女性とのデートの「認証」の手続きのはずが、いつの間にか暗号資産の取引の画面へと話が移り、出金できないまま支払いを重ねてしまったという相談が寄せられました。使われたのは、「アイシアウ」「近くの愛」を名乗るサイトaishiua.bondです。
相手はTelegramとLINEで、預かり金、データ修復、Appleギフトカード、残高の2倍の認証資金と、名目を替えながらお金を求めました。最後は出金の失敗を理由に、さらに大きな額を払うよう迫られています。
サイトのプログラムを調べると、「同じ街認証」「同じ国認証」のボタンは、値上がりか値下がりかに賭ける注文として送られていました。紹介ページには実在の交際クラブの画像が使われ、そのクラブ自身が「近くの愛倶楽部」を名指しで注意しています。
本記事では、サイトの作りと登録情報、名前を使われたクラブの注意喚起を突き合わせた結果を紹介します。そのうえで、振込とギフトカードで渡したお金を取り戻す道と相談先を弁護士が解説します。
Telegramの「デート認証」からAppleギフトカードの要求まで

この章では、Telegram での「同じ街認証」の購入と預かり金の案内、LINE で示された投資の画面と2回の振込、修復の残りを Apple ギフトカードで求められた場面の3つをたどります。どの場面でも、求められたお金は後で戻ると説明されていました。
Telegramでは認証の購入と預かり金を求められた
Telegram の相手は、別の連絡先を追加させたうえで、本人確認、日常外出保険への加入、契約の作成を求めました。認証の手続きにはサイトを使い、「同じ街認証」を選んで購入数量「30000」で申請するよう指示しています。
相手の説明は、認証が済めば女性とデートができ、女性が現れなければ最大150万円を補償するというものでした。あわせて認証の預かり金を求め、手続きの後にデート手当を加えて返すと案内し、返事がなければ法的措置をとって自宅や勤務先に書類を送るとも告げています。
LINEでは投資の画面を見せられて振込を求められた
やり取りが LINE に移ると、相手はサイトの契約の記録と投資額、「BTC|JPY」の表示と「+27,000 円」の損益を示しました。デートの認証の話が、暗号資産の取引の画面に変わっていたことになります。
振込を求められて振り込むと、相手は指示した銘柄は BCH だったのに BTC を買ったため、データに異常が出て出金できないと説明しました。保証金の没収や法的措置を示しつつ補償するとも述べ、「プラットフォーム法務事務局|法務部門」を名乗る警告書も届き、相談者は修復のために再び振り込みました。
修復の残りはAppleギフトカードで求められた
相手は、救済金はすでに口座に入っていて、残りを払えば修復と出金が終わり、返金を受け取ったら救済金の分を返すよう求めました。1日の振込の限度額で振り込めないと伝えると、Apple ギフトカードを買って写真を送るよう指示しています。
▼「今からデート」と出るaishiua.bondのログイン画面

出典:aishiua.bond
カードの写真を送った後も返金は届かず、aishiua.bond の画面には残高 1,480,000 円と、同じ額の出金が失敗した記録が出ました。理由は銀行口座の情報の誤りで「二重認証」が有効になったためとされ、解除には本人確認書類と残高の2倍にあたる認証資金が要るとされています。
まとめると、デートの「認証」を入口に、名目を預かり金、データ修復、救済金、認証資金と替えながら、振込とギフトカードで支払いを重ねさせたことが被害につながった経緯です。次の章では、「同じ街認証」が実際には何を送る操作なのかを、aishiua.bond のプログラムで確かめます。
【参考】
・aishiua.bond-ログイン画面(https://www.aishiua.bond/login)
aishiua.bondの「同じ街認証」は値上がりに賭ける注文だった

相手が「デート認証」の購入と呼んだ操作は、aishiua.bond の画面では何をしているのでしょうか。ログインしなくても取得できるサイトのプログラムで、注文の画面の2つのボタンが送る値、ホームの一覧に出る「認証」の文字、注文の画面に並ぶ項目、取引の時間と割合の設定を順に確かめました。
「同じ街認証」はUP「同じ国認証」はDOWNとして送られる
注文の画面には、背景の画像の上に「同じ街認証」と「同じ国認証」の2つのボタンだけが置かれています。プログラムでは、前者に「domestic」(国内)、後者に「overseas」(海外)という名前が付いていました。
▼「同じ街認証」と「同じ国認証」のボタンの処理

出典:aishiua.bond
注文を確定したときに運営のサーバーへ送る処理を調べたところ、「direction」(向き)という項目に、「同じ街認証」なら「UP」、「同じ国認証」なら「DOWN」を入れて送る作りでした。UP と DOWN は値上がりと値下がりを指す言葉で、出会いの手続きとは関係がありません。
▼同じ街認証をUP・同じ国認証をDOWNと送る処理

出典:aishiua.bond
ボタンを押すと開く欄の見出しも、「秒契約サイクル」「注文金額」「アカウント残高」「予想利益」「注文を確定」と取引の言葉ばかりです。デートの相手や日時を選ぶ欄はどこにもありませんでした。
「BTC 認証」は銘柄名のJPYを置き換えた表示
ホームの一覧は、銘柄の名前に含まれる「JPY」の文字を「認証」に置き換えてから表示する作りでした。「BTC|JPY」という名前は「BTC | 認証」として並び、横の「入る」から注文の画面へ進みます。
▼銘柄名のJPYを「認証」に置き換えて表示する処理

出典:aishiua.bond
LINE で相手が見せた画面の「BTC|JPY」は、置き換える前の銘柄の名前です。ログインせずに取得できる銘柄の設定には、BTC・XRP・ETH・SOL・BOT・BCH の6つがあり、どれも日本円での値動きを扱う名前になっていました。
注文の画面には値段もグラフも出てこない
注文の画面のプログラムには、銘柄の値段やグラフを表示する処理がありません。画面にあるのは、切り替わる背景の画像、2つのボタン、時間の選択、金額の入力欄、残高と予想利益だけです。
注文の結果は、画面が数秒ごとに運営のサーバーへ精算を問い合わせ、返ってきた結果で決まります。利用者は、値上がりしたのか値下がりしたのかを自分の目で確かめる手段を持たないまま、勝ち負けを受け取る作りです。
「認証」の正体は秒単位のバイナリーオプションとみられる
時間の選択肢は、33秒で12%、120秒で30%、300秒で45%、360秒で50%の4つでした。予想利益は注文金額にこの割合を掛けた額で、たとえば注文金額に「30000」と入れて120秒を選ぶと、予想利益は9,000と表示される計算です。
注文金額を払い、決まった時間の後の上下が当たれば割合に応じた利益を受け取る形は、金融庁がバイナリーオプションの仕組みとして説明する次の文と重なります。
バイナリーオプションを購入する際にオプション料を支払い、一定時間後、その時点のレートがあらかじめ決めた条件を満たすかどうか判定されます。予測が当たると、一定の金額の払戻し(ペイアウト)を受け取り、払戻額とオプション料の差額が利益となります。予測が外れるとペイアウトがなく、支払ったオプション料が損失となります。
同じページによれば、国内でこの取引を扱えるのは登録を受けた業者で、登録のない業者が相手では、もめごとの際に責任を問うことさえ難しくなります。
「認証」の購入を勧められて上下2つのボタンと秒数・割合しか出なければ、出会いの手続きではなく取引の注文とみて、運営者の名前と金融庁の登録を確かめてください。
【参考】
・aishiua.bond-画面のプログラム(https://www.aishiua.bond/_next/static/chunks/5266-fb00315216d5f16c.js)
・aishiua.bond-通信の処理のプログラム(https://www.aishiua.bond/_next/static/chunks/5152-8e9ee641d3cdab7c.js)
・aishiua.bond-銘柄の設定(https://www.aishiua.bond/api/v1/products)
・金融庁-バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!
データ修復や二重認証の処理はaishiua.bondにない

相手は出金できない理由として、BCH と BTC の取り違えによるデータの異常と、銀行口座の情報の誤りによる「二重認証」を挙げていました。この章では、誰でも取得できる aishiua.bond の銘柄の設定と、出金・注文を受け持つ部分のプログラムに、こうした理由が成り立つ仕組みがあるかを確かめます。
BCHとBTCを取り違えてもデータが壊れる処理はない
銘柄の設定を見ると、画面に「BCH|JPY」と出る銘柄の内部のコードは「doge_jpy」でした。doge はドージコインという別の暗号資産の略号で、値段も 13.994 とドージコインの桁です。同じように「BOT|JPY」のコードは「dot_jpy」でした。
▼「BCH|JPY」の設定のコードはdoge_jpy

出典:aishiua.bond
つまり、相手が「指示した」という BCH は、画面の名前だけが BCH の別の通貨のコードの銘柄です。注文の処理は選んだ銘柄の番号を送るだけで、BCH と BTC のどちらを選んでも、それによってデータが壊れたり出金が止まったりする処理はありません。
画面のプログラムで「修復」を検索しても0件でした。出金や注文を受け持つ部分を含めても、「二重認証」「認証資金」「救済」「異常」の言葉は1つも出てきません。相手が出金の条件として挙げた名目は、サイトの仕組みには用意されていないということです。
▼画面のプログラムで「修復」が0件の検索結果

出典:aishiua.bond
出金を止めているのはサーバー側の「凍結」の設定
出金の処理は、入力した金額を確かめた後、利用者の残高が凍結されていれば「残高が凍結されているため、出金できません」と表示して止めます。続いて残高が足りるか、銀行口座が登録済みかを確かめ、通れば運営へ出金を申請する流れです。
▼残高が凍結されていると出金を止めるプログラム

出典:aishiua.bond
凍結しているかどうかは、運営のサーバーから利用者ごとに送られてくる値で、利用者の側から解く操作はプログラムにありません。凍結の間は注文も「残高が凍結されているため、注文できません」と止まります。画面に出た「二重認証」の理由も、運営のサーバーから送られてきた文とみられます。
サイトには入金の機能そのものがない
通信の処理にあるのは、ログインと登録、プロフィールの表示と変更、銀行口座の登録、注文と精算、出金の申請と履歴、お知らせの取得だけでした。お金を入れる、つまり入金やチャージを受け付ける処理は1つもありません。
振込もギフトカードも、サイトの外で相手が受け取っていたことになります。画面の残高は運営が入れる数字とみられ、残高の額や「救済金」の説明を根拠に次の支払いを足さないことが大切です。
【参考】
・aishiua.bond-銘柄の設定(https://www.aishiua.bond/api/v1/products)
・aishiua.bond-画面のプログラム(https://www.aishiua.bond/_next/static/chunks/5266-fb00315216d5f16c.js)
・aishiua.bond-通信の処理のプログラム(https://www.aishiua.bond/_next/static/chunks/5152-8e9ee641d3cdab7c.js)
紹介ページの「五冠達成」は実在のユニバース倶楽部の画像

aishiua.bond には、ログインしなくても開ける紹介と案内のページがあり、「近くの愛デートマッチングクラブ」がどんなクラブかを説明しています。この章では、そこに載る「五冠達成」の画像の出どころ、名前が使われた交際クラブ自身の注意喚起、公的機関のロゴと「届出受理済み」の表示の3つを確かめます。
五冠の画像はユニバース倶楽部の公式サイトの画像と同じ
案内のページの最下部には、「交際クラブ・デートクラブ業界にて 五冠達成!」の画像が置かれ、下に「※2018年5月ゼネラルリサーチ調べ」と添えられています。この画像は、実在の交際クラブである正規のユニバース倶楽部の公式サイトに今も載っている画像と寸法も図柄も同じでした。
▼aishiua.bondと正規のユニバース倶楽部の五冠の画像

出典:aishiua.bond、ユニバース倶楽部
紹介ページの入会の手順も、1つ目が「ユニバースにて面談を受ける」となっていて、ユニバース倶楽部の名前が残ったままです。「近くの愛」を名乗りながら、実在のクラブの実績と手順を自分のものとして見せる作りでした。
ユニバース倶楽部は「近くの愛倶楽部」を名指しで注意している
正規のユニバース倶楽部は、2025年3月18日の注意喚起で、自社の名前やページを不正に使ったサイトが多発していると知らせています。挙げている例の中には、ロゴや社名や会社概要のページを使ったサイトで、自社以外のデートカードを買わせる手口があります。
▼「近くの愛倶楽部」を名指ししたユニバース倶楽部の注意喚起

出典:ユニバース倶楽部
同じ注意喚起は、Telegram を通じた勧誘を自社では行っていないと明記したうえで、確認できたサイトを名前とアドレスで並べています。その中に次の項目があります。
◎近くの愛倶楽部(NEAR BY SEX)
ユニバース倶楽部のランディングページを丸々コピーしたサイト
名指しされたアドレスは aishiua.bond とは別ですが、「近くの愛」の名前と、ユニバース倶楽部のページを写した中身は共通しています。同じ一覧には、「アイシアウ」と読めるアドレスも、親会社を偽るサイトとして載っていました。
紹介ページは警察庁や金融庁を「協力」と見せる
プログラムそのものを取得して確かめたところ、ログインした後のホームの画面には「協力」の欄があり、警察庁、金融庁、消費者庁、国民生活センターのロゴを並べた画像が置かれています。画像そのものは、サイトの画像の置き場所から誰でも開けます。
▼「協力」の欄に置かれた公的機関のロゴの画像

出典:aishiua.bond
案内のページは、さらに「紹介事業ならびにデートクラブ条例の届け出を東京都公安委員会に行い受理済みです。」と書いています。ところが、届出の番号も、運営会社の名前や所在地も、サイトのどこにも見当たりません。正規のユニバース倶楽部は、届出の番号を公式サイトに示しています。
▼番号も会社名もない「届出受理済み」の表示

出典:aishiua.bond
警視庁によれば、都内でデートクラブ営業を始めるには、営業所ごとに開始の10日前までに届け出る必要があり、法人なら定款や登記簿の謄本も添えます。番号と会社名を示さないまま「受理済み」とだけ書くクラブには、まず両方を尋ね、管轄の警察署で確かめてください。
【参考】
・aishiua.bond-紹介ページ(https://www.aishiua.bond/market)
・aishiua.bond-案内ページ(https://www.aishiua.bond/guide3)
・aishiua.bond-「協力」の欄の画像(https://www.aishiua.bond/assets/dox-compay-fc917519.png)
・ユニバース倶楽部-【続報】詐欺サイトへの勧誘が多発しております。誘導サイトを全て公開します。(https://universe-club.jp/information/132590/)
・ユニバース倶楽部-五冠達成の画像(https://universe-club.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/gokan_sp.jpg)
・警視庁-デートクラブ営業等の届出
「アイシアウ」が報じられた後に取得されたaishiua.bond

aishiua.bondの名前とアドレスは、相談の前から別の場所で使われていた形跡があります。この章では、「アイシアウ」の名前が出た岩手県の被害の報道、aishiua.bondの登録情報、前日に取得された同じ画像のサイト、警察庁の統計に表れた交際あっせん詐欺の増え方を順に見ていきます。
「アイシアウ」の登録料を求められた岩手県の被害
IBC岩手放送は2026年8月17日、岩手県雫石町の30代の男性が、SNS で知り合った相手から女性の紹介を持ちかけられ、約60万円をだまし取られたと報じました。記事の中で、別の仲介役の説明として次の一文が紹介されています。
・「女性とデートするためには『アイシアウ』というサイトに登録して、登録料を支払う必要がある」
▼「アイシアウ」の登録料を報じたIBC岩手放送の記事

出典:IBC岩手放送
男性はその後、口座の情報の入力ミスでシステムにエラーが出たと告げられてエラーの解除費用を振り込み、返金の手続きにさらに100万円を求められました。
盛岡西警察署は、SNS で知り合った相手からの紹介や返金、暗号資産を名目にしたお金の話は詐欺を疑い、送金の前に警察へ相談するよう呼びかけました。
報道の被害は8月の出来事で、使われたサイトがaishiua.bondと同じアドレスかまでは分かりません。ただ、「アイシアウ」の名前、登録料の後に入力の誤りを理由にした費用を求める流れは相談者が受けた説明と重なります。
aishiua.bondの登録情報に運営者の名前はない
aishiua.bondの登録情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録日 | 2026年9月8日(日本時間20時37分) |
| 登録を受け付けた業者 | Aceville Pte. Ltd. |
| ネームサーバー | DNSPod(a・b・c.dnspod.com) |
| 公開に使うサービス | Vercel |
| サイトが示す運営会社・所在地 | なし |
▼aishiua.bondの登録日を示す登録情報(RDAP)

出典:rdap.centralnic.com
- 登録日は、岩手県の報道の22日後にあたる
- 通信を暗号化するための証明書も、登録日と同じ日付から発行されている
- Google のセーフブラウジングでは、危険なサイトとの判定は出ていない(安全の根拠にはならない)
- Internet Archive などの保存の記録には、画面が1件も残っていない
報道の後に、同じ読みの名前のアドレスが新しく取得されたことになります。取得から間もないアドレスで、運営会社の名前も所在地も示さないサイトには、支払いを進める前に立ち止まってください。
前日には同じ画像のサイトが2つ取得されていた
aishiua.bond の前日の2026年9月7日には、date001.jpとdate002.comの2つのアドレスが取得されていました。どちらも同じ組み合わせのネームサーバーを使っています。
date001.jpのプログラムを調べたところ、「近くの愛」の名前に加えて、五冠の画像(gokan_sp.jpg)など aishiua.bondと同じ名前の画像が読み込まれていました。
上下のボタンにあたる部分は「日本国内への寄付」「日本国外への寄付」と呼ばれていて、「同じ街認証」「同じ国認証」の前の形とみられます。date002.comは、開くとCloudflareの「Suspected Phishing」(フィッシングの疑い)の警告が出ます。
2026年10月17日には、同じ「日本国内への寄付」「日本国外への寄付」の画面を使うdatingnow.netも取得されています。datingnow.netで「返金のミス」を口実に修復費用を求められた事案は、「datingnow.net(IRENA)は詐欺?「今からデート」で修復費用を求める手口」で解説しています。
交際あっせん詐欺は警察庁の統計で1年に約5.6倍
警察庁の令和7年の確定値では、特殊詐欺の一つに分類される交際あっせん詐欺の認知件数が482件で、前年から396件、460.5%増えました。前年の約5.6倍にあたり、被害額も19.7億円まで増えています。
▼交際あっせん詐欺の行を含む警察庁の令和7年の確定値

出典:警察庁
警察庁の特殊詐欺対策のページは、交際あっせん詐欺を次の一文で説明しています。
雑誌やメールに記載された「女性紹介」等の案内に申し込んできた人に対して、会員登録料金や保証金等の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、出会いの紹介を口実に、登録や保証金を名目としてお金を求めるという骨組みは同じです。女性を紹介する話の中でお金を求められたら、払う前に #9110 などの相談窓口に連絡してください。
【参考】
・IBC岩手放送(TBS NEWS DIG)-「好みの女性を選んで」SNS交際あっせんで雫石町30代男性が約60万円被害(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2875805)
・CentralNic-aishiua.bond の登録情報(https://rdap.centralnic.com/bond/domain/aishiua.bond)
・警察庁-令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)
・警察庁-その他の手口(交際あっせん詐欺)
「デート認証」で支払いの名目が次々に変わったら疑う

相談者が求められたお金は、預かり金、認証の購入、投資額、データ修復、ギフトカード、認証資金と、段階ごとに呼び名を変えていました。ここでは、その名目が出てくる順に、払う前に立ち止まるための確かめ方を挙げます。
- 会う前の預かり金や保険:女性と会う前に預かり金や保険の保証金を求める紹介は、警察庁が交際あっせん詐欺として説明する「会員登録料金や保証金等の名目」と同じ形です。ユニバース倶楽部の名前や画像を見せられても、同社は Telegram での勧誘を行っていません
- 「認証」の購入:購入の画面に、上下2つのボタンと秒数・割合しか出てこなければ、出会いの手続きではなく取引の注文です。値段もグラフも見えない画面で、金額だけを入れさせる作りになっていないかを見ます
- 投資額と損益の表示:出会いのサービスの画面に「投資額」や損益が出たら、別の話にすり替わっています。運営会社の名前と所在地を探し、金融庁の金融事業者一括検索で登録があるかを確かめます
- データ修復や二重認証:銘柄の取り違えや口座の入力ミスなど、自分の操作の誤りを理由に払わせる名目は、サイトのどこにも払う仕組みがありません。「払えば直る」と言われた時点で手を止めます
- ギフトカードや認証資金:振込が通らないからギフトカードで、残高の2倍を払えば解除、と支払い方法や金額が膨らんでいくのは、出金させるつもりがないことの表れとみられます。カードの番号や写真は誰にも送らないでください
名目が変わるたびに金額が増えていたら、それまでに払った額を取り戻そうとして次を払うのではなく、払う前に信頼できる第三者へ相談してください。家族や友人に話すだけでも、相手の説明の食い違いに気づけることがあります。
【参考】
・警察庁-その他の手口(交際あっせん詐欺)
・ユニバース倶楽部-【続報】詐欺サイトへの勧誘が多発しております。誘導サイトを全て公開します。(https://universe-club.jp/information/132590/)
・金融庁-金融事業者一括検索
アイシアウの口コミは「愛し合う」というありふれた言葉に埋もれる

aishiua.bond、アイシアウ、近くの愛、「同じ街認証」の名前で、X、Yahoo!知恵袋、Yahoo!のリアルタイム検索、5ちゃんねるなどを探しました。この章では、利用者自身の口コミが見つからなかった理由と、名前を替えて同じ手順をたどった相談を取り上げます。
「アイシアウ」で探しても見つかるのは無関係の投稿
「アイシアウ」は「愛し合う」と同じ読みで、知恵袋で探すと4件の質問が出ましたが、どれも歌やアニメの話でした。リアルタイム検索では、アイシアウ・近くの愛・aishiua・同じ街認証のどれかを含む投稿が14件ありましたが、すべて別の話題です。
「近くの愛」も、ふだんの言葉として使われる言い回しです。知恵袋の検索結果は恋愛の相談で埋まり、5ちゃんねるにも名前を題にした書き込みの場は見つかりませんでした。サイトの名前そのものが日常の言葉と重なり、検索しても被害の話にたどり着きにくいのです。
一方で、検索結果の上位には、この名前を取り上げて返金や調査をうたう業者の記事が並びます。多くは LINE などでの相談へ誘導するもので、被害を取り戻せると思わせて費用を求める二次被害には注意が必要です。
「近くの愛」の名前でアドレスが替わり続けてきた
「近くの愛」を名乗るサイトは、ユニバース倶楽部が2025年3月に名指しした時点で、すでに別のアドレスで動いていました。2026年8月には「アイシアウ」の名前が報じられ、9月7日に date001.jp と date002.com、翌日に aishiua.bond が取得されています。
名前とアドレスが数か月ごとに入れ替わると、前のアドレスで被害に遭った人の書き込みは、次のアドレスの名前では見つかりません。被害を受けた人も、そのとき見せられた呼び名で相談を書くため、同じ仕組みの被害が1つの名前の口コミとして積み重なりにくいのです。
同じ手順をたどった2026年6月の知恵袋の相談
名前は違いますが、手順がほぼ重なる相談が、2026年6月11日の知恵袋にありました。
インターネット型結婚相談サービスについて質問です。
同じ都市との交友というサイトを登録したのちLINEで相手とデートが決まったらデート認証の手続きをする事になったのですが、日常外出保険に入るための保証金としてすぐに返金されると言われたので3万円を送りました。
その後すぐにサイト内の残高にはお金が振り込まれたのですが、言われた通りの手順で出金をしようとしたら口座情報が間違っていたので出金出来ず、もう一度出金出来るようにするために残高の倍を振りんで下さいと言われたので、78000円を振り込みをして、もう一度全額出金しようとしたら、残高と出金額があっていないので足りない分を振り込んでくれないと出金出来るようにならないと言われたのでもう一度78000円振り込みました。
そしたら今度は口座の名義がカタカナじゃかったので出金出来ないと言われ、口座情報をリセットしないといけないと言われその為にはリセット金として残高と同じ額である195000円を振り込んで下さいと言われました。
どんどんお金が無くなっていき、お金が無くなったので支払えないと言うと提携先の金融機関で立て替えるので登録をして下さいと言われたのですが、これってやっぱり詐欺なんでしょうか?
分かる方教えてください
お願いします。
▼同じ手順をたどった2026年6月11日の知恵袋の質問

出典:Yahoo!知恵袋
「同じ都市」という名前のサイト、デート認証、日常外出保険の保証金、口座情報の誤り、残高の倍の振込という並びは、相談者が受けた説明とそろっています。ただし時期は4か月ほど前で、暗号資産の取引の画面は出てきません。
名前やアドレスで探して見つからなくても、同じ手順の説明を受けたら、名前を問わず同じ仕組みを疑ってください。評判を探して何も出てこないのは、名前が替わり続けているためで、問題がないからではありません。
【参考】
・Yahoo!知恵袋-2026年6月11日の質問(デート認証の保証金を送った後、口座情報の誤りを理由に残高の倍を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10328835535)
振込とAppleギフトカードで渡したお金を取り戻す道

相談者は2回の振込と Apple ギフトカードを渡した後、残高の2倍の認証資金と本人確認書類を求められ、法的措置や自宅・勤務先への書類送付もほのめかされています。この段階で浮かぶ「渡したお金は戻るのか」「誰に請求できるのか」「脅しと次の請求にどう向き合うか」の3つに順に答えます。
ギフトカードの分はAppleサポートに振込の分は振込先に伝える
ギフトカードと振込では、連絡する先が違います。ギフトカードについて、Apple は次のように注意しています。
ギフトカードの裏面に記載されている番号を、よく知らない人や会ったことのない人には教えないでください。詐欺師がその番号を入手すると、あなたが法執行機関(警察)やAppleサポートに連絡する前に、カードの資金が使われてしまうおそれがあります。
▼引き換えコードを人に伝えないよう求めるAppleの案内

出典:Apple
カードの写真を送ってしまった分は、残っている資金が使われる前に、Apple の案内に従って Apple サポートへ被害を伝えてください。購入したときのレシートと、相手に送った写真は消さずに残します。
振込の分については、名前を使われたユニバース倶楽部も、被害に遭った人に向けて次のように案内しています。
また、口座振り込みやクレジットカード払いをした場合には、振込先の金融機関やクレジットカード会社に被害のご連絡をお願い致します。
振込先の金融機関が口座を止めれば、口座に残ったお金は振り込め詐欺救済法の手続きで被害者に分けられる可能性があります。引き出される前に伝えることが大切なので、2回分の振込の明細をそろえて早めに連絡してください。
表示名しか分からない相手への請求は一人では難しい
振り込め詐欺救済法は、その正式な名前のとおり、犯罪に使われた預金口座に残ったお金を被害者に分ける制度です。カードの写真で渡したギフトカードの分や、口座から引き出された後の分は、この手続きでは戻りません。
そうした分を取り戻すには、相手を突き止めて請求するしかありません。ところが、相手について分かるのは Telegram と LINE の表示名だけで、aishiua.bondも運営会社の名前を示していません。
数少ない手がかりは振込先の口座の名義ですが、名義人が勧誘した相手と同じ人物かどうかも、個人では確かめようがありません。名義人に請求しようにも、本当の名前や住所を調べる手段は一人では限られます。
ここで頼れるのが弁護士です。振込の分の手続きと、ギフトカードの分や引き出された分の請求を一緒に見て、どこまで手を打てる可能性があるかを判断し、手続きを代わりに進めることができます。支払い方法ごとに道が分かれる事案ほど、一人で抱え込まずに相談する意味があります。
法的措置をほのめかされても次の支払いはしない
前の章までに見たとおり、出金を止めているのはサーバー側の凍結の設定で、二重認証や認証資金、データ修復の名目はサイトのプログラムにありません。認証資金も「救済金」の返還も、払ったところで出金につながる仕組みがないため、次の支払いはしないでください。
法的措置や書類の送付を告げるメッセージ、「プラットフォーム法務事務局」を名乗る警告書は、消さずに残しておきます。脅しを受けていることも含めて、警察相談専用電話の #9110 に伝えてください。
脅しのメッセージが続いている今のうちに、振込の明細、ギフトカードの控え、Telegramと LINEのやり取りをそろえて、専門家に相談することをおすすめします。記録が残っているほど、取れる手段を検討しやすくなります。
【参考】
・Apple サポート-ギフトカード詐欺について
・ユニバース倶楽部-ユニバース倶楽部の親会社を騙る詐欺サイトにご注意ください。(https://universe-club.jp/information/fraud-case/)
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・警察庁-SOS47 特殊詐欺対策ページ(警察相談専用電話 #9110)
