Pryvion(pryvion.co)は、FX・株式・CFD・暗号資産の取引をうたう英語のサイトです。この相談では、相手から国際ゴールド取引で利益が出たと告げられ、Pryvionの画面で出金を申し込みましたが、ステータスは「レビュー中」のまま進んでいません。
相手は、資金を両替商に渡して円に替えてから口座へ送ると説明し、出金総額の3%にあたる66万円を両替費用として求めました。費用を受け取ってから24時間以内に円で届けるという約束つきです。
サイトのプログラムを調べると、出金の記録の数字は申請額に0.97と0.03を画面で掛けたもので、3%の手数料はすでに引かれた形でした。円に替える工程はどこにもなく、入口のページは正規のFXCMのページを保存したファイルです。
本記事では、両替の費用をめぐる相手の言い分が、Pryvionのプログラムや公開の記録のどこと食い違うのかを弁護士が解説します。両替費用の支払いを決める前に自分の出金の記録で見ておく欄と、振込先の口座から回収へ動く順番もまとめました。
国際ゴールド取引の利益が出金できず両替費用を求められるまで

この章では、相手から国際ゴールド取引で利益が出たと告げられ、Pryvion(pryvion.co)の画面で出金を申し込んだものの「レビュー中」のまま進まず、出金総額の3%にあたる両替費用を求められるまでの流れをたどります。
国際ゴールド取引で利益が出たと告げられた
相談者は、相手から「国際ゴールド取引」で利益が出たと告げられました。取引に使っていた画面に出ていた名前は「Pryvion」です。相手の文面では、出金できる総額は141,867.50ドル、日本円にして約22,251,208円とされています。
相談者が示したアドレスpryvion.coを開くと、FX・株式・CFD・暗号資産の取引をうたう英語のページが表示されます。ページの文章は英語だけで、Pryvionを運営する会社の名前と所在地はトップのどこにも書かれていません。
振込の控えからは、相談者が相手の示した国内の口座へ振り込んでいたことが確かめられます。一方で、画面の上で大きく増えて見える金額は、出金の申請の段階で止まったままです。
出金は銀行カードへの引き出しとして「レビュー中」のまま
Pryvionの画面には、USDT(米ドルとほぼ同じ値動きになるよう作られた暗号資産)を銀行カードへ引き出す申請が表示されていました。引き出し額は141,867.50、手数料は4,387.65で、ステータスは「レビュー中」です。
画面の引き出し額141,867.50は、相手が伝えた出金総額のドルの数字と同じです。画面の上では、引き出し額とは別に手数料の額まで決まった状態で、出金の申請が受け付けられています。引き出し額と手数料の2つの数字の出どころは、次の章でサイトのプログラムから確かめます。
相手は両替商に渡して円に替えると言い3%の両替費用を求めた
出金について、相手は次のように説明しました。資金をいったん両替商に渡し、日本円に両替してから相談者の口座へ送金するというものです。その両替の費用として、相手は出金総額の3%にあたる66万円を求めました。
約22,251,208円の3%は約667,536円で、相手はこれを66万円と伝えています。別の文面では、相手は両替の費用をいつ送金できるかを尋ね、送金を受けてから24時間以内に円に両替して口座へ送ると約束しています。
相談者は、このやり取りの後で警察へ足を運ぶ予定を伝えています。相手が示した口座への振込に加え、国際ゴールド取引の利益の出金を申し込んだところで、出金を進める条件として3%の両替費用を求められたことが被害につながった経緯です。
【参考】
・Pryvion(https://www.pryvion.co/)
Pryvionの出金の記録は申請額に0.97と0.03を掛けて表示するだけ

この章では、Pryvionの取引画面のうち、出金の記録を表示する部分のプログラムを取り上げます。取引画面は、pryvion.coの「OPEN ACCOUNT」のボタンから開く別のアドレス(www.pikyston.club)にあります。
出金記録の一覧が開くのはログインした後です。そこでこの章では、ブラウザがその画面を作るために読み込むプログラムを取得し、相談者の画面に出ていた数字がどこから来るのかを読み解きました。
「引き出し額」は申請した額の97%を画面で計算した数字
出金の記録の画面は、サーバーから受け取った出金申請の一覧をもとに組み立てられます。申請のときに入力した数量は、画面の中で「amount」という名前に移し替えて使われます。
プログラムを調べたところ、一覧の一番目立つ位置に出す「引き出し額」は、受け取った額をそのまま出すのではなく、画面の側で0.97を掛けて小数第2位までにした数字でした。
該当の箇所は「Number(.97*t.amount).toFixed(2)」です。「t.amount」が申請の額、「.97」が0.97にあたります。サーバーの側の処理がどうであっても、画面に出る引き出し額は、いつも申請した額の97%になる作りです。
▼申請額に0.97と0.03を掛ける出金の記録のプログラム

出典:pikyston.club
「手数料」の4,387.65は申請した額の3%と一致する
同じ画面の「手数料」の欄も、すぐ後ろの「Number(.03*t.amount).toFixed(2)」で、申請の額に0.03を掛けて出しています。この画面には手数料の率をサーバーに問い合わせる処理がなく、3%という率は画面のプログラムに書き込まれています。
銀行カードへの引き出しでも、暗号資産の財布(ウォレット)への引き出しでも同じ計算です。相談者の画面の数字を当てはめると、申請の額は146,255.15と逆算できます。146,255.15に0.97を掛けると141,867.4955で、小数第2位までにすると141,867.50です。
同じ146,255.15に0.03を掛けると4,387.6545で、小数第2位までにすると4,387.65になります。画面の2つの数字は、どちらもこの掛け算の結果と一致します。相手が出金総額と呼んだ141,867.50ドルは、画面の上ではすでに3%を引いた後の数字です。
「レビュー中」の次にあるのは審査の成功か失敗だけ
出金の記録の状態は、サーバーから受け取った番号で3通りに出し分けられています。1なら「レビュー中」、2なら審査の成功(英語の画面では「Audit Success」)、3なら審査の失敗(同じく「Audit Fail」)です。
▼出金の記録の状態を3通りに出し分けるプログラム

出典:pikyston.club
この3つのほかに、両替を待っている状態や、追加の支払いを待っている状態を示す表示はありません。出金の記録の画面から見る限り、出金の申請はサーバーの側で成功か失敗に切り替わるまで「レビュー中」にとどまる作りです。両替の費用を払えば出金が進むという相手の説明は、この画面の作りからは読み取れません。
出金の記録の画面で確かめられるのは、申請した額をもとに画面が計算した97%と3%の数字と、3つの状態だけです。相手から両替の費用を求められたら、まず自分の出金の記録の「手数料」の欄に、すでに額が出ていないかを見てください。
【参考】
・Pryvion(https://www.pryvion.co/)
・Pryvionの取引の画面(https://www.pikyston.club/pr/)
両替費用の説明はPryvionのプログラムと食い違う

この章では、相手が出金の条件とした「両替費用」を、Pryvionの取引画面のプログラムと照らし合わせます。照らし合わせるのは、出金の画面の手数料の欄と案内の文、出金の申請で送られる中身、そして国際ゴールド取引の値段のもとになるデータです。
66万円は画面がすでに3%を引いた額にさらに掛けた3%
銀行カードへの引き出しの画面には「手数料」の欄があり、プログラムを調べたところ、手数料欄には「3%」の文字がそのまま書き込まれていました。前の章で見たとおり、出金の記録の画面も、申請した額から3%を手数料として差し引いた形で表示します。
▼銀行カードへの出金の画面の「3%」と窓口への案内

出典:pikyston.club
一方で相手は、出金総額141,867.50ドルを円にした額の3%にあたる66万円を、両替の費用として別に払うよう求めています。141,867.50ドルは、画面の上ではすでに3%を引いた後の額です。サイトの中で一度3%を引いた額に、もう一度3%を掛けた額をサイトの外で払わせる形になっています。
銀行カードへの出金は窓口への連絡を求める固定の文
出金の画面で、確認のボタンのすぐ下に置かれているのが次の英語の文です。
Dear user, if you need a bank card to withdraw funds, please contact online customer service
日本語にすると「銀行カードで出金する必要がある場合は、オンラインのカスタマーサービスに連絡してください」という意味です。この文はプログラムに直接書かれているため、日本語の画面でも英語のまま表示されます。
銀行カードへの出金は、画面の操作だけで終わるのではなく、窓口の担当者とのやり取りに委ねられる作りです。画面に出てこない条件を窓口のやり取りの中で付け加えられても、利用者には画面で確かめる手立てがありません。
出金はUSDTのまま送られ円に替える工程がない
出金の画面で選べる通貨は「USDT」の1つだけです。出金の申請でサーバーに送られるのは、通貨の番号、数量、手数料の率、登録した銀行カードの口座番号などで、日本円の額や両替先を指定する項目はありません。
サイトの中には通貨を換える画面もありますが、換え先は人民元・英ポンド・USDTの間だけです。円が出てくるのは、資産の額の目安を出すために外部の為替レートを読み込む一覧の1か所だけでした。両替商に渡して円に替えるという工程は、Pryvionのプログラムのどこにもありません。
金の値段のデータには当日の安値がマイナスと書かれている
相手が利益の出どころとした「国際ゴールド取引」の値段は、取引画面が読み込む値段のデータに載っています。このデータはログインしなくても開けるアドレスにあり、取引画面はこの一覧の終値を値段として使う作りです。
2026年11月5日の時点で、このデータの金(GOLD)の行は、当日の高値が4,889.09、安値が-5,229.94とマイナスの値でした。金の値段がマイナスになることはありません。サイトが示す金の値段が実際の市場の値段をそのまま反映したものかどうか、この数字からも疑問が残ります。
▼金の当日の安値をマイナスとする値段のデータ

出典:api.originx.cloud
相手が求める両替の費用は、出金の記録にも、出金の画面にも、出金の申請の中身にも出てきません。費用を払う前に、出金の画面で手数料がすでに差し引かれていないか、円を選ぶ欄があるかを確かめてください。
【参考】
・Pryvionの取引の画面(https://www.pikyston.club/pr/)
・Pryvionの取引の画面が読み込む値段のデータ(https://api.originx.cloud/uc/market/stock/getInitForexListData)
pryvion.coの中身は正規のFXCMのページを保存したファイル

この章では、相談者が示したアドレスpryvion.coのページそのものを調べます。見た目は取引会社の公式サイトのようですが、中身は海外のFX会社FXCMのページを保存したファイルでした。
ページの裏側の情報は、米国の証券会社Charles Schwabのトップの写しです。FXCMもCharles Schwabも、名前やページを写された側にあたります。
トップは別のファイルを画面いっぱいに重ねて表示するだけ
pryvion.coを開くと、Pryvionのロゴと「Leaders in zero-commission trading platforms」の見出しが表示されます。
プログラムを調べたところ、トップのページそのものには本文がなく、同じアドレスの別のファイル(test.html)を枠ごと画面いっぱいに重ねて見せているだけでした。
▼Pryvionのロゴと紹介報酬の文が並ぶトップ

出典:pryvion.co
紹介報酬のカードには「Earn up to $400 by referring friends and relatives to our group.」とあります。日本語にすると「友人や親族を当グループに紹介すると最大400ドルがもらえます」という意味です。
ページの中で、会社の名前が入るはずの場所は8か所すべてが「our group」という言葉になっています。重ねて表示されたファイルの中では、Pryvionという名前はロゴの画像の中にしか出てきません。
ファイルの冒頭に保存した元のFXCMのアドレスが残る
重ねて表示されているファイルのソースを開くと、2行目に「saved from url=(0029)https://www.fxcm.com/markets/」と書かれています。これは、ブラウザでページを丸ごと保存したときに、保存した元のアドレスとして付く印です。
▼保存した元としてFXCMのアドレスが残るソース

出典:pryvion.co
正規のFXCMの同じページを開くと、紹介報酬のカードは「relatives to FXCM.」で終わります。pryvion.coでは、この「FXCM」が「our group」に置き換えられていました。
それでも、ロゴの画像の説明の文字(alt)は、FXCMの英語の社名「Forex Capital Markets」のまま残っています。画像だけをPryvionのロゴに差し替え、説明の文字は直さなかったとみられます。
▼紹介報酬の文がFXCMで終わる正規のFXCMのページ

出典:FXCM
裏側の情報は正規のCharles Schwabのトップの写し
pryvion.coのトップのソースには、検索エンジンやSNSが読み取るための情報が並んでいます。そこでは、SNSのアカウント名が「@CharlesPryvion」、サイト名が「Pryvion Brokerage」となっていました。
▼@CharlesPryvionが残るトップのソース

出典:pryvion.co
正規のCharles Schwabのトップでは、同じ欄が「@CharlesSchwab」と「Schwab Brokerage」です。pryvion.coでは「Schwab」の部分だけがPryvionに替えられ、アカウント名の「Charles」は残ったままです。
社内の管理番号とみられる「ComplianceNumber」の並び(0324-KHFG、0524-VCC9、1224-CANB、1224-ZCMP、0325-FL7V)は、正規のトップの2025年3月11日の保存版と1つ残らず一致しました。
▼同じ番号が並ぶ正規のCharles Schwabのソース

出典:Internet Archive(Charles Schwab)
ページの中で取引の画面につながっているのは、「OPEN ACCOUNT」のボタンだけです。飛び先は別のアドレスwww.pikyston.clubの取引の画面で、そこのログイン画面にPryvionのロゴが出ます。
同じサーバーには、見出しに同じ「A Modern Approach to Investing and Retirement Planning」を掲げ、SNSのアカウント名を「@Charles」と名前の組み合わせにした名前違いの入口のページが、Pryvionを含めて少なくとも13個ありました。
勧誘で会社のサイトを示されたら、ページの下のほうに運営会社の名前・所在地・登録番号が書かれているかを、まず確かめてください。書かれていなければ、その名前で金融庁の登録を調べることもできず、相手がどこの誰かを確かめる手がかりがありません。
【参考】
・Pryvion(https://www.pryvion.co/)
・FXCM-Forex Trading | Currency Trading | FXCM Markets(https://www.fxcm.com/markets/)
・Charles Schwab(https://www.schwab.com/)
・Internet Archive-Charles Schwabのトップの2025年3月11日の保存版(https://web.archive.org/web/20250311090000/https://www.schwab.com/)
Pryvionの取引の画面は名前とロゴを替える前からある取引システム

この章では、Pryvionのロゴが出る取引画面(www.pikyston.club)を、画面に出る名前、会社概要、登録の書類、アドレスの日付の順に調べます。どの材料からも、Pryvionという名前の会社の姿は見えてきませんでした。
会社概要が名乗るのはPryvionではなくBinancbcoins Exchange
ログイン画面にはPryvionのロゴが表示されます。ところが、ブラウザ最上部のタブに出る名前は「Bitget Buy/Sell Bitcoin, Ethereum and Altcoin…」で、実在する別の暗号資産取引所の名前です。
▼ロゴはPryvionでタブは別の取引所の名前のログイン画面

出典:pikyston.club
ログインしなくても開ける会社概要の画面には、さらに別の名前が出てきます。日付は「2023-06-24」で、本文は「Binancbcoins Exchange, established in September 2021」で始まります。会社概要のどこにも、Pryvionという名前は出てきません。
本文は、この取引所が2021年9月の設立で、ケイマン諸島の会社の子会社であり、英領バージン諸島で登録されていると説明しています。さらに、米国とカナダの両方でMSB(送金などを行う事業者)の登録を受けたとうたっています。
▼Binancbcoinsを名乗る会社概要の画面

出典:pikyston.club
米国とカナダの登録の画像はどちらもAdwise Trading Inc.の名義
会社概要に並ぶ登録の画像は2枚です。米国のFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)の画面の写しも、カナダの飾り枠の証書も、名義は「Adwise Trading Inc.」という別の会社でした。画面自身も、照会するときは「ADWISE TRADING INC.」と入れるよう案内しています。
▼Adwise名義のカナダの飾り枠の証書

出典:pikyston.club
会社概要が名乗る「Binancbcoins」を、FinCENが公開する登録の検索の「LEGAL NAME」の欄に入れてみました。返ってきたのは、一致するデータがないという意味の英語の文だけでした。会社概要が名乗る名前での登録は、FinCENの側には見当たりません。
▼BinancbcoinsでFinCENを検索した結果

出典:FinCEN
カナダのFINTRACは登録の証明書を発行していない
カナダでMSBの登録を受け付けるFINTRAC(カナダ金融取引報告分析センター)は、自らのサイトで次のように書いています。
FINTRAC does not issue licenses or certificates of registration to businesses it regulates.
日本語にすると「FINTRACは、監督する事業者に免許や登録の証明書を発行しない」という意味です。会社概要に置かれた飾り枠の証書は、FINTRACが発行していないと説明している形の書類ということになります。
▼登録の証明書を発行しないと明記するFINTRAC

出典:FINTRAC
取引の画面は9月20日に置かれデータの送り先は2025年から動いている
RDAPで引くと、pryvion.coの登録の日時は協定世界時の2026年9月8日20時52分で、日本時間に直すと9月9日の早朝にあたります。サーバーが返すファイルの更新日時を見ると、pryvion.coのページと取引の画面のファイルはどちらも9月20日の夕方に置かれていました。
▼pryvion.coの登録日時を示すRDAP

出典:rdap.registry.co
一方で、取引画面がデータを送る先のoriginx.cloudは2025年3月に登録されています。会社概要の画面の日付は、それよりさらに前の2023年6月です。前からある取引システムに、Pryvionの名前とロゴの画面を足したとみられます。
- 同じ証明書に並ぶwww.pikyston.club・www.originx.cloudなど3つのアドレスが、1バイトも違わない取引の画面を返す
- 金融庁の金融事業者一括検索で「Pryvion」「Binancbcoins」などの名前は0件、無登録業者の一覧にも掲載はない(掲載がないことは安全の根拠にはならない)
- Googleのセーフブラウジングに判定はなく、Internet Archiveの保存版はpryvion.coの1件だけ
名前が3つに分かれ、登録の書類の名義も別の会社となると、取引の相手が誰なのかを画面から確かめる方法はありません。お金を送る前に、画面に出る名前と書類の名義がそろっているかを、自分の目で照らし合わせてください。
【参考】
・Pryvionの取引の画面(https://www.pikyston.club/pr/)
・Pryvionの取引の画面の会社概要(https://www.pikyston.club/pr/#/pages/common/aboutus)
・RDAP-pryvion.co(https://rdap.registry.co/co/domain/pryvion.co)
・FinCEN-MSB Registrant Search
・FINTRAC-Money services business registry
・金融庁-金融事業者一括検索
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について
Pryvionの両替費用を払う前に自分で確かめられる5つの問い

両替費用を求められた時点で、相手の説明が正しいかどうかを決める材料の多くは、すでに自分の画面の中と、誰でも開ける公開の記録にあります。お金の記録から画面の操作、入口のページ、書類、日本での登録へと順にたどれる5つの問いにまとめました。
- 手数料はもう引かれていないか:出金の記録の「手数料」の欄に額が出ていれば、サイトの上では手数料を差し引いた形で申請が受け付けられています。相手が求める額と、記録の額を並べて見比べます
- 円に替える操作はサイトにあるか:出金の画面で選べる通貨と、円を選ぶ欄があるかを見ます。USDTしか選べないのに円への両替の費用を求められたら、その費用はサイトの仕組みの外の話です
- 入口のページの中身は別の会社のものではないか:パソコンのブラウザでページのソースを表示し、「saved from」の文字や、名乗りと違う会社の名前が残っていないかを探します
- 書類の名義はサイトの名前と同じか:会社概要に並ぶ登録の書類の名義と、画面の名前を並べます。違っていれば、発行元の登録簿で名乗る名前を引き直します
- その名前は日本で登録を受けているか:画面の名前と会社概要の名前を、金融庁の金融事業者一括検索で調べます。日本の利用者に投資の取引を提供するには登録が必要です
5つの問いのうち1つでも答えが「いいえ」なら、両替費用を払っても出金が進む保証はありません。払う前に手を止め、答えを出した画面を保存したうえで、弁護士や#9110など信頼できる第三者に見てもらってください。
【参考】
・FinCEN-MSB Registrant Search
・FINTRAC-Money services business registry
・金融庁-金融事業者一括検索
口コミは見つからずPryvionで検索すると返金相談を募る記事が多く並ぶ

この章では、Pryvionの名前と、取引画面のアドレスの名前「pikyston」で口コミを探した結果をまとめます。2026年11月5日の時点で、Yahoo!知恵袋とX(旧Twitter)に、Pryvionでの被害を書いた投稿は見つかりませんでした。
上位に並ぶのは相談や調査の依頼を募る記事
Yahoo!検索で「Pryvion」と調べると、1位はpryvion.coそのものです。その次に、調査会社や情報サイトを名乗る記事が4本並びます。日付が分かる3本は10月27日から11月3日で、Pryvionの画面が置かれた9月20日から1か月余りの間に書かれています。
中身を確かめられた3本は、どれもPryvionを危険なサイトと紹介したうえで、無料の相談や調査の依頼へ読者を誘う作りでした。そのうち2本は、LINEでの相談を受け付けると書いています。
相談の窓口の中には丁寧に対応するところもある一方で、必ず戻るとうたって着手金などを先に払わせる業者もあります。連絡するなら、その前に運営者の名前、弁護士などの資格の有無、費用がいつどれだけかかるかを確かめてから決めてください。
Pryvionという名前は投資と関係のない別のサイトや会社にも使われている
検索結果には、投資と関係のない「Pryvion」も混ざります。アプリの開発をうたうサイト、同じ名前の動画のチャンネル、インドの同じ名前の会社などです。どれもPryvion(pryvion.co)との関係を示す材料は見当たらず、名前が同じだけの別のものです。
Pryvionの画面が置かれてからまだ2か月足らずで、名前そのものも新しく作られたものとみられます。被害を書いた投稿が見つからないのは、名前の歴史が浅いうえに、検索結果が同じ名前の別のサイトと分け合う形になっているためと考えられます。
取引の画面のアドレスの名前でも返金をうたうブログが見つかる
取引の画面のアドレスにある「pikyston」で検索すると、2026年6月の日付で「pikyston」という取引所への勧誘を扱う記事が見つかります。「pikyston」の名前の取引所への勧誘は、Pryvionの画面が置かれる3か月前には話題になっていたことになります。
同じ検索結果には、被害者の立場を名乗ってLINEでの連絡を呼びかけるブログも並んでいました。返金をうたう呼びかけは、取引所の名前が替わっても、同じ形で検索結果に現れます。
画面に出る名前と取引の画面のアドレスの名前が違うこと自体が、調べる手がかりになります。Pryvionで口コミが見つからないときは、取引画面のアドレスの名前でも調べ、同じ仕組みの被害の報告がないかを確かめてください。
【参考】
・Pryvion(https://www.pryvion.co/)
・Pryvionの取引の画面(https://www.pikyston.club/pr/)
両替費用の請求に応じる前に振り込んだ分の回収へ動く

出金が「レビュー中」のまま66万円の両替費用を求められている状況で、考えておきたいのは次の3つです。
- 66万円を払えば、本当に円で口座に届くのか
- すでに振り込んだお金を止める手はあるのか、どこに連絡するのか
- 運営者の名前が分からないのに、誰に返還を求めればよいのか
1つ目の問いから順に、これまでの章で確かめた事実と、公的な手続きに照らして考えます。答えの材料はどれも、サイトの画面ではなく、手元の記録と公的な制度の中にあります。
両替費用の66万円を払っても円で口座に届く保証はない
前の章までに見たとおり、Pryvionの出金の記録はすでに3%を引いた形で表示され、円に替える工程はプログラムのどこにもありません。両替費用を払うことが出金の条件だという説明は、サイトの作りからは裏付けられません。
国民生活センターは、SNSで勧められる投資の注意喚起の中で、「いったん振り込んでしまうと、被害回復には困難が伴います。」と書いています。まだ払っていなければ、払う前に#9110や188に相談してください。
▼振り込んだ後の被害回復の難しさを伝える国民生活センター

出典:国民生活センター
同じ注意喚起は、被害回復をうたう二次被害にも触れています。両替費用を払ってしまった場合も、追加の請求や「取り戻せる」という連絡に応じる前に、同じ窓口へ相談してください。
振込元の金融機関と警察に連絡すると振込先の口座が止まることがある
お金の行き先が国内の口座であることは、取り戻す手続きを考えるうえで大きな手がかりになります。振り込め詐欺救済法は、そうした口座を対象にした法律です。この法律では、犯罪に使われた疑いのある口座を金融機関が凍結し、残っていたお金を、申し出た被害者に支払うまでの流れが決められています。
金融庁の救済法のQ&Aが最初の一歩として挙げるのも、警察と金融機関への連絡です。手元の振込の控えを持って、振込元の金融機関と警察に早く連絡してください。相手から新しい振込先を示されていれば、その口座も控えて伝えます。
名前が4つあっても返還を求める相手は口座の名義人
Pryvionの入口、ブラウザのタブ、会社概要、登録の書類には、それぞれ別の名前が出てきました。どの名前も運営者として名乗り出ているわけではなく、国内に残る手がかりは、お金が実際に入った振込先の口座だけです。
民法第709条は、故意や過失で他人の権利を侵害した者に、損害を賠償する責任を負わせています。とはいえ、口座の名義人がどこに住む誰なのかは、振り込んだ側から金融機関に問い合わせても、通常は明かされません。
名義人を確かめる方法として、弁護士法第23条の2は弁護士会を通じた照会を定めています。依頼を受けた弁護士が、弁護士会を通じて金融機関に名義人の情報を求める手続きです。
名前の多いサイトほど相手の特定に手間がかかるため、早めに専門家に相談し、口座を止める手続きと名義人への請求を並行して進めてください。
【参考】
・国民生活センター-SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?金融商品・サービスのトラブルにご注意!
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・e-Gov法令検索-民法
・e-Gov法令検索-弁護士法
・政府広報オンライン-警察に相談したいときは警察相談専用電話 「#9110」番へ
・消費者庁-消費者ホットライン
