Japan(Internet Archive)
つまり、日本の個人に向けてCMC Marketsの名前で原油などの取引を案内する正規の窓口は、現在は存在しません。本件のサイトが、正規のCMC Marketsによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。
金融庁が警告を出した無登録業者の一覧も「forexindex」で検索しましたが、該当はありませんでした。しかし、この一覧に名前がないからといって、安全な業者だということにはなりません。警告の対象として把握されていないだけの可能性があります。
▼forexindexが見当たらない金融庁の無登録業者一覧

出典:金融庁
【参考】
・Verisign RDAP(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/forexindex.cc)
・ZDNS RDAP(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/cmcmarketss.top)
・.vip RDAP(https://rdap.nic.vip/domain/cmcmarketss.vip)
・crt.sh(https://crt.sh/?q=m.forexindex.cc)
・m.forexindex.cc(https://m.forexindex.cc/static/js/index.edf64076.js)
・CMC Markets Japan「【重要】 CFD/FX取引の取り扱い終了及び廃業についての決定のお知らせ」(https://web.archive.org/web/20121027025350/http://www.cmcmarkets.co.jp:80/closeurannouncement)
・CMC Markets Japan「廃業のお知らせ」(https://web.archive.org/web/20130210043543/http://www.cmcmarkets.co.jp/)
・経済産業省-商品先物取引業者一覧(令和8年8月25日現在)
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)
m.forexindex.ccに関する不審点

ここでは、m.forexindex.ccについて確認できた不審点を6つ挙げます。表の名前と裏で使われている名前の食い違い、中国語で書かれた管理画面、「休止中」の切り替わり方、1000倍のレバレッジ、1つのLINEに集まる問い合わせ窓口、そして招待コードが必須の登録画面です。
いずれも、画面やブラウザで開けるデータから確かめられる事実です。一つひとつは小さな違和感でも、並べると、日本の登録業者が運営するサイトとはかけ離れた姿が見えてきます。
表示名はFOREXなのにプログラムが名乗る会社名はCMC Markets
前章で触れた接続先「api.cmcmarketss.top」に、サイトの基本情報を求めるアドレスをブラウザで開くと、サイト名として「CMC Markets」が返ってきます。説明の欄も「CMC Markets」で、画面に出ている「FOREX」の文字はどこにもありません。
▼サイト名がCMC Marketsと返される接続先の応答

出典:api.cmcmarketss.top
同じ応答に含まれるロゴ画像のアドレスには「20250602」という日付が入っています。前章で見た、2つの接続先ドメインの登録日と一致します。本件の勧誘でCMC Marketsの名前が出ていたわけではありませんが、サイトの裏側ではこの名前が使われていることになります。
正規のCMC Marketsは、自社の名前を使った詐欺について英語で注意を呼びかけています。そこには「CMC Marketsの社員が、SNSを通じて商品やサービスを案内することはない」と明記されています。
▼SNSでの勧誘に注意を促すCMC Markets本体の案内

出典:CMC Markets
同じページでは、詐欺の手口として「名乗る会社と一致しない名義の口座へ支払いを求める」ことも挙げられています。個人名義の口座へ振込を重ねた本件の流れとそのまま重なる内容です。
運営側の管理画面に誰でも到達でき中国語で書かれている
もう一つの接続先「admin.cmcmarketss.vip」をブラウザで開くと、運営側の管理画面の入口が表示されます。見出しは「CMC Markets后台登录」で、「后台」は中国語で管理画面を指す言葉です。
▼簡体字で書かれた接続先ドメインの管理画面

出典:admin.cmcmarketss.vip
入力欄の「用户名/手机号」(ユーザー名/携帯番号)や「谷歌验证码」(Googleの認証コード)も、すべて中国本土で使われる簡体字です。利用者向けの画面は日本語に切り替えられる一方で、運営する側の画面は日本語に対応していません。
この管理画面のドメインについては、Googleのセーフブラウジングも2026年9月25日時点で「このサイトは安全ではありません」と判定しています。理由として示されているのは「個人情報を共有したりソフトウェアをダウンロードしたりするよう訪問者を誘導します」という点です。
▼管理画面のドメインを安全ではないとするGoogleの判定

出典:Google 透明性レポート
休止中の表示はサーバーから送られる設定値で切り替わる
相談者の画面で銘柄がすべて「休止中」になった点について、取引画面のプログラムを調べました。すると、銘柄ごとにサーバーから送られてくる設定値が特定の数字のときに「休止中」を表示する作りになっていました。
スマートフォンの側で市場の取引時間を計算しているわけではなく、表示を決めているのはサーバー側の設定です。2026年9月24日に確認した時点では、9つの銘柄はいずれも取引できる状態でした。
実際の市場が閉まっているのか、運営側が設定を変えたのかを、利用者が画面から見分ける方法はありません。運営側が任意に止めたとまでは断定できませんが、取引できるかどうかを運営側のサーバーが決めていることは確かです。
原油の取引に1000倍のレバレッジが設定されている
WTI原油の取引画面を開くと、レバレッジの欄に「1000」と表示されます。選べる倍率はこの1つだけで、取引の単位は「1ロット = 1000」と表示されています。この画面は、登録をしなくても観光客のまま開くことができます。
▼WTI原油にレバレッジ1000倍が設定された取引画面

出典:m.forexindex.cc
日本では、商品先物取引法施行規則第103条によって、国の許可を受けた商品先物取引業者に対し、個人と店頭で商品デリバティブ取引を行う際に取引額の5%にあたる証拠金を預からずに取引することが禁じられています。倍率に直すと20倍が上限です。
1000倍は、その50倍にあたります。証拠金は取引額の0.1%にすぎず、価格が0.1%逆に動くだけで証拠金がなくなる計算です。国内で許可を受けた業者が個人に提供できる水準を大きく超えており、日本の規制の外で運営されている可能性があります。
問い合わせの窓口がすべて1つのLINEアカウントにつながっている
サポート画面には、入金・出金・銀行口座の変更・パスワードの変更・その他の5つの問い合わせ項目が並んでいます。プログラムを確かめると、5つの項目の行き先はすべて同じLINEアカウントでした。
▼窓口名がZeal Customer Serviceとなるサポート画面

出典:m.forexindex.cc
最初に開いたときの英語表示では、窓口の名前が「Zeal Customer Service」となっており、FOREXともCMC Marketsとも異なる3つ目の名前が出てきます。最後の項目には、ベトナムで広く使われるメッセージアプリ「Zalo」のアイコンが付いていました。
Zaloの項目を開くと、表示されるのはLINEの友だち追加用のQRコードです。Zaloを使う国の利用者を想定した項目が、日本向けに作り直されないまま残っているとみられます。
登録には招待コードが必須で規約への同意欄がない
登録画面の入力欄は、アカウント・パスワード・パスワードの確認・招待コードの4つです。招待コードの欄には「入力してください招待コード(必須)」とあり、紹介者から教わったコードがなければ口座を作れません。
▼招待コードが必須とされ規約の同意欄もない登録画面

出典:m.forexindex.cc
パスワードの欄の「文字のパスワードを入力してください」は、英語表示の「6〜10文字のパスワード」から数字が抜け落ちた訳とみられます。画面には、利用規約やプライバシーポリシーへの同意を求める欄もリンクもありません。
プログラムを調べると、簡体字で書かれたプライバシーの規定そのものは用意されていましたが、画面に表示しない設定になっていました。その規定にも、運営者の名前や所在地は書かれていません。取引の相手が誰なのかを、利用者が契約の前に知る手段がない作りです。
【参考】
・m.forexindex.cc(https://m.forexindex.cc/)
・api.cmcmarketss.top(https://api.cmcmarketss.top/?s=/ApiIndex/linked&aid=1&platform=h5&lid=3&needinit=1)
・admin.cmcmarketss.vip(https://admin.cmcmarketss.vip/)
・CMC Markets-Fraud Awareness(https://www.cmcmarkets.com/en-gb/fraud-awareness)
・Google 透明性レポート-セーフ ブラウジングのサイト ステータス(https://transparencyreport.google.com/safe-browsing/search?url=admin.cmcmarketss.vip&hl=ja)
m.forexindex.ccのようなサイトが悪用されやすい理由

m.forexindex.ccのようなサイトは、利用者が自分で確かめようとしても、手がかりをつかみにくい作りになっています。表の名前、登録前に見せられる画面、ドメインの扱い、そして「休止中」という表示の4点からその理由を整理します。
どれも、画面の見た目や紹介者の説明だけで判断している限り気づきにくいものです。確かめる手段が利用者の側に用意されていないことが、被害が広がりやすい背景にあるとみられます。
実在する会社の名前が画面に出ないため検索で照合できない
画面に表示される名前は「FOREX」だけです。外国為替取引を指す一般的な言葉なので、検索しても為替の解説や数多くの業者の情報が並び、このサイトにたどり着くことができません。金融庁の登録業者と照らし合わせる手がかりにもなりません。
さらに、Googleのセーフブラウジングで調べると、管理画面のドメインが「安全ではない」と判定されている一方、利用者が開くm.forexindex.ccは「安全ではないコンテンツは見つかりませんでした」という結果でした。
▼表のドメインには問題が見つからないとするGoogleの判定

出典:Google 透明性レポート
利用者の目に触れる表の入口には、ブラウザの警告が出にくいことになります。危険の判定が付いているのは裏側の接続先のほうで、画面を開いているだけではその存在に気づけません。
無登録のまま相場と注文の画面まで開ける
このサイトは、登録をしていない状態でも、トップの相場一覧やWTI原油の取引画面を開くことができます。未登録の利用者には、画面の左上に「観光客」という表示が付きます。英語表示の「Guest」を機械的に訳したものとみられます。
登録前の段階で、値動きのグラフやレバレッジ、必要な証拠金の額までが表示されるため、紹介者は口座を作らせる前から本物の取引画面のように見せることができます。口座を作る前に、画面のどこかに運営会社の商号と金融庁の登録番号が書かれているかを確かめてください。
ドメインを付け替えるだけで同じ仕組みを使い回せる
前章までで見たとおり、利用者が開くm.forexindex.ccは2026年2月の登録で、裏側の接続先はそれより8か月早い2025年6月に用意されていました。さらに、同じ管理画面につながる別名のサイトも少なくとも2つ動いています。
表のドメインは、いわば入口の看板にすぎません。一つのアドレスに悪い評判が立っても、看板だけを掛け替えて同じ仕組みを使い続けられるため、アドレスで検索しても過去の被害の情報が見つかりにくくなります。
原油の市場にも休場日があるため休止中の表示を疑いにくい
原油や金の取引は、実際の市場でも週末には行われません。このサイトの銘柄データにも曜日ごとの取引時間が設定されており、WTI原油は土曜日を終日取引しない設定になっていました。
週末などに「休止中」が表示されること自体は、利用者にとって見慣れた光景になっていたと考えられます。そのため、すべての銘柄が止まったままになっても、市場の休みだと受け止めてしまい、異常に気づくのが遅れやすくなります。
表示が長く続くときは、同じ銘柄の値動きを国内の登録業者の画面や報道など別の情報源で確かめることが手がかりになります。実際の市場が動いているのに画面だけが止まっている場合は、専門家に相談してください。
【参考】
・m.forexindex.cc(https://m.forexindex.cc/)
・api.cmcmarketss.top(https://api.cmcmarketss.top/?s=/ApiTrade/detail&aid=1&platform=h5&lid=3&id=2878)
・Google 透明性レポート-セーフ ブラウジングのサイト ステータス(https://transparencyreport.google.com/safe-browsing/search?url=m.forexindex.cc&hl=ja)
m.forexindex.ccの不審点を見抜く方法

SNSで知り合った相手から取引サイトを紹介されたとき、入金の前に手元のスマートフォンで確かめられることを6つ挙げます。本件では、どの項目も登録をしないまま調べることができ、いずれも異常を示していました。
- 画面に出ている名前を、金融庁の「金融事業者一括検索」に入れてみる
- 登録を受けた業者なら、商号で検索すると登録番号が表示されます。本件の画面にある名前は「FOREX」だけで、会社の商号も登録番号も見当たりませんでした。入れる名前が見つからないこと自体が確かめるべき点です。
- 聞き覚えのある会社名が出てきたら、その会社が日本で営業しているかを公式サイトで見る
- 本件のサイトの裏側では「CMC Markets」の名前が使われていましたが、同社の日本法人は2012年に廃業しています。名前の知られた会社であっても、日本の個人向けに窓口を持っているとは限りません。
- 提示されたレバレッジの倍率を、国内の上限の20倍と比べる
- 国内で許可を受けた業者が個人と行う商品の店頭取引では、倍率は20倍までと定められています。原油で1000倍を選ばせる画面は、国内の業者のものではない可能性が高いといえます。
- 振込先の名義を、取引の相手として説明された会社の名前と見比べる
- 個人の名前や、説明と無関係な法人の名前が出てきたら、振込の手続きを進めないでください。振込のたびに名義や銀行が変わる場合も同じです。
- 問い合わせの窓口が、所在地や電話番号ではなくLINEだけになっていないかを見る
- 本件のサポート画面では、入金・出金・口座変更などの5つの窓口がすべて同じLINEアカウントにつながっていました。会社としての連絡先が一つも示されていないサイトに、お金を預けることは避けてください。
- 案内されたアドレスが、いつ登録されたものかを調べる
- 登録情報の照会窓口のアドレス「https://rdap.org/domain/」の末尾にドメイン名を足して開くと、登録された日が「registration」の欄に出てきます。本件のforexindex.ccは2026年2月1日の登録で、送金が始まるわずか2か月半前でした。
すでに入金している場合は、取引の再開や出金のためだとして費用や追加の入金を求められても、それ以上の送金はしないでください。画面の残高を取り戻すための支払いが、新たな被害になるおそれがあります。
このサイトは2026年9月25日の時点ではまだ開けますが、いつ閉じられるかは分かりません。画面の写真、振込の控え、SNSでのやり取りを今のうちに保存し、弁護士などの専門家に相談する際に見せられるようにしておくことが大切です。
【参考】
・RDAP.org(https://rdap.org/)
m.forexindex.ccに関する口コミや被害事例

評判を確かめるため、X(旧Twitter)とYahoo!知恵袋のほか、5ちゃんねるや爆サイといった掲示板、海外の口コミサイトまで検索しました。このサイトそのものに触れた日本語の口コミは、確認できませんでした。
一方で、原油の取引を勧められて出金できなくなったという相談は、別の名前の案件として以前から寄せられています。また、ドメイン名で検索すると、今の運営とは時期の合わない古い口コミが見つかります。
X(旧Twitter)で検索しても本件に触れた投稿は出てこない
Xでは「forexindex」「m.forexindex.cc」のほか、裏側の接続先にあった「cmcmarketss」でも検索しました。どの語で探しても、m.forexindex.ccで取引した、あるいは出金できなかったと書かれた投稿は出てきません。
検索エンジンで「cmcmarketss」を調べても、表示されるのは正規のCMC Marketsの公式アカウントや会社情報です。一文字違いの名前は、検索すると本物の情報に埋もれてしまいます。「原油取引」「休止中」「出金できない」を組み合わせた検索でも、本件と結びつく投稿はありませんでした。
Yahoo!知恵袋には原油取引で出金できないという相談が並ぶ
Yahoo!知恵袋では、2023年の夏から秋にかけて、原油の取引を勧められた人の相談が続けて投稿されていました。7月28日の投稿は、FXの取引に誘われたあと「原油購入プラン」を紹介され、決済日に資金が足りないとして追加の入金を求められたという内容です。
▼原油購入プランで追加の入金を求められた相談(2023年7月28日)

出典:Yahoo!知恵袋
同じ投稿者は、口座内に残高があるのに出金方法を尋ねても回答がなく、ログインしようとすると口座が凍結されていたと書いています。8月19日の投稿も、原油取引で「決済金」を払い、予定どおり利益を出金できた人はいるかと尋ねるものでした。
▼原油取引の利益を出金できたか尋ねる相談(2023年8月19日)

出典:Yahoo!知恵袋
9月25日の投稿では、原油取引に勧誘されて出金の手続きをしたものの出金できず、グループLINEから削除されてアカウントも凍結されたと書かれています。いずれも本件とは名前の異なる案件で、本件と同一の運営者によるものかどうかは確認できません。
▼原油取引の勧誘後に出金できなくなった相談(2023年9月25日)

出典:Yahoo!知恵袋
海外の口コミサイトに残る評判はドメインの前の持ち主のもの
海外の口コミサイトTrustpilotには、forexindex.ccについての口コミのページがあります。2021年1月24日の投稿は「forexindex.ccは詐欺サイトです」と題し、資金をビットコインのウォレットに送ったあと、出金の手数料を求められたと訴えていました。
▼forexindex.ccについて2021年に投稿された口コミ

出典:Trustpilot
ただし、現在のforexindex.ccが登録されたのは2026年2月1日です。この口コミはそれより5年前のもので、以前に同じドメインを使っていた別のサイトについての評判とみられます。今の運営者と同じかどうかは分かりません。
ドメインは期限が切れると、別の人が取り直すことができます。そのため、アドレスで検索して見つかる評判が、今そのアドレスで動いているサイトのものとは限りません。本件でも、口コミの投稿とドメインの登録の間には5年の開きがありました。
【参考】
・Yahoo!知恵袋(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11283580616)
・Yahoo!知恵袋(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13284701393)
・Yahoo!知恵袋(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10286568080)
・Trustpilot(https://uk.trustpilot.com/review/forexindex.cc)
m.forexindex.ccに関する口コミが少ない理由

このサイトの口コミが見当たらない理由は、主に3つ考えられます。
まず、サイトが名乗る「FOREX」は為替取引を指す一般的な言葉で、検索の手がかりになりません。裏側で使われていた「cmcmarketss」も、正規のCMC Marketsの情報ばかりが並び、このサイトの評判にはたどり着けない名前です。
次に、ドメインが一度失効したあとに取り直されている点です。アドレスで検索すると、2021年ごろに同じドメインを使っていた別のサイトの口コミが先に出てくるため、今の運営についての書き込みが目立ちにくくなります。
さらに、口座を作るには紹介者から教わる招待コードが必須で、中の画面を使ったことがあるのは勧誘された人に限られます。やり取りもSNSの一対一の会話で進むため、サイトの名前が外の人の目に触れる機会がほとんどありません。
口コミが見つからないことは、安全であることを意味しません。送金を続けるかどうか決めかねているときも、すでに振り込んだあとでも、振込の控えやサイトの画面を手元に残したまま、弁護士などの専門家へ早めに状況を伝えてください。
【参考】
・m.forexindex.cc(https://m.forexindex.cc/)
・Trustpilot(https://uk.trustpilot.com/review/forexindex.cc)

