DBG MARKETS(dbgmarketssea.cc)は詐欺?出金前に3%の手数料を求める手口

「善行資産拡大計画」という名前の投資の誘いで、取引口座の開設先として示されたのが、DBG MARKETSを名乗るdbgmarketssea.ccです。相談者は個人名義の口座へ送金し、取引の終了を待って出金を申請したところ、出金総額の3%を手数料として先に払うよう求められました。

調べると、出金の画面の「手数料 3%」は、どの金額を入れても同じ文字を出すだけで、計算も差し引きもしない作りでした。勧誘で聞いた計画の名前も、サイトの画面やプログラムには一度も出てきません。

サイトのロゴは、日本の居住者を対象外とする海外のFX業者のサイトの画像と1バイトも違わない同じファイルで、dbgmarketssea.comのアドレスはそのロゴが置かれた約47分後に取得されています。

本記事では、dbgmarketssea.ccの画面と登録情報からこうした食い違いを一つずつたどり、3%を払う前に確かめたい点を弁護士が解説します。手数料を求められている段階から取り戻す道と相談先は、最後の章で取り上げます。

「善行資産拡大計画」の勧誘からDBG MARKETSで3%の手数料を求められるまで

勧誘から3%の請求へ。計画への参加を案内された。取引先としてサイトを指定された。出金申請後に先払いを要求された。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

この章では、「善行資産拡大計画」への誘いから、取引口座の開設先として示されたDBG MARKETS(dbgmarketssea.cc)、取引グループでの指示、出金の申請の後の手数料の請求までを順にたどります。計画の名前、取引の指示、手数料の請求はどれも相手の側から出てきたものでした。

善行投資の誘いと目標利益10倍の「善行資産拡大計画」

始まりは「善行投資しませんか?」という誘いです。10月4日には、勧誘した人物が「善行資産拡大計画」への参加を案内しました。この計画は、目標とする利益を10倍と掲げていました。

計画の説明では、「先生」と呼ばれる人物が一人ひとりに取引の指示を出すとされていました。あわせて「チャリティー資産拡大プラン」という名前も、出金に制限がかかる理由として説明されています。相談者は、この計画に参加して投資する予定だと返信しました。

取引口座の開設先としてdbgmarketssea.ccを案内される

勧誘した人物は、取引口座を開く先として「https://www.dbgmarketssea.cc」を示しました。開いたサイトの画面には「DBG MARKETS」の名前とロゴが出ており、相談者が取引の画面を見ていたブラウザのアドレス欄にもdbgmarketssea.ccと表示されています。

相談者の手元の利用明細には、個人名義の口座あての送金が記録されています。送金先の名義は個人の名前で、DBG MARKETSの名前の口座でも、会社の名前の口座でもありませんでした。

なお、DBG Marketsの名前でFX・CFDを提供する海外の業者(dbgmarketsglobal.com)がdbgmarketssea.ccを運営していることを示す情報は確認できませんでした。両者の関係は、後の章でロゴと登録情報から確かめます。

取引グループで指示に従わない損失は個人負担と告げられる

10月7日には「善行資産拡大計画取引グループ」で、「先生」と呼ばれる人物が計画の開始を告げました。その際、取引の指示に従わずにリスクが生じた場合の損失は個人の負担になると説明しています。

同じグループでは、参加者に発言しないよう促し、問題があれば勧誘した人物に個別に相談するよう案内していました。参加者どうしでやり取りをする場ではなく、指示を受け取るための場として使われていたとみられます。

取引の終了を待って出金を申請すると3%の先払いを求められる

相手は取引の終了日を10月27日とし、取引が終わってから出金を申請できると告げていました。相談者がその後に出金を申請すると、出金総額の3%にあたる額を手数料として先に支払うよう求められています。

相手は出金総額をドルと円の両方で示し、その3%を円で求めていました。手数料のことは事前に知らされておらず、相談者は支払いをいったん止めたいと相手に伝え、10月28日に警察に相談しています。

まとめると、「善行資産拡大計画」の誘いからdbgmarketssea.ccで口座を開き、個人名義の口座へ送金した後、出金の申請の段階で3%の手数料を先に求められたことが、被害につながった経緯です。次の章では、この3%がサイトの出金の画面でどう扱われているかをプログラムから確かめます。

【参考】
・DBG MARKETS(https://www.dbgmarketssea.cc/)
・dbgmarketsglobal.com(https://www.dbgmarketsglobal.com/en)

dbgmarketssea.ccの出金画面の「手数料 3%」は計算されない固定の文字

3%表示と計算のずれ。手数料欄は固定の文字。到着額から3%は差し引かれない。先払いの案内は処理内にない。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

この章では、相手が先払いを求めた3%の手数料が、dbgmarketssea.ccの出金の画面でどう扱われているかを、手数料の欄、「実際の到着」の欄、申請のボタンの3か所と、請求された金額との関係から確かめます。

dbgmarketssea.ccでは、出金を申し込む画面に進むにはログインが要ります。このため、出金の画面のもとになるプログラムのファイルをサイトから直接取り寄せ、手数料の欄などの処理を一つずつ読みました。

手数料の欄はどの金額を入れても「3%」と出す作り

「手数料」の欄は、出金の額を入れる欄のすぐ下にあります。プログラムを調べたところ、この欄に出す値を求める処理は、出金額にも出金の方法にも関係なく「3%」という文字をそのまま返すだけの作りでした。

欄の見出しは「手数料(JPY):」のように通貨の単位を付けた形で、金額が入るように見えます。ところが中身は金額ではなく「3%」の文字で、入力した出金額に率を掛けて手数料の額を出す計算は、出金の画面のプログラムのどこにもありません。

▼手数料の欄に固定の「3%」を返す出金の画面のプログラム

dbgmarketssea-手数料の欄に固定の「3%」を返す出金の画面のプログラム

出典:dbgmarketssea.cc

「実際の到着」の額からは3%が差し引かれない

手数料の欄の近くには「実際の到着」の欄があり、出金して届く額を示します。銀行の口座へ出金する場合、プログラムはこの額を「出金額×円のレート」で出していました。3%を差し引く計算は入っていません。

出金のたびに3%の手数料が本当にかかるのであれば、届く額はその分だけ少なく表示されるはずです。dbgmarketssea.ccの画面は、手数料の欄に「3%」と出しながら、届く額には出金額を円に直しただけの数字を出す作りになっています。

▼「実際の到着」を出金額×レートで出すプログラム

dbgmarketssea-「実際の到着」を出金額×レートで出すプログラム

出典:dbgmarketssea.cc

申請のボタンは「審査をお待ちください」と出して戻るだけ

出金の申請のボタンを押すと、6桁の出金パスワードを入れる枠が開きます。パスワードを入れると、プログラムは出金額・方法・通貨・レートなどをサーバーへ送り、「出金申請が提出されました。審査をお待ちください」と表示して、2秒後に前の画面へ戻ります。

英語の画面では「Withdrawal request submitted, please wait patiently for review!」と出る同じ案内です。どの言語でも、伝えているのは申請を受け付けたことと審査を待つことだけです。

▼申請を送ると案内を出して前の画面へ戻る処理

dbgmarketssea-申請を送ると案内を出して前の画面へ戻る処理

出典:dbgmarketssea.cc

▼申請の後に出る「審査を待つように」という英語の案内

dbgmarketssea-申請の後に出る「審査を待つように」という英語の案内

出典:dbgmarketssea.cc

申請の処理には、手数料を先に払うよう案内する画面も、支払先の口座を示す処理もありません。「先払い」「前払い」といった言葉も、サイトのプログラムには見当たりませんでした。手数料を払わなければ出金できないという話は、サイトの仕組みとは別に相手から告げられたものとみられます。

請求額は出金総額をサイトのレートで円にした額の3%と一致する

相手は、出金総額を195,411ドル、円にして31,488,609円と示していました。サイトの設定のデータでは、ドルを円に直すレートは161.14です。195,411ドルに161.14を掛けると約3,148万8,529円となり、示された円の額との差は80円ほどです。

請求された手数料の944,658円は、この31,488,609円の3%にあたります。相手は、出金の画面の「3%」の表示とサイトのレートを使って、請求額を組み立てたとみられます。

画面に表示がある以上、手数料はサイトの決まりのように見えます。しかし、前の見出しまでで見たとおり、サイトの中でこの3%を計算したり支払わせたりする仕組みはありません。

▼ドルを円に直すレートを161.14とする設定のデータ

dbgmarketssea-ドルを円に直すレートを161.14とする設定のデータ

出典:dbgmarketssea.cc

出金の前に手数料を求められたら、それが出金の画面で金額として計算され、出金額から差し引かれる形で示されているかを確かめてください。

率の表示しかなく、払い方も払い先も出てこないなら、払う前に立ち止まる理由になります。次の章では、この画面に出ているDBG MARKETSのロゴの出どころを確かめます。

【参考】
・DBG MARKETS-出金の画面のプログラム(https://www.dbgmarketssea.cc/static/js/pages-withdraw-money-withdraw-money.d841ebb3.js)
・DBG MARKETS-画面の言葉の一覧を含むプログラム(https://www.dbgmarketssea.cc/static/js/index.62318a9b.js)
・DBG MARKETS-設定のデータ(https://www.dbgmarketssea.cc/api/index/index)

DBG MARKETSのロゴはdbgmarketsglobal.comの画像と同じファイル

同じロゴでも運営は別に確認。画像ファイルの中身は一致。公式側は日本を提供対象外と記載。ロゴだけでは運営元は分からない。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

dbgmarketssea.ccに出る「DBG MARKETS」のロゴは、DBG Marketsの名前でFX・CFDを提供する海外の業者(dbgmarketsglobal.com)が自社のサイトで使っている画像と同じものです。

この章では、2つのロゴの画像の比較、dbgmarketsglobal.comが自社のサイトで示している日本の扱い、金融庁で名前を調べた結果の3点を順に取り上げます。

ロゴの画像は海外のFX業者の公式サイトの画像と1バイトも違わない

dbgmarketssea.ccがロゴとして読み込む画像は、サイトの「20260729」という名前のフォルダにあります。これをdbgmarketsglobal.comのページ上部のロゴの画像と比べると、大きさはどちらも37,544バイトで、中身も1バイトも違わない同じファイルでした。

dbgmarketsglobal.comの側の画像は、サーバーが返す更新の日時が2024年6月4日のままです。dbgmarketssea.ccは、別の業者が以前から使っていたロゴの画像を、そのまま自分のサイトに置いたとみられます。画像のアドレスは誰でも開けるので、ブラウザで並べて見比べられます。

▼2つのサイトに置かれた同じDBG MARKETSのロゴの画像

dbgmarketssea-2つのサイトに置かれた同じDBG MARKETSのロゴの画像

出典:dbgmarketssea.cc、dbgmarketsglobal.com

dbgmarketsglobal.comはサイトの最下部で日本を提供先から外している

dbgmarketsglobal.comの各ページの最下部には、「Regional Restriction」(地域の制限)という段落があります。

Regional Restriction: We do not offer services to residents of certain jurisdictions, including but not limited to the United States of America, Canada, United Kingdom, European Union Countries, Iran, Afghanistan, Belgium, Hong Kong, Australia, New Zealand, Israel, Japan, Singapore, Malaysia, India, or any person in any country or jurisdiction where such distribution or use would be contrary to local laws or regulations. For more information, please refer to our Help Center.

米国やカナダ、英国、EU諸国、オーストラリアなどと並べて、日本の居住者にはサービスを提供しないと明記しています。一方のdbgmarketssea.ccは、日本語の画面で取引を受け付け、出金の画面では円の額まで示す作りでした。

ロゴの持ち主である業者が自社のサイトで日本を対象外としている以上、日本の利用者を相手にするdbgmarketssea.ccを、その業者が運営しているとは考えにくい状況です。

▼日本の居住者を提供の対象外とする最下部の地域の制限

dbgmarketssea-日本の居住者を提供の対象外とする最下部の地域の制限

出典:dbgmarketsglobal.com

DBGの名前は金融庁の一括検索でも無登録業者の一覧でも0件

「DBG」「ディービージー」「DBG Markets」の3つの語で金融事業者一括検索を引いても、登録を受けた事業者は1件も出てきませんでした。dbgmarketsglobal.comの業者もdbgmarketssea.ccも、日本で登録を受けた業者ではないとみられます。

無登録で金融商品取引業を行う者として金融庁が名前を挙げる一覧にも、DBGを含む名前は見当たりません。

ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。dbgmarketssea.ccのように別の業者のロゴを使い、アドレスを替えながら作られるサイトは、一覧の名前と照らしても見つからないことがあります。

▼「DBG」で調べても該当がない金融庁の一括検索

dbgmarketssea-「DBG」で調べても該当がない金融庁の一括検索

出典:金融庁

取引に誘われたら、ロゴの持ち主の業者のサイトの最下部や利用条件で日本の居住者が対象かを確かめ、金融庁の一括検索で登録の有無も見てください。次の章では、このロゴが置かれた時刻とアドレスが取得された時刻を並べます。

【参考】
・DBG MARKETS-ロゴの画像(https://www.dbgmarketssea.cc/uploads/20260729/178531148907354614.png)
・dbgmarketsglobal.com-ロゴの画像(https://www.dbgmarketsglobal.com/images/icon/topLogo.png)
・dbgmarketsglobal.com-トップページ(https://www.dbgmarketsglobal.com/en)
・金融庁-金融事業者一括検索
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(HTML版)

dbgmarketssea.comはロゴが置かれた約47分後に取得されている

設置と取得の時刻を並べる。ロゴ設置の約47分後に.com取得。その後.ccを取得。画面には旧名が残る。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

前の章で見たロゴの画像は、2026年7月29日の16時51分29秒(日本時間)にサーバーへ置かれています。この章では、この時刻と2つのアドレスが取得された時刻を並べ、名前がDBG MARKETSに替わっていった順番をたどります。

2つのアドレスは7月29日と8月21日に取得され同じサーバーで動く

ロゴの画像のファイル名の先頭10桁「1785311489」は、1970年からの秒数で時刻を表した数字で、日本時間の7月29日16時51分29秒にあたります。サーバーが返す画像の更新の日時も同じ時刻です。

登録情報を公開するRDAPで調べると、dbgmarketssea.comはその46分55秒後の7月29日17時38分24秒に取得されていました。dbgmarketssea.ccは、それから3週間あまり後の8月21日14時13分36秒の取得で、登録を取り次いだ業者も別でした。

▼2つのアドレスの取得の日時を示す登録情報

dbgmarketssea-2つのアドレスの取得の日時を示す登録情報

出典:rdap.verisign.com、tld-rdap.verisign.com

2つのアドレスは、どちらも同じサーバー(103.242.13.72)を指しています。サイトの名前やロゴを決める設定のデータも、2つのアドレスで1バイトも違いません。取得の時期と業者は違っても、中身は同じ1つのサイトとみられます。

ログイン画面がDBG MARKETSになったのは9月6日の差し替えから

dbgmarketssea.ccのログイン画面には、上部にDBG MARKETSのロゴが出ます。プログラムを調べたところ、この画面はロゴをファイルとして持たず、サイトの設定のデータに登録された画像を読み込んで表示する作りでした。設定に登録されている画像が、7月29日に置かれたロゴの画像です。

画面を動かすプログラムのファイルは、どれもサーバーが返す更新の日時が9月6日の13時55分44秒〜45秒にそろっています。ロゴを設定から読み込むログイン画面は、この日にまとめて置き換えられたファイルの中にあり、9月6日の差し替えでDBG MARKETSの画面になったとみられます。

▼DBG MARKETSのロゴが出るログイン画面

dbgmarketssea-DBG MARKETSのロゴが出るログイン画面

出典:dbgmarketssea.cc

登録とログインの入口の画面とサイトの設定の名前は今もBCRのまま

一方で、「登録」「ログイン」「ゲストログイン」のボタンが並ぶ入口の画面には、「へようこそ BCR」と表示されます。設定のデータでも、サイトの名前の欄は「BCR」のままです。ロゴとアドレスはDBG MARKETSに替わったのに、名前の欄は替わっていない状態で、切り替えが途中で止まっているとみられます。

同じ設定のデータは、BCRを名乗るtradingbcr.comも返します。tradingbcr.comの事案は、BCRを装う偽サイトは詐欺?SNSで知り合った女性の勧誘から出金時に手数料と税金を重ねて求める実態と口コミ・評判・返金対策で解説しています。

このほか、2つのアドレスの記録は次のとおりでした。

  • Internet Archiveの保存版は、どちらのアドレスも0件
  • ウェブサイトの記録を集めるurlscan.ioには、10月26日にdbgmarketssea.comの記録が1件だけ(タイトルは「ログイン」)
  • Googleセーフブラウジングでは、どちらのアドレスも「安全ではない」とする判定は出ていない(安全の根拠にはならない)
  • dbgmarketssea.netやdbgmarkets-sea.comなど綴りの似たアドレスは、どれも応答がない

アドレスが取得された日付は、RDAPの登録情報で誰でも確かめられます。勧誘で示されたアドレスが、名乗る業者の歴史に比べて極端に新しい場合や、ロゴと画面の名前が食い違う場合は、入金や手数料の支払いの前に手を止めてください。

【参考】
・DBG MARKETS-ログイン画面(https://www.dbgmarketssea.cc/#/pages/login/login)
・DBG MARKETS-設定のデータ(https://www.dbgmarketssea.cc/api/index/index)
・rdap.verisign.com-dbgmarketssea.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/dbgmarketssea.com)
・tld-rdap.verisign.com-dbgmarketssea.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/dbgmarketssea.cc)
・urlscan.io-dbgmarketssea.com(https://urlscan.io/domain/dbgmarketssea.com)

「善行資産拡大計画」の名前はdbgmarketssea.ccのどこにも出てこない

勧誘の計画名はサイト外。計画名はサイト内で見つからない。サイトは人の介入なしと説明。取引グループでは人が指示。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

相談者が誘われたのは「善行資産拡大計画」で、出金に制限がかかる理由としては「チャリティー資産拡大プラン」という名前も使われていました。

この章では、これらの名前がdbgmarketssea.ccにあるか、サイト自身が取引の仕組みをどう説明しているか、計画の名前を掲げた勧誘の報道の3点を見ていきます。

善行やチャリティーの語はサイトのプログラムに1つもない

dbgmarketssea.ccの画面を作るプログラムは、ログインした後の画面の分も含めて47本のファイルに分かれています。プログラムを調べたところ、「善行」「慈善」「チャリティ」「プラン」「拡大」「倍増」の語は、47本のどれにも1か所も出てきませんでした。

「計画」の語は6か所にありますが、どれも「安定した取引計画を作成」「計画総金額」など、サイトの自動取引の画面で使う言葉です。

計画の名前も、その名前を理由に出金を制限するという説明も、サイトの画面の言葉には見当たりません。「善行資産拡大計画」は、勧誘した人物がサイトの外で付けた名前とみられます。

サイトの自動取引の紹介は「人間の介入なし」をうたう

ログインしなくても開ける「スマートトレーディングとは?」の画面は、サイトが用意する自動取引の仕組みを順を追って説明しています。

3つ目の段階の「自動実行」は「システムが人間の介入なしに自動的に取引を実行」、利点の「安定した収益」は「検証済みの戦略による長期的な安定した収益」という説明です。

一方、取引グループでは、「先生」と呼ばれる人物が一人ひとりに取引の指示を出し、指示に従わずに生じた損失は個人の負担とされていました。取引の指示を出す人物がいるのに、取引の場であるはずのサイトは人の手を介さない自動の取引をうたっていることになります。

▼「人間の介入なし」の自動取引をうたう紹介の画面

dbgmarketssea-「人間の介入なし」の自動取引をうたう紹介の画面

出典:dbgmarketssea.cc

「資産倍増計画」の名前で出金を拒まれた事例が報道されている

TBS NEWS DIGは2024年8月30日、富山県の70代の男性が、LINEで知り合った女性から「年度資産倍増計画の参加枠が確保された」と投資を持ちかけられたと伝えました。男性はサイトで増えたように見える額を前に、「出金のために600万円を振込んでほしい」と求められています。

▼「資産倍増計画の参加枠」の誘いを伝える富山の報道

dbgmarketssea-「資産倍増計画の参加枠」の誘いを伝える富山の報道

出典:TBS NEWS DIG

青森放送も2024年12月23日、LINEのグループ「2024資産倍増計画」に誘導された60歳代の女性が、指定された口座への振込を重ねた後、サイトから利益の出金を断られたと報じました。

どちらの事案も、計画の名前で参加を促された後、出金の段階で追加の振込や断りに突き当たっています。これらの報道が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、本件も計画への参加から出金の前の3%の先払いへと同じ順番をたどっています。

勧誘で計画やプランの名前を示されたら、その名前が取引サイトの画面や利用規約に書かれているかを探してください。サイトのどこにも名前がなければ、計画の条件や出金の制限は勧誘した人物の言葉だけが根拠で、入金や手数料の支払いの前に信頼できる第三者に話を聞いてもらうことをおすすめします。

【参考】
・DBG MARKETS-スマートトレーディングとは?(https://www.dbgmarketssea.cc/#/pages/arbitrage-bot-intro/arbitrage-bot-intro)
・DBG MARKETS-画面の言葉の一覧を含むプログラム(https://www.dbgmarketssea.cc/static/js/index.62318a9b.js)
・TBS NEWS DIG-「資産倍増計画の参加枠が確保された」70代男性 現金750万円だましとられる 富山
・青森放送-「資産倍増計画」に誘導された青森県内の60歳代女性が株式投資持ちかけられ1.679万円被害

dbgmarketssea.ccで見えるものの出どころを一つずつたどる

見える情報の出どころを照合。名乗りだけで判断しない。表示と記録を一つずつ比べる。食い違えば支払いを止める。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

本件では、ロゴ、アドレス、手数料の表示、計画の名前、振込先のどれもが、取引サイトの名乗りとは別のところから来ていました。勧誘で示されたサイトに見えるものを、持ち主や出どころから一つずつ確かめていくと、入金や手数料の支払いの前に立ち止まる手がかりになります。

  • ロゴは誰のものか? ロゴの画像を開き、同じ名前の業者の公式サイトのロゴと見比べます。dbgmarketssea.ccのロゴは、日本の居住者を対象外とする海外の業者の画像と同じファイルでした。その業者が日本を提供先に入れているかは、サイトの最下部や利用条件で確かめられます。
  • アドレスはいつ取られたものか? アドレスの登録情報(RDAP)を開くと、取得の日付が分かります。dbgmarketssea.comはロゴが置かれた約47分後、dbgmarketssea.ccは8月21日の取得でした。名乗る業者の歴史に比べて新しすぎるアドレスは、それだけで疑う理由になります。
  • 手数料の「3%」はどこから来た数字か? 出金の画面で、手数料が金額として計算され、受け取る額から差し引かれているかを見ます。dbgmarketssea.ccの「3%」は固定の文字で、届く額は減りませんでした。相手の請求額は、この表示を出金総額に当てはめた額とみられます。
  • 計画の名前は誰が付けたものか? 勧誘で聞いた計画やプランの名前が、取引サイトの画面や規約にあるかを探します。「善行資産拡大計画」はどこにもなく、サイト自身は人の手を介さない自動の取引をうたっていました。
  • 振込先の口座は誰のものか? 振込先の名義と、取引サイトが名乗る会社の名前を突き合わせます。本件の送金先は個人名義の口座で、DBG MARKETSの名前でも会社の名前でもありませんでした。

出どころが名乗りと合わないものが1つでもあれば、相手に理由を尋ねて納得しようとするより先に、支払いを止めることを優先してください。次の章では、DBG MARKETSの名前で調べたときに、本件の口コミが見つかりにくい理由を見ていきます。

【参考】
・DBG MARKETS(https://www.dbgmarketssea.cc/)
・rdap.verisign.com-dbgmarketssea.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/dbgmarketssea.com)
・tld-rdap.verisign.com-dbgmarketssea.cc(https://tld-rdap.verisign.com/cc/v1/domain/dbgmarketssea.cc)

DBG MARKETSの検索は海外の業者の情報で埋まり本件の口コミに届かない

名前だけでは本件に届きにくい。同名の海外業者が検索上位に出る。計画名も類似の記事に埋もれる。似た相談を同一案件とは扱わない。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

「DBG MARKETS」「dbgmarketssea」「善行資産拡大計画」「チャリティー資産拡大プラン」の名前で、Yahoo!知恵袋、X、5ちゃんねる等を調べました。本件の取引サイトや計画に触れた投稿・相談は、2026年10月29日の時点でどこにも見当たりません。

この章では、「DBG MARKETS」と「善行資産拡大計画」のそれぞれの名前で検索結果が別の情報に埋まっている事情と、出金の条件が本件と同じ3%で似た相談の例を見ていきます。

「DBG MARKETS」で調べても出てくるのは海外のFX業者の情報

「DBG MARKETS」や「dbgmarketssea」で検索すると、上位にはdbgmarketsglobal.comの業者の公式サイトやアプリ、FX業者の評価サイトが並びます。同じ名前の業者の情報が上位を占め、本件の被害の話は名前で探しても行き当たりにくい状況です。

評価サイトのWikiFXには「DBGは詐欺会社です」という題の投稿もありますが、2023年1月に取引の損失をめぐって出された苦情で、相手はdbgmarketsglobal.comの業者でした。時期も、勧誘から出金の手数料に至る流れも本件とは違い、本件の被害の話とは別のものです。

「善行資産拡大計画」は慈善資産倍増計画の記事に寄せられる

「善行資産拡大計画」で検索すると、上位に出るのは「慈善資産倍増計画」「資産倍増計画」を扱う他の法律事務所や調査会社の記事と、前の章で触れた報道です。名前の言い回しを少しずつ替えた同じ型の勧誘が多く、本件の名前そのものの投稿は似た名前の記事の中に埋もれています。

同じ名前のLINEのオープンチャット「善行  資産拡大計画」も検索に出ますが、10月29日に開くと「現在このオープンチャットには参加できません」という表示で、中身は読めませんでした。本件の取引グループと同じものかは確認できません。

本件のグループでは参加者に発言しないよう促し、相談は勧誘した人物に個別にさせていました。参加者どうしで疑問を言い合う場がなく、気づいたことが外へ出る口コミにもなりにくい運用です。

2024年7月の知恵袋の相談も出金の条件は「利益の3%」

本件の名前ではありませんが、2024年7月28日のYahoo!知恵袋に、出金の条件として同じ3%を求められたという相談があります。

私は先週まで、あるマレーシアのハーフ女性から勧められて資産倍増計画のLINEグループに参加して、ある先生の指示通りに国際ゴールドの取引をしてました。
凄く利益が出ましたが、その利益を出金するには利益の3%を払うのが条件と言われました。莫大な金額を払うには勇気が入ります。何だか怪しくもあります。
同じ様な経験ある方は教えて下さい。

▼出金の条件に「利益の3%」を求められたという相談

dbgmarketssea-出金の条件に「利益の3%」を求められたという相談

出典:Yahoo!知恵袋

「計画」の名前のグループ、「先生」の指示どおりの取引、出金の条件としての3%の支払いは本件と重なります。一方で、相談は本件の2年以上前で、商品は「国際ゴールド」、サイトの名前やアドレスも書かれておらず、本件と同じ運営とまでは言えません。

検索で体験談に行き当たらないのは、本件のサイトに問題がないからではなく、名前の事情と閉じたグループの運用によるものとみられます。3%の先払いを求められている段階なら、支払う前に次の章で挙げる相談先へ話してください。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-2024年7月28日の質問(出金するには利益の3%を払うのが条件と言われたという相談)(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12301728422)
・LINEオープンチャット-善行  資産拡大計画(https://openchat.line.me/th/cover/ndo-dA246BbXtAXRE6XvB2XF4nodkbVH0UYkdYtTxh2ug0MUnkoOsBliGaE)

3%の手数料を求められている今からでも取り戻す道はあるか

支払いを止め、記録を残す。3%を払っても出金は保証されない。連絡と振込の記録を保存。警察・金融機関や専門家に相談。事案名「DBG MARKETS」を右上に示す説明図。

本件の相談者は、出金の申請の後に3%の先払いを求められ、支払いを止めて警察に相談しています。振込先の銀行からは、口座に残るお金はわずかだと聞いています。この段階で気になるのは、次の4つの問いです。

  • 3%を払えば、振り込んだお金は戻るのか
  • 口座の残りがわずかでも、取り戻せるのか
  • 誰に請求すればよいのか
  • 今のうちに何を残しておけばよいのか

この章では、この4つの問いに上から順に答えていきます。まずは、3%を払えば振り込んだお金が戻るのかという問いについて、海外の当局が出している警告から確かめます。

海外の当局も手数料を払っても出金されないと警告している

前の章までで見たとおり、出金の画面の「3%」は計算されない固定の文字で、払えば出金が進む仕組みはサイトの中にありません。ニュージーランドの金融市場庁(FMA)は2025年2月に偽の投資サイトの一覧を公表し、その導入で次のように警告しています。

When investors try to withdraw their funds, the platforms refuse. The platforms will often ask for further payments to cover “taxes” or “withdrawal fees”, saying that the withdrawal will be processed once the extra payments are made. However, even if the investor pays the extra money, no funds will be released.

出金しようとするとサイトが拒み、「税金」や「出金手数料」の名目で追加の支払いを求められて、払っても資金は戻らないという内容です。一覧には「DBG MARKETS (Imposter)」など、DBGの名前を使ったアドレスが3つ並んでいます。dbgmarketssea.ccはその中にありません。

▼手数料を払っても出金されないとするFMAの警告

dbgmarketssea-手数料を払っても出金されないとするFMAの警告

出典:ニュージーランド金融市場庁

国内でも鳥取県警察が、SNS型投資詐欺の主な手口として、「出金には手数料が必要」などと言われて出金できなくなる流れを挙げています。本件の3%の請求も、この「出金には手数料が必要」の型にそのまま当てはまります。

これらの注意喚起が本記事のトラブルと同一の案件であることまでは確認できませんが、FMAの警告のとおり、払っても出金されるとは限らないので、追加の支払いは止めてください。

▼「出金には手数料が必要」を手口に挙げる鳥取県警察

dbgmarketssea-「出金には手数料が必要」を手口に挙げる鳥取県警察

出典:鳥取県警察

振込先の口座に残高がほとんどなくても請求の道は残る

銀行から「口座にはほとんど残っていない」と聞くと、もう取り戻せないと考えがちです。振り込め詐欺救済法の手続きは、口座に残ったお金を被害者に分ける仕組みのため、残高が1,000円未満なら分配そのものが行われません。

金融庁の救済法のQ&Aも、その場合は犯人に対する民事上の請求などで回復を図ることになると説明しています。口座の残高から分ける手続きと、口座の名義人や相手に支払いを求める請求は別の道です。

残高が少ないことは前者の道を狭めますが、後者の道まで閉ざすものではありません。名義人がほかに財産を持っていれば、裁判で認められた請求をもとに、その財産の差し押さえを求められる可能性があります。

グループの表示名と振込先の名義人を結び付けるのは個人では難しい

本件で取引の指示を出していたのは取引グループの「先生」と呼ばれる人物で、勧誘したのはまた別の人物です。

一方、お金を振り込んだ先は個人名義の口座で、名義はそのどちらの名前とも違います。請求の相手を決めるには、グループの人物と名義人のつながりや、名義人の住所を突き止める必要があります。

名義人の住所や口座の動きは金融機関の記録の中にあり、本人の問い合わせでは分かりません。弁護士法第23条の2は、弁護士が弁護士会に申し出て、銀行などの団体に必要な事項を照会してもらう手続きを定めています。

訴えを起こした後は、裁判所が官庁や団体に調査を頼む「調査の嘱託」(民事訴訟法第186条)という手続きもあります。どの手続きをどの順で使うかは、振込先の数や手元の記録によって変わります。

グループの名前と口座の名義が食い違うことに気づいた段階で、専門家に相談して使える手続きを確かめておくと、記録が消える前に照会を始めやすくなり、その後の請求も進めやすくなります。

取引グループのやり取りは消さずに画面ごと残しておく

本件の取引グループは、参加者に発言させず、相談は個別にさせる作りでした。グループから外されたり、相手がアカウントを消したりすると、告知や指示を後から見返せなくなるおそれがあります。

グループの告知、勧誘した人物とのやり取り、出金の画面と手数料の請求、振込の利用明細は、画面ごと保存しておいてください。そのうえで、相談した警察署に伝え、振込先の金融機関にも被害を届け出ておくと、口座を止める手続きのきっかけになります。

【参考】
・ニュージーランド金融市場庁-Network of fake online investment platforms(2026年4月22日の保存版)
・鳥取県警察-SNS型投資・ロマンス詐欺被害に注意!
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・e-Gov法令検索-弁護士法
・e-Gov法令検索-民事訴訟法

LAWYER

弁護士紹介

翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

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