バリュー投資メンター選考は詐欺なのか?票数を運営が打ち込む投票ページの手口

「2026年バリュー投資メンター選考」(onlineanalystvoting.com)は、実在の経済学者やアナリストを候補者に並べ、投資の手本となる人物を一般の投票で選ぶとうたうページです。

今回の相談者は、ネット上で始まった投資のやりとりの中で、このページのアドレスを挙げています。相手方の口座へ振込を重ねた末に、出金できない残高を前に「金融庁からの保証料」を求められていました。

ページを開くと、閉じられない「優勝」の画像が画面を覆います。管理画面のプログラムには候補者ごとの「票数」と「自動投票数」の入力欄があり、1位の票は実際に5分ごとに500票ずつ足されていました。運営の名乗りらしいものは、最下部の「Amundi」の名前の1行だけです。

本記事では、この投票ページの作りと、アムンディなど実在の名前の使われ方を弁護士が解説します。保証料を払う前に確かめることと、振り込んだお金を取り戻せる可能性もあわせて紹介します。

出金できない残高と「金融庁からの保証料」の請求に至った経緯

追加請求までの経緯。指定口座への振込が重なった。表示残高は出金できなかった。保証料は相談時点で未払い。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

今回の相談は、ネット上で始まった投資のやりとりがきっかけです。相談者は相手方が指定した口座へ振込を重ね、画面の上では大きな残高を示されながら、そのお金を引き出せないままでした。

この章では、相手方の口座への振込、出金できない残高と「金融庁からの保証料」の請求、銀行からの通告で警察に行った後の行動、金融庁自身の注意喚起の4つを順にたどります。

ネットで始まった投資のやりとりで相手方の口座へ振込を重ねた

相談者は2026年7月後半、ネット上で投資に関するやりとりを始めました。送金の手段は銀行振込で、送り先は相手方が指定する口座です。振込先は1つではなく、法人名義の口座と個人名義の口座が複数の金融機関に分かれていました。

相談者が投資の間に使っていたサイトとして挙げたのは、onlineanalystvoting.comです。開くと「2026年バリュー投資メンター選考」という名前が出る投票ページで、取引や入金のための画面はなく、運営する会社の名前も示されていません。

画面の残高は出金できず「金融庁からの保証料」を求められた

相談者の画面には、それまでに振り込んだ額を大きく上回る残高が表示されていました。しかし、その残高を出金することはできません。画面の数字の上では、投資が成功しているように見えていたことになります。

そこへ届いたのが、「金融庁からの保証料」として、さらにお金を支払うよう求める通知です。出金できない残高を前に、今度は国の機関の名前を使って追加の支払いを求められたことになります。相談の時点で、相談者はこの保証料をまだ払っていません。

銀行の声かけで警察に行った後も相談者は投資を続けた

9月上旬、相談者は銀行からの通告を受けて警察に出向いています。そこで相談者は、自分の意思で取引に応じていると伝えるにとどまりました。銀行と警察が、振込を止めるきっかけを一度は作っていたことになります。

その後も相手とのやりとりは続き、振込も止まりませんでした。相手の説明を信じている間は、周りが声をかけても振込が続いてしまうことがあります。相談の時点でも、やりとりは続いていました。

「金融庁からの保証料」は金融庁が求めるお金ではない

金融庁のページ「『金融庁職員』等を装った詐欺等にご注意ください!!」は、金融庁の名前でお金を求める手口を事例ごとに紹介しています。金融庁が振込先を示すことはないと、はっきり書いた箇所もあります。

⇒ 金融庁指定の口座を案内されますが、金融庁が口座を指定して振り込ませることはありません。絶対に振り込まないでください。

投資勧誘の事例には、次の連絡も挙がっています。

■ 事業者からの投資勧誘を受け金銭を支払ったところ、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、当該投資について追加の出資または取引の継続が必要となるといった連絡があった。

▼口座を指定して振り込ませないとする金融庁の注意書き

onlineanalystvoting-口座を指定して振り込ませないとする金融庁の注意書き

出典:金融庁

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、相談者への「金融庁からの保証料」の請求も、投資の後に金融庁の名前で追加の支払いを求める点で、同じ形をしています。

金融庁の名前が出ても、振り込む前に金融庁や警察の窓口へ直接確かめることが欠かせません。ネット上の投資のやりとりから振込が重なり、「金融庁からの保証料」まで求められたことが、被害につながった経緯です。次の章では、投票ページを開くと何が起きるのかを確かめます。

【参考】
・2026年バリュー投資メンター選考(https://www.onlineanalystvoting.com/)
・金融庁-「金融庁職員」等を装った詐欺等にご注意ください!!

閉じられない「優勝」の画像が重なるメンター選考の投票ページ

閉じられない優勝表示。投票ページの操作を遮る。閉じる処理は見当たらない。表示は設定で切り替わる。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

相談者が挙げたonlineanalystvoting.comを開くと、投票ページの上に「優勝」の画像が重なり、ページを動かせなくなります。この章では、ページが何を名乗っているか、画像が閉じられない仕組み、その画像を出す設定、ソースに残る以前の名前の4点を確かめます。

相談で挙がったアドレスは投資のメンターを選ぶ投票ページ

ページの名前は「2026年バリュー投資メンター選考」です。一般の投資家の投票で、投資の手本となる専門家を選ぶ企画を名乗り、冒頭には次の文が並びます。

(前略)
本選考は、一般投資家の皆様による公開かつ透明性の高い投票を通じて、卓越した実戦能力と先見性を備え、皆様の資産形成を導くリーダーを選出することを目的としています。
(後略)

ページにあるのは、候補者の一覧とランキング、投票のボタンです。誰が運営しているのかを示す情報は、会社名・所在地・登録番号のどれもページに見当たりません。投資の入金や取引のための画面もなく、あくまで「投票の場」として作られています。

画面いっぱいの「優勝」の画像には閉じる仕組みがない

ページを開くと、花火の動きとともに、画面いっぱいに「【2026年バリュー投資メンター選考】優勝」の画像が重なります。画像には1位の候補者の名前と写真が入り、下のページは暗くなって操作できません。

▼開いた直後に全画面で重なる「優勝」の画像

onlineanalystvoting-開いた直後に全画面で重なる「優勝」の画像

出典:onlineanalystvoting.com

ページのソースを調べたところ、この画像を重ねる処理は、画像を表示したうえで、ページ全体のスクロールを止める作りでした。一方で、重ねた画像を外す処理も閉じるボタンも、プログラムのどこにもありません。相談者の言う「開いた瞬間に固定されて操作できない」状態は、この作りによるものとみられます。

▼画像を重ねてスクロールを止めるプログラム

onlineanalystvoting-画像を重ねてスクロールを止めるプログラム

出典:onlineanalystvoting.com

優勝の表示は運営が管理画面のスイッチで出している

画像を重ねるかどうかは、ページが読み込む設定のデータで決まります。このデータは誰でも開けるアドレス(api.telvorian.com)から返り、10月23日の時点では、画像を出す項目が「1」、投票を締め切る項目が「0」でした。

▼「優勝」の画像を出すかを決める設定のデータ

onlineanalystvoting-

出典:api.telvorian.com

この設定を変える管理画面(ad.onlineanalystvoting.net)のプログラムには、「显示夺冠」(優勝を表示)の切り替えと、「开启后,前台将展示下面配置的图片」(オンにすると表の画面に下の画像を出す)という説明が書かれていました。優勝の画像は、運営がスイッチで出しているものです。

▼優勝の表示を切り替える管理画面のプログラム

onlineanalystvoting-優勝の表示を切り替える管理画面のプログラム

出典:ad.onlineanalystvoting.net

画像のファイルの更新日時は、2026年8月9日0時7分(日本時間)です。投票は締め切られないまま、1位を「優勝」と示し続けていることになります。設定のデータには「選考はこれをもちまして無事終了いたしました」という締め切りの文まで用意されていました。

ソースに隠された旧版は「人気投資家アワード」と20億ドルの運用権

ページのソースには、画面に出ないように隠された画像の並び(スライド4枚)が残っています。隠されているのは並びの指定だけで、画像そのものはサーバーに置かれたまま、アドレスを入れれば誰でも開けます。

スライドには「日本金融証券アナリスト協会」「9名のトップアナリストによる真剣勝負」「人気投資家アワード」の文字があり、1枚には「【2026年最新】人気投資家アワード 20億ドル ~優勝者には20億ドルの運用権を授与~」とあります。9人の顔写真が並ぶ1枚は、今の候補者と3人が入れ替わっていました。

▼ソースで隠された「20億ドルの運用権」のスライド

onlineanalystvoting-ソースで隠された「20億ドルの運用権」のスライド

出典:onlineanalystvoting.com

同じ投票の仕組みを、以前は「人気投資家アワード」という別の名前で使っていたとみられます。企画の名前が替わっても、優勝者を大きく見せる作りは同じです。名前で検索して見つからなくても、同じページが別の名前で出回っている可能性があります。次の章では、この投票の票数がどのように決まっているかを確かめます。

【参考】
・2026年バリュー投資メンター選考(https://www.onlineanalystvoting.com/)
・2026年バリュー投資メンター選考-優勝の画像の設定(https://api.telvorian.com/api/app/setting/popup)

「一般投票のみで決定」とうたうが票数は運営が入力する管理画面

票数の説明と実際。ページは一般投票のみとうたう。管理側に票数の入力欄。1位は5分ごとに500票増加。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

前の章の「優勝」は、投票の結果として示されています。この章では、投票ページが票の数え方について何をうたっているか、管理画面のプログラムに何が書かれているか、実際の票数がどう増えているか、金融庁が挙げる手口との共通点の4つを確かめます。

投票ページは自動投票を遮断し一般投票だけで順位を決めるとうたう

投票ページは、候補者の一覧の上で、順位の決め方を次のように説明しています。

以下の候補者は、当委員会の厳格な一次審査を通過しています。得票数およびランキングは皆様の投票によりリアルタイムで更新され、最終的な順位は一般投票の結果のみで決定されます。

さらに「運営体制およびコンプライアンス」の項目では、機械による投票を防いでいると書いています。

本プラットフォームでは、厳格なセキュリティ対策を導入し、常時監視体制を整備しています。ボットや不正ツールを利用した自動投票、不正アクセスおよび悪意のあるアクセスをリアルタイムで検知・遮断し、公正な選考環境の維持に努めています。

▼「一般投票の結果のみで決定」とうたう投票ページの文

onlineanalystvoting-「一般投票の結果のみで決定」とうたう投票ページの文

出典:onlineanalystvoting.com

票は投票した人の数だけで決まり、機械で票を増やすことはできないというのがページの説明です。次に、この票数を扱う運営の側のプログラムを管理画面から見ていきます。

管理画面には候補者ごとに「票数」と「自動投票数」の入力欄がある

投票を管理する画面(ad.onlineanalystvoting.net)は中国語の「后台管理系统」(管理システム)を名乗り、ログインしないと開けません。ただし、画面を作るプログラムはログインせずに取得できます。

プログラムを調べたところ、候補者を登録・編集する欄に、名前・写真・紹介文と並んで「票数」と「自动投票数」(自動投票数)の入力欄がありました。

入力の案内は「请输入票数」(票数を入力してください)と「请输入自动投票数」(自動投票数を入力してください)です。画面に出る票数は、運営がそのまま打ち込める数字ということになります。

▼票数と自動の票数を入力する管理画面のプログラム

onlineanalystvoting-票数と自動の票数を入力する管理画面のプログラム

出典:ad.onlineanalystvoting.net

画像では中国語の部分が文字化けしていますが、項目名の initialVotes(票数)と autoVotes(自動の票数)は読めます。同じプログラムには、投票した人の名前・端末・IPアドレスを一覧にする画面もありました。

1位の票は5分ごとに500票ずつ自動で足されている

候補者の票数のデータは、誰でも開けるアドレス(api.telvorian.com)から返ります。10月23日の時点で、1位の候補者は約353万票、ほかの8人は約1.8万〜3.9万票でした。データの中には、候補者ごとに autoVotes の項目があり、1位だけが500、ほかの8人は1〜4です。

5分ごとに全員の票数が一斉に増え、増える数はそれぞれの「autoVotes」と同じでした。1位の票数は10時35分51秒の3,532,293票から、10時51分51秒には3,533,793票になっています。16分の間に、500票ずつ3回、合わせて1,500票が足されたことになります。

▼16分で1,500票増えた1位の票数のデータ

onlineanalystvoting-16分で1,500票増えた1位の票数のデータ

出典:api.telvorian.com

1日に直すと、1位には約14万票が自動で足される計算です。ページの「投票結果はシステムによりリアルタイムで集計され」という説明とは裏腹に、順位は運営が入れた数字で動いているとみられます。

金融庁は架空の企画で投票を頼む手口を挙げている

金融庁の「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」は、投資詐欺の可能性が高い事例をまとめた表の中で、「特典や褒賞などをきっかけに投資へ誘い込む事例」として次の手口を挙げています。

架空の企画(暗号資産業界で最も影響力のある人物グランプリなど)で投票を依頼し、候補者が上位入賞したように見せかけ、その見返りとして架空口座に褒賞金を支払ったように装うと同時に、暗号資産取引のためとして追加資金を入金させようとする。

▼架空の企画で投票を頼む手口を挙げた金融庁の表

onlineanalystvoting-架空の企画で投票を頼む手口を挙げた金融庁の表

出典:金融庁

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できません。また、金融庁の例は暗号資産の取引の話で、投資のメンターを選ぶとうたう本件とは商品が違います。

それでも、投票の企画を入口にして、候補者が上位に入ったように見せるという組み立ては、onlineanalystvoting.comと重なります。投票の企画への参加を求められたら、その後に入金の話が続かないかを疑い専門家に相談してください。

【参考】
・2026年バリュー投資メンター選考-候補者のデータ(https://api.telvorian.com/api/vote/voteCandidate)
・2026年バリュー投資メンター選考-管理画面のプログラム(https://ad.onlineanalystvoting.net/assets/js/index-CjZuokTJ.js)
・金融庁-それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!

実在の専門家と金融機関とアムンディの名前を借りた投票ページ

実在の名前と企画の関係。候補者や企業の名前が並ぶ。本人・企業の関与は未確認。公式の窓口で別途照合する。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

onlineanalystvoting.comは、運営の名前を示さない代わりに、実在する人や会社の名前を並べて信用を集める作りです。この章では、候補者、1位の紹介文、協力機関のロゴ、最下部の「Amundi」の名前、正規のアムンディ・ジャパンの注意喚起を順に見ます。

候補者9人は実在の経済学者やアナリストの名前と経歴

候補者の9人は、大学の教授や研究所の代表、証券会社出身のアナリストなど、投資の分野で知られる実在の人物の名前と経歴です。写真は、2026年7月13日の13時52分からの約2分間に8人分がまとめて置かれていました。

本人がこの企画に出ていると確かめられる発信は見当たりません。金融庁も、偽広告が「公式アカウントやウェブサイトで掲載されている写真を無断転載したりして本人を名乗ることもあります」と注意しています。名前や写真が本物でも、本人の公式の発信で確かめることが必要です。

1位の紹介文は実在の運用会社の日本の責任者の経歴をなぞっている

1位の紹介文は、実在の投資会社の日本の責任者という肩書きの長い文です。その会社の公式サイトのチーム紹介にも同じ名前の人物が載り、前職の会社名が紹介文と同じ順で並んでいます。

ただし写真は公式サイトとは別の画像で、ファイルが置かれたのもほかの8人の約22分後でした。1位の候補者だけを後から加え、経歴だけを公式サイトから借りたとみられます。

協力・支援機関の欄に実在の金融機関7社のロゴが並ぶ

ページの最下部には「協力・支援機関」の欄があり、国内外の資産運用会社・証券会社・銀行グループなど7社のロゴが並びます。ソースには、さらに8社目のロゴが画面に出ないように隠された形で残っていました。

これらの会社が、この企画に協力していると確かめられる発表は見当たりません。有名な会社のロゴが並んでいることは、その会社が関わっている証拠になりません。気になる会社は、その会社の公式サイトで確かめてください。

最下部の「Amundi FinTech Voting Platform」と会場の写真

ページの一番下には「© 2026 Amundi FinTech Voting Platform. 無断転載を禁じます。」とあります。運営を示す名前らしいものはこの1行だけです。「過去の盛り上がり」として載せた会場の写真にも、スクリーンに「Amundi ETF」の文字が写っています。

▼最下部にだけ出るAmundiの名前の1行

onlineanalystvoting-最下部にだけ出るAmundiの名前の1行

出典:onlineanalystvoting.com

アムンディ・ジャパン株式会社は、関東財務局長(金商)第350号の登録を受けた実在の会社です。ただし、この投票ページが正規のアムンディ・ジャパンのものであることを示す情報は確認できませんでした。

正規のアムンディ・ジャパンは主催者や提携先を装う事例を詐欺に挙げている

正規のアムンディ・ジャパンは、公式サイトの「【注意】当社名や役職員を装った詐欺にご注意ください」(2026年8月21日更新)で、詐欺の例を挙げています。その1つ目は次のとおりです。

当社や類似名称を使った偽ウェブサイトや偽広告
当社の公開情報を元に、当社のロゴ、社長名、顔写真などを無断使用し、当社が主催者または提携先であるかのように見せかける事例
(後略)

同じページは、アムンディ・ジャパンが行わないこととして、次の2つも挙げています。

(前略)
当社が一般のお客さまから直接金銭を受け取ること
当社が個人名義の銀行口座への振込を指示したり、税金・サービス料・違約金等の名目で追加の送金を求めたりすること
(後略)

▼主催者や提携先を装う事例を挙げたアムンディの注意喚起

onlineanalystvoting-主催者や提携先を装う事例を挙げたアムンディの注意喚起

出典:アムンディ・ジャパン

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、アムンディの名前を最下部に出す投票ページは、正規のアムンディ・ジャパンが挙げる「主催者または提携先」を装う形に当たります。

相手方の口座への振込や、出金の前の追加の支払いを求められたら、名前を使われた会社の公式の窓口に確かめることが大切です。次の章では、この投票ページを支えるアドレスと管理画面を調べます。

【参考】
・2026年バリュー投資メンター選考(https://www.onlineanalystvoting.com/)
・アムンディ・ジャパン-【注意】当社名や役職員を装った詐欺にご注意ください(https://www.amundi.co.jp/company/fraud)
・金融庁-SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!

1秒の間に取られた3つのアドレスと投資の予算を集める管理画面

三つのアドレスのつながり。登録日時は1秒差。別アドレスで同じ投票ページ。管理側に予算などの申込項目。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

投票ページ・管理画面・票のデータは、それぞれ別のアドレスに置かれています。この章では、3つのアドレスが取られた日時、同じページを返すもう1つのアドレス、管理画面が集めている申込の項目を確かめます。

投票ページと管理画面と票のデータのアドレスは1秒の差で取られた

3つのアドレスの登録の記録(RDAP)を調べると、登録の日時は次のとおりでした。

アドレス置かれているもの登録日時(日本時間)登録業者
onlineanalystvoting.net投票ページ(www・pc)と管理画面(ad)2026年7月6日 14時44分47秒Gname.com Pte. Ltd.
onlineanalystvoting.com投票ページ(相談で挙がったアドレス)2026年7月6日 14時44分48秒Realtime Register B.V.
telvorian.com票と設定のデータ(api)2026年7月6日 14時44分48秒(同時刻)Realtime Register B.V.

▼1秒の差で取られた.netの登録日時の記録

onlineanalystvoting-1秒の差で取られた.netの登録日時の記録

出典:rdap.verisign.com

登録業者が2社に分かれていても、3つのアドレスは1秒の差で取られています。名前の違うアドレスを、投票ページ・管理画面・データの置き場所という1つの仕組みとして、最初から用意したとみられます。

  • 3つとも、通信の暗号化に使う証明書は登録と同じ日付から発行されている
  • Internet Archive などの過去の画面の保存は、どのアドレスにも見当たらない
  • Googleセーフブラウジングの判定はなく、金融庁の無登録業者の一覧にも名前はない。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません

警告や保存の記録がないのは、作られてから日が浅いアドレスだからとみられます。検索で悪い評判が出てこなくても、アドレスの登録日を確かめることが判断の手がかりになります。

onlineanalystvoting.netは1バイトも違わない同じページを返す

相談で挙がったのは.comのアドレスですが、.netのアドレスを開いても、1バイトも違わない同じ投票ページが返ります。票のデータも、同じapi.telvorian.comから読み込みます。片方のアドレスが止められても、もう片方で同じページを出し続けられる作りです。

管理画面は年齢や職業と投資の予算を集める一覧も備えている

管理画面のプログラムには、投票とは別に「报名列表」(申込の一覧)という画面がありました。並ぶ項目は「昵称」(ニックネーム)、「年龄」(年齢)、「职业」(職業)、「投资阶段」(投資の段階)、「期望预算」(希望する予算)、「预期收益」(期待する収益)などです。

ほかに「慈善意向」(慈善の意向)の項目と、運営が書き込む「备注」(メモ)の欄もあります。画像では中国語が文字化けしていますが、英語の項目名で同じ並びが読めます。

▼年齢・職業・予算を一覧にする管理画面のプログラム

onlineanalystvoting-年齢・職業・予算を一覧にする管理画面のプログラム

出典:ad.onlineanalystvoting.net

今の投票ページには、この申込の入力欄はありません。それでも、投資にいくら出せるか、どれだけの収益を期待しているかを聞き取り、運営がメモを付けて管理する仕組みが、投票の企画と同じ管理画面に組み込まれています。

投票の企画に参加した後で、年齢や予算を尋ねられたら、そこで手を止めてください。

【参考】
・2026年バリュー投資メンター選考(https://www.onlineanalystvoting.net/)
・rdap.verisign.com-onlineanalystvoting.net(https://rdap.verisign.com/net/v1/domain/onlineanalystvoting.net)
・rdap.verisign.com-onlineanalystvoting.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/onlineanalystvoting.com)
・rdap.verisign.com-telvorian.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/telvorian.com)

投資の「メンター選考」や「アワード」への投票を頼まれたときの確かめ方

投票ページの確かめ方。表示と票数を見比べる。本人・企業の公式発信を探す。入金の話が出たら振込を止める。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

投票の企画を入口にする勧誘は、ページを上から順に見ていくだけでも、立ち止まる手がかりが見つかります。onlineanalystvoting.comで確かめた点を、ページを開いたときから最下部までの順に5つ並べます。

  • 開いた途端に「優勝」などの画像が重なり、ページを動かせない:閉じるボタンのない画面は、ほかの部分を読ませない作りです。結果の発表を見せられても、その企画が本当に行われたものかは分かりません。
  • 候補者に、名前の知られた専門家が並んでいる:本人の公式サイトや公式のSNSで、その企画に出ていると本人が書いているかを探してください。見つからなければ、名前だけを借りている可能性があります。
  • 1人だけ票が桁違いで、一定の間隔で増え続けている:時間をおいて2回開き、票の増え方を見比べてください。本件では、1位の票が5分ごとに同じ500票ずつ増えていました。
  • 「協力・支援機関」に有名な金融機関のロゴがある:その会社の公式サイトに、名前を使った詐欺への注意喚起が出ていないかを見てください。アムンディ・ジャパンは、主催者や提携先を装う手口を詐欺の例に挙げています。
  • 運営する会社の名前と所在地が、どこにも書かれていない:金融庁の「金融事業者一括検索」で、ページに出てくる名前を調べてください。登録が見つからない名前で投資を勧めてくる相手には、送金しないでください。

投票の企画が「メンター」の紹介につながり、そこから入金や口座の開設を勧められる流れになったら、その時点で振込を止めてください。ここに挙げた5点のどれかが見つかった段階で、振込の控えとやりとりの画面を手元に残し、専門家に相談してください。

【参考】
・金融庁-金融事業者一括検索
・アムンディ・ジャパン-【注意】当社名や役職員を装った詐欺にご注意ください(https://www.amundi.co.jp/company/fraud)

バリュー投資メンター選考の口コミは実在の名前に埋もれて見つからない

口コミが見つからない理由。検索には実在の情報が並ぶ。調べた投稿は見つからなかった。投稿がないことは安全の証拠ではない。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

「バリュー投資メンター選考」とonlineanalystvoting.comの名前で、X・Yahoo!知恵袋・5ちゃんねるを探しても、利用した人の投稿は見つかりませんでした。その理由を、1位の候補者の名前、「Amundi」の名前、知恵袋の過去の相談から確かめます。

1位の名前で検索すると実在の人事の報道が出てくる

投票ページの候補者は、実在の人物の名前です。1位の名前で検索しても、出てくるのは2024年12月の、実在の投資会社の人事を伝える報道でした。名前が本物であるほど、検索結果は本物の情報で埋まり、投票ページを怪しむ投稿にはたどり着きにくくなります。

「Amundi FinTech」で検索すると正規の会社の情報が並ぶ

投票ページの最下部の「Amundi FinTech」で検索すると、正規のアムンディの中国の子会社の発表や組織図が並びます。どれも実在の会社の情報で、投票ページに触れたものはありません。

アドレスも2026年7月に取られたばかりで、過去の画面の保存もありません。人の名前でも会社の名前でも本物の情報が先に出て、新しいアドレスは検索に引っかからないため、口コミとして積み重なりにくいとみられます。

投票を頼まれたという相談は知恵袋に以前からある

本件の名前ではありませんが、投票の企画を入口にする勧誘は、知恵袋に以前から相談が寄せられています。2026年1月14日の質問は次のような内容でした。

[証券会社の社長の名前]が「2025年アジアトップアナリストコンテスト」に出場されているので投票を求めるLINEがあります。これは投資詐欺ですか?

2024年3月1日の質問には、アナリストのコンテストの投票サイトについて、次のような回答がベストアンサーに選ばれています。

(前略)
カモを集めるために「香港国際証券アナリストコンテスト」のサイトを立ち上げ、[実在の投資家の名前]に投票する人は[人名]迄連絡
(中略)
架空のサイトを作るアプリをインストールさせそこで取引があったかの如く装い、出金請求は却下、もしくは追加入金要求、入金しなければ信用情報に傷つけると恐喝
(後略)

これは回答者個人の見方ですが、本件と照らすと投票ページが挙がり、出金できないまま追加の支払いを求められた点は重なります。一方で、投票した人を連絡先へ誘う部分は、本件の画面では確かめられませんでした。

時期も企画の名前も違うため、同じ運営とまでは言えません。それでも、投票の企画の名前を替えながら、同じ入口が使われ続けている可能性があります。企画の名前が違っても、投票の後に投資の話が出てきたら、その時点で立ち止まってください。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-2026年1月14日の質問(アナリストのコンテストへの投票を求めるLINEが届いたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10324290840)
・Yahoo!知恵袋-2024年3月1日の質問(香港株を使った詐欺のニュースについての相談)(https://finance.yahoo.co.jp/brokers-hikaku/experts/questions/q14294271674)

「金融庁の保証料」を払う前に確かめることと取り戻せる可能性

追加送金より先に記録を残す。保証料は払わずに止める。振込控えとやりとりを保存。警察や金融機関に相談する。事案名「バリュー投資メンター選考」を右上に示す説明図。

相談者は、出金できない残高を前に「金融庁からの保証料」を求められ、その支払いを止めています。一度は警察に「自分の意思」と伝え、相手とのやりとりも続いている段階です。

ここでは、保証料の扱い、警察への相談のし直し、振り込んだお金が戻る道、今のうちに残すものと相談先の4つを相談者の今の段階に沿って順に取り上げます。

求められた保証料はまず止めたままにしておく

金融庁は、金融庁が口座を指定してお金を振り込ませることはないとしています。「金融庁からの保証料」を払えば出金できるという話は、相手が示す画面と説明の上でしか成り立っていません。

これまで見てきたとおり、投票ページの票数は運営が打ち込める数字で、「優勝」の画像も運営のスイッチで出ていました。画面に出る数字が本物の結果とは限らない以上、出金できない残高を取り戻すために新たなお金を払う理由にはなりません。保証料は、払わずに止めたままにしておいてください。

「自分の意思」と伝えた後でも警察に相談し直せる

9月に警察で「自分の意思で取引している」と伝えたことは、相談し直す妨げにはなりません。振り込んだ先の口座を止めるかどうかの判断について、金融庁の「振り込め詐欺救済法 Q&A」は、Q10で次のように説明しています。

A 預金口座等が犯罪に利用されたと疑うに足りる相当な理由があるかどうかについては、金融機関が以下の事由その他の事情を勘案して判断します。
・ 捜査機関等からの、預金口座等の不正な利用に関する情報提供
(後略)

警察庁は、金融機関が詐欺の疑いのある取引に気づいたときに、警察へすぐ知らせる仕組みを作っています。

○ 警察庁及び都道府県警察は、金融機関のモニタリングにより詐欺の被害のおそれが高いと判断される取引を検知した場合に、関係する都道府県警察へ迅速に情報提供する連携体制を構築。(後略)

9月の銀行からの通告も、こうした仕組みの中で行われた可能性があります。振込の控えや明細を持って、警察相談専用電話(#9110)か最寄りの警察署に改めて被害として相談することが、口座を止める手続きの出発点になります。

振込先から別の口座へ移されたお金も対象になりうる

振り込め詐欺救済法の手続きでは、凍結した口座の残高が届け出た被害者に分けられます。同じQ&AのQ9は、直接振り込んだ口座のほかにも対象が広がる場合があると説明しています。

A 直接の振込先以外の預金口座等であっても、専ら資金を移転するために利用された疑いのある預金口座等であって、当該預金口座等の資金が振込先の資金と実質的に同じと認められるものについては、消滅手続の対象となる可能性があります。

▼振込先の先の口座も対象になりうるとする救済法Q&A

onlineanalystvoting-振込先の先の口座も対象になりうるとする救済法Q&A

出典:金融庁

口座を消す手続きの公告の期間は60日以上とされ(Q13)、その後に分配の手続きが続きます。相談者が振り込んだ先は、法人名義と個人名義の口座が入り混じり、いくつもの金融機関にまたがっています。お金がさらに先の口座へ移されていれば、どの口座まで追えばよいのかを個人で見きわめるのは簡単ではありません。

相手とのやりとりが続く今のうちに記録を残して相談する

相手とのやりとりが続けば、保証料の次にも別の名目の支払いを求められるおそれがあります。やりとりの画面、振込の控えと通帳の記帳、投票ページのアドレスを、消える前に手元に残してください。

相談先は1つではありません。請求の名目に迷うときは消費者ホットライン(188)、口座を止めるには警察と振込先の金融機関が窓口です。複数の口座の先までお金の流れを調べ、救済法の申請や、口座の名義人など相手への請求までまとめて任せたいときは、弁護士が手続きを代わりに進めることができます。

相手の言う次の支払いより先に、確かめられる事実を手元に集めることから始めてください。そのうえで、ひとりで抱え込まず、早めに専門家に相談することをおすすめします。

【参考】
・金融庁-「金融庁職員」等を装った詐欺等にご注意ください!!
・金融庁-振り込め詐欺救済法 Q&A
・警察庁-令和7年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

被害に気づいた今からでも、振込先口座や送金記録、相手とのやり取りを手がかりに、返金に向けた対応を検討できる場合があります。まずは、現在の状況をお聞かせください。

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