メッセージアプリでのやり取りから資産運用を勧められ、預けた資金が引き出せなくなる。こうした相談が続いています。警察庁の集計では、令和8年上半期のSNS型投資詐欺による被害は、1日当たり4.4億円にのぼりました。
今回のご相談で案内されたのは、「Offchain(offchain.roooxa.com)」という名称のプラットフォームです。Telegramの操作ミスをきっかけに案内され、資金を預けたあと、操作を誤って信用レベルが下がったと告げられて出金が止まりました。
その後は解除や回復を名目に、銀行振込とPayPayでの送金を繰り返し求められ、最後には担保金を要求されています。
このサイトの利用規約には、契約の相手方として実在する米国企業の社名と、その企業の公式ドメインが書かれていました。利用者が開いているアドレスはどこにも出てきません。
この記事では、ドメインの登録記録や利用規約、入力した情報の送信先を調べた結果と、金融庁の登録状況、資金を預ける前に確かめられる手順を弁護士の視点から解説します。
Offchain Labsを装う偽サイトに関するトラブルの概要

Offchainをめぐるトラブルでは、メッセージアプリのTelegramを使っている最中に操作を誤ったことをきっかけとして、Offchainという名称のプラットフォームを案内される流れが確認されています。
案内に従って資金を預けたあと、プラットフォームの中で操作を誤ったために信用レベルが下がったと告げられ、預けた資金と利益を引き出せない状態になったとうかがっています。
その後は、出金制限の解除や信用スコアの回復を名目として、財務マネージャーを名乗る人物などから繰り返し送金を求められ、個人名義の銀行口座への振込とPayPayでの送金を複数回行ったとのことです。
Telegramを入口として投資へ誘い込む手口
メッセージアプリやSNSをきっかけに投資へ誘い込む手口について、警察庁は半期ごとに統計をまとめた資料を公表しています。
▼警察庁が公表している手口別被害額の割合

出典:警察庁
令和8年(2026年)上半期の資料では、SNS型投資詐欺の認知件数が5,893件(+3,020件)、被害額が797.9億円(+444.9億円)と示されています。既遂1件当たりの被害額は1,362.5万円です。
資料には、被害者が金銭を渡した方法の内訳も載っています。振込型のうちインターネットバンキングによるものが745.7億円(前年同期比で+44.1%)に達し、昨年下半期から高止まりの傾向にあると記されています。
本件でも、送金は自宅から手続きできる手段で行われています。窓口やATMへ足を運ぶ場面がないため、周囲の人が気づく機会がないまま回数を重ねやすい点には注意が必要です。
Offchainという名称で実在する企業の事業内容
利用者が案内されたのは「offchain.roooxa.com」というアドレスで、画面には「Offchain」という名称が表示されます。このサイトの利用規約には、「Offchain Labs Inc.」という社名と「www.offchain.io」というドメインが記されています。
この名称と所在で実在するのは、ブロックチェーンの基盤技術を開発している米国の企業です。公式サイトの最上部には、規約に記されたドメインと同じ社名が掲げられています。
▼Offchain Labs, Inc. の公式サイト(www.offchain.io)

出典:Offchain Labs, Inc.
| 社名 | Offchain Labs, Inc. |
|---|---|
| 設立 | 2018年 |
| 本社所在地 | 252 Nassau Street Floor 2, Princeton, New Jersey 08542, USA |
| 事業内容 | イーサリアムの処理性能を高める基盤技術の開発(Arbitrum、Prysm など) |
| 公式ドメイン | offchain.io |
ここに示したのは、実在する「Offchain Labs, Inc.」の企業情報です。案内されたサイトとこの企業を結びつけるものは、利用規約に書かれた社名とドメインしかありません。同社が個人から資金を預かって運用するサービスを日本で提供していることを示す情報は、確認できませんでした。
案内されたサイトに運営者を示す記載がない
案内されたサイトを開くと、最初に表示されるのはログイン画面です。会社概要にあたるページも、所在地や連絡先を示す記載も見当たりません。
▼offchain.roooxa.com を開いたときに表示されるログイン画面

出典:offchain.roooxa.com
URLの末尾は「#/pages/mine/login」に変わります。トップページを含むすべての画面がログインしないと表示されない設定になっているためで、この点は後の章でプログラムの中身とあわせて扱います。
つまり利用者が登録前に、だれが運営しているサイトなのかを画面上で確かめる手段はありません。正規の「Offchain Labs, Inc.」によって運営されていることを示す情報も確認できませんでした。
公的機関が同種の勧誘に注意を呼びかけている
金融庁は、面識のない相手からメッセージで投資を勧められる事例について、専用のページを設けて注意を促しています。
そこでは、広告やURLからグループへ誘導され、グループの中で口座開設や入金を求められる流れが示されています。そのうえで、利益が出たように見せたあと出金時に高額な手数料や税金の支払いといった名目で入金を要求される例が挙げられています。
本件で告げられた「信用スコアの回復」という名目は、ここに挙げられた手数料や税金とは異なります。ただし、出金しようとした段階で新たな入金を求められるという流れは共通しています。金融庁は、一度振り込んでしまうと被害の回復が困難であるとも記しています。
これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、メッセージアプリを通じて投資を勧められた場合は、送金の前に信頼できる第三者へ相談することが重要です。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
・Offchain Labs, Inc.(https://www.offchain.io/)
・警察庁-令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)
・金融庁-SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!
Offchainへ誘導され被害につながるまでの経緯

今回のトラブルは、自分から投資を探していない場面で始まり、資金を預けたあとに出金が止まり、そこからさらに送金を重ねるところまで進んでいます。段階ごとに示された理由は異なりますが、求められた行動はいずれも入金でした。
ここでは、Telegramで案内を受けてから出金できなくなるまでの経緯を整理します。
Telegramの操作を誤ったことが入口になる
きっかけは、メッセージアプリのTelegramを使っている最中の操作ミスでした。そこからOffchainという名称のプラットフォームへ案内されています。
広告をクリックしたわけでも、投資の情報を探していたわけでもありません。自分から求めていない場面で、資産運用の話が始まっている点が本件の特徴です。
以後のやり取りは、財務マネージャーを名乗る人物や、個人名を名乗る人物との間で続いています。いずれもメッセージアプリの中でのやり取りで、電話や書面が交わされた形跡はうかがえません。
案内されたサイトに登録して資金を預ける
案内されたサイトでは、まず利用者登録を求められます。登録画面で入力するのは、氏名とパスワード、そして招待コードだけです。
▼Offchainの新規登録画面

出典:offchain.roooxa.com
本人確認の書類も、住所の入力もこの段階では求められません。入力欄の下にあるのは「同意します」というチェックと、《利用規約及びプライバシーポリシー》へのリンクだけです。
氏名を入れる欄には「英字と数字」という案内が出ます。日本の利用者に氏名を尋ねる画面としては不自然ですが、この点は後の章でプログラムの中身とあわせて扱います。
登録を終えたあと、案内に従って資金を預けています。入金の方法として指定されたのは、個人名義の銀行口座への振込でした。
信用レベルが下がったと告げられ出金できなくなる
しばらく運用が続いたあと、プラットフォームの中で操作を誤ったために信用レベルが下がったと告げられます。これを理由に、預けた資金と画面上に表示されていた利益を引き出せない状態になりました。
このとき示された「信用レベル」が、どのような基準で上下するのかについての説明は受けていないとうかがっています。
そもそも、利用者が自分の操作でどれだけ数値が動くのかを確かめる手段はありません。画面に出ている数字を信じるほかない状態で、出金が止まったという説明だけが伝えられています。
出金制限の解除を名目に送金を重ねる
ここから、出金制限の解除や信用スコアの回復を名目とした送金の要求が始まります。この要求は、一度で終わりませんでした。
送金の手段は個人名義の銀行口座への振込に加えて、PayPayによる送金も指定されています。クレジットカードの枠を使った送金も含まれていました。
預けた資金を取り戻すために、手元にない資金まで動かす形になっています。この段階では、最初に預けた金額を上回る負担が生じていました。
担保金を求められ出金できないまま被害につながる
最後に求められたのは、信用スコアを一定の水準まで引き上げるための担保金でした。出金するためには、さらにまとまった資金を入れる必要があるという説明です。
すでに手元の資金は尽きていたため、この要求には応じられませんでした。結果として、預けた資金も、画面に表示されていた利益も引き出せないままとなっています。
出金を求めた時点で新たな入金を指示され、応じても出金できず応じなければそのまま終わる。入金の名目が変わっても、出金できない状態が続くという結果は変わっていません。
この経緯のうち、信用レベルや出金に関わる部分については、サイトのプログラムの中に対応する仕組みが見つかっています。次の章から、調査した内容を順に示します。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
Offchain Labsを装う関連サイトの情報を調査した結果

運営者の表示がないことは前章で触れました。そこで、サイトを支えている技術的な記録のほうから調べました。
ここで扱うのは、登録機関が公開しているドメインの記録、証明書の発行履歴、そしてサイトのプログラムに書かれている接続先です。
ドメインが取得されたのは2026年6月3日
ドメインをいつ取得したかは、RDAPという照会の仕組みで誰でも確認できます。案内されたアドレスのうち、登録の対象になっているのは「roooxa.com」の部分です。
▼roooxa.comの登録記録(registrationが登録日を示す)

出典:ベリサイン(RDAP)
登録日は 2026年6月3日でした。相談として寄せられている経緯は同じ年のできごとで、サイトが用意されてから間もない時期に勧誘が行われていることになります。
| ドメイン | roooxa.com(案内されたのはサブドメインの offchain.roooxa.com) |
|---|---|
| 登録日 | 2026年6月3日 |
| 有効期限 | 2027年6月3日 |
| 登録機関 | Gname.com Pte. Ltd.(シンガポール) |
| ネームサーバー | Cloudflare |
有効期限は登録の1年後に設定されています。長期にわたって事業を続ける前提で取得されたドメインでは、複数年をまとめて登録する例も多くみられます。
なお、「roooxa.com」そのものを開いても何も表示されません。動いているのは「offchain」から始まるサブドメインだけで、ひとつのドメインに枝を1本だけ生やした使い方になっています。
証明書の発行履歴もドメインの取得日と重なる
サイトの通信を暗号化するための証明書は、発行の記録が公開されています。「crt.sh」という検索サービスで、どの日にどの証明書が発行されたかをたどれます。
▼roooxa.comに対して発行された証明書の一覧

出典:crt.sh
一覧の最も古い記録は 2026年6月3日で、ドメインの登録日と同じ日でした。以降は3か月ごとに更新され、直近の発行は2026年8月です。
証明書の有効期間は3か月ほどで、期限が来るたびに更新されています。発行の記録は残り続けるため、このサイトがいつから通信できる状態になったかは、後からでもたどれます。
入力した情報の送信先は別のドメインになっている
サイトのプログラムを取得して調べたところ、利用者が画面で入力した内容は、「offchain.roooxa.com」ではない別のドメインへ送られる設定になっていました。
送信先として書かれていたのは「admdl.teadko.com」です。プログラムには「function _(){return”https://admdl.teadko.com”}」と書かれており、通信の宛先がこの一行で固定されています。
このドメインへ向かう通信の種類を数えると、ログイン、利用者登録、ファイルのアップロード、銀行口座からの入金、銀行振込での出金、PayPayでの出金など67種類にのぼりました。
つまり、氏名やパスワード、本人確認の書類の画像、銀行口座やPayPayの情報は、画面に表示されているドメインとは別のドメインへ渡ることになります。
相場データの配信元と設定に残る開けないリンク
プログラムには、ほかにも複数のドメインが書かれていました。相場のチャートを取得する先は 「kor-bns.com」で、価格の更新もこのドメインとの常時接続で受け取る設定です。
また、リスクに関する説明書のリンク先として「jimi5588.shop」というドメインが設定に残っていますが、このドメインは現在アドレスを解決できず文書を開けません。
| ドメイン | 役割 | 登録日 |
|---|---|---|
| offchain.roooxa.com | 利用者が見る画面 | 2026年6月3日 |
| admdl.teadko.com | 入力した情報の送信先 | 2025年12月8日 |
| kor-bns.com | 相場データの配信元 | 2025年1月21日 |
| jimi5588.shop | 設定に残るリンク先(現在は開けない) | 2024年11月11日 |
利用者が見る画面のドメインが、4つの中で最も新しいものでした。送信先や配信元のほうが半年から1年半ほど前に取得されています。
さらに、画面に表示される通貨のアイコン画像は、「20241228」や「20250106」という日付を含む場所に置かれていました。利用者が見ているドメインが用意されるより1年以上前に、素材が用意されていたことになります。
これらのドメインが同じ運営者によるものかどうかまでは確認できませんでした。ただし、Offchainという名称で用意されたのは表側の画面だけで、その後ろにある仕組みはそれ以前から動いていたという関係は、公開された記録から読み取れます。
金融庁の記録に名称が見当たらない
サイトの記録とは別に、公的な記録も確認しました。日本で投資を勧誘し、資金を受け入れる事業には、金融商品取引業の登録が求められます。
登録の有無は、金融庁が用意している検索の窓口で調べられます。商号に「Offchain」と入力した結果が次のものです。
▼金融庁の金融事業者一括検索で「Offchain」を検索した結果

出典:金融庁
画面に出たのは「該当するデータはありませんでした。」という一文だけです。
無登録のまま営業している業者の一覧も、金融庁が公表しています。こちらはページ内検索で名称を探しました。
▼無登録業者の一覧をページ内検索した結果

出典:金融庁
検索窓の表示は「0/0」で、名称は一度も現れませんでした。ただし、一覧に載っていないことは安全の根拠にはなりません。登録業者としても、警告の対象としても記録に現れていないという状態です。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
Offchain Labsを装う偽サイトに関する不審点

調査を進めると、資金を預ける仕組みとしては不自然といえる点がいくつも見つかりました。利用規約のように画面で読めるものと、サイトが配信しているプログラムに残っていたものの両方を扱います。
利用規約の相手方が別の会社になっている
登録画面の《利用規約及びプライバシーポリシー》を開くと、日本語の規約が表示されます。ログインしなくても読める画面です。
▼Offchainの利用規約の冒頭

出典:offchain.roooxa.com
冒頭には「最終改訂日:2019年5月10日」とあります。前章で確認したドメインの登録日は2026年6月3日ですから、規約の日付のほうが7年ほど古いことになります。
契約の相手方として書かれているのは、次の一文です。
本規約は、Offchain Labs Inc. およびその子会社・関連会社(以下「Offchain」といいます)が運営するウェブサイト(www.offchain.io を含み、以下総称して「本サイト」といいます)へのアクセスおよび利用に適用されます。
ここに挙げられているのは、実在する米国企業の社名と、その公式ドメインです。利用者が実際に開いている「offchain.roooxa.com」というアドレスは、この規約のどこにも出てきません。
つまり、この規約に同意しても、目の前のサイトの運営者との間で何かが取り決められたことにはなりません。
規約の第7条が自らの名称の使用を禁じている
規約の第7条は、商標の扱いを定めた条項です。
「Offchain」「Offchain Labs」ならびに関連するロゴ、商標およびサービスマークはOffchainの登録商標または商標です。Offchainの書面による事前承諾なく、これらを複製、使用または表示することはできません。
このサイトが画面に掲げている名称は「Offchain」です。自らが名乗っている名称について、その使用を禁じる条項を自らの利用規約として掲げていることになります。
規約の第4条には、著作権侵害の申立先として米国の法律事務所の住所と「[email protected]」というメールアドレスが記されています。いずれも、正規の「Offchain Labs, Inc.」に関する連絡先とみられます。
そして全18条を読み通しても、入金・出金・預けた資産の取り扱い・運用方法について定めた条項はひとつもありません。企業のウェブサイトを閲覧するための規約であって、資金を預ける取引のための規約ではありません。
第2条ではプライバシーポリシーを参照するよう求めていますが、その本文を開けるページはサイトの中に見当たりませんでした。
準拠法も裁判の場所も日本ではない
規約の末尾には、争いが起きたときの扱いが書かれています。同じ画面を下までスクロールすると読めます。
▼利用規約の第15条と第16条

出典:offchain.roooxa.com
第15条ではアメリカ合衆国カリフォルニア州法が適用されるとされ、裁判を起こす場所はカリフォルニア州サンフランシスコの裁判所に限られています。
第16条では、争いはサンフランシスコのJAMSという機関での秘密仲裁によって解決するとされ、集団訴訟または代表訴訟は禁止されますと定められています。
日本の法令にも、日本の裁判所にもまったく触れられていません。日本語で表示され、日本円で入金を受け付け、日本の銀行口座やPayPayでの送金を求めるサイトでありながら、争いになったときに日本で手続きを進める道筋が規約上は用意されていないことになります。
入力した情報の送信先に日本語化されていない管理画面がある
前章で触れた送信先のドメイン「admdl.teadko.com」について、そのまま開くとどうなるかを確かめました。末尾に「/admin」を付けると、次の画面が表示されます。
▼admdl.teadko.com/admin を開いたときに表示される画面

出典:admdl.teadko.com
表示されるのは「请先登录后台」という簡体字中国語の一文で、「先に管理画面にログインしてください」という意味です。数秒後にログイン画面へ移ります。
▼admdl.teadko.com/admin/login に表示されるログイン画面

出典:admdl.teadko.com
画面の名称は「交易系统管理后台」で、「取引システム管理バックエンド」にあたります。入力欄には「请输入登录账号」「请输入密码」「请输入谷歌验证码」と並び、いずれも日本語にはなっていません。
最下部には「京88888」という表示と、中国の情報通信を所管する官庁のサイトへのリンクが置かれています。中国国内でウェブサイトを運営する際に必要な届出番号を記す欄ですが、番号はひな形のままの数字になっています。
なお、本記事の調査では、このサイトおよび管理画面に対する登録・ログイン・入金・チャットの送信を一切行っていません。取得したのは、誰でも取得できる公開されたファイルと認証を必要としない応答だけです。
日本語の表示が機械翻訳のまま残っている
サイトのプログラムには、9つの言語ぶんの表示文言がまとめて収められていました。日本語のほかに、英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語、タイ語、マレー語、フランス語、インドネシア語があります。
同じ項目を中国語と日本語で突き合わせると、意味がずれている箇所が複数見つかりました。
| 項目 | 中国語(元の表記) | 日本語の表示 |
|---|---|---|
| パスワードの変更画面 | 修改提现密码(出金パスワードの変更) | 入金パスワードを変更 |
| 口座名義の入力欄 | 请输入您的真实姓名(実名を入力) | カタカナを入力してください |
| 取引画面の時間の単位 | 秒 | 取引時間 |
| ステーキングの最小額 | 质押最小金额 | ステーキング金額(「最小」が消えている) |
| ステーキングの最大額 | 质押最大金额 | 质押最大金额(翻訳されていない) |
出金のためのパスワードを「入金パスワード」と表示している箇所は、利用者が手続きで迷う直接の原因になり得ます。これらの画面はログインが必要で撮影できなかったため、プログラムを取得して確認した内容です。
相場の画面にも、表示と中身が食い違う箇所があります。誰でも取得できる銘柄の一覧を開くと次のようになっていました。
▼サイトが公開している銘柄の一覧(nameが表示名、jiaoyiduiが参照先)

出典:admdl.teadko.com
「jiaoyidui」は中国語の「交易対(取引ペア)」をローマ字で書いたものです。「BCH/USDT」と表示しながら、実際にはライトコイン(LTCUSDT)の値動きを参照しています。
同じ一覧には「BTH/USDT」という銘柄もあり、こちらはリップル(XRPUSDT)を参照しています。「BTH」という名称の暗号資産は実在しません。
画面に出ている価格が、その名前の銘柄のものであるとは限らないということになります。
出金を妨げる仕組みがあらかじめ組み込まれている
相談で告げられた「信用レベル」にあたる項目は、プログラムの中に実装されていました。抽選の画面では、ログインしていない状態でも表示されます。
▼ログインしていない状態で表示される「信用」の項目

出典:offchain.roooxa.com
利用者名の欄は「Guest」、その下に「信用: 0」と表示されます。ログインすると、この欄に利用者ごとの数値が入ります。この数値が何によって決まるのかを説明する画面は、サイトの中に見当たりませんでした。
資金を預ける仕組みのほうにも、引き出しを妨げる定めが組み込まれています。プログラムから取り出した文言は次のとおりです。
早期償還違約金として {penalty} USDT を支払う
早く引き出そうとすると違約金がかかる設計です。状態の一覧には「償還申請中」と並んで「償還拒否」という項目も用意されています。
申請が通らなかったときに表示される文言は、日本語に翻訳されないまま残っていました。
未到赎回时间,暂无法申请赎回 (償還の時期に達していないため、現時点では償還を申請できません)
引き出しを断る場面の文言が、中国語のまま利用者に表示される状態になっています。これらの画面もログインが必要なため、プログラムを取得して確認した内容です。
なお、入力した情報の送信先と同じ「teadko.com」というドメインの上では、別の取引アプリも配信されています。そちらには「信用积分(信用スコア)」「信用借款(信用貸付)」「已毁约(契約違反)」といった項目が実装されていました。
同じ運営者によるものかどうかまでは確認できませんでしたが、信用の点数と貸付を組み合わせた仕組みが、情報の送信先と同じドメインの上で動いていることは確認できます。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
・Offchain Labs, Inc.(https://www.offchain.io/)
Offchain Labsの名称が悪用されやすい理由

Offchainをめぐるトラブルでは、送金が一度で終わらず回数を重ねる形になりました。名称の選び方から送金の手段まで、利用者が立ち止まる機会を減らす条件が重なっていたためとみられます。
この章では、なぜこの名称が使われ、なぜ確認が働きにくかったのかを4つに分けて整理します。
実在する企業の名称が使われている
「Offchain Labs, Inc.」は、イーサリアムの処理性能を高める技術の開発で知られる企業です。同社が開発したArbitrumは、暗号資産の分野では広く使われています。
そのため、名称を検索すれば実在する企業であることはすぐに確認できます。英語の技術記事や取引所の解説記事が並び、架空の会社ではないと分かります。
しかし、そこで確認できるのは企業の実在だけです。その企業が日本で個人から資金を預かる業務を行っているかどうかは、別に調べなければ分かりません。調べ方については、後の章で手順として示します。
事業の中身が一般の利用者には確かめにくい
案内されたサイトのページ説明文には、「安全かつプログラム可能なオンチェーンインフラへの移行」「プロトコルレベルの画期的なソリューション」といった言葉が並んでいます。
これは、正規の「Offchain Labs, Inc.」が公式サイトに掲げている英語の説明文を、そのまま日本語にしたものでした。もとの文章が実在する企業のものなので、読んでも不自然さが出てきません。
ブロックチェーンの基盤技術は、内容を理解して真偽を判断することが難しい分野です。説明の中身で見分けようとすると行き詰まるため、判断の材料は説明文ではなく、登録の有無や運営者の表示に求める必要があります。
やり取りがメッセージアプリの中で完結する
本件は、Telegramの操作を誤ったことが入口でした。その後のやり取りも、財務マネージャーを名乗る人物などとの間で同じアプリの中で続いています。
サイト側の連絡先も同じです。サイトの設定に登録されているのはTelegramへのリンク1件だけで、電話番号も所在地も、問い合わせ用のメールアドレスもありませんでした。
やり取りが閉じた場所で続くと、内容を見た第三者が止める機会がなくなります。送金を求められた時点で、そのやり取りの外にいる人に画面を見せられるかどうかが、ひとつの分かれ目になります。
送金の手段が日常的に使うものになっている
本件では、銀行振込に加えてPayPayでの送金が指定されました。サイトのプログラムにも、PayPayのアカウントを登録する画面と、PayPayで出金を申請する仕組みが組み込まれています。
日常の支払いに使っているアプリで送金できるため、投資のための送金だという意識が薄れやすくなります。銀行振込のほうも、インターネットバンキングであれば自宅で手続きが完結します。
一方で、PayPayは残高を送る機能について、次のように説明しています。
▼PayPayが公表している不正利用・詐欺対策の説明

出典:PayPay株式会社
お客様ご自身がPayPayの残高を送る・受け取る機能を使ったお取引は、PayPayの補償制度の対象外となります。
補償の申請には、事前に警察へ被害を届け出ることが必要とされています。手軽に送れる手段ほど、後から取り戻す仕組みが用意されていない場合があるということです。
送金を求められたときは、その手段が補償の対象になるのかを支払いサービスの公式ページで確かめておくことが大切になります。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
・Offchain Labs, Inc.(https://www.offchain.io/)
Offchain Labsを装う偽の勧誘を見抜く方法

前章までに示した事実は、いずれも入金の前に自分で確かめられます。ここでは、その確認を6つの手順にまとめます。
- ドメインの登録日と有効期限を照会する
- ブラウザのアドレス欄に出ているドメインを、そのままRDAPで引きます。「https://rdap.org/domain/」に続けてドメイン名を入力すると、「registration」の欄に登録日、「expiration」の欄に有効期限が返ってきます。Offchainのドメインは、勧誘を受けた時期のわずか数か月前に取得され、期限も1年後に設定されていました。そのサイトが存在してきた期間と預けようとしている金額が釣り合っているかを測る目安になります。
- 利用規約の冒頭と末尾だけを読む
- 条文を最初から通して読む必要はありません。見るのは2か所、冒頭の「誰との契約なのか」と、末尾の「どこの法律とどこの裁判所によるのか」です。Offchainの規約は、契約の相手方として実在する米国企業の社名とその公式ドメインを挙げており、利用者が実際に開いているアドレスはどこにも書かれていません。末尾では、争いはカリフォルニア州法に従いサンフランシスコで扱うとされ、集団訴訟は禁止すると定められていました。
- 運営者の名称と所在地を、登録する前に探す
- 資金を扱うサービスであれば、運営者の名称・所在地・問い合わせ先が画面のどこかにあるはずです。登録やログインをする前の段階で見つかるかどうかが要点になります。Offchainは、トップページを含むすべての画面がログインを求める設定で、登録しない限り運営者を確かめる方法がありませんでした。誰を相手に手続きを進めているのか分からないまま入金することになります。
- 入力した情報の送信先を確かめる
- ブラウザの「検証」や「デベロッパーツール」を開き、「ネットワーク」のタブを選んだ状態で画面を操作すると、通信している相手のドメインが一覧に並びます。アドレス欄のドメインと通信先のドメインが同じかを見てください。Offchainでは、氏名や本人確認の書類、銀行口座やPayPayの情報が表示されている画面とは別のドメインへ渡る設定になっていました。
- 金融庁の記録に名称が現れるかを調べる
- 日本で投資を勧誘し、資金を受け入れるには金融商品取引業の登録が必要です。金融庁の金融事業者一括検索で商号を引き、無登録業者の一覧もページ内検索で確かめてください。ここに出てこないことは、安全の裏づけにはなりません。登録業者としても警告の対象としても現れないのであれば、その事業者は公的な記録にまったく姿を見せていないということです。
- 送金の手段に補償があるかを支払いサービスの公式ページで確かめる
- 送金の方法を指定されたら、その手段に補償の仕組みがあるかを調べてください。PayPayは、利用者自身が残高を送る・受け取る機能を使った取引は補償制度の対象外だと明記しており、補償の申請そのものにも警察への届出を前提としています。送る手続きが簡単な手段ほど、戻すための手続きは用意されていないと考えておくほうが安全です。
このうち1つ目と2つ目は、サイトを開いて規約のリンクをたどるだけで済みます。登録も入金も必要ありません。
すでに送金したあとの場合は、追加の入金を求められても応じないでください。そのうえで、振込の控えやアプリの画面、メッセージのやり取りを保存し、弁護士などの専門家に状況を伝えることをお勧めします。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
Offchainに関する口コミや被害事例

実際に利用した人の声が公開されていれば、勧誘を受けた段階での判断材料になります。そこで、Offchainという名称とドメインについてSNSや掲示板を調べました。
結論から述べると、本件と特定できる投稿はどこにも見つかりませんでした。
Xでは関連する投稿が確認できない
X(旧Twitter)では、「Offchain」という名称と、案内されたドメインのそれぞれで検索しましたが、このサイトについて述べた投稿は確認できませんでした。
「Offchain」という語そのものは、技術用語としてブロックチェーンの分野で日常的に使われています。そのため検索結果には技術的な話題が並び、投資のトラブルに関する投稿は見当たりません。
正規の 「Offchain Labs, Inc.」の公式アカウントは存在しますが、こちらは自社の技術に関する発信で、本件とは関係のない内容でした。
Yahoo!知恵袋にも本件と特定できる投稿がない
Yahoo!知恵袋でも、名称とドメインで検索しましたが、Offchainという名称を挙げて相談している投稿は確認できませんでした。
一方で、要素の重なる相談はいくつか投稿されています。2024年6月に投稿されたものです。
テレグラムというやつとオールチャット というアプリを使い副業と思い ティックトックにいいねをしスクショして 送ると報酬がもらえるというやつを 1日だけし、合計13000円振込しましたが 33,510円残っています。
この投稿には、補足として「PayPayのQRコードも送ってました」とも書かれています。メッセージアプリが入口になっている点と、PayPayが送金に使われている点が、本件と重なります。
出金の場面についても、2023年12月に次の投稿がありました。
保証金払えば出金できると言われたのですが、詐欺紛いのグループだとは認識していますが。お金が戻せるのならそれで終わりにしたいのですが。
出金しようとした段階で、別の名目の入金を求められるという流れは、本件と共通しています。
ただし、これらの投稿が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できません。1つ目にはサービス名の記載がなく、2つ目には本件とは別の名称が挙げられています。
掲示板や検索結果にも情報がない
投資関連の掲示板や、詐欺被害の情報をまとめているサイトについても調べましたが、Offchainという名称を扱ったページは確認できませんでした。
検索エンジンでドメイン名を入れても、このサイトを利用した人の書き込みは出てきません。表示されるのは、正規の 「Offchain Labs, Inc.」に関する記事や、名称が一致する無関係のサービスの情報です。
利用した人が実際にいるにもかかわらず、その経験が公開の場に残っていないという状態になっています。理由として考えられることは、次の章で整理します。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
・Offchain Labs, Inc.(https://www.offchain.io/)
・Yahoo!知恵袋-類似の相談①(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13299434103)
・Yahoo!知恵袋-類似の相談②(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11290610681)
Offchain Labsを装う偽サイトの口コミが少ない理由

利用した人がいるのに情報が出てこないのには、いくつか理由が重なっています。
まず、検索エンジンが読み取れる内容がこのサイトにはほとんどありません。
検索されないようにする指定が置かれているわけではないのですが、トップページを含むすべての画面がログインを求める作りのため、外から見えるのはログイン画面だけです。取引の画面も商品の説明も、登録した人にしか表示されません。
次に挙げられるのは、稼働開始からの期間の短さです。このドメインが用意されたのは2026年6月3日で、本記事の調査時点で3か月あまりです。体験を書き込む人が現れ、その書き込みが検索に載るまでには時間がかかります。
3つ目は、名称そのものが検索の妨げになっていることです。「Offchain」はブロックチェーンの分野で日常的に使われる技術用語であり、同時に実在する企業の名称でもあります。
この語で検索すると、技術の解説記事と正規企業の情報が大量に並びます。仮に誰かが体験を書き込んでいたとしても、その中に埋もれてしまいます。
そして、勧誘から送金までがメッセージアプリの中で完結していることです。入口はTelegramの操作ミスで、その後のやり取りも同じアプリで続いています。サイト側の連絡先もTelegramのリンクだけでした。当事者以外の目に触れる経路が、どこにもありません。
これらが重なった結果、このサイトについて調べようとしても判断の材料が出てこないという状況が生まれています。口コミが見つからないことを、問題がない証拠として受け取ることはできません。
勧誘を受けた段階で確かめられるのは、口コミではなく記録のほうです。ドメインの登録日、利用規約に書かれた相手方、金融庁の登録の有無は、いずれも数分で照会できます。前章までに示した手順が、そのまま確認の方法になります。
すでに送金している場合は、新たに求められている入金を止めることが先です。そのうえで、振込の控えとやり取りを手元にそろえ、弁護士などの専門家に相談してください。
【参考】
・Offchain(https://offchain.roooxa.com/)
