警察庁は、投資用アプリ等の画面上で利益が上がっているように見せかけたり、当初は払い戻しに応じたりして信用させ、さらに現金を求める手口に注意を呼びかけています。
今回相談が寄せられた「r4k6zd.flowtrader.site」は、実在の会社「Flow Traders」の名前とロゴを掲げた株取引のアプリです。投資の勉強会で勧められた相談者は、指定の口座への振込や現金の手渡しで資金を渡した末に、出金を申し込んでも理由をつけて拒まれました。
調べると、プログラムに運営側の管理画面の説明文が入っており、保有株の売却のボタンを止める機能やローンを理由に出金を止めて管理者だけが許可できる仕組みが書かれていました。実在のFlow Tradersは、投資家からお金を受け取らないと明言しています。
勉強会での勧誘から出金を拒まれるまでをプログラムとドメインの記録、Flow Tradersと金融庁の公表資料でたどり、実在の会社の名前のアプリを勧められたときに確かめる先について弁護士が解説します。
Flow Tradersを装う偽サイトに関するトラブルの概要

今回の相談は、投資の勉強会で「Flow Traders」という株取引のアプリを勧められたことから始まりました。アプリの正体は「r4k6zd.flowtrader.site」というサイトで、指定の口座への振込や現金の手渡しで資金を渡したあと出金を拒まれています。
この章では、警察庁の資料、実在のFlow Tradersの告知、同社が日本で受けている登録の種類、r4k6zd.flowtrader.siteに欠けている情報を取り上げます。
投資用アプリの画面で利益を見せかける手口を警察庁が示している
警察庁は、SNS型投資詐欺の最近の特徴をまとめた資料の「注意点」で次のように述べています。
犯人は、投資用アプリ等の画面上で、利益が上がっているように見せかけたり、当初は利益の払い戻しに応じたりするなどして信用させることで、更に現金を要求してきます。
(後略)
▼アプリの画面で利益を見せかける手口を示す警察庁の資料

出典:警察庁
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、今回の相談でもアプリ上の総資産は増え続けていました。表示された利益は、出金できるまでは画面の上の数字にすぎません。数字が増えている最中に追加の入金を求められたら、そこで手を止めてください。
実在のFlow Tradersは投資家から取引の資金を受け取らないと告知している
Flow Tradersは、アムステルダムに本拠を置き、自社の資金で売買を行う会社です。公式サイトの「Brand Abuse」は、同社と関係があるように見せる情報や商標を使ったアプリ、SNSのアカウント、ウェブサイトが存在しうると認めたうえで次のように明記しています。
Flow Traders trades for its own risk and account only; we do not offer or provide any investment advice or services to any person. Accordingly, we do not accept monies from investors for trading purposes.
▼投資家からお金を受け取らないとするFlow Tradersの告知

出典:Flow Traders
自社の勘定だけで取引し、誰にも投資の助言やサービスを提供しないため、取引を目的として投資家からお金を受け取らないという宣言です。Flow Tradersの名前のアプリに資金を渡した今回の経緯とは両立しません。
告知は公式のサイトを「www.flowtraders.com」だけとしています。r4k6zd.flowtrader.siteが実在のFlow Tradersによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。
実在のFlow Tradersが日本で受けている登録は高速取引行為者だけ
金融庁の「高速取引行為者登録一覧」には、Flow Traders B.V.(関東財務局長(高速)第15号)と香港の関連会社(同第52号)が載っていますが、金融商品取引業者の登録一覧には名前がありません。金融庁は、この一覧の冒頭に詐称への注意を促す文を掲げています。
高速取引行為者を詐称する者に注意!
高速取引行為者が日本国内の一般の方へ投資勧誘を行うことは、法令上認められていません。
(後略)
▼一般の方への投資勧誘を認めないとする金融庁の一覧

出典:金融庁
金融事業者一括検索で「Flow Traders」と調べても、業種名は「高速取引行為者」と表示されます。
▼業種名が高速取引行為者と表示される検索結果

出典:金融庁
公式サイトの拠点の一覧にも、日本の事務所はありません。Flow Tradersの名前で日本の個人に株の売買を勧める話が来たら、この一覧の注意書きと照らし合わせてください。同様に、高速取引行為者を騙る勧誘にも注意が必要です。
flowtrader.siteはロゴのほかに運営者を示す情報を出していない
r4k6zd.flowtrader.siteを開くと、「FLOW TRADERS」のロゴの画像の下に入力欄と「新規登録」「会員ログイン」のボタンが並ぶだけです。ブラウザのタブに出る題名も空欄です。
▼FLOW TRADERSのロゴだけが目立つログイン画面

出典:r4k6zd.flowtrader.site
プログラムを調べたところ、画面の一覧に会社概要や利用規約のページはなく、日本語の言葉の一覧にも「利用規約」「会社概要」「運営会社」の語は1件もありませんでした。運営する会社の名前や所在地を載せる場所が最初から用意されていません。
実在のFlow Tradersは、年次報告書や公式サイトで会社名と所在地を公表しています。株の売買を勧めるアプリで運営会社の名前を確かめられなければ、入金する前に専門家に相談してください。
【参考】
・r4k6zd.flowtrader.site(https://r4k6zd.flowtrader.site/)
・警察庁-最近のSNS型投資・ロマンス詐欺の特徴について(令和7年4月末時点)
・Flow Traders-Disclaimer(https://www.flowtraders.com/disclaimer-1/)
・Flow Traders-Where We Operate(https://www.flowtraders.com/about-us/where-we-operate/)
Flow Tradersを装う偽サイトへ誘導され被害につながるまでの経緯

相談者がr4k6zd.flowtrader.siteを使い始めたのは、投資の勉強会で勧められたことがきっかけでした。アプリの利用開始から、振込と現金の手渡しによる送金、画面に表示された資産とVIPのランク、出金を拒まれるまでを順に見ていきます。
投資の勉強会でFlow Tradersの株取引アプリを勧められる
相談者は投資の勉強会に参加する中で、「Flow Traders」という株取引のアプリでの投資を勧められ利用を始めました。アプリの実体はブラウザで開くr4k6zd.flowtrader.siteで、口座を開く画面の最後の欄は「招待コードを入力してください」となっています。
▼招待コードの入力欄がある口座開設の画面

出典:r4k6zd.flowtrader.site
招待コードの欄は、誰の紹介で登録したかをサイトの側が把握するためのものです。講師から教わる立場にいると、紹介されたアプリをそのまま受け入れやすくなります。勉強会で勧められたアプリであっても、運営する会社が日本で登録を受けているかを自分で調べてから使ってください。
勉強会を受けながら指定の口座への振込と現金の手渡しを重ねる
相談者は勉強会の受講を続けながら、投資の名目で何度もお金を渡しています。渡し方は、相手が指定した銀行口座への振込と現金の手渡しでした。プログラムを調べたところ、アプリの中に入金先の口座を示す画面はなく、入金の窓口は担当者ごとのLINEへ移る作りでした。閉じたチャット経由の誘導は、XのDMからLINEグループで投資を勧められた事例でも確認されています。
現金を手で渡すと、振込と違って記録が残りにくく、後からお金の流れを追うことが難しくなります。投資の資金として現金を持参するよう求められたり、受け取りに来ると言われたりした時点で渡すのをやめてください。
アプリ上では総資産が増えVIPのランクも上がって見えていた
送金を重ねる間、アプリの画面では利益が出ているように表示され、総資産は相談者が渡した額を上回るまでに増えていました。会員のランクも「VIP2」と表示されていました。ランクが上がる表示は、実績が認められたように見えるため入金を続ける動機になりやすいものです。
ただし、資産やランクの数字がどのように決まっているのかは、利用者の側からは確かめられません。数字を決めているのが誰なのかは、後の章でサイトのプログラムを読みながら確かめます。
出金を申し込むと理由を変えながら拒まれ被害に気づく
相談者が画面上の資産を引き出そうと出金を申請したところ、さまざまな理由をつけて拒否されました。資産は画面の上にありながら、手元に戻すことはできなかったことになります。相談者はここで詐欺の被害にあっていることに気づき相談に至っています。
振り返ると、勉強会という学ぶ場での紹介、実在の会社の名前を掲げたアプリ、増えていく資産とランクの表示が重なり、指定の口座への振込と現金の手渡しが繰り返されたことが被害につながりました。
出金を断られたら、言われるままに追加の支払いや手続きに応じず専門家に相談してください。
【参考】
・r4k6zd.flowtrader.site(https://r4k6zd.flowtrader.site/register)
Flow Tradersを装う偽サイトの関連サイトの情報を調査した結果

ドメインの登録記録、証明書の発行記録、同じサーバーに置かれたアドレス、管理画面の入口、当局の公表資料を順に調べました。flowtrader.siteは2026年8月に取得されたばかりで、その直前には綴りが1文字違うflowtraders.siteが同じ形で用意されていたことが分かりました。
下の表は、flowtrader.siteと、実在のFlow Tradersが使う公式のドメインについて登録の記録を比べたものです。
| 項目 | flowtrader.site | flowtraders.com(実在のFlow Tradersの公式サイト) |
|---|---|---|
| 登録日時 | 2026年8月28日 10:26(日本時間) | 2003年2月25日 |
| 有効期限 | 2027年8月28日 | 2027年2月25日 |
| 登録機関 | GoDaddy.com, LLC | Cloudflare, Inc. |
| ネームサーバー | GoDaddy(domaincontrol.com) | Cloudflare |
| 記録の確認先 | RDAP(rdap.radix.host) | RDAP(rdap.verisign.com) |
flowtrader.siteは2026年8月に取得されたばかりのアドレス
flowtrader.siteがいつ取得されたかは、登録の記録を誰でも照会できるRDAPで分かります。記録された日時は2026年8月28日1時26分(世界標準時)で、日本時間に直すと同じ日の午前10時26分です。
▼flowtrader.siteの登録日時を示すRDAPの記録

出典:RDAP(rdap.radix.host)
実在のFlow Tradersの公式サイトflowtraders.comは2003年の登録で、23年以上の開きがあります。綴りを見比べると、公式は「flowtraders」、本件は「s」が1文字ない「flowtrader」です。似た名前のアドレスは、1文字ずつ公式サイトと照らし合わせてください。
取得の当日に管理画面用と6文字の名前10個の証明書がそろって発行された
証明書の発行は、誰でも検索できる記録に残る決まりになっています。その記録をCert Spotterという検索サービスで調べると、flowtrader.siteの取得と同じ8月28日に、次の名前を並べた1枚の証明書が発行されていました。
- 管理画面用とみられる「admin.flowtrader.site」
- 「r4k6zd」など、ランダムな6文字の名前10個
- 「flowtrader.site」そのもの
▼管理画面用と6文字の名前10個が並ぶ証明書の記録

出典:Cert Spotter
2026年10月2日に調べたところ、6文字の名前10個はどれも同じ画面と同じプログラムを返しました。相談者が案内されたr4k6zdはその1つで、同じサイトに入口が10個用意されている形です。どの入口が誰に案内されたのかは外からは分かりません。
1文字違いのflowtraders.siteが同じサーバーで8月初めから用意されていた
flowtrader.siteと同じIPアドレスのサーバーに置かれたアドレスを調べると、「s」の付いたflowtraders.siteと、そのadmin、6文字の名前10個が見つかりました。証明書は世界標準時の8月3日20時台(日本時間で8月4日早朝)にadmin、本体、6文字の名前の順で3枚出ています。
▼s付きのflowtraders.siteに8月3日に発行された証明書

出典:Cert Spotter
いまはflowtraders.siteを公開のDNSで引けません。それでも、調べたところ同じサーバーは今もこのアドレスあての接続に有効な証明書で応え、r4k6zd.flowtrader.siteと同じプログラムを返しました。
サイトが配信している日本株のニュースも、最も古いものは「8月9日」の日付でflowtrader.siteの取得より前です。同じ仕組みがアドレスを1文字替えて使い続けられているとみられます。
管理画面の入口が誰でも開けるアドレスに置かれている
「admin.flowtrader.site/admin」を開くと、中国語の簡体字で「管理后台」(管理画面)と書かれたログイン画面が表示されます。入力欄は「账号」(アカウント)、「密码」(パスワード)、「OTP」(使い捨ての認証コード)の3つです。
▼簡体字で管理后台と表示される管理画面の入口

出典:admin.flowtrader.site
この画面は、利用者向けのr4k6zd.flowtrader.siteと同じプログラムを読み込んでいます。そのため、運営側の画面の説明文まで利用者向けのファイルの中に入っています。日本語のアプリの画面だけを見ていても、運営側が中国語で作業する作りであることは分かりません。中身は次の章で取り上げます。
国内外の当局の警告一覧にflowtrader.siteはまだ載っていない
無登録で金融商品取引業を行う者として金融庁が名前を公表している一覧(令和8年9月25日更新)を「Flow」「flowtrader」で調べても、該当はありませんでした。
シンガポール、香港、マレーシアの金融当局が公表している警告の一覧にも、flowtrader.siteとflowtraders.siteは載っていません。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。
記録や判定の面では、次の点も確かめました。
- Googleのセーフブラウジングでr4k6zd.flowtrader.siteを調べると「データがありません」と表示され、危険の判定も出ていない
- ウェブページの保存サービスInternet Archiveにも、サイトの調査記録を公開するurlscan.ioにも、flowtrader.siteとflowtraders.siteの記録がない
- サイトのプログラムと画像の更新日時は、すべて2026年9月18日で同じ(何が変わったのかは分からない)
警告の一覧や危険サイトの判定に載るまでには、時間がかかることがあります。入金する前に、開いているアドレスが「www.flowtraders.com」かどうかを自分の目で確かめてください。
【参考】
・r4k6zd.flowtrader.site(https://r4k6zd.flowtrader.site/)
・admin.flowtrader.site(https://admin.flowtrader.site/admin)
・RDAP-flowtrader.site(https://rdap.radix.host/rdap/domain/flowtrader.site)
・Cert Spotter-flowtrader.site(https://api.certspotter.com/v1/issuances?domain=flowtrader.site&include_subdomains=true&expand=dns_names)
・Cert Spotter-flowtraders.site(https://api.certspotter.com/v1/issuances?domain=flowtraders.site&include_subdomains=true&expand=dns_names)
・Securities Commission Malaysia-Investor Alert List
Flow Tradersを装う偽サイトに関する不審点

ここでは該当サイトに関する不審点として、保有株の売却を止める機能、ローンと出金の関係、保有株を運営が増やす機能、「IPO」として並ぶ銘柄、利回りとVIPのランクの決まり方、日本以外に向けた作りの痕跡の6点を取り上げます。
いずれも、r4k6zd.flowtrader.siteで誰でも開けるプログラムのファイル(index-BsxGY8br.js)に書かれていることです。このファイルには利用者の画面の日本語に加えて、運営側の管理画面で使う中国語(簡体字)の説明文も入っています。
保有中は出金できないとしながら運営が売却のボタンを止められる
出金の画面の「出金に関する注意事項」には、最初の項目として次の一文が置かれています。ログイン後にしか表示されない画面なので、文言はプログラムを取得して確かめました。
保有中のポジションがある場合、出金はできません。
一方、運営側の管理画面には、銘柄を指定して全利用者の保有株を「ロック」する機能があり、次の説明文が付いています。
锁定后所有用户该 symbol 的持仓 平仓按钮 变灰不可点击,一键平仓也会跳过。可设到期自动解锁,也可随时手动解锁。
ロックすると、すべての利用者のその銘柄について決済(売却)のボタンが灰色になって押せなくなり、一括の決済からも外れるという意味です。ロックの長さは15分から7日のほか、「永久锁定(需手动解锁)」(手動で解除するまで続く)も選べます。
▼保有中の出金不可と売却ボタンのロックを示すプログラム

出典:r4k6zd.flowtrader.site
2つを合わせると、運営がロックをかけている間、利用者は保有株を売れず、保有株がある限り出金もできないことになります。今回の相談でこの機能が使われたかまでは分かりませんが、出金を止める道筋はプログラムの上に用意されています。
ローンが残ると出金できず出金の可否は運営が切り替えている
利用者の画面には「融資のお申し込み」と「信用スコア」の項目があり、出金を申し込んだときには次の文言が出る作りです。どちらもログインの後に出る文言で、出どころは同じプログラムです。
未完了の注文があるため、出金できません。
未返済のローンがあるため、出金できません。
運営側では、利用者ごとに「信用分」(信用スコア)と「信用贷款额度」(ローンの枠)を決めます。出金については、次の項目名と説明文があります。
管理员临时出金授权
即使存在贷款或未完成订单,也允许该用户出金
▼ローンが残ると出金できない文言と管理者の出金許可

出典:r4k6zd.flowtrader.site
「管理者による臨時の出金許可」という項目で、ローンや未完了の注文があっても、その利用者だけは出金を許可するという意味です。出金できるかどうかは、決まった条件ではなく管理者の判断で変わる作りです。
ローンの枠を決めるのも運営なので、「ローンを返せば出金できる」と言われても、その説明が正しいかを利用者の側から確かめる手段はありません。返済の名目で入金を求められたら、そのお金を渡す前に専門家の意見を聞いてください。
代金を引かずに保有株を増やすなど資産の表示を運営が作れる
管理画面には、利用者の保有株を運営の側で追加する「新增用户持仓」という機能があります。追加の際は、代金を利用者の残高から引くかどうかを選べ、引かない場合の説明は次のとおりです。
⚠️ 不扣款,直接增加持仓(相当于赠送)
代金を引かずに保有株をそのまま増やす、贈与にあたるという意味です。引く場合の説明にも「余额不足时可为负数」(残高が足りなくてもマイナスにできる)と書かれています。
▼代金を引かずに保有株を増やすとする管理画面の説明

出典:r4k6zd.flowtrader.site
ほかにも、利用者の残高を正の数でも負の数でも書き換えられる「用户资金调整」や、利用者が出した日本株の売買の注文を運営が承認して初めて成立させる作りがプログラムに書かれていました。
総資産の数字は、相場の動きだけでなく運営が入力した値でも変わる作りです。相談者の画面の総資産がどう作られたかまでは分かりませんが、画面の数字を根拠に入金を重ねないでください。
IPOとして募集している5銘柄はすでに上場している会社だった
r4k6zd.flowtrader.siteでは、IPO(新規公開株)の一覧をログインせずに取得できます。2026年10月2日の時点で並んでいたのは5銘柄で、申込の期限は10月15日と10月31日でした。
▼社名を伏せたIPOとして募集中の銘柄の一覧

出典:r4k6zd.flowtrader.site
5銘柄の社名と証券コードを、日本取引所グループが公表している上場会社の一覧(2026年8月末時点)と照らし合わせると、5銘柄ともプライム市場やスタンダード市場にすでに上場している会社でした。上場済みの株が、これから公開される株として募集されていることになります。
運営側では当選させる株数を入力でき、当選と同時に代金が引き落とされます。利用者向けには、次の通知文も用意されています。
申込が承認され、残高がマイナスになりました
▼当選で残高がマイナスになると知らせる通知の文言

出典:r4k6zd.flowtrader.site
当選させて残高をマイナスにし、その穴埋めとして入金を求める流れを組める作りです。今回の相談で使われたかは分かりませんが、サイトの「IPO」の銘柄は日本取引所グループの一覧で上場済みかどうかを確かめてください。
ETFの日々の利回りやVIPのランクまで運営が入力する作り
サイトには「Flow日本株ファンド」「Flow米国株ファンド」「Flowグローバル株ファンド」の3つのETFが用意されています。管理画面での説明は次のとおりです。
每只 ETF 的购买门槛和持有期限固定,每日收益率可由后台单独设置。用户不能主动卖出,到期后系统自动卖出并返还本金。
ETFごとに購入の下限と保有期間は固定で、日々の利回りは管理画面で個別に設定できる、利用者は自分では売れず、期限が来ると自動で売って元本を返すという意味です。VIPのランクにも、次の説明があります。
新用户默认 V0,最高 V5。用户端首页会同步显示。
▼日々の利回りとVIPのランクを運営が決める説明

出典:r4k6zd.flowtrader.site
あとの説明は、新しい利用者はV0から始まり、最高はV5で利用者側のトップページにも反映されるという意味です。相談者のアプリに表示された「VIP2」は、運営が管理画面で選んだ値とみられます。利回りもランクも、実在のFlow Tradersの商品や会員の制度を示すものではありません。
マレーシアの通貨やマレー語を残したプログラムを日本株向けに作り替えた跡
プログラムを調べたところ、画面の言葉の一覧はマレー語、英語、中国語と日本語で用意されていました。通貨を円に直すための表には、マレーシア・リンギット(MYR)と香港ドル(HKD)が並んでいます。
▼マレーシアの通貨が残る円への換算の表

出典:r4k6zd.flowtrader.site
画面に出す前に「RM」「MYR」「HKD」を「JPY」に置き換える処理や、香港株とマレーシア株の取引を履歴から外す処理もありました。日本以外の国に向けて作られたものを、日本株向けに作り替えた可能性があります。
名前やロゴは、こうした仕組みに後から差し込める部品にすぎません。アプリの見た目や名乗る会社の名前ではなく、運営する会社が日本で登録を受けているかで判断してください。
【参考】
・r4k6zd.flowtrader.site-index-BsxGY8br.js(https://r4k6zd.flowtrader.site/assets/index-BsxGY8br.js)
・r4k6zd.flowtrader.site-IPOの一覧(https://r4k6zd.flowtrader.site/api/trade/ipo/list)
・日本取引所グループ-東証上場銘柄一覧(https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/01.html)
Flow Tradersを装う偽サイトが悪用されやすい理由

Flow Tradersの名前を使うアプリが疑われにくい理由として、実在の会社の日本での実績、個人向けの口座がないこと、担当者ごとに分かれた窓口の作り、名前で検索したときの見え方の4つを取り上げます。
東証のETF取引を支える実在の会社で日本取引所グループの表彰も受けている
実在のFlow Tradersは、東京証券取引所のETFの売買で、常に買いと売りの注文を出して取引を成り立たせるマーケットメイカーを務めてきた会社です。公式サイトの2023年3月1日のニュースでは、アジア太平洋の拠点が日本取引所グループから表彰を受けたと発表しています。
▼日本取引所グループからの表彰を伝える公式のニュース

出典:Flow Traders
日本の市場とつながりのある名前なので、「Flow Tradersと提携している」と言われると信じやすくなります。しかし、この表彰はETFの売買を支えた実績に対するもので、日本の個人からお金を預かる立場を示すものではありません。
個人向けの口座を持たない会社のため本物の画面と見比べられない
実在のFlow Tradersは自社の勘定で取引する会社で、年次報告書でも顧客の資金や資産を預かったり運用したりしないと説明しています。個人が口座を開くためのアプリやサイトはありません。
本物のアプリが存在しないため、利用者は偽物の画面を本物と見比べる手段を持てません。偽サイトのロゴは、公式サイトの「FLOW ■ TRADERS」の赤い四角まで似せてあります。
▼公式サイトと偽サイトのFLOW TRADERSのロゴ

出典:Flow Traders/r4k6zd.flowtrader.site
「Flow Tradersのアプリ」という説明が出たら、その時点で疑ってください。ロゴがどれほど似ていても、実在の会社は日本の個人に向けた取引のアプリを出していません。
勉強会の担当者ごとに招待コードとLINEの窓口が割り当てられる
プログラムを調べたところ、運営側の管理画面では担当者ごとに招待コードとLINEのアドレスを設定できます。説明文は次のとおりです。
用户注册时填写此邀请码,将自动归属到该运营。
仅支持 lin.ee 或 line.me 的 HTTPS 链接。该运营名下用户会自动使用此链接。
登録のときにこの招待コードを入れた利用者は、その担当者の配下に自動で入り、配下の利用者には担当者のLINEのアドレスが自動で使われるという意味です。利用者ごとに、案内されるLINEが担当者単位で分かれる作りです。
▼担当者の配下の利用者をLINEへつなぐとする説明

出典:r4k6zd.flowtrader.site
利用者の画面の「サポート」も入金の導線も、この担当者のLINEへ移る作りです。勉強会の講師や担当者と1対1でお金の話が進む形を、サイトそのものが前提にしているとみられます。
勧められたアプリの名前で調べても実在の会社の情報ばかりが並ぶ
埼玉県警察は、SNS型投資詐欺の被害にあわないためのポイントとして次のように呼びかけています。
勧められた「暗号資産」「投資アプリ」が実在するか、インターネットで検索するなどして確認しましょう。
▼投資アプリが実在するかの確認を促す埼玉県警察

出典:埼玉県警察
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、「Flow Traders」で検索すると、実在の会社の公式サイトやニュースが並びます。名前が実在すると分かっても、そのアプリが本物だという確認にはなりません。
名前の次に、開いているアドレスが「www.flowtraders.com」かどうか、公式の「Brand Abuse」の告知と食い違わないかまで確かめてください。
【参考】
・Flow Traders-Flow Traders named Best Market Maker by Japan Exchange Group(https://www.flowtraders.com/news/flow-traders-named-best-market-maker-by-japan-exchange-group/)
・Flow Traders-Annual Report 2025(https://www.flowtraders.com/media/2s2pdl01/flow-traders-annual-report-2025.pdf)
・r4k6zd.flowtrader.site-index-BsxGY8br.js(https://r4k6zd.flowtrader.site/assets/index-BsxGY8br.js)
Flow Tradersを装う偽サイトの不審点を見抜く方法

実在の会社の名前を使うアプリは、画面の見た目だけでは本物と区別がつきません。見分けるには、誰でも開ける公開の資料に、確かめる先を1つずつ当てていくのが確実です。入金の前に開いておきたい先は次の6つです。
- 公式サイトの告知:www.flowtraders.com の「Brand Abuse」を読む
- 実在のFlow Tradersは、自社の勘定だけで取引し、取引を目的として投資家からお金を受け取らないと明記しています。公式のサイトはこのアドレスだけで、「s」が1文字ないflowtrader.siteは別物です。
- 金融庁の登録の一覧:登録の「種類」まで見る
- 日本での登録は高速取引行為者だけで、金融庁はその一覧の冒頭で高速取引行為者が国内の一般の方へ投資勧誘を行うことは法令上認められていないと注意しています。名前が載っていても、個人の株取引を扱う登録とは限りません。
- 日本取引所グループの上場会社の一覧:「IPO」の銘柄を照らし合わせる
- r4k6zd.flowtrader.siteがIPOとして募集していた5銘柄は、すべてすでに上場している会社でした。社名や証券コードで一覧を検索すればすぐに分かります。
- アプリの出金の条件:入金する前に注意事項を読む
- 「保有中のポジションがある場合、出金はできません」「未返済のローンがあるため、出金できません」といった条件は、運営が保有株をロックしたりローンの枠を決めたりすれば、利用者の側では満たせなくなりうるものでした。
- お金の渡し方:振込先と受け渡しの方法を確かめる
- 指定された口座への振込や現金の手渡しを求められた時点で、投資家からお金を受け取らないとする実在の会社の告知と食い違います。現金は記録が残りにくく、後から流れを追うのも難しくなります。
- 相談先:勉強会の講師や担当者以外に話す
- 窓口が担当者ごとのLINEに分かれる作りでは、担当者の説明を確かめる相手がいません。出金を断られたら、家族や専門家など、勉強会と関係のない信頼できる第三者に状況を伝えてください。
すでにお金を渡してしまった場合は、振込の控え、現金を渡した日時と場所と相手の特徴、アプリに表示された資産や出金を断られた画面、勉強会や担当者とのやり取りを、消される前に保存しておいてください。
画面に表示された資産を引き出すためと言われて追加でお金を払っても、出金できるようになる保証はありません。ローンの返済や手数料などの名目で入金を求められても応じず、保存した記録をもとに専門家へ相談してください。
【参考】
・Flow Traders-Disclaimer(https://www.flowtraders.com/disclaimer-1/)
・日本取引所グループ-東証上場銘柄一覧(https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/01.html)
・r4k6zd.flowtrader.site-index-BsxGY8br.js(https://r4k6zd.flowtrader.site/assets/index-BsxGY8br.js)
Flow Tradersを装う偽サイトに関する口コミや被害事例

r4k6zd.flowtrader.siteやFlow Tradersの名前について、X(旧Twitter)、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねるの書き込みを調べました。本件のアドレスに触れた書き込みは見つかりませんでしたが、Flow Tradersとの提携をうたう勧誘についての相談が1件ありました。
X(旧Twitter)ではflowtrader.siteに触れた書き込みが見当たらない
X(旧Twitter)の投稿を「flowtrader.site」「flowtraders.site」のアドレスや、「Flow Traders」「フロートレーダーズ」の名前で探しましたが、本件のサイトや被害に触れた日本語の投稿は見つかりませんでした。
前の章で見たとおり、同じ仕組みは1文字違いのflowtraders.siteでも動いていました。本件のアドレスで書き込みが見つからなくても、同じ仕組みが別のアドレスで使われている可能性は残ります。
Yahoo!知恵袋ではFlow Tradersとの提携をうたう勧誘の相談がある
2026年2月23日、Yahoo!知恵袋にFlow Tradersの名前を挙げた次の質問が寄せられました。
古川資産運用クラブとは何ですか?
LINEで古川資産運用クラブとFlow Tradersと提携したとか、ハイグレード取引口座やらブロック取引とか、資産運用を勧めていますが、大丈夫なのでしょうか?
▼Flow Tradersとの提携をうたう勧誘についての相談

出典:Yahoo!知恵袋
ベストアンサーは、実在のFlow Tradersは自社の資金で取引する会社で、日本では高速取引行為者として登録されていると説明し、勧誘に応じないよう呼びかけています。
サイトの名前やアドレスがなく、投稿もflowtrader.siteの取得の半年前なので、本件と同じサイトの話かは分かりません。それでも、投資を学ぶ集まりを通じてFlow Tradersの名前で取引を勧める点は本件と共通し、r4k6zd.flowtrader.siteのプログラムにも「ブロック取引」の言葉がありました。
掲示板ではFlow Tradersの名前の話題が見当たらない
5ちゃんねるのスレッドの題を「Flow Traders」「フロートレーダーズ」「flowtrader」で調べましたが、本件のサイトや勧誘を扱うスレッドは見つからず、似た綴りの別の話題が出てくるだけでした。同じ勧誘を受けた人の声が見当たらなくても、出金を断られた時点で専門家に相談してください。
【参考】
・Yahoo!知恵袋-2026年2月23日の質問(LINEでFlow Tradersとの提携をうたう資産運用を勧められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12325641217)
Flow Tradersを装う偽サイトに関する口コミが少ない理由

まず、名前が実在の会社と同じです。「Flow Traders」で調べると、東京証券取引所のETFの取引を支える実在の会社の公式サイトやニュースが先に並びます。被害についての書き込みがあっても、実在の会社の情報に埋もれやすくなります。
次に、入口のアドレスがいくつにも分かれています。flowtrader.siteと1文字違いのflowtraders.siteに、6文字の名前の入口が10個ずつありました。案内されたアドレスが人ごとに違えば、同じサイトの話だと気づきにくくなります。トップの題名も空欄で、アドレスのほかに手がかりがありません。
さらに、勧誘は外から見えない場所で進みます。アプリは勉強会で紹介され、口座開設の画面には招待コードの欄があり、入金やサポートの窓口も担当者ごとのLINEに分かれています。やり取りが1対1で完結するため、ほかの人の目に触れる場所に話が出てきにくいとみられます。
書き込みが見当たらないのは、こうした事情が重なっているためと考えられ、r4k6zd.flowtrader.siteが安全だという意味ではありません。アプリに表示された資産を引き出せない、出金の前に返済や手数料を求められるといったことがあれば、それ以上お金を渡さずに専門家に相談してください。
【参考】
・r4k6zd.flowtrader.site(https://r4k6zd.flowtrader.site/)

