NY-ETF(m.nyetfcoin.com)で出金できない詐欺被害とは?税金を求められる流れ

名前に「ETF」を掲げ、日本語の画面には「投資信託」のタブまで置く投資サイト「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」をめぐる相談です。

相談者は出会い系サイトで知り合った相手とLINEでやり取りするうちに、このサイトを紹介されました。

相手が示した暗号資産交換業者の名義の口座へ振り込んだ後、出金を申請すると、税金を払わなければ出金できず、申請も取り消せないと告げられました。資金は引き出せないままです。

プログラムを調べると、タブを「投資信託」と呼ぶのは選べる13の言語のうち日本語だけで、中身は暗号資産の商品でした。サイト名と同じ「ETF」の銘柄は値段の出どころが「なし」と設定され、9月は設定の下限ちょうどで止まった日が18日ありました。

出金の申請を取り消す処理も税金を納める手順も、プログラムには見当たりません。本記事では、名前の「ETF」と画面の数字が何を意味するのかを弁護士が解説します。交換業者の名義の口座に入ったお金を取り戻す道筋は、相談先とあわせて最後の章にまとめました。

出会い系サイトからLINEを経てNY-ETFで出金を止められるまで

出金までの経緯。出会い系サイトで知り合う。相手が振込先を指定。申請後は取り消せないと通知。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

この章では、出会い系サイトでの出会いからLINEでの投資サイトの紹介、相手が示した口座への振込、出金の申請の後の税金の請求までを順にたどります。振込先を示したのは相手で、出金の条件を告げたのは紹介されたNY-ETF(m.nyetfcoin.com)の側でした。

出会い系サイトで知り合った相手とLINEを交換して投資を勧められる

始まりは出会い系サイトです。相談者は、そこで出会った相手とLINEの連絡先を教え合いました。投資の話が出たのはその後で、LINEの相手からm.nyetfcoin.comで開く投資のサイトを紹介されています。

紹介されたサイトのトップには「NY-ETF」の名前が掲げられ、BTC/USDTやETH/USDTといった暗号資産の値動きが並んでいます。相談者はこのサイトで投資を始め、取引の結果や利益もサイトの画面で確かめていました。

振込先は相手が示した暗号資産交換業者の名義の口座

振込先の口座は相手から示され、相談者は自分の銀行の口座からそこへ送金しています。取引明細の振込先の欄に記されていたのは、個人の名前でもNY-ETFの名前でもなく、国内の暗号資産交換業者の名前です。

交換業者の名義の口座は、交換業者の中の利用者ごとのアカウントへ入金するための口座とみられます。明細から分かるのは交換業者の名前までで、お金が誰のアカウントに入ったかは読み取れません。

警察庁の統計は、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺のそれぞれで、振込による被害のうち「暗号資産交換業者の口座に振込を行う暗号資産振込」を別に数えています。2026年1〜6月の暫定値で、SNS型投資詐欺のこの区分に入ったのは39件、被害額は3.2億円です。

▼交換業者の口座への振込を別に数える警察庁の統計

nyetfcoin-交換業者の口座への振込を別に数える警察庁の統計

出典:警察庁

警察庁と金融庁が2026年8月6日に日本暗号資産等取引業協会へ出した要請も、「特殊詐欺の被害金が暗号資産交換業者の口座宛てに送金される事例が発生している」ことを理由の一つに挙げています。交換業者の口座を経由させる送金に、警察と金融庁がそろって対策を求めている形です。

出金を申請すると税金を求められ申請は取り消せないと告げられる

相談者が利益を引き出そうと出金を申請すると、投資サイトの側から、税金を支払わなければ出金できないと連絡がありました。さらに、一度出した出金の申請は取り消せないとされ、引き出すことも申請を取り下げることもできない状態になっています。

国民生活センターは、暗号資産の相談を紹介するページの「最近の事例」に次の相談を載せています。

マッチングアプリで知り合った女性から暗号資産の運用を勧められた。儲かったので引出を求めたら税金を請求された。

▼引出を求めたら税金を請求された暗号資産の相談事例

nyetfcoin-引出を求めたら税金を請求された暗号資産の相談事例

出典:国民生活センター

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、出会いをきっかけに暗号資産の運用へ誘われ、引き出しの段階で税金という名目が出てくる点が本件と共通しています。

まとめると、出会い系サイトの相手にLINEでNY-ETFを紹介され、交換業者の名義の口座へ振り込んだ後、出金の段階で税金を求められて申請も取り消せないとされたことが、被害につながった経緯です。次の章では、名前に「ETF」を掲げるNY-ETFが日本語の画面で何を名乗っているかを確かめます。

【参考】
・NY-ETF(https://m.nyetfcoin.com/h5/#/)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・警察庁-暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について
・国民生活センター-暗号資産(仮想通貨)

NY-ETFのメニューは日本語の画面だけ「投資信託」を名乗る

同じ項目、異なる呼び名。日本語だけ「投資信託」。英語では「Finance」。商品の仕組みは暗号資産のデュアル投資。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

この章では、NY-ETFの画面の下に並ぶタブを日本語と英語で見比べ、そのタブの先にある商品の中身、ETFという言葉の本来の意味、日本で暗号資産のETFが作れるのかの4点を確かめます。どれも、NY-ETFが暗号資産の商品に「投資信託」という名前を付けている点に関わる事実です。

画面の下のタブの4つ目は日本語では「投資信託」

NY-ETFは、ログインしなくてもトップの画面を開けます。表示の言語を日本語にすると、画面の下に「ホーム」「市場」「取引」「投資信託」「資産」の5つのタブが並びます。

▼4つ目のタブが「投資信託」と出る日本語のトップ

nyetfcoin-4つ目のタブが「投資信託」と出る日本語のトップ

出典:m.nyetfcoin.com

サイトの名前の「ETF」と、4つ目のタブの「投資信託」は、どちらも証券取引所で売り買いされる金融商品を指して使われる言葉です。暗号資産の値動きが並ぶトップの画面で、この2つの言葉が並んでいることになります。

英語や韓国語など12の言語では同じタブが「金融」の意味

画面の右上のボタンから表示の言語を切り替えられ、選べるのは日本語を含む13の言語です。英語を選ぶと、トップの見出しやボタンが英語になり、同じ4つ目のタブは「Finance」に変わります。

▼同じタブが「Finance」と出る英語のトップ

nyetfcoin-同じタブが「Finance」と出る英語のトップ

出典:m.nyetfcoin.com

プログラムを調べたところ、画面に出す言葉を言語ごとに置き換えるための一覧では、このタブに韓国語の「금융」、繁体字中国語の「金融」、ドイツ語の「Finanzen」などが当てられていました。選べる13の言語のうち12の言語は「金融」「財務」の意味の語です。

「投資信託」にあたる語を当てているのは、選べる言語の中では日本語だけです。画面で選べない簡体字中国語の一覧には「投资信托」の語もありますが、言語を選んで使う利用者のうち、このタブを「投資信託」と読むのは日本語の画面を開いた人に限られます。

タブの先にあるのは暗号資産のデュアル投資

「投資信託」のタブを押した先の画面は、ログインしないと開けません。プログラムそのものを取得して確認したところ、この画面はBTCの値段を使う投資商品を並べるもので、データを受け取る通信先の名前には「dual」(デュアル)の語が使われていました。

商品の説明の欄に出す文は、プログラムの中で次の項目から始まります。

1.本商品は元本保証ではない投資商品です。市場変動により元本損失の可能性があります。

続く「決済ルール」では、満期の決済価格が「基準価格」を下回ればBTCで、基準価格以上ならUSDTで払い戻すと定めています。BTCの値段しだいで受け取る通貨が変わるこの形は、暗号資産の取引所が「デュアル投資」などの名前で扱う商品とみられ、株式や債券に投資する投資信託とは仕組みが違います。

ETFは取引所に上場している投資信託を指す言葉

ETFという言葉の意味は、日本取引所グループの用語集にこうあります。

ETFは日本語では上場投資信託をいいます。「Exchange Traded Fund」の頭文字をとったもので、金融商品取引所に上場している投資信託です。

▼ETFを上場投資信託と説明する日本取引所グループの用語集

nyetfcoin-ETFを上場投資信託と説明する日本取引所グループの用語集

出典:日本取引所グループ

暗号資産を投資の対象とするETFについては、金融庁が2025年12月の税制改正の資料で、日本では「現在は組成不可(政令改正必要)」と示しています。2026年10月27日の時点で、組成を可能にする政令の公布は確認できませんでした。

▼暗号資産のETFを「現在は組成不可」とする金融庁の資料

nyetfcoin-暗号資産のETFを「現在は組成不可」とする金融庁の資料

出典:金融庁

サイトの名前やメニューに「ETF」「投資信託」とあっても、その商品が取引所に上場しているかは、日本取引所グループのETFの銘柄一覧で確かめられます。次の章では、NY-ETFの中で「ETF」という名前の銘柄の値段がどこから来ているかを見ます。

【参考】
・NY-ETF(https://m.nyetfcoin.com/h5/#/pages/index/index)
・日本取引所グループ-ETF(いーてぃーえふ)
・日本取引所グループ-ETF銘柄一覧
・金融庁-令和8(2026)年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-

サイト名の「ETF」の銘柄は値段の上限と下限を運営が決めている

設定値と値動き。ETF/USDTの値段の出どころは「无」。最安値が設定の下限と一致。下限で止まった日が18日。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

NY-ETFの市場の画面には、BTCやETHと並んで「ETF/USDT」という銘柄があります。この章では、ログインせずに取得できる銘柄の設定のデータと、日ごとの値動きのデータから、この銘柄の値段の出どころ、60日間の最安値、同じ期間のBTCとの値上がり率の違いを確かめます。

ETF/USDTの値段の出どころは「无」と設定されている

データを調べたところ、銘柄の設定には、値段をどこから取るかを示す欄がありました。BTC/USDTやETH/USDTの行では、出どころの名前が「火币接口」です。「火币」は暗号資産の取引所Huobiの中国語の名前で、「接口」は接続口を指します。

これに対し、ETF/USDTの行は出どころの番号が「0」、名前が「无」(中国語で「なし」)でした。同じ行には、値動きの下限(fluctuate_min)として「5015.65955000」、上限(fluctuate_max)として「6807.82700000」が入っています。

▼値段の出どころが「无」で下限と上限を持つETFの設定

nyetfcoin-値段の出どころが「无」で下限と上限を持つETFの設定

出典:m.nyetfcoin.com

出どころが「无」の銘柄はETF/USDTを含めて11あり、どれも値段が下限と上限の間に収まっています。一方、BTC/USDTの行の下限と上限は46100〜47000で、取得した時点の値段は約79,661とその範囲の外です。下限と上限が効いているのは、取引所から値段を取らない銘柄だけとみられます。

最安値が設定の下限と同じ値で止まった日が18日ある

ETF/USDTの日ごとの値動きを、8月29日から10月27日までの60日分取り出すと、最安値は5015.65955でした。設定の下限と、小数点以下5桁まで同じ値です。

下限ちょうどで止まった日は60日のうち18日あり、すべて9月1日から9月30日までの間でした。値が下がっても下限を割らず、同じ数字で止まる日が繰り返されています。

▼下限と同じ値が並ぶ9月1日からの日足のデータ

nyetfcoin-下限と同じ値が並ぶ9月1日からの日足のデータ

出典:m.nyetfcoin.com

ページ内検索の件数の20件は、最安値(low)の18件に、始値(open)と終値(close)が下限と同じだった日の各1件を足した数です。出どころが「无」のもう一つの銘柄NFT/USDTでも、同じ60日間の最高値は2400で、設定の上限とちょうど同じでした。

同じ60日間でBTCの6倍以上の値上がり率になっている

ETF/USDTは同じ60日間に、始値5057.76から10月27日の取得時点の5829.35へと15.3%上がりました。BTC/USDTは2.3%の上昇で、ETF/USDTの値上がり率はその6倍以上です。値上がりした日の日数も、BTC/USDTの29日に対してETF/USDTは35日でした。

10月に入ると、ETF/USDTは9月の間に何度も止まった下限から離れ、10月27日に取得した時点の値段は下限より16.2%高い水準にあります。値段の出どころがない銘柄で、下限で止まる月と上がっていく月が分かれていることになります。

前の章の日本取引所グループの用語集は、ETFを取引所に上場している投資信託と説明し、同じページで売買の方法は株券と同じとしています。NY-ETFの「ETF」の銘柄は、取引所での売り買いではなく、運営の設定した範囲の中で値段が動くとみられます。

暗号資産の銘柄の値段は、ほかの暗号資産の取引所にも同じ銘柄があれば、同じ時刻の値段を見比べられます。サイトの中にしかない銘柄の値段は見比べる先がないため、そのサイトの数字だけを信じて入金しないことが大切です。

【参考】
・NY-ETF-銘柄の設定のデータ(https://m.nyetfcoin.com/api/currency/quotation_new)
・NY-ETF-ETF/USDTの日足のデータ(https://m.nyetfcoin.com/api/currency/new_timeshar?symbol=ETF/USDT&period=1day&from=1787932800&to=1793116800)
・NY-ETF-BTC/USDTの日足のデータ(https://m.nyetfcoin.com/api/currency/new_timeshar?symbol=BTC/USDT&period=1day&from=1787932800&to=1793116800)

NY-ETFには出金の申請を取り消す手段が利用者の画面にない

出金申請の先を確認。出金画面と記録画面に取消ボタンなし。出金取消の通信先は見つからない。税額や納付先の画面も見当たらない。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

この章では、出金の申請と記録の画面、プログラムに用意された取り消しの処理、税金を納める手順の有無の3点を確かめます。これらは利用者がログインした後に使う画面です。そこで、NY-ETFが読み込むプログラムそのものを取得し、画面の部品と通信先を1本ずつ調べました。

出金の画面にも履歴の画面にも取り消しのボタンがない

出金の画面では、通貨と金額を入れ、受け取り先として暗号資産の出金アドレスか銀行口座を選びます。申請のボタンを押すと、入力した内容がサーバーへ送られ、返ってきた文を画面に出して金額の欄を0に戻します。出金の画面の処理はそこで終わりです。

出金の記録は「ログ」という画面に、入金の記録とまとめて並びます。1件ごとに出るのは名前、金額、「入金」か「出金」かの区別、日時の4つで、押して操作できるボタンは1つもありません。申請が手続き中かどうかを示す表示もありません。

相談者は、出金の申請は取り消せないと告げられています。申請を送る画面にも、記録を見る画面にも取り消しの手段が置かれていないこの作りと告げられた内容は食い違いません。

取り消しの処理は預け入れとコピートレードにだけある

NY-ETFが読み込むプログラムは94本あります。サーバーとやり取りする通信先の名前を全部抜き出すと、出金に関わるのは申請を送る「/wallet/out」と、記録を読み出す「/user/withdraw/list」の2つだけでした。

▼出金の通信先が申請と記録の2つだけのプログラム

nyetfcoin-出金の通信先が申請と記録の2つだけのプログラム

出典:m.nyetfcoin.com

名前に「cancel」(取り消し)を含む通信先も、2つしかありません。暗号資産を預けて増やすとうたう「ロックマイニング」の注文を「償還」する「/lh/deposit/order/cancel」と、ほかの利用者の取引をまねる「トレードコピー」を「フォロー解除」する「/follow/cancel」です。

▼取り消しの通信先は償還とフォロー解除の2つだけ

nyetfcoin-取り消しの通信先は償還とフォロー解除の2つだけ

出典:m.nyetfcoin.com

出金の申請を取り消す通信先は、プログラムのどこにもありません。預けた商品を途中で解約する処理は用意しながら、出金だけは一度送ると利用者の側から戻せない作りです。

出金の前に求められた税金を納める手順はプログラムにない

出金の前に求められた税金についても、プログラムに手がかりはありません。94本を「税」で探して出てきたのは中国の地名の一部だけで、「tax」もポルトガル語の「taxa」(率)の一部しかありませんでした。税額を計算する画面も、納める先を示す画面もありません。

国税庁の「不審なメール等」のページには、注意事項の2つ目に次の一文があります。

(前略)
また、国税の納付の求めや差押えに関して、ショートメッセージやメール、LINEによるメッセージを送信することはありません。

▼LINEで納付を求めないとする国税庁の注意事項

nyetfcoin-LINEで納付を求めないとする国税庁の注意事項

出典:国税庁

これは国税庁の名前をかたる詐欺への注意喚起ですが、税金の納付をLINEのメッセージで求めることはないと、国税庁自身が明言しています。出金の条件として税金の支払いを持ち出されたら、払う前に、税務署や警察相談専用電話(#9110)に相談してください。

次の章では、NY-ETFが自らについて示している会社概要と、サイトのアドレスの登録情報、チャットの窓口のアドレスを確かめ、サイトを動かしている運営者について、表に出ている情報から何が分かるかを見ます。

【参考】
・NY-ETF-プログラム(https://m.nyetfcoin.com/h5/static/js/index.254cd485.js)
・国税庁-不審なメール等

NY-ETFの会社概要は「我是英文」の繰り返しで窓口は別のアドレス

公開情報を照合。会社概要に社名や所在地なし。サイトと窓口は別のアドレス。登録記録だけでは運営者を特定できない。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

この章では、NY-ETFの会社概要とよくある質問のページ、nyetfcoin.comの登録情報と証明書の発行記録、チャットの窓口として使われる別のアドレスの登録情報を順に確かめます。いずれの記録からも、NY-ETFを運営する会社がどこの誰なのかは分かりませんでした。

会社概要とFAQは中国語の仮の文のまま残されている

NY-ETFには、会社について説明するページ(アドレスの末尾が「aboutus」)があり、ログインせずに開けます。プログラムを調べた範囲では、ほかの画面からこのページへ移るリンクは見つからず、アドレスを直接入れたときだけ表示されます。

ページの題は「我是英文」で、本文も同じ4文字の繰り返しです。「我是英文」は中国語で「私は英語です」という意味で、英語の文を入れる場所に置かれた仮の文とみられます。

▼題も本文も「我是英文」が続く会社概要のページ

nyetfcoin-題も本文も「我是英文」が続く会社概要のページ

出典:m.nyetfcoin.com

データを調べたところ、このページの文は日本語を指定して取り出しても英語の版が返り、書いた人の欄は「管理员」(中国語で「管理者」)でした。よくある質問のページも、本文は「FAQFAQ」だけです。2つのページのどちらにも、運営者を特定できる社名や許認可の番号は出てきません。

nyetfcoin.comの登録と証明書の発行は同じ日の夕方に続く

現在稼働しているm.nyetfcoin.comは、登録されたドメインnyetfcoin.comの下に作られたアドレスです。10月27日の時点では、nyetfcoin.comやwww.nyetfcoin.comを入れても画面は開かないため、登録情報はnyetfcoin.comで調べます。

nyetfcoin.comをRDAP(ドメインの登録情報を公開する仕組み)で引くと、「registration」の欄の日時は「2026-06-29T08:20:00Z」でした。日本の時刻に直すと2026年6月29日の17時20分で、末尾の「Z」は協定世界時の印です。

▼nyetfcoin.comの登録日時を示すRDAP

nyetfcoin-nyetfcoin.comの登録日時を示すRDAP

出典:rdap.verisign.com

同じ日のうちに、手続きが続いています。証明書の発行記録では、nyetfcoin.comの最初の証明書の有効期間が17時44分(日本時間)から始まり、登録情報の最終更新は18時43分でした。登録から証明書、登録情報の更新までが3時間足らずのうちに続いたことになります。

チャットの窓口のアドレスも6月29日に設定が変わった

NY-ETFのチャットの窓口を開くプログラムは、nyetfcoin.comではなく、別のアドレスchat.online26.comの画面を開きます。ログインしていれば、利用者の番号とアカウントの番号をアドレスに付けて渡す作りです。

▼窓口にchat.online26.comを開くプログラム

nyetfcoin-窓口にchat.online26.comを開くプログラム

出典:m.nyetfcoin.com

online26.comの登録情報を見ると、最後に更新されたのは2026年6月29日19時07分(日本時間)でした。nyetfcoin.comが登録された日の夜で、ネームサーバーも、nyetfcoin.comと同じ「AITANA」と「SHANE」の組です。

▼6月29日に更新されたonline26.comのRDAP

nyetfcoin-6月29日に更新されたonline26.comのRDAP

出典:rdap.verisign.com

nyetfcoin.comとonline26.comの登録情報を、表にまとめます。

項目nyetfcoin.comonline26.com
登録日時(日本時間)2026年6月29日 17時20分2025年7月18日 19時39分
最終更新(日本時間)2026年6月29日 18時43分2026年6月29日 19時07分
レジストラNameMart Pte. Ltd.Key-Systems
ネームサーバーaitana.ns.cloudflare.com/shane.ns.cloudflare.comaitana.ns.cloudflare.com/shane.ns.cloudflare.com
使われ方取引のサイト(m.nyetfcoin.com)チャットの窓口(chat.online26.com)

online26.comは2025年7月に登録し直されたアドレスで、Internet Archiveの保存版では、それより前は別の内容のサイトでした。2023年12月の保存版の題は「Online – LIVE-Streaming」です。

画面の記録や警告の有無も調べました。

  • Internet Archive・archive.today・urlscan.ioに、nyetfcoin.comの画面の記録は0件
  • Googleのセーフブラウジングでは、m.nyetfcoin.comに判定なし(不審の表示がないことは安全の根拠にならない)
  • 金融庁の無登録業者の一覧に、NY-ETF・nyetfcoin.comの掲載なし(掲載がないことも安全の根拠にはならない)

運営する会社の名前が分からないサイトでは、金融庁に登録された暗号資産交換業者かどうかを確かめる手がかりもありません。

会社概要に名前と所在地がなく、アドレスが取られて間もないサイトから入金を求められたら、振り込む前に家族や警察相談専用電話(#9110)など信頼できる第三者に相談してください。

【参考】
・NY-ETF-会社概要(https://m.nyetfcoin.com/h5/#/pages/common/aboutus) 

・NY-ETF-よくある質問(https://m.nyetfcoin.com/h5/#/pages/common/faq)
・NY-ETF-チャットの窓口のプログラム(https://m.nyetfcoin.com/h5/static/js/pages-kefu-index.434debcb.js)
・RDAP-nyetfcoin.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/nyetfcoin.com)
・RDAP-online26.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/online26.com)
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について

振込先の名義からETFの値段まで順に確かめる

振込前後の確認点。明細と公的な一覧で照合。出金と税金の手順も確認。該当すれば記録を残して相談。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

ここまでの章で見た不審な点は、お金を振り込む前から出金を求める段階まで、お金が動く順に並べ直せます。次の5つは、相手の言葉ではなく、明細やサイトの画面、公的な一覧で自分で確かめられるものです。

  1. 振込先の名義:示された口座の名義が、投資サイトの運営会社ではなく国内の暗号資産交換業者なら、お金は交換業者の中の誰かのアカウントに入るとみられます。そのアカウントが誰のものか説明を受けないまま、振り込まないでください。
  2. 商品の呼び名:「ETF」「投資信託」を名乗る商品は、日本取引所グループのETFの銘柄一覧に載っているかを見ます。表示の言語を英語に変更して、同じメニューの呼び名が変わらないかも確かめられます。
  3. 値段の出どころ:同じ名前の銘柄が、ほかの暗号資産の取引所にもあるかを探します。サイトの中にしかない銘柄は、NY-ETFのETF/USDTのように、運営の設定した範囲で値段が動く作りかもしれません。
  4. 出金の手続き:出金を申請する前に、記録の画面で申請の状態が分かるか、取り消しのボタンがあるかを見ます。申請の後に取り消せないと告げられたら、続けて求められる支払いには応じないでください。
  5. 税金の納め方:出金の前に税金を求められたら、サイトの中に税額や納める先を示す画面があるかを見ます。国税庁は、国税の納付をLINEのメッセージで求めることはないとしています。

5つのうち1つでも当てはまれば、追加の振込を止め、それまでの振込の明細と相手とのLINEのやり取りを残しておいてください。そのうえで、警察相談専用電話(#9110)や弁護士など、信頼できる第三者に早めに相談することが大切です。

次の章では、NY-ETFの名前で口コミや被害の報告を探した結果を見ます。

【参考】
・日本取引所グループ-ETF銘柄一覧
・国税庁-不審なメール等

NY-ETFを検索しても出てくるのは本物のETFと返金の宣伝

検索結果の見分け方。名前では実在のETFの話題が混じる。ドメイン検索では返金宣伝にも注意。相談が見つからなくても安全とは限らない。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

2026年10月27日に、NY-ETFとnyetfcoin.comの名前で、Yahoo!知恵袋、X(Yahoo!リアルタイム検索)、5ちゃんねる、爆サイ等を調べました。利用者の相談は見つからず、検索結果に並んだのは、実在のETFの話題と返金をうたう宣伝でした。

NY-ETFを挙げた相談は知恵袋にも掲示板にもない

Yahoo!知恵袋で「nyetfcoin」や「NY-ETF 出金」と入れると、どちらも「一致するQ&Aは見つかりませんでした」と表示されます。リアルタイム検索のXの投稿も0件で、5ちゃんねると爆サイにも、この名前を挙げた書き込みはありませんでした。

nyetfcoin.comが登録されたのは2026年6月29日で、調べた日まで4か月足らずです。前の章で見たとおり会社概要に社名もないため、利用者が手がかりにできる名前は「NY-ETF」とアドレスしかありません。

相談者が投資に誘われたのは、出会い系サイトで知り合った相手とLINEで交わしたメッセージの中でした。同じ相手から誘われた人どうしが顔を合わせる場がなく、サイトの名前で書き込みが集まる形になりにくい事案とみられます。

「NY」と「ETF」に分かれて実在のETFの話題が並ぶ

知恵袋の検索欄に「NY-ETF」とだけ入れると、表示された10件は、すべてNYダウに連動する上場投資信託の買い方や値動きを尋ねる質問でした。検索の仕組みが「NY」と「ETF」を別の語として扱い、実在のETFの話題を拾うためとみられます。

5ちゃんねるでも「NY-ETF」で引くと、株式の相場のスレッドなど、この名前と関係のない書き込みばかりが出てきます。サイトの名前そのものが、本物の金融商品の話題に紛れる言葉でできていることになります。

名前で探しても見つからないときは、「nyetfcoin.com」のようにアドレスで検索すると、名前の一般の言葉に引きずられずに済みます。アドレスで出てくる情報が、次に見る宣伝ばかりであることも確かめておきたい点です。

上位の返金の宣伝は名前を差し替えれば使える定型文

Yahoo!検索で「nyetfcoin」を調べると、上位には調査会社の記事に混じって、アメブロや台湾のブログサービスの「NY-ETF(nyetfcoin.com)って詐欺なの?」「お金が戻らない」といった題の記事が並びます。

このうちアメブロの1つのブログは、10月23日の16時19分から16時27分までの約9分の間に、「【緊急確認】〇〇って詐欺なの?」という同じ題の型の記事を少なくとも20本投稿していました。NY-ETFの記事はその1本で、16時25分の投稿です。

NY-ETFの記事と、同じ時間帯に出た別の名前の記事を名前とアドレスだけ入れ替えて比べると、本文は完全に同じでした。本文はNY-ETFの画面や入金の方法には触れず、5種類の詐欺の一般論と、LINEの個人のアカウントへの連絡を促す文でできています。

本件の名前を挙げているように見えても、中身は名前を入れ替えるだけで別の事案に使える文章です。こうした宣伝からLINEで連絡し、返金の手続きの費用などを求められても支払わず、相談は警察相談専用電話(#9110)や弁護士など、身元が確かな窓口に向けてください。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-「NY-ETF」の検索結果(https://chiebukuro.yahoo.co.jp/search?p=NY-ETF)
・Yahoo!知恵袋-「nyetfcoin」の検索結果(https://chiebukuro.yahoo.co.jp/search?p=nyetfcoin)

交換業者の名義の口座へ振り込んだお金を取り戻すには

止めて、残して、相談。追加の税金は払わず相談。明細とやり取りを保存。警察・交換業者・銀行へ早めに連絡。事案名「NY-ETF(m.nyetfcoin.com)」を右上に示す説明図。

出金を申請した後に税金を求められ、申請も取り消せないとされた今、気になるのは、税金を払えば出金できるのか、交換業者の名義の口座に振り込んだお金は止められるのか、その先の相手に返金を求めるにはどうするのかの3つでしょう。順番に使える制度と相談先を見ていきます。

税金を払えば出金できるといわれても支払いは止める

警視庁は「暗号資産(仮想通貨)の投資詐欺に注意!」のページで、よくある相談の事例を順に挙げています。4つ目では、利益を引き出そうとして引き出せず、相手に「引き出すためには手数料が必要だよ」と言われて振り込んでいます。続く5つ目は次のとおりです。

手数料をいくらも支払っても、結局、投資した数百万円のお金は引き出せなかった。また、相手や投資サイトとも連絡が取れなくなった。

▼手数料を払っても引き出せなかった警視庁の相談事例

nyetfcoin-手数料を払っても引き出せなかった警視庁の相談事例

出典:警視庁

NY-ETFのプログラムには、前の章までで見たとおり、税額を計算する画面も納める先を示す画面もありません。払っても出金につながる手順がサイトの中に見当たらない以上、求められた税金の支払いは、いったん止めることが先です。

払うかどうか迷っている段階でも、警察相談専用電話(#9110)に相談できます。

交換業者の名義の口座への振込は警察と交換業者に早く伝える

警察庁と金融庁が2026年8月6日に日本暗号資産等取引業協会へ出した要請には、対策の7つ目として「疑わしい取引検知後の顧客への確認、取引制限及び口座凍結等の措置の迅速化」が挙げられています。交換業者の中の口座を、疑わしいと分かった時点で早く止めるよう求めたものです。

▼疑わしい取引の後の口座凍結を求める警察庁の要請

nyetfcoin-疑わしい取引の後の口座凍結を求める警察庁の要請

出典:警察庁

交換業者が動くには、どの振込がどのアカウントへの入金なのかが分かる材料が要ります。振込の明細、口座を示した相手とのLINEのやり取り、NY-ETFの画面を保存したうえで警察に相談し、振込先の名義の交換業者と、振込に使った銀行にも早めに連絡してください。

止められるかどうかは交換業者の判断で、お金が戻ると決まるわけではありません。それでも、相手のアカウントからお金が外へ移される前に伝えることに意味があります。暗号資産や投資の取引の困りごとは、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)でも受け付けています。

交換業者のアカウントの持ち主を突き止めるには照会の手続きが要る

犯罪収益移転防止法は、暗号資産交換業者を、取引の相手の本人確認(取引時確認)を義務づける事業者に挙げています。

警察庁と金融庁の同じ要請も、1つ目に「口座開設時における不正防止及び実態把握の強化」を求めています。振り込んだお金が入ったアカウントの持ち主の名前や住所は、交換業者の記録の中にあるはずです。

ただし、相談者が交換業者に尋ねても、ほかの利用者の情報を教えてもらうのは難しいとみられます。返金を求める相手を特定する方法の1つが、弁護士法第23条の2に定められた照会です。

弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。
(後略)

照会に応じるかは照会を受けた先の判断で、裁判所の手続きを通じて情報を求める方法もあります。どの手続きで、誰に、どの振込の分を求められるかは、振込の記録とやり取りの中身によって変わります。

記録を手元にまとめたうえで、弁護士などの専門家に相談すれば、使える手続きとその順番を一緒に整理できます。

【参考】
・警視庁-暗号資産(仮想通貨)の投資詐欺に注意!
・警察庁-暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について
・金融庁-金融サービス利用者相談室
・e-Gov法令検索-犯罪による収益の移転防止に関する法律
・e-Gov法令検索-弁護士法

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

被害に気づいた今からでも、振込先口座や送金記録、相手とのやり取りを手がかりに、返金に向けた対応を検討できる場合があります。まずは、現在の状況をお聞かせください。

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