bnymellonx.comは「BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン」を掲げ、投資大会への投票と、低位株の短期売買をうたう年金プランの申込を受け付けるページです。
相談者が受けた勧誘の途中には、このページがありました。相談者はその後、株の取引アプリ「Aster」の案内で相手方の口座へ3回振り込み、凍結の予告と出金前の管理費を告げられています。
ページが読み込む票のデータでは、順位表に出る票の99.64%が「dummy」という欄の数字でした。くじ引きの当選者リストも、開くたびにブラウザの乱数で作り直されます。
主催とされる「BNYメロン証券」は金融庁の一括検索で見当たらず、ページのロゴも正規のBNYが2024年に改める前のものです。正規のBNYは、個人投資家への勧誘を否定しています。
票と当選者リスト、申込の画面から読み取れることを、正規のBNYの資料と並べて弁護士が解説します。名義の違う3つの口座への振込について、取り戻すための手続きと相談の進め方は最後の章にまとめました。
SNSの広告からBNY Mellonの名前のページを経てAsterの入金口座へ振り込むまで

この章では、SNSの広告を入口に、LINEの窓口、株の取引アプリ「Aster」、そして相手方の口座への振込へと進んだ流れをたどります。その途中にあったのが、BNY Mellonの名前を掲げた「BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン」のページ(bnymellonx.com)です。
SNSの広告からLINEの「Asterカスタマーサポート」につながった
相談者が相手と知り合うきっかけは、SNSに出ていた広告でした。その後、やり取りの場はLINEに移ります。そこで持ちかけられたのは、証券口座を使った投資で資金を増やす話でした。
相手がLINEで名乗っていたのは、「Asterカスタマーサポート」という窓口の名前です。相談者はこの窓口の案内からAsterというアプリに招かれ、そこで投資を始めました。相談者が開いていたAsterのアドレスは、stock.bnymarket.comでした。
Asterのアプリの中身は、別の記事「Aster(stock.bnymarket.com)の詐欺手口とは?出金前に管理費を求める株アプリの実態」にまとめました。
3回の振込の後に凍結と管理費を告げられた
入金の方法として示されたのは、「Aster入金専用口座」と題した案内でした。振込先には、別々の金融機関にある3つの口座が並び、2つは個人名義、1つは合同会社名義です。案内のとおり、相談者は相手方の口座へ3回にわたって振り込んでいます。
3回目の振込を終えた後に届いたのは、「追加入金しなければ凍結」という知らせでした。さらに、アプリに表示された資金を引き出そうとする段階で、出金の前に「管理費」を支払うよう求められました。
勧誘の途中に「BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン」のページがあった
この勧誘の経路には、bnymellonx.comのページもありました。ブラウザのタブには「BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン」と出て、画面には年金プランの申込、「BNY Mellon 秋の投資王決定戦」という投資大会の説明と順位表、くじ引きが並んでいます。
ページには、主催者を「BNYメロン証券(BNY Mellon Securities)」と書いています。しかし、このページを正規のBNY(ザ・バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)が運営していることを示す情報は確認できませんでした。正規のBNYの側の資料は、後の章で確かめます。
SNSの広告からLINEの窓口とAsterへ進み、その勧誘の途中にBNY Mellonの名前のページがあり、相手方の口座へ3回振り込んだ後に凍結の予告と出金前の管理費を告げられたことが、被害につながった経緯です。次の章では、年金プランの申込の画面が何を求めているのかを見ていきます。
【参考】
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン(https://bnymellonx.com/)
・Aster(https://stock.bnymarket.com/)
年金プランの申込はLINEでログインしないと送れない作り

bnymellonx.comを開いて最初に出るのは「「参加申込」」の画面で、ここが「BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン(第3期)」の申込の窓口です。この章では、申込の画面の説明、選ばせる項目、そして申込を送るときに求められるLINEのログインを順に見ていきます。
年金資産の形成をうたいながら中身は低位株の短期売買
申込の画面は、題の下に「〜資金の調整とテーマ株の反発に着目した短期集中トレーニングプログラム〜」と掲げ、プランの中身を次のように説明しています。
年末年始は、市場の資金が低位株へ集中しやすい特別な時期です。
本プロジェクトでは、本大会における運用資金、年末の資金リバランス、および機関投資家のポートフォリオ構築ペースを総合的に分析。専門チームが厳選した3〜5銘柄の低位ポテンシャル株を対象に、短期集中型のスイングトレード戦略を展開いたします。
▼年金資産の形成と短期売買を並べる申込の画面

出典:bnymellonx.com
続く「本プログラムが適している方」の1つ目には、「中長期的な資産(年金資産等)の着実な形成を目指す方」とあります。年金の名前を掲げながら、示している中身は株価の低い3〜5銘柄を短期で売買する計画で、中長期の資産形成とは向きの違う説明が同じ画面に並んでいます。
選べる希望収益率は「10%~50%」から「100%以上」まで
申込の欄は、お名前・年齢・電話番号・メールアドレスに、「投資予定金額(任意選択)」と「希望収益率(任意選択)」を加えた6つです。投資予定金額は、「50万円以内」から「1,000万円以上」までの5段階から選ぶ形になっています。
希望収益率の選択肢を開くと、並ぶのは「10%~50%」「50%~100%」「100%以上」の3つだけです。年金の名前のプランで、最も低い選択肢でも10%からになっています。
▼10%以上だけを選べる希望収益率の選択肢

出典:bnymellonx.com
欄の名前は「任意選択」ですが、プログラムを調べたところ、投資予定金額と希望収益率は選ばないと申込を送れない必須の項目でした。画面の最後には「なお、ご投票いただいた大会参加者より、後日具体的な投資戦略のご案内をさせていただきます。」と書かれています。
申込にはLINEの表示名とプロフィール画像が添えられる
bnymellonx.comを開くと、申込の画面の上にすぐ「【注意事項・ご案内】」の枠が重なり、LINEでのログインを求めます。枠の中には、投票の求めとログインの特典が次のように書かれています。
1.本人確認済みのLINEアカウントでログインの上、投票してください。
(中略)
d. 大会終了後の優先取引枠(低位株)への参加資格
▼申込の画面を開くとすぐ出る認証ログインの枠

出典:bnymellonx.com
プログラムを調べたところ、ログインしないまま「すぐに申し込む」を押しても、同じ枠がもう一度開くだけで申込は送られません。ログインした後に送ると、入力した欄に加えて、LINEの表示名が「career」、プロフィール画像が「experience」という名前の項目に入れられて送られます。
▼LINEの表示名と画像を申込に加えるプログラム

出典:bnymellonx.com
項目の名前は経歴や経験を表す英語でも、中身はLINEのアカウントの情報です。氏名や電話番号とLINEのアカウントがひとまとまりで運営に渡る作りとみられ、BNYの名前でログインを求められたら、正規のBNYの公式サイトで企画の有無を先に確かめてください。
【参考】
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン(https://bnymellonx.com/)
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-申込の画面のプログラム(https://bnymellonx.com/assets/Signup-TU5wZlQG.js)
投資王決定戦の票と当選者リストは画面の外で作られた数字

bnymellonx.comの「くじ引き」の画面には、「BNY Mellon 秋の投資王決定戦」の順位表、くじ、当選者リストが並んでいます。この章では、順位表の票数と当選者リストがどこから来ているのかを、票のデータとページのプログラムで確かめます。
順位表は「リアルタイム更新・公平な競技」とうたう
大会の説明の画面は、審査の4割を「オンライン評価・一般投票」とし、「特設投票システムを通じ、一般参加者、業界専門家、学術関係者等から寄せられた評価・支持を反映します。」と書いています。投票の結果が入賞を左右するという説明です。
くじ引きの画面の「大会順位表」には上位3人が並び、1位は44,734票、2位は44,566票、3位は37,353票と表示されています。順位表のすぐ下には、「リアルタイム更新 ・ 公平な競技」の一文が添えられています。
▼リアルタイム更新とうたう投資王決定戦の順位表

出典:bnymellonx.com
32万7,924票のうち実際の票の欄は1,194票
順位表の数字は、ページが読み込む票のデータ(https://bnymellonx.com/api/index/home)から来ています。このデータはログインせずにブラウザで開け、候補者9人ごとに「vote_count」「dummy」「vote_num」という3つの欄が並んでいます。
1位の候補者を見ると、「vote_count」は1,166、「dummy」は43,568で、2つを足した44,734が「vote_num」です。順位表に出ている票数は、この足し算の結果で、9人とも同じ形になっていました。
▼1位の票の大部分がdummyの欄にある票のデータ

出典:bnymellonx.com
9人分を合計すると、「vote_count」は1,194票、「dummy」は326,730票で、合わせて327,924票です。「dummy」は英語で見せかけ・模造の意味で、表示される票の99.64%がこの欄の数字でした。実際に数えられたとみられる票は、全体の1%にも届きません。
画面には票を入れる処理がないため、この欄の数字は運営の側で入れたものとみられます。
投票は9月13日に締め切られ候補者を選ぶ仕組みもない
同じデータの末尾には、「period」として「2026-08-09 00:00:00,2026-09-13 18:00:00」と書かれ、投票の期間が9月13日の夕方に終わっていたことが分かります。その日の票数を示す「today_vote」は0でした。
▼9月13日に終わった投票期間と今日の票数0

出典:bnymellonx.com
プログラムを調べたところ、画面にこの期間を表示する処理はなく、順位表を見ても投票が終わっていることは分かりません。また、ページがサーバーへ送る先は5つあるものの、どの候補者に票を入れるかを送るものは1つもありませんでした。順位表の画面にも、候補者を選ぶボタンはありません。
当選者リストの160件は開くたびに乱数で作り直される
順位表の下の「🎉 当選者リスト 🎉」には、「70 **** 9442 全身マッサージチェア」のように、電話番号の一部を伏せたような番号と賞品が流れていきます。ところが、同じ画面を開き直すと、番号も賞品の並びもまったく別のものに入れ替わります。
▼開くたびに入れ替わるくじ引きの当選者リスト

出典:bnymellonx.com
プログラムを調べたところ、当選者リストはサーバーから受け取るのではなく、ブラウザの中で作られていました。「70」「80」「81」「90」から1つ、1000から9999までの数から1つを乱数で選んで番号の形にし、賞品の一覧からも乱数で1つを選ぶ処理を160回くり返して並べているだけです。
▼番号と賞品を乱数で組み合わせるプログラム

出典:bnymellonx.com
くじは招待コードがないと回らず受け取りは「担当の吉田」へ
くじの「開始」を押すと、招待コードの入力を求められます。プログラムを調べたところ、入れたコードはサーバーへ送られ、どの賞品で止まるかはサーバーが返した答えで決まります。サーバーが受け付ける招待コードがなければ、くじは回らない作りです。
当選の後に出る枠には、プログラムに書かれた次の文が表示される作りです。
この画面のスクリーンショットを保存し、担当の吉田までご連絡の上、賞品をお受け取りください。
賞品を受け取るには、招待コードを配る側の「担当」に連絡を取るしかない作りです。順位表の票、当選者の顔ぶれ、くじの結果のいずれも、運営の側で決められる作りです。投票やくじを入口に連絡を求められたら、その相手に連絡する前に、主催とされる会社の公式サイトで大会の告知を探してください。
【参考】
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-くじ引き(https://bnymellonx.com/awards)
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-大会の説明(https://bnymellonx.com/event)
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-票のデータ(https://bnymellonx.com/api/index/home)
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-くじ引きの画面のプログラム(https://bnymellonx.com/assets/Awards-CehUa2gk.js)
BNY Mellonのページに残るAMUFの広告と去年の日付

この章では、bnymellonx.comに残る別の名前の広告と、ページが読み込むデータの日付を、アドレスの登録日と比べます。あわせて、このページが相談者の振り込んだアプリ「Aster」と同じサーバーで動いていることを確かめます。
くじ引きの画面に浮かぶ広告は「AMUF年末ラストスパート」
くじ引きの画面の左上には、紫色の広告が浮かんでいます。書かれているのは「「AMUF年末ラストスパート」」と「低位株上昇計画」の2行で、ページが名乗るBNY Mellonではない「AMUF」という名前です。季節も「秋」ではなく「年末」になっています。
▼くじ引きの画面に残るAMUF年末ラストスパートの広告

出典:bnymellonx.com
プログラムを調べたところ、この広告を押すと申込の画面へ移る作りになっていました。前の章で見た年金プランの申込の画面も、書き出しは「年末年始は、市場の資金が低位株へ集中しやすい特別な時期です。」で、秋の名前のプランに年末の話と低位株の話が残っています。
候補者と賞品のデータはbnymellonx.comの取得より前に作られた
bnymellonx.comの登録情報(RDAP)を見ると、登録の日時は「2026-08-22T11:23:53Z」、日本時間で2026年8月22日の20時23分です。年金プランのページのアドレスは、この日に取られたことになります。
▼2026年8月22日に登録されたbnymellonx.com

出典:rdap.verisign.com
くじの賞品のデータ(https://bnymellonx.com/api/index/prize)を開くと、9つの賞品のうち7つは画像の置き場所に「20251227」、残る2つは「20260310」の日付が入っています。賞品の画像の多くは、登録より8か月ほど早い日付の場所に置かれています。
▼2025年12月の日付が並ぶ賞品の画像の置き場所

出典:bnymellonx.com
票のデータでも、候補者9人のうち7人は作成の日時が2025年11月9日から12日です。新しいのは顔写真の置き場所の日付だけで、登録の当日か前日にあたる8月21日と22日でした。
BNY Mellonの名前を付ける前から、同じ投票とくじの仕組みが別の名前の勧誘に使われていた可能性があります。くじ引きの画面の「AMUF」の広告は、その名残とみられます。
bnymellonx.comはAsterと同じサーバーで動いている
アドレスがどのサーバーを指すかは、Googleが公開している照会のページ(dns.google)で誰でも調べられます。bnymellonx.comを入れても、api.jnyutuo.comを入れても、返ってくるサーバーの番号(IPアドレス)は同じ「34.84.205.156」でした。
▼同じIPアドレスを指す2つのアドレスの照会結果

出典:dns.google
api.jnyutuo.comの設定のデータ(https://api.jnyutuo.com/index_index/base)を開くと、最初の欄に「”name”:”Aster管理后台”」と出ます。「管理后台」は中国語で管理画面のことです。
▼同じIPアドレスが返すAsterの設定のデータ

出典:api.jnyutuo.com
投票と申込のページとAsterの設定のデータは、同じIPアドレスのサーバーから返ってきます。BNY Mellonの名前のページと、振込を案内したアプリの裏側は、同じ運営とみられます。ページで投票や申込をした後に別のアプリを勧められたら、振り込む前にそのアプリの名前とアドレスでも調べてください。
Asterの画面や仕組みについては、「Aster(stock.bnymarket.com)の詐欺手口とは?出金前に管理費を求める株アプリの実態」をご覧ください。
【参考】
・Verisign RDAP-bnymellonx.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/bnymellonx.com)
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-賞品のデータ(https://bnymellonx.com/api/index/prize)
・Google Public DNS-bnymellonx.com(https://dns.google/query?name=bnymellonx.com)
・Google Public DNS-api.jnyutuo.com(https://dns.google/query?name=api.jnyutuo.com)
・api.jnyutuo.com-設定のデータ(https://api.jnyutuo.com/index_index/base)
主催の「BNYメロン証券」を正規のBNYの発表と比べる

bnymellonx.comは、投資大会の主催者として「BNYメロン証券」の名前を挙げています。この章では、その名前を金融庁の照会にかけ、正規のBNY(ザ・バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)とその日本の証券会社が出している注意喚起や方針、ロゴの発表と突き合わせます。
主催の「BNYメロン証券」は金融庁の一括検索で0件
大会の説明の画面には、主催者と使う仕組みが次のように書かれています。画面の下のほうでは、大会が日本の金融当局の決まりを守って運営されるとも述べています。
• 主催:BNYメロン証券(BNY Mellon Securities)
• 使用プラットフォーム:BNY MAX(テクニカル分析プラットフォーム)
▼主催をBNYメロン証券とする投資王決定戦の説明

出典:bnymellonx.com
ところが、金融庁の金融事業者一括検索で「BNYメロン証券」と調べると、結果は「該当するデータはありませんでした。」でした。「BNY MAX」でも0件です。日本で登録を受けた金融事業者の中に、「BNYメロン証券」という名前の会社は見当たりません。
▼BNYメロン証券で0件の金融庁の一括検索

出典:金融庁
英語の「BNY Mellon Securities」は、正規のBNYのグループでは米国の証券会社の名前です。日本で証券会社として登録があるBNYのグループ会社は、バンクオブニューヨークメロン証券株式会社(関東財務局長(金商)第147号)で、同社の方針には次の一文があります。
原則 6(注 1)一般のご投資家に対し、直接、金融商品・サービスの販売・推奨等を行っておりません。
▼一般の投資家に直接販売しないとする正規の方針

出典:バンクオブニューヨークメロン証券
正規のBNYの注意喚起はSNSで投資アプリを勧められた相談に触れる
正規のBNYは、日本語のサイトに「BNYを騙る詐欺的な投資勧誘にご注意ください」というページを設けています。最初の段落は次のとおりです。
BNY(ニューヨークメロン銀行)の従業員と称し、またはBNYの名称を用いて何者かが投資勧誘を行っているとの情報が寄せられています。特に最近は、SNSを通じて「暗号資産」「投資アプリ」「基幹口座」を勧められた、著名人を騙った投資セミナーに参加した、との問い合わせが増えています。BNY(ニューヨークメロン銀行)は個人投資家に対しこのような行為を一切行っておりませんので、十分ご注意ください。また、詐欺に遭われたのではないかと思われる場合は、最寄りの警察署にご相談ください。
▼個人投資家への勧誘を否定する正規のBNYの注意喚起

出典:BNY
同じ文は、2025年9月15日にInternet Archiveが保存したページにもすでにあります。bnymellonx.comが取られるより前から出ている注意喚起で、本件の名前やアドレスは載っていません。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、SNSの広告からLINEを経て投資アプリへ誘う流れは、注意喚起が挙げる問い合わせと重なります。正規のBNYは、個人投資家にそうした勧誘をしていないと明記しています。
ページのロゴは正規のBNYが2024年に改める前の「BNY MELLON」
bnymellonx.comの画面の左上には、矢印の記号と「BNY MELLON」の文字のロゴが置かれています。一方、正規のBNYは2024年6月11日の発表で、ロゴと会社全体の呼び名を改めました。
As the world changes and global financial markets evolve, so do we. To improve familiarity with who we are and what we do, we are updating our logo and simplifying our company umbrella brand to BNY. Changes to the logo include a modern font, a refined arrow and a distinctive teal color.
▼ロゴとブランド名をBNYに改めた正規の発表

出典:BNY
日本語に訳すと「ロゴを新しくし、会社全体のブランド名をBNYに簡素化する。ロゴは新しい書体と矢印、青緑の色に変わる」という意味です。2026年8月に取られたページが、2年前に正規のBNYがやめたロゴを使っていることになります。
正規のBNYの日本のサイトのロゴは、今は「BNY」の3文字です。BNYの名前で投資の話を持ちかけられたら、ページのロゴや名前を、正規のBNYの日本のサイト(bny.com)と見比べてから判断してください。
【参考】
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-大会の説明(https://bnymellonx.com/event)
・金融庁-金融事業者一括検索
・バンクオブニューヨークメロン証券株式会社-会社情報(https://www.bny.com/corporate/jp/ja/securities-company-japan-ltd.html)
・バンクオブニューヨークメロン証券株式会社-お客様本位の業務運営に関する方針(https://www.bny.com/content/dam/bnymellon/japan/pdfs/1578000-1776703-2607-お客様本位の業務運営に関する方針_バンクオブニューヨークメロン証券株式会社_2026-年6月.pdf)
・BNY-BNYを騙る詐欺的な投資勧誘にご注意ください
・BNY-The Bank of New York Mellon Corporation Introduces Updated Brand: BNY(https://www.bny.com/corporate/global/en/about-us/newsroom/company-news/the-bank-of-new-york-mellon-corporation-introduces-updated-brand-bny.html)
年金プランのページで確かめる5つの操作

投資大会への投票や年金プランの申込を勧められたとき、bnymellonx.comのようなページは、その場の操作だけでかなりのことが確かめられます。ここまでの章で見た材料を、ページを開いた人が自分の手で試せる5つの操作にまとめます。
- くじ引きの画面を開き直す:当選者リストの番号と賞品が、開くたびに入れ替わるかを見ます。入れ替われば、当選者の一覧は実際の当選の記録ではありません。
- ログインの枠を閉じて申込の注意書きを読む:投票のためと言いながら、「優先取引枠(低位株)」や専門アドバイザーの投資サポートに話がつながっていないかを確かめます。LINEでログインすると、表示名と画像が申込と一緒に渡ります。
- 主催の会社名を金融庁の一括検索に入れる:「BNYメロン証券」のように、ページが挙げる名前をそのまま入れます。0件なら、その名前は日本で登録を受けた業者の中に見当たらないということです。
- ロゴと名前を正規のBNYの日本のサイトと見比べる:正規のBNYのロゴは「BNY」の3文字で、日本語のサイトには個人への勧誘を否定する注意喚起が出ています。
- 申込の後に届く連絡の名前をページの名前と比べる:本件では、ページはBNY Mellonを名乗る一方、LINEの窓口は「Asterカスタマーサポート」でした。名前が途中で変われば、ページの名乗りを根拠に信じることはできません。
国民生活センターは、SNSで著名人の名前を使う投資の勧誘について、「著名人の公式サイトや公式アカウント等で投資に関する注意喚起が出ていないか、まずは確認するようにしましょう。」と呼びかけています。名前を使われているのが金融機関でも、確かめる先は同じく公式サイトです。
5つのうち1つでも食い違えば、投票や申込、LINEのログインに進まず、振込もしないでください。BNY Mellonの名前を信じて振込まで進んでいたなら、「凍結」や「管理費」の名目で次のお金を出す前に、専門家に相談するのが先です。LINEの画面と振込の控えは消さずに置いてください。
【参考】
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン-くじ引き(https://bnymellonx.com/awards)
・金融庁-金融事業者一括検索
・BNY-BNYを騙る詐欺的な投資勧誘にご注意ください
・国民生活センター-SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?
BNY Mellonの年金プランの口コミは見つからず「AMUF」の名前で相談が出る

2026年11月2日の時点で、年金プランや投資王決定戦、主催の「BNYメロン証券」の名前を挙げた口コミや被害の書き込みは、Yahoo!知恵袋・Yahoo!検索・X・5ちゃんねるなどのどこにも見当たりませんでした。その事情と、ページに残る別の名前から見つかった相談を順に見ていきます。
プランの名前は検索の結果がこのページ1件だけ
「秋の暖かい年金プラン」をYahoo!検索にかけると、出てくるのはbnymellonx.comのトップの1件だけです。題は「BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン」で、ページそのものが検索の結果に出ていて、それを取り上げた書き込みや注意を呼びかける記事は1つもありません。
ページのアドレスが取られたのは2026年8月22日で、まだ日が浅いページです。さらに、投票や申込の入口はLINEのログインで、その先のやり取りもLINEの中で進みます。ページを見た人の体験が、外から読める場所に書き残されにくい作りといえます。
「bnymellonx」で調べると正規のBNYのページが並ぶ
アドレスの「bnymellonx」で調べても、検索の結果に並ぶのは正規のBNYの日本のサイト、運用部門の会社概要、百科事典の記事など、実在の会社の情報です。検索の仕組みが「BNY Mellon」の言い間違いと受け取り、偽物のアドレスで調べても本物の会社の情報に置き換わってしまうとみられます。
「BNYメロン」に「詐欺」を足して調べると、正規のBNYの注意喚起のほか、別の名前でBNYをかたる事案を扱った記事が並びます。どれも本件のページやアドレスには触れておらず、BNYの名前が以前から勧誘に使われていることを示すものにとどまります。
広告に残る「AMUF」の名前では2026年1月に株の投資詐欺の相談がある
くじ引きの画面に残っていた「AMUF」の名前で知恵袋を調べると、2026年1月の質問が2件見つかりました。そのうち2026年1月19日の質問の題は、こう書き出されています。
JX AMUFという詐欺グループで株の投資詐欺に合いました。
(後略)
▼JX AMUFの株の投資詐欺を訴える知恵袋の質問

出典:Yahoo!知恵袋
この質問では、5つの口座に振り込んだことも書かれています。2026年1月28日の質問も「JX AMUFという偽の証券会社で投資詐欺にあいました。」で始まり、偽の証券会社による株の投資の被害を訴えています。
「AMUF」の名前、株の取引、複数の口座への振込は、本件と重なります。一方で、2件とも本件より約9か月早く、BNYの名前や投資大会の投票には触れていないため、同じ運営とまでは結びつけられません。
名前を変えて同じ形の勧誘がくり返されている可能性はあります。投票やくじから株のアプリへ誘う流れに覚えがあれば、ページやアプリの名前が違っても、振り込む前に立ち止まってください。
【参考】
・BNY Mellon 秋の暖かい年金プラン(https://bnymellonx.com/)
・Yahoo!知恵袋-2026年1月19日の質問(JX AMUFという詐欺グループで株の投資詐欺にあったという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14324455149)
・Yahoo!知恵袋-2026年1月28日の質問(JX AMUFという偽の証券会社で投資詐欺にあったという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12324762032)
LINEの名前を渡し3つの名義の口座へ振り込んだ後に取れる手段

年金プランのページで投票や申込のためにLINEでログインし、その後に別のアプリの案内で相手方の口座へ振り込んだ人は、次のような悩みや疑問を抱えているはずです。
- 申込で渡した電話番号やLINEに連絡が続くが、どこに相談すればよいか
- 名義の違う3つの口座への振込は、どうすれば止められるのか
- 口座に残っていないお金は、誰に、どうやって求めればよいのか
- 「追加入金しなければ凍結」と言われたら、払うべきか
この章では、この4つに順に答えていきます。最初に取り上げるのは、申込やログインで渡した情報の扱いと、迷ったときに頼れる相談先です。振込の手続きや請求の話は、その後に続けて解説します。
申込で渡した電話番号やLINEに届く連絡は保存して相談先へ
申込の画面で入れた氏名・電話番号・メールアドレスと、ログインで渡したLINEの表示名は、運営の手元に残っているとみられます。この先も、追加の入金や返金を持ちかける連絡が届くことがあります。届いた連絡は消さずに画面を保存し、相手に返事をする前に相談先へ持ち込んでください。
正規のBNYの注意喚起は、詐欺が疑われるときの相談先として最寄りの警察署を挙げ、金融庁の「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」も案内しています。名前を使われた会社自身が示している窓口なので、どこに相談するか迷ったときの最初の手がかりになります。
名義の違う3つの口座はそれぞれの金融機関に取引の停止を求める
振込先は、個人名義の口座が2つと合同会社名義の口座が1つで、金融機関も3つとも別々でした。振り込め詐欺救済法の手続きは口座ごとに進むので、3つの金融機関のそれぞれに、振込の控えを添えて被害を届け出ることになります。
金融庁の振り込め詐欺救済法に関するQ&Aは、「預金口座等が犯罪に利用された疑いがある場合に、預金口座等の取引の停止等の措置が行われます。」と説明しています。口座の残高から分配を受ける手続きについては、次のように書いています。
申請期間は、支払手続が開始された旨の公告があった日の翌日から30日以上設けられます。
被害を申し出た人には、金融機関から個別に申請期間が知らされます。3つの口座で手続きの時期がずれることもあるため、どの口座にいつ届け出たかを控えておくと、後の確認が楽になります。
合同会社の名義は登記でたどれても個人名義の住所は分からない
分配で戻らなかった分については、口座の持ち主に直接返すよう求める道が残ります。
合同会社の名義なら、正しい商号が分かれば、法務省が「誰でも手数料を納付すれば会社の登記事項証明書を取得することができます(商業登記法第10条第1項)。」としているとおり、登記から本店と代表社員を確かめられます。
一方、個人名義の口座は、通帳や振込の控えに名前が出るだけで、住所までは分かりません。金融機関に本人が尋ねても、預金者の住所は通常教えてもらえず、請求の相手を特定するところで止まってしまいます。
名義人の住所を調べる手段として、弁護士には、弁護士会を通じて金融機関に照会を求める仕組み(弁護士法第23条の2)があります。
個人名義の2つの口座の名義人を突き止めるには、こうした手段を持つ専門家に相談するのが現実的です。合同会社の登記の写しも、相談のときに持参すると話が早く進みます。
「追加入金しなければ凍結」と言われても振込を重ねない
前の章までで見たとおり、投資大会の票の大半は「dummy」の欄の数字で、当選者リストはブラウザの乱数で作られ、主催の「BNYメロン証券」は日本の登録業者の中に見当たりませんでした。この勧誘で示された数字や名前には、払えば出金できると信じる根拠がありません。
「凍結」を避けるためでも、「管理費」を払えば引き出せると言われても、新たな振込は止めてください。すでに振り込んだ分の手続きと、名義人への請求を進めることのほうが、手元にお金を戻す道につながります。
【参考】
・BNY-BNYを騙る詐欺的な投資勧誘にご注意ください
・金融庁-「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」の開設について
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・法務省-商業・法人登記 Q&A
・e-Gov法令検索-弁護士法
