Xで知り合い、LINEに移った相手に女性を選ぶよう案内され、信用確認の少額をPayPayで払った直後でした。「返金の作業でミスがあり、システムが壊れた」と告げられ、直すための振込を数回求められています。
相手がマッチングのプラットフォームとして示したのは、「今からデート」の画面が出るdatingnow.netです。開くよう案内されたリンクの名前はIRENAでした。
datingnow.netを調べると、「寄付センター」のボタンは暗号資産の値動きに賭ける注文を送り、「当社について」には差金取引の会社の紹介文が載っていました。アドレスは修復の資料の2日前に取得され、別のアドレスと同じ証明書とファイルを使っています。
相手が告げた返金のミスも修復の作業も、サイトの仕組みのどこにも見当たりません。本記事では、datingnow.netの作りと登録情報を、警察が発表した同じ流れの被害と突き合わせた結果を紹介します。また凍結された口座からお金が戻る仕組みと、頼れる相談先について弁護士が解説します。
XからLINEへ移りdatingnow.netを示されて振込を重ねるまで

相談者が相手と知り合ってから振込を重ねるまでには、LINEでの女性の紹介、少額の信用確認、システムの修復という3つの段階がありました。それぞれの段階で、相手が何を求め、どのように説明したのかを順に見ていきます。
「女性を選ぶ」案内と「信用確認」の少額の支払い
相談者は、Xで知り合った相手を友達に追加しました。やり取りはその後LINEに移り、相手からは女性を選ぶよう案内されています。相手が送ってきたのは、「今からデート」と表示された画像です。
相手はさらに、IRENAという名前のリンクを開くよう案内しました。あわせて、マッチングのプラットフォームのアドレスとして示されたのがdatingnow.netです。
▼相手が示したdatingnow.netのログイン画面

出典:datingnow.net
datingnow.netを開くと、ログインの前の画面に「今からデート」の見出しと「デート情報報告」のボタンが出ます。この段階で相談者は、相手の案内に従い信用確認として少額をPayPayで支払いました。
返金作業のミスでシステムが壊れたと告げられた
信用確認の支払いの後、相手は、返金の作業でミスがありシステムが壊れたと告げました。そのうえで、壊れたシステムを直すためとして、多額の振込を求めています。少額を払っただけの段階で、話は直す費用の支払いに変わったことになります。
こうした求めは一度では終わらず、数回重なりました。振込先として示されたのは振込のたびに名義の違う個人名義の口座で、金融機関も1つではありません。相談者はその求めに応じ、示された口座へ振込を重ねました。
修復すれば45万円を受け取れるとする資料
相手からは、修復についての資料も送られてきました。資料には、認証データの誤りが原因で、マッチングのプラットフォーム上でデータの漏洩と経済的な損失が起きたと書かれています。
10月19日付の資料では、修復の金額として30万円または10万円が示され、30万円の修復の後には45万円を受け取れるとされていました。払った額より多くのお金が戻るという説明で、次の支払いを促す形になっています。
少額の確認からシステムの修復へと名目が替わっても、払えば後で戻る、さらに多く受け取れるという説明は変わりませんでした。この説明に沿って振込を重ねたことが被害につながった経緯です。
相談者はその後、相手との連絡を絶って警察に相談しています。次の章からは、相手がプラットフォームとして示したdatingnow.netの中身をページとプログラムの両方から確かめます。
【参考】
・datingnow.net-ログイン画面(https://datingnow.net/login)
「子供の教育支援」への寄付は暗号資産の値動きに賭ける取引

datingnow.netは出会いのサイトの見た目をしていますが、ログインの後に出てくるのは「寄付センター」です。ここでは、ログイン画面のボタンの働き、寄付のボタンが送る内容、「寄付の特典」の計算、寄付先の名前の裏にある銘柄の4点をdatingnow.netのプログラムから確かめます。
「デート情報報告」を押すだけでアカウントが作られる
ログイン画面の「デート情報報告」は、デートの予定や相手の情報を送るボタンのように見えます。しかしプログラムを調べたところ、押すとその場でアカウントが作られる作りでした。名前や電話番号を入れる欄はありません。
作った後には「アカウント作成完了」「アカウントは固定です。大切に保存し、いつでもコピーできます」と表示され、アカウント名とパスワードが示されます。
ホームから先の画面はログインしないと表示されないため、ここから挙げる文言と項目は、datingnow.netが配っているプログラムの中から確かめました。
「日本国内への寄付」のボタンが送るのは暗号資産の注文
ログインの後のホームには「寄付センター」の一覧があり、行を押すと寄付の画面に移ります。
画面には「日本国内への寄付」(日本国内の教育・支援団体を通じて実施)と「日本国外への寄付」(海外の教育支援プロジェクトを対象)の2つのボタン、「寄付サイクル」「寄付金額」「寄付の特典」の欄が並びます。
▼寄付の画面が送る注文の中身を書いたプログラム

出典:datingnow.net
ボタンを押したときに送られるのは、銘柄の番号、サイクル、国内か国外か、金額、そしてその時点の値段(open_price)です。値段は画面を開いている間、3秒ごとに相場のデータから取り直されています。
寄付の記録の画面では、国内への寄付に値上がりを表す「buyUp」、国外への寄付に値下がりを表す「buyDown」という内部の呼び名が使われています。記録の項目は「オープニング単価」「決済単価」「損益金額」で、勝ち負けに応じて損益に「+」か「−」が付きます。
寄付の特典は寄付金額にサイクルの率を掛けた額
「寄付の特典」は、寄付金額にサイクルごとの率を掛けて計算されます。画面の「寄付サイクル」で期間を選ぶとその期間の率が使われ、率そのものは誰でも開ける銘柄の設定のデータに書かれています。
▼120秒で30%、360秒で50%とする設定のデータ

出典:admin.datingnow.net
サイクルは5つあり、120秒で30%、180秒で35%、240秒で40%、300秒で45%、360秒で50%です。最低の金額は10円からとなっています。寄付をして2分後に、寄付した額の3割が「特典」として付くという仕組みは、寄付としては説明がつきません。
始めと終わりの値段を記録し、勝ち負けで損益が決まり、当たれば期間ごとの率の分を受け取る作りは、暗号資産の短い時間の値動きの上げ下げを当てる取引とみられます。ボタンの「国内」と「国外」は、寄付先の地域ではなく、値上がりと値下がりのどちらに賭けるかの選択にあたります。
寄付先の名前の裏にあるのはビットコインなど9つの銘柄
寄付先として並ぶ名前も、設定のデータを見ると中身が分かります。9つの寄付先には、それぞれ暗号資産の銘柄のコードと相場の値段が割り当てられ、アイコンもビットコインなどの画像でした。
▼btcusdtに「子供の教育支援」と付けた銘柄のデータ

出典:admin.datingnow.net
たとえば「CES|子供の教育支援」はビットコイン(btcusdt)、「MFA|医療援助」はイーサリアム(ethusdt)、「AWP|動物保護」はドージコイン(dogeusdt)です。「EDR|災害救助」には、金の値段に連動する暗号資産(xautusdt)が割り当てられています。
寄付先の名前は、暗号資産の値動きに賭ける取引の銘柄に付けた呼び名にすぎないとみられます。出会いのサイトで「寄付」や「認証」の名目で金額を入れるよう求められ、その画面に秒数や率が並んでいたら、支払う前に信頼できる第三者に相談してください。
【参考】
・datingnow.net-寄付の画面のプログラム(https://datingnow.net/assets/index-0f2b971f.js)
・datingnow.net-銘柄とサイクルの設定のデータ(https://admin.datingnow.net/api/product/detail?id=104)
・datingnow.net-銘柄の一覧のデータ(https://admin.datingnow.net/api/product/list)
datingnow.netの「当社について」はFX会社の紹介文

出会いのサイトなら、運営する会社の紹介には、クラブの成り立ちや所在地、問い合わせ先が書かれているはずです。datingnow.netでログインせずに開ける「当社について」のページと、サポートの窓口の開く先を確かめると、出会いとは別の業種の文面と問い合わせのできない作りが出てきます。
紹介されているのは差金取引の会社CFDtoken
「当社について」のページを開くと、見出しの下に出てくるのは「CFDtoken」という名前と次の英文の副題です。
— A Compliant Financial Platform Integrating Forex Trading, CFDs, and Digital Asset Management
▼「当社について」に出てくるCFDtokenの紹介文

出典:datingnow.net
副題は、FX(外国為替の取引)、CFD(差金決済取引)、暗号資産の管理をまとめた金融のサービスだと名乗るものです。本文も、USDTで決済するFXと差金決済取引、1〜100倍のレバレッジ、年5〜15%をうたうステーキングの説明が続きます。
出会いやマッチング、デートに触れた文は、このページのどこにもありません。datingnow.netの裏側が、投資のサービスとして作られた仕組みの上にあることをうかがわせます。
米国の登録番号の欄は「XXXXX」のまま
同じページの「3. Compliance & Risk Management」には、米国で登録を受けていることを示す次の一文があります。
MSB Licensing: Registered as a Money Services Business with the U.S. Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN MSB License No. XXXXX).
▼登録番号が「XXXXX」のままの「当社について」の一文

出典:datingnow.net
FinCENは米国財務省の金融犯罪の取り締まりの機関で、文面はそこに送金業者として登録したと述べています。ところが番号の欄は「XXXXX」と穴埋めの記号のままで、どの登録を指すのかを確かめる手がかりがありません。
CFDtokenとdatingnowの名前を金融庁の金融事業者一括検索に入れても、登録を受けた事業者は1件も出てきません。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。
サポートを押すとGoogle翻訳のトップが開く
運営会社を確かめる手段として、サイトの問い合わせ先も見ておきます。プログラムを調べたところ、「オンラインサポート」は、サイトの設定のデータに書かれたアドレスを開くだけの作りでした。
▼サポートの開く先がGoogle翻訳になっている設定のデータ

出典:admin.datingnow.net
そのアドレスはhttps://translate.google.com/、つまりGoogle翻訳のトップページです。サポートを押しても、datingnow.netの担当者につながる窓口はありません。プライバシーポリシーのページも、本文が中国語のまま置かれています。
運営する会社の名前も、所在地も、問い合わせの窓口もないサイトでは、トラブルが起きても相手を確かめる方法がありません。こうしたサイトで支払いを求められたら、振り込む前に金融庁の一括検索で確認をして、信頼できる第三者へ相談してください。
【参考】
・datingnow.net-当社について(https://datingnow.net/about)
・datingnow.net-設定のデータ(https://admin.datingnow.net/api/index/index)
・金融庁-金融事業者一括検索
「返金のミスで壊れた」は警察が発表した手口と同じ流れ

相手が振込の理由にした「返金の作業のミス」と「システムの修復」は、この事案だけの話ではありません。八戸警察署が2025年に発表した被害の流れ、datingnow.netに返金や修復を処理する画面があるかどうか、返金を受け取る側がお金を払う必要があるのかという3つの面からこの説明を確かめます。
八戸警察署が発表した「認証データが壊れました」の事例
青森放送は2025年10月20日、八戸警察署の発表として、50代の男性がデートを口実にお金をだまし取られた被害を報じました。男性はXの「彼氏募集」の投稿にDMを送り、LINEに移ってやり取りを始めています。
男性は「システム処理用資金」として個人名義の口座に振り込み、実際に約4万円が返金された後、LINEで次のように告げられました。
・さらにシステム処理用資金が必要です。
・あなたが操作を間違ったので認証データが壊れました。
・修復費用を払ってください。
▼「認証データが壊れました」と告げられた八戸市の事例

出典:青森放送
男性はその後、5回にわたって個人名義の口座などへ振り込んでいます。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、XからLINEへ移り、少額の返金で信用させ、データの修復を理由に個人名義の口座へ振込を重ねさせる流れは、本件の相談者が受けた説明の順番とほぼ同じです。
datingnow.netには返金も修復も処理する画面がない
相手の説明どおりなら、datingnow.netには返金の作業や、壊れたシステムを直す仕組みがあるはずです。しかしプログラムを調べたところ、ログインの後の画面は入金、出金、融資、本人確認、寄付の記録などに限られ、返金を処理する画面はありませんでした。
画面に出す言葉を言語ごとに置き換えるための一覧も調べました。日本語の一覧の826項目には「修復」「返金」「補償」「ミス」が1つもなく、英語の一覧の855項目にも「refund」「repair」は出てきません。
▼英語の言葉の一覧で「refund」が0件となる画面

出典:datingnow.net
返金の作業のミスでシステムが壊れたのなら、返金の画面や直す手続きの案内に、そうした言葉が出てくるはずです。相手が告げた返金のミスも修復の作業も、datingnow.netの仕組みの中には見当たりません。
返金を受け取るために支払いが要ることはない
相談者が最初に払ったのは、PayPayでの少額の信用確認でした。PayPayは、通販サイトの返金を装ってPayPayの残高をだまし取る手口について、2025年7月15日のお知らせで次のように注意を呼びかけています。
(前略)
ショッピングサイトから購入金額の返金を受ける際、購入者側が送金や支払い、アプリでの番号入力などの操作が必要になることはありません。
▼返金を受ける側の送金や支払いは不要とするPayPayの注意

出典:PayPay
これは通販サイトの返金の手口への注意で、本件と同じ類型ではありません。それでも、返金を受け取る側がお金を払う必要はないという考え方は、返金の作業のミスを理由にした振込の求めにもそのまま当てはまります。
修復の資料の「30万円の修復の後に45万円を受け取れる」という説明も、受け取るためにまず払わせる形です。返金や修復、受け取りを理由に支払いを求められたら応じず、やり取りを残したまま専門家に相談してください。
【参考】
・青森放送-【特殊詐欺】「デートを確定させるために…」システム処理用資金を要求され50代男性が145万9,800円被害 青森・八戸警察署発表
・datingnow.net-英語の言葉の一覧(https://datingnow.net/assets/en-9ff98adb.js)
・PayPay-PayPayをかたる巧妙な詐欺やアカウントの不正利用にご注意ください
修復の資料の2日前に取得されたdatingnow.net

datingnow.netがいつ、誰の手で用意されたアドレスなのかは、登録情報と証明書の記録から確かめられます。ここでは、アドレスの取得日、同じ証明書に並ぶkoi777.top、2つのアドレスの以前の持ち主、同じ紹介ページを使うaishiua.bondとのつながりを見ていきます。
datingnow.netの登録情報(RDAP)は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録日 | 2026年10月17日22時44分(日本時間) |
| 有効期限 | 2027年10月17日 |
| レジストラ(登録の取次業者) | NameSilo, LLC |
| ネームサーバー | Cloudflare(arvind.ns.cloudflare.com、liv.ns.cloudflare.com) |
| 登録者の名前 | 表示なし |
▼10月17日の登録を示すdatingnow.netの登録情報

出典:rdap.verisign.com
取得されたのは、相談者に送られた修復の資料の日付(10月19日)の2日前の夜です。登録情報のほかに、アドレスの記録として次の4点を確かめています。
- 通信を暗号化するための証明書は、登録日と同じ日付から発行されている
- Googleのセーフブラウジングでは、危険なサイトとの判定は出ていない(安全の根拠にはならない)
- 金融庁の無登録業者の一覧に、datingnow.netの掲載はない(掲載がないことが安全の根拠にはならない)
- urlscan.ioなどの画面の記録には、取得の後の画面が1件も残っていない
運営会社の名前も示さないサイトが、相手から案内される直前に用意されていたことになります。登録者の名前も公開されておらず、アドレスから運営者をたどることはできません。支払いを勧められたら、まずそのアドレスの登録日をRDAPで調べ、取得から日の浅いサイトでないかを見てください。
koi777.topと同じ証明書で同じファイルを返す
datingnow.netが返す証明書の名前はkoi777.topで、対象のアドレスにはdatingnow.netとkoi777.topが並んでいます。証明書は対象のアドレスをまとめて申し込んで発行される仕組みのため、2つのアドレスは同じ管理者の手元にあるとみられます。
▼datingnow.netとkoi777.topが並ぶ証明書

出典:datingnow.net
koi777.topを開くと、datingnow.netと同じ「今からデート」のログイン画面が出ます。ページのファイルと設定のファイルは1バイトも違わず、更新の日時も同じで、どちらも同じサーバーに置かれていました。
▼datingnow.netと同じ画面のkoi777.top

出典:datingnow.net、koi777.top
koi777.topの取得は2026年7月12日で、ネームサーバーの組み合わせもdatingnow.netと同じです。datingnow.netは、7月に取得されたアドレスと同じ仕組みに新しく足された入口とみられます。
どちらも前の持ち主が手放したアドレスを取り直したもの
2つのアドレスには、どちらも以前の持ち主がいた記録が残っています。datingnow.netは、Internet Archiveの2008年の保存版では「The domain datingnow.net is for sale.」と出る、売りに出されたアドレスのページでした。
koi777.topにも、今の登録より前の2024年から2025年にかけて別のサイトが置かれていた記録が、証明書の発行記録とInternet Archiveに残っています。そのころのサブドメインには、賭博のサイトとみられる名前が並んでいました。
一度手放されたアドレスを取り直すと、取得日が新しくても以前の記録が残るため、長く使われてきたアドレスのように見えることがあります。アドレスの名前や見た目ではなく、RDAPの登録日と、いつから今の画面になったかで判断してください。
同じ紹介ページとタブ名を使うaishiua.bond
datingnow.netを開くと、ページが読み込まれた後のブラウザ最上部のタブの名前は「アイシアウ」になります。プログラムがサイトの設定のデータから名前を読み込み、タブに書き込む作りで、設定の名前の欄も「アイシアウ」です。
▼タブの名前が「アイシアウ」に変わるdatingnow.net

出典:datingnow.net
ログインせずに開ける紹介ページにも、「近くの愛デートマッチングクラブとは?」という見出しと女性会員の割合をうたう文が並びます。同じ名前と同じ紹介ページは、2026年9月に取得されたaishiua.bondでも使われていました。
datingnow.netとaishiua.bondは、プログラムの作りが違い、同じサイトとは言えません。それでも、名前と紹介ページを替えずにアドレスだけが増えている点は共通しています。
同じ紹介ページを使うaishiua.bondの手口は、「アイシアウの「デート認証」で出金できない詐欺とは?出会いの名目で投資へ誘う手口」で解説しています。
【参考】
・RDAP-datingnow.net(https://rdap.verisign.com/net/v1/domain/datingnow.net)
・koi777.top-ログイン画面(https://koi777.top/login)
・datingnow.net-紹介ページ(https://datingnow.net/market)
・Internet Archive-datingnow.netの2008年の保存版(https://web.archive.org/web/20080905021347/http://datingnow.net:80/)
出会いの言葉で始まる誘いを名前と運営者とお金の行き先で確かめる

datingnow.netの案内は、デート、女性の紹介、信用確認といった出会いの言葉で始まりました。言葉だけで見分けるのは難しいため、ここでは「どんな名前のサイトか」「誰が運営しているか」「払ったお金はどこへ行くのか」の順に、自分で確かめられる問いを挙げます。
- サイトの名前は1つに決まっているか:datingnow.netは、リンクの名前はIRENA、画面の見出しは「今からデート」、ブラウザ最上部のタブは「アイシアウ」と、場所ごとに名前が違いました。案内されたリンク、ページの見出し、タブの名前を見比べ、そろわなければその時点で手を止めます
- アドレスはいつ取得されたものか:RDAPで登録日を引くと、datingnow.netは修復の資料の2日前に取得されたアドレスでした。相手に案内された直前に用意されたアドレスなら、長く運営されてきたサービスとは言えません
- 運営する会社の紹介は出会いの話になっているか:「当社について」を開いて、会社の名前、所在地、事業の中身を読みます。datingnow.netのように、出会いのサイトの紹介が投資のサービスの説明になっていたり、登録番号の欄が空いていたりすれば、表の見た目と裏の仕組みが別物です
- 問い合わせの窓口はどこにつながるか:サポートのボタンを押し、本当に運営者に連絡できる窓口が開くかを見ます。翻訳のサイトが開くだけなら、トラブルが起きても相手を確かめる方法がありません
- 寄付や認証の画面に秒数と率が並んでいないか:寄付や認証と書かれていても、期間を選ぶと「特典」の率が変わり、値上がりか値下がりかを選ぶ作りなら、それは暗号資産の値動きに賭ける取引とみられます
- 返金や修復のために、なぜ自分が払うのか:返金を受け取る側が先に払う必要はありません。ミスやシステムの不具合を理由に振込を求められ、払えばそれ以上の額が戻ると言われたら、支払いを止めます
- 振込先の口座の名義は誰か:振込のたびに違う個人名義の口座を示されるなら、サイトを運営する会社の口座ではありません。名義が運営会社の名前と一致しない口座には振り込まないでください
どれか1つでも当てはまったら、相手とのやり取りや振込の記録を手元に残したまま、支払う前に信頼できる第三者に相談してください。すでに振り込んでいる場合に取れる手続きと相談先は、この記事の最後の章でまとめています。
【参考】
・RDAP-datingnow.net(https://rdap.verisign.com/net/v1/domain/datingnow.net)
・datingnow.net-当社について(https://datingnow.net/about)
・金融庁-金融事業者一括検索
datingnow.netの口コミがないのはアドレスが替わり続けるから

datingnow.net、IRENA、今からデートの名前で、X、Yahoo!知恵袋、掲示板を探しましたが、このサイトを使った人の口コミは見つかりませんでした。
理由として、同じ画面のアドレスが短い間隔で替わってきたこと、名前が別のものと重なって探しにくいこと、入口がXとLINEで送られるリンクに限られることの3つが挙げられます。
同じ寄付の画面は4月から別のアドレスで使われてきた
同じ寄付の画面は、2026年4月16日に取得されたkoo001.topでも使われていました。Internet Archiveに残る5月3日の保存版のプログラムには、「デート情報報告」「ユーザーログイン」「寄付センター」「日本国内への寄付」「寄付の特典」の言葉がそろっています。
その後、7月12日にkoi777.top、10月17日にdatingnow.netが取得されました。koo001.topは今では別の業種のサイトに替わっています。同じ画面がアドレスを替えて出てくるため、1つのアドレスに書き込みが積み重なりにくいとみられます。
「IRENA」の名前では国際機関の情報に埋もれる
相手が開くよう案内したリンクの名前はIRENAでした。datingnow.netのページのソースを開くと、ページの題(title)にもIRENAと書かれています。
▼ページの題がIRENAのdatingnow.netのソース

出典:datingnow.net
ところが「IRENA」は、国際再生可能エネルギー機関(International Renewable Energy Agency)の略称と同じ綴りで、検索すると国際機関の情報が並びます。
datingnowも海外の出会いのサイトや投稿の名前と重なり、「今からデート」はマッチングアプリの宣伝で広く使われる言い回しです。3つの名前のどれも、検索では別の情報の陰に隠れてしまいます。
Xで知り合いLINEで修復代を求められた2026年3月の相談
本件の名前は出てきませんが、Yahoo!知恵袋には、同じ手順をたどったとみられる2026年3月6日の質問があります。
旧Twitterについてです。昨日旧TwitterからLINEから飛びデートの約束が決まり受付の人と認証官のLINEから連絡が来ました。そこからデートの代金を支払いすぐに補助金と一緒に戻ってきました。それから認証官と書いてあるLINEの指示を受けて色々やっていました。そしたら私の操作ミスによりデータに損害を与えてしまい、修復代を要求されました。この時点で詐欺か企業なのかを聞きたいです。また警察に被害届を出されたら私は捕まり賠償金を支払わないと行けないですか?
なるべく早く回答を待っています。とても怖くて何をすれば良いのか分かりません
XからLINEへ移り、払ったお金がいったん戻った後に、操作のミスでデータを壊したとして修復の費用を求められる流れは本件とよく似ています。質問者が「捕まるのではないか」とおびえている点も、データの漏洩と損失を告げる本件の資料と同じく、相手に損害を与えたと思い込ませる作りです。
回答は「100%詐欺です。」と答えていますが、回答者個人の見方として受け止める必要があります。質問にはサイトの名前もアドレスも書かれていないため、本件と同じ相手かどうかまでは分かりません。
名前を替え、アドレスを替えて続く手口ほど、検索には跡が残りにくくなります。書き込みが1件もないことは、datingnow.netが安心して使えるサイトであることを意味しません。評判の分からないサイトへの支払いはいったん止め先に相談先へ連絡してください。
【参考】
・Internet Archive-koo001.topの2026年5月3日のプログラム(https://web.archive.org/web/20260503204556/https://koo001.top/js/app.0f1cdb4a.js)
・datingnow.net-ページのソース(view-source:https://datingnow.net/)
・Yahoo!知恵袋-2026年3月6日の質問(XからLINEに移って修復代を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12326005007)
個人名義の口座への振込を取り戻すために今できること

相談者は相手との連絡を絶ち、警察に相談して、振込先の口座の凍結と返金について報告を受けています。口座の凍結は返金の約束ではなく、ここから先は、金融機関への申請と相手への請求を自分の側で進めていくことになります。
気になるのは、口座が止まればお金はそのまま戻るのか、PayPayで払った分はどうなるのか、再び修復費用を求められたらどうするか、名義の違う口座の手続きを自分で進められるのかの4つです。
警察が口座を止めてもそのまま返金されるわけではない
振込先の口座は、金融機関が犯罪に使われた疑いがあると判断すると取引が止められ、口座のお金を消す手続きに入ります(金融庁-振り込め詐欺救済法Q&AのQ8)。戻ってくるのは口座に残っていた額からで、公告と申請を経て、申し出た被害者に分けられる仕組みです。
▼公告に名義人の氏名や振込の時期が載ると示すQ17

出典:金融庁
支払いの公告には、口座のある金融機関と口座番号、名義人の氏名、消えた預金の額、申請の期間、振込が行われた時期などが載ります(金融庁-振り込め詐欺救済法Q&AのQ17)。自分のどの振込がどの公告に当たるかは、振込の明細と照らし合わせて確かめることになります。
申請書は、振込先の金融機関に持参か郵送で出し、自分が振込をした金融機関を通じて出すこともできます(金融庁-振り込め詐欺救済法Q&AのQ26)。警察から連絡を受けている今のうちに、振込の明細と相手とのやり取りを1か所にまとめておくと、申請のときに迷わずに済みます。
PayPayで払った分は振込とは別に相談する
振り込め詐欺救済法は、第2条で、被害を受けた人が預金口座などへ振り込んだお金を対象にしています。最初の信用確認でPayPayから払った少額は、銀行の口座への振込ではないため、この手続きでは戻らないとみられます。
PayPayで払った分は、アプリの取引の履歴を消さずに残し、PayPayのサポートと警察の両方に、いつ、誰に、いくら払ったかを伝えてください。銀行への振込とは窓口が分かれるので、あわせて相談しておくと取りこぼしがありません。
相手から再び修復費用を求められても払わない
相手の資料は、30万円の修復の後に45万円を受け取れるとしていました。前の章で見た八戸市の事例でも、修復費用を払った後に振込が5回まで重なり、さらにお金を求められています。
連絡を絶った後でも、相手が別のアカウントから修復や返金の話を持ちかけてくることも考えられます。応じずに、届いたメッセージと送られた資料は消さないまま警察に渡してください。相手の説明は、救済の申請や請求のときの記録にもなります。
振込のたびに名義が違う口座の手続きを1人で進める難しさ
本件の振込先は、振込のたびに名義の違う個人名義の口座で、金融機関も1つではありませんでした。凍結、公告、申請は口座ごとに進み、時期もそろいません。1つの口座の公告を見落として申請の期間を過ぎると、その口座に残っていた分からは受け取れなくなります。
口座に残っていなかった分は、名義人への損害賠償の請求を考えることになります。ただ、名義人は相手本人とは限らず、口座を貸したり売ったりした人のこともあり住所も分かりません。
口座ごとの公告の確認と申請、名義人を調べたうえでの請求は、弁護士に代理人としてまとめて任せられます。警察とのやり取りと並行して進められるため、口座ごとの申請の期限を見落とすおそれも減らせます。
振込の明細と相手から届いた資料を手元に置き、ひとりで抱え込まずに専門家に相談してください。早く動けば、口座のお金が引き出される前に手続きにつなげられる可能性があります。
【参考】
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
