AdsManager(ai-advertis-center.com)は詐欺?広告の「出稿」で出金できない手口

広告を出せば儲かるという話から、LINEの相手にai-advertis-center.comを案内され、iPhoneに「AdsManager」を入れるよう指示されたという相談がありました。開いた投資の画面は残高を大きく示すのに、出金は「未処理の注文があります」の表示で止まります。

AdsManagerは正規の「Meta広告マネージャ」に似た名前を使いますが、App StoreにもGoogle Playの公開のページにもありません。開いた2229825718.comのサイトは自らを投資のプラットフォームと説明し、広告の成果の数字も出稿した金額から計算していました。

本記事では、配布ページと開いたサイトのプログラム、登録情報を調べ、正規のMetaやAppleの案内とも照らし合わせて、広告の名目のお金が投資として預けられる流れと、出金が止まる仕組みを整理します。すでに振り込んだ人が取れる手続きと相談先についても弁護士が解説します。

広告を出せば稼げるという話からAdsManagerで出金を止められるまで

案内から出金停止まで。LINEでアプリの入手先を案内。相手方名義の口座へ振込。出金申請は注文を理由に失敗。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

この章では、広告を出せば儲かるという話から、LINEで案内されたアプリの入手、相手方の名義の口座への振込、投資の画面で出金が通らなくなるまでを順にたどります。アプリの入手先を示したのは、LINEで「名称未確認」と表示されていた相手でした。

LINEの相手にiPhoneへアプリを入れるよう指示される

相談の始まりは、広告を出して儲かるという話でした。その中でLINEの相手は、相談者がiPhoneを使っているかを尋ね、ダウンロード先としてai-advertis-center.comを案内しています。相手の名前は、LINEの画面で「名称未確認」と表示されていました。

相手の指示は、リンクを開いてiPhoneにダウンロードし、終わったらスクリーンショットを送るというものです。ai-advertis-center.comは「Meta広告を活用して潜在顧客を開拓します」と宣伝し、iPhone向けには「AdsManager」という名前のアプリを配っています。

アプリが開かないと伝えると設定の画面の写しを求められる

相談者はダウンロードしたものの、アプリを開けませんでした。そのことを伝えると、相手は次に、iPhoneの設定の画面を開いてスクリーンショットを送るよう求めています。

App Storeを通さずに入れたアプリは、iPhoneの設定で開発元を信頼する手続きを済ませるまで開けない作りです。ダウンロードの後に設定の画面を求める流れは、この手続きと重なります。次の章で、Appleのサポートの説明とあわせて確かめます。

投資の画面の出金は「未処理の注文」を理由に通らない

相談者のお金は、銀行振込で相手方の名義の口座に渡っています。相手方の口座は、同じ銀行にまとめられていませんでした。始まりは広告の話でしたが、相談者は投資の被害として当事務所に相談しています。

別のLINEのやり取りでは、「名称未確認」と表示されたアカウントが201ドルの出金申請を伝え、出金先の口座の情報を確かめるよう求めています。出金の話は、LINEの上でも進められていました。

相談者が見ていた投資の画面には、総資産66,860ドル、利用可能残高と出金できる額として66,659ドルが表示されていました。ところが出金を申し込むと、「未処理の注文があります。注文の処理が完了してから出金してください。」の一文が出て、申込みは送信に失敗しました。

まとめると、広告を出せば儲かるという話からLINEの相手にai-advertis-center.comのアプリを入れるよう指示され、相手方の名義の口座へ振り込み、投資の画面の出金が「未処理の注文」を理由に通らなくなったということが、今回の被害の経緯です。

次の章では、ai-advertis-center.comが配るAdsManagerが正規のMetaのアプリかどうかを、配布ページに並ぶ3つの入手先と正規のストアの表示を比べて確かめます。

【参考】
・AdsManagerの配布ページ(https://ai-advertis-center.com/)

ai-advertis-center.comが配るAdsManagerは正規の広告マネージャではない

名前より配布先と提供元。案内された入手先は公開ストアではない。正規アプリの提供元はMeta Platforms, Inc.。似た名前だけでは同一といえない。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

この章では、配布ページの3つの入手先、iPhone向けの配布サービス、正規のMeta広告マネージャ、Android向けのアプリの中身、アドレスの登録情報を順に見ます。どの入手先も、App StoreやGoogle Playの公開のページではありませんでした。

配布ページは「Meta広告」を掲げて3つの入手先を並べる

ai-advertis-center.comの配布ページは、ブラウザのタブに「Ads」とだけ表示されます。日本語の画面の見出しは「お客様はここにいます」で、Meta広告で顧客を増やすという宣伝の下にダウンロードのボタンが3つ並んでいます。

「APK Androidダウンロード」は同じサイトの「Facebook-Ads.apk」を直接配り、「Google Play Download」の先はテスト版への参加のページで公開のページは開けません。「Appleダウンロード」も、App Storeには移りません。

▼3つの入手先を並べるAdsManagerの配布ページ

aiadvertis-3つの入手先を並べるAdsManagerの配布ページ

出典:ai-advertis-center.com

iPhone向けはApp Storeの外の配布サービスから入れさせる

「Appleダウンロード」を押すと、d13dyr42dmgw4h.cloudfront.netのページに移ります。AdsManagerの名前とアイコン、QRコードの下にあるのは英語の次の一文です。

Statement: this platform only provides download hosting, APP content is the responsibility of the developer, and has nothing to do with this platform

配布の場所を貸すだけでアプリの中身には関わらないという断り書きで、ページのどこにもアプリを作った会社の名前はありません。誰が作ったアプリかを、このページからは確かめられません。

▼iPhone向けAdsManagerを配る外部の配布サービス

aiadvertis-iPhone向けAdsManagerを配る外部の配布サービス

出典:d13dyr42dmgw4h.cloudfront.net

Appleは、組織が社内専用のアプリを配る仕組みについて次のように説明しています。

Apple Developer Enterprise Programを利用すれば、社内専用のアプリを開発し、社内利用を目的に配布できます。こうしたアプリは、信頼が確立されていないと開けません。

信頼を確立する手順は「設定」>「一般」>「VPNとデバイス管理」で、Appleはこの説明を学校や企業のシステム管理者に向けて書いています。相談者が開けないと伝えた後に設定の画面の写しを求められたのは、この手順へ進ませるためとみられます。

▼社内向けアプリは信頼の確立まで開けないとするAppleの説明

aiadvertis-社内向けアプリは信頼の確立まで開けないとするAppleの説明

出典:Apple

正規のMeta広告マネージャはMeta自身がストアで配っている

Metaが配る正規のアプリは「Meta広告マネージャ」です。App Storeでは「Meta Ads Manager」に旧名「Formerly Facebook Ads Manager」が添えられ、デベロッパは「Meta Platforms, Inc.」です。Google Playも同じ社名です。

▼提供元がMeta自身の正規のMeta Ads Manager

aiadvertis-提供元がMeta自身の正規のMeta Ads Manager

出典:Apple

AdsManagerは、正規のアプリの旧名に近い名前を名乗りながら、App StoreにもGoogle Playの公開のページにもありません。名前が似ていても、配られている場所と提供元の名前が正規のアプリと違います。

アプリの中身はFacebookの画面に別のサイトへのボタンを重ねたもの

Android向けのFacebook-Ads.apkのプログラムを調べたところ、アプリは起動すると正規のFacebookのモバイル版のページをアプリの中で開き、その右下に浮いたボタンを重ねる作りでした。ボタンを押すと、2229825718.comの画面が全体に開きます。

アプリの画面の大半は本物のFacebookなので、利用者には正規のアプリを使っているように見えます。しかし投資の画面は、Facebookの機能ではなく別のアドレスのサイトです。2229825718.comで何が行われているかは、次の章で確かめます。

配布ページと開く先のアドレスは1週間違いで同じ登録先から取得

登録情報(RDAP)で、3つのアドレスを並べました。

アドレス役割登録日時(日本時間)レジストラネームサーバー
ai-advertis-center.comアプリの配布ページ2026年4月8日 1時49分Ultahost, Inc.adel・damiete(Cloudflare)
2229825718.comアプリが開く投資の画面2026年4月15日 2時38分Ultahost, Inc.adel・damiete(Cloudflare)
ads-ai-manager.com2229825718.comと同じプログラムを返す別のアドレス2026年7月28日 17時49分Ultahost, Inc.mitch・nicole(Cloudflare)

配布ページと投資の画面のアドレスは約1週間違いで、レジストラもネームサーバーの組み合わせも同じです。同じ管理者が続けて用意した可能性があります。ads-ai-manager.comは7月の取得で、画面のプログラムのファイルが2229825718.comと1バイトも違いません。

▼2229825718.comの登録日時を示すRDAPの記録

aiadvertis-2229825718.comの登録日時を示すRDAPの記録

出典:rdap.verisign.com

  • 過去の画面の保存(Internet Archive・urlscan.io)は、3つとも0件です。
  • Googleの透明性レポートのセーフブラウジングで調べても、危険と判定されたアドレスは3つの中にありません。
  • 金融庁の無登録業者の一覧に、AdsManager・Facebook-Adsの名前も3つのアドレスも載っていません。ただし、掲載がないことが安全の根拠にはなりません。

広告の仕事や投資のためのアプリを勧められたら、入れる前にApp StoreかGoogle Playでアプリの名前を検索し、提供元の名前を確かめてください。LINEで送られたリンクから入れるアプリは、ストアの審査を通っていない可能性があります。

【参考】
・AdsManagerの配布ページ(https://ai-advertis-center.com/)
・AdsManagerの配布サービスのページ(https://d13dyr42dmgw4h.cloudfront.net/5yz1m2an81b814)
・Apple サポート-iOS、iPadOS、visionOSでカスタムのエンタープライズアプリをインストールする
・App Store-Meta Ads Manager(https://apps.apple.com/jp/app/meta-ads-manager/id964397083)
・Google Play-Meta広告マネージャ(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.facebook.adsmanager)
・RDAP-ai-advertis-center.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/ai-advertis-center.com)
・RDAP-2229825718.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/2229825718.com)
・RDAP-ads-ai-manager.com(https://rdap.verisign.com/com/v1/domain/ads-ai-manager.com)
・金融庁-無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について

2229825718.comの「出稿」は元本と利益を後で返す投資の商品

広告の入口から投資へ。ボタンの先は別アドレス。出稿には元本と利益の返還条件。登録画面はFacebookの認証情報を要求。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

この章では、AdsManagerのボタンから開く2229825718.comについて、タブとログインの画面、ページに書かれたサイトの説明、ログインの後の画面の言葉、登録の画面を順に見ます。広告の出稿という言葉を使っていても、中身は元本と利益を受け取る投資の形でした。

サイトの説明文は自らを「投資のプラットフォーム」と紹介する

2229825718.comを開くと、ブラウザ最上部のタブには「Facebook-Ads Integration System」と表示されます。ログインせずに開けるのはログインと登録の画面だけで、ほかの画面は「最初にFacebookアカウントにログインしてください」の表示に移ります。

▼2229825718.comのタブ名とログインの画面

aiadvertis-2229825718.comのタブ名とログインの画面

出典:2229825718.com

ページのソースを表示すると、検索結果などに使われる説明文(description)に次の英文が書かれています。

Facebook-Ads Integration System – Smart investment platform with compute plans, VIP rewards, and secure wallet management.

日本語にすると「コンピューティングのプラン、VIP報酬、安全なウォレット管理を備えたスマートな投資プラットフォーム」です。サイト自身が、広告の道具ではなく投資の場だと名乗っています。

▼自らを投資のプラットフォームと紹介するサイトの説明文

aiadvertis-自らを投資のプラットフォームと紹介するサイトの説明文

出典:2229825718.com

「出稿」も「プロジェクト」も元本に利益を付けて返す作り

ログインの後の画面に出る言葉は、2229825718.comの画面のプログラムそのものを取得して確認しました。商品は、広告の「出稿」と「プロジェクト」の2つです。

出稿の画面には「出稿を確認」のボタンと「基本利益率」「合計利益率」の欄があり、出稿したお金は「グループ内の全注文が完了した後、元本と利益をまとめて返還します」と説明されます。広告の費用として払ったはずのお金に、元本と利益が付いて戻る仕組みです。

プロジェクトの画面には「資本を投入して収益を得ましょう」「投資を実行」の言葉と、日数ごとの総リターンの欄が並び、「満期後に自動的に収益が入金されます。」と書かれています。VIPのレベルについても「VIPレベルが高いほど高い利益ボーナスが得られます」とあります。

どちらの画面にも利益の率を示す欄があり、お金を預けて一定の期間の後に元本と利益を受け取る形です。広告の名目で集めたお金を、元本と利益を約束して預かる投資の商品とみられます。

登録の画面はFacebookのパスワードを入力させる

登録の画面(/register)も、ログインの画面と同じく誰でも開けます。見出しは「ログイン」で、「Facebookのアカウントとパスワードを入力してADSコンソールにログインしてください。」の案内の下に、Facebookのメールアドレスとパスワードを入れる欄が並んでいます。

▼Facebookのパスワードを入れさせる登録の画面

aiadvertis-Facebookのパスワードを入れさせる登録の画面

出典:2229825718.com

この画面があるのは、Facebookとは別のアドレスのサイトです。Facebookのパスワードは、Facebook自身の画面以外で入れるものではありません。入れてしまったときの対処は、見抜く方法の章で正規のMetaの案内とあわせて紹介します。

AdsManagerから2229825718.comの画面に進んだら、画面の上部に出るアドレスと、説明に「investment」「元本」「満期」といった言葉がないかを確かめてください。広告の仕事のはずが元本と利益の話になっていれば、投資の勧誘とみられます。

【参考】
・Facebook-Ads Integration System-ログインの画面(https://2229825718.com/login)
・Facebook-Ads Integration System-登録の画面(https://2229825718.com/register)
・Facebook-Ads Integration System-ページのソース(view-source:https://2229825718.com/)
・Facebook-Ads Integration System-画面のプログラム(https://2229825718.com/assets/index-DYtb68mG.js)

広告の表示回数と収益は出稿した金額からサイトが計算している

成果の数字は計算値。表示回数とクリックは出稿額を基に計算。広告収益は出稿額と利益の合計。実際の配信結果の証明にはならない。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

この章では、投資の画面に出る広告の成果の数字(表示回数・クリック・広告収益)について、サイト自身の説明、統計の画面の欄の名前、数字を作る計算の仕組みを順に見ます。どの数字も、実際に広告を配信した結果ではありませんでした。

サイト自身が「出稿金額に基づいてAIが計算」と説明している

投資の画面のプログラムには、統計の画面の下に出す「データ説明」の3つの文が書かれています。

インプレッションとクリックは出稿金額に基づいてAIが計算します
データは1時間ごとに更新されます(若干の遅延あり)
広告収益 = 出稿金額 + 利益

インプレッション(広告の表示回数)とクリックの数は、広告が実際に見られた回数ではなく、出稿した金額をもとにサイトが計算した数字だと、サイト自身が書いていることになります。

▼成果の数字は出稿金額からAIが計算するとの説明

aiadvertis-成果の数字は出稿金額からAIが計算するとの説明

出典:2229825718.com

「広告収益」の中身は出稿した金額に利益を足した数字

3つ目の文のとおり、画面の「広告収益」は出稿した金額に利益を足しただけの数字です。広告で売上が上がったかどうかとは関わりがなく、預けたお金に利益を上乗せした額が「収益」と呼ばれています。

統計の画面で広告収益の合計を示す欄の名前は、日本語では「総出金」、英語では「Total Withdrawal」です。広告の言葉を使っていても、プログラムの上では引き出すお金の勘定として扱われているとみられます。

配布ページに大きく出ている「広告収益 $1,457,076.00」も、ページのソースに書き込まれた決まった数字です。誰かの広告の成果を集計して表示しているものではありません。

実際の広告の配信結果を受け取る処理はプログラムにない

プログラムを調べたところ、表示回数の目標は出稿した金額のおよそ150倍、クリックはおよそ3.5倍に置かれていました。画面の数字は、注文の期間のうち経過した時間の割合に合わせてその目標へ近づき、少しずつ上下させて表示されます。

利益も、消化した金額に利益率を掛け、VIPの上乗せを足して計算するだけです。広告を配信する仕組みからの報告を受け取る処理は見当たらず、画面の数字はどれも出稿額と経過した時間から作られています。

広告を出せば儲かるという話で示される成果の数字は、広告が実際に誰かに届いたことの証明にはなりません。自分で広告を出すなら、正規のMeta広告マネージャで自分の広告アカウントの結果を確かめてください。

【参考】
・Facebook-Ads Integration System-画面のプログラム(https://2229825718.com/assets/index-DYtb68mG.js)
・AdsManagerの配布ページ-ページのソース(view-source:https://ai-advertis-center.com/)

「未処理の注文があります」はグループの注文が終わるまで出金を断る表示

注文が残る間は出金できない。全注文の完了が返還条件。注文の作成と停止は運営側。追加の入金で出金できるとは限らない。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

この章では、相談者の画面に出た出金の失敗の文、元本と利益が戻る条件、運営の側に用意された注文の操作、サイトの入金の手続きを順に見ます。出金を止める理由の「注文」は、利用者の手で終わらせられるものではありませんでした。

出金の失敗の文は相談者の画面と一字一句同じ

投資の画面のプログラムには、相談者の画面に出た文がそのまま書かれています。サーバーが注文を理由に出金を受け付けなかったときに表示する文です。

送信に失敗しました。未処理の注文があります。注文の処理が完了してから出金してください。

▼相談者の画面と一字一句同じ出金の失敗の文

aiadvertis-相談者の画面と一字一句同じ出金の失敗の文

出典:2229825718.com

相談者が見た表示は、通信の不具合で偶然出たものではなく、注文が残っている間は出金させない作りの一部です。総資産や出金できる額がいくら大きく表示されていても、注文が終わらなければ出金の申込みは通りません。

元本と利益はグループ内の全注文が終わるまで返らない

前の章で見た出稿の説明には、「グループ内の全注文が完了した後、元本と利益をまとめて返還します」とありました。精算についても「グループ内の全注文完了後に精算されます」と書かれています。

出稿は1件ずつではなく、グループにまとめて扱われます。グループの中に終わっていない注文が1つでも残っていれば、元本も利益も戻らず、出金も「未処理の注文」を理由に止まる仕組みです。どの注文がいつ終わるかを、利用者の側で決める手段は画面にありません。

注文を理由つきで一時停止する操作が運営の画面にある

プログラムを調べたところ、出稿の注文は利用者が自分で作るものではなく、運営や代理店の画面で作って利用者に割り当てる作りでした。利益率、金額の幅、期間、まとめるグループも、その画面で決められます。

運営側の画面には、利用者の注文を理由を書いて一時停止する操作と、利用者の残高を増やしたり減らしたりする操作もあります。注文が止められると、利用者の画面には「注文一時停止中」の見出しと、「停止理由」の欄に運営が書いた理由が出ます。

注文を作るのも止めるのも運営側なので、「未処理の注文」がいつまでも終わらない状態は、運営の操作で作れるとみられます。注文を終わらせるために追加の出稿や入金を求められても、それで出金できるとは限りません。

サイトの入金は暗号資産の送金で銀行振込は窓口が個別に示す

投資の画面の入金の手続きは、画面に出る暗号資産(USDT)のアドレスへ送金し、送金の画面の写しを証拠として提出する形です。アドレスについては「アドレスは定期的に更新されます」と注意が書かれています。

銀行振込を受け付ける画面はなく、入金の画面には次の一文があるだけです。

その他の入金方法はサポートにお問い合わせください

▼ほかの入金方法はサポートへとする入金の画面の文

aiadvertis-ほかの入金方法はサポートへとする入金の画面の文

出典:2229825718.com

相談者の銀行振込は、サイトの入金の手続きの外で、窓口が個別に示した相手方の名義の口座へ送られたことになります。サイトの画面に振込先の口座が出ない以上、振り込んだお金がサイトの残高と結びついている保証はありません。

出金を断られて追加の入金を求められたら、振り込む前に、そのお金がどの口座に入り、サイトのどの手続きで残高に反映されるのかを画面上で確かめてください。確かめられないまま振り込むのは避けましょう。

【参考】
・Facebook-Ads Integration System-画面のプログラム(https://2229825718.com/assets/index-DYtb68mG.js)

アプリの入手先から出金の条件まで手元の画面で確かめる

三つの時点で手元を確認。入手前に提供元を照合。利用中に開くアドレスを確認。入金前に出金条件と振込先を確認。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

ここまでの章の材料を、スマホを手に取ってから確かめられる順に並べ直します。アプリを入れる前、入れた後、お金を出す前の3つの場面で、それぞれ自分の画面で確かめられることです。

  1. ストアで提供元の名前を見る:アプリを入れる前に、App StoreかGoogle Playで名前を検索します。正規のMeta広告マネージャの提供元はMeta Platforms, Inc.で、AdsManagerはどのストアの公開のページにもありませんでした。
  2. 設定の画面を開くよう言われたら手を止める:「VPNとデバイス管理」で開発元を信頼する手順は、Appleが組織の社内向けアプリのために説明しているものです。広告の仕事のアプリで同じ手順を求められたら、信頼する操作をせずに相手の指示から離れます。
  3. アプリが開くアドレスを確かめる:AdsManagerは正規のFacebookの画面を見せながら、ボタンから2229825718.comへ移ります。画面の上部のアドレスがfacebook.comでなければ、そこはFacebookではありません。
  4. Facebookのパスワードを別のサイトに入れない:入れると第三者にログインされるおそれがあり、Metaのヘルプは対処として「アカウントにログインできる場合は、パスワードをリセットし、自分が所有していないすべてのデバイスからログアウトして、アカウントの安全を確保します。」と案内しています。
  5. 成果の数字がどこで測られたかを確かめる:表示回数や収益の数字が、自分の広告アカウントの結果として出ているかを見ます。投資の画面は、数字を「出稿金額に基づいてAIが計算」するとサイト自身が書いていました。
  6. 出金できる条件を入金の前に確かめる:AdsManagerの投資の画面では、グループ内の全注文が終わるまで元本も利益も戻らず、注文を作るのも止めるのも運営の側です。いつ、どの条件で引き出せるのかを、お金を出す前に画面で確かめます。
  7. 振込先の名義とサイトの手続きを見比べる:サイトの入金の画面にあるのは暗号資産の送金だけで、銀行の振込先は窓口が個別に示していました。サイトの画面に出ない口座への振込は、残高に反映される保証がありません。

どれか一つでも画面の上で確かめられないまま話が進むなら、振り込む前に手を止めて専門家に相談してください。次の章では、AdsManagerやai-advertis-center.comの名前で口コミを探した結果を見ます。

【参考】
・Metaヘルプセンター-詐欺やフィッシングを防ぐ(https://www.meta.com/ja-jp/help/policies/1273750300141929/)
・Apple サポート-iOS、iPadOS、visionOSでカスタムのエンタープライズアプリをインストールする
・Google Play-Meta広告マネージャ(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.facebook.adsmanager)

AdsManagerの評判を探しても正規のMetaのアプリの案内に埋もれる

口コミが見つからない理由。一般名は正規アプリの案内に埋もれる。固有アドレスでも体験談は見当たらない。検索結果の不在は安全の根拠にならない。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

口コミは、AdsManager・Facebook-Ads・ai-advertis-center.com・2229825718.comの名前で、Yahoo!検索と知恵袋、X、5ちゃんねるなどを探しました。利用者が本件を名指しして書いたものは、どれにも出てきません。

AdsManagerにはストアのレビュー欄がなく評価を書き込む場所がない

アプリがApp StoreにもGoogle Playの公開のページにもないため、ストアのレビュー欄もありません。利用者が評価を書き込める場所そのものがないことも、口コミが積み重ならない理由の一つとみられます。

Yahoo!知恵袋で「AdsManager」と検索しても、該当する質問は0件でした。5ちゃんねるのスレッドの題の検索でも「AdsManager」「2229825718」は0件で、X(Yahoo!リアルタイム検索)にも本件の名前を挙げた投稿は見当たりません。

「AdsManager」と「Facebook-Ads」は正規の案内と同じ言葉

「AdsManager 詐欺」でYahoo!検索をすると、上位に並ぶのはMeta広告の詐欺広告をめぐる報道や、正規のMeta Ads Managerのページです。AdsManagerは正規のアプリとほぼ同じ名前なので、検索の結果が正規のアプリと一般の話題で埋まります。

「Facebook-Ads」も同じで、Facebookの広告そのものの案内と区別がつきません。検索で何も見つからないのは名前が埋もれているためで、被害が起きていないことを示すものではありません。

数字だけのアドレスで検索すると上位はサイトそのもの

投資の画面の2229825718.comは、数字10桁だけのアドレスです。検索すると上位に出てくるのはサイトそのもので、利用者の体験や注意喚起は出てきません。数字の並びは覚えにくく、被害に遭った人が名前を挙げて書き込むことも少ないとみられます。

検索の結果には、被害の返金を手伝うとうたう宣伝も混じります。返金の話を持ちかける相手には、連絡する前に、本当に弁護士なのかを所属の弁護士会の名簿で確かめてください。被害の相談を装って、さらにお金を求められる二次被害につながることがあります。

口コミが見つからない名前のアプリでも、配布の場所、開く先のアドレス、成果の数字、出金の条件は、ここまでの章のとおり自分の画面で確かめられます。最後の章では、すでに振り込んだお金を取り戻す道と相談先を見ます。

【参考】
・Yahoo!知恵袋-「AdsManager」の検索結果(https://chiebukuro.yahoo.co.jp/search?p=AdsManager)
・5ちゃんねる-スレタイ検索「AdsManager」(https://find.5ch.io/search?q=AdsManager)

AdsManagerに振り込んだお金を取り戻す道と相談先

支払いを止め、記録を残す。追加の入金はしない。振込明細とやり取りを保存。銀行と警察に連絡し相談する。事案名「AdsManager(ai-advertis-center.com)」を右上に示す説明図。

出金を「未処理の注文」で断られて日が浅いうちは、注文が終わるのを待てば出金できるのか、振り込んだお金を今から止められるのか、口座に残ったお金で足りないとき誰に求めればよいのか、相手が摘発されたら戻る道はあるのかという4点が気になると思います。

ここからは、その4つの疑問に答える形で手続きと相談先を挙げます。

注文が終わるのを待つよう言われても追加の入金はしない

前の章までに見たとおり、元本と利益は「グループ内の全注文」が終わるまで戻らない作りで、注文を作るのも止めるのも運営の側です。待つ間に新しい出稿を勧められることもありますが、言われたとおりに払っても、それで注文が終わるかどうかは運営しだいです。

注文を終わらせる名目で求められるお金は、いったん払わずに置いてください。お金を足すほど相手方の口座に渡る金額が増えるので、払うかどうかを考える前に、次に挙げる銀行と警察への連絡を済ませます。

振込に使った銀行と警察に振込の明細と画面を渡す

まず、振込の明細、LINEのやり取り、投資の画面のスクリーンショットを手元に残します。そのうえで、振込に使った銀行と警察(最寄りの警察署、または警察相談専用電話)に、だまされて振り込んだことを伝えてください。

犯罪に使われた疑いのある口座は、金融機関が取引を止めることができます。止められた口座のお金は、振り込め詐欺救済法に沿って被害を受けた人へ戻す手続きに回り、手続きが始まったことは預金保険機構のホームページで知らされます。

口座のお金が動かされる前に知らせるほど、戻せる額が残りやすくなります。

口座の名義人がLINEの相手とは限らないため請求の相手を確かめる

振込先の口座の名義人は、LINEの相手やサイトの運営者と同じ人とは限りません。口座に残った分の分配で戻らないお金は、誰にどのような理由で損害の賠償を求められるかを、事実を集めて確かめることになります。

相手の名前も住所も分からないなかで、請求の相手と手続きを一人で組み立てるのは簡単ではありません。弁護士は依頼を受けて代理人となり、相手を確かめる手続きや請求、裁判を進められます。専門家に相談して、自分の振込でどの手続きが使えるかを確かめてください。

相手が裁判で罰せられたときに使える被害回復給付金の制度

金融庁の振り込め詐欺救済法のQ&Aは、救済法のほかの制度として「被害回復給付金支給制度」を挙げています。法務省によると、詐欺などで犯人が得た財産が刑事裁判で没収・追徴されたとき、そのお金から被害を受けた人に給付金を支給する制度です。

手続きは、事件を担当する検察官が始め、官報で公告し、分かっている被害者には個別に知らせます。法務省は、この制度をかたる偽の書面について次のように注意しています。

検察庁では、公告の問合せ先として検察庁以外の組織を指定することはありませんし、申請人や申請を希望される方に手数料などの金銭を請求することはありません。

▼検察庁は手数料を求めないとする法務省の給付金の案内

aiadvertis-検察庁は手数料を求めないとする法務省の給付金の案内

出典:法務省

給付金や返金を名目にした書面や電話が届いて本物か迷ったら、検察庁のホームページで確かめるか、公告したとされる検察庁に自分で調べた番号から電話をかけて問い合わせてください。

【参考】
・金融庁-振り込め詐欺救済法に関するQ&A
・法務省-9.その他の被害者支援(1 被害回復給付金支給制度)
・預金保険機構-振り込め詐欺救済法に基づく公告
・e-Gov法令検索-犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
・政府広報オンライン-警察に相談したいときは警察相談専用電話 「#9110」番へ

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翔躍法律事務所 代表弁護士 近藤裕之

翔躍法律事務所 代表弁護士

近藤 裕之

登録番号
60051

元裁判官。裁判官として民事事件に携わったほか、法務省大臣官房参事官として国の訟務にも従事しました。

主な経歴

  1. 仙台地方裁判所 判事補
  2. 東京地方裁判所 判事
  3. 東京地方裁判所 民事第18部 判事
  4. 法務省大臣官房参事官(訟務担当)

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