Bitbankを騙るbitbankwallets.comは詐欺?出金させず安全検証金を求める手口

マッチングアプリで知り合った相手に「イーサリアムに変換して貯蓄すれば利益が出る」と勧められ、Bitget Walletのアプリの中で「Bitbank」を名乗るbitbankwallets.comを使っていた相談者がいます。

この方が満期の前に利益を引き出そうとすると「安全検証金」を求められ、相手方の口座へ振り込んだ後には、支払いの「タイムアウト」を理由に、同じ額の二次安全検証金まで示されました。

サイトのプログラムを調べると、口座の「出入金」は窓口への連絡を促すだけで、出金の画面も残高を0.00と表示して申請を送らない作りでした。「Bitbank銀行預金」の30日の商品は1か月で元本の4割を超える利益をうたい、ロゴやトップの画像は正規のビットバンクのものを借りています。

安全検証金がどこから来た請求なのか、正規のビットバンクの説明と何が違うのかを弁護士が解説します。振込と暗号資産の送金とで分かれる取り戻し方と相談先は、最後の章にまとめました。

「イーサリアムで貯蓄すれば利益が出る」から安全検証金の請求まで

出金相談から追加請求へ。ウォレットから外部サイトへ。安全検証金を振り込んだ後も再請求。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

マッチングアプリで知り合った相手から「イーサリアムに変換して貯蓄すれば利益が出る」と案内されたことが、今回の相談の始まりです。貯蓄の先として相談者の画面に出ていたのは、「Bitbank」と名乗るサイトbitbankwallets.comでした。

この章では、イーサリアムでの貯蓄の勧め、Bitget Walletのアプリの画面に表示されたbitbankwallets.com、出金を求めた後の安全検証金と二次安全検証金の請求を順にたどります。

マッチングアプリの相手が勧めたイーサリアムの貯蓄

相談者は、マッチングアプリで知り合った相手から、暗号資産のイーサリアムに換えて貯蓄すれば利益が出ると勧められました。案内されたのは、イーサリアムを用意したうえで、ウォレットのアプリ「Bitget Wallet」を使う方法です。

一度利益が出たときには、その分を引き出すことができたといいます。その後も相談者は、ウォレットからイーサリアムを送り、勧められた貯蓄を続けました。その貯蓄の先が、次に見るbitbankwallets.comです。

Bitget Walletの画面に表示されたbitbankwallets.com

Bitget Walletは、利用者が自分で暗号資産を持つ形の正規のアプリです。アプリの中から外部のサービス(分散型アプリ、DApp)を開けるようになっていて、相談者が開いたのもその画面でした。

その画面には、第三者のサイトへ移ることを知らせる警告とともに、bitbankwallets.comのアドレスが表示されていました。Bitget Walletそのものではなく、アプリの外にある別のサイトだという表示です。

bitbankwallets.comをスマートフォンで開くと、「Bitbank」のロゴと名前、「ウォレットを接続」の見出しが並びます。その下に置かれているのは、「Bitget Wallet を接続」のボタンだけです。

▼Bitget Walletの接続だけを求めるトップ画面

bitbankwallets-Bitget Walletの接続だけを求めるトップ画面

出典:bitbankwallets.com

満期前の出金を求めると安全検証金を告げられた

相談者は、30日以上の貯蓄と2000USDTの注文を条件に、満期の前でも利益分の800USDTを出金できると考え、出金を求めました。USDTは、1枚がおよそ1米ドルになるよう発行されている暗号資産です。

これに対し、相手は「安全検証金」を払うまで出金はできないと答えています。「Bitbank」と表示された書面にも同じ検証金を求める記載があり、請求は相手の言葉だけでなく、サイトの名前を掲げた書面の形でも示されています。

振り込んだ後に示された二次安全検証金の書面

相談者は、最初の請求にはすぐに応じられませんでした。しばらくして、相手方の個人名義または法人名義の口座へ安全検証金を振り込むと、今度は支払いが「タイムアウト」したとして、同じ額をもう一度求められています。

別の書面には「二次安全検証金」の名目と、支払いの期限が書かれていました。ウォレットの履歴には、同じアドレスへのイーサリアムの送金2回が完了したと記録されています。

マッチングアプリで勧められたイーサリアムの貯蓄から、bitbankwallets.comに預けた形の資金を引き出そうとして、安全検証金と二次安全検証金を重ねて求められたことが被害につながった経緯です。

次の章では、相談者が出金の条件として考えていた「30日」と「2000USDT」が、bitbankwallets.comの貯蓄の商品の設定とどう対応するかを確かめます。

【参考】
・bitbankwallets.com(https://bitbankwallets.com/)
・Bitget Wallet(https://web3.bitget.com/ja)

「Bitbank銀行預金」は30日で元本の4割を超える利益をうたう

貯蓄商品の数字を照合。30日・最低2,000USDT。正規サービスは預金ではない。満期前の利益出金操作は見当たらない。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

bitbankwallets.comの「貯金」の画面には、「Bitbank銀行預金」の見出しと「Bitbank銀行貯蓄注文の作成」のボタンが置かれています。見出しもボタンもログインの後に出る画面の文字なので、サイトが配るプログラムそのものを取得して確認しました。

この章では、ログインしなくても読める貯蓄の商品の設定、正規のビットバンクの「貸して増やす」との違い、満期の前に利益を取り出す手続きがあるかどうかの3点を確かめます。

30日・2,000USDTの貯蓄は日次1.40%の商品

ログインせずに読める商品の設定のデータには、期間と最低額の違う6つの貯蓄の商品が並んでいます。

期間最低額(USDT)リターン率
3日500.90〜1.00%
7日8001.00〜1.10%
15日1,0001.10〜1.20%
30日2,0001.40〜1.50%
60日10,0001.50〜1.60%
120日50,0001.70〜1.80%

30日の商品は、最低額が2,000、リターン率が1.40〜1.50%です。相談者が出金の条件として考えていた「30日」と「2000USDT」にそのまま重なります。

▼30日・最低2,000の商品が並ぶ貯蓄の設定

bitbankwallets-30日・最低2,000の商品が並ぶ貯蓄の設定

出典:bitbankwallets.com

リターン率は、1日あたりの率とみられます。プログラムには取引の記録に付ける備考として「貯蓄日次リターン」があり、サイトのお知らせにも「0.60%~0.80%の利率で日次利息(IR)が自動的に付与」と書かれているためです。

日次1.40%で2,000を30日預けると、利益は2,000×1.40%×30日で840になります。1か月で元本の4割を超える利益が付く計算で、相談者が出金できると考えた利益分の800USDTとも近い数字です。

正規のビットバンクの「貸して増やす」は預金ではない

正規のビットバンクにも、持っている暗号資産を預けて増やすように見える「貸して増やす」というサービスがあります。その注意事項は、冒頭で次のように書いています。

本サービスは預金に類似する商品ではなく、また預金保険の対象にもなりません。

▼預金ではないと明記する正規の「貸して増やす」

bitbankwallets-預金ではないと明記する正規の「貸して増やす」

出典:ビットバンク

同じ注意事項によれば、年率は募集月ごとに「0.1%から5.0%までの範囲」で決まり、貸し出した暗号資産は貸出期間が満了するまで売ることも送ることもできません。途中でやめる場合は「5%の中途解約手数料」がかかります。

正規のサービスは年率で最大5.0%で、しかも預金ではないと断っています。bitbankwallets.comは同じビットバンクの名前で、1日あたり1.40%の「銀行預金」をうたっていることになります。

満期前に利益だけを引き出す手続きは画面にない

画面に出す言葉を言語ごとに置き換えるための一覧には、貯蓄の注文について「満期時間」のほか、「早期終了」「早期終了には罰金が課されます」「違約金」が用意されています。満期より前にやめると罰金がかかるという建て付けです。

一方で、プログラムを調べたところ、画面から貯蓄の注文に対してできるのは作成だけでした。注文の一覧には満期時間が表示されますが、早期終了を申し込む処理はなく「早期終了」の言葉もどの画面からも使われていません。

相談者は満期の前でも利益分を出金できると考えていましたが、満期の前に利益を取り出す手続きは、bitbankwallets.comの画面のどこにも用意されていないことになります。満期前の出金は、相手とのやり取りの中だけにあった話とみられます。

次の章では、満期を待ったとしても利益を引き出せるのかを、出金の画面のプログラムから確かめます。あわせて、入金の画面がどこへお金を入れさせる作りなのかも読みます。

【参考】
・bitbankwallets.com(https://bitbankwallets.com/)
・ビットバンク-貸して増やす(https://bitbank.cc/about/lending)

bitbankwallets.comの「出入金」は窓口への連絡を促すだけ

出入金は窓口案内で止まる。出金申請は送信されない。入金アドレスも表示されない。振込先は窓口が案内。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

利益を引き出すには、サイトに出金の手続きがなければなりません。bitbankwallets.comの口座の画面と、出金・入金の画面のプログラムを調べると、利用者がサイトの上では入金も出金もできない作りが見えてきます。

口座と出金・入金の画面はログインの後でしか開けないため、プログラムそのものを取得して中身を読みました。この章では、口座の画面の「出入金」の中身、どこからもつながっていない出金の画面、入金先を出さない入金の画面、FAQが案内する「加盟店口座」の4つを順に見ていきます。

「出入金」の欄に並ぶのは窓口へ連絡するよう求める案内

口座の画面で「出入金」を押すと、ヘルプの記事が開きます。ログインせずに読めるヘルプのデータで中身を確かめると、「すべての入出金手続きはBitbankの公式チャネルを通じて行う必要があります」とあり、入金については「Bitbankカスタマーサービスまでご連絡ください」と結んでいます。

記事は4本で、「【退会について】」と題した記事も、本文は入金の記事と1字も違わない同じ文でした。口座の画面のメニューに並ぶのは「お問い合わせ」「Bitbank貯蓄注文」「よくある質問」などで、入金や出金の画面へ進む項目はありません。

出金の画面はどの画面からもつながっていない

プログラムには、出金の画面と入金の画面が別に用意されています。ところが、ほかの画面からこの2つへ移るリンクは、プログラムのどこにも見つかりませんでした。口座の画面の「お問い合わせ」が開くのはサイトの中の窓口で、お金の出し入れで利用者が進める先はこの窓口しかありません。

残高は0.00の固定で申請はサーバーに送られない

その出金の画面も、出金のためには働きません。「利用可能残高 (USDT)」の数字は口座の残高を読み込まず、「0」を小数2けたで書いた「0.00」が固定で入っています(Number(“0”).toFixed(2))。

出金の数量とアドレスを入れて「確認」を押しても、サーバーには何も送られません。送信を止めたうえで「出金に失敗しました」(withdraw.alerts.fail)を表示するだけの処理です。画面の言葉の一覧にある「出金リクエストを送信しました」は、どこからも使われていません。

▼残高を0.00に固定し失敗だけを出す出金の処理

bitbankwallets-残高を0.00に固定し失敗だけを出す出金の処理

出典:bitbankwallets.com

入金の画面も入金先のアドレスを出さない

入金の画面には「USDT 入金アドレス」の見出しがありますが、その下に出るのは、常に「入金アドレスを取得できませんでした」の一文です(fund.receive.fetchError)。アドレスを取りに行く処理そのものがありません。

▼取得の失敗だけを出す入金の画面の処理

bitbankwallets-取得の失敗だけを出す入金の画面の処理

出典:bitbankwallets.com

出金と入金の画面を合わせて見ると、bitbankwallets.comの画面だけでは、お金を入れることも引き出すこともできません。お金の出し入れは、窓口とのやり取りの中でしか進まない作りです。

振込先は窓口が伝える「加盟店口座」

では、窓口はどこへお金を入れさせるのでしょうか。ログインせずに読めるFAQの「銀行カードの振込チャージと引き出しです」に、次の説明があります。

(前略)
多くの地域のユーザーにとって、資金をUSDやUSDTに交換する便利な手段が不足している可能性があることを踏まえ、Bitbankの財務部門では、指定のUSDおよびUSDT加盟店口座(マーチャントアカウント)を利用できる体制を整えています。ユーザーは、Bitbankのオンラインカスタマーサポートに連絡することで、これらの加盟店口座を入出金に利用できます。
これらの加盟店口座には取引限度額が設定されているため、入金を行う前に必ずBitbankのオンラインカスタマーサポートに連絡し、最新の口座情報を確認してください。
(後略)

▼入金の前に窓口で口座を確かめさせるFAQ

bitbankwallets-入金の前に窓口で口座を確かめさせるFAQ

出典:bitbankwallets.com

相談者が安全検証金を振り込んだ相手方の個人名義・法人名義の口座も、この説明のとおり窓口から伝えられた口座とみられます。同じFAQは出金の手順として本人確認書類の提出や6桁の出金パスワードを挙げていますが、プログラムにはそうした画面も見当たりません。

サイトの画面に入金先が出ず、担当者から口座を教えられる形の入金は、それだけで立ち止まる理由になります。振り込む前に、その口座の名義が誰なのか、サイトの運営会社とどうつながるのかを確かめてください。

【参考】
・bitbankwallets.com-ヘルプ(https://bitbankwallets.com/api/v1/help/articles?lang=ja)
・bitbankwallets.com-よくある質問(https://bitbankwallets.com/api/v1/home/faq?lang=ja)

安全検証金はbitbankwallets.comの仕組みの外にある請求

検証金はサイトの仕組みの外。請求名目はサイト内に見当たらない。出金前の支払いに注意。一度の引き出しは運用の証拠にならない。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

相談者が求められた安全検証金と二次安全検証金は、bitbankwallets.comの中では名前すら出てきません。この章では、プログラムとサイトのデータにある言葉、名前が使われた正規のビットバンク自身の注意喚起、相談者が一度は引き出せたことの意味の3点を確かめます。

「検証」や「タイムアウト」の言葉はプログラムにない

プログラムを調べたところ、画面のプログラム、画面に出す言葉を言語ごとに置き換えるための一覧、ログインせずに読めるお知らせ・ヘルプ・FAQのどこにも、「検証金」「安全検証」「二次」「タイムアウト」の言葉はありませんでした。「検証」の2文字で探しても0件です。

名目として近い「保証金」も、日本語の画面の言葉にはありません。中国語の画面の「保证金」は、レバレッジをかける契約取引の証拠金を指す言葉です。出金の前に払う費用を扱う画面も処理も、プログラムには用意されていません。

▼「検証」で探すと0件のFAQのデータ

bitbankwallets-「検証」で探すと0件のFAQのデータ

出典:bitbankwallets.com

前の章で見たとおり、bitbankwallets.comの出金の画面は申請を送りません。安全検証金が払われたかを画面が確かめる仕組みもないため、支払いが「タイムアウト」したという説明もサイトの記録に基づくものではないとみられます。

正規のビットバンクは出金時の保証金を求めない

名前が使われた正規のビットバンクは、2026年8月19日のお知らせ「特殊詐欺や不正アクセス等にご注意ください」で、出金をめぐる詐欺の事例を挙げたうえで次のように書いています。

(前略)
出金時に「税金」や「保証金」の支払いを求められることは通常ありません。支払いを拒むと分割払いを提案されるケースも報告されています。
出金のためにこうした支払いを求められたり、第三者から外部サービスへの送金を指示された場合は、警察へご相談ください。
(後略)

▼出金時の税金や保証金を否定する正規の注意喚起

bitbankwallets-出金時の税金や保証金を否定する正規の注意喚起

出典:ビットバンク

この注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、出金を申し出たところで名目の付いた支払いを示されるという入口は、相談者の場合とそろっています。一度払っても、別の名目や理由で次の支払いを求められる点も同じです。

一度は引き出せたのは運営が手作業で返したお金とみられる

相談者は、最初に利益が出たときには引き出すことができました。前の章のとおり、bitbankwallets.comには画面から出金する手続きがないため、このお金は画面の操作ではなく、運営の側から送られたものとみられます。

プログラムには、取引の記録に付ける備考を中国語から日本語に置き換える表があり、「管理员加款」を「管理者入金」、「管理员扣款」を「管理者出金」、「管理员调账」を「管理者調整」と訳しています。残高の増減を運営が手で書き込む作りを前提にした言葉です。

一度引き出せた経験は、サイトが本当に運用している証拠にはなりません。引き出せた額も、画面に出る残高や利益の数字も、運営が書き込める数字だからです。引き出せたかどうかではなく、出金の手続きそのものがサイトにあるかどうかで見極める必要があります。

【参考】
・bitbankwallets.com-よくある質問(https://bitbankwallets.com/api/v1/home/faq?lang=ja)
・ビットバンク-特殊詐欺や不正アクセス等にご注意ください

bitbankwallets.comが借りた正規のビットバンクのロゴと広告

名前よりアドレスと発表内容。ロゴや広告画像は正規性の根拠にならない。保管会社のお知らせは正規発表と食い違う。公開日とドメイン登録日も照合。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

bitbankwallets.comが「Bitbank」を名乗る根拠として見せているのは、正規のビットバンクから借りたとみられるロゴや画像と、正規の会社の動きをなぞったお知らせです。この章では、ロゴ、トップの画像、三井住友グループとの提携をうたうお知らせ、ドメインと各データの日付の順に確かめます。

ロゴの図柄は正規と同じで色の値がわずかに違う

bitbankwallets.comのロゴは、紺色の「b」の中に緑の丸を置いた図柄で、正規のビットバンクのアイコンと形が同じです。ただし色の値を比べると、紺は正規の#07436Cに対して#003F6B、緑は#22B496に対して#2DAC91で、わずかに違う色で描き直されています。

▼図柄が同じbitbankwallets.comと正規のロゴ

bitbankwallets-図柄が同じbitbankwallets.comと正規のロゴ

出典:bitbankwallets.com、ビットバンク

トップの画像は2022年夏のキャンペーンの使い回し

ログインせずに読めるトップの画像のデータには、「夏のボーナス先取り!暗号資産はじめようキャンペーン」「新規口座開設&ご入金」「抽選で2,000円もらえる!!」と書かれた画像があります。

これは、正規のビットバンクのサイトに今も置かれている2022年夏のキャンペーンの画像と、文言も図柄も同じです。

▼正規の2022年のキャンペーン画像と同じトップの画像

bitbankwallets-正規の2022年のキャンペーン画像と同じトップの画像

出典:bitbankwallets.com、ビットバンク

4年前に終わった国内の口座開設のキャンペーンが、暗号資産の運用をうたうサイトの看板に使われています。正規の会社の広告をそのまま掲げることで、正規のサービスの一部のように見せているとみられます。

三井住友との保管会社の設立は正規の発表と食い違う

bitbankwallets.comのお知らせ(2026年7月8日付)は、「当社は、三井住友信託ホールディングス株式会社と提携し、認定デジタル資産保管会社を設立しました。」と書いています。

▼保管会社の設立をうたう2026年7月8日のお知らせ

bitbankwallets-保管会社の設立をうたう2026年7月8日のお知らせ

出典:bitbankwallets.com

正規のビットバンクが2022年5月に三井住友トラスト・ホールディングス(現・三井住友トラストグループ)と基本合意して作ったのは、信託会社の「設立準備会社」です。2026年9月25日の三井住友信託銀行の発表でも、この会社は「管理型信託業の登録に向けた準備を進めています」とされています。

▼登録の準備中とする三井住友信託銀行の発表

bitbankwallets-登録の準備中とする三井住友信託銀行の発表

出典:三井住友信託銀行

同じ発表によれば、ビットバンクが持つこの会社の株式は、すべて三井住友信託銀行が取得します。お知らせにある「三井住友信託ホールディングス株式会社」という社名も正規の資料には出てこず、社名と「設立しました」が事実と合いません。

ヘルプとお知らせの日付はドメインの登録より前

bitbankwallets.comの登録情報と、サイトのデータに残る日付を並べると次のとおりです。

項目内容
ドメインの登録日時2026年7月9日17時24分(日本時間)
レジストラGoDaddy
ヘルプの記事の公開日時2026年6月22日
お知らせ3本の公開日時2026年7月8日

▼2026年7月9日の登録を示すRDAPの記録

bitbankwallets-2026年7月9日の登録を示すRDAPの記録

出典:rdap.verisign.com

  • ヘルプとお知らせは、ドメインを取る前に用意されていたことになります
  • Googleセーフブラウジングの判定はありませんでした
  • Internet Archiveとurlscan.ioに、このアドレスの記録はありません
  • 金融庁の金融事業者一括検索では「Bitbank」「bitbankwallets」とも0件で、「ビットバンク」で出るのは正規のビットバンク株式会社(関東財務局長 第00004号)だけです

ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。正規のビットバンクのサービスは、公式のアドレス(bitbank.cc)と正規のアプリで提供されています。画面のロゴや画像ではなく、開いているアドレスがそれと一致するかを確かめてください。

【参考】
・bitbankwallets.com-お知らせ(https://bitbankwallets.com/api/v1/home/news/6?lang=ja)
・bitbankwallets.com-トップの画像(https://bitbankwallets.com/api/v1/home/banners)
・ビットバンク(https://bitbank.cc/)
・ビットバンク-日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社の株式譲渡に関するお知らせ(https://corporate.bitbank.cc/news/20260925_01)
・三井住友信託銀行-日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社の完全子会社化に関するお知らせ(https://www.smtb.jp/-/media/tb/about/corporate/release/pdf/260925-2.pdf)
・金融庁-金融事業者一括検索
・金融庁-暗号資産交換業者登録一覧

正規のビットバンクにないものを一つずつ確かめる

正規の説明と一つずつ比べる。預金と称する商品・口座開設方法を確認。振込先と出金前の請求を確認。公式アドレスとの一致を確認。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

ここまでに見たbitbankwallets.comの不審な点は、正規のビットバンクの説明に照らすと、どれも「正規の側にはないもの」として現れます。名前が同じでも、次の5つのうち1つでも出てきたら、正規のビットバンクとは別のものと考えて立ち止まってください。

  • 「銀行預金」という名前の商品はない:正規のビットバンクで暗号資産を増やすサービスは「貸して増やす」で、預金ではないと明記され、年率は0.1〜5.0%です。ビットバンクの名前で1日あたりの利率の「銀行預金」をうたう時点で、正規の説明と食い違います。
  • ウォレットをつなぐだけで開ける口座はない:正規のビットバンクで口座を開くには、本人確認書類と顔の写真を送るか、郵送で届くはがきを受け取る本人確認が必要です。ウォレットのアドレスを送るだけで残高が表示されるサイトは、その手続きを経ていません。
  • 担当者が教える他人名義の振込先はない:正規のビットバンクへの日本円の入金は、本人の名義で振り込むもので、本人名義以外の振込は受け付けていません。窓口が個人名義や法人名義の口座を伝えてくる形は、正規の入金の流れと合いません。
  • 出金の前に払う「検証金」はない:正規のビットバンクは、出金時に税金や保証金を求められることは通常ないと注意を呼びかけています。「安全検証金」「二次安全検証金」と名前を変えても、出金の前の支払いであることは同じです。
  • bitbank.cc以外の公式サイトはない:正規のビットバンクが公式として挙げるサイトは、いずれもbitbank.ccのアドレスです。「bitbankwallets」のように名前の一部が同じでも、アドレスが違えば別のサイトです。

ウォレットのアプリの中から開くサイトは、ブラウザで開くときよりアドレスが目に入りにくいことがあります。開いた画面の名前やロゴではなく、アドレスと入出金の手続きを正規の説明と見比べてください。正規のビットバンクは、名前をかたる偽サイトを見つけたときの情報提供も受け付けています。

【参考】
・ビットバンク-貸して増やす(https://bitbank.cc/about/lending)
・ビットバンク-口座開設の方法は二通りあります(https://support.bitbank.cc/hc/ja/articles/900000204106)
・ビットバンク-日本円入金に関するルール(https://support.bitbank.cc/hc/ja/articles/900001979083)
・ビットバンク-当社の名を騙った偽サイトやフィッシング詐欺にご注意ください

bitbankwallets.comの口コミはなく先に見つかるのは正規の注意喚起

口コミが見つからない理由を考える。名前で探すと正規情報が先に出る。招待とウォレット経由の入口。類似相談は同一案件と断定できない。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

「bitbankwallets」「Bitbank銀行預金」「二次安全検証金」で探しても、bitbankwallets.comを名指しした口コミや被害の報告は見つかりませんでした。なぜ声が残らないのかは、名乗る名前と入口の作りから読み取れます。

Bitbankの名前で引けるのは正規の会社のアプリとコラム

「bitbankwallets」で検索すると、上位に並ぶのは正規のビットバンクのアプリの配布ページや、ウォレットについてのコラムです。「Bitbank 安全検証金」で探しても、上位に並ぶのは正規のビットバンク自身が出している詐欺への注意喚起でした。

サイトが名乗る「Bitbank」は、国内で登録を受けた交換業者の名前そのものです。被害に遭った人が名前で調べても、正規の会社の情報が先に並び、bitbankwallets.comについての書き込みがあっても埋もれやすい状態です。

招待コードとウォレットの中でしか開けない入口

ログインせずに読めるサイトの設定では、登録に招待コードが要る作りになっています。ログインもウォレットをつなぐ形だけで、相談者のようにBitget Walletのアプリの中から開くと、検索の画面を通らずにたどり着きます。

ドメインの登録から3か月余りで、保存された画面も見当たりません。紹介を受けた人だけが、アプリの中から入るサイトのため外の人の目に触れにくく、口コミとして積み重なりにくいとみられます。

ビットバンクを名乗る偽サイトと安全検証金の相談は以前から

本件のアドレスは出てきませんが、「ビットバンク」の名前で出金の前に支払いを重ねて求められたという相談は、2025年にもありました。Yahoo!ファイナンスの「お金の先生」に寄せられた、2025年5月14日の質問です。

ビットバンクは詐欺だと思うのですが、どう思いますか?
450万を引き出すのに税金98万必要と言われ50%の50万入金したら220万引出しできると言われて50万入金。失敗したから残りを入金しろと言われてます。どう思いますか?

回答の一つは「ロゴは本物のビットバンクのロゴと似ていますが、全く別のサイトです」と書いています。回答者個人の見方ですが、bitbankwallets.comのロゴも、正規の図柄を色だけ変えて描き直したものでした。

一度払った後に「失敗した」として残りを求める流れは、本件の「タイムアウト」による二次安全検証金と同じ形です。「安全検証金」という名目も、2023年と2025年のYahoo!知恵袋の質問に、別の名前のサイトで出金する場面として出てきます。

青森テレビも2025年12月25日、マッチングアプリの相手に「貯蓄」を勧められ、正規の交換業者であるビットバンクとBitget Walletでアカウントを作ってイーサリアムを指定のサイトへ送った後、出金の際に高額の支払いを求められた被害を報じました。

これらの相談や報道が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、名前やウォレットを替えながら同じ型の請求が続いています。返金をうたう業者の宣伝に頼らず、自分で調べた公的な窓口や弁護士に相談してください。

【参考】
・Yahoo!ファイナンス お金の先生-2025年5月14日の質問(ビットバンクを名乗るサイトで出金に税金を求められたという相談)(https://finance.yahoo.co.jp/crypto/experts/questions/q14314998139)
・Yahoo!知恵袋-2023年11月2日の質問(出金しようとして凍結され安全検証金を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10288335345)
・Yahoo!知恵袋-2025年7月21日の質問(凍結の解除に安全検証金の振込を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10317733485)
・TBS NEWS DIG(青森テレビ)-マッチングアプリで知り合った女性に勧められた仮想通貨の被害の報道(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/atv/2369068?display=1)

二次安全検証金の期限が迫るなかで取り戻すために確かめること

支払いを止め、記録を残す。振込先の金融機関へ早く連絡。暗号資産の送金記録を保存。警察や専門家に相談。事案名「Bitbankを騙る偽サイト」を右上に示す説明図。

相談者の手元には、期限を区切って二次安全検証金を求める書面があります。これまでに出したお金は、相手方の口座への振込と、ウォレットからのイーサリアムの送金の2種類です。

この章では、期限までに払わないと失うのか、振り込んだ検証金は戻るのか、イーサリアムの分はどうなるのか、相手を突き止められるのかを順に考えます。振込と送金とで答えは違ってきます。

二次安全検証金の期限は払う理由にならない

前の章までに見たとおり、bitbankwallets.comの出金の画面は申請を送らず、安全検証金の名目もサイトの仕組みにはありません。

期限に間に合わせて払っても、その先に出金を進める手続きは用意されていません。払った後に、また別の理由で次の支払いを示される流れが続くおそれがあります。

期限が迫っていても、まず支払いを止めてください。書面、相手とのやり取り、振込の明細、ウォレットの送金の履歴は消さずに残し、警察相談専用電話(#9110)や最寄りの警察署に相談します。

振り込んだ検証金は口座の凍結から支払いまでの流れで戻りうる

一方、相手方の口座へ振り込んだ安全検証金については、振込先の口座を止めて残ったお金を被害者に分ける、振り込め詐欺救済法の仕組みがあります。金融庁の振り込め詐欺救済法Q&Aは、Q3でその流れを図にしています。

▼申し出から支払いまでを示す救済法Q&AのQ3

bitbankwallets-申し出から支払いまでを示す救済法Q&AのQ3

出典:金融庁

図のとおり、始まりは被害を金融機関に申し出ることです。そこから振込先の口座の取引停止、口座のお金を消滅させる手続き、被害者への支払いへと進んでいきます。口座を止めるかどうかは、金融機関の判断で決まります。

分けられるお金の元になるのは、止められた時点で口座にあった分です。振り込んでから時間がたつほど引き出されるおそれがあるため、振込先の金融機関への連絡は早いほど意味があります。

イーサリアムで送った分はこの手続きの外にある

ウォレットからのイーサリアムの送金は、銀行口座への振込ではないため、振込先の口座から戻す手続きは使えません。正規のビットバンクも、2026年10月2日のお知らせ「暗号資産を利用した詐欺被害にご注意ください」で次のように書いています。

(前略)
一度暗号資産を外部へ送付すると、取り戻すことが困難となる場合があります。第三者からの指示に基づいて暗号資産を購入・送付する場合は、すぐに取引を行わず、詐欺の可能性を疑ってください。
(後略)

▼送った暗号資産は戻しにくいとする正規の注意喚起

bitbankwallets-送った暗号資産は戻しにくいとする正規の注意喚起

出典:ビットバンク

取り戻すのが難しいからこそ、送金先のアドレス、送った日時と数量、取引ごとの識別番号を、ウォレットの履歴から書き写しておくことが後の手がかりになります。画面の写しも、日付が分かる形で残しておきます。

送金先のアドレスの持ち主を一人で突き止めるのは難しい

送金先のアドレスを見ても、その持ち主の名前は分かりません。ブロックチェーンには送金の記録が残りますが、アドレスからお金の流れをたどり、行き着いた先の事業者に照会するといった作業を、個人で進めるのは簡単ではありません。

振り込んだ先の口座も、他人から手に入れたものが使われていることがあります。正規のビットバンクの同じお知らせは、口座の売買・譲渡・貸与が法令に違反するおそれがあると注意しており、口座の持ち主と、お金を受け取った相手が同じとは限りません。

送金の流れをたどり、振込と送金の向こうにいる相手に行き着くための照会や手続きを、代わりに進められるのが弁護士です。救済法の申請と並行して進められるので、書面と振込の明細、ウォレットの履歴を手元にそろえ、早めに専門家に相談してください。

【参考】
・金融庁-振り込め詐欺救済法 Q&A
・警察庁-SOS47 特殊詐欺対策ページ(警察相談専用窓口 #9110)
・ビットバンク-暗号資産を利用した詐欺被害にご注意ください

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

被害に気づいた今からでも、振込先口座や送金記録、相手とのやり取りを手がかりに、返金に向けた対応を検討できる場合があります。まずは、現在の状況をお聞かせください。

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