ヒルハウスを装う偽サイト(app.hillhouseagency.com)は詐欺?公式と同じロゴと出金時に税金を求める実態と口コミ・評判・返金対策

今回の相談は、優良株を教えるというグループで株の投資を勧められたのが始まりです。日本証券業協会も、LINEグループで銘柄を勧め、出金の時に手数料や税金を求める手口に注意を呼びかけています。

相談者は別のLINEグループへ移り、HILLHOUSEのロゴを掲げる取引サイト(app.hillhouseagency.com)を使って振込を重ねました。10%の手数料を払ったあと、出金の段階で税金まで求められ相手と連絡が取れなくなっています。

調べると、app.hillhouseagency.comのロゴは正規のヒルハウスの公式サイトの画像そのものでした。ログインせずに読める設定では出金の手数料が0とされ、税金を払う手順もサイトのどこにもありません。

本記事では、ロゴや規約、出金の設定を正規のヒルハウスの公開情報と照らし合わせ、どこが食い違うのかを弁護士が説明します。手数料の後に税金を持ち出されたとき、振り込む前に見ておきたいところも紹介します。

ヒルハウスを装う偽サイトに関するトラブルの概要

名前より事業を照合。取引サイトは個人向け売買を表示。正規の事業は企業への長期投資。出金時の追加請求にも注意。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

相談者は株のLINEグループで勧められ、HILLHOUSEのロゴを掲げる取引サイト(app.hillhouseagency.com)を使って振込を重ねました。手数料を払った後、出金の段階で税金まで求められています。

この章では、サイトの作り、正規のヒルハウスの事業、正規のヒルハウスと海外の当局の注意喚起、日本証券業協会が示す手口を順に確かめ、名前とロゴだけでは本物と言えない理由を示します。

app.hillhouseagency.comはHILLHOUSEの名前で日本株を売買させる取引サイト

app.hillhouseagency.comを開くと、左上に「HILLHOUSE」のロゴがあるログイン画面が出ます。電話番号(+81)とパスワードの欄が並び、ログインしないと取引の画面には進めません。

▼HILLHOUSEのロゴを掲げる取引サイトのログイン画面

hillhouse-HILLHOUSEのロゴを掲げる取引サイトのログイン画面

出典:app.hillhouseagency.com

プログラムを調べたところ、ログインした後には日本株と米国株の売買、IPOの申込、大口の取引、信用取引の画面が用意されています。利用規約は「ヒルハウス·インベストメント·マネジメント(Hillhouse Investment Management)」の名前で書かれています。

正規のヒルハウスによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。ロゴと社名がそろっていても、本物のサイトである根拠にはなりません。正規の会社の事業と見比べると、その違いがはっきりします。

正規のヒルハウスは企業へ長期に投資する運用会社で個人向けの取引画面を持たない

正規のHillhouse Investmentは、公式サイトの「Our Heritage」によると2005年にアジアで設立され、企業へ長期に投資してきた運用会社です。香港の証券先物委員会(SFC)での登録は資産運用の業務だけで、証券の売買の許可は持っていません。

公式サイト(hillhouseinvestment.com)に、口座の開設やログイン、アプリの案内はありません。利用規約は、サイトを見た人を顧客として扱わないと断っています。

Hillhouse will not treat users of this Site as its clients by virtue of their accessing this Site.

個人が株を売り買いする画面を、正規のヒルハウスは用意していないとみられます。サイトに口座を作らせて入金を受ける取引サイトは、正規のヒルハウスの事業の形と合いません。

正規のヒルハウスは社員をかたる投資の勧誘に注意を呼びかけている

正規のヒルハウスは、公式サイトの英語のページの下部に帯で次の一文を掲げています。過去の画面の保存版をたどると、この帯の掲示は2025年3月ごろに始まっています。

Beware of Investment Solicitations and Job Recruiters Impersonating Hillhouse Investment Employees

▼社員をかたる勧誘への注意を掲げる正規のヒルハウスのサイト

hillhouse-社員をかたる勧誘への注意を掲げる正規のヒルハウスのサイト

出典:Hillhouse Investment

「Hillhouse Investmentの社員をかたる投資の勧誘や求人に注意」という意味です。パキスタン証券取引委員会(SECP)も2026年1月13日、ヒルハウスの名前を使う取引のプラットフォームを警告しました。

(前略)
The Securities and Exchange Commission of Pakistan (SECP) has identified illegal online trading platforms operating under the names “Hillhouse Capital/ Hillhouse Investment” and “S-169 Wharton.”
(後略)

▼Hillhouseの名前の無許可の取引を警告するSECPの発表

hillhouse-Hillhouseの名前の無許可の取引を警告するSECPの発表

出典:パキスタン証券取引委員会

上場株で高い利益をうたう無許可のプラットフォームがHillhouseの名前で動いていたという警告で、正規のヒルハウスへの処分ではありません。発表は、WhatsAppのグループでの宣伝が多いことにも触れています。

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、ヒルハウスの名前を使った株の勧誘は、日本の外でも当局が警告するほど広がっています。

日本証券業協会も出金時に税金を求める手口に注意を呼びかけている

日本証券業協会は、証券会社などをかたる偽のアカウントへの注意の中で、投資詐欺の流れを4つの段階に分けて示しています。LINEグループで特定の銘柄を勧め、個人名義の口座へ入金させるのが3つ目の段階です。

4つ目の段階として挙がるのは、画面の上で利益を見せてから、引き出そうとした人に手数料や税金を名目にさらに振り込ませる手口です。添えられたイラストの吹き出しは次のとおりです。

出金するには、税金と手数料を
含めて2日以内に200万円の
入金が必要です!

▼出金時の手数料や税金の要求を挙げる日本証券業協会の注意

hillhouse-出金時の手数料や税金の要求を挙げる日本証券業協会の注意

出典:日本証券業協会

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、本件もLINEグループで勧誘され、手数料を払った後の出金の段階で税金を求められており、示された段階のとおりに進んでいます。

手数料の次に税金を持ち出されるなど、引き出そうとするたびに支払いが増えていくなら、その時点で送金をやめてください。払っても引き出せるとは限らないため、専門家に相談して次の手を決めることをおすすめします。

【参考】

・HILLHOUSE(https://app.hillhouseagency.com/)

・Hillhouse Investment(https://www.hillhouseinvestment.com/)

・Hillhouse Investment-Our Heritage(https://www.hillhouseinvestment.com/our-heritage/)

・Hillhouse Investment-Terms of Use(https://www.hillhouseinvestment.com/terms/)

・Securities and Futures Commission-Public Register of Licensed Persons and Registered Institutions

・Securities and Exchange Commission of Pakistan-SECP Warns General Public to Beware of Unauthorized Investment Platforms

・日本証券業協会-証券会社や日本証券業協会をかたる偽アカウント・偽広告等にご注意ください!

ヒルハウスを装う偽サイトへ誘導され被害につながるまでの経緯

利益から追加請求へ。当初の利益は本人の証券口座。移動後は指定口座へ繰り返し振込。出金時に10%手数料、続いて税金。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

この章では、相談者が株のグループで投資を始めてから税金の支払いを求められるまでの流れを、最初のグループ・移った先のグループ・出金を求めたときの3つの場面に分けてたどります。

優良株を教えるグループで国内の証券会社を使った投資から始める

相談者は、優良株を教えるというグループに出会い、国内の証券会社の口座で投資を始めました。この段階の売買は相談者自身の証券口座で行われ、数か月の間、実際に利益が出ていました。この後の勧誘は、こうして利益を得た人に向けて行われています。

さらに利益を求める人向けの別のLINEグループへ移り指定された口座への振込を重ねる

相談者は、さらに利益を得たい人向けという案内を受けて、別のLINEグループへ移りました。移った先のグループは運営期間が3か月と告げられ、最初のグループとは別の集まりとして案内されています。

相談者はHILLHOUSEのロゴを掲げる取引サイト(app.hillhouseagency.com)を使い、相手が指定した口座へ何度も振り込んでいます。振込を重ねるにつれて画面の稼ぎは増えましたが、それはサイトの数字で、相談者の手元に戻ったお金はありません。

当初から告げられた手数料を払うと税金の差し引き忘れを理由に追加の支払いを求められる

相談者は、移った当初から告げられていた10%の手数料を支払いました。ところが、利益を出金しようとすると、相手は税金を差し引き忘れたとして、さらに支払うよう求めてきました。別の残高表示後に税金を求める手口にも注意が必要です。

相談者の説明では、この振込は前日には着金しているはずでした。それにもかかわらず、その後は相手と連絡が取れなくなり、前のグループもメンバーの表示が全員「NONAME」に変わっていました。

実在の証券会社で得た利益で勧誘を信じさせ、移った先のサイトで画面の稼ぎを見せながら振込を重ねさせ、最後は手数料と税金を求めて連絡を絶つという流れで被害につながっています。

ヒルハウスを装う偽サイトの関連サイトの情報を調査した結果

登録情報を突き合わせる。サイトと接続先は同日取得。日本での登録は名前で確認できず。番号だけで運営者は証明できない。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

この章では、app.hillhouseagency.comとデータの接続先がいつ取得されたかをドメインの登録情報(RDAP)で確かめ、ヒルハウスの名前の金融庁での扱いと、相談者が示したもう一つのアドレスを調べます(照会は2026年10月15日)。

項目内容
アドレスapp.hillhouseagency.com
名乗る名前HILLHOUSE(画面のロゴ)。規約では「ヒルハウス·インベストメント·マネジメント(Hillhouse Investment Management)」
取得日時2026年8月4日 10時01分(日本時間)
登録を扱った事業者Realtime Register B.V.
データの接続先api.dorvaxeni.cc(2026年8月4日 11時11分〈日本時間〉取得)
サポートの窓口support.ub-group-ag.net(2026年3月29日取得)
運営会社・所在地の表示画面にも規約にもなし

hillhouseagency.comとデータの接続先は同じ日に続けて取得されている

hillhouseagency.comが取得されたのは、登録情報の「registration」の欄によると「2026-08-04T01:01:44Z」です。末尾のZは協定世界時を表すため、日本時間に直すと8月4日の午前10時01分になります。

▼8月4日の取得を示すhillhouseagency.comの登録情報

hillhouse-8月4日の取得を示すhillhouseagency.comの登録情報

出典:rdap.verisign.com

プログラムを調べたところ、取引の画面は別のドメインのapi.dorvaxeni.ccからデータを読み込んでいます。dorvaxeni.ccの取得は同じ日の11時11分で、サイトのアドレスの70分後にデータの置き場所が用意されています。

dorvaxeni.ccに付けられた別の名前の一つは、app.hillhouseagency.comと同じサーバーを指しています。サイトの表の顔と裏のデータの置き場所を同日の朝のうちにそろえた形です。

なお、hillhouseagency.comは2016〜2018年に名前の似た別の事業者がサイトに使っていた記録がInternet Archiveに残ります。一度手放されたドメインを、2026年8月に取り直したものとみられます。

ヒルハウスの名前で金融庁の登録や届出をした業者は見当たらない

金融庁の金融事業者一括検索で、「Hillhouse」「ヒルハウス」「高瓴」(中国語の社名)を調べても1件も出てきません。金融商品取引業者や適格機関投資家等特例業務の届出者の一覧にも、ヒルハウスの名前はありません。

令和8年9月25日更新の無登録業者の一覧にも、ヒルハウスの名前と本件のアドレスは載っていません。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。名前を変えたサイトは次々に作られ、当局が一覧に載せるまでには時間がかかります。

相談者が示したSBIの名前のアドレスには別の会社の登録番号が写されている

相談者は、ヒルハウスのほかにjp.stotass.cfdとsbi.kabuport.cfdのアドレスも示していました。jp.stotass.cfdはタブの名前が「SBI」の取引サイトで、2026年8月8日に取得されています。

もう一つのsbi.kabuport.cfdは、2026年7月24日の取得です。登録の管理者による停止(server hold)がかかって今は開けず、画面の記録も残っていません。

jp.stotass.cfdがログインせずに返す会社情報は、正規のSBI証券の会社概要の写しでした。一方でプログラムには、別の名前「Swiss Bridge Capital」の会社情報が既定の文章として残り、「金融庁(FSA)発行の登録番号:License number 3266」とあります。

この番号は、スイスの投資助言会社Swiss Bridge Capital SAの本物の登録番号(関東財務局長(金商)第3266号)です。同社が加入する資産運用業協会は2026年4月21日、同社の名前を使ったLINEでの勧誘と偽のサイトに注意を呼びかけています。

最近、本協会会員「スイスブリッジキャピタル(Swiss Bridge Capital
S.A.)」(以下「同社」という。)の社名や関係者を騙り、SNS(LINE)を通じて
投資勧誘を行う事案が報告されています。また、当社の公式サイトを模した虚
偽サイトの存在も確認されています。、
(後略)

▼Swiss Bridge Capitalをかたる勧誘に注意を促す協会の文書

hillhouse-Swiss Bridge Capitalをかたる勧誘に注意を促す協会の文書

出典:資産運用業協会

登録番号が本物でも、その会社が運営するサイトだとは限りません。jp.stotass.cfdが読み込む画像のうち4つは、app.hillhouseagency.comの画像とファイルの中身まで同じでした。

その他、第三者の記録で確認できた点も挙げておきます。

  • Googleのセーフブラウジングで調べると、app.hillhouseagency.comに危険なサイトとの判定は出ていないが、sbi.kabuport.cfdは危険なサイトと判定されている
  • Internet Archive や urlscan.io に、今のapp.hillhouseagency.comとjp.stotass.cfdの画面の記録は見つからなかった

名前やロゴが本物そっくりでも、アドレスがいつ取得されたか、名乗る会社が日本で登録しているかを先に見てください。引っかかる点が一つでもあるなら、そこで手を止め専門家に相談して送金するかどうかを決めてください。

【参考】

・rdap.verisign.com-hillhouseagency.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/hillhouseagency.com)

・tld-rdap.verisign.com-dorvaxeni.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/dorvaxeni.cc)

・Internet Archive-hillhouseagency.com(https://web.archive.org/web/2016*/hillhouseagency.com)

・金融庁-金融事業者一括検索

・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)

・SBI(https://jp.stotass.cfd/)

・SBI-会社情報のデータ(https://jp.stotass.cfd/api/getAppConfig?key=jp_company_content)

・rdap.centralnic.com-kabuport.cfd(https://rdap.centralnic.com/cfd/domain/kabuport.cfd)

・資産運用業協会-スイスブリッジキャピタル及びその社員を騙る投資勧誘及び虚偽サイトに関する注意喚起

ヒルハウスを装う偽サイトに関する不審点

請求とサイト設定のずれ。設定上の出金手数料は0。入金画面に振込先の表示なし。税金を払う手順も見当たらない。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

この章では、ロゴの画像、会社紹介、利用規約、出金の手数料の設定、入金の画面、サポートの窓口の6点を取り上げます。いずれも2026年10月15日に、サイトのプログラムとログインせずに読めるデータを取得して確かめたものです。

6点に共通するのは、見た目は正規のヒルハウスの素材で整えながら、お金の流れはサイトの外で決まる作りになっていることです。ログインしないと開けない画面の文言は、プログラムそのものを取得して確認しました。

画面のロゴは正規のヒルハウスの公式サイトの画像そのもの

サイトのメニューに出るロゴの画像(/assets/logo.OEgxJ9R1.jpg)は、横727・縦100の大きさです。正規のヒルハウスの公式サイトのロゴ(/wp-content/uploads/2025/05/logo-home.jpg)も、同じ大きさの同じ絵柄です。

▼同じロゴが並ぶ偽サイトと正規のヒルハウスの画像

hillhouse-同じロゴが並ぶ偽サイトと正規のヒルハウスの画像

出典:app.hillhouseagency.com、Hillhouse Investment

2つのファイルの中身をプログラムで比べたところ、1バイトも違いませんでした。公式サイトの画像をそのまま持ち込んだものとみられ、ロゴが本物と同じでも本物のサイトである証しにはなりません。

会社紹介には正規のヒルハウスにない投資家教育の一文が足されている

ログインせずに読める会社紹介のデータは、「シンガポールに本社を置く」「オルタナティブ資産運用会社」と、正規のヒルハウスの紹介をなぞった文で始まります。ところが、その後に次の一文が入っています。

また、投資家教育や情報の透明性向上にも重きを置いており、市場インサイトや投資戦略を積極的に共有することで、投資家の皆様の専門性向上や意思決定の支援を行っています。

▼投資家教育をうたう一文が入った会社紹介のデータ

hillhouse-投資家教育をうたう一文が入った会社紹介のデータ

出典:api.dorvaxeni.cc

正規のヒルハウスの公式サイトの紹介に、個人の投資家を教えるという話は見当たりません。銘柄を教えるグループの勧誘とサイトの会社紹介がかみ合うように足された一文とみられます。

規約は日本法と東京地裁を掲げながら名乗る会社が日本で登録していない

ログインせずに読める利用規約は、「ヒルハウス·インベストメント·マネジメント(Hillhouse Investment Management)」の名前で書かれ、第3条と第8条に次の文があります。

1.当社は、関連する法令に基づき、証券取引、投資助言、その他の関連サービスをユーザーに提供します。

本規約は日本法に準拠し、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。

▼日本法と東京地裁を掲げる利用規約のデータ

hillhouse-日本法と東京地裁を掲げる利用規約のデータ

出典:api.dorvaxeni.cc

日本で株の売買を仲立ちする会社は、金融庁に登録し、その番号を示して営業しています。しかし前の章で見たとおり、ヒルハウスの名前で登録や届出をした業者は見当たりません。日本の法令と裁判所を掲げることで、日本の会社らしく見せているとみられます。

相手が求めた手数料と税金は出金の手続きのどこにもない

ログインせずに開ける設定のデータには、出金の手数料が「withdrawalFee」として「0」、株を買うときの手数料が「stockBuyFee」として「0.0」と書かれています。出金画面の注意事項にも「出金手数料は無料です。」とあります。

▼出金手数料を0とするサイトの設定のデータ

hillhouse-出金手数料を0とするサイトの設定のデータ

出典:api.dorvaxeni.cc

出金の手続きは、金額と出金用のパスワードを入れるだけで、手数料や税金を払う手順はありません。プログラムには「取引税」「印紙税」「譲渡所得税」の言葉が書かれていましたが、どの画面からも使われていません。

10%の手数料も税金も、サイトの仕組みとは関係のないところで相手が付け足した請求だとみられます。請求を受けたら、その根拠になる画面や規約の条文を相手に出してもらい、出てこなければ払わないでください。

入金の画面は振込先を示さず受取人の名前を利用者に書かせる

入金額を選んだ先の画面には、「受取人情報を入力してください」の文と口座名義の欄、「支払証明をアップロード」の欄が並びます。サイトの側から振込先の口座を示す欄はありません。

▼受取人の情報と振込の控えを求める入金画面のプログラム

hillhouse-受取人の情報と振込の控えを求める入金画面のプログラム

出典:app.hillhouseagency.com

振込先は別の経路で伝えられ、利用者が受取人の名前を自分で書き込み、振込の控えの画像を送る作りです。入金が残高に反映されるかどうかは、運営が控えを確かめるかどうか次第になります。

控えを求める一文には日本語の訳が用意されておらず、中国語のまま表示される作りでした。受取人の名前を自分で書き込ませる入金は、振込先が会社の口座かどうかをサイトの上で確かめられません。

サポートの窓口はヒルハウスとは別の名前のアドレスに置かれている

ログインせずに読める窓口の設定では、サポートの行き先が「https://support.ub-group-ag.net/」になっています。画面右上のヘッドセットのアイコンから開く窓口です。

▼別の名前のアドレスを窓口とする設定のデータ

hillhouse-別の名前のアドレスを窓口とする設定のデータ

出典:api.dorvaxeni.cc

ub-group-ag.netは2026年3月29日の取得で、hillhouseagency.comより4か月早く用意されています。ヒルハウスとは関係のない名前の窓口を、別のサイトから使い回している可能性があります。

窓口でのやり取りは、相手の側のシステムに残ります。案内された振込先や金額は、その都度、画面の写しを手元に残しておいてください。写しがそろったら、次の振込をする前に専門家に相談し、取り戻す手だてを確かめてください。

【参考】

・HILLHOUSE-ロゴの画像(https://app.hillhouseagency.com/assets/logo.OEgxJ9R1.jpg)

・Hillhouse Investment-ロゴの画像(https://www.hillhouseinvestment.com/wp-content/uploads/2025/05/logo-home.jpg)

・HILLHOUSE-会社紹介のデータ(https://api.dorvaxeni.cc/app/common/protocol?type=about_us)

・HILLHOUSE-利用規約のデータ(https://api.dorvaxeni.cc/app/common/protocol?type=user)

・HILLHOUSE-設定のデータ(https://api.dorvaxeni.cc/app/common/config)

・HILLHOUSE-入金画面のプログラム(https://app.hillhouseagency.com/assets/index.BbK-fTmA.js)

・HILLHOUSE-窓口の設定のデータ(https://api.dorvaxeni.cc/app/common/protocol?type=customer_service)

・tld-rdap.verisign.com-ub-group-ag.net(https://rdap.verisign.com/net/v1/domain/ub-group-ag.net)

ヒルハウスの名前が偽サイトの勧誘に悪用されやすい理由

本物らしさは移せてしまう。公開素材は写し取れる。最初の利益は別の口座で発生。請求の根拠はサイト内にない。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

この章では、ヒルハウスという名前が株の勧誘に持ち出されやすい理由を、個人との接点の少なさ、公式サイトの素材の写しやすさ、最初のグループでの利益とのつながり、出金の段階の請求の見え方の4つから考えます。

ヒルハウスは企業に投資する会社で個人が取引の画面を見る機会がない

正規のヒルハウスは、企業へ長期に資金を投じる運用会社です。公式サイトの「Our Heritage」には、2009年に日本でも投資を始めたと書かれており、経済の報道で名前を目にした人もいるとみられます。

一方で、個人が口座を作って株を売り買いする会社ではありません。本物の取引画面を見たことのある個人がいないため、偽の画面を見せられても比べる手掛かりがありません。海外でもパキスタンの当局が、この名前を使った取引の場を警告していました。

ヒルハウスの公式サイトのロゴや紹介文はそのまま写せてしまう

公式サイトのロゴの画像や会社の紹介文は、誰でも開ける場所に置かれています。本件のサイトはロゴの画像をそのまま使い、紹介文もなぞったうえで勧誘に合う一文を足していました。

名前を検索すれば正規のヒルハウスのサイトが出てきて、同じロゴを目にすることになります。かえって安心してしまいますが、確かめるべきなのはアドレスが正規の会社のものかと、日本での登録があるかの2点です。

名の知れた運用会社の名前が実在の証券会社で得た信用の受け皿になる

本件の相談者は、最初のグループで国内の証券会社の口座を使い、数か月の間、実際に利益を得ていました。この利益は相談者自身の口座での取引によるもので、移った先のサイトとは関係がありません。

それでも、利益を出したグループから「さらに上」と案内されると、次の場所も同じように信用しやすくなります。そこに大手の運用会社の名前が付いていれば、最初の利益で生まれた信用がそのまま偽サイトへ引き継がれてしまいます。

日本証券業協会も、LINEグループの中で複数のアカウントが投資の成功を演じ、参加者を入金へ誘う手口を挙げています。グループの中で見る成功の話は、グループの外で確かめる手段がありません。

大手の運用会社の名前があると手数料や税金の請求も正式な手続きに見える

本件では、グループの運営期間が3か月と区切られ、10%の手数料も当初から告げられていました。先に決まりとして示された支払いは、払う側にとって約束どおりの手続きに見えます。

そのうえで持ち出されたのが「税金を差し引き忘れた」という理由です。大きな運用会社が事務の手違いを詫びて精算を求めているように聞こえ、手数料の延長にある正式な手続きだと受け止めてしまいかねません。

しかし前の章で見たとおり、サイトの設定では出金の手数料は0で、税金を払う手順もありません。会社の名前が大きいほど請求を疑いにくくなりますが、請求の根拠はサイトの中に示されていませんでした。

【参考】

・Hillhouse Investment-Our Heritage(https://www.hillhouseinvestment.com/our-heritage/)

・日本証券業協会-証券会社や日本証券業協会をかたる偽アカウント・偽広告等にご注意ください!

ヒルハウスを装う偽サイトの不審点を見抜く方法

送金前に根拠を確かめる。正規のアドレスと登録を照合。後から増えた請求は確認。不一致があれば振込を止める。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

本件のサイトは、本物のロゴ、正規の会社の名前、最初のグループでの利益など、本物らしく見える材料を重ねて信用させる作りでした。そこで、本物らしく見せる材料の一つひとつについて、どこを見れば偽物と分かるかを6項目にまとめ、本件の事実を下に添えました。

  • ロゴや紹介文が公式サイトと同じでも、アドレスが正規の会社のものかを確かめる
    • app.hillhouseagency.comのロゴは公式サイトの画像そのもので、会社紹介も正規の紹介をなぞっていました。正規のヒルハウスのアドレスはhillhouseinvestment.comで、hillhouseagency.comは2026年8月に取り直されたドメインです。
  • 名乗る会社が日本で登録を受けているかを、金融庁の検索で確かめる
    • 規約は日本法と東京地裁を掲げていましたが、ヒルハウスの名前で金融庁の登録や届出をした業者は見当たりません。海外の大手の名前でも、日本の登録がなければ株の売買を任せられる相手ではありません。
  • 別の場所で得た利益を、移った先のサイトを信じる理由にしない
    • 最初のグループでの利益は、相談者自身の証券口座での取引によるものでした。「さらに利益を得たい人向け」と案内されたサイトが信用できるかどうかは、その利益からは何も分かりません。
  • 期限や手数料を先に約束されても、後から足される名目には応じない
    • 運営期間3か月と10%の手数料が当初から示され、払った後に税金を求められました。サイトの設定では出金の手数料は0で、税金を払う手順もないため、名目の根拠をサイトの中で確かめてください。
  • 振込先を自分で書き込ませる入金は、会社の口座かを確かめてから払う
    • 入金の画面は振込先を示さず、受取人の名前と振込の控えを利用者に出させる作りでした。受取人として名前を告げられた口座が個人のものなら、払う理由はありません。
  • サポートの窓口がサイトと別の名前なら、その窓口の案内で送金しない
    • 窓口はヒルハウスと関係のない名前のアドレスに置かれていました。窓口でのやり取りは相手の側に残るため、案内を受けたら画面を保存し専門家に相談してください。

どれか一つでも思い当たるなら、そこで振込を打ち切ってください。本件では最後に相手と連絡が取れなくなり、前のグループのメンバーの表示も消えました。グループやサイトが閉じられると手掛かりが失われるため、早めに画面と振込の控えを残し信頼できる第三者の助言を受けてください。

ヒルハウスを装う偽サイトに関する口コミや被害事例

投稿は案件を分けて読む。名前を使う勧誘への注意あり。追加請求の相談もある。本件と同一とは確認できない。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

この章では、X、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねるや爆サイなどの掲示板で、ヒルハウスの名前とapp.hillhouseagency.comのアドレスに関する書き込みを探した結果をまとめます。

X(旧Twitter)ではヒルハウスの名前で株の話から近づく人物への注意が呼びかけられている

Xには、2026年9月15日に、ヒルハウスの名前を使う人物への注意を呼びかける投稿がありました。同じ投稿者が、約2分半の間に3つの投稿への返信として同じ文を書いています。

現在、ヒルハウス・インベストメント・マネジメント(Hillhouse Investment)の名を騙ってSNS上で詐欺を行っている人物が、現在新たな詐欺の準備を進めているようです。その際、相手が名乗る先生の名前は「〇〇先生」です。コア銘柄のご紹介やポジション構築といった話から接触してくるようです。

▼ヒルハウスの名前を使う人物に注意を促すXの投稿

hillhouse-ヒルハウスの名前を使う人物に注意を促すXの投稿

出典:X

投稿者自身の被害談ではなく、先生役を名乗る人物が銘柄の話から近づいてくるという注意喚起です。この投稿が本記事のトラブルと同一の勧誘であることまでは確認できませんが、同じ名前を使った株の勧誘が、2026年9月の時点ですでに警戒されていたことがうかがえます。

Yahoo!知恵袋には出金の前に手数料と税金を続けて求められた質問がある

Yahoo!知恵袋の2025年12月17日の質問では、株の売買をしていた口座から全額を出そうとしたところ、まず手数料の支払い、そして払った後には税金を求められたと相談されています。

投資について質問です。

特別なプランで機関口座で株の売買をし、何度かそこから出金が出来たのに、全額引き出そうとした時に手数料を支払うよう言われました。
その後、支払ったあとに税金の納税が必要ですと言われ、されど催促されました。

アメリカを拠点にしてるみたいなんですがネットでも出てくるんです。
やはり詐欺なのでしょうか。

▼手数料の次に税金を求められた知恵袋の質問

hillhouse-手数料の次に税金を求められた知恵袋の質問

出典:Yahoo!知恵袋

この質問が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、手数料を納めたとたんに税金が持ち出される請求の運び方は本件とそっくりです。一方で、本件より約8か月前の質問で、サイトの名前は書かれていません。

手数料の次に税金と、出金のたびに名目が増えていく請求は、名前やサイトが違っても同じ形をとります。請求が二度目になった時点で払うのをやめ、届いた請求をそろえて専門家に相談してください。

掲示板や口コミの投稿にhillhouseagencyのアドレスは出てこない

app.hillhouseagency.comやデータの接続先のdorvaxeni、相談者が示したSBIの名前のアドレスで、5ちゃんねる、爆サイ、Yahoo!知恵袋を探しましたが、被害を書き込んだ投稿は確認できませんでした。

「ヒルハウス」の名前で出てくるのは、海外のホラードラマや椅子の名前など、投資とは関係のない話題がほとんどです。名前で探しても、本件のサイトについての書き込みには行き当たりにくい状態です。書き込みが少ない背景は続く章で掘り下げます。

【参考】

・Xの投稿(https://x.com/Radiant9x9/status/2099714628746088795)

・Yahoo!知恵袋-2025年12月17日の質問(株の口座から全額を引き出そうとすると手数料と税金を続けて求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13323363618)

ヒルハウスを装う偽サイトに関する口コミが少ない理由

口コミが見つかりにくい構造。内部はログインと招待コードが必要。名前の検索結果は話題が混在。参加者同士も確かめにくい。事案名「ヒルハウスを装う偽サイト」を右上に示す説明図。

app.hillhouseagency.comはログインしないと画面が開けず、プログラムを調べると登録に招待コードが欠かせない作りでした。過去の画面の記録も以前の事業者のものだけで、外の人が後から中身を確かめられず、書き込みが集まらないまま口コミの形で残りにくくなります。

名前で調べると、正規のヒルハウスの情報や、同じ名前のドラマや椅子の話題が先に並びます。被害に気づいた人が書き込んでも、本件のアドレスで書かれていなければ、同じサイトの話だと結びつけるのは難しく、本件のサイトの口コミとして数がそろいません。

本件では、前のグループのメンバーの表示が全員「NONAME」に変わっていました。誰が同じグループにいたのかが分からなくなると、参加者どうしで連絡を取り合って被害を確かめ合うこともできず、一人ひとりの声が一つの口コミにまとまりません。

目に付く書き込みがなくても、それで危ないサイトではないと判断することはできません。引き出す段階で手数料に続いて税金まで持ち出されたら、大手の名前があっても支払いを止め、手元の記録をそろえて専門家に相談してください。

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

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