Megabit(tether-dist.com)の詐欺手口とは?サイトの不審点や返金可能性を解説

Megabit(tether-dist.com)は、暗号資産の取引所の形をしたサイトです。SNSで知り合った相手が相談者に勧めたのは仮想通貨の「貯蓄」で、資金の送り先として示されたのは相手方の銀行口座でした。

出金の段階になると、サポートの画面で「第三者送金」の合計の50%を「リスク管理保証金」として求められました。期限を区切られ、受領したと伝えられた後には、さらに5万円の追加の送金も求められています。

サイトのプログラムでは、口座凍結のお知らせは運営が利用者ごとに付ける印で表示され、解除の手順は書かれていません。貯蓄の利率も画面に固定で書き込まれた表で、ヘルプの文書は2026年に閉鎖した正規のBitMEXの名前を名乗っていました。

本記事では、凍結の知らせの仕組みやサイトが借りている4つの名前など、Megabitを調べて分かったことを弁護士が解説します。保証金を払う前に手元に残したい記録と、振込先の口座から返還を求める道筋も、最後の章で取り上げます。

SNSで勧められた仮想通貨の貯蓄がリスク管理保証金の請求に変わるまで

SNSでの貯蓄の勧誘から指定口座への振込、出金時の保証金130万円の請求、受領後の5万円の追加請求までを4段で示し、期限で急がされた点を添えた図

この章では、SNSで知り合った相手から仮想通貨の貯蓄を勧められ、Megabit(tether-dist.com)で取引と出金の手続きをした後、出金の条件として「リスク管理保証金」を求められるまでの流れをたどります。

良心的に振る舞う相手が仮想通貨の貯蓄を勧めた

相談者はSNSで知り合った相手から、仮想通貨(暗号資産)の貯蓄や投資を持ちかけられました。相談者によると、相手は良心的に振る舞いながら資金を求めてきたため、相談者は求められた資金を用意したといいます。資金は銀行振込で、相手が示した口座に送られました。

取引と出金に使ったのは、tether-dist.com/mobile/のサイトです。サイトのホーム画面には「Megabitユニバースを探索」の見出しと「入金」「現物取引」のボタンが並び、下のメニューの1つ目にも「Megabit」と表示されています。

▼見出しと下のメニューにMegabitが出るホーム画面

tether-dist-見出しと下のメニューにMegabitが出るホーム画面

出典:tether-dist.com

ホーム画面の見出しの下には「貯蓄活動」「貯蓄」「定期預金」「オプション契約」「お問い合わせ」のアイコンも並んでいます。2つ目の「貯蓄」は、相手が勧めた貯蓄と同じ名前のメニューです。

サポートの画面は第三者送金を理由にリスク管理保証金を求めた

サイトの画面には、出金の申請金額として100万円が表示されていました。ところが、サイトのサポートの画面では、出金の前に別の支払いが必要だと説明されます。サポートの画面は、サイトのアドレスの下のkefu.htmlで開くチャットの画面で、上部には「サポート」とだけ表示されます。

サポートの画面の説明は、「第三者送金」の合計を260万円とし、その50%にあたる130万円を「リスク管理保証金」として支払うよう求めるものでした。支払えば出金の手続きを行い、関連する手続きが終わった後に、指定の銀行口座へ返金するという内容です。

期限で急がされ受け取ったと告げられた後も5万円を求められた

画面では、保証金の支払いの期限が「今月26日24時まで」と案内されていました。別の場面では、30分以内に振り込むよう求められています。さらに、送金した後には、受け取ったと伝えたうえで、保証金としてさらに5万円の追加の送金を求めています。

SNSで知り合った相手に仮想通貨の貯蓄を勧められ、Megabitで取引するために相手の指定した口座へ振り込み、出金の段階で第三者送金を理由にしたリスク管理保証金と追加の支払いを求められたことが、被害につながった経緯です。

【参考】
・Megabit(https://tether-dist.com/mobile/#/)

Megabitの口座凍結のお知らせは運営が利用者ごとに出す定型文

凍結の知らせの文面に解除の手順と費用の記載がなく、出金の画面にも保証金を払う手順がないことを並べ、払う前に明細とやり取りを残す行動を示した図

相談者が出金の前に支払いを求められた背景には、口座に問題があるという説明があります。この章では、Megabit(tether-dist.com)のプログラムを調べて分かった、口座凍結のお知らせを出す仕組みと、その文面、そしてリスク管理保証金の扱いを順に見ていきます。

凍結の知らせは利用者の情報の印が1のときだけ表示される

ホーム画面のプログラムを調べたところ、ログインした利用者がホーム画面を開くと、サーバーから利用者の情報を受け取る作りになっていました。その中の「freeze_withdraw」(出金の凍結)という項目が1のときにだけ、「口座凍結のお知らせ」の窓を画面に出します。

▼凍結の印が1のときだけ知らせを出すプログラム

tether-dist-凍結の印が1のときだけ知らせを出すプログラム

出典:tether-dist.com

この値は、画面の側では計算していません。サーバーから届いた利用者ごとの値をそのまま見て、知らせを出すかどうかを決めています。凍結するかどうかは、サイトを動かす運営の側で利用者ごとに決めているとみられます。

お知らせの文は第三者機関によるリスク確認で終わり解除の手順がない

お知らせの文面も、プログラムに書かれていました。英語の文は次のとおりです。

▼第三者の確認まで口座を使えないとする凍結の知らせ

tether-dist-第三者の確認まで口座を使えないとする凍結の知らせ

出典:tether-dist.com

(前略)
We have identified circumstances in your account that may conflict with financial institution regulations. Your account has therefore been temporarily classified as high risk and frozen.
You will be unable to use your account as usual until the third-party risk review is complete.
(後略)

日本語の画面向けには、同じ文が「このたび、お客様の口座において、金融機関の規定に抵触する可能性のある状況が確認されたため、現在、口座がリスク対象として一時的に凍結されております。」「第三者機関によるリスク確認が完了するまで、口座を通常どおりご利用いただくことができません。」と書かれています。

文面は、日本語や英語、中国語(繁体字)、韓国語など11の言語で同じ内容がそろえてあります。どの言語でも、確認を終わらせるために何をすればよいのか、費用がかかるのかは書かれていません。利用者ごとに書き分けられてはおらず、凍結の印が付いた利用者には誰にでも同じ文が表示されます。

リスク管理保証金という名目はプログラムのどこにもない

相談者がサポートの画面で求められたのは、「第三者送金」の合計の50%にあたる「リスク管理保証金」でした。サイトが読み込むプログラムの全137本でこの名目を探しましたが、「リスク管理」「返金」の語は1件もありません。

「保証金」の語は5件ありますが、オークションの預かり金や取引の証拠金を指すものだけです。ログインの後に開く出金の画面については、その画面を描くファイルを直接取得し、申請のときに何をサーバーへ送るのかを読み取りました。

出金の申請で送るのは、通貨、受け取りのアドレス、数量、資金のパスワードなどだけです。受け取れる額は、数量から手数料を引いた額として計算されます。保証金を払ってから出金するという手順は、出金の画面には組み込まれていません。

サイトの知らせは「第三者機関の確認」を待つよう告げるだけで、その先の支払いは、サイトの仕組みの外にあるサポートの画面のやり取りの中で求められています。凍結を理由に支払いを求められたら、払う前に、振込の明細とサポートの画面のやり取りを手元に残しておいてください。

【参考】
・Megabit-ホーム画面のプログラム(https://tether-dist.com/mobile/static/js/pages-index-index.e0018fcf.js)
・Megabit-画面の言葉のプログラム(https://tether-dist.com/mobile/static/js/index.d5661855.js)
・Megabit-出金の画面のプログラム(https://tether-dist.com/mobile/static/js/pages-fund-withdraw.e88d0686.js)

Megabitの貯蓄の利率は画面に書き込まれた固定の表

12時間ごとに利息が出るとする貯蓄の利率が画面のプログラムに固定されていることを、最少と最多の段の利率と運営会社の記載がない点とあわせて示した図

相談者が勧められたのは、仮想通貨の「貯蓄」でした。この章では、Megabit(tether-dist.com)の「貯蓄」の画面に並ぶ利率と、その利率がどこから来ているのか、預けたUSDTがどのように増えると説明されているのかを確かめます。

ログインせずに開ける貯蓄の画面に12時間ごとの利率が並ぶ

サイトの下のメニューの「貯蓄」を押すと、「貯蓄金利」の画面が開きます。この画面はログインしなくても表示され、「貯蓄には12時間ごとに利息が発生されます」の一文の下に、預ける額ごとの利率が8段階で並んでいます。

▼12時間ごとの利息をうたう貯蓄金利の8段階の表

tether-dist-12時間ごとの利息をうたう貯蓄金利の8段階の表

出典:tether-dist.com

最も少ない50〜5,000USDTの段で「0.36-0.59%」、最も多い500,000USDT以上の段で「2.68-3.02%」です。12時間ごとに0.36%の利息が付くなら、単純に足し合わせても1日で0.72%、30日で約21.6%になります。一般的な預金の利率とは桁違いの数字です。

この画面には、利率を誰が約束しているのか、預けたUSDTをどこで運用するのか、運営する会社の名前も書かれていません。あるのは見出しと一文、そして預ける額と利率の表だけです。

8段階の利率はサーバーから受け取らず画面のプログラムに固定

「貯蓄金利」の画面のプログラムを調べたところ、8段階の利率は画面のプログラムの中に文字としてそのまま書き込まれていました。預ける額の下限と上限、利率の幅が1段ずつ並んでいます。

▼8段階の利率をそのまま書き込んだ画面のプログラム

tether-dist-8段階の利率をそのまま書き込んだ画面のプログラム

出典:tether-dist.com

この画面は、利率をサーバーから受け取っていません。相場の動きや運用の結果によって数字が変わる作りではなく、いつ開いても同じ8段階が表示されます。画面の題も、プログラムの中では英語で「Savings Interest」と付けられていました。

預けたUSDTは採掘で増えるという説明がプログラムに書かれていた

ホーム画面の「貯蓄」のアイコンは、プログラムの中では「锁仓挖矿」という中国語の名前で登録されています。預けた資産をロックして採掘(マイニング)する、という意味の言葉です。

この商品の案内のための説明文も、プログラムに書かれていました。「ロック倉庫掘削はusdtをプラットフォーム超算力鉱機に託管することによってプラットフォーム鉱池で掘削収益を行う。」とあり、預けたUSDTをサイトの採掘の機械に任せて増やすという説明です。

続く例では「日産はロック金額の0.3%-0.4%」と、1日ごとの収益の割合を示しています。100,000Uを5日間預ける例を挙げ、「5日後に150 U~200 Uの収益を得ることができて」と、受け取れる額まで計算してみせています。

同じ案内には、満期の前に元金を引き出す場合の決まりも書かれています。「未満期の元金を転出したい場合は、違約金、違約金=違約決済比率残存日数ロック数量が発生します。」とあり、途中で引き出そうとすると、残りの日数に応じた違約金が差し引かれる作りです。

USDTは、価格を米ドルに連動させるための暗号資産です。預けた先でどのような採掘が行われ、なぜこの利率になるのかは、サイトの画面には示されていません。高い利率をうたう貯蓄を勧められたら、預ける前に、その利率がどこから生まれるのかを相手に尋ね、答えが確かめられなければ入金を止めてください。

【参考】
・Megabit-貯蓄金利(https://tether-dist.com/mobile/#/pages/financial/index)
・Megabit-貯蓄金利の画面のプログラム(https://tether-dist.com/mobile/static/js/pages-financial-index.16c2a170.js)

Megabitのヘルプの文書はbitMEXを名乗り毎日の入金を求める

ヘルプの文書がbitMEXを名乗って総資産の20%の毎日入金を求める内容と、BitMEXが7月23日に新規登録を止め9月23日に取引所を閉じた告知を対比した図

Megabit(tether-dist.com)には、ログインしなくても読める「Help Center」があります。この章では、そこに置かれた文書が名乗っている名前と、毎日の入金を条件にした「プール」の文書、そして名前を使われた正規のBitMEXが2026年に出した告知を並べて確かめます。

ヘルプセンターの5つの文書はどれもbitMEXの名前で書かれている

ホーム画面の左上のメニューから「ヘルプ」を開くと、「リベートルール」「法的声明」「リスク警告」「マネーロンダリング防止協定」「bitMEX self-built pool」の5つの題が並びます。サイトの名前はMegabitなのに、5つの文書はどれも「bitMEX」を名乗る文で書かれています。

▼bitMEXの名前の文書が並ぶヘルプセンター

tether-dist-bitMEXの名前の文書が並ぶヘルプセンター

出典:tether-dist.com

「法的声明」は、サイトがセーシェル共和国の法規に従うとしています。「マネーロンダリング防止協定」には、取引を疑わしいと判断したときの扱いが次のように書かれていました。

4.3 当社は、当社の独自の判断に基づいて取引が疑わしいと判断した場合、取引の一時停止、取引の拒否その他の制限措置、または可能な限り速やかに取引を取り消し、管轄当局に報告することがありますが、通知しません。

前の章で見た凍結の知らせと同じく、止める側の判断だけを定め、止めた後に利用者が何をすれば解除されるのかは書かれていません。サイト自身の文書が、知らせないまま取引を止めることがあると定めている点は、入金の前に知っておきたいところです。

総資産の20%を毎日入金させる参加の条件

5つ目の「bitMEX self-built pool」は、参加すると7日間、口座の総残高の3%から8%を毎日の報酬として配るとうたう文書です。末尾には「2024 年 10 月 10 日」の日付が書いてあります。報酬を受け取るための条件は次のとおりです。

▼総資産の20%を毎日入金させるプールの参加条件

tether-dist-総資産の20%を毎日入金させるプールの参加条件

出典:tether-dist.com

2.イベント参加申し込みから7日後
(1) アカウントブロックを有効にするには、アカウントの総資産の 20% に相当する金額の USDT を毎日アカウントに入金する必要があります。
(2) アカウント残高のアクティブな取引量の 50% を毎日完了する必要があります。

画面に表示される総資産が増えるほど、毎日入れるよう求められる額も大きくなる仕組みです。さらに注記には「イベントの途中でのキャンセルはサポートされません。」とあり、参加の申し込みはオンラインまたはオフラインのカスタマーサービスに問い合わせて行うよう書かれています。

正規のBitMEXは2026年7月に新規の登録を止めて9月に閉鎖した

BitMEXは、セーシェル共和国で設立されたHDR Global Trading Limitedが運営していた暗号資産のデリバティブの取引所です。正規のBitMEXは、2026年7月23日の告知で取引所の閉鎖を発表しました。

▼新規登録の停止と閉鎖を告げた正規のBitMEXの告知

tether-dist-新規登録の停止と閉鎖を告げた正規のBitMEXの告知

出典:BitMEX

Today we are announcing the closure of the BitMEX Exchange, which will take effect on 23 September 2026 at UTC 04:00:00 (the Closure Time). With immediate effect, we have stopped all new account registrations.
(後略)

日本語にすると、「本日、BitMEXの取引所の閉鎖を発表します。閉鎖は2026年9月23日の協定世界時4時に効力を生じます。直ちに、新しい口座の登録をすべて停止しました。」という意味です。

つまり、正規のBitMEXは2026年7月23日から新しい利用者を受け付けておらず、9月23日に取引所を閉じています。同じ告知では、8月26日の協定世界時4時からは新しいポジションも持てなくすると知らせていました。

MegabitのヘルプがbitMEXの名前で参加を呼びかけていても、正規のBitMEXがMegabitを運営していることを示す情報は確認できませんでした。サイトの文書が名乗る会社については、その会社自身の公式サイトのお知らせを開き、今も営業しているかを確かめてください。

【参考】
・Megabit-Help Center(https://tether-dist.com/mobile/#/pages/common/help)
・Megabit-bitMEX self-built pool(https://tether-dist.com/mobile/#/pages/common/article?id=319)
・Megabit-マネーロンダリング防止協定(https://tether-dist.com/mobile/#/pages/common/article?id=320)
・BitMEX-Important Message from BitMEX(https://www.bitmex.com/blog/bitmex-closure/)

tether-dist.comは1枚の証明書に並ぶ11のアドレスの1つ

1枚の証明書に並ぶ11のアドレスを大きく示し、証明書の日付・登録日・そろった最終更新・同じ画面という共通点を罫の行で並べた図

Megabit(tether-dist.com)の画面には、Megabitのほかにも別の名前が出てきます。この章では、ログイン画面とブラウザのタブに出る名前、同じ名前の別の取引所との違い、アドレスの登録と証明書の記録、そして日本の登録の状況を順に確かめます。

ログイン画面はUSDTのロゴでブラウザのタブはBitGet

tether-dist.com/mobile/のログイン画面を開くと、上に緑の丸に白い「T」の図柄のロゴが出ます。USDT(テザー)のロゴと同じ図柄で、プログラムの中では「USDT_Logo.png」という名前の画像として、画面に固定で置かれていました。

▼タブはBitGetでロゴはUSDTの図柄のログイン画面

tether-dist-タブはBitGetでロゴはUSDTの図柄のログイン画面

出典:tether-dist.com

一方、ブラウザ最上部のタブには「BitGet」と表示されます。サイトの設定のデータでも、サイトの題は「BitGet」でした。ホームはMegabit、ヘルプはbitMEX、ロゴはUSDT、タブはBitGetと、1つのサイトの中で4つの名前が使い分けられています。

USDTを発行するTether社は、公式のサイトやSNSのアカウントかどうかを確かめるページを設けています。名前が「tether」で始まるアドレスでも、このページで公式のものと確かめられなければ、Tether社のサイトとは言えません。

同じ名前の取引所MGBXの旧名Megabitとは別のアドレス

Megabitという名前の暗号資産の取引所は、ほかにも実在します。MGBXという取引所が出した告知の記事(広告記事)によると、MGBXは以前「Megabit」の名前でwww.megabit.vipのアドレスを使い、2025年4月12日からwww.mgbx.comに移りました。

本件のサイトのアドレスはtether-dist.comで、MGBXの今のアドレスとも以前のアドレスとも違います。Megabitの名前が同じでも、本件のサイトをMGBXが運営していることを示す情報は確認できませんでした。

MGBXの名前で金融庁の暗号資産交換業者の登録一覧を探しても、見つかりません。Megabitの名前で調べると、別の取引所の情報や、ルーターなど投資と関係のない製品の情報が混ざります。相手に案内されたサイトの評判は、tether-dist.comのようなアドレスで確かめてください。

1枚の証明書に11のアドレスが並び登録の更新もそろう

tether-dist.comの登録の記録(RDAP)を見ると、登録は2026年6月29日(日本時間18時10分)です。名前の似たtether-ct.comは、その2秒前に登録されていました。

▼6月29日の登録を示すtether-dist.comの記録

tether-dist-6月29日の登録を示すtether-dist.comの記録

出典:rdap.verisign.com

最終更新は2026年10月2日の日本時間2時22分で、tether-ct.com、tether-malls.netなど、ほかの5つのアドレスの最終更新もこれと1秒の間にそろっています。同じ管理者が、まとめて手続きをしたとみられます。

▼tether-dist.comなど11のアドレスが並ぶ証明書

tether-dist-tether-dist.comなど11のアドレスが並ぶ証明書

出典:api.certspotter.com

証明書の発行の記録では、10月23日付の1枚の証明書に、tether-dist.comを含む11のアドレスが並んでいます。証明書はアドレスの管理者が申し込むものなので、11のアドレスは同じ管理者がまとめて押さえたものとみられます。

並んでいるのは、tether-ct.comやtether-jp.comなど「tether」で始まるアドレス5つと、app.biyscp.comなど別の名前のアドレスです。tether-dist.comを含む9つは、2026年11月5日の時点で、1バイトも違わない同じ画面を返しました。

日本でUSDTを扱う登録業者は金融庁の一覧に見当たらない

金融庁の電子決済手段等取引業者の登録一覧(令和8年8月27日現在)に載るのは2社で、扱うのはUSDCなどです。暗号資産交換業者の一覧(令和8年9月30日現在)でも、取り扱う暗号資産の欄にUSDTやテザーの語は1つもありません。USDTを扱う登録業者は、これらの一覧には見当たりません。

一覧の冒頭には、「電子決済手段の持つ話題性を利用したり、電子決済手段等取引業の導入に便乗したりする詐欺や悪質商法にご注意ください。」とあります。Megabit、Tether、BitMEXの名前は、金融庁の無登録業者の一覧にも載っていません。

ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。USDTの貯蓄を勧められたら、金融庁の登録一覧で、取引の相手が登録を受けた業者かを確かめてください。登録を確かめられない相手から振込先を示されたら、振り込む前に手を止めてください。

【参考】
・Megabit-ログイン(https://tether-dist.com/mobile/#/pages/common/login)
・Tether-Tether Official Channels(https://tether.to/en/channels/)
・MGBX(https://www.mgbx.com/)
・ZyCrypto-Megabit Cryptocurrency Exchange Officially Updates to New Brand MGBX(https://zycrypto.com/megabit-cryptocurrency-exchange-officially-updates-to-new-brand-mgbx/)
・RDAP-tether-dist.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/tether-dist.com)
・Cert Spotter-tether-dist.com(https://api.certspotter.com/v1/issuances?domain=tether-dist.com&expand=dns_names)
・金融庁-電子決済手段等取引業者登録一覧
・金融庁-暗号資産交換業者登録一覧
・金融庁-無登録で金融商品取引業等を行う者の名称等について

Megabitの画面に出る名前をそれぞれの持ち主に確かめる方法

画面に出る4つの名前ごとに、確かめる先を1行ずつ並べた図

Megabit(tether-dist.com)は、Megabit、USDT、BitGet、bitMEXと、4つの名前を画面のあちこちで借りていました。借りた名前は、その名前の本来の持ち主に聞けば確かめられます。画面のどこに何の名前が出ているかごとに、確かめる先を挙げます。

  • ログイン画面のUSDTのロゴとアドレスの「tether」:USDTを発行するTether社の「Tether Official Channels」のページに、案内されたアドレスを入れます。Tether社の一覧にないアドレスなら、公式のものではないと表示される作りです
  • ホーム画面の見出しのMegabitの名前:同じ名前で営業してきた取引所MGBXの今のアドレス(www.mgbx.com)と、案内されたアドレスを1文字ずつ比べます
  • ブラウザのタブのBitGet:金融庁の無登録業者の一覧と暗号資産の警告書の一覧で、Bitgetの名前を探します。どちらにも、Bitgetの名前の業者が載っています
  • ヘルプの文書と会社紹介のbitMEX:正規のBitMEXの公式サイト(www.bitmex.com)を開きます。2026年9月23日に取引所を閉じたと告知しています

どの名前の持ち主も、案内されたサイトを自社のものとは示していません。そうしたサイトに出金のための保証金を払っても、そのお金を受け取るのは名前の持ち主ではありません。

保証金や追加の入金を求められたら、払う前に画面の写しと振込の明細を持って、弁護士や#9110など信頼できる第三者に相談してください。#9110は警察の相談専用の電話で、犯罪にあたるかどうか分からない段階の相談も受け付けています。

【参考】
・Tether-Tether Official Channels(https://tether.to/en/channels/)
・MGBX(https://www.mgbx.com/)
・金融庁-無登録で金融商品取引業等を行う者の名称等について
・金融庁-暗号資産・電子決済手段関係
・BitMEX(https://www.bitmex.com/)
・政府広報オンライン-警察に相談したいときは警察相談専用電話 「#9110」番へ

Megabitで調べても被害の口コミや書き込みは出てこない

Megabitの被害の書き込みが検索で見つからない理由を、名前の重なりとサイトの作りの4項目で並べ、第三者を理由にした保証金の請求への注意を添えた図

Megabit(tether-dist.com)について、Yahoo!知恵袋、Yahoo!リアルタイム検索、X、5ちゃんねるなどで、2026年11月5日の時点で被害の書き込みを探しました。この章では、書き込みが出てこない事情と、出金の場面の言い分がよく似た2022年の相談を取り上げます。

知恵袋のMegabitはほとんどがルーターの質問

知恵袋で「Megabit」と調べると211件の質問が出てきますが、上位に並ぶのは光回線のルーター「MegaBit Gear」についての質問でした。「tether-dist」「Megabit 出金」では、知恵袋でもリアルタイム検索でも1件も見つかりません。

見つからない理由の1つ目は名前です。Megabitは、ルーターの製品名や、前の章で見た取引所MGBXの以前の名前と重なります。被害者が名前で調べても、別の製品や別の会社の情報に埋もれてしまいます。

2つ目は、サイトの作りです。tether-dist.comは、ページの頭で検索エンジンへの掲載を断る「noindex」を宣言しています。サイトそのものが検索結果に出にくいうえ、同じ画面を返すアドレスが9つに分かれているため、書き込みがあっても1つの名前に集まりません。

代わりにウェブ検索で目立つのは、Megabitの名前を見出しにした法律事務所や調査会社の記事と、返金を約束する宣伝の記事です。宣伝の記事は、どれも最後に相談の受付へ誘う体裁です。

相談先として名乗り出る業者の中には、まっとうに手続きをするところもあります。ただ、「必ず取り戻せる」と言って着手金を先に払わせる業者もいます。連絡の前に、業者の名前と資格、費用がいつ・いくらかかるのかを確かめてから決めてください。

第三者の入金を理由に保証金を求められた相談

Megabitの名前ではありませんが、保証金の名目の組み立てがよく似た相談が、2022年7月26日の知恵袋の質問にあります。アプリで知り合った相手に海外の仮想通貨のサイトでの投資を誘われた人の質問で、出金しようとしたときの様子が次のように書かれています。

(前略)
お金を引き出す時に、「あなたの口座は第三者の入金を測定しました。一部の資金は他人が入金したため、銀監会を経て当該口座を照会すると不正資金を洗浄した疑いがある,正常に出金す必要がある場合は、保証金の15%を支払う必要があります」とメールが届きました。
私のとこに、彼女から送金されたことが原因だと言われてます。
(後略)

質問のサイトと本件のサイトは、時期も名前も違い、保証金の割合も15%と50%で異なります。それでも、「第三者」からのお金を問題にして、出金の条件として保証金を割合で求める組み立ては、相談者がサポートの画面で受けた説明と重なります。

Megabitのプログラムに用意されていた凍結の知らせも、「第三者機関によるリスク確認」を待つよう告げるだけでした。第三者を持ち出して出金を止め、保証金を求められたら、名前が違っても同じ組み立ての手口を疑い、払う前に専門家に相談してください。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-2022年7月26日の質問(出金の際に第三者の入金を理由に保証金を求められたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11265395556)

リスク管理保証金を払う前に返還への手がかりを残す

保証金を払う前に手元に残す4つの記録と、振り込まずに警察へ相談する行動をまとめた図

相談者は、出金の条件としてリスク管理保証金を求められ、期限まで示されています。この段階で迷うのは、次の3つではないでしょうか。

  • 期限までに保証金を払えば、画面の出金は受けられるのか
  • サイトや相手が消える前に、何を手元に残しておけばよいのか
  • 運営者の名前が分からないのに、誰に返還を求めればよいのか

1つ目の問いは、サイトが名乗っている会社自身の言葉から考えます。2つ目と3つ目は、手元に残せる記録と、その記録を使って誰に何を求められるのかの順に見ていきます。

名乗られたBitMEX自身は払い出しに支払いを求めないと明記している

保証金を払っても、画面の100万円が引き出せるとは限りません。Megabit(tether-dist.com)のヘルプと会社紹介が名乗るBitMEXは、閉鎖を案内するページの枠の中で、利用者に次のように呼びかけています。

▼払い出しに支払いを求めないとする正規のBitMEXの注意

tether-dist-払い出しに支払いを求めないとする正規のBitMEXの注意

出典:BitMEX

BitMEX will never ask for your private keys, seed phrases, or any payment in connection with fund distributions.
(後略)

日本語にすると、「BitMEXが、資金の払い出しに関して、秘密鍵やシードフレーズ、何らかの支払いを求めることはありません。」という意味です。これは正規のBitMEXの利用者に向けた注意ですが、払い出しの前に支払いを求める話が正規の手続きでないことは、本件にもそのまま当てはまります。

前の章で見たとおり、Megabitの凍結の知らせにも、保証金を払えば解除されるという手順はありません。期限を区切られても、その場で振り込まず、まず警察に相談してください。

アドレスが入れ替わるサイトの記録を残して金融機関へ連絡する

Megabitは、同じ画面を返すアドレスが9つあり、相談の後にアドレスが替わることも考えられます。残高や出金の申請の画面はログインしないと見られず、サポートの画面も外部のチャットのシステムを表示しているだけです。サイトが閉じれば、どれも見られなくなります。

手元に残しておきたいのは、振込の明細、サポートの画面のやり取りの画面の写し、出金の申請金額が出ている画面の写し、そして使っていたアドレス(tether-dist.com/mobile/)です。写しには、撮った日時とアドレスが入るようにします。

この記録を持って、振り込んだ元の金融機関と警察に連絡します。振り込め詐欺救済法第3条により、金融機関は、自らの口座が犯罪に使われている疑いを持てば、その口座の取引を止める措置をとります。凍結された口座に残高があれば、振り込んだ人たちへの支払いに充てられる場合があります。

「受領した」という知らせが振込先の口座と相手を結ぶ

相手は、保証金の送金の後に受領したと伝えたうえで、さらに5万円を求めました。この知らせは、振り込んだ口座と、保証金を求めた相手とを結び付ける記録です。消さずに残しておいてください。

ただ、運営者は名前を名乗っておらず、国内に残る手がかりは振込先の口座だけです。名義人がどこの誰なのかを、振り込んだ側が金融機関から聞き出す方法は個人にはほとんどありません。

弁護士であれば、弁護士法第23条の2に基づいて、金融機関に名義人の氏名や住所を問い合わせる照会の手続きをとれます。手元に残した受領の知らせと振込の明細は、その照会と名義人への返還の請求の裏付けになります。

保証金を払う前に、残した記録をそろえて専門家に相談し、取り戻すための手続きを進めてください。相談のときは、サイトのアドレス、相手とのやり取り、振込の明細を日付の順に並べておくと話が早く進みます。

【参考】
・BitMEX-BitMEX Exchange Wind-Down
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・e-Gov法令検索-弁護士法

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

被害に気づいた今からでも、振込先口座や送金記録、相手とのやり取りを手がかりに、返金に向けた対応を検討できる場合があります。まずは、現在の状況をお聞かせください。

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