CME GCS(cmglloesa.com)は詐欺?出金で保証金と税金を先に払わせる手口とは

CME GCS(cmglloesa.com)という暗号資産の取引サイトで、出金を頼むと「大口出金の保証金」と「利益に対する税金」を先に送るよう求められたという相談が寄せられています。

相談者は、Instagramで株の情報を発信するアカウントから、約70人が参加するLINEのグループに誘われました。「先生」の指導と「取引所の担当者」の案内で振込を重ね、一度は全額を出金できたことから、相手を信じてしまったといいます。

サイトのプログラムを調べると、「税金を納める」は出金ではなく入金の記録の状態の1つとして作られていました。サイト自身の説明では、出金の手数料は固定の25USDTです。「MSB認証」として並ぶ米国の書類も、州の記録ではcoinftxという会社のものでした。

本記事では、こうした調査の結果と正規のCME Groupの注意喚起を弁護士が解説します。警察が凍結を伝えた口座に振り込んだお金を取り戻す手続きと、記録を消してしまった後の整え方も紹介します。

Instagramの株情報からLINEグループの先生に誘われ保証金と税金を求められるまで

勧誘から追加請求まで。一度の出金後も入金が続いた。出金前に保証金と税金を要求。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

この章では、Instagramで株の情報を発信するアカウントのフォローから、LINEグループでの取引の指導、CME GCS(cmglloesa.com)への入金、出金の前に保証金と税金を求められるまでを順にたどります。相談者を取引所へ勧誘したのは、グループに後から加わった「取引所の担当者」でした。

株情報のInstagramからDMで約70人のLINEグループへ招かれる

始まりは、株の情報を投稿するInstagramのアカウントをフォローしたことでした。フォローの後、相談者のもとにはDMが届き、そこからLINEのグループへ参加するよう誘われます。

グループには約70人が参加していました。メンバーは日々の利益や損失を報告し合い、「先生とはセミナーで知り合った」「オフ会もある」といった話も交わされていたといいます。ビットコインの相場を理由に、参加を勧める発言もありました。

先生と呼ばれる2人がロングとショートの時機を個別に知らせる

グループで取引を指導していたのは、「先生」と呼ばれる人物です。扱うのは暗号資産のレバレッジ取引で、値上がりに賭ける「ロング」と値下がりに賭ける「ショート」のタイミングを、個別のLINEで案内して利益を出すという説明でした。先生と呼ばれる人物は2人いました。

古参のメンバーが加えた取引所の担当者が応援金を案内する

取引所への勧誘は、古参のメンバーが「取引所の担当者」をグループに加えたところから始まりました。担当者は、口座を開設すれば応援金として約20万円を取引口座に贈ると案内しています。

続いて先生の2人が、元本が多いほど利益も増えるとして入金を促しました。相談者が取引と利益の確認に使っていたのは、cmglloesa.comのアドレスで開く「CME GCS」という名前のサイトです。

▼ロゴにCME GCSと表示されるPC版のトップ画面

cmglloesa-ロゴにCME GCSと表示されるPC版のトップ画面

出典:cmglloesa.com

一度は全額を出金できたことで相手を信じて入金を重ねた

入金はどれも相手の口座への銀行振込で、6回にのぼります。2回目の入金のときには、いったん全額を出金するよう指示され、そのとおりに出金できました。相談者は8月の時点で警察から詐欺だと言われていましたが、実際に出金できたことから詐欺ではないと考え、取引を続けたといいます。

大口出金の保証金と利益への税金を先に払うよう告げられる

9月、相談者が改めて出金を依頼すると、大口出金の保証金と、利益に対する税金を送金しなければ出金できないと告げられました。相談者は、税金を先に払うよう求められたことに疑問を感じ、詐欺だと考えます。

その後、相談者は警察に相談し、被害届を出す準備を進めています。警察の指示で相手とのLINEのやり取りをブロックして削除し、送金の明細も警察に提供した後に削除しました。警察からは、口座を凍結すると説明を受けたといいます。

Instagramの株情報からLINEグループの先生と取引所の担当者へ誘われ、CME GCSで利益を確かめながら相手の口座へ振込を重ねたことが被害につながった経緯です。次の章では、相手が求めた「税金」が、CME GCSのプログラムの中でどう扱われているのかを確かめます。

【参考】
・CME GCS(https://www.cmglloesa.com/)

CME GCSの「税金」は出金ではなく入金の記録の一種として作られている

サイト内の決まりと請求を照合。税金の状態は入金欄にある。出金手数料は固定と説明。規約は本人による納税を定める。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

この章では、出金の前に求められた「税金」と「大口出金の保証金」が、CME GCSの中でどう扱われているかを確かめます。見るのは、スマホ版の資金明細表のプログラム、画面の言葉の一覧、サイト自身の手数料の説明、規約の税の条項の4つです。

資金明細表の入金の欄に「税金を納める」という状態がある

スマホ版のCME GCSには、入出金の記録を見る「資金明細表」の画面があり、「入金」「出金リクエスト」「引き出し」の3つの欄に分かれています。口座を持たない人には表示されない画面のため、表示の中身は資金明細表のプログラムのファイルを取得して読み取りました。

入金の欄では、記録ごとの状態を番号で見分けて表示します。番号0は「審査中」、1は「成功」、2は「失敗」で、番号3には「税金を納める」という表示が割り当てられていました。この状態は入金の欄にだけあり、出金や引き出しの欄にはありません。

▼入金の記録の状態を番号で分ける資金明細表のプログラム

cmglloesa-入金の記録の状態を番号で分ける資金明細表のプログラム

出典:cmglloesa.com

番号ごとに表示する文字は、サイトが日本語や英語など言語ごとに用意した言葉の一覧から取り出す仕組みです。番号3の言葉は、日本語の一覧では「税金を納める」、英語の一覧では「Tax payment」とプログラムに書かれていました。

▼「税金を納める」の英語の訳Tax paymentが並ぶ一覧

cmglloesa-「税金を納める」の英語の訳Tax paymentが並ぶ一覧

出典:cmglloesa.com

つまり、税金の名目で受け取るお金は、サイトの中では入金の記録の一種として扱える作りです。税務署に納めた記録ではなく、運営がサイトの残高に「入金」として記録できる形になっているとみられます。

サイト自身の説明では出金の手数料は固定の25USDT

PC版の最下部の「About Us」から開く説明には、手数料について次の一文があります。

Withdrawals of 100–10,000,000 USDT incur a fixed fee of 25 USDT. Account transfers are free.

100から1,000万USDTまでの出金には、固定で25USDTの手数料がかかるという内容です(USDTは米ドルと1対1の価値をうたう暗号資産で、同じ説明に「1 USDT = 1 USD」とあります)。出金の額が大きくても手数料は変わらず、大口の出金に保証金がいるとは書かれていません。

▼出金の手数料を固定の25USDTとするAbout us

cmglloesa-出金の手数料を固定の25USDTとするAbout us

出典:cmglloesa.com

スマホ版の出金の画面にも、「お引き出し手数料は引き出しの数から差し引きます」とプログラムに書かれていました。手数料は出金する額から引く作りで、先に別の送金を求める説明はありません。

保証金はサイトでは取引の証拠金とローンの担保の意味だけ

スマホ版の日本語の一覧で「保証金」の語が出てくるのは、レバレッジ取引の記録と、ローンの借入の記録の欄です。どちらも取引や借入のために差し入れるお金を指し、出金のために預けるお金を指す使い方はありません。

出金の申請で送るのは、通貨と数量、出金先の口座やアドレスなどの項目だけでした。申請が受け付けられると「提出に成功しました。審査中です。」と表示され、受け付けられないときはサーバーが返す文が出ます。保証金を払う画面や払った後に出金が進む手順は、プログラムに見当たりませんでした。

規約は税金を利用者が自分で税務当局に納めるものとしている

最下部の「Legal Notice」から開く規約の11.1は、税について次のように定めています。

11.1: You are personally responsible for determining whether, and to what extent, you will pay to the relevant tax authorities the tax due on any income derived from transactions conducted through the Services, net of the correct amount.(後略)

取引で得た所得の税を、利用者自身が判断して税務当局に納めるという内容です。「User Agreement」の1.6.6と4.2.6も、税は利用者が負担すると書いています。サイトが税を集めて納める仕組みは、規約のどこにも書かれていません。

▼税は利用者が税務当局に納めるとするLegal Notice

cmglloesa-税は利用者が税務当局に納めるとするLegal Notice

出典:cmglloesa.com

出金の前に保証金や税金を求められたら、払う前に、サイト自身の手数料の説明と規約の税の条項を開いて見比べてください。サイトの中に書かれた決まりと相手の説明が食い違うときは、送金を止めて専門家に相談することをおすすめします。

【参考】
・CME GCS-About Us(https://www.cmglloesa.com/#/service/33)
・CME GCS-Legal Notice(https://www.cmglloesa.com/#/service/27)
・CME GCS-User Agreement(https://www.cmglloesa.com/#/service/10)

CME GCSの「MSB認証」の書類は州の記録ではcoinftxという会社のもの

証明書の名義を発行元で照合。同じ確認番号で法人名が異なる。MSB登録の継続は確認できない。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

スマホ版のCME GCSには、米国の書類2枚を並べた「MSB認証」の画面があります。この章では、2枚に載っている名前と番号を、書類を出したとされる米国の州と財務省の機関の検索で確かめ、書類の名前を使われた正規のOANDA証券の告知と並べます。

MSB認証の画面にはOANDA名義の米国の書類が2枚並ぶ

画面の題は英語で「MSB Certification」、日本語の言葉の一覧では「MSB認証」です。MSBは、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に送金などの事業者として届け出た「Money Services Business」を指します。

1枚目はFinCENのMSB登録の状況を示す書類の写しで、登録番号は31000215848319、Legal Name(法人名)は「OANDA」です。所在地はコロラド州とされ、書類の上には「OANDA」のロゴが重ねられています。画面のどこにも、サイトの名前である「CME GCS」は出てきません。

▼OANDA名義のMSB登録の書類を並べたMSB認証の画面

cmglloesa-OANDA名義のMSB登録の書類を並べたMSB認証の画面

出典:cmglloesa.com

2枚目は、コロラド州の州務長官が出す「Certificate of Fact of Good Standing」(法人が州に届け出て存続していることの証明書)です。こちらも会社の名前は「OANDA」で、末尾に確認番号の14005661が記されています。

▼名前がOANDAのコロラド州の証明書と確認番号

cmglloesa-名前がOANDAのコロラド州の証明書と確認番号

出典:cmglloesa.com

書類に刷られた確認番号をコロラド州で照会するとcoinftxと出る

証明書の下部には、確認番号を州のサイトの「Validate a Certificate」の画面に入れれば、本物かどうかを確かめられると書かれています。そこで14005661を入れると、州の画面は名前を「coinftx, Delinquent October 1, 2023」と表示しました。

▼確認番号の照会で名前がcoinftxと出る州の画面

cmglloesa-確認番号の照会で名前がcoinftxと出る州の画面

出典:コロラド州州務長官

発行日(2022年5月9日)と法人の番号(20221472913)は書類と同じで、違うのは名前だけです。州の記録の名前はcoinftxで、2023年10月1日から届け出を怠った状態(Delinquent)とされています。証明書の名前の部分だけがOANDAに差し替えられた可能性があります。

FinCENの登録番号は番号でも名前でも検索に出てこない

1枚目の書類の登録番号を、FinCENの「MSB Registrant Search」に入れると、「System could not find matching data.」(該当するデータがない)と表示されました。名前を「coinftx」にして検索しても同じです。

▼登録番号で該当なしと出るFinCENの検索画面

cmglloesa-登録番号で該当なしと出るFinCENの検索画面

出典:FinCEN

MSBの登録は2年ごとに更新するため、検索に出ないことだけで書類が偽物だとは言えません。ただ、少なくとも今も登録が続いていることは確かめられません。FinCEN自身も、検索画面の上部で次のように注意しています。

Fraudsters are using FinCEN’s MSB registration process to defraud the public.(中略)FinCEN does not approve or endorse any business that has registered as an MSB. Any such claim and similar claims are false and may be part of a scam.

MSBとして届け出ていることは、国が事業者を認めた証しではなく、それを「認証」のようにうたうこと自体が詐欺の一部かもしれないという内容です。サイトが「MSB認証」と題して書類を掲げていても、それだけで信用する理由にはなりません。

正規のOANDA証券はLINEで入金の連絡をしないと告知している

書類に名前が使われたOANDAは、日本でもOANDA証券として金融庁の登録を受けて営業している外国為替証拠金取引の会社です。正規のOANDA証券は、公式サイトのトップで次のように告知しています。

LINEを利用した、弊社FX取引に係る手続きの偽案内メッセージが配信されている状況を確認しています。弊社では、LINEは使用しておらず、ご入金などをLINEでご連絡することは一切ございません。詐欺メッセージの可能性が非常に高いと思われます。LINEで弊社の名を騙ったメッセージを受信しても入金手続き等の対応はなさらぬようご注意ください。

▼LINEで入金の連絡をしないと告知するOANDA証券

cmglloesa-LINEで入金の連絡をしないと告知するOANDA証券

出典:OANDA証券

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、CME GCSはOANDAの名前の書類を掲げる一方で、取引の指導や入金の案内はLINEで行われていました。

サイトに許認可の書類が並んでいたら、書類の名前や見た目で判断せず、書類に刷られた番号を発行元の検索に自分で入れてみてください。そのうえで、出てくる名前がサイトの名前と同じかを確かめてください。

【参考】
・CME GCS-MSB Certification(https://cmglloesa.com/#/pages/msbCert/index)
・Colorado Secretary of State-Validate a Certificate
・FinCEN-MSB Registrant Search
・OANDA証券(https://www.oanda.jp/)

CME GCSのロゴは正規のCME Groupのものに似せている

似た名前より公式の案内を確認。正規の案内先はcmegroup.com。正規事業者は送金依頼をしないと告知。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

CME GCSという名前の先頭の「CME」は、米国のシカゴ・マーカンタイル取引所などを運営する正規のCME Groupと同じ文字です。この章では、CME GCSのロゴを正規のCME Groupのロゴと並べ、CME Group自身が日本語で出している注意喚起を確かめます。

地球儀の記号と「CME」の3文字を並べたロゴ

CME GCSのPC版の最下部には、大きなロゴが置かれています。左に地球儀の記号、右に「CME GCS」の文字という組み合わせです。地球儀は、上下の角を切り落とした八角形の中に、縦と横の線で区切ったマス目を並べた形をしています。

正規のCME Groupの日本語の公式サイトを開くと、左上に同じ組み立てのロゴがあります。色は金と青で違いますが、地球儀の記号の形はそろっています。文字も「CME」までが同じで、続く部分が「GCS」か「Group」かの違いです。

▼地球儀の形が同じCME GCSとCME Groupのロゴ

cmglloesa-地球儀の形が同じCME GCSとCME Groupのロゴ

出典:cmglloesa.com、CME Group

正規のCME Groupは日本語で口座開設や送金を頼まないと告知している

正規のCME Groupは、2025年9月25日付で日本語の注意喚起を公式サイトに載せています。

当社のロゴや製品を不正に利用し、詐欺的な投資勧誘を目的としたアプリやウェブサイトなどが確認されています。

CME Groupは詐欺的な投資勧誘には一切関与しておらず、こうした行為を深刻な問題と捉えています。

オンラインで取引を行う際は、正規の事業者を装う詐欺にご注意いただくとともに、詐欺的な投資勧誘に十分な警戒をお願いいたします。当社での口座開設や送金依頼をすることはございません。
(後略)

▼口座開設や送金を頼まないとするCME

cmglloesa-口座開設や送金を頼まないとするCME

出典:CME Group

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、相談者の場合は「取引所の担当者」が口座の開設を勧め、先生の2人が入金を促していました。CME Groupが対応しないと書く2つの事項が、そのまま勧誘の中身になっています。

注意喚起は続けて、正規の公式サイトのアドレスを「www.cmegroup.com/ja」(日本語)と「www.cmegroup.com」(英語)の2つだと示しています。CMEの名前やよく似たロゴのサイトを勧められたら、まずアドレスがこの2つのどちらかであるかを確かめてください。

【参考】
・CME GCS(https://www.cmglloesa.com/)
・CME Group(https://www.cmegroup.com/ja/)
・CME Group-【注意喚起】 当社のロゴや製品を不正に利用し、詐欺的な投資を勧誘するアプリやウェブサイトにご注意ください。

cmglloesa.comと1バイトも違わないアドレスが3つ稼働している

入口が違っても中身は同じ。4アドレスで同じファイルを確認。規約や言語文に別名が残る。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

CME GCSは、相談者が使ったcmglloesa.comのほかにも、同じ中身のサイトを別のアドレスで出しています。この章では、同じファイルを返す3つのアドレス、規約が名指しする別のアドレス、言語ごとの文の一覧に残る別の名前、規約どうしで食い違う準拠法を順に見ていきます。

cmegcsviosとcmesummerとcmelemonは同じファイルを返す

2026年10月30日に、www.cmegcsvios.com・www.cmesummer.com・www.cmelemon.comの3つのアドレスを開くと、どれもCME GCSのトップが表示されました。ブラウザ最上部のタブは「vip」、ロゴもメニューもcmglloesa.comと同じです。

プログラムを調べたところ、3つのアドレスが返す入口のページと本体のプログラムのファイルは、cmglloesa.comのものと1バイトも違わない同じファイルでした。入口のアドレスだけを4通りに分けて、中身は1つのサイトを動かしている形です。

▼cmegcsvios.comでも同じロゴが出るトップ画面

cmglloesa-cmegcsvios.comでも同じロゴが出るトップ画面

出典:cmegcsvios.com

4つのアドレスは、どれも同じ登録業者(NameSilo)で取得され、ネームサーバーも同じ組み合わせです。登録情報(RDAP)に残る登録の日時を日本時間に直すと次のとおりです。

アドレス登録の日時(日本時間)
cmegcsvios.com2026年6月24日 16時21分
cmesummer.com2026年9月20日 12時13分
cmglloesa.com2026年9月22日 11時11分
cmelemon.com2026年10月5日 11時09分

▼cmglloesa.comの登録日を示す登録情報

cmglloesa-cmglloesa.comの登録日を示す登録情報

出典:rdap.verisign.com

規約は契約取引のページとして別のアドレスを名指しする

最下部から開く「Legal Notice」の前文は、契約取引を提供するページとして、別のアドレス「https://www.cmegcsvios.com/」を名指ししています。相談者が使ったcmglloesa.comの規約でありながら、取引のページとして別のアドレスを挙げている状態です。

cmegcsvios.comは、4つのアドレスの中で最も早い6月に取得されています。アドレスを替えても、規約の文は前のアドレスを書いたまま使い続けているとみられます。

言語ごとの文の一覧に前の名前のFidelityが残っている

スマホ版のプログラムには、ようこそのあいさつの文が言語ごとに書かれていました。日本語では「Hi、CME GCS をご利用ください。」ですが、中国語(簡体字と繁体字)の文ではFidelity、ポルトガル語では「Bingvet」、フィンランド語では「Bindvet」の名前のままです。

▼中国語のあいさつの文に残るFidelityの名前

cmglloesa-中国語のあいさつの文に残るFidelityの名前

出典:cmglloesa.com

PC版の日本語の紹介文には「AMATAK」という別の名前が残り、プライバシーポリシーは問い合わせ先にoanda01.comのメールアドレスを挙げています。どれも、画面の名前だけを入れ替えて同じ作りのサイトを再利用した跡と考えられます。

規約の準拠法はシンガポールと英領バージン諸島で食い違う

「User Agreement」はシンガポールの法律に従うと定め、「Legal Notice」は英領バージン諸島の法律に従い、裁判所も同地に限るとしています。運営会社の名前はどちらにもなく、「CME GCS Platform」などと呼ぶだけです。

規約に外国の準拠法や裁判所が書かれていても、日本の消費者を守る法律がどこまで認めるかは別の問題で、返金をあきらめる理由にはなりません。2つの規約が互いに食い違っていること自体、運営の実体がはっきりしないことをうかがわせます。

登録情報のほかに、外部の記録や当局の検索も行いました。

  • Googleのセーフブラウジングでは、cmglloesa.comに「安全ではありません」の判定は出ていません
  • 金融庁の金融事業者一括検索で「CME GCS」「CME」を引くと、該当は0件でした。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません
  • Internet Archiveには、cmglloesa.comの中身が分かる保存版はありませんでした

アドレスや名前は替えられても、取得の日付やプログラムの中身は残ります。名前の検索で見つからなくても、アドレスを登録情報で引けば取得の日付は分かります。つい最近に取られたアドレスだったり、同じ見た目のサイトが別のアドレスにもあったりしたら、送金を止めて専門家に相談してください。

【参考】
・CME GCS(https://www.cmglloesa.com/)
・CME GCS(https://www.cmegcsvios.com/)
・CME GCS(https://www.cmesummer.com/)
・CME GCS(https://www.cmelemon.com/)
・CME GCS-Legal Notice(https://www.cmglloesa.com/#/service/27)
・rdap.verisign.com-cmglloesa.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/cmglloesa.com)
・金融庁-金融事業者一括検索

相手が口にした5つの言葉からCME GCSを見抜く

勧誘の言葉を根拠と照らす。公式の案内と運営者を確認。先払いの決まりをサイト内で確認。追加振込はいったん保留。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

この事案では、相談者を動かした言葉がはっきりしています。「取引所の担当者」「応援金」「元本が多いほど利益も増える」「大口出金の保証金」「利益に対する税金」の5つです。それぞれの言葉を聞いたときに、何をどこで確かめればよいかを前の章までの調べと結び付けて並べます。

  • 「取引所の担当者」:名乗られた取引所の公式サイトと見比べる
    正規のCME Groupは、日本語の注意喚起で口座開設や送金を頼まないと明言し、公式サイトのアドレスをcmegroup.comの日本語版と英語版の2つだと示しています。担当者が案内するアドレスがこれと違えば、正規の取引所の案内ではありません。
  • 「応援金」:口座を開くだけでお金が贈られる話を疑う
    約20万円を取引口座に贈るという説明は、CME GCSの日本語の画面の言葉に見当たりませんでした。贈られたとしても画面の数字が増えるだけで、引き出せるお金かどうかは別の話です。
  • 「元本が多いほど利益も増える」:運営者の登録を先に引く
    利益はサイトの画面に出る数字です。金融庁の金融事業者一括検索で「CME GCS」を引くと0件で、運営会社の名前は規約にもありません。入金を増やす前に、誰に預けるのかを確かめてください。
  • 「大口出金の保証金」:サイト自身の手数料の説明を開く
    About usは、出金の手数料を額にかかわらず固定の25USDTとし、出金の画面は手数料を出金額から差し引くと書いています。先に別の送金を求める決まりはありません。
  • 「利益に対する税金」:規約の税の条項と資金明細表を思い出す
    CME GCSの規約は、税を利用者自身が税務当局に納めるものとしています。サイトの中の「税金を納める」は、入金の記録の状態の1つにすぎません。利益に税金がかかる場合も、納める先は税務署で取引の相手ではありません。

5つの言葉はどれも、サイトの中の決まりや正規の会社の案内と食い違っていました。5つのうちどれかを言われた時点で、追加の振込はいったん保留にしてください。残っている振込の控えや画面の記録をまとめ、専門家に相談することをおすすめします。

【参考】
・CME GCS-About Us(https://www.cmglloesa.com/#/service/33)
・CME GCS-Legal Notice(https://www.cmglloesa.com/#/service/27)
・CME Group-【注意喚起】 当社のロゴや製品を不正に利用し、詐欺的な投資を勧誘するアプリやウェブサイトにご注意ください。(https://www.cmegroup.com/ja/press-release/2025-09-26.html)
・金融庁-金融事業者一括検索

CME GCSの口コミが見つからないのは検索が別のCMEで埋まるから

口コミがない理由を分けて考える。同名の別情報が検索に混じる。複数のアドレスに記録が分散する。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

CME GCSを使った人の声や被害の相談を、Yahoo!知恵袋、Yahoo!リアルタイム検索で拾えるXの投稿、5ちゃんねる、Web検索で探しました。名前とアドレスのどれで引いても、該当する書き込みは出てきません。この章では、その理由をこの事案の事実から説明します。

CME GCSやcmglloesaの名前の投稿や相談は見当たらない

「CME GCS」のほか、cmglloesa、同じファイルを返すcmegcsvios・cmesummer・cmelemonのアドレス、プログラムに残る「AMATAK」でも検索しましたが、被害の相談や体験談は0件でした。

アドレスで検索すると、出てくるのはサイトそのもののトップです。検索結果の題は「vip」で、説明の欄には「VIP trading account」と口座数をうたう数字が並びます。利用者の声ではなく、サイトの宣伝の文句が検索結果に出ている状態です。

CME GCSで検索すると太陽の観測の論文と正規のCME Groupが並ぶ

「CME GCS」をそのまま検索すると、上位に並ぶのは天文学の論文です。CMEは太陽の「コロナ質量放出」の略語で、GCSはその形を推定する計算の手法の名前として使われています。

論文のほかには、正規のCME Groupの投資家向けのページも出てきます。名前の文字が、学術の用語と正規の取引所の名前の両方に重なっているため、被害者が名前で検索しても、同じ体験をした人の声にたどり着きにくくなっています。

アドレスを変えながら同じサイトを出すので名前が定まらない

前の章で見たとおり、CME GCSは6月から10月までの間に、少なくとも4つのアドレスで同じサイトを出しています。ブラウザのタブに出る名前は「vip」だけで、利用した時期によって、覚えているアドレスが人ごとに違いえます。

相談者が誘われた先も、約70人が集まる閉じたLINEのグループです。外から見えない場で勧誘が進み、アドレスも時期によって変わるため、体験談が1つの名前の下に積み重なりにくいとみられます。

なお、CMEの名前で検索すると、別のアドレスの偽サイトを扱った記事や、被害の回復をうたう宣伝の記事も上位に出ます。宣伝の記事は、個人のLINEのアカウントへ誘う形のものでした。

書き込みが1件もないのは、問題がないからではなく、声が表に出る前にアドレスや見かけの名前が変わるからだと考えられます。名前で何も出てこないときは、前の章までに挙げた手がかりと照らし合わせてください。返金をうたう広告に連絡する前に、信頼できる第三者に相談することをおすすめします。

【参考】
・CME GCS(https://www.cmglloesa.com/)

警察が凍結を伝えた口座からCME GCSに振り込んだお金を取り戻すには

銀行の記録から申請を準備。凍結だけでは返金は決まらない。振込と戻った額を分けて整理。分配には本人の申請が必要。事案名「CME GCS(cmglloesa.com)」を右上に示す説明図。

相談者は警察に相談して被害届の準備を進め、振り込んだ先の口座を凍結するという説明も受けています。一方で、警察の指示でLINEのやり取りや送金の明細を消したため、手元の記録はほとんど残っていません。この段階では、次のような質問が出てくると思います。

  • 警察が動いているなら、お金も警察が取り戻してくれるのか
  • 凍結された口座のお金は、どうすれば戻ってくるのか
  • 記録を消してしまった今、何で振込を示せばよいのか
  • 一度出金できたお金は、どう扱えばよいのか

最初の問いから順に答えていきます。警察の捜査と、お金を取り戻す手続きは、目的も進める人も違います。この違いを押さえておくと、自分が何をすればよいかが見えてきます。

警察が捜査しても名義人への請求は被害者自身が進める

警察の捜査は、罪を犯した人を見つけて罰するための手続きです。振り込んだお金を相手から取り立てて返す手続きではありません。凍結の時点で口座から引き出されていた分は、振込先の名義人などに損害の賠償を求める、民事の請求で取り戻すことになります。

ただ、名義人がどこに住み、どれだけの財産を持つかは、被害者の側からは分かりません。手がかりの1つになるのが、名義人が起訴されて刑事裁判が開かれた場合の記録です。その記録を被害者が見る道を開いているのが、犯罪被害者保護法の第3条です。

刑事被告事件の係属する裁判所は、第一回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、(後略)

被害者本人のほか、委託を受けた弁護士も、裁判の記録の閲覧や写しを申し出られます。記録から名義人の所在や口座の使われ方が分かれば、それを請求に使えます。いつ申し出て、記録をどう請求につなげるかの見極めは個人では難しく、専門家に相談しながら進めるのが現実的です。

口座が凍結されてもお金は自分で申請しないと戻らない

凍結された口座のお金は、2段階の手続きを経て被害者に分けられます。1段階目で口座のお金を消滅させ、2段階目で被害者への支払いを受け付けます。どちらも預金保険機構のウェブサイトで公告され、期間は1段階目が60日以上、2段階目が30日以上です。

分配を受けるには、2段階目の公告の期間に、振込先の金融機関へ自分で申請しなければなりません。振込先の金融機関に被害を申し出ておけば、支払いの手続きの際に金融機関から個別に連絡が来ます。

分けられるのは止められた時点で口座に残っていたお金までで、被害の合計が残高を超えれば被害額に応じた按分です。

送金の明細を消しても振込の記録は振り込んだ銀行に残っている

相談者は、送金の明細を警察に渡した後に削除しています。それでも、振込の記録は振り込んだ側の銀行に残ります。自分の口座の取引の明細を銀行から取り寄せれば、6回の振込の日付・金額・振込先の金融機関と名義を確かめられます。

取り寄せた明細をもとに、6回分を表にまとめておくと、振込先の金融機関への申し出や、分配の申請、相談の場でそのまま使えます。被害届を受け付けた警察署の名前と、受理の番号も一緒に控えておいてください。

一度出金できたお金は6回の振込と分けて伝える

相談者は、2回目の入金のときにいったん全額を出金できています。このときに手元に戻ったお金は、振り込んだお金とは別に、出金の日付と戻った額を記録しておいてください。通帳の記帳でも確かめられます。

申請や相談の場で被害の額を伝えるときは、6回の振込の合計と、出金で戻った額を分けて示すと、実際に失った額が正確に伝わります。CME GCSの画面に出ていた利益や残高の数字ではなく、銀行の記録に残るお金の出入りで整理することが大切です。

【参考】
・e-Gov法令検索-犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・預金保険機構-振り込め詐欺救済法に基づく公告

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

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