FXTMを装うfxtmit.comに詐欺の疑い!出金手数料と保証金で振込を重ねさせる手口

Instagramで知り合った相手に「FXを教える」と誘われ、FXTMを名乗る取引サイト「fxtmit.com」で入金を重ねたところ、出金しようとした段階で保証金や出金手数料を次々に求められたという相談が寄せられました。手数料まで振り込んでも、出金の履歴は「審査中」と表示されたままです。

fxtmit.comは、実在のFX業者FXTMの名前とロゴを使い、「規制情報」には正規のFXTMの許認可の画像を並べています。しかし、その許認可を持つ会社は、日本の居住者にサービスを提供していません。

サイトのプログラムを調べると、出金の前に求められた2つの保証金の名目はどこにも見当たらず、出金手数料として告げられた額は、画面に出ていた残高のちょうど20%にあたります。

この記事では、fxtmit.comの規制情報や出金手数料の仕組みを調べた結果を弁護士が解説します。送金したお金を取り戻せる可能性と、相談先もあわせて紹介します。

Instagramで誘われてからfxtmit.comで出金手数料を求められるまで

勧誘から出金請求まで。入金のたびに表示残高が増加。保証金を2回、さらに手数料を請求。支払い後も出金は審査中。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

相談者は、Instagramで知り合った相手から「FXを教える」と誘われ、FXTMを名乗る取引サイト「fxtmit.com」で取引を始めました。この章では、相手が出金を見せて誘った場面、ドル建ての残高が増えた場面、出金のために支払いを重ねた場面をたどります。

相手は自分の口座で利益を出金して見せてから誘った

相手は、FXの経験があり取引を教えられると話し、自分の口座で取引して利益を出金したと説明しました。相談者が元手がないと伝えると、相手は自分で入金して利益が出たと示し、参加登録から入金・取引・出金までの操作をfxtmit.comで教えています。

名前を使われた正規のFXTMは、利用者向けのヘルプで次のように注意を促しています。

(前略)
But keep in mind that our team will never approach you directly through personal Social Media Profiles to ask for your personal or FXTM account details or promise cashback/prizes.

日本語に訳すと、「当社のチームが個人のSNSのプロフィールから直接連絡し、個人情報やFXTMの口座の情報を尋ねたり、キャッシュバックや賞品を約束したりすることはない」という内容です。

▼個人のSNSからは連絡しないと明記する正規のFXTMのヘルプ

fxtmit-個人のSNSからは連絡しないと明記する正規のFXTMのヘルプ

出典:FXTM

入金を重ねるとドル建ての残高が増えて見えた

fxtmit.comの画面では、残高が円ではなく米ドルで表示されます。相手が振込先として示した個人名義の口座に入金するたびに画面の残高は増えていき、相談者の画面には31,950ドルと表示されていました。

この数字はサイトの画面に出ている表示で、振り込んだ額や実際に引き出せた額とは別のものです。この残高を手元に移す段階になって、出金の前に払うべきものがあると告げられるようになります。

保証金を2回と出金手数料を払っても出金は「審査中」のまま

相談者は、まず本人名義ではない銀行カードからの入金があり、マネーロンダリングの疑いが検知されたとして「審査用保証金」を求められました。続いて、複数の人が同時に操作しているという理由で「調査用保証金」を求められどちらも振り込んでいます。

さらに出金手数料として6,390ドルを求められ、これも振り込みました。それでも、出金の履歴には31,950.0756595ドルが「審査中」と表示されたままです。相談者は警察に相談し、銀行に口座の凍結を頼んでいます。

まとめると、Instagramの相手が出金を見せて信用させ、FXTMの名前を使うfxtmit.comへ入金を重ねさせたうえで、出金を理由に保証金と手数料を払わせたことが被害につながった経緯です。次の章では、fxtmit.comが「規制情報」として示す画像を、正規のFXTMと照らし合わせます。

【参考】
・FXTM-How do I recognize frauds/scams & protect myself from them?(https://www.fxtm.com/en/help/my-profile/registration-and-verification/how-do-i-recognize-fraudsters-and-protect-myself-from-them/)
・fxtmit.com(https://fxtmit.com/)

fxtmit.comの「規制情報」は正規のFXTMの許認可を写した画像

許認可画像と連絡先を照合。画像が示すのは正規の会社の情報。掲載先に調査対象のアドレスはない。日本での登録や対象地域も別に確認。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

fxtmit.comの「プラットフォーム規制情報」には、許認可を受けた業者であるかのような画像が並んでいます。この章では、画像の出どころ、画像に載る連絡先、画像が挙げる会社の日本での扱い、サイトのロゴの4点を確かめます。

規制情報の5枚には情報サイトWikiFXの印がある

規制情報の中身は、ログインしなくても取得できるデータとして置かれており、プログラムを調べると画像5枚と次の2行の文だけでした。

監督ライセンス番号:20200000270
Exinity Limited は金融サービスライセンスを保有し、FX、CFD(差金決済取引)およびその他金融商品の取引サービスを提供しています。さらに、AI定量分析およびインテリジェント取引システムを活用した先進的な取引環境を提供しています。

▼正規のFXTMの運営会社の名前を挙げる規制情報のデータ

fxtmit-正規のFXTMの運営会社の名前を挙げる規制情報のデータ

出典:fxtmit.com

「Exinity Limited」は、正規のFXTMを運営する会社の1つです。5枚の画像は、英国・ケニア・モーリシャス・南アフリカ・アラブ首長国連邦の当局の許認可を1枚ずつ示すカードで、どのカードの右下にも「WikiFX Authentication Center」の印があります。

WikiFXは、FXの業者の許認可を集めて載せる情報サイトです。カードはその画面を写したものとみられ、画像のアドレスにはサイトに置かれた日付「20260508」が入っています。

カードに載る連絡先は正規のFXTMのもの

英国の金融行動監視機構(FCA)のカードを見ると、許認可を持つ会社は「EXINITY UK LTD」で、機関のサイトは「www.forextime.com/uk」、メールは「[email protected]」です。5枚のどのカードにも、fxtmit.comのアドレスは出てきません。

▼連絡先がforextime.comの規制情報のカード

fxtmit-連絡先がforextime.comの規制情報のカード

出典:fxtmit.com

一方で、fxtmit.comが「苦情メール」の宛先として設定しているのは「[email protected]」です。名前と許認可は正規のFXTMのものを並べながら、苦情を受ける窓口だけは誰でも作れるメールのアドレスになっています。

▼Gmailのアドレスが入った苦情メールの設定

fxtmit-Gmailのアドレスが入った苦情メールの設定

出典:fxtmit.com

規制情報が挙げる会社は日本の居住者を対象外としている

正規のFXTMの公式サイト(www.fxtm.com)は、すべてのページの最下部に運営会社の情報を載せています。そこには、規制情報が名前を挙げたExinity Limitedについて、次の一文があります。

Regional restrictions Exinity Limited does not provide services to residents of the USA, Mauritius, Japan, Canada, Haiti, Iran, Suriname, the Democratic People’s Republic of Korea, Puerto Rico, the Occupied Area of Cyprus, Quebec, Iraq, Syria, Cuba, Belarus, Myanmar, Russia, India and the United Kingdom.

日本語に訳すと、「Exinity Limitedは、米国、モーリシャス、日本などの居住者にはサービスを提供しない」という内容です。同じ欄では、会社ごとの公式サイトとして「www.fxtm.com」と「www.forextime.com」が示されています。

▼日本の居住者を対象外とする正規のFXTMの公式サイト

fxtmit-日本の居住者を対象外とする正規のFXTMの公式サイト

出典:FXTM

日本で登録を受けた業者を調べられる金融庁の検索でも、FXTMの名前の業者は出てきません。正規のFXTMも日本で登録を受けた業者ではなく、日本の居住者を受け入れていないため、許認可の画像は日本から取引してよい根拠になりません。

▼FXTMで該当なしと出る金融庁の金融事業者一括検索

fxtmit-FXTMで該当なしと出る金融庁の金融事業者一括検索

出典:金融庁

橙の円に紺の曲線のロゴも正規のFXTMと同じ

fxtmit.comの設定に登録されたロゴは、橙色の円の上を紺色の2本の曲線が交差する図柄です。正規のFXTMの公式サイトの左上にあるロゴと、図柄が同じであることが分かります。

▼図柄が同じfxtmit.comのロゴと正規のFXTMのロゴ

fxtmit-図柄が同じfxtmit.comのロゴと正規のFXTMのロゴ

出典:fxtmit.com、FXTM

ロゴの画像のアドレスに入っている「20260425」は、fxtmit.comのアドレスが登録されたのと同じ日付です。名前もロゴも許認可の画像も正規のFXTMと同じに見えて、アドレスと連絡先だけが違う作りになっています。

FXTMの名前で取引サイトを案内されたら、許認可の画像や番号を見る前に、アドレスが正規の公式サイトのfxtm.comかforextime.comかを確かめてください。

【参考】
・fxtmit.com-プラットフォーム規制情報のデータ(https://fxtmit.com/public/api/index/platform_info/regulatory_platform_information)
・fxtmit.com-苦情メールのデータ(https://fxtmit.com/public/api/index/platform_info/mailbox)
・FXTM(https://www.fxtm.com/en/)
・金融庁-金融事業者一括検索

出金手数料6,390ドルはfxtmit.comの残高のちょうど20%

手数料の計算と振込先。請求額は表示残高の20%。サイト内の計算は出金額から差し引く方式。別途の振込はその計算の外。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

fxtmit.comの出金の画面は、利用者として登録しないと表示されません。そこで、その画面を動かすプログラムをサイトから取り出して中身を読みました。この章では、出金手数料の計算のしかた、相談者が求められた6,390ドルとの関係、出金の履歴に出る「審査中」の意味を順に見ていきます。

出金手数料は引き出す額から差し引かれる作り

出金の画面には、引き出す額を入れる欄の下に「手数料」「到着予定金額」「利用可能額」の3つが並びます。プログラムでは、手数料は引き出す額に、出金方法ごとに決められた割合を掛けて求めています。

▼手数料を引き出す額から差し引く出金の画面のプログラム

fxtmit-手数料を引き出す額から差し引く出金の画面のプログラム

出典:fxtmit.com

手数料の計算に使う部品を見ると、決められた割合をまず100で割り、その値を引き出す額に掛けています。割合が20と決められていれば、引き出す額の20%が手数料になる計算です。

▼割合を100で割って額に掛ける手数料の計算

fxtmit-割合を100で割って額に掛ける手数料の計算

出典:fxtmit.com

そのうえで「到着予定金額」は、引き出す額から手数料を引いた額として表示されます。手数料は引き出すお金の中から差し引かれる仕組みで、別に振り込む欄や手順はありません。出金を申し込むときにサイトへ送るのも、受け取り先の口座と金額、出金用のパスワードだけです。

別に振り込ませた手数料はサイトの計算と合わない

相談者の画面の残高は31,950ドルで、出金の前に求められた手数料は6,390ドルでした。2つの数字を割り算すると、6,390ドルは31,950ドルのちょうど20%にあたります。

出金方法ごとの割合はログインしないと見られない設定のため、fxtmit.comで20%に決められていたかまでは確かめられません。ただ、どの割合であっても、サイトの計算では手数料は残高から差し引かれ、受け取る額が減るだけです。

残高の20%にあたる額を、引き出す前に個人名義の口座へ振り込ませる流れは、サイトの仕組みの外で行われています。サイトの数字を使って請求額を決め、支払いだけを別の口座に向けさせた形とみられます。

出金履歴の「審査中」は運営が承認するまで変わらない

出金の履歴の状態は「審査中」「承認済み」「不承認」の3つです。プログラムでは、申し込んだ直後の状態が「審査中」で、運営が承認すれば「承認済み」、認めなければ「不承認」に切り替わります。

▼審査中・承認済み・不承認の3つの状態を持つ出金履歴

fxtmit-審査中・承認済み・不承認の3つの状態を持つ出金履歴

出典:fxtmit.com

日本語の画面で「審査中」と表示されるのは、番号0の状態です。状態を動かすのは運営の操作だけで、手数料を払っても運営が承認しない限り「審査中」は続きます。次の章では、2つの保証金の名目をサイトのプログラムに照らします。

【参考】
・fxtmit.com-出金の画面のプログラム(https://fxtmit.com/static/js/index-Da3mHXmS.js)
・fxtmit.com-計算の部品のプログラム(https://fxtmit.com/static/js/decimal-B6Q0lFHj.js)

マネーロンダリングを理由にした保証金はfxtmit.comにない

二つの保証金名目を照合。請求の名目はプログラムで確認できない。画面内の「保証金」は取引の証拠金。入金カードの名義を登録する欄も見当たらない。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

相談者が出金の前に求められた保証金は、本人名義ではない銀行カードからの入金を理由にした「審査用保証金」と、複数の人の同時操作を理由にした「調査用保証金」の2つです。この章では、2つの名目がサイトのプログラムに用意されているかを確かめ、似た名目の相談事例も紹介します。

「保証金」の語は差金取引の証拠金の画面にしかない

fxtmit.comは、画面に出す言葉を日本語・英語・中国語など8つの言語ごとに置き換える一覧を持っています。この一覧とサイトのプログラム全体を調べても、マネーロンダリング、同時操作、調査にあたる言葉は1つもありませんでした。

日本語の言葉はプログラムの中で文字の番号の形で書かれているため、英語の一覧で確かめます。マネーロンダリングの英語「money laundering」の「launder」で検索すると一致は0件です。

▼launderの語が0件のfxtmit.comのプログラム

fxtmit-launderの語が0件のfxtmit.comのプログラム

出典:fxtmit.com

日本語の画面で「保証金」と出るのは、「保証金を追加」「保証金を減少」「保証金の調整」の3つです。英語では「Add Margin」などと書かれており、差金取引で建てた取引の担保として、サイトの中の残高から出し入れする証拠金を指しています。外の口座に振り込むお金ではありません。

▼証拠金を意味するAdd Marginのプログラムの表記

fxtmit-証拠金を意味するAdd Marginのプログラムの表記

出典:fxtmit.com

サイトに登録する銀行カードは出金の受け取り先だけ

fxtmit.comで銀行カードを登録するのは、出金したお金を受け取る口座を決めるためです。入金の画面にあるのは金額や入金方法、支払いの画像を載せる欄で、振込に使ったカードの名義を登録する欄は見当たりません。

本人名義ではないカードからの入金を、サイトの側で見分ける仕組みは見当たりません。そのため、「本人名義以外のカードから入金があった」という説明も、サイトの画面やプログラムでは裏付けられないことになります。

マネーロンダリングを口実にした保証金の相談事例

福岡県消費生活センターは、北九州市立消費生活センターに寄せられた相談として、外国のFX取引所で出金しようとした人が、税金に続いてマネーロンダリングを理由に保証金を求められた事例を紹介しています。

(前略)
その後も出金できず、さらにマネーロンダリングの疑いをかけられ、「金融庁に保証金15万円支払うように」と個人名義の口座に振り込むよう指示され、不審に思った。
(後略)

▼マネーロンダリングの疑いで保証金を求めた北九州市の相談事例

fxtmit-マネーロンダリングの疑いで保証金を求めた北九州市の相談事例

出典:福岡県

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、出金の段階でマネーロンダリングの疑いを持ち出し、個人名義の口座へ保証金を払わせる流れは本件と同じです。

「疑いを晴らすには保証金が要る」と言われた時点で、それまでのやり取りの記録を持って信頼できる第三者に相談してください。

【参考】
・fxtmit.com-言葉の一覧を含むプログラム(https://fxtmit.com/static/js/index-91ZhaXin.js)
・福岡県-ホットな消費者ニュース 2025年1月号

fxtmit.comはサービスコードを知らないとログイン画面にも進めない

閉じた入口と切替口座。コードなしでは登録画面に進めない。実口座と仮想口座を切り替えられる。表示残高だけで入金の実態は分からない。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

fxtmit.comは、誰でも口座を開ける取引サイトの作りになっていません。この章では、トップ画面の「サービスコード」の関門、アドレスと窓口の登録情報に残る日付、本物の口座と同じ画面で使える仮想の口座の3点を取り上げます。

入口のサービスコードは勧誘する側が教えるもの

fxtmit.comのトップ画面には、「Welcome to」の文字とロゴの下に「Enter your service code」(サービスコードを入力してください)の欄があるだけです。コードを入れて「Next」を押さないと、ログインの画面にも登録の画面にも進めません。

▼サービスコードの入力を求めるfxtmit.comのトップ

fxtmit-サービスコードの入力を求めるfxtmit.comのトップ

出典:fxtmit.com

コードはサイトのどこにも書かれておらず、勧誘する側が誰をサイトに入れるかを選べる入口です。設定のデータでは、サイト名と運営者名がどちらも「FXTM」、標語が「Exclusive casting, steady growth」で、窓口として別のアドレス「ositecsing.cc」が登録されています。

▼名前と標語・窓口のアドレスが入った設定のデータ

fxtmit-名前と標語・窓口のアドレスが入った設定のデータ

出典:fxtmit.com

2026年4月のアドレスに前の年の告知の部品が残る

登録の記録と、サイトの画像のアドレスに入った日付を古い順に表にしました。

日付(日本時間)出来事確かめた先
2025年4月8日ホーム画面の告知に使う画像のアドレスの日付(画像は今は開けない)設定のデータ
2026年4月25日fxtmit.comのアドレスの登録(15時39分)、ロゴの画像のアドレスの日付RDAP、設定のデータ
2026年5月8日規制情報の画像5枚のアドレスの日付規制情報のデータ
2026年7月6日窓口のアドレスositecsing.ccの登録(5時2分)RDAP

▼登録日が2026年4月25日のfxtmit.comのRDAP

fxtmit-登録日が2026年4月25日のfxtmit.comのRDAP

出典:rdap.verisign.com

  • ホーム画面の告知の題は「VueUse Collection of Vue Composition Utilities」で、サイトを作る部品の宣伝文がそのまま残っている
  • 電話番号の国番号として選べるのは「Dubai」(971)と「Thailand」(66)の2つだけで、日本(81)はない
  • プログラムに書かれていた日本語の「保存」は「保存#ホゾン#」となっており、読みがなまで混じった機械翻訳の跡がある
  • 窓口の画面はfxtmit.comと同じアイコンで「online service」と名乗り、「アジア太平洋地域のサポート対応時間は、シンガポール時間の10:00~23:00です。」と表示する
  • Googleセーフブラウジングに危険の判定はなく、Internet Archiveにも画面の記録はない(どちらも安全の根拠にはならない)

▼FXTMと同じアイコンを出す窓口のチャット

fxtmit-FXTMと同じアイコンを出す窓口のチャット

出典:ositecsing.cc

アドレスが登録される前の日付の部品や、日本の番号を選べない入力欄が残っていることから、日本以外に向けて作られた仕組みに、FXTMの名前と画像を載せて使い回している可能性があります。

案内されたアドレスの登録日は、RDAPの照会で誰でも見られます。勧誘が始まる少し前に取られたアドレスや、名前を使われた会社の公式サイトと違うアドレスであれば、それだけで対応を止める理由になります。

本物の口座と同じ画面で仮想の口座に切り替えられる

設定のデータには、仮想の口座を使えるようにする項目があり、初めの残高は「300000」と決められています。プログラムそのものを取得して確認したところ、ログインすると本物の口座と仮想の口座の両方が用意され、マイページの「ユーザー切り替え」で行き来できる作りでした。

▼仮想の口座と初めの残高300000を決める設定

fxtmit-仮想の口座と初めの残高300000を決める設定

出典:fxtmit.com

2つの口座の違いは、マイページの名前の横に出る「リアル」「バーチャル」の小さな札だけで、取引の画面そのものは同じです。画面の残高が実際の入金によるものかは、画面を見ただけでは見分けがつきません。

神奈川県も、FXの投資グループをめぐる注意喚起の中で、取引画面の利益について次のように説明しています。これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、31,950ドルという残高の表示も、それだけでは手元に戻せるお金があることを示しません。

〇オンライン上のFXの取引画面では利益が出ているように見えても、画面自体が架空であり実際の取引は行われていない場合があります。

▼画面自体が架空の場合があると注意する神奈川県

fxtmit-画面自体が架空の場合があると注意する神奈川県

出典:神奈川県

入口をサービスコードで閉じ、仮想の口座まで用意したサイトでは、画面の残高や相手が見せる利益の画面は判断の材料になりません。お金を入れる前に、案内されたアドレスが名前を使われた会社の公式サイトのものか、日本で登録を受けた業者かを金融庁の検索で確かめてください。

【参考】
・fxtmit.com(https://fxtmit.com/)
・fxtmit.com-設定のデータ(https://fxtmit.com/public/api/index/config)
・fxtmit.com-国番号のデータ(https://fxtmit.com/public/api/index/area_codes)
・rdap.verisign.com-fxtmit.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/fxtmit.com)
・tld-rdap.verisign.com-ositecsing.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/ositecsing.cc)
・神奈川県-投資グループに誘われる FX取引の詐欺的なトラブルに注意!(かながわ消費生活注意・警戒情報第147号)

FXTMの名前で誘われたときに画面の数字から確かめること

画面の数字を確かめる。残高と請求額を分けて記録。手数料の計算と支払先を照合。許認可は公式情報と突き合わせる。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

fxtmit.comの勧誘では、残高、手数料、保証金、「審査中」の表示、許認可の番号と、数字や記号が次々に示されました。どれも画面の上ではもっともらしく見えますが、計算したり公式の情報と照らし合わせたりすると食い違いが出てきます。

示される数字を、画面に出てくる順に1つずつ確かめます。

  • 残高を見せられたら:画面の残高は、サイトの運営が表示する数字です。fxtmit.comには仮想の口座もあり、増えて見える残高を理由に入金を足すのはやめましょう
  • 出金手数料の額を告げられたら:告げられた額を残高で割ってみます。本件の6,390ドルは残高のちょうど20%でした。サイトの計算では手数料は引き出す額から差し引かれ、別に振り込むものではありません
  • 保証金を求められたら:マネーロンダリングの疑いや複数人の操作など、追加の入金で疑いが晴れるという名目は、fxtmit.comのプログラムに用意されていません。振込先が個人名義の口座なら、その時点で手を止めてください
  • 「審査中」が続いたら:出金の「審査中」は運営が承認するまで変わらない状態です。払えば審査が進むという説明は画面の作りと合いません
  • 許認可の番号を示されたら:画像に載る連絡先とアドレスが、正規の公式サイト(fxtm.com、forextime.com)と同じかを見ます。あわせて、金融庁の金融事業者一括検索で日本の登録があるかを確かめます

1つでも数字が合わないと感じたら、それ以上は振り込まないでください。告げられた額と画面の残高を書き留め、振込の明細とあわせて信頼できる第三者に見せれば、どこが合わないかを一緒に確かめられます。

【参考】
・FXTM(https://www.fxtm.com/en/)
・金融庁-金融事業者一括検索

fxtmit.comの口コミが見つからない理由は正規のFXTMと同じ略称にある

口コミが見つかりにくい構造。略称の結果には正規の情報が多い。個別の勧誘とコード制で利用者が見えにくい。投稿が見つからなくても安全とはいえない。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

fxtmit.comと窓口のositecsing.ccのアドレス、FXTMの名前で、X、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる等を探しました。本件のアドレスで書かれた口コミや被害の投稿は見つかりませんでした。この章では、見つからない理由と、本事案と型が似ている相談を紹介します。

「FXTM」の検索結果は海外FXの比較サイトで埋まる

被害に遭った人が手がかりにするのは、画面に出ていた「FXTM」という4文字です。ところがこの名前で検索すると、並ぶのは正規のFXTMを紹介する海外FXの比較や評判のページばかりです。

fxtmit.comで困った人が書き込んでいたとしても、その声は実在のFXTMの評判の山に紛れ、検索の上位には出てきにくくなります。fxtmit.comというアドレスで調べても、出てくるのはサイトそのものと、アドレスの危険度を判定するサービスの一覧だけでした。

入口はInstagramの個別のやり取りで閉じている

相談者を誘った相手とのやり取りは、Instagramの中の1対1の会話でした。fxtmit.comもサービスコードを知らなければ入れないため、同じサイトの利用者が互いを見つけ情報を交わす場がありません。

被害に気づいた人がいても、同じサイトの話だと分かる形で声が集まりにくい作りです。口コミが0件だったのは、利用者どうしの声が届く道がないためとみられ、サイトが安心できることを意味するものではありません。

マネーロンダリングを告げられた2025年9月の相談

本件の名前ではありませんが、Yahoo!知恵袋には、Instagramから投資に誘われ、出金の際にマネーロンダリングの疑いを告げられたという2025年9月2日の質問があります。

仮想通貨 マネーロンダリング疑いで出金出来ない。
保証金 総資産の20%求められています。
これは詐欺でしょうか?
Instagramから投資へ誘導され 相手の方が500万振込して それで何度か取引したのですが日本に来たので引き出しをして2人の旅行資金にしようと言われました。
引き出しをしたのですが マネーロンダリング疑いがあると 出金できませんでした。

▼マネーロンダリング疑いで保証金を求められた知恵袋の質問

fxtmit-マネーロンダリング疑いで保証金を求められた知恵袋の質問

出典:Yahoo!知恵袋

Instagramからの誘導、相手が先に入金して見せたこと、マネーロンダリングを理由に出金を止めたこと、総資産の20%という割合が本件と重なります。一方で、商品はFXではなく仮想通貨で、20%は手数料ではなく保証金として求められている点が違います。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-2025年9月2日の質問(マネーロンダリングの疑いで出金できず保証金を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11319469721)

出金手数料まで払った後にfxtmit.comへの振込を取り戻す道

支払いを止め、記録をそろえる。追加の請求には振り込まない。やり取りと振込明細を保存。振込先の金融機関と専門家に確認。事案名「FXTMを装うfxtmit.com」を右上に示す説明図。

相談者は、保証金を2回と出金手数料まで振り込んでも、出金は「審査中」のままです。警察に電話して出向く日を案内され、銀行には口座の凍結を頼んでいます。

この段階で気になるのは、次の支払いを求められたらどうするか、頼んだ凍結はどう進むのか、口座に残っていないお金はどうなるのかの3つではないでしょうか。

「審査中」のまま次の名目を告げられても払わない

前の章までで見たとおり、fxtmit.comでは出金手数料は引き出す額から差し引かれる作りで、「審査中」は運営が承認するまで動きません。税金や凍結の解除など、新しい名目で支払いを求められても、振り込む理由にはなりません。

警察に出向く前に、手元の記録をそろえておきましょう。振込の明細、Instagramでのやり取り、fxtmit.comの残高と出金の履歴、窓口のチャットの画面は、相手のアカウントやサイトが消える前に画面の写しで残しておくと、相談の場で状況を伝えやすくなります。

頼んだ凍結が振込先の口座に届いているか確かめる

口座に残ったお金を被害者に分ける振り込め詐欺救済法では、最初の一歩が口座の取引の停止です。金融庁のQ&Aは、取引の停止は「預金口座等が犯罪に利用された疑いがある場合」に行われると説明しています(Q7)。

振込先が2つの金融機関に分かれる本件では、凍結を頼んだのが振込に使った銀行であれば、両方の金融機関に連絡が届き、口座が止められたかを確かめてください。分配の申請については、Q&Aに次の説明があります(Q25)。

A 申請書(様式第一号)に必要事項を記入し、必要な資料を添付した上で振込先の金融機関に提出してください(振込みを行った金融機関に提出し、振込先の金融機関に取り次いでもらうことも可能です。)

申請の手数料についても、Q&Aは「申請手数料等はとられません」と答えています(Q24)。救済法の手続きを代わりに進めると言って先に費用を求める連絡が来ても応じず、振込先の金融機関に直接確かめてください。

口座から引き出された分は裁判所の手続きも含めて考える

救済法の分配の元手になるのは、取引が止まった口座の中身です。引き出された分を取り戻すには、口座の名義人や勧誘した相手に請求することになりますが、口座の名義人が勧誘した相手本人とは限らず、相手について手元にあるのはInstagramの表示名だけです。サイトも運営会社の名前を示していません。

口座のお金を押さえる方法は、救済法の手続きだけではありません。Q&Aは、救済法の手続きに入らない場合として次の例を挙げています(Q11)。

A 預金口座等に係る債権について、例えば、以下の手続がとられている場合には、消滅手続に入りません。
・ 払戻しの訴えが提起されている場合
・ 強制執行、仮差押え、仮処分の手続、担保権の実行、国税滞納処分等の手続が行われている場合

仮差押えのように、裁判所の手続きで口座のお金を押さえる道もあるということです。どちらの道が合うかは、口座の残高やほかの被害者の有無で変わり、個人で見極めるのは難しいところです。弁護士に依頼すれば、名義人への請求も含めて、どの手続きを選ぶかの判断と手続きを任せられます。

警察に出向く前の今のうちに、振込の明細とやり取りの記録を持って専門家に相談してください。凍結がどこまで進んでいるか、口座に残ったお金をどの手続きで押さえるかを、一緒に確かめることができます。

【参考】
・金融庁-振り込め詐欺救済法 Q&A
・金融庁-振り込め詐欺救済法
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

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