国民生活センターは、海外のFX取引をうたう勧誘で振込先に毎回異なる個人名義の口座を指定された事例を紹介し、通常の取引で個人名義の口座へ入金させることはないと注意を呼びかけています。
本記事で取り上げる「m.tmgmfxr.cc」は、オーストラリアなどで許認可を受けるCFD業者「TMGM」を名乗る取引サイトです。LINEで石油への投資を勧められた相談者は、原油の取引の資金として毎回異なる口座へATMから振込を重ねました。
調べると、サイトが「規制資格」として示す許認可の画像のメールアドレス、苦情の受付先、企業メールの「コピー」で写されるアドレスの3つが、いずれも登録すらされていないドメインでした。実在のTMGMは、日本に住む人の口座開設を受け付けていません。
LINEでの勧誘から振込を重ねるまでを、ドメインの記録やサイトのプログラム、TMGMと公的機関の資料でたどり、名前の知られた業者の取引サイトを案内されたときに確かめることについて弁護士が解説します。
TMGMを装う偽サイトに関するトラブルの概要

今回の相談は、LINEでやり取りしていた相手から石油への投資を勧められ、「TMGM」と表示される取引サイト「m.tmgmfxr.cc」で原油の取引を始めたことから始まりました。資金は、毎回異なる口座へATMから振り込んでいます。
この章では、国民生活センターの注意喚起、実在のTMGMの口座開設の画面と銀行振込の手順、m.tmgmfxr.ccに欠けている運営者の情報の4点を順に取り上げます。
個人名義の口座への入金を求める海外FXの勧誘に国民生活センターが注意を促している
国民生活センターは、SNSの投資グループで勧誘されるFX取引のトラブルをまとめた資料で、LINEで誘われて海外のFX口座を開いた相談を紹介しています。その事例では「指定された口座は毎回異なる個人名義の口座だった」とされ、資料は振込先について次のように呼びかけています。
通常の FX 取引で個人名義の銀行口座を使って入金させることはありません。また、FX 業者と異なる名義の口座を指定することもありません。指定された口座が個人名義の場合や FX 業者以外の名義の場合には詐欺の可能性が高いため、絶対に振り込まないでください。
▼毎回異なる口座への振込に注意を促す国民生活センターの資料

出典:国民生活センター
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、今回の相談でも振込先は毎回異なる口座でした。商品はFXではなく原油の差金決済取引(CFD)でも、取引業者と別の名義の口座を振込先に指定された時点で、振り込みを止める必要があります。
実在のTMGMは日本に住む人の口座開設を受け付けていない
TMGMは、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)などから許認可を受けているCFD業者で、公式サイトは「www.tmgm.com」です。実在のTMGMの口座開設の画面で居住国が「Japan」になっていると、入力欄の下に次の赤字が表示されます。
Unfortunately, the service is not available on the selected country/region
▼日本を対象外と表示する実在のTMGMの口座開設画面

出典:TMGM
選んだ国・地域ではサービスを利用できないという意味で、公式サイトにも日本語のページはありません。実在のTMGMは日本に住む人に口座を開かせていないとみられ、日本で金融商品取引業の登録を受けた業者でもありません。
実在のTMGMは銀行振込の振込先を会員専用のページで案内している
実在のTMGMの公式ヘルプは、銀行振込で入金する手順を次のように説明しています。
Please log in to the Client Portal, select the [Bank Wire] deposit method, and check the beneficiary details that correspond to the currency you are transferring in. After completing the transfer, return to the Client Portal to submit a Bank Wire deposit request, enter the deposit amount and upload your remittance receipt.
▼振込先は会員ページで確かめるとする実在のTMGMのヘルプ

出典:TMGM
会員専用のページ(Client Portal)で通貨に合った振込先を確かめ、振込後は同じページで金額と控えを出す手順です。振込先は会員専用のページの中で示され、担当者がLINEで毎回違う口座を伝える流れにはなっていません。振込先を個別に伝えられたら、この手順と照らし合わせてください。
m.tmgmfxr.ccには利用規約も運営会社の表示もない
m.tmgmfxr.ccを開くと、左上にTMGMに似たロゴがあり、資産の欄、「金融」「信用ローン」のボタン、相場の一覧が続きます。ブラウザのタブの題名にも「TMGM」の4文字が出ます。
▼TMGMに似たロゴを掲げるm.tmgmfxr.ccのトップ画面

出典:m.tmgmfxr.cc
画面の作りをプログラムで確かめると、用意されたページの中に利用規約、プライバシーポリシー、会社概要に当たるものがありません。日本語の文言を検索しても「規約」「会社概要」は0件で、運営者が誰でどこにいるのかを書く欄そのものがありません。
m.tmgmfxr.ccが実在のTMGMによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。サイトが「規制資格」として見せている許認可の画像は、あとの章で中身を1つずつ確かめます。
【参考】
・m.tmgmfxr.cc(https://m.tmgmfxr.cc/)
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
・TMGM-Live Account Application(https://portal.tmgm.com/register)
・TMGM-Deposit & Int Transfer(https://www.tmgm.com/en/trading/help-center/deposit-int-transfer)
・TMGM(https://www.tmgm.com/en)
LINEからTMGMを装う偽サイトへ誘導され被害につながるまでの経緯

相談者がm.tmgmfxr.ccを使い始めたのは、LINEでのやり取りの中で石油への投資を勧められたことがきっかけでした。取引の始まりから、画面に並んだ原油の取引、毎回異なる口座への振込、相手のLINEのIDが変わるまでを順に見ていきます。
LINEで石油への投資を勧められTMGMを名乗る取引サイトを使い始める
相談者は、LINEでやり取りしていた相手から石油への投資を勧められました。やり取りには相手のほかに、取引を手伝う役回りの人物(アシスト役)も加わっています。取引の場として使うことになったのが、「TMGM」と表示される取引サイトのm.tmgmfxr.ccです。
m.tmgmfxr.ccはスマートフォンのブラウザで開いて使うサイトで、アプリストアから入れるものではありません。勧める側が複数いると、話がもっともらしく見えやすくなります。LINEの中で取引の場まで案内されたら、運営する会社を自分で確かめるまで口座を作らないでください。
取引画面にはUSOILの売買と損益が並んでいた
相談者が見ていた取引の画面には、「TMGM」の表示とともに取引の対象「USOIL」が並び、注文の内容や損益、ドル建ての資産の残高が表示されていました。USOILは米国の原油(WTI)の値動きを指す銘柄名で、このサイトでは値上がりと値下がりの差額をやり取りする取引として扱われています。
▼USOILの価格とチャートを表示するm.tmgmfxr.ccの取引画面

出典:m.tmgmfxr.cc
国民生活センターの前出の資料も、取引の画面で利益が出ているように見えても、画面そのものが架空で実際の取引が行われていない場合があると指摘しています。画面の残高は、自分の銀行口座へ実際に戻ってくるまでは資産とは言えません。
ATMから毎回異なる口座へ振込を重ねていく
相談者は取引の資金として、相手側が指定した口座への振込を繰り返しました。振込はいずれもATMからで、受取人は毎回異なる口座でした。振込先の金融機関も1つではなく、宛先の口座は振込のたびに入れ替わっています。
宛先が毎回変わると、どこへいくら送ったのかを後から整理しにくくなります。今回も、最初の振込の明細が見つかっていません。ATMの利用明細は、宛先の口座が分かるただ一つの記録になることがあるので、捨てずに保管してください。
国民生活センターの前出の資料は、振り込んでしまった場合は振込先の金融機関にも問い合わせ、振込先が国内の預金口座であれば振り込め詐欺救済法に基づく届け出ができると案内しています。宛先の口座が分かることがその出発点になります。
相手のLINEのIDが何度も変わりやり取りの履歴が途切れる
やり取りの途中で、相手のLINEのIDは何度か変わりました。そのたびに話し相手のアカウントが切り替わり、これまでのトークの履歴はすべては残っていません。誰から、いつ、何を指示されたのかを示す記録が、ばらばらになってしまったことになります。
振り返ると、LINEでの勧誘、TMGMの名前を掲げた取引サイト、画面に並ぶ原油の取引と残高が重なり、連絡先が替わる中で毎回異なる口座への振込が続いたことが被害につながりました。
相手のアカウントが替わったら、それまでのトークを画像で保存し、それ以上は振り込まずに専門家に相談してください。保存した画面は、後で経緯を説明するときの手がかりになります。
【参考】
・m.tmgmfxr.cc(https://m.tmgmfxr.cc/#/trade)
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
TMGMを装う偽サイトの関連サイトの情報を調査した結果

ドメインの登録記録、同じ作りの別のアドレス、サイトのプログラムに残る接続先、メールアドレスのドメイン、当局の公表資料を順に調べました。tmgmfxr.ccのほかにも、TMGMの名前を含むアドレスが2025年9月から少なくとも4つ用意されていたことが分かりました。
表では、tmgmfxr.ccの登録の記録を実在のTMGMの公式サイトのドメインtmgm.comと並べています。
| 項目 | tmgmfxr.cc | tmgm.com(実在のTMGMの公式サイト) |
|---|---|---|
| 登録日時 | 2025年12月22日 19:44(日本時間) | 2007年10月29日 3:44(日本時間) |
| 有効期限 | 2026年12月22日 | 2029年10月29日 |
| 登録機関 | Gname.com Pte. Ltd. | GoDaddy Corporate Domains, LLC |
| ネームサーバー | Cloudflare | Cloudflare |
| 記録の確認先 | RDAP(tld-rdap.verisign.com) | RDAP(rdap.verisign.com) |
tmgmfxr.ccは2025年12月に1年契約で取得されたアドレス
tmgmfxr.ccがいつ取得されたかは、ドメインの登録情報を公開するRDAPで確かめられます。記録には登録の時刻として「2025-12-22T10:44:29Z」とあり、末尾のZは世界標準時を表します。日本では12月22日の夜7時44分にあたり、有効期限はその1年後の2026年12月22日です。
▼tmgmfxr.ccの登録日時を示すRDAPの記録

出典:RDAP(tld-rdap.verisign.com)
公式サイトのtmgm.comが登録されたのは2007年10月で、本件のアドレスとは18年以上の差があります。「tmgm」に「fxr」を付け足した名前は、公式のアドレスとは別物です。
▼2007年の登録を示す実在のTMGMの公式ドメインの記録

出典:RDAP(rdap.verisign.com)
同じ月に取得されたtmgmvip.ccでも同じプログラムが動いている
tmgmfxr.ccより3日半ほど早い2025年12月19日(日本時間)に、「tmgmvip.cc」というドメインが登録されています。登録機関はtmgmfxr.ccと同じGname.com Pte. Ltd.で、ネームサーバーの組み合わせも同じです。
▼tmgmvip.ccの登録日時を示すRDAPの記録

出典:RDAP(tld-rdap.verisign.com)
m.tmgmvip.ccをスマートフォンで開くと、ロゴも、「金融」「信用ローン」のボタンも、相場の一覧も、m.tmgmfxr.ccと同じトップ画面が表示されます。
▼m.tmgmfxr.ccと同じ画面を表示するm.tmgmvip.cc

出典:m.tmgmvip.cc
2026年10月5日にプログラムを調べたところ、2つのサイトは同じ名前のプログラムを読み込み、サイトの設定として返すデータも1文字の違いもありませんでした。同じ管理画面につながる別名のサイトが、少なくとも1つあることになります。
プログラムにはTMGMの名前を含む別のアドレスが残っている
m.tmgmfxr.ccのプログラムには、データの接続先として「api.grofsttmgm.com」が書かれています。PC向けの画面pc.tmgmfxr.ccのプログラムには「api.tmgmlvc.cc」が残っていました。どちらも開発中に使う接続先の欄に書かれたものです。
▼TMGMの名前を含む別のアドレスが残るプログラム

出典:m.tmgmfxr.cc、pc.tmgmfxr.cc
tmgmlvc.ccは2025年9月に登録されて期限が切れ、grofsttmgm.comは2026年8月の登録です。接続先は開いているアドレスの先頭を「api.」に置き換えて決める作りで、表のアドレスを替えても同じプログラムが動きます。名前を替えながら同じ仕組みが使われてきたとみられます。
企業メールのドメインはTMGM limitedの綴りを崩した名前
m.tmgmfxr.ccの「企業メール」の画面には、「[email protected]」というアドレスが表示されます。「tmgm」の後ろは、「limited」の「l」を「i」に、続く「i」を「fi」に替えた綴りになっています。
▼2026年8月の登録を示すtmgmfiimited.ccの記録

出典:RDAP(tld-rdap.verisign.com)
tmgmfiimited.ccは2026年8月21日(日本時間)の登録で、調べたところメールを受け取る設定もされていました。実在のTMGMの法人名「Trademax … Limited」に似せた名前とみられます。画面に出るアドレスがそれらしく見えても、ドメインの綴りは1文字ずつ確かめてください。
金融庁や海外当局の警告一覧にm.tmgmfxr.ccは載っていない
金融庁の無登録業者の一覧(令和8年9月25日更新)を全文で検索すると、「TMGM」も「tmgmfxr」も1件も出てきません。登録を受けた業者を探す金融事業者一括検索に「TMGM」と入れた結果も、「該当するデータはありませんでした。」でした。
▼該当なしと表示される金融事業者一括検索の結果

出典:金融庁
海外では、ニュージーランドと香港の金融当局の警告の一覧も調べましたが、tmgmfxr.ccの名前はありませんでした。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。
サイトの過去の記録や安全性の判定は、次の4点です。
- Googleのセーフブラウジングでm.tmgmfxr.ccを調べると「安全ではないコンテンツは見つかりませんでした」と表示される
- ウェブページの保存サービスInternet Archiveにも、サイトの調査記録を公開するurlscan.ioにも、tmgmfxr.ccの記録がない
- サイトは配信の中継サービスCloudflareを通しており、実際のサーバーの場所は分からない
- スマートフォン向けとPC向けのプログラムと画像の更新日時は、2026年9月26日で同じ(何が変わったのかは分からない)
新しいアドレスは、判定や一覧に反映される前に使われることがあります。振り込む前に、ブラウザのアドレス欄が公式の「www.tmgm.com」になっているかを確認してください。
【参考】
・m.tmgmfxr.cc(https://m.tmgmfxr.cc/)
・m.tmgmvip.cc(https://m.tmgmvip.cc/)
・RDAP-tmgmfxr.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/tmgmfxr.cc)
・RDAP-tmgm.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/tmgm.com)
・RDAP-tmgmvip.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/tmgmvip.cc)
・RDAP-tmgmfiimited.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/tmgmfiimited.cc)
TMGMを装う偽サイトに関する不審点

ここでは該当サイトの不審点として、m.tmgmfxr.ccが示す許認可の画像、苦情の受付先、企業メールの3つのアドレスと、別会社の許認可の画像、運用商品、入金画面の6点を取り上げます。3つのアドレスのドメインは、どれもICANNの照会で「見つからない」と表示されました。
規制資格の許認可の画像に存在しないドメインのメールアドレスが載っている
PC向けの画面pc.tmgmfxr.ccで上部の「Regulatory Qualification」(規制資格)を押すと、許認可の情報サイトのカードの形をした画像が2枚出ます。1枚目は、ASICの許認可を受けた「Trademax Australia Limited」のカードです。
▼[email protected]と書かれたm.tmgmfxr.ccの許認可の画像

出典:pc.tmgmfxr.cc
この画像では、許認可を受けた機関のメールアドレスの欄が「[email protected]」になっています。一方、許認可の情報サイトWikiFXに今載っている実在のTMGMのカードでは、同じ欄は「[email protected]」です。
▼[email protected]と載るWikiFXの実在のTMGMの記録

出典:WikiFX
ドメイン名を管理するICANNの照会ツールで「tmgmlife.cc」を調べると、次のように表示されます。
The requested domain was not found in the Registry or Registrar’s RDAP server.
登録の記録が見つからないという意味です。許認可の画像に書かれたアドレスのドメインは、登録すらされていません。この画像を見て問い合わせてもメールは届かないことになります。
▼tmgmlife.ccが見つからないとするICANNの照会結果

出典:ICANN
苦情を受け付けるメールアドレスのドメインが存在しない
スマートフォン向けの「苦情メール」の画面(https://m.tmgmfxr.cc/#/mine/email)は、ログインしなくても開けます。表示されるのは、郵便受けの絵と「[email protected]」というアドレス、「コピー」のボタンだけです。
▼[email protected]を示すm.tmgmfxr.ccの苦情メールの画面

出典:m.tmgmfxr.cc
このアドレスは、サイトとは別のドメインに置かれたデータから読み込まれています。そのデータはブラウザで直接開くことができ、中身は「[email protected]」の1件だけです。
▼苦情メールのアドレスを返す別ドメインのデータ

出典:api.lkmnjjklnn.vip
ICANNの照会ツールでは、「wanlink365.com」も登録の記録が見つからないと表示されます。苦情を書いて送っても、受け取る宛先そのものが存在しない窓口です。
▼wanlink365.comが見つからないとするICANNの照会結果

出典:ICANN
企業メールのコピーのボタンで別の名前のアドレスが写される
スマートフォン向けの「企業メール」の画面には、前章で見た「[email protected]」が表示され、その下に前の項目と同じ許認可の画像が並びます。プログラムによると、ログインした後のメニューで「規制資格」を押すとこの画面が開きます。
▼[email protected]を示す企業メールの画面

出典:m.tmgmfxr.cc
ところがプログラムを調べたところ、この画面の「コピー」のボタンを押して写し取られるのは、表示とは別の「[email protected]」でした。PC向けの画面では、表示とコピーの中身は一致しています。
▼コピーの中身が[email protected]となるプログラム

出典:m.tmgmfxr.cc
「nexusfuturesxm.com」も、ICANNの照会で登録の記録が見つかりません。以前の別の名前のサイトから、アドレスを書き換え忘れた跡とみられます。画面のアドレスをコピーして使うときは、貼り付けた文字が表示と同じかを確かめてください。
▼nexusfuturesxm.comが見つからないとするICANNの照会結果

出典:ICANN
TMGMとは別の会社の許認可の画像がサイトに残っている
m.tmgmfxr.ccには、メニューからはたどれないものの、アドレスを直接開くと表示される許認可の画面が残っています。並んでいるのは、「JDR SECURITIES PTY LTD」と「JDR SECURITIES LIMITED」という会社のカードです。
▼JDR SECURITIESの名前が並ぶm.tmgmfxr.ccの許認可の画面

出典:m.tmgmfxr.cc
JDR SECURITIESは、TMGMのグループの法人(Trademax Australia Limitedなど)とは別の会社です。サイトが「規制資格」として見せる画像は名乗っている会社のものとは限らず、差し替えれば別の会社のものにもなることを示しています。
1日0.4〜0.8%の利回りをうたう運用商品が並んでいる
トップ画面の「金融」を押すと、「VIP1」から「VIP4」までの4つの商品が並びます。それぞれに「期待される日産」として1日あたり0.4%から0.8%の数字が示され、最低の申込額は100から50,000(ドル建て)です。「日産」は1日の利回りを表す語の誤訳とみられます。
▼1日0.4〜0.8%の利回りを示すVIP1〜VIP4の画面

出典:m.tmgmfxr.cc
1日0.4%でも、単純に365日を掛けると年146%、0.8%なら年292%になります。銀行預金の金利とは桁が違う利回りで、それが続く根拠は画面のどこにも示されていません。トップ画面には「信用ローン」の入口もあり、原油の取引のほかにもお金の出し入れにつながる入口がいくつも用意されています。
入金画面には振込先がなく銀行のタブがチャットにつながる
入金の画面を開くと、上部のタブは「暗号通貨」と「オンライン顧客サービス」の2つだけです。タブを見る限り、銀行振込を選ぶ項目も振込先の口座を示す欄も見当たりません。
▼暗号通貨とオンライン顧客サービスだけが並ぶ入金画面

出典:m.tmgmfxr.cc
プログラムを調べたところ、2つ目のタブは押すと外部のチャットの窓を開く作りでした。振込先は画面ではなく、チャットやLINEで個別に伝えられる前提になっているとみられ、振込のたびに異なる口座を指定された今回の経緯とも矛盾しません。
【参考】
・pc.tmgmfxr.cc(https://pc.tmgmfxr.cc/#/)
・m.tmgmfxr.cc-苦情メール(https://m.tmgmfxr.cc/#/mine/email)
・api.lkmnjjklnn.vip(https://api.lkmnjjklnn.vip/complaint_email_st7)
・m.tmgmfxr.cc-企業メール(https://m.tmgmfxr.cc/#/mine/business-email)
・m.tmgmfxr.cc-プログラム(https://m.tmgmfxr.cc/assets/chunk/views8944721a.js)
・m.tmgmfxr.cc-許認可の画面(https://m.tmgmfxr.cc/#/mine/regulation)
・m.tmgmfxr.cc(https://m.tmgmfxr.cc/#/mining)
・m.tmgmfxr.cc(https://m.tmgmfxr.cc/#/mine/charge)
・WikiFX-TMGM(https://www.wikifx.com/en/dealer/7101709423.html)
・ICANN-Registration Data Lookup Tool
TMGMの名称が悪用されやすい理由

TMGMの名前を掲げたサイトが疑われにくい理由として、日本の利用者が本物を知らないこと、許認可の画像の見え方、名前を含むアドレスの取りやすさ、LINEで完結するやり取りの4つを取り上げます。
実在のTMGMには日本語のサイトがなく本物と見比べにくい
実在のTMGMは、オーストラリアやバヌアツなど複数の国・地域で許認可を受けたグループです。公式サイトの最下部には、グループの法人ごとに当局の名前と許認可の番号、問い合わせ先のメールアドレスが並んでいます。
▼法人ごとの許認可とメールアドレスを示す公式サイトの下部

出典:TMGM
ただ、公式サイトは20の言語に切り替えられるものの日本語はありません。日本に住む人は口座も開けないため、本物のTMGMの画面を見たことがある日本の利用者はほとんどいないとみられます。偽のサイトが日本語で表示されていても、本物と見比べて違いに気づく手がかりがありません。
許認可の情報サイトの画像は体裁ごと複製されやすい
m.tmgmfxr.ccの「規制資格」に並ぶのは、許認可の情報サイトのカードを画像にしたものでした。画像は中の文字が差し替えられていても、見た目だけでは分かりません。前章で見たように、名乗る会社とは別の会社のカードが置かれていることもあります。
TMGMは実在の業者なので、許認可の番号や法人名そのものは本物と同じものが使われます。番号が本物でも、それを掲げているサイトが本物とは限りません。許認可は画像ではなく当局の登録簿で番号を照会し、そこに出てくる公式サイトのアドレスと開いているアドレスを見比べてください。
TMGMの名前を含むアドレスは次々に取得できる
ニュージーランドの金融市場庁(FMA)は2024年3月19日、「tmgm-sapp.shop」などのサイトについて、出金のために手数料を前払いさせ、支払った後も出金に応じないという警告を出しました。TMGMの名前との関係については、警告の中で次のように書いています。
We would like to advise that these platforms are not associated with the New Zealand registered entity, Trademax Global Markets (NZ) Limited (NZBN: 9429046269300).
▼TMGMを名乗るサイトとの関係を否定するFMAの警告

出典:FMA
これらのサイトは、ニュージーランドで登録を受けたTMGMの法人とは関係がないという意味です。これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できません。
それでも、本件のtmgmfxr.ccやtmgmvip.ccも、FMAが警告したサイトと同じく「tmgm」の綴りで始まります。アドレスに「tmgm」が入っていることは本物の証拠になりません。
連絡も振込先もLINEで伝えられサイトに手掛かりが残らない
m.tmgmfxr.ccの入金画面には振込先が出ず、2つ目のタブを押すとチャットが開く作りでした。今回の相談でも、振込先は毎回異なる口座で、やり取りに使っていた相手のLINEのIDは何度も変わっています。
国民生活センターは前出の資料で、業者とインターネット上だけでやり取りしていると、本当に実在するのかを確かめられず、トラブルの際に連絡が取れなくなると指摘しています。
振込先も連絡先も相手の側で自由に替えられる作りでは、誰にお金を渡したのかをたどる手がかりが利用者の手元に残りにくくなります。振込の明細やトークの画面は、その都度保存しておいてください。
【参考】
・TMGM(https://www.tmgm.com/en)
・FMA-tmgm-sapp.shop/syn: unreasonably witholding client funds
・国民生活センター-SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
TMGMを装う偽サイトの不審点を見抜く方法

m.tmgmfxr.ccは、社名やロゴ、許認可の画像、問い合わせ先まで、それらしい表示をひととおりそろえていました。見分けるには、サイトに書かれた表示を1つずつ取り出し、サイトの外にある記録で裏を取るのが近道です。次の6つの表示は入金の前に確かめられます。
- 社名の「TMGM」:実在のTMGMが日本の居住者を受け入れているかを見る
- 公式サイトwww.tmgm.comの口座開設の画面は、居住国が「Japan」だとサービスを利用できないと表示します。日本語のページもなく、日本語で取引を案内された時点で本物の流れから外れています。
- 「規制資格」の画像:画像の中のアドレスと番号を、画像の外で照会する
- m.tmgmfxr.ccの画像に書かれたtmgmlife.ccは、登録すらされていないドメインでした。許認可の番号は当局の登録簿で照会し、そこに出てくる公式サイトのアドレスと見比べてください。
- 苦情や問い合わせのメールアドレス:ドメインが実在するかをICANNで調べる
- 苦情メールのwanlink365.comも、企業メールの「コピー」で写されるnexusfuturesxm.comも、照会で「見つからない」と表示されました。画面の表示とコピーした文字が同じかも確かめます。
- 日本での登録:金融庁の金融事業者一括検索で名前を調べる
- 「TMGM」で調べても該当はありません。実在のTMGMも日本の登録業者ではないため、本物であっても日本に住む人が取引する相手にはなりません。
- 振込先の案内:誰が、どこで振込先を示しているかを見る
- 実在のTMGMは振込先を会員専用のページで示します。LINEやチャットで毎回違う口座を伝えられたり、業者と別の名義の口座を指定されたりしたら振り込まないでください。
- 運用商品の利回り:1日あたりの数字を年に直してみる
- 「期待される日産」0.4〜0.8%は、単純に年に直すと146〜292%です。根拠の示されない高い利回りは、それだけで手を止める理由になります。
すでに振り込んでしまった場合は、ATMの利用明細や振込の控え、取引画面に表示された残高、LINEのトークを相手のアカウントが替わる前に画像で保存してください。
振込先の口座が分かれば、金融機関への連絡や振り込め詐欺救済法に基づく手続きの手がかりになります。相手に言われるまま追加の振込に応じず、保存した記録を持って、家族や専門家など信頼できる第三者に相談してください。
【参考】
・TMGM-Live Account Application(https://portal.tmgm.com/register)
・TMGM-Deposit & Int Transfer(https://www.tmgm.com/en/trading/help-center/deposit-int-transfer)
・ICANN-Registration Data Lookup Tool
TMGMを装う偽サイトに関する口コミや被害事例

口コミは、SNSのX(旧Twitter)、質問サイトのYahoo!知恵袋、掲示板の5ちゃんねると爆サイなどで探しました。本件のアドレスに触れた書き込みは見つかりませんでしたが、TMGMを名乗る別のサイトに個人名義で振り込んでいたという相談が見つかりました。
X(旧Twitter)ではtmgmfxrの名前を含む投稿を確認できない
Xでは、アドレスの「tmgmfxr」「tmgmvip」に加え、「TMGM 詐欺」「TMGM 原油」「TMGM LINE」といった組み合わせで検索しました。m.tmgmfxr.ccでの取引や振込に触れた日本語の投稿は見つかりませんでした。
「TMGM」の1語だけで探した投稿の中にも、偽のサイトでの被害を訴えるものはありませんでした。LINEで案内されたサイトが安全かどうかは、口コミの有無ではなく前の章で挙げた確かめ方で判断してください。
Yahoo!知恵袋にはTMGMを名乗る別のアドレスへ個人名義で振り込んだ相談がある
Yahoo!知恵袋には、2025年10月5日に投稿された次の質問があります。
tmgmの取引所を偽った
詐欺にひっかかりそうになりました!
本物はオーストリアのtmgmで
偽物はtmgmjp
となのってます
僕はこのグループに
インスタを通じて知り合い
ライングループに入りました
(中略)
結局
偽tmgm口座を作り
身分証も出して
資金の振込みも
個人名
偽tmgmに振込みしてるので
資産は画面上では
増えてますが実際には
増えてないです
(後略)
▼偽のTMGMに個人名義で振り込んでいたという相談

出典:Yahoo!知恵袋
TMGMの名前を掲げた取引の場、LINEのグループ、個人名義の口座への振込、画面の上だけで増える資産という点が本件と共通しています。一方で、名乗っていたアドレスは「tmgmjp」で、入口はインスタグラム、原油の取引には触れていません。
投稿はtmgmfxr.ccの登録の2か月あまり前で、本件と同じサイトの話かは分かりません。なお、文中の「オーストリア」は投稿のままで、実在のTMGMの拠点はオーストラリアです。TMGMの名前を使う偽の取引の場が、アドレスを替えて繰り返し使われていることがうかがえます。
2023年7月12日にも、「知合いから勧められてTMGM社でのFXを始めました」「送金先は個人名でした、大丈夫でしょうか?」という質問がありました。TMGMの名前で個人名義の口座に送金させる話は、本件より前から出ていたことになります。
掲示板にはTMGMを装うサイトについての書き込みがない
5ちゃんねるでスレッドの題を「TMGM」で調べても該当はなく、本文に出てくるのは実在のTMGMについての評価だけでした。爆サイの全板検索も、出てくるのは「TMGM」と似た綴りの別の話題だけでした。
検索で目立つのは、TMGMの名前を挙げて返金や調査をうたい、LINEの登録へ誘う宣伝のページです。被害の相談先を探すときは、返金を約束する宣伝に飛びつかず弁護士など専門家に相談してください。
【参考】
・Yahoo!知恵袋-2025年10月5日の質問(TMGMを偽る取引所に個人名義で振り込んでいたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12320759987)
・Yahoo!知恵袋-2023年7月12日の質問(TMGM社でのFXの送金先が個人名だったという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13282790548)
TMGMを装う偽サイトに関する口コミが少ない理由

まず、TMGMの名前を含むアドレスが2025年9月から少なくとも4つ用意され、表のアドレスを替えても同じプログラムが動きます。
プログラムには開いた人を別のアドレスへ送る処理もありました。アドレスが替わるたびに書き込みも別々のサイトの話に分かれ、同じサイトの被害の声として積み重なりにくくなります。
次に、やり取りがLINEの中だけで進み、相手のIDまで替わることです。今回も履歴が途切れ、振込先は画面に出ず個別に伝えられていました。誰に、どこへ送ったのかを示す材料が手元に残らないため、被害を書き込もうにも具体的に書けず口コミとして表に出にくくなります。
さらに、「TMGM」で調べると実在の業者の情報が先に並びます。実在のTMGMの公式サイトや評判に加え、返金や調査をうたう宣伝のページも目立ちます。偽のサイトについての数少ない書き込みはこうした情報に埋もれ、検索しても見つけにくくなっているとみられます。
m.tmgmfxr.ccの口コミがないのは、この3つが重なっているためとみられます。サイトが安全だから話題にならないわけではありません。振込先を毎回替えられる、相手のアカウントが替わるといったことがあれば、それ以上振り込まずに専門家に相談してください。
【参考】
・m.tmgmfxr.cc(https://m.tmgmfxr.cc/)
・m.tmgmfxr.cc-プログラム(https://m.tmgmfxr.cc/assets/chunk/views8944721a.js)

