今回の相談は、LINEのやり取りの中で、株の取引先として「FIVESTAR」のサイトを案内されたのが始まりです。金融庁も、投資した利益を引き出すには保証金などを払えと言われたという相談を、詐欺の相談事例に挙げています。
相談者はtrade.fivestar-am.comで株を買い、相手の指定した口座へ振り込みました。ところが出金しようとすると、「カスタマーサービス」の画面で、銀行のリスク管理を理由に高額の保証金を求められています。
調べると、ログイン画面の登録番号は正規のファイブスター投信投資顧問のものでしたが、正規の会社は株の売買を扱う登録を受けていませんでした。保証金を求めた窓口は、FIVESTARのサイトのプログラムに書き込まれた窓口でした。
本記事では、ログイン画面の登録番号と画像を、正規の会社と金融庁の公開情報に照らし合わせた結果について弁護士が解説します。窓口から保証金の支払いを持ちかけられたら、振り込む前に何を見ればよいかもあわせて取り上げます。
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトに関するトラブルの概要

相談者はLINEで「FIVESTAR」という取引先を案内され、株の取引サイト(trade.fivestar-am.com)で株を買いました。ところが、利益を引き出そうとした段階で、窓口から保証金を先に支払うよう求められています。
この章では、サイトの画面、名前を使われた正規のファイブスター投信投資顧問の事業と注意喚起、金融庁の相談事例を順に確かめ、サイトが示す社名を信じてよいかを見ていきます。
trade.fivestar-am.comはファイブスター投信投資顧問の名前と登録番号を掲げる株の取引サイト
trade.fivestar-am.comをスマートフォンで開くと、日経平均とTOPIXの値動きの下に「新規公開株」「OTC大口取引」「PTS」のボタンが並びます。その下には人気株として、日本の上場銘柄が銘柄コードと株価つきで表示されます。
▼日本株の相場と取引のボタンを並べるトップ画面

出典:trade.fivestar-am.com
ログイン画面の下には「登録・加入協会等」として、金融商品取引業者の登録番号と日本証券業協会の名前が書かれています。その下に置かれた画像には「ファイブスター投信投資顧問株式会社」の社名とロゴが入っています。
名前と登録番号がそろって見えても、そのサイトが正規の会社のものとは限りません。登録番号の持ち主と画像の出どころは、後の章で金融庁の一覧と正規の会社の公式サイトに照らして確かめます。
正規のファイブスター投信投資顧問は投資信託の運用会社で個人が株を売買する口座を扱っていない
正規のファイブスター投信投資顧問は、公式サイト(fivestar-am.co.jp)の会社概要で、事業内容を次の3つと示しています。
投資運用業(投資信託委託業、投資一任業)
投資助言・代理業
第二種金融商品取引業
▼投資運用業などの事業と加入協会を示す正規の会社概要

出典:ファイブスター投信投資顧問
投資信託を作って運用するのが中心の事業で、公式サイトに個人が株を売り買いする口座の案内はありません。投資助言のページにも「当社の投資助言業務は特定投資家様向けサービスであり、個人投資家様にはサービス提供しておりません。」と書かれています。
正規のファイブスター投信投資顧問によって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。個人に口座を開かせて株を売買させる仕組みは、正規の会社が示す3つの事業のどれにも当てはまりません。
正規の会社も当社名を無断で利用した投資詐欺サイトへの注意を呼びかけている
正規のファイブスター投信投資顧問は、2026年10月5日に更新した文書「当社名を無断で利用した投資詐欺サイトにご注意ください」を公式サイトのお知らせに載せています。冒頭の赤字の文は次のとおりです。
現在、当社名を装い、偽広告・SNS を通じてビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)への入金や投資勧誘を行う詐欺事案が確認されています。
当社は、ビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)の取引勧誘や入出金の代行などのサービスは一切提供しておりません。
▼当社名を無断で利用した詐欺への正規の会社の注意喚起

出典:ファイブスター投信投資顧問
文書が例に挙げているのは暗号資産の勧誘で、株の取引サイトには触れていません。それでも、正規の会社自身が、自社の名前を使った投資詐欺が起きていると公表しています。文書は、不審なサイトで入金してしまった場合の相談先として、警察相談専用電話の「#9110」の番号も挙げています。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、名前を見て安心するのではなく、案内されたアドレスが正規の会社のものかを先に確かめる必要があります。
出金の前に保証金を払わせる手口を金融庁が相談事例に挙げている
金融庁の金融サービス利用者相談室は、投資詐欺の相談事例の1つ目に、SNSで知り合った人に誘われて投資した人の相談を挙げています。
SNSを通じて知り合った人から誘われ投資をしたが、儲けを引き出せない。引き出すには手数料等(保証金、税金、認証料)を払えと言われている。
▼引き出すには保証金などを払えと言われた金融庁の相談事例

出典:金融庁
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、相談者も画面に表示された資金を引き出す条件として、本人名義の口座から保証金を払うよう求められました。
画面の残高を受け取る前にお金を足すよう言われた時点で、手続きを進めるのをいったん止めてください。払えば戻るという説明を確かめる手段は利用者の側にないため、支払う前に専門家に相談することをおすすめします。
【参考】
・FIVESTAR(https://trade.fivestar-am.com/)
・ファイブスター投信投資顧問-会社概要(https://www.fivestar-am.co.jp/company/about/)
・ファイブスター投信投資顧問-投資助言業務(https://www.fivestar-am.co.jp/advice/)
・ファイブスター投信投資顧問-【注意喚起】当社名を無断で利用した投資詐欺サイトにご注意ください(https://www.fivestar-am.co.jp/wpfsam/wp-content/uploads/company/oshirase_20261005.pdf)
・金融庁-投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトへ誘導され被害につながるまでの経緯

この章では、相談者がLINEで取引先を案内されてから保証金を求められるまでの流れを、株を買って入金した場面、出金しようとした場面、支払いを迷った場面の3つに分けてたどります。
LINEで案内されたtrade.fivestar-am.comで株を買い銀行振込で入金した
相談者はLINEのやり取りの中で、相手から取引先として「FIVESTAR」のサイト(trade.fivestar-am.com)を案内されました。相談者は、このサイトでファイブスターのネット株を買わされたと話しています。
株を買うためのお金は、相手が指定した口座へ銀行振込で入れています。サイトの入金の画面は振込先の口座を示さず、口座情報は「オンラインカスタマーサービス」に問い合わせるよう案内しています。
出金しようとするとカスタマーサービスの画面で高額のセキュリティ保証金を求められた
相談者が株の取引口座から出金しようとすると、「カスタマーサービス」の画面(pv3p.qbchat.cc)に、出金を処理できないという説明が出ました。理由は、銀行の側でリスク管理上の問題が見つかったためとされています。
そのうえで画面は、本人名義の銀行口座から高額のセキュリティ保証金を支払うよう求めていました。出金しようとした相談者が受け取ったのは預けたお金ではなく、さらに払うべき金額の案内でした。
保証金を払えば出金資金と合わせて返すと説明されたが支払う前に立ち止まった
画面では、保証金の支払いと審査が終われば、保証金を出金の資金と合わせて返すと説明されていました。相談者は、払えば本当にお金が戻るのか、実際には出金できないのではないかと考え支払う前に相談しています。
LINEで案内されたサイトで株を買って入金し、口座の資金を引き出そうとした段階で、後で返すと約束される保証金を新たに求められました。入金したお金を引き出せず、さらに払うよう迫られる段階で相談者は立ち止まっています。
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトの関連サイトの情報を調査した結果

この章では、trade.fivestar-am.comのドメインがいつ取得されたかを登録情報(RDAP)で確かめ、ログイン画面の登録番号を金融庁の一覧で照会し、保証金を求めた窓口のアドレスを調べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アドレス | trade.fivestar-am.com |
| 名乗る名前 | FIVESTAR(ログイン画面の画像には「ファイブスター投信投資顧問株式会社」) |
| 取得日時 | 2026年7月5日 17時52分(日本時間) |
| 登録を扱った事業者 | Cloudflare, Inc. |
| 名乗る登録 | 関東財務局長(金商)第2266号/日本証券業協会(ログイン画面) |
| 登録番号の持ち主 | ファイブスター投信投資顧問株式会社 |
| 保証金を求めた窓口 | pv3p.qbchat.cc(画面の名前は「カスタマーサービス」) |
| 運営会社・所在地の表示 | 画面にも個人情報保護方針にもなし |
| 正規の会社のアドレス | fivestar-am.co.jp |
fivestar-am.comは2026年7月に取得され正規の会社のアドレスとは末尾が違う
登録情報で取得の記録にあたる「registration」の行には「2026-07-05T08:52:09Z」と書かれています。Zの付いた時刻は協定世界時なので、fivestar-am.comの取得は日本時間で7月5日の17時52分です。
▼7月5日の取得を示すfivestar-am.comの登録情報

出典:rdap.verisign.com
正規の会社のアドレスはfivestar-am.co.jpで、「fivestar-am」の部分までは同じです。違うのは末尾だけで、偽サイトは「.co.jp」ではなく「.com」を使い、その中の「trade.」から始まるアドレスだけを取引の画面にあてています。
一方、プログラムを調べたところ、サイトが表示するお知らせのデータは日本取引所グループのニュースを自動で取り込んだもので、最も古い記事の日付は2024年7月5日でした。アドレスが用意される2年前から同じ仕組みが動いていたとみられます。
名乗る登録番号を金融庁の一覧で引くと第一種金融商品取引業の登録がない正規の会社が出てくる
ログイン画面の「関東財務局長(金商)第2266号」を、金融庁の「金融商品取引業者登録一覧」(令和8年8月31日現在)で確認すると、持ち主はファイブスター投信投資顧問株式会社です。業務の種別は第二種・投資助言・代理業・投資運用業に「○」が付いています。
▼第一種の欄が空いている第2266号の金融庁の登録一覧

出典:金融庁
「第一種」の欄は空いています。第一種金融商品取引業は、証券会社が株などの売買を取り次ぐために受ける登録です。同じページの1つ上の行の証券会社には、第一種の欄にも「○」が付いており、見比べると違いが分かります。
一覧の冒頭には「※一覧に掲載されていない金融商品取引業者との取引は行わないようにしてください。」とあります。番号が一覧に載っていても、その番号の持ち主が名乗る業務の登録を受けているかまで見なければ、確かめたことにはなりません。
保証金を求めた窓口のqbchat.ccは名前ごとに別の窓口を出すチャットのシステム
保証金を求めた窓口のアドレスpv3p.qbchat.ccのうち、qbchat.ccは2025年7月11日に取得されています。pv3pを開くと、題は「カスタマーサービス」で、「尊敬する機関会員様、何かお手伝いできることがございますか」という挨拶が出るだけです。
この窓口の画面には、FIVESTARの名前もファイブスターの社名も出てきません。qbchat.ccの別のサブドメインはurlscan.ioに「SDX service support」という別の題の画面が記録されており、サブドメインごとに別の名前の窓口を出す仕組みとみられます。
この窓口がFIVESTARのサイトとつながっていることは、窓口の画面だけでは分かりません。サイトのプログラムがこの窓口を開く作りであることは次の章で取り上げます。
このほか、外部のサービスや公的な検索で調べた結果は次のとおりです。
- Googleのセーフブラウジングで調べると、trade.fivestar-am.comにもpv3p.qbchat.ccにも危険なサイトとの判定は出ていない(判定がないことは安全の根拠にならない)
- Internet Archive や urlscan.io に、trade.fivestar-am.comの画面の記録は見つからなかった
- 金融庁の金融事業者一括検索で「FIVESTAR」と引くと、無登録で勧誘したとして警告を受けた名前の似た海外の業者が2社出てくるが、本件のサイトと同じ業者かは確認できなかった
登録番号が書かれていたら、番号だけでなく持ち主の社名と業務の種別まで金融庁の一覧で照らし合わせてください。食い違いが一つでも見つかったら入金を止め、専門家に相談して次の手を決めてください。
【参考】
・rdap.verisign.com-fivestar-am.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/fivestar-am.com)
・tld-rdap.verisign.com-qbchat.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/qbchat.cc)
・FIVESTAR-お知らせのデータ(https://trade.fivestar-am.com/api/v1/cms/cms/info/list)
・カスタマーサービス(https://pv3p.qbchat.cc/)
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトに関する不審点

この章では対象サイトに関する不審点として、ログイン画面の登録番号、ログイン画面の画像、窓口へのつなぎ方、出金と入金の手続き、大口取引の契約書の見本、個人情報保護方針の6点を取り上げます。取り上げる6点は、2026年10月16日にサイトを開き、画面とプログラムの両方で確かめています。
6点に共通するのは、正規の会社や別の会社の名前・画像・文章を借りて組み立てられ、お金の受け渡しは窓口とのやり取りに任されていることです。サイトの見た目は本物らしく整えられていますが、名乗る会社が運営していることを示すものは一つもありません。
ログイン画面の登録番号は正規の会社のもので表示された加入協会とも食い違う
ログイン画面の下には、「登録・加入協会等」の見出しに続けて次の一行が書かれています。この部分は、ログインの前から表示されています。
金融商品取引業者/関東財務局長(金商)第2266号/日本証券業協会
▼正規の会社の登録番号と日本証券業協会を掲げるログイン画面

出典:trade.fivestar-am.com
前の章で見たとおり、第2266号は正規のファイブスター投信投資顧問の番号です。ところが正規の会社が加入する協会は、会社概要によると一般社団法人資産運用業協会だけで、日本証券業協会には入っていません。
株の売買を取り次ぐ業務は第一種金融商品取引業にあたり、正規の会社はその登録を受けていません。番号は本物でも、株の取引サイトを開く根拠にはならず、添えられた協会の名前とも食い違っています。
ログイン画面の画像は正規の会社の公式サイトの共有用の画像を縮小したもの
ログイン画面の下の画像(/assets/xy-B9AsiJwp.png)は、横738・縦387の大きさです。親指を立てた手の写真に赤と灰色の三角、「FIVESTAR」のロゴと社名が重ねてあります。
正規の公式サイトには、SNSでリンクを共有したときに表示する画像(/wpfsam/wp-content/uploads/ogp.png)が置かれています。横1200・縦630の大きさで、絵柄は偽サイトの画像と同じです。
▼偽サイトのログイン画面の画像と正規の会社の共有用の画像

出典:trade.fivestar-am.com/ファイブスター投信投資顧問
正規の画像を偽サイトの大きさまで縮小して画素の色を比べると、差は255段階の平均で2に満たない程度でした。正規の会社の画像を縮めて、そのまま使ったものとみられます。
保証金を求めた窓口はサイト自身が開く仕組みで利用者の総資産も一緒に渡されていた
サイトのマイページには「カスタマーサービス 24時間対応」のボタンがあります。プログラムを調べたところ、このボタンは窓口のアドレス「https://pv3p.qbchat.cc/?hide_close=1」を開く作りでした。
▼窓口のアドレスと総資産を渡す取引画面のプログラム

出典:trade.fivestar-am.com
相談者が保証金を求められた窓口は、FIVESTARのサイト自身が案内している窓口です。前の章のとおり窓口の画面に名前は出ませんが、サイトのプログラムがこのアドレスを開くことで両者がつながります。
ログインしている人がボタンを押すと、利用者の番号・氏名・電話番号・メールアドレスに加えて、口座の総資産(totalAssets)もアドレスに付けて窓口へ渡されます。窓口の担当者は、利用者が口座にいくら持っているかを見ながら対応できる作りです。
保証金や出金の審査の手続きはサイトのプログラムに見当たらない
サイトのプログラム(JSのファイル55本)を調べても、保証金を預けさせる画面や、リスク管理を理由に出金を止める画面はありません。出金は口座と金額を選んで送るだけで、送った後には次の文言が出る作りです。
提出が成功しました。カスタマーサービスが対応いたしますので、1ー3営業日で入金予定です
この文言はログインした後に出るため、プログラムそのものを取得して中身を読んで確かめました。出金のお金を送るのはサイトの仕組みではなく、窓口の担当者だという説明です。
入金の画面も、振込先の口座を示しません。「振込の口座情報はオンラインカスタマーサービスまでにお問い合わせ下さい」と案内し、振り込んだ後に明細の写真を上げさせる作りです。
▼振込の口座情報を窓口に問い合わせるよう促す入金画面

出典:trade.fivestar-am.com
入金も出金も窓口の手作業で進み、保証金を払う段階はサイトの仕組みのどこにもありません。出金を止めて保証金を求めた説明は、サイトの手続きではなく窓口のやり取りの中で出てきたものとみられます。
大口取引の契約書の見本は別の会社宛てで取引所や協会の名前の印が並んでいる
大口取引(OTC)の画面は「依頼書をダウンロード」させ、署名した依頼書の写真を上げると「審査待ちです」と表示する作りです(ログイン後の画面のため、プログラムそのものを取得して確認)。見本の画像(/assets/contract-B1tvsoGF.jpg)は、ログインしなくても開けます。
▼別の会社宛てで取引所などの印が並ぶ依頼書の見本

出典:trade.fivestar-am.com
書式は「特例上場株式等保管委託等依頼書」で、宛先はFIVESTARでも正規の会社でもない別の会社名、日付は2024年9月7日です。右下にはJPX・TSE・JSDAの欄が並び、それぞれ朱色の印が押されています。
この書式の根拠として見本が挙げる政令の附則は、2016年の1年間に限り、手元の公社債などを自分の特定口座に移すための届出を定めたものです。大口取引の契約に使う書類ではありません。日本取引所グループは、パンフレットで次のように明記しています。
当社が株式、債券、デリバティブ等の取引を個人のお客様と直接行うことはありません!
▼個人と直接取引しないと明記する日本取引所グループのパンフレット

出典:日本取引所グループ
個人情報保護方針は楽天グループの方針の社名をFIVESTARに置き換えたもの
ログインせずに開ける個人情報保護方針は、「FIVESTAR(以下「FIVESTAR」といいます。)は、多種多様なサービスを提供しています。」という一文で始まります。会社の正式な名前も所在地も、どこにも書かれていません。
本文の「FIVESTAR」を「楽天」に戻すと、楽天グループの個人情報保護方針とほとんど同じ文章になります。「FIVESTAR会員情報管理」は楽天の方針の「楽天会員情報管理」にあたり、移転先の国の例「アメリカ、シンガポール、インド等」もそのまま残っています。
▼同じ段落が並ぶ偽サイトと楽天グループの個人情報保護方針

出典:trade.fivestar-am.com/楽天グループ
ほかの会社の文書を社名だけ差し替えた方針では、誰が個人情報を預かるのかが分かりません。氏名や電話番号、銀行口座を登録する前に、個人情報を預かる会社がどこの誰なのかを方針の中で探してください。
【参考】
・FIVESTAR-ログイン(https://trade.fivestar-am.com/pages/user/login)
・FIVESTAR-ログイン画面の画像(https://trade.fivestar-am.com/assets/xy-B9AsiJwp.png)
・ファイブスター投信投資顧問-共有用の画像(https://www.fivestar-am.co.jp/wpfsam/wp-content/uploads/ogp.png)
・FIVESTAR-取引画面のプログラム(https://trade.fivestar-am.com/assets/pages-trade-index-index.customer-name-v4.js)
・FIVESTAR-入金(https://trade.fivestar-am.com/pages/trade/transfer/transfer)
・FIVESTAR-依頼書の見本(https://trade.fivestar-am.com/assets/contract-B1tvsoGF.jpg)
・FIVESTAR-個人情報保護方針(https://trade.fivestar-am.com/pages/user/agreement/agreement)
・楽天グループ-個人情報保護方針(https://privacy.rakuten.co.jp/)
・日本取引所グループ-JPXグループ各社を装った投資詐欺発生中!(https://www.jpx.co.jp/corporate/learning/resources/tvdivq0000003toh-att/JPX_sagichui.pdf)
ファイブスター投信投資顧問の名前が偽サイトの勧誘に悪用されやすい理由

この章では、ファイブスター投信投資顧問という名前が株の取引サイトに持ち出されやすい理由を、金融庁の一覧での見え方、公式サイトの画像、ファンドの買い方、取引所や協会の名前との組み合わせの4つから考えます。
名前と登録番号で金融庁の一覧を引くと実在の登録業者として表示される
正規のファイブスター投信投資顧問は、金融庁の一覧によると平成21年10月20日から登録を受けている業者です。サイトに書かれた社名や第2266号で調べると、本物の登録業者としてきちんと出てきます。
この「確かに載っている」という手応えが、偽サイトにとっては都合のよい材料になります。調べた人がそこで安心してしまうと、一覧の同じ行にある業務の種別や、別の資料に書かれた加入協会までは見比べずに終わりがちです。
実在の登録業者の名前と番号を借りれば、調べる人ほど信じてしまう形を作れます。番号の持ち主だけでなく、その業者が何の業務の登録を受けているかまで見る必要があります。
公式サイトの共有用の画像を使えば正規の会社の案内と見分けがつきにくい
正規の会社の共有用の画像は、公式サイトのページがSNSやメッセージで共有されたときに、リンクの見出しとして表示されるものです。会社の案内やお知らせのリンクを見たことがある人は、この絵柄を目にしているとみられます。
偽サイトはこの画像を縮めてログイン画面に置いていました。見覚えのある絵柄がそのまま出てくると、画面が正規の会社のものだと思い込みやすくなります。画像は誰でも開ける場所に置かれているため、持ち出すのに手間はかかりません。
正規の会社のファンドは販売会社を通じて買う仕組みで会社と直接やり取りする場面がない
正規の会社のファンドは、証券会社や銀行などの販売会社を通じて買う仕組みです。ファンドのページには販売会社の一覧が並び、申込みの際の書面も販売会社から渡すと書かれています。
取得のお申込みの際は、販売会社から投資信託説明書(交付目論見書)をあらかじめまたは同時にお渡ししますので、必ず内容をご確認の上、投資に関してはご自身でご判断ください。また、あらかじめ交付される契約締結前交付書面などの内容もご確認ください。
▼ファンドを扱う販売会社が並ぶ正規の会社のページ

出典:ファイブスター投信投資顧問
個人の投資家が運用会社のサイトで口座を開いたり、運用会社と直接お金をやり取りしたりする場面は、ふだんはありません。そのため、「運用会社の取引サイト」と言われても、本来の形と違うことに気づきにくいとみられます。
正規の会社の名前に取引所や協会の名前を添えると公的な手続きのように見える
本件の依頼書の見本は、正規の会社の名前を掲げるサイトの中に置かれ、日本取引所グループや日本証券業協会を思わせるJPX・TSE・JSDAの欄と印が並んでいました。運用会社の名前に取引所の名前が重なると、書類は公的な手続きの一部のように見えます。
日本取引所グループは、自社の名前を使う偽のサイトやメッセージについて、次のように注意を呼びかけています。
(前略)
JPXグループ各社または各社の役職員は、こうした偽サイト/アプリ及びメール等とは一切関係はありません。アクセス等を行った場合、被害を受ける恐れがありますので、ご注意ください。
▼偽サイトとは一切関係がないと示す日本取引所グループの注意喚起

出典:日本取引所グループ
取引所や協会の名前や印は、書類が本物であることの証明にはなりません。署名や写真の提出を求められたら、その前に専門家に相談し、書類の宛先と名乗る会社が一致しているかを確かめてください。
【参考】
・ファイブスター投信投資顧問-MASAMITSU日本株戦略ファンド(https://www.fivestar-am.co.jp/fund/hansoku3/)
・日本取引所グループ-[注意]偽サイト、SNSや投資詐欺等にご注意ください!
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトの不審点を見抜く方法

trade.fivestar-am.comに出てくる名前は、運営する者の名前ではなく、ほとんどがよそから借りてきたものでした。正規の会社の社名と登録番号、公式サイトの画像、取引所や協会の略称、楽天グループの方針の文章、窓口の「カスタマーサービス」です。
そこで、借りてきた名前ごとに、どこを見れば持ち主と食い違うかを6項目にまとめました。それぞれの下に、本件のサイトで実際に見つかった食い違いを添えています。
- 【会社の名前】名乗る会社の公式サイトのアドレスと、案内されたアドレスを1文字ずつ比べる
- 正規の会社はfivestar-am.co.jp、案内されたのはtrade.fivestar-am.comでした。「fivestar-am」までは同じでも、末尾が「.co.jp」か「.com」かで持ち主はまったく別になります。
- 【登録番号と協会の名前】番号を金融庁の一覧で確認し、持ち主の業務の種別と加入協会まで照らし合わせる
- 第2266号の持ち主は正規の会社でしたが、株の売買を扱う第一種の登録はなく、加入協会も日本証券業協会ではありませんでした。番号が載っていることだけで安心しないでください。
- 【画像】公式サイトと同じ画像やロゴが出てきても、本物の証拠として数えない
- ログイン画面の画像は、正規の会社がSNSでの共有のために公開している画像を縮めたものでした。公開されている画像は誰でも持ち出せます。
- 【取引所・協会の名前】印や略称の入った書類に署名を求められたら、宛先と名乗る会社が同じかを見る
- 依頼書の見本は別の会社宛てで、JPX・TSE・JSDAの欄に印が押されていました。日本取引所グループは、株式などの取引を個人と直接行うことはないと明記しています。
- 【文書の名前】規約や個人情報保護方針に、運営会社の正式な名前と所在地があるかを探す
- 方針は楽天グループの方針の社名を「FIVESTAR」に置き換えたもので、会社の名前も所在地も書かれていませんでした。
- 【窓口の名前】出金の前にお金を求めてくる窓口が、何という名前の誰なのかを確かめる
- 保証金を求めたのは、FIVESTARの名前が出ない「カスタマーサービス」の窓口でした。払えば返すと言われても、その約束を守る相手がどこの誰か分からないなら、払う前に専門家に相談してください。
正規のサイトと1か所でも食い違えば、それ以上の振込はやめてください。窓口のやり取りやサイトの画面は、相手の都合で消えることがあります。保証金を求められた画面、振込の明細、LINEのやり取りを手元に保存し、信頼できる第三者と一緒に次の手を考えてください。
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトに関する口コミや被害事例

この章では、本件のサイトについての口コミの有無、正規の会社の名前が以前にも別の業者に使われていた記録、出金の段階で高額の支払いを求められた国民生活センターの事例の3つを紹介します。
FIVESTARやtrade.fivestar-am.comの名前での口コミは見つからなかった
2026年10月16日の時点で、X(旧Twitter)、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる等を調べましたが、trade.fivestar-am.comのアドレスや「FIVESTAR」の取引サイトについての投稿や質問は確認できませんでした。
Yahoo!知恵袋で「ファイブスター」の名前が出てくる質問は、スキューバダイビングの店、結婚式場、旅行会社など、業種の違う同じ名前の事業者についてのものが中心でした。本件の被害の書き込みがあったとしても、同じ名前の別の話に埋もれやすい状態です。
正規の会社の名前は2015年にも別の業者が名乗っていた
一般社団法人日本投資顧問業協会(現在の資産運用業協会)は、平成27年3月9日、「株式会社投資顧問ファイブスター」を名乗る業者について注意を呼びかけていました。
最近、「株式会社投資顧問ファイブスター」と名乗り、メールにより、銘柄レポート等の購入勧誘が行われているとの情報が寄せられています。
金融商品取引業登録をしている当協会会員の「ファイブスター投信投資顧問株式会社」(登録番号:関東財務局長(金商)第2266号)は、銘柄レポート等の購入勧誘は一切行っておらず、こうした業者とは関係ありません。
▼投資顧問ファイブスターを名乗る業者への協会の注意喚起(2015年)

出典:資産運用業協会
これはメールで銘柄レポートを売りつける11年前の別の手口で、本件と同じ案件ではありません。それでも、同じ社名と同じ第2266号が形を変えて勧誘に持ち出されてきたことが分かります。
出金の手数料を求められ業者の公式サイトの注意喚起で気づいた事例
国民生活センターが2026年9月1日に公表した注意喚起には、著名人のアシスタントを名乗る人物の案内で未公開株のデイトレードを続けた人の相談が載っています。
(前略)
もうけが出たので出金を希望したところ、約1,100万円の手数料を請求されて不審に思った。アシスタントが勤務しているとされた金融商品取引業者の公式サイトを確認したところ、詐欺に関する注意喚起が掲載されていた。
(後略)
▼出金時に手数料を求められた国民生活センターの相談事例

出典:国民生活センター
商品は未公開株で、求められた名目は手数料と本件とは違う点があります。一方で、出金を希望した段階で高額の支払いを求められたことと、名前を使われた業者の公式サイトに注意喚起があったことは、本件と重なります。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、この相談者は、請求された手数料を払う前に、名前を使われた業者の公式サイトを自分で開いて詐欺に気づいています。会社の公式サイトは、支払いを決める前に開いてください。
【参考】
・資産運用業協会-「株式会社投資顧問ファイブスター」を名乗る業者に関する注意喚起
・国民生活センター-SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?金融商品・サービスのトラブルにご注意!
ファイブスター投信投資顧問を装う偽サイトに関する口コミが少ない理由

fivestar-am.comが取得されたのは2026年7月で、サイトの画面を保存した第三者の記録も見つかりませんでした。相談者がアドレスを知ったのも、LINEのやり取りの中です。同じ画面を見た人は限られるとみられ、後から見返す記録もないため、書き込みが集まらず口コミとして積み重なりにくい状態です。
また、保証金を求められたのは、FIVESTARの名前が出てこない「カスタマーサービス」の窓口でした。被害に遭った人が書き込んでも、窓口の名前やアドレスで書けば、サイトの名前とは結びつきません。同じ被害の話でも別々の書き込みに分かれ、まとまった口コミになりにくいとみられます。
さらに、「FIVESTAR」や「ファイブスター」は、ダイビングの店や結婚式場、旅行会社などにも使われるありふれた名前です。調べると正規の会社の案内や別の事業者の話が先に並ぶため、本件のサイトについての書き込みがあっても、ほかの話に埋もれて見つけにくくなります。
ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。正規の会社の名前と登録番号が書かれていても、出金の前に保証金を求められた時点で支払いを止め、画面と振込の明細を残して専門家に相談してください。

