今回の相談は、Facebookで出会った相手から、LINEで投資をすれば儲かると誘われたのが始まりです。金融庁も、SNSからLINEへ誘って個人間のやり取りに持ち込む手口に注意を促しています。
相談者は「Match Prime」と名乗る取引サイト(www.matchprfxx.com)を使い、指定された口座への振込や、派遣された人への現金の手渡しでお金を渡しました。ところが高額の出金を申し込むと資金が凍結され、保証金やサービス手数料の名目で次々に支払いを求められています。
調べると、サイトのロゴは正規のMatch-Primeの以前のロゴと同じ図柄でしたが、正規のMatch-Primeはプロと機関だけを顧客とする業者です。サイトの入金の作りには、現金を受け取る項目も凍結を解く支払いの手順もありません。
本記事では、matchprfxx.comのプログラムと設定のデータを、正規の業者とキプロスの当局の資料に照らし合わせた結果を弁護士が解説します。現金を預けるよう言われたときの確かめ方も紹介します。
Match Primeを装う偽サイトに関するトラブルの概要

相談者は、Facebookで知り合った相手とLINEでやり取りするうちに投資を勧められ、「Match Prime」と名乗る取引サイト(www.matchprfxx.com)を使い始めました。高額の出金を申し込んだところで資金が凍結され、保証金やサービス手数料の名目で入金を求められています。
この章では、matchprfxx.comの画面と、キプロスの正規のMatch-Primeが取引の相手にしている顧客を確かめます。あわせて、FacebookからLINEへ移る勧誘と、現金を手渡しさせる被害についての金融庁と警察庁の資料を紹介します。
matchprfxx.comはMatch Primeと名乗り暗号資産や株の取引画面を見せるサイト
ブラウザで開いたwww.matchprfxx.comは、最上部のタブに「Match Prime」の名前とロゴのアイコンを出します。ログインしなくてもホーム画面が開き、「start recharge」(入金を始める)のボタンと、BTC/USDTなど暗号資産の値動きの一覧が並びます。
▼タブに「Match Prime」と出る取引サイトのホーム画面

出典:matchprfxx.com
プログラムそのものを取得して確認したところ、ログインした後には暗号資産・FX・先物・株の売買、ローン、コピートレードなどの画面が用意されています。画面の名前とは別に、運営会社の名称や所在地を示す表示はホームにもログイン画面にも見当たりません。
正規のMatch-Primeはプロの投資家と金融機関だけを相手にする業者
正規のMatch-Primeは、キプロスのMTG Liquidity Ltdが運営し、キプロス証券取引委員会(CySEC)から免許番号390/20の認可を受けています。FXやCFDを扱う業者に流動性を提供する会社で、公式サイトのトップページは自社を次のように紹介しています。
Match-Prime is a CySEC-regulated Liquidity Provider, operating since 2020, with offices in Limassol, Nicosia, and Dubai. We serve professional clients and institutions exclusively.
▼プロの顧客と機関だけを相手にすると示す正規の公式サイト

出典:Match-Prime
後半の文は「プロの顧客と機関だけにサービスを提供している」という意味です。顧客区分の規程(2025年10月版)にも「the Company does not accept any Retail Clients.」とあり、個人の一般顧客は受け付けないと明記されています。
正規のMatch-Primeによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。個人に取引サイトの口座を開かせ入金を重ねさせる仕組みは、正規のMatch-Primeが示す取引の相手と合いません。
FacebookからLINEへ移し個人どうしのやり取りに持ち込む手口を金融庁が示している
SNSで知り合った人に誘われる投資について、金融庁の相談室は【主な手口】の最初に次の説明を置いています。
SNS(Facebook、Instagram等)上の偽広告やURLをクリックすると、LINEのグループへの参加や詐欺サイトへのアクセスを誘導されます。また、個人のLINEアカウントやSMSに突然連絡が来るケースも確認されています。多くの場合に犯人グループと個人間のやり取りに持ち込もうとしてきます。
警察庁の令和7年の確定値でも、SNS型投資詐欺の当初接触ツールとしてFacebookが822件挙げられています。これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、相談者もFacebookで相手と知り合い、LINEでのやり取りに移っていました。
現金を手渡しさせる被害は件数の割に被害額が大きい
相談者は、相手方が指定した口座への振込に加えて、派遣されてきた人に現金を預けて入金したと話しています。警察庁が公表した令和8年上半期の暫定値によると、SNS型投資詐欺の主な被害金等交付形態は振込型が4,084件(69.3%)で最も多く、現金手交型は430件(7.3%)でした。
▼現金手交型が被害額の15.9%を占める警察庁の集計

出典:警察庁
ところが被害額で見ると、現金手交型は127.0億円で、全体の797.9億円のうち15.9%を占めています。件数では1割に満たない現金の手渡しが、被害額では約16%にのぼります。
取引サイトに入れるお金を人に手渡すよう求められたら、現金を用意する前に専門家に相談してください。手渡した現金が取引サイトの残高になるまでの仕組みは、後の章で入金の画面のプログラムを読んで確かめます。
【参考】
・Match Prime(https://www.matchprfxx.com/)
・Match-Prime(https://match-prime.com/)
・Match-Prime-Client Categorisation Policy(https://cdn.prod.website-files.com/6a42c413d4bc6f1fc76a8533/6aa2c7c0ddc8d74494239244_client-categorisation-policy.pdf)
・金融庁-投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等
・警察庁-令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
Match Primeを装う偽サイトへ誘導され被害につながるまでの経緯

この章では、相談者がFacebookで相手と知り合ってから、凍結された資金のために次の支払いを用意するまでの流れを、勧誘、入金の方法、出金の申し込み、資金の工面の4つの場面に分けてたどります。
Facebookで出会った相手に誘われLINEで投資の話を聞く
相談者が相手と最初に接触したのはFacebookで、その後はLINEでやり取りするようになりました。やり取りの中で、投資をすれば儲かるという話になり、相談者は投資に誘われています。また、LINEから株取引へ誘導する例もあります。
投資先として使うことになったのが「Match Prime」で、相談者は取引サイトとしてwww.matchprfxx.comを示しています。相談者自身、このサービスが詐欺なのか本当のサービスなのか分からなくなったと話しています。
指定された口座への振込に加えて派遣された人へ現金を預ける
相談者が相手側にお金を渡した方法は、銀行振込と現金の2つです。振込先の口座はその都度指定され、そのうちの1つは法人名義の口座でした。相談者にとって、振込先はどれも面識のない相手です。
さらに相談者は、「オフライン入金」として、派遣されてきた人に現金を預けて入金したと話しています。お金は、指定された口座への振込と、人への手渡しという2つの経路で相手側に渡っていました。
高額の出金を申し込んだところで資金が凍結される
相談者が高額の出金をしようとしたところ資金が凍結されました。そのうえで、保証金やサービス手数料などの名目で、次々に入金を求められています。出金を申し込んだ相談者に返ってきたのは、預けたお金ではなく、凍結を解くために払う追加の名目でした。
借り入れや会社の資金まで充てた末に次の支払いを求められる段階で相談する
相談者は、カードローンでの借り入れ、友人からの借金に加え、会社の資金まで用意したと話しています。相談の時点でもLINEで次のお金のやり取りが続き、勧誘してきた相手と一緒に次に必要とされる資金を用意しようとしていました。
相手は、資産があるのだからブランド品などを売れば資金を作れるのではないかと促しています。投資の話から入金を重ね、凍結を解くための支払いのために借り入れや物の売却まで勧められる段階で、相談者は相談に至りました。
Match Primeを装う偽サイトの関連サイトの情報を調査した結果

この章では、matchprfxx.comと一緒に使われている4つのアドレスの取得の時刻を登録情報(RDAP)で並べ、サイトの設定に残っていた別のアドレスをGoogleのセーフブラウジングで調べます。あわせて、金融庁と海外の当局の一覧に名前があるかを確かめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 画面の名前 | Match Prime |
| 取引サイト | www.matchprfxx.com |
| PC向けのサイト | www.matchprilo.com |
| 取引サイトのドメインの取得日時 | 2026年8月7日 5時55分(日本時間) |
| 登録を扱った事業者 | NameSilo, LLC |
| 同じ時間帯に取得されたアドレス | matchprilo.com・ouenownp.com・kfbmzntx.com・aubgxbhj.com |
| 設定に残っていた別のアドレス | www.rjobero.com(2026年1月25日取得) |
| 運営会社・所在地の表示 | なし |
| 金融庁の登録 | 確認できず |
matchprfxx.comなど5つのアドレスが8月7日の早朝に約5分半で取得された
matchprfxx.comの登録情報(RDAP)は、取得の日時を「2026-08-06T20:55:17Z」と記録しています。協定世界時で書かれたこの時刻に9時間を足すと、日本時間の8月7日5時55分17秒です。
▼8月7日早朝の取得を示すmatchprfxx.comの登録情報

出典:rdap.verisign.com
残りの4つも日本時間で並べると、PC向けのサイトのmatchprilo.comは2秒前の5時55分15秒、アプリの配布に使うouenownp.comは5時56分30秒の取得です。
プログラムを調べたところ、取引サイトはkfbmzntx.com(5時56分34秒)とaubgxbhj.com(6時0分45秒)を接続先にしています。取引サイトの動作に必要な5つのアドレスが、早朝の約5分半でそろえられています。
PC向けサイトの設定に残る別のアドレスはGoogleが危険なサイトと表示している
PC向けのサイトwww.matchprilo.comは、メニューの設定を誰でも読めるデータとして返します。その中に、「投資家ポータル」を意味する項目の行き先として、Match Primeとは関係のないアドレスwww.rjobero.comが残っていました。
▼PC向けサイトのメニューの設定に残るrjobero.com

出典:matchprilo.com
rjobero.comは2026年1月25日の夜(日本時間)に取得されたアドレスで、今は応答がなく、Internet Archiveにも画面の記録がありません。ところが、Googleの透明性レポートでセーフブラウジングの状態を調べると「このサイトは安全ではありません」と表示されます。
▼rjobero.comを安全ではないと示す透明性レポート

出典:Google 透明性レポート
Match Primeの設定の中に、Googleがすでに危険と判定した別のアドレスへの道筋が残っていることになります。この設定がいつ作られたのかは後の章で取り上げます。
金融庁の一覧にもキプロスの当局の一覧にもmatchprfxx.comはない
金融庁の金融事業者一括検索では、「Match Prime」「マッチプライム」など11の語がいずれも0件でした。無登録業者の一覧(令和8年9月25日更新)と暗号資産交換業者の登録一覧(令和8年9月30日現在)にも、名前と5つのアドレスは見当たりません。
正規のMatch-Primeを監督するキプロス証券取引委員会が公開する、認可業者のものではないアドレスの一覧(10月2日更新、721件)や、英国のFCA・香港のSFCの警告にも、本件のアドレスは載っていません。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。
公開の記録サービスやGoogleの判定を確かめた結果は、次のとおりです。
- Googleのセーフブラウジングでは、matchprfxx.com・matchprilo.com・ouenownp.com・kfbmzntx.comに危険なサイトとの判定は出ていない(判定がないことは安全の根拠にならない)
- Internet Archive・archive.today・urlscan.io に、5つのアドレスの画面の記録は見つからなかった
- 5つのアドレスはいずれもAmazonの配信サービス(CloudFront)を通しており、同じサーバーにほかのどのサイトがあるかは調べられない
当局の一覧に名前がなくても、それは調べた時点で警告が出ていないというだけです。案内された取引サイトのアドレスと取得日を登録情報で確かめ、取得されて間もないアドレスであれば、入金する前に専門家に相談してください。
【参考】
・rdap.verisign.com-matchprfxx.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/matchprfxx.com)
・Match Prime-PC向けサイトのメニューの設定(https://www.matchprilo.com/api/webMenuConfig/list)
・Google 透明性レポート-セーフ ブラウジングのサイト ステータス
・CySEC-List of Non-Approved Domains
Match Primeを装う偽サイトに関する不審点

この章では、2026年10月19日に確認したmatchprfxx.comの画面とプログラム、誰でも読める設定のデータから6つの不審点を挙げます。正規のMatch-Primeの以前のロゴ、入金の作り、出金先の決まり、凍結を解く支払いの手順、ローンの注意書き、設定が作られた時期です。
6つに共通するのは、正規の業者の名前とロゴを借りながら、相手が求めたお金の渡し方や名目が、サイト自身の仕組みや決まりと合わないことです。なお、ログイン後の画面にしか出ない文言については、プログラムそのものを取得して中身を確かめています。
タブのアイコンとロゴは正規のMatch-Primeが以前に使っていたロゴの図柄と文字を並べたもの
matchprfxx.comのタブのアイコンと、設定のデータに登録されたサイトのロゴは、8本の線を放射状に組んだ記号の下に「match-prime liquidity」の文字を置いたものです。ロゴの画像は2026年8月6日にアップロードされています。
Internet Archiveに残る2021年12月17日の正規のMatch-Primeの公式サイトでは、見出しのロゴに同じ図柄の記号と「match-prime liquidity」の文字が並んでいます。今の公式サイトのロゴは記号と「match-prime」だけで、色も明るくなっています。
▼本件のロゴと正規のMatch-Primeの旧ロゴと今のロゴ

出典:kfbmzntx.com、Internet Archive(match-prime.com)
matchprfxx.comは、名前だけでなく正規のMatch-Primeが以前に使っていたロゴの図柄と文字まで取り込んでいます。旧ロゴを見たことのある人ほど、本物のサービスと受け取りやすいとみられます。
入金は利用者が金額を申請し運営が残高に反映する作りで現金を受け取る項目はない
プログラムを調べたところ、入金の画面に並ぶ「入金方法」の一覧は、運営が設定した内容を読み込んで表示する作りです。方法を選ぶと、種類によって窓口のチャットの画面へ移るか、入金の詳細の画面へ移ります。
▼入金方法の種類で窓口と詳細の画面に分けるプログラム

出典:matchprfxx.com
詳細の画面は、運営が設定した振込先の口座(銀行名・口座番号・口座名義(カナ)・支店名・支店番号)を表示し、利用者は入金額と振込の控えの画像を送って申請します。残高に反映するかどうかを決めるのは運営の側です。
▼振込先の口座を出し入金を申請させる詳細の画面のプログラム

出典:matchprfxx.com
一方で、入金の画面にもその先の画面にも、人に現金を預ける方法や現金の受け取りを記録する項目はありません。派遣された人に預けた現金は、サイトの入金の仕組みの外で動いたお金とみられます。
出金先として登録できるのは本人名義の口座1つだけとサイト自身が定めている
誰でも読める文書のデータには、銀行カードの画面に表示する決まりが日本語で書かれています。
(前略)
2. ユーザーが追加できる個人用銀行カードは 1 枚だけです。
3. 本名は、引き出し用銀行カードの口座名と一致している必要があります。
▼出金先を本人名義の口座1つに限る銀行カードの決まり

出典:kfbmzntx.com
出金のときは、引き出し先の口座の名義が本人の名前と一致していなければならないと定めています。それなのに相談者がお金を振り込んだのは、その都度指定される面識のない名義の口座でした。出金には本人名義を求め、入金は本人と関係のない名義に払わせるという食い違いがあります。
凍結を解く保証金やサービス手数料を払い込む手順がプログラムにない
プログラムの言葉の一覧(日本語)には「凍結保証金」という語がありますが、使われているのは資産の明細の項目名で、取引に使っている証拠金を示すものです。凍結を解くために保証金やサービス手数料を払い込む画面や手順は、プログラムの中に見当たりません。
一方、誰でも読める文書のデータの「Platform Rules」(英語のまま)には、次の一文が書かれています。
(前略)
If you did not submit identity information during registration and your account holds funds, a real-name verification fee will be charged.
(後略)
▼残高のある利用者に実名認証の手数料を課すと書く規則

出典:kfbmzntx.com
「登録時に本人確認の情報を出さず、口座に資金がある場合は、実名認証の手数料がかかる」という意味です。アプリのプログラムからは読み込まれておらず、画面に出るかは確かめられませんでした。それでも、残高のある利用者から手数料を取る名目があらかじめ文書に用意されています。
ローンの注意書きはBank of Americaの名前と国際的な規制当局を掲げる
ローンの一覧の画面には、英語の注意書きが表示されます。そのうち最初の行と3つ目の項目を引用します。
Bank of America Financial Center
(中略)
3. To continue repayments, please contact platform customer service to obtain the financial address and complete the repayment process.
▼Bank of Americaの名前で始まるローンの注意書き

出典:kfbmzntx.com
冒頭に米国の銀行Bank of Americaの名前を置き、間の項目では「international regulatory authorities」(国際的な規制当局)が返済を求め、清算を始めると書いています。3つ目は「返済を続けるには窓口に連絡して送金先を受け取るように」という意味です。
「Financial Center」は、Bank of Americaが米国の店舗に使っている呼び名です。実在の銀行の名前と、どこの機関かも示さない「国際的な規制当局」を並べ、返済の送金先は窓口が個別に伝える作りになっています。
サイトの名前とロゴ以外の設定は名前より半年前に作られていた
誰でも読めるサイトの設定のデータでは、サイト名「Match Prime」とロゴの画像は2026年8月6日のアップロードです。一方、出金の設定に並ぶ円・米ドル・香港ドルなどの通貨のアイコンは、2026年1月26日の日付のフォルダに置かれています。
▼名前とロゴは8月で通貨のアイコンは1月の設定のデータ

出典:kfbmzntx.com
1月26日は、前の章で取り上げたrjobero.comが取得された1月25日の翌日です。Match Primeのアドレスが取られる半年前に今の設定が作られ、サイト名とロゴだけを替えて使い回されているとみられます。名前が変わっても、お金の扱いを決める仕組みは同じまま動いている可能性があります。
【参考】
・Match Prime(https://www.matchprfxx.com/)
・Match Prime-ロゴの画像(https://www.kfbmzntx.com/profile/upload/banner/2026/08/06/180_20260806231021A001.png)
・Internet Archive-Match-Prime(2021年12月17日)(https://web.archive.org/web/20211217084443/https://match-prime.com/)
・Match-Prime(https://match-prime.com/)
・Match Prime-入金の画面のプログラム(https://www.matchprfxx.com/static/js/pages-user-recharge.383d4cb6.js)
・Match Prime-入金の詳細の画面のプログラム(https://www.matchprfxx.com/static/js/pages-user-recharge-detail.528b948a.js)
・Match Prime-文書のデータ(https://www.kfbmzntx.com/api/textLang/list)
・Match Prime-サイトの設定(https://www.kfbmzntx.com/api/siteInfo/getSiteInfo)
・Match Prime-出金の設定(https://www.kfbmzntx.com/api/withdrawChannelConfig/list)
・Bank of America-Financial Centers and ATMs(https://locators.bankofamerica.com/)
Match-Primeの名前が偽サイトの勧誘に悪用されやすい理由

Match-Primeは実在する業者の名前ですが、日本の個人が自分で確かめる機会はほとんどありません。ここでは、業者向けの会社であること、届け出たアドレス、契約の決まり、添えられた銀行の名前の4つから、悪用されやすい理由を整理します。
業者向けの会社の名前は個人に知られておらず本物かを確かめにくい
正規のMatch-Primeは業者に流動性を提供する会社で、個人向けの口座を開いていません。2021年12月17日の公式サイトの保存版も、見出しに「Solutions for Professional and Institutional Clients」(プロと機関の顧客向け)と掲げていました。
個人向けのサービスがない以上、名前を聞いた人には、本物の画面と見比べる手がかりがありません。一方で、名前を検索すれば、キプロスの当局の認可を受けた実在の会社であることはすぐに分かります。実在する名前ほど、それを借りたサイトも本物らしく見えやすいとみられます。
正規のアドレスはキプロスの当局の登録簿に1つだけ載っている
キプロス証券取引委員会(CySEC)の登録簿で正規のMatch-Primeの運営会社MTG LIQUIDITY Ltdを開くと、免許番号「390/20」の下の「Approved Domains」(承認済みのアドレス)に、www.match-prime.comだけが書かれています。
▼承認済みのアドレスと提供先の国を示すCySECの登録簿

出典:CySEC
EU域外でサービスを提供できる国の欄には、ベリーズやセーシェルなど7つの国と地域が並び、日本は入っていません。名前が本物でも、アドレスがこの登録簿にない取引サイトは、正規のMatch-Primeのものではありません。ただ、英語の登録簿を日本の利用者が開く機会は多くありません。
正規の契約は第三者や匿名の支払いを受け付けないと定めている
正規のMatch-Primeの顧客契約(Version 9 – October 2025)は、口座を使えるようにする最低の入金額を5,000米ドルと定め、入金と出金について次の決まりを置いています。
18.10. It is agreed and understood that the Company will not accept third party or anonymous payments in the Client Account and will not make withdrawals to any other third party or anonymous account.
▼第三者や匿名の支払いを受けないと定める正規の契約

出典:Match-Prime
「会社は、第三者や匿名の者からの入金を顧客の口座に受け付けず、第三者や匿名の口座へ出金もしない」という意味です。その都度指定される面識のない名義の口座への振込や、派遣された人への現金の手渡しはこの決まりと正反対です。個人は契約書まで読む機会がないため、名前だけで信じてしまいやすいとみられます。
実在の銀行の名前を添えると信用されやすいがBank of Americaは日本で個人向けの業務をしていない
matchprfxx.comのローンの注意書きは、冒頭にBank of Americaの名前を置いていました。そのBank of Americaは、日本向けのページで次のように注意を呼びかけています。
最近、バンク・オブ・アメリカやメリルリンチ(以下「当社グループ」といいます)の社員等を装う等して、投資の勧誘を行ったり、投資した資金の一部返金のための手続き費用と称して金銭を要求したりする等の詐欺的な行為等に関する事例が報告されています。当社グループのいかなる企業も、日本において個人顧客向け業務を行っておりません。現在、報告されている事例は、当社グループとは一切関係がありませんので、くれぐれもご注意いただきますようお願い申し上げます。
▼日本の個人向け業務はないとする銀行自身の注意喚起

出典:Bank of America
同じページは、LINEなどのSNSで投資を持ちかける団体とは一切関係がないとも明記しています。これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、日本の個人と取引していない銀行の名前は、添えられていても信用の根拠になりません。
【参考】
・Internet Archive-Match-Prime(2021年12月17日)(https://web.archive.org/web/20211217084443/https://match-prime.com/)
・Match-Prime-Client’s Agreement(https://cdn.prod.website-files.com/6a42c413d4bc6f1fc76a8533/6aa2c7a681abc8e582881575_clients-agreement.pdf)
・Bank of America-バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチを装った詐欺行為等にご注意ください(https://business.bofa.com/content/boaml/ja_jp/japan_overview/warning.html)
Match Primeを装う偽サイトの不審点を見抜く方法

相談者が立ち止まれた機会は、一度ではありませんでした。Facebookでの出会いから、取引サイトの名前、入金、出金、追加の支払い、資金の工面まで、やり取りの場面の順に確かめる点を6つ挙げます。各項目の下には、本件の調査で分かったことを短く記しました。
- 【出会い】SNSで知り合った相手にLINEへ誘われ、投資の話が出たらその時点で警戒する
- 金融庁は、FacebookなどのSNSからLINEへ移し、個人間のやり取りに持ち込む流れを主な手口に挙げています。
- 【取引サイトの名前】実在の業者の名前なら、その業者が個人を相手にしているかと、当局に届けたアドレスを確かめる
- 正規のMatch-Primeはプロと機関だけを顧客とし、届け出たアドレスはwww.match-prime.comだけでした。サイトには正規の業者の以前のロゴも使われていました。
- 【入金】振込先が自分とも業者とも関係のない名義なら払わない。人に現金を預ける入金にも応じない
- サイトは出金先を本人名義に限る一方、入金先は運営が設定する作りで、現金を受け取る項目はありませんでした。正規の契約も第三者からの支払いを受け付けません。
- 【出金】出金で凍結され保証金や手数料を求められたら、その名目がサイトの画面にあるかを確かめる
- 凍結を解く支払いの手順はプログラムにありませんでした。残高のある利用者に「実名認証の手数料」を課す一文だけが、文書のデータに用意されていました。
- 【追加の支払い】銀行や「国際的な規制当局」の名前を持ち出されたら、その機関自身の注意喚起を読む
- Bank of Americaは、日本で個人向けの業務を行っていないと明記しています。
- 【資金の工面】借り入れや物の売却をしてまで払うよう促されたら、用意する前に専門家に相談する
- 払えば戻るという説明を利用者の側から確かめる手段はありません。
どの場面でも、名前・振込先・支払いの名目がどこから来たものかを、相手の説明ではなく公式の資料で確かめることが大切です。サイトの名前とロゴは、半年前から動いている設定の上で付け替えられたとみられ、また変わるかもしれません。
すでに支払ってしまった場合も、振込の控え、現金を預けた日時と相手の特徴、LINEの画面を残しておいてください。そのうえで信頼できる第三者に事情を話し、専門家に相談して次の手を決めてください。
Match Primeを装う偽サイトに関する口コミや被害事例

この章では、本件の名前とアドレスでの口コミの有無、出金の段階で凍結や保証金を持ち出す手口についてのXの投稿、その手口を語って連絡を促す資産回収の投稿の3つを取り上げます。
Match Primeの名前やmatchprfxx.comでの被害の書き込みは見当たらない
「Match Prime」「マッチプライム」の名前と本件の5つのアドレスで、X(旧Twitter)・Yahoo!知恵袋・5ちゃんねる・爆サイ・被害の情報を集めるサイトなどを探しましたが、利用者が被害を書いた投稿や質問は見つかりませんでした。
「Match Prime」で検索して出てくるのは、正規のMatch-Primeの幹部の移籍を伝える業界のニュースや、同じ綴りの運動靴、ゲームの話題などです。同じ名前の話題がこれだけ多いと、仮に被害の投稿があっても検索の結果の奥に沈みやすくなります。
出金のときに保証金や凍結の解除を持ち出す手口を挙げるXの投稿
本件の名前は出てきませんが、Xでは出金を申し込んだ人に追加の支払いを求める手口を並べた投稿が見つかります。2026年10月4日の投稿は、出金の段階で言われる名目を次のように挙げています。
・税金が必要
・保証金が必要
・出金手数料が必要
・口座凍結解除費用が必要
・追加投資しないと出金できない
とか言われる場合あるたい。
投稿者自身の被害かどうかや、どのサイトでの話かは分かりません。それでも、保証金や凍結の解除といった、相談者が求められた名目がそろって挙げられています。名目が変わっても、出金の前にお金を払わせるという点は同じです。
凍結や保証金の手口を語って連絡を促す資産回収の投稿にも注意が要る
同じ時期のXには、「資産回収」を名乗るアカウントが、入金の後に口座が凍結され、税金や保証金を求められる流れを説明したうえで、心当たりのある人に連絡を促す投稿もありました。
被害に遭った人ほど、こうした投稿に助けを求めたくなります。しかし、返金や回収をうたう相手に新たにお金を払えば、被害がさらに広がるおそれがあります。回収や返金を持ちかける個人のアカウントに連絡する前に、弁護士など専門家に相談してください。
【参考】
・Xの投稿(https://x.com/1000000000JPY/status/2106498338665148778)
Match Primeを装う偽サイトに関する口コミが少ない理由

matchprfxx.comを含む5つのアドレスが取得されたのは2026年8月7日の早朝で、相談の時点で2か月余りしかたっていません。画面の記録もInternet Archiveやurlscan.ioに残っておらず、利用した人の体験談が口コミとして積み重なる前の段階とみられます。
「Match Prime」と打てば正規のMatch-Primeの業界ニュースや同じ綴りの運動靴が上に並び、matchprfxxのような意味を持たない綴りは覚えて打ち込みにくいものです。名前とアドレスのどちらからも、被害の投稿に行き当たりにくいとみられます。
相談者と相手の会話は、FacebookからLINEの1対1のトークへ移ってから進んでいます。金融庁が説明する「個人間のやり取りに持ち込もう」とする手口のとおり、被害の中身は当事者の画面の中にとどまり、サイトの名前とともに口コミとして積み重なりにくいと考えられます。
見つかる口コミの数で、サイトの安全を測ることはできません。表に出る前の段階で被害が進んでいる可能性もあります。凍結の解除や手数料の名目で支払いを求められたり、現金を人に預けるよう言われたりしたときは、応じる前に専門家に相談してください。
