今回の相談は、YouTubeで見た「魁投資塾」の動画から学習資料を請求し、Signalの投資グループへ誘われたのが始まりです。金融庁も、動画投稿サイトから閉じたチャットへ誘導して投資を勧める手口に注意を呼びかけています。
相談者はアプリ「BRK Delux」で口座を開き、IPO株を勧められました。資金は不要と説明されていたのに、購入資金の不足と途中でキャンセルできないことを理由に、名義の異なる口座へ振込を重ねました。取引サイトとして示されたのはbjpgng.comです。
調べると、bjpgng.comの利用規約の末尾には「PGLM株式会社」「関東財務局長(金商)第392号」と書かれていました。この名前と番号は、金融庁が登録番号の詐称として公表しているものです。
本記事では、規約に並ぶ社名と登録番号、入金とIPOの画面の作りを確かめた結果を弁護士が解説します。あわせて、IPOの購入資金が足りないと言われたときの確かめ方も紹介します。
BRK Delux(bjpgng.com)に関するトラブルの概要

今回の相談者は、YouTubeで投資塾の動画を見たことをきっかけにSignalの投資グループへ移り、アプリ「BRK Delux」で口座を開きました。IPO株の購入資金が足りないと告げられ、法人名義や個人名義の口座へ振込を重ねています。
この章では、取引サイトとして案内されたbjpgng.comの画面に何が書かれているかを最初に確かめます。続いて、動画投稿サイトからチャットへ誘う勧誘と、個人名義の口座への入金について金融庁が示す注意点、YouTubeを入口にした被害の件数を順に見ていきます。
bjpgng.comは会社名を示さないログイン画面だけの株の取引サイト
相手がメンテナンスを理由に一度開くよう案内したのが、bjpgng.comというアドレスです。ブラウザ最上部のタブには「BRK Delux」と表示され、画面には「BRK」のロゴと、電話番号とパスワードの入力欄が並んでいます。
▼タブに「BRK Delux」とだけ出るログイン画面

出典:bjpgng.com
ログインの先に用意されたメニューは、IPO(新規公開株)、デイトレード、大口取引、信用貸付で、プログラムを取得するとそれぞれの画面が確かめられます。会社を紹介するページもプログラムにはありますが、開いても本文は空のままです。
どの会社が運営し、どこにあり、日本でどんな登録を受けているのかを示す表示は、ログイン画面からもプログラムからも見つかりません。会社名らしきものが出てくるのは、直接アドレスを入れて開く利用規約の末尾だけで、その中身は後の章で詳しく取り上げます。
動画投稿サイトから閉じたチャットへ誘う投資勧誘の事例を金融庁が公表している
金融庁の「それ詐欺です!」のページには、手口を事例と特徴に分けた表があり、最初の行は次の事例です。
動画投稿サイトの広告等からSNSのクローズドチャットへ誘導され、投資への勧誘が行われる事例
同じ行の「特徴」の欄には、勧誘する側の役割として次の項目が書かれています。
◆「講師」や「先生」、「アシスタント」が登場し、投資の指南をする。
▼動画投稿サイトからの誘導を事例に挙げた金融庁の表

出典:金融庁
同じ欄には、勉強会などから始めて、利益が出ているように見せながら追加の入金をさせる流れも書かれています。相談者も、YouTubeの投資塾の動画から学習資料を請求し、LINEを経て外から見えないSignalのグループに入りました。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、動画をきっかけに講師役のいるグループへ招き入れて投資を勧める流れは、本件の入口とよく似ています。
証券会社が入金に個人名義の口座を指定することはないと金融庁が明記している
同じページの表には、証券口座を装ったスマホアプリの事例もあり、特徴の最初に次の項目が書かれています。
◆グループチャット等で投資勧誘された後、証券口座開設のためにアプリのインストールを求めてくる。
表の下には入金先についての注意書きがあります。
入金の際に証券会社が個人名義の銀行口座を指定することはありません。
▼個人名義の口座を指定しないとする金融庁の注意書き

出典:金融庁
本件では、グループでのやり取りの後にアプリ「BRK Delux」のインストールと口座開設を指示され、振込先には個人名義の口座と法人名義の口座が入り混じっていました。
金融庁の注意書きは個人名義を挙げていますが、法人名義であっても取引の相手と名前が違うことに変わりはありません。取引の相手と名義の違う口座へ振り込むよう言われた時点で、その話を疑ってください。
警察庁の統計でも動画投稿サイトから始まる被害が急増している
令和8年上半期の暫定値として警察庁が示したSNS型投資詐欺5,893件のうち、当初接触ツール(被害者が最初に相手と接したツール)がYouTubeだったものは438件です。前年同期と比べて247件、129.3%増えました。
被害時の連絡ツールはLINEが96.0%を占め、交付形態は振込型が4,084件(69.3%)でした。8月末時点の暫定値では、SNS型投資詐欺は件数が7,097件、被害額が937.4億円まで積み上がっています。
本件のように、途中からLINE以外のアプリへ移って話が進む勧誘もあります。どのアプリでやり取りしていても、お金を振り込む前に一度手を止め、信頼できる第三者へ相談することが大切です。
【参考】
・BRK Delux(https://www.bjpgng.com/)
・金融庁-それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・警察庁-令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
BRK Deluxへ誘導され被害につながるまでの経緯

ここでは、相談者が投資塾の動画を見てから、詐欺を疑うまでの流れを相談の内容に沿って3つの段階で整理します。最初は学習資料の請求という小さな一歩だった点と、振込を求める理由がどう変わったかに注目してください。
YouTubeで投資塾の動画を見て学習資料を請求しLINEからSignalのグループへ移された
相談者は2026年8月15日、YouTubeで「魁投資塾」の動画を見て学習資料を請求しました。その後、学習グループへの連絡手段としてLINEを案内され、8月17日にはSignalのインストールを案内されています。
移った先は「魁投資塾Y5」「第5期デイトレード内部グループS7」という名前のグループで、相談者はグループを通じて、ある人物とも連絡を取るようになりました。グループのトーク履歴は、その都度消されていたといいます。
アプリBRK Deluxで口座を開きデイトレードの後にIPO株を勧められた
8月19日、相談者は投資アプリ「BRK Delux」をインストールし、口座を開くよう指示されました。しばらくはデイトレードを勧められ、その中で資金が足りないことを指摘された後に、IPO株の話が出てきます。このとき相談者は、資金の準備は必要ないと説明されていました。
購入資金の不足と途中でキャンセルできないことを理由に振込を重ねた
ところが、資金は不要という説明から一転して、IPO株の購入資金が不足している、途中からはキャンセルできないと告げられ、追加の振込を求められました。振込先は、法人名義と個人名義が入り混じった複数の口座です。
アプリの画面には、総資産や運用中の資金として大きな金額が表示されていました。取引に関わるサイトとしてはbjpgng.comを示され、メンテナンスを理由に一度開くよう言われています。
相談者は10月16日に検索して詐欺を疑いました。資金は不要と言われていたのに、購入資金の不足とキャンセルできないことを理由に、名義の異なる口座へ振込を重ねたことが、今回の被害につながった経緯です。
BRK Deluxの関連サイトの情報を調査した結果

この章では、相談者に示されたbjpgng.comのほか、同じ画面を返す別のアドレスと、プログラムが通信する先のアドレスを取り上げます。取得の日付は登録情報(RDAP)で、BRK Deluxと規約の社名の扱いは金融庁の事業者検索で確かめます。
| アドレス | 役割 | 取得日(日本時間) | 10月20日の状態 |
|---|---|---|---|
| www.bjpgng.com | 相談者に示された取引サイト | 2026年9月26日 | 開ける |
| www.hdfhu.com | 同じ画面のBRK Deluxのサイト | 2026年8月6日 | 開ける |
| www.oanvud.shop | サイトを読み込むとプログラムが通信する先 | 2025年11月8日 | 接続できない |
oanvud.shopは、プログラムを調べたところ、サイトを読み込むときに時刻を付けて通信する先として書かれていたアドレスです。現在は接続できず、何のための通信なのかは確認できませんでした。
bjpgng.comはアプリの口座開設から1か月あまり後に取得された
bjpgng.comの登録情報には、ドメインを取得した日時が2026-09-26T10:54:34Zとして残っています(「registration」の行)。これは協定世界時の表記で、日本時間では2026年9月26日の午後7時54分です。
▼2026年9月26日の取得を示すbjpgng.comの登録情報

出典:rdap.verisign.com
相談者がアプリで口座を開いたのは8月19日で、その時点ではbjpgng.comというアドレスはまだ取得されていませんでした。メンテナンスを理由に開くよう案内されたこのアドレスは、取引が進んだ後になって用意されたものです。
bjpgng.comと1バイトも違わないBRK Deluxのサイトが別のアドレスで今も開ける
hdfhu.comを開くと、タブに「BRK Delux」と表示され、bjpgng.comと同じロゴのログイン画面が出てきます。2つのアドレスから受け取ったトップのHTMLは、10月20日の時点で1バイトも違いませんでした。
▼bjpgng.comと同じ画面を返すhdfhu.comのログイン画面

出典:hdfhu.com
ログインなしで開ける設定のデータにも、サイトの名前(站点标题)として「BRK Delux」が入っています。hdfhu.comの取得は2026年8月6日で、相談者がアプリで口座を開く前からこの名前のサイトが動いていたことになります。
▼サイト名に「BRK Delux」が入ったhdfhu.comの設定

出典:hdfhu.com
さらにプログラムには、ebbsds.comやktydre.comというアドレスで開かれたときに、タブのアイコンやロゴを差し替え、ktydre.comではタブの名前も「BY」に替える処理が書かれていました。同じ画面を名前を替えながらいくつものアドレスで使い回す前提の作りとみられます。
金融庁の検索でBRK Deluxは見つからず規約の社名PGLMが無登録業者として出てくる
「BRK Delux」を金融庁の金融事業者一括検索にかけても結果は0件です。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。登録を受けた業者として名前が見つからないこと自体が、取引を考え直す理由になります。
一方で、サイトの利用規約の末尾に書かれた社名「PGLM」で引くと1件が表示されます。名前の前には⚠の印が付いていますが、これは検索結果のページの説明では金融庁(財務局)が警告書を出した無登録業者を示す印です。
▼「PGLM」に警告の印が付いた金融庁の検索結果

出典:金融庁
規約の末尾に会社名を載せていても、その名前は登録を受けた業者の側ではなく、警告を受けた側に並んでいることになります。この社名が何をして警告を受けたのかは、次の章で詳しく見ていきます。
以下、その他で調べたことを記載いたします。
- Googleのセーフブラウジングでは、bjpgng.comとhdfhu.comのどちらにも危険の判定は出ていません(判定がないことは安全の根拠になりません)
- Internet Archive、archive.today、urlscan.ioには、bjpgng.comとhdfhu.comの画面の記録が残っていません
- App StoreとGoogle Playで「BRK Delux」を検索しても、10月20日の時点では同じ名前のアプリは見当たりません
案内されるアドレスが変わっても、画面と名前は同じまま動き続けています。新しいアドレスを開くよう言われたら、登録情報で取得日を確かめ、日の浅いアドレスであれば入金を止めて専門家に相談してください。
【参考】
・BRK Delux(https://www.bjpgng.com/)
・BRK Delux(https://www.hdfhu.com/)
・rdap.verisign.com-bjpgng.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/bjpgng.com)
・rdap.verisign.com-hdfhu.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/hdfhu.com)
・GMO Registry-oanvud.shop(https://rdap.gmoregistry.net/rdap/domain/oanvud.shop)
・金融庁-金融事業者一括検索
BRK Deluxに関する不審点

この章ではBRK Deluxに関する不審点として、bjpgng.comの利用規約に並ぶ2つの社名と登録番号、規約の本文の出どころ、入金とIPOと出金の各画面の作りを順に確かめます。いずれも、相談者が受けた説明と照らし合わせると食い違いが見えてくる点です。
規約のPGLM株式会社と第392号は金融庁が登録番号の詐称として公表している名前
bjpgng.comの利用規約は、ログインしなくても「#/information/xyInfo」というアドレスで開けます。その末尾には「商号等:」として、「PGLM株式会社」「金融商品取引業者」「関東財務局長(金商)第392号」と書かれ、加入協会が5つ並んでいます。
▼利用規約の末尾に並ぶ2つの社名と登録番号

出典:bjpgng.com
金融庁の無登録業者の一覧には、令和7年12月に「PGLM」という名前が載っています。
当該業者は、SNS上で「関東財務局長(金商)第392号」と表示し、財務局の登録番号を詐称していた。
なお、「関東財務局長(金商)第392号」は、登録を受けた金融商品取引業者である「PGIMジャパン株式会社」の登録番号である。
▼PGLMによる第392号の詐称を記した金融庁の一覧

出典:金融庁
第392号の持ち主である正規のPGIMジャパンは、公式サイトで似せた名称による勧誘に注意を呼びかけ、次のように書いています。
PGIMジャパンでは、個人のお客様を対象としたSNS等を通じた投資勧誘は一切行っておりません。
▼SNSでの個人への勧誘を否定する正規のPGIMジャパン

出典:PGIMジャパン
正規のPGIMジャパンの公式サイトが示す加入協会は、資産運用業協会、日本証券業協会、第二種金融商品取引業協会の3つで、規約にある金融先物取引業協会や日本STO協会は含まれていません。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、金融庁がSNS上の詐称として公表した名前と番号の組が、取引サイトの規約に書き写されています。
TWO SIGMA証券の第64号は別の証券会社の番号でTwo Sigmaの名前の詐称も公表されている
規約に並ぶもう1社は「TWO SIGMA証券」で、「関東財務局長(金商)第64号」とあります。金融庁の金融商品取引業者登録一覧(令和8年9月30日現在)で第64号を引くと、持ち主は共和証券株式会社で、TWO SIGMA証券という業者は載っていません。
金融事業者一括検索で「Two Sigma」と入れると3件が表示され、その中には「不明(高速取引行為者Two Sigma Securities, LLCの商号等を詐称)」という無登録業者の行があります。
▼Two Sigmaの商号の詐称が並ぶ金融庁の検索結果

出典:金融庁
無登録業者の一覧によると、この業者は令和7年12月、ウェブサイト上で「日本の皆さまにも、Two Sigma Securitiesのサービスをお届けできるようになりました。」などと表示していました。
規約の「TWO SIGMA証券」と名前は同じではありませんが、1社の規約の末尾に、別々の会社の名前と番号が2つ並んでいること自体が不自然で、どちらの番号も規約の社名の持ち物ではありません。
利用規約の本文はSBI証券のアプリの規約とほぼ同じ文
規約の本文を読むと、株式会社SBI証券の「SBI証券 スマートアプリ」の利用規約とほぼ同じ文が並んでいます。目的、許諾の内容、禁止事項、免責、準拠法と裁判所まで、条文の並びも言い回しもそろっています。
SBI証券の規約は、お客様と「株式会社SBI証券(以下、「弊社」といいます)との間の取り決め」だと書きますが、bjpgng.comの規約は社名を消して「弊社との間の取り決め」とし、相手が誰なのかが分からない文になっています。
▼社名のない「弊社」で始まるbjpgng.comの利用規約

出典:bjpgng.com
▼株式会社SBI証券の名前が入った元の規約の冒頭

出典:SBI証券
第1条の目的も、SBI証券の規約では「多要素認証(FIDO)サービスの利用」となっている項目が、bjpgng.comでは「(2)弊社が提供している証券取引サービスの利用」に差し替えられています。
さらにプログラムに書かれていた個人情報の文書には、「住民登録番号」や「本社および支店における24時間CCTV」といった、日本の制度とは異なる言葉が並び、入金の上限の案内には「ウォン」という通貨の単位も残っていました。規約も文書も、ほかから寄せ集めた文の可能性があります。
振込先はサイトに表示されず入金の操作は担当者への連絡で終わる
入金の画面は、プログラムを取得して確かめると、50万円から5,000万円までの金額を選ぶか入力してボタンを押す作りです。ボタンを押すと「ご入金については、専属のスタッフまでお問い合わせください」と表示され、1秒後に窓口の画面を開く処理に進みます。
▼専属のスタッフへの問い合わせに進む入金ボタンの処理

出典:bjpgng.com
銀行口座の名前と番号を表示する入金の画面もプログラムにはありますが、どの画面からもつながっておらず、ログインせずに取得した口座の一覧のデータも空でした。振込先の口座は、サイトではなく担当者が伝えるもので、相談者の振込先に法人名義と個人名義の口座が入り混じっていたことと合います。
IPOの画面には未払い金額が表示され辞退のボタンがない
IPOの申込記録の画面は、当選株数、総払込金額、支払済金額を並べ、総払込金額から支払済金額を引いた額を「未払い金額」として表示します。当選株数は利用者が入力するのではなく、サーバーから受け取った数がそのまま表示される作りです。
▼当選株数と未払い金額を表示するIPOの画面の処理

出典:bjpgng.com
この画面に辞退やキャンセルのボタンはありません。プログラムには、画面に出す言葉を言語ごとに置き換えるための一覧があり、そこに「放棄」という訳語は入っていますが、どの画面からも使われていません。
正規の証券会社のIPOについて、日本証券業協会は抽選の申込みを受ける際に次の点を伝えるよう、会員向けの手引きに示しています。
・抽選結果によっては購入いただけないこと
・改めて購入のお申込みをいただくこと
▼抽選の後に改めて購入を申し込むとする手引き

出典:日本証券業協会
手引きのとおり、抽選に当たっても購入は改めて申し込むものです。資金がないまま当選と払込みの義務だけが画面に積み上がり、不足分を後から振り込ませる作りは、正規の手続きとは形が違います。
信用の点数やローンの返済を理由に出金を断る文言がプログラムにある
画面の言葉を英語に置き換えるための一覧には、出金について次の1文があります。
Your current credit score is insufficient and you cannot withdraw money. Please contact customer service!
▼信用スコアの不足で出金できないとするプログラムの英文

出典:bjpgng.com
信用スコアが足りないため出金できない、サポートに連絡してほしいという意味ですが、日本語に置き換える一覧では「信用ランクが不足しています」とだけ訳され、出金できないことが訳から抜け落ちています。
また、「未返済の証券担保ローンがあります。まずは返済してください!」「このアカウントは凍結されています。」「現在、ポジション注文があり、出金できません。」という文も、プログラムの中に見つかります。出金を求めたときに止める理由が、信用、ローン、凍結、保有中の取引と、あらかじめいくつも書かれています。
【参考】
・BRK Delux-利用規約(https://www.bjpgng.com/#/information/xyInfo)
・BRK Delux-入金の画面のプログラム(https://www.bjpgng.com/js/chunk-2ecabda4.acb15ce7.js)
・BRK Delux-IPOの申込記録の画面のプログラム(https://www.bjpgng.com/js/chunk-692c1b02.25dc953d.js)
・BRK Delux-プログラム(https://www.bjpgng.com/js/app.760bc0e7.js)
・PGIMジャパン-弊社に似せた名称やロゴ、弊社代表者名および役職員を装った投資勧誘に関するご注意(https://www.pgim.com/jp/ja/notice/notes-on-solicitation)
・SBI証券-「SBI証券 スマートアプリ」利用規約(https://search.sbisec.co.jp/v3/ex/sbisec_smartapp.html)
・日本証券業協会-コンプライアンス・ハンドブック(勧誘・受注)2025年度版(https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/jishukisei/guidebook/2025handbook.pdf)
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)
・金融庁-金融商品取引業者登録一覧
・金融庁-金融事業者一括検索
実在の金融商品取引業者の登録番号が偽の取引サイトに悪用されやすい理由

bjpgng.comの規約には、実在する業者の登録番号が、別の社名と組み合わせて書かれていました。この章では、登録番号の確かめ方、社名の見た目、番号の持ち主の業務、名乗りの使い回しという4つの面から、本物の番号がなぜ勧誘に使われやすいのかを考えます。
登録番号は金融庁の一覧で実在が確かめられるため本物の証拠に見えやすい
「関東財務局長(金商)第392号」は、金融庁の金融商品取引業者登録一覧で検索すれば、実際に出てくる番号です。慎重な人ほど番号を調べますが、そこで「この番号は確かにある」と分かると、それだけで安心してしまいがちです。
しかし番号が実在することと、名乗る相手がその番号の持ち主であることは別の話です。一覧で第392号を引いて出てくるのはPGIMジャパン株式会社で、規約のPGLM株式会社ではありません。番号で
検索したら、出てきた会社名・所在地・加入協会まで、相手が示すものと1つずつ照らしてください。
社名が1文字違うだけなので本物と見間違えやすい
「PGLM」と「PGIM」の違いは、3文字目のLとIだけです。規約の末尾の小さな文字で読むと、正規の社名と見分けるのは簡単ではありません。もう1社の「TWO SIGMA証券」も、実在する「Two Sigma」の名前に「証券」を付けた形で、どこかで見た名前のように感じさせます。
こうした名前は、思い浮かべた社名で検索しても、似た正規の会社が見つかって「実在する」と受け取ってしまうおそれがあります。登録番号から一覧を引き、出てきた社名と規約の社名を1文字ずつ見比べて、初めて別物だと分かります。
本物の会社は個人と株の取引をしないため偽物と見比べにくい
第392号の持ち主である正規のPGIMジャパンは、SNSなどで個人に投資を勧めることはしないと公式サイトで明言しています。Two Sigmaの名前で日本の登録を受けているのも、投資助言・代理業と高速取引行為者の2社だけです。
登録一覧で業務の種別を見ると、PGIMジャパンの第一種の欄は「非上場仲介業のみ」で、Two Sigmaの2社も含めて、個人から上場株の売買の注文を受ける業務の登録ではありません。
この名前で個人が株の口座を開く正規の手続きは考えにくく、利用者は「本物ならどんな手続きになるのか」を思い描けないまま、相手の説明を聞くことになります。
SNSで誘われたアプリの口座に、こうした会社の名前が出てくることがあれば、一度立ち止まって考えたうえで、信頼できる専門家への相談も検討してください。
公表された名乗りでも別のサイトの規約に移されるため気づかれにくい
金融庁が「PGLM」による第392号の詐称を公表したのは令和7年12月で、そのときはSNS上の表示でした。同じ名前と番号の組が、翌年に取得されたbjpgng.comの規約に書かれています。
同じ者が書いたのかどうかは確認できませんが、一度作られた名称は、公表された後も場所を変えて使われ続けています。
勧誘された人がSNSの注意喚起を見ていても、取引サイトの規約の末尾に同じ名前があるとは思いません。金融庁の無登録業者の一覧は社名でも引けるので、規約や画面に出てくる社名は、念のため一覧でも検索してください。
【参考】
・PGIMジャパン-弊社に似せた名称やロゴ、弊社代表者名および役職員を装った投資勧誘に関するご注意(https://www.pgim.com/jp/ja/notice/notes-on-solicitation)
・金融庁-金融商品取引業者登録一覧
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)
・金融庁-金融事業者一括検索
BRK Deluxの不審点を見抜く方法

本件では、相手の説明とサイトの規約や画面の作りとの間に、いくつもの食い違いがありました。「資金は不要」と言われたのにIPOの未払い金額が積み上がり、正規の会社のような社名には、金融庁が詐称と公表した番号が添えられていました。
そこで、勧誘の中で出てきうる6つの言葉ごとに、言われたときに何を確かめればよいかをまとめました。
- 【「金融庁に登録している」と言われたら】:規約や画面にある登録番号を一覧で引き、出てくる社名と1文字ずつ比べる
- 本件の規約の第392号は、一覧ではPGIMジャパンの番号でした。規約の「PGLM」は金融庁が番号の詐称を公表した名前で、第64号も別の証券会社の番号です。
- 【「規約もきちんとある」と言われたら】:規約の中に運営会社の名前と住所があるか、別の会社の文が写されていないかを見る
- 本件の規約は、実在の証券会社のアプリの規約から社名を消した文とほぼ同じで、契約の相手は「弊社」としか書かれていませんでした。
- 【「資金は不要」「途中でキャンセルできない」と言われたら】:IPOには、抽選に当たった後で改めて購入を申し込む手続きがあると知っておく
- 本件の画面は、総払込金額から支払済みの額を引いた「未払い金額」を表示し、辞退するボタンを持たない作りでした。資金がないまま払込みの義務だけが積み上がる形は、この手続きと合いません。
- 【「この口座に振り込んで」と言われたら】:振込先が取引の相手と同じ名義か、サイトの入金画面に口座が出ているかを確かめる
- 本件の入金画面は振込先を出さず、担当のスタッフに問い合わせるよう促すだけでした。相談者の振込先も、名義が法人だったり個人だったりとばらばらでした。
- 【「メンテナンスなので新しいアドレスで」と言われたら】:新しいアドレスの取得日を登録情報(RDAP)で確かめる
- bjpgng.comは口座開設の後の9月26日に取得されたアドレスで、同じ画面のサイトが別のアドレスでも動いていました。
- 【「出金するには条件がある」と言われたら】:その条件が新たな支払いにつながるなら応じない
- 本件のプログラムには、信用スコアの不足、ローンの未返済、口座の凍結、保有中の取引を理由に出金を断る文言が用意されていました。
相手の言葉と画面の作りが1つでも食い違ったら、その時点で次の振込を止めてください。やり取りの記録、規約や画面のアドレス、振込の明細を残したうえで専門家に相談し、取り戻すための手立てを一緒に考えましょう。
BRK Deluxに関する口コミや被害事例

BRK Deluxや魁投資塾について、X、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねるで本人の体験として書かれた投稿を探しました。この章では、その結果と本件と入口の似た事例として警察庁と金融庁が紹介しているものを取り上げます。
BRK Deluxや魁投資塾の名前で本件を指す投稿は見当たらなかった
「BRK Delux」「bjpgng」「魁投資塾」、グループの名前で探しましたが、本件を指す被害の体験談は10月20日の時点で見つかりませんでした。Yahoo!知恵袋では、BRK Deluxと魁投資塾のどちらの名前でも、該当する質問は0件です。
名前で検索して上位に出てくるのは、法律事務所や調査会社の解説記事と、被害の相談をうたって別の連絡先へ誘う宣伝です。検索で見つけた窓口に連絡すると、返金を名目に再びお金を求められる二次被害につながるおそれがあります。相談先は、公的機関の窓口か実在を確かめられる弁護士を選んでください。
動画の概要欄からグループに招かれ投資用アプリを入れさせられた事例を警察庁が紹介している
警察庁の特殊詐欺対策ページ「SOS47」には、次のような被害の事例が載っています。
動画配信サイトで新NISAに関する解説動画を視聴していた際、動画の概要欄に記載されていたURLアドレスをクリックしたところ、別のSNSのグループチャットへの参加を招待された。
グループチャット内では、株取引に関する情報交換がされており、グループ上で知り合った者から投資や暗号資産の取引を誘われた。
グループの中では、相手から次のような言葉が送られています。
「チャットの参加者はみな利益を得ています」
「必ず儲けが出ます」
「投資用アプリをインストールして下さい」
▼画像指示【処理済み】 ファイル名:bjpgng-npa-sos47-case03.png キャプション:▼動画の概要欄からグループに招かれた警察庁の事例 トリミング:撮影したまま。動画の概要欄の文と「投資用アプリをインストールして下さい」に下線(2656×1530) マスキング:不要
出典:警察庁
動画をきっかけに別のSNSのグループへ移り、株の話の後に投資用のアプリを入れさせ、指定された口座へ振り込ませる流れは、相談者の経験とよく重なります。相談者も、YouTubeの投資塾の動画からLINEを経てSignalのグループに移り、アプリで口座を開いた後に振込を求められました。
一方で、この事例は新NISAの解説動画の概要欄から直接グループへ招かれたもので、学習資料の請求からLINEを経た本件とは入口の手順が違い、暗号資産の送信も含まれています。
投資の資料のプレゼントを入口にLINEへ誘う手口を金融庁が注意している
証券会社などを騙った偽広告について、金融庁が挙げる主な内容は次のとおりです。
(前略)
「投資に関する書籍や資料をプレゼントする」といったものであり、これらの情報等を入手するため、リンク先へのアクセスやLINEアカウントの追加等を求めた上で、投資勧誘を行ったり、金銭の支払いの話を持ちかけたりするケースが確認されています。
相談者も、投資塾の動画を見て学習資料を請求した後に、学習グループへの連絡手段としてLINEを案内されています。資料の請求が、そのままLINEへ移るきっかけになりました。
この注意喚起は実在する証券会社の名前を使う広告を対象にしたもので、本件の投資塾は実在の会社を名乗っていませんが、無料の資料をきっかけにLINEへ移る流れは同じです。資料の請求で連絡先を伝えた後に投資の勧誘が始まったら、その時点で距離を置いてください。
【参考】
・警察庁-SNS型投資詐欺(SOS47特殊詐欺対策ページ)
・金融庁-証券会社や日本証券業協会を騙ったSNS上の偽広告等に注意!
BRK Deluxに関する口コミが少ない理由

本件の勧誘は、YouTubeの動画から学習資料の請求、LINE、Signalのグループへと、外から見えない場所へ移りながら進みました。グループのトーク履歴もその都度消され、参加者の手元にやり取りが残りません。勧誘の中身が人目に触れる場所に出ないため、口コミとして積み重なりにくいとみられます。
取引サイトはログイン画面しか見えず、検索しても中の画面は出てきません。同じ画面のサイトは少なくとも2つのアドレスで動き、プログラムにはアドレスによって名前を「BY」に替える処理もありました。書き込みがアドレスや名前ごとに分かれ、ひとつの被害の話として集まりにくい状態です。
入口の「魁投資塾」や「第5期デイトレード内部グループ」も、勧誘する側が付けた名前です。「Y5」「第5期」「S7」と番号が付いていることから、名前を少しずつ変えて同じ勧誘が繰り返されている可能性もあります。ある名前で探しても、ほかの回の被害の声にはたどり着きにくいといえます。
口コミが見つからないことは、安全の根拠にはなりません。検索で目立つ返金の宣伝には連絡せず、振込の明細とやり取りの記録をそろえたうえで、専門家に相談してください。
