今回の相談は、LINEでやり取りしていた相手から、取引サイト「Adx Earn」での運用を勧められたのが始まりです。国民生活センターも、利益を引き出す段階で税金や保証金を立て続けに求められる暗号資産のトラブルを公表しています。
相談者はイーサリアムを送り、銀行振込もしましたが、その後「Adx Earn(adxearn.com/adxearn.top)」から、FATFの規定を理由にした保証金とシカゴ商品取引所の名前での税金を求められました。
調べると、Adx Earnは会社紹介でCoinbaseの金融サービス部門を名乗る一方、規約では自らを「NOZA」と呼び、ページ内検索でその名前が159件見つかります。NOZAの名前のドメインでも同じ「ADX」が表示され、FATFとCME Groupは、こうした手数料や税金を求めないと自ら明記しています。
本記事では、会社紹介や規約、ドメインの記録を名前を使われた側の資料と並べて検証し、出金のための支払いを求められたときの確かめ方を弁護士が解説します。
Adx Earnに関するトラブルの概要

今回の相談は、LINEでやり取りしていた相手から、Adx Earn(adxearn.com/adxearn.top)という取引サイトでの運用を勧められたのが始まりです。相談者はイーサリアムを送り、銀行振込もしましたが、その後、保証金と税金を払わなければ資金を引き出せないと告げられました。
この章では、引き出す前に税金や保証金を続けて求める手口についての国民生活センターの事例、暗号資産を送らせる被害についての警察庁の統計、Adx Earnが日本で登録を受けた業者かどうかの3点を取り上げます。
出金の前に税金や保証金を立て続けに求める手口
国民生活センターが公表した暗号資産のトラブルの相談事例には、SNSで知り合った相手に投資を勧められた人が、利益を引き出そうとした途端に次々と支払いを求められた例が載っています。
利益が出たので引き出したいと女性に伝えたところ、税金や保証金を立て続けに請求され、合計約170万円をクレジットカードで支払った。さらに、「残高の8%の50万円を手数料として払うように。これが最後であり、全て国際基金の規定に基づいての請求だ。支払えば約600万円を口座に入金する」と連絡があった。
(後略)
▼国際基金の規定を名目に支払いを迫られた国民生活センターの事例

出典:国民生活センター
この事例では、税金と保証金を払った後に、さらに「国際基金の規定」を理由に手数料を求められています。国際的な機関の決まりを持ち出して支払いを迫る点は、Adx Earnの通知が金融活動作業部会(FATF)の規定を挙げて保証金を求めた今回の相談と同じ形です。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、引き出す前に名目を変えながら支払いを求められ続ける流れは、今回の相談と重なります。
イーサリアムなどの暗号資産を送らせる被害が増えている
警察庁は、令和8年上半期のSNS型投資詐欺について、被害者がお金を渡した方法ごとに件数と被害額をまとめています(暫定値)。銀行口座への振込の次に多いのが、暗号資産を送らせる形です。
○ 暗号資産送信型の認知件数は1,288件(+594件、+85.6%)、被害額は128.4億円(+48.4億円、+60.5%)。
(後略)
同じ資料では、振込型の認知件数も4,084件(+1,978件、+93.9%)で、どちらも前の年の同じ時期から大きく増えています。今回の相談者は、国内の暗号資産交換業者で買ったイーサリアムを送り、そのうえ相手が示した口座への振込もしており、暗号資産と銀行振込の両方でお金が相手の側に渡っています。
金融庁の登録業者の中にAdx EarnやADXの名前はない
登録を受けた業者かどうかは、金融庁の金融事業者一括検索に名前を入れると分かります。「Adx Earn」で検索した結果の画面には「該当するデータはありませんでした。」と出ます。
▼「Adx Earn」で検索しても該当がない金融庁の一括検索

出典:金融庁
ロゴの表記の「ADX」や規約に残る別の名前「NOZA」(後の章で取り上げます)で調べても、同じく1件も表示されません。暗号資産交換業者の登録一覧(令和8年9月1日現在、27業者)にも載っていません。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。
Adx Earnは会社紹介の中で、米国の暗号資産取引所Coinbaseの金融サービス部門だと名乗っています。正規のCoinbaseによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。その中身は後の章で、実在のCoinbase自身の資料と照らし合わせます。
会社紹介で大手の取引所の名前を出しているサイトであっても、送金や振込をする前に取引サイトの名前を金融庁の一括検索に入れて、登録業者として表示されるかを確かめてください。
【参考】
・国民生活センター-SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル-その話、うのみにしないで-
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・Adx Earn-私たちについて(https://www.adxearn.top/#/pages/agreement/index?code=about_us)
Adx Earnへ誘導され被害につながるまでの経緯

Adx Earnを知ったのは、LINEで連絡を取り合っていた相手に運用先として紹介されたのがきっかけです。取引サイトの案内、イーサリアムの送付、ドルを買うための振込、保証金の請求、税金の請求を5つの場面に分けて見ていきます。
LINEでやり取りする相手から投資の運用を勧められる
LINEで連絡を取り合う相手が、お金を増やす運用先として挙げたのが取引サイトのAdx Earnです。サイトの左上には「ADX」のロゴが表示され、日本語の画面では「暗号通貨」「ストック」「外国為替」「レアメタル」の4つの分類が並びます。
▼暗号通貨・株式・為替・貴金属を並べるAdx Earnのトップ

出典:adxearn.top
暗号資産だけでなく株式や為替、金などの商品まで扱う取引所のような作りで、幅広い投資ができる本格的なサービスに見えます。相手とのやり取りはLINEで続き、その中でAdx Earnへの送金や振込が重なっていきます。
国内の取引所で買ったイーサリアムをADXへ送る
相談者は、国内の暗号資産交換業者で暗号資産のイーサリアム(ETH)を買い、Adx Earnへ送りました。相談者はこの送り先を、ロゴの表記から「ADX取引所」と呼んでいます。
イーサリアムの送付は1回では終わらず、日を置いて複数回にわたりました。国内の交換業者で買った暗号資産を取引サイトが示すアドレスへ送ると、相手の手元に移り、送った後に取り戻すことは難しくなります。
ドルの購入に充てるとして相手が示した口座へ振り込む
イーサリアムの送付とは別に、相談者は銀行振込もしています。相手から「ドルを購入するため」と説明され、指定された振込先の口座へ振り込みました。暗号資産の送付に加えて振込も求められたことで、お金の渡し方は2通りになり、振込は相手から示された口座へ直接お金を送る形です。
海外口座からのチャージを理由にFATFの規定で保証金を求められる
その後、Adx Earnから通知が届きます。通知には、海外口座にイーサリアムのチャージがあったとして、それと同じ額の保証金をAdx Earnの取引口座へ入金するよう書かれていました。
保証金を求める根拠として、通知はマネー・ローンダリング対策の国際的な枠組みである金融活動作業部会(FATF)の規定を挙げていました。国際機関の名前を出して入金を求める通知で、相談者は資金を動かすには支払いが必要だと告げられたことになります。
シカゴ商品取引所と日本の税務機関の名前で税金の納付を求められる
もう1つの通知は、税金の納付を求めるものでした。通知には「シカゴ商品取引所(Adx Earn)」と日本の税務機関の名前が並び、口座の総資産、これまでに入れた元金、累計の収益とともに納めるべき税金の額が示されていました。
税金を納めた後に、USDT(米ドル連動の暗号資産)を回収できるというのが通知の説明です。イーサリアムと銀行振込で資金を移した後、引き出すには国際機関や取引所、税務機関の名前で次の支払いが要ると告げられたのが今回の被害につながった経緯です。
Adx Earnの関連サイトの情報を調査した結果

この章では、Adx Earnのドメインの取得日時、adxearn.comを開いたときの動き、規約に残る名前「NOZA」を含むドメイン、海外の金融当局の警告リストの4点を見ていきます。Adx Earnの2つのドメインは、1分足らずのうちに続けて取得されていました。
下の表は、Adx Earnとかかわる8つのドメインをRDAPに記録された取得の時刻の順に並べたものです(協定世界時)。役割の欄は、サイトのプログラムや設定から確かめています。
| ドメイン | 登録日時(協定世界時) | 役割 |
|---|---|---|
| nozaexmhy.top | 2026年3月10日 09:07:25 | Adx Earnの画面へ相場を送る接続先 |
| nozaexmqw.top | 2026年3月10日 09:07:26 | nozaexmic.comの移り先 |
| nozaexmqjgrc.top | 2026年3月10日 09:07:28 | iPhone向けの配布先 |
| nozaexmic.com | 2026年3月10日 09:08:12 | nozaexmqw.topへ移るだけのページ |
| nozaexmtrqwl.top | 2026年3月10日 09:20:47 | Android向けアプリ(ADX.apk)の配布先 |
| adxearn.com | 2026年5月16日 03:44:31 | adxearn.topへ移るだけのページ |
| adxearn.top | 2026年5月16日 03:45:17 | 取引サイトの本体 |
| adxlmkuyt.top | 2026年5月16日 03:45:19 | アプリの案内先 |
adxearn.comとadxearn.topは46秒差で登録された
相談者に示されたadxearn.comと取引サイトの本体のadxearn.topは、どちらも2026年5月16日に取得されています。adxearn.comが03時44分31秒、adxearn.topが03時45分17秒でその差は46秒です。
▼46秒差で取得されたadxearn.comとadxearn.topの登録日時

出典:rdap.verisign.com/rdap.zdnsgtld.com
2秒後の03時45分19秒には、アプリの案内先のadxlmkuyt.topも取得されています。登録の受付をした事業者は.comと.topで別々ですが、3つのドメインが48秒のうちにそろって用意されたことになります。相談者がイーサリアムを送り始めるおよそ3か月前のことです。
adxearn.comは開くと1秒後にadxearn.topへ移るだけのページ
adxearn.comのページの中身は、別のアドレスへ移すための数行だけです。ページのソースを表示すると、1000ミリ秒後にadxearn.topへ移す指示と中国語の書き込み「延迟 1000 毫秒」(1000ミリ秒の遅延)が残っています。
▼1秒後にadxearn.topへ移すadxearn.comのページのソース

出典:adxearn.com
つまり、相談者に示されたadxearn.comは入口の看板で、取引の画面はすべてadxearn.topにあります。規約に名前の出てくるnozaexmic.comも、同じ中国語の書き込みを持つ同じ作りのページで、こちらはnozaexmqw.topへ移します。
NOZAを含むドメイン5つが2か月前に13分のうちに取得されていた
表の上の5つは、どれも「nozaexm」で始まるドメインです。2026年3月10日の09時07分25秒から09時20分47秒までの13分22秒に取得され、そのうち4つは最初の47秒に集まっています。
▼3月10日に続けて取得されたNOZAの名前のドメイン

出典:rdap.zdnsgtld.com/rdap.verisign.com
Adx Earnの規約の最終更新日は「2026年3月9日」で、NOZAのドメインがそろって取得される前の日にあたります。adxearn.comとadxearn.topが取得されたのは、その約2か月後です。NOZAのドメインが今どのようにAdx Earnとつながっているかは次の章で確かめます。
英国FCAや米国CFTCの警告リストにも該当する名前はない
海外の金融当局は、登録を受けずに営業する業者の名前を警告リストで公表しています。英国の金融行為規制機構(FCA)のリストで「adxearn」「Adx Earn」「NOZA EXM」と調べても、結果は「No search results」でした。
米国の商品先物取引委員会(CFTC)が公表する登録のない海外業者の一覧(RED List)と、香港の証券先物委員会(SFC)の警告リストにも、Adx EarnやNOZA EXMの名前は見当たりません。名前が見当たらないのは当局がまだ把握していないだけかもしれず、それで安心してよいことにはなりません。
画面の画像は省きますが、調べた結果をあと3つ挙げておきます。
- Googleのセーフブラウジングでadxearn.comとadxearn.topを調べても、危険を知らせる表示は出ない(2026年10月7日時点)
- ウェブページの保存サービスInternet Archiveとサイトの記録を集めるurlscan.ioに、adxearn.topの記録はない
- Internet Archiveに残るadxearn.comの2024〜2025年の記録は、今回の取得(2026年5月16日)より前に同じドメインを持っていた別の人のものでAdx Earnとは関係がない
ドメインの取得日時は、RDAPのアドレスにドメイン名を入れれば誰でも確かめられます。勧められた取引サイトのアドレスは、送金の前にRDAPで取得日を調べ、数か月前に取られたばかりのドメインなら、お金を送る前に立ち止まってください。
【参考】
・Adx Earn(https://www.adxearn.top/)
・RDAP-adxearn.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/adxearn.com)
・RDAP-adxearn.top(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/adxearn.top)
・RDAP-adxlmkuyt.top(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/adxlmkuyt.top)
・RDAP-nozaexmhy.top(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/nozaexmhy.top)
・RDAP-nozaexmqw.top(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/nozaexmqw.top)
・RDAP-nozaexmqjgrc.top(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/nozaexmqjgrc.top)
・RDAP-nozaexmic.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/nozaexmic.com)
・RDAP-nozaexmtrqwl.top(https://rdap.zdnsgtld.com/top/domain/nozaexmtrqwl.top)
・FCA-Warning List of unauthorised firms
・Google透明性レポート-セーフブラウジングのサイトステータス(https://transparencyreport.google.com/safe-browsing/search?url=adxearn.top)
Adx Earnに関する不審点

この章ではAdx Earnに関する不審点として、Coinbaseの一部門という名乗り、規約の「NOZA」という呼び名、別のアドレスでも出る同じ「ADX」、カスタマーサービスを通す入金、FATFとCME Group自身の注意喚起の6点を取り上げます。
どれも、名乗る名前とサイトの中身や名前を使われた側の説明が食い違う点です。
会社紹介でCoinbaseの金融サービス部門を名乗っている
ログインせずに開けるAdx Earnの会社紹介は、日本語の表示で冒頭から自らをCoinbaseの一部門だと説明しています。
Adx Earn について
Adx Earnは、Coinbaseの金融サービス部門です。
(中略)
世界中のユーザーがCoinbaseとその子会社Adx Earnを通じて、暗号資産の世界を探求し、その旅をスタートしています。
▼Coinbaseの金融サービス部門と名乗るAdx Earnの会社紹介

出典:adxearn.top
一方、正規のCoinbaseは2023年1月18日に日本での事業を見直し、既存の顧客との取引をやめると告知しています。
当社は、市場環境の変化により、現在の日本での事業の全面的な見直しと既存顧客との取引停止という難しい決断を下しました。
(後略)
▼日本の既存顧客との取引停止を伝える実在のCoinbaseの告知

出典:coinbase.com
Coinbaseの親会社が2026年2月に米国の当局へ出した年次報告書の子会社の一覧にも、Adx EarnやADX、NOZAの名前はありません(一覧は主な子会社だけを載せる形式です)。正規のCoinbaseによって運営されていることを示す情報は確認できませんでした。
規約の中でAdx EarnがNOZAと呼ばれている
Adx Earnの規約(日本語)は、最終更新日を「2026年3月9日」としたうえで、最初の段落で契約の相手を次のように定めています。
Adx Earnへようこそ!本契約は、お客様(以下「ユーザー」または「顧客」といいます)とAdx Earn(以下「NOZA」または「当社」といいます)との間のユーザー契約です。
(後略)
▼「NOZA」の検索結果が159件と出るAdx Earnの規約

出典:adxearn.top
Adx Earnを「NOZA」と呼び替える定めで、規約の本文には「NOZA EXMアカウント」「NOZA EXMウェブサイト」という言い方が続きます。ページ内検索で「NOZA」を探すと159件見つかり、規約の中ではAdx EarnよりもNOZAという名前のほうがはるかに多く使われています。
規約には「nozaexmic.com」というアドレスも出てきます。前の章で見たとおり、NOZAの名前のドメインがそろって取得されたのは、この最終更新日の翌日でした。なお、規約には保証金やFATFについての定めは見当たりません。
NOZAの名前のアドレスでも同じ識別番号のADXが表示される
Adx Earnのサイトには、開いたアドレスに応じてサイトの名前やロゴを返す仕組みがあり、その中身はログインしなくてもブラウザのアドレス欄に入れるだけで見られます。
adxearn.topと、NOZAの名前のnozaexmhy.topで開いて見比べると、どちらも名前は「ADX」、識別番号も同じ「4976f282-d4fb-4a70-a714-d47ae3a7d34d」が返ってきます。
▼別のアドレスでも同じ名前と識別番号を返すAdx Earnの仕組み

出典:adxearn.top/nozaexmhy.top
プログラムを調べたところ、この識別番号には「NOZAEXM」という名前の付いた設定もありました。同じ仕組みの中には、実在の暗号資産取引所や証券会社に似た名前の設定も残っています。ひとつの取引サイトの仕組みを、アドレスごとに違う名前で表示して使い回す作りとみられます。
入金はカスタマーサービスへの連絡から始まり振込の欄は日本の口座向け
ログインが要る入金の画面については、サイトのプログラムそのものを取得し、書かれている文言を読みました。入金の方法は「暗号通貨」と「銀行カード」で、ボタンは「カスタマーサービスに連絡して入金する」です。振込の欄は「受取銀行」「支店名、支店番号」「カタカナ名」と、日本の口座名義に合わせた作りです。
ログインせずに開けるサービスセンターの案内も、日本の利用者を前提にしています。
ご不明な点がございましたら、取引所のサービスセンターまでお問い合わせください。サービスセンターの営業時間は、日本時間午前11時から午前0時までです。
▼日本時間で営業時間を示すAdx Earnのサービスセンターの案内

出典:adxearn.top
入金の先をサイトの画面に固定せず、カスタマーサービスとのやり取りの中で決める作りは、相談者が「ドルを購入するため」として相手の示した口座へ振り込んだ流れと矛盾しません。
FATFは個人に手数料を求めず口座を止める権限もない
金融活動作業部会(FATF)は、マネー・ローンダリング対策の国際的な基準をつくる政府間の枠組みです。FATFは自らのウェブサイトで、その名前をかたる詐欺について次のように注意を呼びかけています。
(前略)
people wishing to make international transfers of funds are allegedly asked by the FATF to pay fees for fictitious services, for example relating to verification of the origin of the funds or to moving funds via a digital asset exchange. If the customer fails to pay the fees, the funds are blocked.
(中略)
The FATF does not vet financial transactions, request fees or have the capacity to block any account.
(後略)
▼名前をかたる手数料の請求に注意を促すFATFの警告

出典:FATF
資金の出どころの確認や暗号資産の取引所を通した移動を名目に、FATFの名で手数料を求め、払わなければ資金が止まるとする手口です。FATFは、取引の審査も手数料の請求もせず、口座を止める権限もないと明記しています。Adx Earnのプログラムや規約にも「FATF」の語はありません。
シカゴ商品取引所を運営するCME Groupは資金の解放に税金を求めない
シカゴ商品取引所(CBOT)は、2007年に合併したCME Groupの一員です。CME Groupは、自社の名前を使った詐欺への注意のページで、自社が決してしないことを並べています。
CME Group will never:
(中略)
Demand payment – such as taxes or or undisclosed “fees” – to release your funds.
(後略)
▼資金の解放に税金を求めないと明記するCME Groupの注意喚起

出典:CME Group
「資金を解放するために、税金や説明のない手数料を求めることはない」という内容です(「or or」は原文のまま)。国税庁も、暗号資産の利益は原則として雑所得で、所得税の確定申告が必要と説明しています。取引所の名前の通知へ納めるものではなく、Adx Earnのプログラムにも「税」の語はありません。
【参考】
・Adx Earn-私たちについて(https://www.adxearn.top/#/pages/agreement/index?code=about_us)
・Coinbase-日本事業の見直しと既存顧客との取引停止について(https://www.coinbase.com/ja/blog/halting-operations-in-japan)
・Coinbase Global-Exhibit 21.1(https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1679788/000167978826000015/exhibit21110kq42025.htm)
・Adx Earn-利用規約(https://www.adxearn.top/#/pages/agreement/index?code=legal_information)
・Adx Earn-名前を返す仕組み(https://www.adxearn.top/api/info?jumpURL=www.adxearn.top)
・nozaexmhy.top-名前を返す仕組み(https://www.nozaexmhy.top/api/info?jumpURL=www.nozaexmhy.top)
・Adx Earn-24時間対応(https://www.adxearn.top/#/pages/agreement/index?code=24_7_service)
・CME Group-Fraud Prevention and Awareness(https://www.cmegroup.com/report-a-security-concern.html)
・CME Group-Chicago Board of Trade(https://www.cmegroup.com/company/cbot.html)
・国税庁-暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)
Adx Earnの請求に有名な機関の名前が使われやすい理由

Adx Earnの通知や会社紹介には、FATF、シカゴ商品取引所、日本の税務機関、Coinbaseと、よく知られた機関や企業の名前が次々に出てきます。この章では、こうした名前が支払いを求める場面で持ち出されやすい理由を4つに分けて考えます。
国際機関や取引所の名前は個人が真偽を確かめにくい
FATFやシカゴ商品取引所は、名前を聞いたことがあっても、個人が直接やり取りする相手ではありません。どこに問い合わせればよいかも分からず、通知に書かれた「規定」が本当にあるのかをその場で確かめる手段がほとんどありません。
前の章で見たFATFとCME Group自身の注意喚起も英語で書かれています。CME Groupについては日本語で読める注意喚起が見当たらず、名前を使われた側の否定に日本の利用者が行き着きにくいことも、こうした名前が選ばれやすい理由とみられます。
大手の暗号資産取引所の子会社を名乗ると信用されやすい
Coinbaseは、米国の証券取引所に株式を上場する大手の暗号資産取引所です。Adx Earnの会社紹介は、その子会社を名乗ったうえで「年間取引高* 1.2兆ドル」「従業員* 4,700人以上」と大きな数字を並べ、規模の大きさを印象づけています。
画面には表示されないものの、プログラムには実在する別の海外の業者が規制当局から受けた免許の番号を訳した文も書かれていました。有名な名前や免許の番号が並ぶと、運営の実体を自分で調べる前に安心してしまいやすくなります。名前を使われた企業の側に落ち度があるわけではありません。
看板の名前だけを替えて同じ取引サイトを動かせる
前の章で見たとおり、Adx Earnのサイトは開いたアドレスに応じて名前やロゴを返す作りです。規約にはNOZA EXMという名前が残り、3月にはNOZAの名前のドメイン、5月にはadxearnのドメインが用意されています。
名前とアドレスを替えても、利用者が目にする取引の画面は同じものを使い続けられます。被害の情報が前の名前で書かれていると、新しい名前で調べた人はその情報に行き着けません。名前を借りることにも、名前を替えることにも手間がかからない作りです。
出金を待つ人ほど最後の支払いだと言われると応じやすい
今回の相談では、イーサリアムと銀行振込でお金を移した後に、保証金と税金という出金のための支払いを求められています。払えば回収できると示されると、それまでに入れたお金を取り戻したい気持ちからもう一度だけ払おうと考えやすくなります。
国民生活センターの事例でも、税金と保証金を払った後に「これが最後であり」と言われて、さらに手数料を求められていました。名目が国際機関や取引所、税務機関と変わるたびに、支払いは新しく正当な手続きのように見えてしまいます。
【参考】
・CME Group-Fraud Prevention and Awareness(https://www.cmegroup.com/report-a-security-concern.html)
・Adx Earn-私たちについて(https://www.adxearn.top/#/pages/agreement/index?code=about_us)
・国民生活センター-SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル-その話、うのみにしないで-
Adx Earnの不審点を見抜く方法

Adx Earnの件では、Coinbase、FATF、シカゴ商品取引所、日本の税務機関と、よく知られた名前が信用の裏付けや支払いの理由に使われていました。
こうした名前が出てきたときに確かめたい点を名乗られた名前ごとに、その名前の持ち主が自ら出している情報で照らし合わせる形で挙げます。
- 大手の子会社という名乗り:親会社の公式の資料で子会社かを確かめる
- Adx EarnはCoinbaseの一部門を名乗っていましたが、正規のCoinbaseは日本の既存顧客との取引をやめると告知し、年次報告書の子会社一覧にもその名前はありません。親会社の公式サイトや開示資料で、名前が出てくるかを見てください。
- サイトの名前:規約や会社紹介に別の名前が出てこないかを調べる
- Adx Earnの規約では、Adx Earnが「NOZA」と呼び替えられ、ページ内検索でその名前が159件見つかりました。規約を開いてページ内検索でサイトの名前を入れ、ほかの名前のほうが多く出てこないかを確かめてください。
- FATF:国際機関の規定を理由にした保証金や手数料は払わない
- FATF自身が、取引の審査も手数料の請求もせず、口座を止める権限もないと明記しています。国際機関の名前で支払いを求められたら、その機関の公式サイトの注意喚起を先に読んでください。
- 取引所や税務機関:取引所の名前で届いた税金の請求には応じない
- CME Groupは、資金の解放に税金を求めることはないとしています。国税庁の説明では、暗号資産の利益は原則として雑所得になり、所得税の確定申告で納めます。
- 入金の窓口:振込先をカスタマーサービスが個別に伝える作りなら振り込まない
- Adx Earnのプログラムでは、入金のボタンがカスタマーサービスへの連絡につながっていました。サイトの画面に出てこない口座へのドルの購入などを名目にした振込は、立ち止まる合図です。
- 登録の有無:金融庁の一括検索とRDAPで確かめ、見つからなければ専門家に相談する
- 「Adx Earn」は金融庁の一括検索で該当がなく、ドメインは相談者の送金の数か月前に取得されたばかりでした。どちらかに当てはまれば、お金を送る前に相談してください。
請求の通知が届いた時点で手元に残っている記録は、お金を取り戻す手続きでも使えます。通知の画面、イーサリアムを送った履歴、振込の控え、相手とのLINEの会話を、日付まで見える状態で保存しておきましょう。保証金や税金を払う前に、信頼できる第三者や専門家に早めに相談してください。
【参考】
・Coinbase-日本事業の見直しと既存顧客との取引停止について(https://www.coinbase.com/ja/blog/halting-operations-in-japan)
・CME Group-Fraud Prevention and Awareness(https://www.cmegroup.com/report-a-security-concern.html)
・国税庁-暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)
Adx Earnに関する口コミや被害事例

この章では、Adx Earnの名前で書かれた口コミの有無、ETHを送った後に保証金を求められたという似た相談、規約に残る名前「NOZAEXM」を題名にしたサイトについての海外の当局の記録の3点を取り上げます。
Adx Earnの名前そのものでの被害の投稿は、見つかりませんでした。
Adx EarnやADX取引所の名前で書かれた被害の投稿は見当たらない
X(旧Twitter)、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる、爆サイで、「Adx Earn」「adxearn」「ADX取引所」「NOZA EXM」の名前を含む投稿を探しましたが、Adx Earnの利用や出金についての書き込みは確認できませんでした。
「ADX」の3文字で探すと、相場の分析に使う指標の名前や、同じ文字を使う製品の話が大半を占めます。Adx Earnの被害を書いた投稿があっても、ほかの話題に埋もれやすいといえます。
ETHを送った後に同額の保証金を求められたという相談
Yahoo!知恵袋には、Adx Earnとは別のサイトについて、よく似た流れの相談が2026年7月27日に寄せられています。
(前略)
実際に取引して利益は出たものの出金はしていません。相手から元本増やした方がいいと言われ相手がこのプラットフォームの自分のアドレスに100万円分のETHを送金してくれた所までは良かったのですが、
いざ出金しようとすると本人名義以外からの振込みがあり同額の保証金を支払えば自由に出金出来るとサポートからの返答があり今に至ります。
(後略)
▼ETHの送金後に同額の保証金を求められたYahoo!知恵袋の相談

出典:Yahoo!知恵袋
ETHを送った先のサイトで、入金の出どころを理由に「同額の保証金」を求められた点は、今回の相談と重なります。ただし、サイトの名前も知り合ったきっかけ(マッチングアプリ)も、保証金の理由も違い本件と同一の案件であることまでは確認できません。
同じNOZAEXMの名前のサイトが台湾で停止の対象になっている
台湾の内政部警政署は、詐欺に使われたとして名前の解決(アドレスからサイトへの接続)を止めたドメインの一覧を、公開データとして出しています。その中に、2026年7月の分類で「x1.xemes.cyou」が金融・保険のサイトとして載っています。
このアドレスのページの題名は、2026年10月7日の時点で「NOZAEXM」でした。ただし、プログラムの作りはAdx Earnとは別のもので、同じ名前が別のサイトでも使われていることまでしか言えません。Adx EarnやNOZAの名前のドメインは、この一覧には載っていませんでした。
【参考】
・Yahoo!知恵袋-2026年7月27日の質問(ETHを送った後に同額の保証金を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11330080711)
・政府資料開放平臺-165反詐騙諮詢專線_遭停止解析涉詐網站
Adx Earnに関する口コミが少ない理由

まず、Adx Earnは場面によって名乗りが変わります。規約と窓口は「NOZA EXM」、ロゴは「ADX」、会社紹介は「Adx Earn」、英語の表示は「ADXEARN」です。書く人によって選ぶ名前が違えば、同じサイトの体験として結び付かず、口コミとして積み上がっていきません。
次に、どの名前も別のものと重なります。「ADX」は相場の指標の名前などと同じ文字で、「NOZAEXM」も台湾で停止の対象になった別のサイトが題名に使っていました。名前で調べても別の話題や別のサイトが出てきて、被害の声が1つの名前のもとに集まらず、まとまった口コミとして目に留まりにくくなります。
さらに、支払いを求める通知はサイトの中で届きます。通知はログインした利用者にしか見えず、相手とのやり取りもLINEの個別の会話です。ほかの利用者が同じ通知を受け取っているかを確かめ合う場がなく、不審に思っても外へ書き出すきっかけが生まれにくいため、体験が口コミとして残りにくくなります。
呼び名が定まらないこと、名前がほかと重なること、請求が外から見えないことの3つが重なり、Adx Earnの口コミは見つかりにくくなっています。
口コミが見当たらないからといって、安全なサイトだとは言えません。通知に従ってお金を払う前に、通知の画面と送金・振込の記録を持って専門家に相談してください。

