SNSで知り合った人物にFXを勧められ、IC Marketsの名前を表示するLINEのアカウントから、登録先の「user.icmraketad.cc」と取引サイトの「trade.icmrakegod.top」を案内されたという相談が寄せられています。
相談者が3つの口座へ振り込んだ後、相手は1万ドルの無利息ローンを取引口座に入れたと告げました。そのうえで、出金の前に返済が必要だとして期限を区切って支払いを求めています。
調べると、取引サイトのプログラムにローンや返済の仕組みはなく、口座にお金を足す項目は「クレジット」の欄だけでした。登録先は会社の名前を出さないまま身分証の表と裏の画像を求め、取引サイトのロゴは正規のIC Marketsのアプリのアイコンと同じ絵柄です。
本記事では、2つのアドレスの調査結果を正規のIC Marketsの説明と突き合わせます。返済を求められたときに確かめることと、振り込んだお金を取り戻すための相談先を弁護士が解説します。
IC Marketsを名乗るLINEに無利息ローンの返済を迫られるまで

この章では、SNSでの勧誘から、登録先と取引サイトの案内、3つの口座への振込、1万ドルの無利息ローンの返済を求められるまでを順にたどります。登録先も取引サイトも返済の話も、IC Marketsの名前を表示するLINEのアカウントから届いています。
SNSで知り合った人物からIC Marketsを名乗るLINEへ
最初の接点はSNSです。そこで知り合った人物がFXの投資を勧め、やり取りはLINEに移りました。相談者がLINEで連絡を取るようになったのは、画面にIC Marketsの名前を表示するアカウントです。
このアカウントが相談者に求めたのは、IC Marketsの口座を開設することです。IC Marketsは海外のFX業者として名の知られた会社ですが、本件のアカウントやサイトが正規のIC Markets(今の呼び名はIC)によって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。
口座開設の登録先と取引サイトのアドレスをLINEで受け取る
LINEのアカウントは、口座の開設に必要だとして、個人情報を入力する登録先のアドレス「user.icmraketad.cc/register/fast」を送ってきました。続いて案内されたのが、取引サイトのアドレス「trade.icmrakegod.top」です。
登録先と取引サイトは、それぞれ別のアドレスで届いています。取引サイトのログイン画面には「IC Markets」の見出しが出ており、相談者はこのサイトをIC Marketsの取引画面として案内されたことになります。
3つの口座へ振り込んだ後に1万ドルの無利息ローンを告げられる
投資の資金として、相談者は銀行振込を3回行いました。振込先は個人名義の口座が2つと法人名義の口座が1つで、振り込むたびに名義の違う口座です。どの名義も、IC Marketsの名前とは関係がありません。
振込の後、相談者は紹介者の勧めで、IC Marketsを表示する相手から1万ドルを借りていると話しています。LINEでは、無利息ローンの申請が完了し、1万ドルが取引口座に入金されたと説明されました。
返済期限と法的手続きや訪問による催告を持ち出される
同じ説明の中で、相手は、取引口座に入ったとする1万ドルを使うには先に返済が必要だと告げています。ローンは取引口座から差し引けないので、出金の前に返済しなければならないという理屈です。
別のメッセージでは、ローンの返済期限が11月8日とされ、遅れた場合には法的手続きや訪問による催告が行われる場合があると書かれていました。期限を区切り、手続きや訪問を持ち出して支払いを急がせる内容です。
まとめると、IC Marketsを名乗るLINEに案内されて3つの口座へ振り込んだ後、1万ドルの無利息ローンの返済を出金の前に期限つきで求められたことが、被害につながった経緯です。次の章では、trade.icmrakegod.topにこのローンを扱う仕組みがあるのかを確かめます。
【参考】
・trade.icmrakegod.top-ログイン画面(https://trade.icmrakegod.top/)
・user.icmraketad.cc-登録の画面(https://user.icmraketad.cc/register/fast)
trade.icmrakegod.topにあるのはローンではなく「クレジット」の欄

この章では、相手が「取引口座に入金された」とする1万ドルの無利息ローンについて、取引サイトのプログラムで確かめた結果を挙げます。ローンを申し込む処理も返済の処理も見当たらず、口座にお金を足す項目として出てくるのは「クレジット」の欄だけでした。
ローンを申し込む画面も返済する画面もプログラムにない
trade.icmrakegod.topは、ログイン画面に「IC Markets」と、サーバの欄に「IC Markets-Live」を表示する取引サイトです。画面を作るプログラムはログインしなくても取得でき、取引や入出金、履歴の画面の文字と処理がまとめて書かれています。
「loan」(ローン)の語をこのプログラムの中で探しても、1か所も出てきません。返済を表す「repay」も見つからず、ローンを申し込む画面も返済する画面も、残高から差し引く処理もありません。
▼「loan」が0件の取引サイトのプログラム

出典:trade.icmrakegod.top
口座開設の登録先であるuser.icmraketad.ccのプログラムも、読めないように加工された文字を元に戻して調べましたが、ローン・返済・借入の語はありませんでした。相手の言う無利息ローンは、2つのサイトの仕組みの外で語られている話とみられます。
「クレジット」の中国語の訳は「贷款」(ローン)
取引サイトのプログラムの中で、口座にお金を足す項目として出てくるのは「Credit」だけです。画面に出す言葉を言語ごとに置き換えるための一覧では、日本語の「クレジット」に並んで、中国語の訳が「贷款」になっています。
「贷款」は、中国語でローンや貸付を指す言葉です。英語や日本語の画面では「クレジット」と表示される同じ欄が、中国語の画面ではローンの意味の言葉で表示されることになります。
▼口座の項目「Credit」が書かれた取引サイトのプログラム

出典:trade.icmrakegod.top
プログラムを調べたところ、口座の画面では、この欄の数字が0でないときにだけ「クレジット」の行が表示され、残高と評価損益に足した額も示されます。利用者の画面にはクレジットを申し込む手続きも返す手続きもなく、数字は履歴の記録として口座に足される作りです。
正規のICのクレジットは入金に付くボーナスで返済はない
正規のIC Markets(今の呼び名はIC)も、取引口座に「クレジット」を足すことがあります。ICの入金ボーナスのページは、入金に対して追加の取引クレジットが付くと説明し、よくある質問に次の答えを載せています。
入金ボーナスは引き出せますか?
いいえ、ボーナスは引き出しできません。(後略)
一部または全額を引き出した場合はどうなりますか?
一部または全額の引き出しは、引き出した金額に基づいてボーナスクレジットの比例的な削除につながります。
▼クレジットは引き出せず比例して削ると答える正規のIC

出典:IC
ICが公表している仕組みでは、クレジットは入金に付き、出金すれば比例して減るだけで、返済を求める話は出てきません。「ローンは取引口座から差し引けないので、出金の前に返済が必要」という相手の説明は、IC自身が示すクレジットの扱いと食い違います。
相手が入れたとするお金の返済を迫る事例
国民生活センターは、2021年2月18日の資料で、出会い系サイトやマッチングアプリをきっかけとする投資の相談を紹介しています。そのうち事例5は、投資アプリの口座に勧誘者の側からお金が送られてきた後、返済を迫られたという相談です。
(前略)
おかしいと思ったところ、女性から、「半分出すから100万円入金するように」と言われ、私の投資アプリの口座に100万円が送られてきたので、すぐに無料通話アプリのIDをブロックしたが、異なるIDから「100万円を返さないと訴える」と言われた。
(後略)
同じ資料は、問題点として次のように指摘しています。
(前略)
このようにして振り込まれた消費者の口座が、勧誘者の誘いによって開設したものである場合、口座自体が架空であり、振り込まれた出資金についても、消費者を信じ込ませるための見せかけのデータにすぎない可能性があります。
▼口座に送られた100万円の返済を迫られた相談事例

出典:国民生活センター
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、相手の側から口座にお金が入ったことにして、その返済を求める流れは本件と重なります。事例5は「出資」の名目で、本件は「無利息ローン」の名目という違いがあります。
画面の口座に相手の側から入ったとされる数字は、相談者が受け取ったお金とは限りません。その数字を理由に「返済」を求められたら、振り込む前にサイトに返済の仕組みがあるのか、数字がどこから来たのかを確かめる必要があります。
【参考】
・trade.icmrakegod.top-取引画面のプログラム(https://trade.icmrakegod.top/main.5e0658fd597233d67805.js)
・IC-FX入金ボーナス(https://www.ic.com/jp/introduction/deposit-bonus)
・国民生活センター-出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺にご注意を-恋話(コイバナ)がいつの間にかもうけ話に-
user.icmraketad.ccは名前を出さずに身分証の画像を集める

この章では、LINEで「IC Marketsの口座の開設に必要」として送られてきた登録先のuser.icmraketad.ccを取り上げます。画面には会社の名前もロゴもないまま、身分証明書の表と裏の画像を求める欄が並び、IC Marketsの名前は画面の裏で読み込まれる設定の中にだけありました。
登録の画面にはIC Marketsの名前もロゴも出てこない
送られてきたアドレスを開くと、ブラウザのタブに「クイック登録」と出る画面になります。上から順に並ぶ欄は、名前・メール・パスワード・携帯番号・国籍と県と市・性別・詳細な住所・検証コードの入力欄です。
その下に、身分証明書の表面と裏面の画像をそれぞれアップロードする欄があり、最後のボタンは「開設を完了する」です。画面の上から下まで見ても、IC Marketsの名前とロゴ、サイトを運営する会社の名前はひとつもありません。
▼名前を出さずに身分証の表裏を求める登録の画面

出典:user.icmraketad.cc
誰でも取得できる設定にだけ「IC Markets」の名前
この画面は、開くときに別のアドレスのapipro1.crmfilemagere.comから設定のデータを読み込みます。設定はログインしなくても取得でき、サイトの名前の項目「web_name」は「IC Markets」、会社名の項目「company_name」は「icmarketsvip」でした。
一方で、ロゴとアイコンの項目は空のままです。問い合わせの窓口を示す設定も空で、登録の画面から連絡できる先は用意されていません。やり取りの相手は、登録先を送ってきたLINEのアカウントだけということになります。
▼サイト名に「IC Markets」を入れた登録先の設定

出典:apipro1.crmfilemagere.com
正規のICは審査の後に会員画面で書類を受け付ける
正規のIC Markets(今の呼び名はIC)のヘルプセンターによると、口座の申込はICのサイトの申込フォームから行い、アカウントチームの承認の後にログイン情報がメールで届きます。本人確認書類の出し方については次のように答えています。
本人確認書類を提出するにはどうすればよいですか?
書類はSecure Client Area経由でアップロードする必要があります
▼書類は会員画面から出すと答える正規のIC

出典:IC
Secure Client Areaは、承認の後にログインして使うICの会員画面です。名前を出さない画面で、申込と同時に身分証の画像を出させるuser.icmraketad.ccの作りとは手順も窓口も合いません。
国民生活センターも、前の章で紹介した資料で、身分証明書の写しを渡した後の危険を指摘しています。
(前略)
個人情報はいったん渡してしまうと完全に取り戻すことができず、情報を破棄するよう相手方に依頼しても、応じてもらえないことが予想されます。
▼身分証の写しを渡す危険を指摘する国民生活センター

出典:国民生活センター
LINEで届いた登録先に身分証の画像を求められたら、送る前にその画面がどの会社のものかを名乗っているかを確かめることが大切です。すでに送ってしまった場合の備えは最後の章で取り上げます。
【参考】
・user.icmraketad.cc-登録の画面(https://user.icmraketad.cc/register/fast)
・apipro1.crmfilemagere.com-登録先の設定(https://apipro1.crmfilemagere.com/user/get_global_config?domain=user.icmraketad.cc&lang=ja)
・IC-ヘルプセンター(https://www.ic.com/jp/help-resources/help-centre)
trade.icmrakegod.topのロゴは正規のICのアプリと同じ絵柄

この章では、取引サイトtrade.icmrakegod.topの見た目と約束ごとを確かめます。ロゴは正規のIC Marketsのアプリのアイコンと同じ絵柄でしたが、利用規約へのリンクは行き先がなく、取引の画面を開くアドレスも正規のものとは違いました。
ロゴの画像はアプリのアイコンの角を丸めたもの
trade.icmrakegod.topは、ページを読み込む間の黒い画面とブラウザのタブに、白い3本の棒と緑の「IC」を組み合わせたロゴを出します。ロゴの画像は、サイトの中の「icmarkets.png」というファイルです。
この絵柄は、正規のIC Markets(今の呼び名はIC)がApp Storeで配っている取引アプリ「IC Markets Global cTrader」のアイコンと同じです。アプリのデベロッパの欄には、ICの運営会社である「Raw Trading Ltd」の名前が出ています。
▼正規のICのアプリと同じ絵柄の取引サイトのロゴ

出典:trade.icmrakegod.top、App Store
2つを並べると、棒の本数と並び、文字の色と形まで一致し、違いは四隅の丸め方くらいです。アプリのアイコンは誰でも保存できるため、ロゴが同じことは、そのサイトが正規のICのものである根拠になりません。
利用規約のリンクは日本語を含む7言語とも行き先がない
取引サイトのプログラムには、言語ごとの利用規約のリンク先を決める項目が並んでいます。英語・中国語・韓国語・タイ語・日本語・ベトナム語・アラビア語の7つの項目はどれも「#」でした。
「#」は、同じページの先頭を指すだけの書き方です。利用規約へのリンクが用意されておらず、ログインせずに開ける画面には、取引の相手方になる会社の名前も、出金や手数料の条件も示されていません。
▼7言語とも「#」の取引サイトの利用規約の項目

出典:trade.icmrakegod.top
正規のICのウェブトレーダーは別のアドレスで開く
正規のICは、ブラウザで取引する「ウェブトレーダー」をwebtrader-sc.ic.comで提供しています。ICのサイトの案内ページから開ける画面で、サーバーの欄には「ICMarketsSC-MT5」などが並び、最下部には「© 2026 RAW TRADING LTD」と書かれています。
▼webtrader-sc.ic.comで開く正規のICの画面

出典:IC
trade.icmrakegod.topのサーバーの欄に出る「IC Markets-Live」は、正規のサーバーの「ICMarkets-Live」とスペース1つしか違いません。サーバーの名前やロゴでは見分けにくく、確かめる先は取引の画面を開いているアドレスがic.comかどうかです。
正規のICが公式サイトで案内する連絡先は、電話・メール・チャットなどで、LINEは見当たりませんでした。LINEで取引サイトのアドレスが送られてきたら、ICの公式サイトから開いたものでない限り、ログインや入金の前に立ち止まる必要があります。
【参考】
・trade.icmrakegod.top-ロゴの画像(https://trade.icmrakegod.top/assets/images/icmarkets.png)
・trade.icmrakegod.top-取引画面のプログラム(https://trade.icmrakegod.top/main.5e0658fd597233d67805.js)
・App Store-IC Markets Global cTrader(https://apps.apple.com/jp/app/ic-markets-global-ctrader/id847327894)
・IC-MetaTrader WebTrader(https://www.ic.com/jp/forex-trading-platform-metatrader/web-trader)
・IC-お問い合わせ(https://www.ic.com/jp/company/contact-us)
icmrakegod.topと同じ画面を返すアドレスが後から取られている

この章では、登録先と取引サイトのドメインの登録情報と、サイトの置き場所を調べた結果を挙げます。icmrakegod.topとicmraketad.ccは、アドレスの土台になる登録ドメインです。どちらもそれ自体は開けず、trade.やuser.で始まるアドレスだけが動いています。
| 登録ドメイン | 開くアドレス | 登録日(日本時間) | レジストラ | ネームサーバー |
|---|---|---|---|---|
| icmraketad.cc | user.icmraketad.cc(登録先) | 2025年10月24日 | NameSilo | tina/wells.ns.cloudflare.com |
| icmrakegod.top | trade.icmrakegod.top(取引サイト) | 2025年11月3日 | NameSilo | tina/wells.ns.cloudflare.com |
| icmrakegod.net | trade.icmrakegod.net(同じ画面) | 2026年8月27日 | Gname.com | thomas/evelyn.ns.cloudflare.com |
2つのドメインは10日違いで同じネームサーバーに置かれた
登録先のicmraketad.ccは2025年10月24日に、取引サイトのicmrakegod.topは同じ年の11月3日に登録されています。登録日の差は10日で、レジストラはどちらもNameSilo、ネームサーバーも同じ組み合わせです。
名前の違う2つのドメインが、同じレジストラで10日の間に取られ、同じ組み合わせのネームサーバーに置かれています。登録先と取引サイトは、別々の業者のものではなく、同じ管理者がそろえて用意したとみられます。
▼10日違いで登録された取引サイトと登録先のドメイン

出典:rdap.zdnsgtld.com、tld-rdap.verisign.com
チャートのデータのフォルダは取引サイトのドメインと同じ日付
取引サイトは、値動きのグラフのデータをtrade.icmrakegod.topの別の入口から読み込みます。この置き場所はログインしなくても開くことができ、銘柄ごとのフォルダの一覧がそのまま表示されます。
並ぶフォルダは為替や金、株価指数、暗号資産など60個で、作られた日付はすべて「11/3/2025」でした。取引サイトのドメインを登録した日と同じ日付で、ドメインの登録と同じ日にグラフの置き場所も整えられていたとみられます。
▼日付が「11/3/2025」で並ぶチャートのデータのフォルダ

出典:trade.icmrakegod.top
icmrakegod.netは同じ画面でデータを.topへ送る
綴りの同じicmrakegod.netも、2026年8月27日に別のレジストラで取られています。trade.icmrakegod.netを開くと、trade.icmrakegod.topと1バイトも違わない画面とプログラムが返ってきます。
プログラムを調べたところ、データの送り先はtrade.icmrakegod.topのままでした。入口のアドレスだけを増やし、中身と送り先は同じ取引サイトを使う作りとみられます。
▼データを.topへ送る.netのプログラム

出典:trade.icmrakegod.net
▼2026年8月27日に登録されたicmrakegod.net

出典:rdap.verisign.com
当局の情報と記録のサービスも、3つのアドレスで引いてみました。
- 金融庁の金融事業者一括検索で「icmrakegod」「icmraketad」を引くと、どちらも0件
- 金融庁の無登録業者の一覧(2026年10月23日更新)と、英国の金融行動監視機構(FCA)の警告に、3つのアドレスは載っていない
- Internet Archiveとurlscan.ioに、3つのアドレスの記録は残っていない
- Googleのセーフブラウジングでは、3つのアドレスに「安全ではありません」の判定は出ていない
当局の一覧や警告に載っていないことは、安全の根拠にはなりません。アドレスを変えて同じ取引サイトにつなぐ作りでは、名前で調べても見つからないことがあるため、送られてきたアドレスの登録日とつながる先を確かめることが手がかりになります。
【参考】
・rdap.verisign.com-icmraketad.ccの登録情報(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/icmraketad.cc)
・rdap.zdnsgtld.com-icmrakegod.topの登録情報(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/icmrakegod.top)
・rdap.verisign.com-icmrakegod.netの登録情報(https://rdap.verisign.com/net/v1/domain/icmrakegod.net)
・trade.icmrakegod.top-チャートのデータのフォルダ(https://trade.icmrakegod.top:2053/)
・trade.icmrakegod.net-取引画面のプログラム(https://trade.icmrakegod.net/main.5e0658fd597233d67805.js)
・金融庁-金融事業者一括検索
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について
LINEで2つのアドレスを送られたときに順に確かめること

本件では、IC Marketsの名前のLINEから、登録先のアドレス、身分証の画像の求め、取引サイトのアドレス、口座に足された数字、返済の期限の順に届いています。ここまでの章で確かめたことを、届いた順に6つの確かめ方としてまとめます。
- IC Marketsの名前のLINE → 正規のICが公式サイトで案内している連絡先は、電話・メール・チャットなどで、LINEは見当たりません。名前とロゴだけで、正規の窓口と受け取らないことが出発点です。
- 口座開設の登録先のアドレス → 正規のICの申込はic.comのサイトから始まります。届いたアドレスがic.comでなく、「icmraketad」のように綴りを崩したものなら、その時点で開かずに止める判断ができます。
- 身分証の表と裏の画像の欄 → 画面に会社の名前が出ていない登録先には、身分証の画像を送らないことが肝心です。正規のICは、承認の後に会員画面で書類を受け付けます。
- 取引サイトのアドレスとロゴ → ロゴはアプリのアイコンから写せるため、見分ける材料になりません。アドレスがic.comかどうか、ドメインがいつ登録されたか、利用規約が開けるかを確かめます。
- 口座に足された数字 → ローンが入ったと言われたら、サイトにローンを申し込む画面や返済の画面があるかを見ます。正規のICが口座に足すクレジットは入金に付くボーナスで、返済を求めるものではありません。
- 返済の期限と法的手続きの予告 → 期限を区切り、手続きや訪問を持ち出して支払いを急がせる言い回しは、架空の請求でも使われるものです。払う前に、誰がどこへ請求しているのかを確かめます。
6つのうち1つでも当てはまったら、それ以上お金を振り込まず、やり取りの画面を残したうえで、信頼できる第三者に相談することをおすすめします。LINEのやり取りと振込の明細をそろえておくと、相談の場で事実を確かめやすくなります。
【参考】
・IC-お問い合わせ(https://www.ic.com/jp/company/contact-us)
・IC-ライブ口座の開設(https://secure.ic.com/jp/Account/Register)
・警察庁 SOS47-架空料金請求詐欺
icmrakegodの検索は別の語に読み替えられ口コミに届かない

この章では、本件の2つのアドレスについて、Yahoo!知恵袋・X・掲示板などに書き込みがあるかを調べた結果を挙げます。取引サイトのアドレスに触れた口コミは見つからず、登録先のアドレスについての質問が1件あるだけでした。見つからない理由には、アドレスの綴りそのものが関わっています。
2つのアドレスに触れた口コミや返金の宣伝は見当たらない
「icmrakegod」「icmraketad」の名前でYahoo!検索、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねるを調べ、Xの投稿もYahoo!のリアルタイム検索で探しました。被害の書き込みは見当たらず、検索で目立ちやすい返金をうたう宣伝も出てきません。
その原因の一つが、検索の読み替えです。Googleで「icmrakegod」と入れると、「次の検索結果を表示しています: icracked」と出て、スマートフォンの修理の会社のページが並びます。元のアドレスで調べたつもりでも、別の語の結果を読まされることになります。
▼icrackedに読み替えられるicmrakegodの検索

出典:Google
Yahoo!検索でも「icmrakegod」は、引用符で囲んでも修理の会社の結果になり、「icmraketad」は「icmarkets」として正規のICのページが並びました。被害に遭った人が調べても互いの書き込みにたどり着けず、口コミとして積み重なりにくいアドレスです。
同じ登録先のアドレスが2026年4月に知恵袋で尋ねられていた
見つかった1件は、2026年4月27日にYahoo!知恵袋に投稿された質問です。本件の登録先と同じ「user.icmraketad.cc/register/fast」のアドレスを挙げ、ICマーケットらしいがフィッシングサイトか、と尋ねています。
このアドレスが登録されたのは2025年10月24日で、質問はその約半年後です。その後、本件の相談者にも同じアドレスが送られており、同じ登録先が時期を変えて別の人にも送られていたことになります。
質問の全文と回答は、「IC Markets(ICマーケッツ)を装う偽サイトは詐欺?似たドメイン「icmaxrkzle.com」で保証金と税金を求める実態と口コミ・評判・返金対策」の記事で紹介しています。
届いたアドレスの書き込みが見つからなくても、そのサイトが安全だとは言えません。読み替えられた結果が並んだら、元の綴りのまま、届いたアドレスそのものの登録情報やつながる先を確かめることが大切です。
【参考】
・Yahoo!知恵袋-2026年4月27日の質問(ICマーケットを名乗るアドレスがフィッシングサイトか尋ねる相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10327587470)
「返済」を振り込む前に考えたい取り戻し方と相談先

返済の期限や法的手続き、訪問まで告げられると、急いで払わなければと感じるかもしれません。この章では、返済しないと訴えられるのか、裁判所の名前の書類が届いたらどうするか、振り込んだお金を取り戻す手続きでローンは差し引かれるのか、誰に請求できるのかの4つを順に取り上げます。
返済期限や訪問の予告があっても「返済」は振り込まない
前の章までで見たとおり、取引サイトにも登録先にも、ローンを申し込む仕組みや返済の手続きはありませんでした。返済期限と遅れたときの法的手続きや訪問は、LINEのやり取りの中だけで告げられています。
期限を切り、裁判や訪問を持ち出して支払いを急がせる言い回しについて、警察庁は架空料金請求詐欺の手口として次のように注意しています。
裁判という言葉をちらつかせることで、被害者の不安感をあおります。(後略)
▼裁判を持ち出して不安をあおる手口への注意

出典:警察庁
同じページは、メッセージの例とあわせて、裁判所の連絡のしかたについても書いています。
本日中にご連絡ない場合、法的手続きに移行いたします。
(中略)
※裁判所から電子メールで、折り返しの電話や電子メールによる連絡を求めたり、裁判が起こされたことをお知らせすることはありません。
▼法的手続きを予告するメッセージの例と注記

出典:警察庁
本件は架空料金の請求そのものではありませんが、期限と法的手続きで支払いを急がせる点は同じです。期限が迫っていても、まず「返済」の振込を止めて、やり取りの画面を残しておくことが出発点になります。
裁判所の名前の書類が届いたら裁判所に直接確かめる
登録先で名前と住所を入力し、身分証の画像まで出していた場合、相手は送り先を知っていることになります。裁判所は、裁判所の名前を使った不審な郵便物の例を公表していて、その中には次のような例があります。
東京地方裁判所刑事第23部を差出人とする口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状,財産差押予告などが入った封筒が届いた。封筒には「特別送達」と書いてあるが,実際には普通郵便(速達)で届いた。
▼裁判所が公表する裁判所の名をかたる郵便物の例

出典:裁判所
書類が届いたら、書類に書かれた電話番号ではなく、裁判所のサイトの所在地・電話番号の一覧で調べた番号に問い合わせて確かめます。身分証の画像を送っていた場合は、信用情報機関のCICが、不審なサイトに本人確認書類の画像を送ってしまったときの備えとして「本人申告」の制度を案内しています。
差し引かれるのは実際に受けた埋め合わせだけ
振込は3回とも、日本国内の金融機関にある口座へ向けたものでした。こうした振込は振り込め詐欺救済法の手続きにのる場合があり、振込先の金融機関それぞれと警察(警察相談専用電話は#9110)に、明細を示して被害を伝えるところから始まります。
相手は「1万ドルを貸した」と言っていますが、この法律が分配の基にする被害の額は、失われた財産の額から、被害者以外の人が実際に埋め合わせた額や賠償した額を差し引いたものと定められています(第12条・第13条)。
画面の口座に足されたとされる数字は、この「埋め合わせ」に当たるものではありません。もっとも、分配の元手は口座が止められた時点の残高で、引き出された分までは戻りません。
申請できる期間は公告で決まるため、振込先の金融機関に被害を申し出ておき、連絡を受けられるようにしておくことが大切です。
法人名義の口座は登記を見ても請求の相手とは限らない
3つの振込先のうち、名義が会社のものが1つあります。会社の登記は誰でも取ることができ、所在地や代表者の名前は分かります。しかし、その会社がお金を受け取った相手なのか、口座を使われただけなのかは登記からは分かりません。
個人名義の2つの口座についても、名義人の住所は金融機関が本人の問い合わせに答えるものではありません。弁護士は、弁護士法第23条の2にもとづく照会で口座の名義人の情報を求め、口座に残っていないお金について名義人などへの民事上の請求を検討できます。
振込先ごとに相手の姿が違う本件のような事案では、どの口座の誰に何を求められるのかを一つずつ見極める必要があります。期限が来る前に、手元の明細とメッセージを持って専門家に相談し、どこから手を付けるかを決めておくと、相手の催促に振り回されずに済みます。
【参考】
・警察庁 SOS47-架空料金請求詐欺
・裁判所-郵便物の例
・CIC-本人申告とは
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・e-Gov法令検索-弁護士法
