BKT Gold(bktgoldsxe.com)は詐欺?他社の許認可を写した一覧や近親者の連絡先を求めるローン契約の実態と口コミ・評判・返金対策

今回の相談は、SNSで「BKT Gold」に関わる相手と知り合ったのが始まりです。警察庁は、偽物の投資アプリをインストールさせる手口が相次いでいるとして、勧められたアプリの名前を確かめるよう呼びかけています。

相談者は、BKT Goldを名乗る取引サイト(bktgoldsxe.com)で一度は少額を引き出せた後、イーサリアムの送金を重ねました。相手が指定した口座への振込もあり、お金は暗号資産と銀行振込の両方で渡っています。

調べると、BKT Goldが掲げる各国の許認可の一覧は、正規のCrypto.comのページをなぞったものでした。1989年の開始や上場をうたいながら、会社の名前はどこにも示されていません。ローンの契約は近親者の連絡先を求め、契約の内容を第三者に明かさないよう定めています。

本記事では、BKT Goldの画面と文書を公的機関の資料と照らし合わせ、分かったことを弁護士が解説します。出金やローン、知人の紹介の話が出たときに確かめることも紹介します。

BKT Goldに関するトラブルの概要

取引の中身と送金先を確かめる。暗号資産やFXなどを扱う表示。暗号資産の送金と銀行振込。運営会社の名前は確認できず。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

相談者は、SNSで「BKT Gold」に関わる相手と知り合い、BKT Goldを名乗る取引サイト(bktgoldsxe.com)で一度は少額を引き出せました。その後はイーサリアムの送金を重ね、相手が指定した口座への振込もしています。

この章では、BKT Goldがうたう取引の中身、偽の投資アプリへの警察庁の注意喚起、運営会社の名前がないこと、暗号資産と振込の両方でお金を渡す被害の統計を順に確かめます。

BKT Goldは暗号資産やFXの取引をうたうサイトとアプリの名前

相談者の端末の画面には、「BKT Gold」という名前のアプリのアイコンがありました。取引サイトのbktgoldsxe.comを開くと、赤い四角に「BKT」と書かれたロゴと、英語のログイン画面が表示されます。

▼BKTのロゴが表示されるbktgoldsxe.comのログイン画面

bktgold-BKTのロゴが表示されるbktgoldsxe.comのログイン画面

出典:BKT Gold

画面の一覧をプログラムで確かめると、扱う取引は暗号資産・FX・先物・米国株に及び、新規公開株やローン、他人の売買をまねるコピートレードまであります。PC向けのサイト(bktgoldksc.com)も「金、銀、原油、天然ガスなどの CFD を取引できます」とうたっています。

名前には「Gold」とありますが、金は約240の銘柄のうちの一部にすぎません。金の売買に限らず、さまざまな金融商品を扱う取引所として作られているサイトです。BKT Goldが日本で登録を受けた業者によって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。

SNSで知り合った相手から取引サイトへ誘う手口に公的機関が注意を呼びかけている

警察庁は、SNSなどで知り合った相手から投資を持ちかけられる「SNS型投資詐欺」の特設ページで、気を付けるべき点の一つとして次のように書いています。

実在しない架空の「暗号資産」への投資を勧められたり、偽物の「投資アプリ」をインストールさせられたりするケースが相次いでいます。
(後略)

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、本件の相談者も、端末に「BKT Gold」のアイコンを置いていました。アイコンが並んでいるだけでは、誰が作ったアプリなのかは分かりません。配布元は関連サイトの調査の章で確かめます。

BKT Goldの画面には運営する会社の名前も日本の登録番号も出てこない

PC向けのサイトを日本語の表示にしても、下の「私たちについて」は英語の「About Us」のままです。書き出しは「The Exchange is a leading global digital asset trading platform」で、取引所を「The Exchange」と呼ぶだけです。

会社の名前は最後まで出てきません。ページの下には「© 2024 BKT Gold マーケット」とありますが、BKT Goldがどこの国のどの会社なのか、所在地や登録番号はどの画面にも見当たりませんでした。取引サイトのユーザー規約も、運営する側を「当社」と呼ぶだけです。

PC向けのサイトには、各国の許認可を並べたページもあります。ただ、そこに日本の登録はなく、一覧の中身にも不審な点がありました。誰が運営しているのかを、サイトの表示からは確かめられないことになります。許認可の一覧は、不審点の章で正規の取引所のページと並べて確かめます。

振込と暗号資産の送信の両方でお金を渡す被害が増えている

警察庁の令和7年の確定値では、SNS型投資詐欺は認知件数9,523件、被害額1,288.0億円です。お金を渡した方法でみると、銀行口座への振込が7,135件で全体の74.9%を占めています。同じ資料は、暗号資産を使った被害について次のようにまとめています。

(前略)
振込型における暗号資産振込と合わせると、一次的な主な被害金等交付形態が実質的に暗号資産であるものが総認知件数に占める割合は21.0%(+6.0ポイント)、被害総額に占める割合は17.2%(+4.4ポイント)。

これらの統計が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、本件の相談者は、国内の交換業者で用意したイーサリアムを送り、そのうえ相手が指定した口座への振込もしていました。暗号資産と銀行振込の両方でお金が相手の側に渡っています。

取引サイトから「入金」を求められたとき、それが暗号資産の送金でも口座への振込でも、相手が運営会社の名前を示さないサイトであれば、送る前に専門家に相談してください。運営会社の名前がない相手には、後から返金を求める先もはっきりしません。

【参考】

・BKT Gold(https://www.bktgoldsxe.com/)

・BKT Gold(https://www.bktgoldksc.com/)

・警察庁-SNS型投資詐欺

・警察庁-令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)

BKT Goldへ誘導され被害につながるまでの経緯

少額出金の後に送金が続く。SNSで知り合い、ビデオ通話もした。イーサリアムを繰り返し送金。指定口座への振込も重なった。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

ここでは、SNSでの出会いとビデオ通話、BKT Goldでの少額の出金、その後のイーサリアムの送金、指定の口座への振込と別の相手への送金までを相談の記録に沿って順にたどります。

SNSで知り合ったBKT Goldの関係者とビデオ通話も交わす

相談の記録によると、相談者はSNSで「BKT Gold」に関わる相手と知り合い、一度ビデオ通話もしています。相談者の端末には「BKT Gold」のアプリのアイコンがあり、取引サイトとして使われていたのが bktgoldsxe.comです。

ビデオ通話で顔を合わせると、相手を身近に感じやすくなります。しかし、相手の顔を見たことは、勧められたサイトの運営会社や金融庁の登録を確かめる代わりにはなりません。お金を送る前に、勧められたサイトのどこかに運営する会社の名前が示されているかを見てください。

一度は少額を引き出せたあとでイーサリアムの送金を重ねる

BKT Goldでは、一度は少額を引き出すことができました。その後、相談者はイーサリアム(ETH)の送金を重ねています。送り出したイーサリアムは、相談者自身が国内の暗号資産交換業者の口座に用意したものです。

少額の出金ができた後に、送金が重なっていく流れは本件の経緯の中心にあります。最初に少しだけ引き出させる手口は、警察庁も手口の一例として図で示しており、悪用されやすい理由の章で取り上げます。

相手が指定した口座への振込と別の相手への送金も重なる

相談者が相手に渡したのは、暗号資産だけにとどまりません。相手から口座を指定され、そこへ銀行から振り込んだお金もあります。取引サイトの画面の中で完結する入金ではなく、取引サイトの外にある口座へ相談者が直接振り込む形でした。

さらに相談者は、SNSで別の相手とも接触し、その相手が示した送金先にもイーサリアムを送っています。送金の相手は、BKT Goldに関わる人だけではなかったことになります。

SNSで知り合った相手とビデオ通話を交わし、BKT Goldで少額を引き出せた後に、イーサリアムの送金を重ねました。あわせて指定の口座への振込と、別の相手への送金もしています。被害は、暗号資産の送金と銀行振込の両方に、そして複数の相手に広がりました。

BKT Goldの関連サイトの情報を調査した結果

取得日と配布元を照合する。取引サイトは初回送金の4日前に取得。アプリは別のアドレスから配布。警告一覧にないことは安全の証明にならない。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

この章では、bktgoldsxe.comの取得時期をドメインの登録情報(RDAP)で、「BKT Gold」のアプリの配布元をサイト自身の設定で確かめます。最後に、金融庁と海外の当局の情報を照会します(いずれも2026年10月14日に確認)。

項目内容
アドレスbktgoldsxe.com(取引サイト)/bktgoldksc.com(PC向けのサイト)
名乗る名前BKT Gold(ロゴの表記とアプリの名前)
取得日時(bktgoldsxe.com)2026年6月11日 11時56分(日本時間)
登録を扱った事業者Gname.com Pte. Ltd.(有効期限は2027年6月11日)
アプリの配布元sxvtniox.com(iPhone向けの構成プロファイルとAndroid向けのAPK)
運営会社・所在地の表示なし

bktgoldsxe.comは最初の送金の4日前に取得されている

RDAPで bktgoldsxe.com を引くと、registration(登録)の欄は「2026-06-11T02:56:18Z」です。協定世界時の表記で、日本時間では6月11日の昼前にあたります。登録した人や会社の名前は公開されておらず、分かるのは手続きを受け付けた事業者だけです。

▼2026年6月11日の登録を示すbktgoldsxe.comの登録情報

bktgold-2026年6月11日の登録を示すbktgoldsxe.comの登録情報

出典:rdap.verisign.com

相談の記録では、相談者が最初にイーサリアムを送ったのはこの取得の4日後です。暗号化に使う証明書(Amazon Trust Services)も6月11日から有効になっています。取引サイトのアドレスは、相談者がお金を送り始める直前に用意されたものです。

アプリはApp StoreやGoogle Playではなく別のアドレスから配られている

BKT Goldのデータのやり取り先には、サイトの設定をログインなしで返す仕組みがあります。そこには、サイト名「BKT Gold」と並んでiPhone向けとAndroid向けのアプリの入手先が書かれていました。

▼アプリの入手先がsxvtniox.comと書かれたBKT Goldの設定 トリミング:短いURLバーに組み直した。siteName・iosDownloadUrl・androidApkDownloadUrl・websiteUrl の4行に下線(2250×1600) マスキング:不要

bktgold-アプリの入手先がsxvtniox.comと書かれたBKT Goldの設定

出典:BKT Gold(janduihv.com)

入手先はどちらも sxvtniox.com です。iPhone向けは「BKT Gold.mobileconfig」という構成プロファイルで、ファイルの中身を調べたところ、ホーム画面にサイトへの入り口を置く設定でした。Android向けは「BKTGold.apk」で、ストアを通さずに直接入れる形です。

sxvtniox.comは、bktgoldsxe.comより2日早い6月9日に取得されています。App StoreやGoogle Playの審査を通ったアプリではなく、BKT Goldの側が用意した別のアドレスから配られていることになります。

金融庁の一括検索や海外の当局の警告にもBKT Goldの名前はない

「BKT」の3文字で金融庁の一括検索をかけても、表示されるのは「該当するデータはありませんでした。」という一文です。全角の「BKT」、読み方の「ビーケーティー」、「BKT Gold」に替えても結果は同じでした。

▼「BKT」で該当がない金融庁の一括検索の結果

bktgold-「BKT」で該当がない金融庁の一括検索の結果

出典:金融庁

暗号資産の取引所として登録を受けた業者の一覧を開いても、BKT Goldの名前はありません。無登録の業者として警告書の送り先を公表した一覧や、英国のFCA、香港のSFC、シンガポールのMASの警告の一覧も同じです。

ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。警告の一覧は名前やアドレスごとにまとめられているので、新しい名前で作られたサイトは、どの一覧にもまだ載っていないことがあります。

公開の状況についての調査結果は、次のとおりです。

  • Googleのセーフブラウジングで調べても、bktgoldsxe.com・bktgoldksc.com に危険なサイトとの判定は出ていない
  • Internet Archive や urlscan.io には、bktgoldsxe.com の画面の記録が残っていない
  • データのやり取り先のアドレス2つ(janduihv.com・qohjnttx.com)も、アプリの配布元と同じ6月9日に取得されている

SNSで勧められた取引サイトは、まず名前を金融庁の一括検索で探し、見つからなければRDAPでアドレスの取得日を確かめてください。取得から日が浅いアドレスや、ストアの外からアプリを入れさせるサイトなら、お金を送る前に立ち止まることが大切です。

【参考】

・rdap.verisign.com-bktgoldsxe.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/bktgoldsxe.com)

・rdap.verisign.com-sxvtniox.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/sxvtniox.com)

・BKT Gold(https://www.janduihv.com/api/siteInfo/getSiteInfo)

・金融庁-金融事業者一括検索

・金融庁-暗号資産交換業者登録一覧

・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について

BKT Goldに関する不審点

信用表示と利用条件のずれ。許認可・上場の表示に社名なし。関連アドレスは途中で増加。出金・ローン・紹介の規定に注意。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

ここではBKT Goldに関する不審点として、各国の許認可を並べた一覧、創業の年と上場をうたう宣伝、BKT Goldの名前のアドレスの数、出金の決まり、ローンの契約、紹介の報酬の6点を取り上げます。

前半の3点は、信用の裏付けに見える表示ほど、確かめると中身が伴わないことを示しています。後半の3点は、利用者の手足を縛る条件が文書の側に書き込まれていることを示すものです。以下は、2026年10月14日に確認した画面とデータの内容です。

許認可の一覧は正規のCrypto.comのページの地域と許認可の名前をなぞったもの

PC向けのサイトには、「BKT Gold 以下の管轄区域で認可されています」と題したページがあります。米州・欧州・アジア太平洋・中東・アフリカの22の地域と、それぞれの許認可の名前が並んでいますが、日本は入っていません。会社の名前や登録番号もどこにもありません。

▼22の地域の許認可を並べたBKT Goldのページ

bktgold-22の地域の許認可を並べたBKT Goldのページ

出典:BKT Gold(bktgoldksc.com)

このページは、サイトのメニューからはたどれず、アドレスを入れると表示されます。見出しの形は、暗号資産取引所の正規のCrypto.comが公開している「Crypto.com companies are licensed in the following jurisdictions」と同じです。

▼正規のCrypto.comが公開している許認可の一覧

bktgold-正規のCrypto.comが公開している許認可の一覧

出典:Crypto.com

正規のCrypto.comの今のページにある14の地域は、すべてBKT Goldの一覧に入っています。残るキプロスやフランスなど欧州の8か国と、カナダのオンタリオ州の項目は、Internet Archiveに残る2024年11月の版のCrypto.comのページに並んでいました。

▼欧州8か国が並ぶ2024年11月のCrypto.comの一覧

bktgold-欧州8か国が並ぶ2024年11月のCrypto.comの一覧

出典:Internet Archive(Crypto.com)

これらの許認可は、Crypto.comのグループの会社が各国で受けたものです。BKT Goldの名前で受けたことを示すものは一覧のどこにもありません。正規のCrypto.comの公開ページの中身が、別の名前の下に並べ替えられたとみられます。

1989年の開始やロンドン証券取引所への上場をうたうのに会社の名前がない

PC向けのサイトを日本語で表示すると、トップの「100以上の商品を取引する」の下に、「1989年に開始」「世界中で 100 万人以上の顧客」「LSEロンドン証券取引所に上場」の3つが並びます。ページの下のほうでは「受賞歴のある当社のプラットフォーム」ともうたっています。

▼1989年の開始とロンドン上場をうたうPC向けのトップ

bktgold-1989年の開始とロンドン上場をうたうPC向けのトップ

出典:BKT Gold(bktgoldksc.com)

上場している会社なら、会社の名前で株式の情報を調べられるはずです。ところが、どの画面にも上場しているという会社の名前がありません。書かれているのは「© 2024 BKT Gold マーケット」だけで、PC向けのサイトのアドレスは2026年9月に取得されたものです。

30年以上の歴史と上場をうたいながら、確かめる手がかりとなる名前を示していません。宣伝の文言をそのまま信じず、名前のない会社の実績は実績として数えないことが大切です。また、運営会社の説明が空の取引サイトもあります。

BKT Goldの名前のアドレスは少なくとも4つあり送金の期間中にも新たに取得されている

「bktgold」を含むアドレスは少なくとも4つあります。RDAPによると、bktgoldviy.comとbktgoldbve.comは2026年6月9日の夜に2秒違いで、取引サイトのbktgoldsxe.comは6月11日、PC向けのbktgoldksc.comは9月19日に取得されています。

▼6月と9月の登録を示す2つのアドレスの登録情報

bktgold-6月と9月の登録を示す2つのアドレスの登録情報

出典:rdap.verisign.com

bktgoldksc.comが取得されたのは、相談者がイーサリアムの送金を重ねていた期間の中です。一方で、最初に取られたbktgoldviy.comは、今はアドレスを引くことができず、ブラウザで開いても「このサイトにアクセスできません」と表示されます。

▼bktgoldviy.comにアクセスできないことを示す画面

bktgold-bktgoldviy.comにアクセスできないことを示す画面

出典:bktgoldviy.com

6月9日には、bktgoldviy.comの取得から2分ほどの間に、アプリの配布元とデータのやり取り先のアドレスも取得されていました。名前を残したまま、使うアドレスを途中で増やしたり替えたりできる作りです。前に聞いたアドレスで調べて何も出てこなくても、同じBKT Goldである可能性があります。

ポジションを持っている間は出金できないと出金の決まりに書かれている

出金の画面には、出金のルールを説明する文書が表示されます。出金の画面はログインしないと開けないため、表示される文書のデータそのものを取得して確認しました。日本語の文書の1つ目の項目は次のとおりです。

1.現在ポジション注文がある場合、出金することはできません。
(後略)

▼ポジションがあると出金できないとする出金の決まり

bktgold-ポジションがあると出金できないとする出金の決まり

出典:BKT Gold(janduihv.com)

英語の文書も「If you currently have a position order, you cannot withdraw money.」と同じ内容です。ポジションとは、売り買いをして決済していない取引のことです。

取引を続けている限り、残高を引き出せない決まりが最初から用意されていることになります。出金を申し出て「取引中だから」と断られたら、その時点で専門家に相談してください。

ローンの契約は近親者の連絡先を求め契約の内容を第三者に明かさないよう定める

取引サイトのローンの画面では、申し込みの前に《ローン契約》への同意を求めます。ローンの画面もログインが必要なため、契約の文書のデータそのものを取得して確認しました。

日本語を選んでも、契約は英語のままです。貸し手の名前は「(This platform)-CORPORATION」と、社名が入るはずの所が空いたままでした。借り手が出すものとして、次の一文があります。

(前略)
The Borrower must provide the name and contact number of a close relative.
(後略)

▼近親者の氏名と連絡先を出すよう求めるローンの契約

bktgold-近親者の氏名と連絡先を出すよう求めるローンの契約

出典:BKT Gold(janduihv.com)

「借り手は近親者の氏名と電話番号を出さなければならない」という意味です。さらに第6条には、契約の内容を第三者に明かさないとする条項があります。

(前略)
6. Confidentiality
After the signing of this agreement, neither party shall disclose the contents of this agreement to a third party unless written consent is obtained from the other party or required by law.
(後略)

▼契約の内容を第三者に明かさないとするローンの契約

bktgold-契約の内容を第三者に明かさないとするローンの契約

出典:BKT Gold(janduihv.com)

「相手方の書面の同意か法律の求めがない限り、契約の内容を第三者に明かさない」という意味です。第8条には、返済を拒んだ場合は「法務チームから書面が届く」とも書かれています。

家族の連絡先を握られたうえで口止めをされると、周りに相談しにくくなる可能性があります。こうした条項があっても、ためらわずに家族や専門家に相談してください。

紹介した相手の入金額の6%が入る3段階の紹介報酬が用意されている

取引サイトの招待の画面には、紹介の報酬の決まりが表示されます。この画面もログインが必要なため、文書のデータそのものを取得して確認しました。日本語の文書は、紹介の段階を3つに分けたうえで、報酬を次のように説明しています。

英語の文書も「In this rebate system, promoters can receive 6% of the first-level membership recharge amount.」と同じ内容です。

(前略)
奨学金規定:
このリベート システムでは、プロモーターは第 1 レベルのメンバーシップ リチャージ額の 6% を受け取ることができます。
(後略)

▼紹介した相手のチャージ額の6%を受け取れるとする規定

bktgold-紹介した相手のチャージ額の6%を受け取れるとする規定

出典:BKT Gold(janduihv.com)

文書の例では、自分が紹介した人のチャージ額の6%、その人が紹介した人の4%、さらにその先の2%を受け取れるとしています。「奨学金規定」は、報酬の決まりを機械で訳した跡とみられます。

報酬の元になるのは、紹介された人が入れたお金の額です。利用者が知人を誘うほど報酬が入る作りで、被害に遭った人が、知らないうちに勧誘する側に回るおそれがあります。文書は最後に「当社は、プロモーション報酬ルールを解釈する最終的な権利を留保します。」と結んでいます。

【参考】

・BKT Gold(https://www.bktgoldksc.com/licensing)

・BKT Gold(https://www.janduihv.com/api/textLang/list)

・Crypto.com-Crypto.com Licenses and Registrations(https://crypto.com/en/licenses)

・Internet Archive-Crypto.com Licenses(https://web.archive.org/web/20241106015426/https://crypto.com/licenses)

・rdap.verisign.com-bktgoldviy.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/bktgoldviy.com)

・rdap.verisign.com-bktgoldksc.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/bktgoldksc.com)

少額の出金と海外の許認可の表示が投資詐欺に悪用されやすい理由

見た目の安心と確認は別。少額の出金だけでは判断できない。アイコンだけでは配布元は分からない。海外の許認可は日本の登録に代わらない。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

BKT Goldで見えた仕掛けは、このサイトに限らず、投資詐欺で繰り返し使われやすいものです。ここでは、少額の出金、ホーム画面のアイコン、海外の許認可の名前、アドレスの替えやすさの4つについて、なぜ利用者が見抜きにくいのかを整理します。

少額でも一度引き出せると次の入金を疑いにくくなる

警察庁は、SNS型投資詐欺の特設ページで、勧誘から連絡が途絶えるまでの手口の流れを図で示しています。その5番目が「偽の利益を掲載し、その一部(少額)を被害者口座へ振込」という場面です。

▼利益の一部を少額だけ振り込む警察庁の手口の図

bktgold-利益の一部を少額だけ振り込む警察庁の手口の図

出典:警察庁

図の流れは、この後「高額の偽利益を表示。全額引出のための手数料などを要求」「突然連絡が途絶える」と続きます。少額の出金は、それ自体が次の入金を呼び込むための段取りの1つとして描かれています。

この図が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、本件でも一度少額を引き出せた後に送金が重なっていました。引き出せたという事実だけで、サイトが本物だと判断しないことが大切です。

ホーム画面のアイコンは本物のアプリと見分けにくい

ホーム画面に並んだアイコンは、App Storeから入れたアプリも、構成プロファイルで置いたサイトの入り口も見た目では区別がつきません。Apple自身も、ソフトウェアのダウンロードを案内される場面について次のように注意しています。

(前略)
こうしたアプリの中には、構成プロファイルをインストールするように誘導し、デバイスを支配しようとするものもあります。
(後略)

▼構成プロファイルへの誘導に注意を促すAppleの案内

bktgold-構成プロファイルへの誘導に注意を促すAppleの案内

出典:Apple

Google Playは、暗号資産取引所のアプリを日本向けに公開する条件として次の一文を挙げています。

デベロッパーは、金融庁に暗号資産取引サービス プロバイダとして正式に登録されていること。

▼日本向けには金融庁への登録を求めるGoogle Playの条件

bktgold-日本向けには金融庁への登録を求めるGoogle Playの条件

出典:Google Play

金融庁の登録がない取引所は、ストアで日本向けにアプリを出せません。アプリをストアの外から入れるよう案内されたら、なぜストアに置けないのかを考え、入れる前に立ち止まってください。

海外の許認可の名前は日本の利用者には確かめにくい

許認可の一覧は、英語の正式な名前と当局の略称が並ぶため、日本の利用者が一つずつ各国の名簿で確かめるのは手間がかかります。BKT Goldのように、実在の取引所の一覧をなぞれば、それらしい表が簡単にできあがります。

また、海外で許認可を受けていても、それで日本の利用者に暗号資産の取引を提供できるわけではありません。資金決済法の第63条の2は次のように定めています。

暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。

日本の登録を受けずに日本に住む人へ暗号資産の売買を提供すれば、この条文に反するおそれがあります。海外の許認可がいくつ並んでいても、日本の登録の代わりにはなりません。相手が海外の許認可を持ち出したら、金融庁の登録一覧で名前を探してください。

名前を残したままアドレスを替えれば警告や評判を振り切れる

警告や口コミ、調査の記録は、多くがアドレスごとに残ります。BKT Goldのように名前はそのままでアドレスを取り直すと、前のアドレスに付いた記録は新しいアドレスに引き継がれません。

利用者が新しいアドレスで調べても何も出てこないため、問題のないサイトに見えてしまいます。アドレスで調べて何も見つからないときほど、お金を送る前に勧誘した相手とは関わりのない信頼できる第三者の目で経緯を確かめてもらってください。

【参考】

・警察庁-SNS型投資詐欺

・Apple-フィッシングメッセージ、偽のサポート電話、その他の詐欺を含むソーシャルエンジニアリングスキームを認識し、対処する

・Google Play-Google Play の暗号通貨取引およびソフトウェア ウォレットに関するポリシーについて

・e-Gov法令検索-資金決済に関する法律

BKT Goldの不審点を見抜く方法

文書を一種類ずつ確かめる。会社名と登録先を照合。出金・ローンの条件を読む。気になる一文を保存する。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

BKT Goldでは、会社の紹介から許認可の一覧、出金やローンの決まりまで、サイトの中の文書の多くに確かめられない表示や利用者を縛る条件がありました。ここでは、サイトの文書を1種類ずつ読むときの確かめ方を6つにまとめ、BKT Goldの例を添えます。

  • 会社紹介:運営する会社の名前・所在地・日本の登録番号があるか
    • BKT Goldの「私たちについて」は、取引所を「The Exchange」と呼ぶだけでした。会社の名前がなければ、金融庁の登録もトラブルの相手も確かめられません。
  • 許認可の一覧:並んだ許認可を、その国の当局の名簿でサイトの名前のまま引けるか
    • BKT Goldの一覧は正規のCrypto.comのページをなぞったもので、日本の登録はありませんでした。日本の利用者に暗号資産の売買を提供するには、日本の登録が必要です。
  • 宣伝文:「創業〇年」「上場」とあるなら、その会社の名前と上場先で調べられるか
    • BKT Goldは1989年の開始と上場をうたいながら、会社の名前を示していません。RDAPで見るとアドレスは2026年の取得でした。
  • 出金の決まり:取引を続けている間は引き出せないといった条件がないか
    • BKT Goldの出金の決まりは、ポジションがある間の出金を認めていません。一度少額を引き出せても、それだけでサイトを信用しないでください。
  • ローンの契約:家族の連絡先や秘密を守ることを求めていないか
    • BKT Goldのローンの契約は、近親者の氏名と電話番号を出させ、契約の内容を第三者に明かさないよう定めています。ローンの話が出た段階で、専門家に相談してください。
  • 紹介の決まり:知人を誘うと報酬が入る仕組みになっていないか
    • BKT Goldでは、紹介した人のチャージ額の6%などを受け取れる決まりが用意されています。報酬につられて知人を誘うと、自分が勧誘する側に回るおそれがあります。

サイトの文書は、運営する側が好きなように書けるものです。読んで引っかかる一文が見つかったら、その画面を保存し、相手とのやり取りと一緒に信頼できる第三者へ持ち込んでください。

【参考】

・BKT Gold(https://www.bktgoldksc.com/)

・金融庁-金融事業者一括検索

・金融庁-暗号資産交換業者登録一覧

BKT Goldに関する口コミや被害事例

口コミと勧誘文を分けて読む。本件の被害投稿は確認できず。返金を持ちかける宣伝が目立つ。一般事例は本件と同一ではない。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

ここでは、BKT Goldについての書き込みがSNSや掲示板にあるか、BKT Goldの名前で検索すると何が目立つか、そして本件に近い流れの公的な相談事例を紹介します。

X(旧Twitter)やYahoo!知恵袋にBKT Goldの被害の書き込みは見当たらない

2026年10月14日に、Xの投稿、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる、爆サイなどで、「BKT Gold」「BKTGOLD」「BKTゴールド」と、本件のアドレスを探しました。BKT Goldを使って被害に遭ったという書き込みは確認できませんでした。

Yahoo!知恵袋で「BKT Gold」を探すと、「一致するQ&Aは見つかりませんでした。」と表示されます。「BKT」だけで探すと、タイヤのメーカーやスポーツの大会の話題が並び、本件とは関係のないものばかりでした。

BKT Goldを取り上げるページの多くは返金や調査を持ちかける業者のもの

BKT Goldの名前で検索すると、返金や調査を手伝うとうたう個人のブログや動画、調査会社の記事が少なくとも8件見つかります。そのうち3件は同じ文面で、「私自身も過去に同じような被害に遭った経験があります。」と書いて、LINEなどの個人のアカウントへの連絡を促しています。

同じ文面の中には、「警察庁はすでにBKT Goldに関する詐欺被害の情報を公表しており」という一文もあります。しかし、警察庁のサイトを検索しても、BKT Goldの名前は見当たりませんでした。根拠を示さずに公的機関の名前を出す宣伝は慎重に見極めるべきです。

金融庁は2026年9月の注意喚起で、被害回復をうたう勧誘について次のように説明しています。

近年、投資により損失を被った人に、「被害を回復してあげる」などと電話をかけ、被害回復の条件として、別の投資商品の購入や手数料の支払い等を求めるケースが見受けられます。

この注意喚起は不動産の共同事業についての資料の中にあり、本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できません。それでも、返金を持ちかける相手にお金を払う前に、弁護士など専門家に相談することが大切です。

国民生活センターが紹介する最初は出金できた投資の相談

国民生活センターは2022年3月、マッチングアプリなどで知り合った相手から投資を勧められるトラブルについて、次のように注意を呼びかけています。

マッチング相手からの指示通り投資してみたところ、初回の少額投資の利益は引き出せたため、信頼してさらに投資額を増やしてしまったが、高額を投資したところで出金できなくなったというケースが見られます(事例1~3)。最初は出金できたとしても、さらなる投資を呼び込むための手口の一つの可能性があります。

▼最初の出金は手口の一つとする国民生活センターの資料

bktgold-最初の出金は手口の一つとする国民生活センターの資料

出典:国民生活センター

出会いのきっかけがマッチングアプリである点は、SNSで知り合った本件と異なります。これらの事例が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、一度引き出せた後に送金が重なっていく流れは本件にも当てはまります。

【参考】

・金融庁-被害回復等を装った詐欺(二次被害トラブル)にご注意ください!(不動産特定共同事業法関係)

・国民生活センター-ロマンス投資詐欺が増加しています!

BKT Goldに関する口コミが少ない理由

口コミが見つからない背景。アドレスが増え、記録が分かれる。個別の案内は外から見えにくい。書き込みの少なさは安全の根拠にならない。事案名「BKT Gold」を右上に示す説明図。

BKT Goldの名前のアドレスは4か月ほどの間に少なくとも4つに増え、うち2つはすでに開けません。利用者が覚えているアドレスは、使った時期によって違います。被害の書き込みがあっても、アドレスごとに散らばってしまい、BKT Goldの評判として一か所にまとまりにくいとみられます。

取引サイトのログイン画面は英語の表示が既定で、PC向けのサイトの会社紹介も英語のままです。SNSの個別のやり取りの中で案内されるサイトなので、外から評判を確かめようとする人の目に、サイトそのものが触れる機会は少ない可能性があります。

BKT Goldの名前で検索して目立つのは、前の章で見たとおり、返金や調査を持ちかける業者の宣伝です。その中の「同じような被害に遭った」という体験談は、相談へ誘うための文面で、本件の利用者の声とは言えません。宣伝が検索の上位を占めるほど、本物の被害談は見つけにくくなります。

アドレスが変わり、個別に案内され、宣伝に埋もれる。書き込みが少ないのは、BKT Goldが安全だからではなく、こうした事情の表れとみられます。書き込みが見つからないことを安心の材料にはせず、出金の条件やローン、知人の紹介の話が出たら、お金を動かす前に専門家に相談してください。

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

被害に気づいた今からでも、振込先口座や送金記録、相手とのやり取りを手がかりに、返金に向けた対応を検討できる場合があります。まずは、現在の状況をお聞かせください。

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翔躍法律事務所の弁護士へ。

元裁判官の弁護士が被害状況と資料を確認し、返金請求など取り得る法的対応をご案内します。資料が揃っていない段階でもご相談いただけます。